室戸市の改革

2017年11月23日 (木)

菅家後集

News & Letters/606
昨日公表した新火葬場をめぐる5000万円余の詐欺(背任)事件の
私の監査請求については、中川博嗣市代表監査委員らによってにべもなく却下された。
まともな連中ではない。
こういうたぐいの人間は昔も今も変わらないようだ。
 
菅原道真の「菅家後集」という漢詩集の中に
「哭奥州藤使君」というのがある。奥州で死んだ友人(藤原滋実)を道真が大宰府の配所で追悼したものだ。
その中で、当時の朝廷の官吏の腐敗(東北の民蝦夷から苛斂誅求しその財貨で買官するなど)を暴きこれに切歯扼腕している様子が表現されている。抜き書きしてみる。
僚属 銅臭多 人を鑠して骨髄を煎る
財貨に卑しい同僚は貪欲の炎で身を焼き溶かし、骨髄までも煎り焦がす)
兼金、又重裘 鷹馬相共に市う、市得於何處 多は是邊鄙に出 
(黄金や、皮衣、鷹や馬を買うが、これはいづれのところで買うのか、多くはこれ東北の辺鄙から)
  ・・・ 
  ・・・
價直は甚しく蚩眩・・・・古へ自り 夷民の變 交關に不軌を成す
(値段は蝦夷を馬鹿にしてだまし甚だしく安くたたく いにしへより蝦夷の反乱は、交易の不平等から起こった)
 ・・・・・
・・・兼贏如意指(利益を増すことは意のまま)惣領走京都(すべてを京都に持ち帰り) 豫前顔色喜(役人を喜ばし)便是買官者(官を買うのだ) 秩不知年幾(年収はいくらか計り知れず) ・・・公堂偸眼視(公で人目を盗んで合図仕合い)
欲酬他日費(他日報いることを望み) 求利失綱紀(こうして利権を求めて綱紀を踏みにじる)
官長有剛腸(剛直な上司がおれば) 不能不切歯(切歯扼腕を抑えられないだろう)
定應明糾察(定めてまさに明らかに糾察し) 屈彼無廉耻(かの廉恥無き者を屈すべし) ・・・
蝦夷からかすめ取った財貨を京都に持って帰りそれで朝廷の悪と示し合わし官を売買し贈賄行為を盛んにする。もし剛直な上官がおれば切歯扼腕し、定めて應に明に糾察して 彼の廉恥無き者を屈すべし
 
  「菅家後集」は室戸市民図書館にも飾ってある。

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2017年11月21日 (火)

室戸市の乱脈利権行政に監査請求

News & Letters/605

室戸市職員措置請求書

                   平成29年  月  日

                       請求人

 

【請求の趣旨】

室戸市が、室戸市新火葬場建築主体工事で平成28年1月15日の支出命令によって出された5141万6226円の支出は、何の根拠もなく、小松市長、請負業者の有限会社川村総合建設らによる不法行為(詐欺又は背任)によってなされたものであり、業者から返還を求めるべきものである。また、工期が20ヶ月も遅延したが、業者の都合による場合が相当あると考えられる。これによる遅延損害金も業者からとるべきである。

【請求の原因】

一、本件工事の経緯

本件工事は、室戸市が平成25年9月12日に有限会社川村総合建設(川村総合建設と呼ぶ)と建設工事請負契約を結び工期は同年10月5日~翌平成26年3月26日のものであり、請負金額は、消費税込みで1億5351万であった。

その後工期が合理的な理由もなく以下の通り次々と変更され、第3回目の変更では大幅な工事費の増額がなされた。

正規の工期:平成25年10月5日~平成26年3月26日

第1回:平成26年3月17日→平成26年12月30日に変更(約9ヶ月延長)

第2回:平成26年10月26日→平成27年3月20日(更に3ヶ月弱延長)            

第3回:平成27年2月25日→平成27年9月15日(更に5ヶ月弱延長)

        請負契約金の変更 (追加額 5141万6226円)

第4回:平成27年9月14日→平成27年11月30日まで(更に2ヶ月半延長) 

と変更された。(合計20ヶ月延長 発注から2年以上)

1億5千万円程度の請負建築工事で天災地変もないのにこのような工事の延長は異常であり、さらに、平成27年2月25日さしたる設計変更もないのに工事費の3分の1を超える増額の追加契約(支出命令平成28年1月15日)をしたが、これは市長ら関係職員と請負業者との談合によるものであり、断じて許されることではない。室戸市はこの不法行為による損害を回復する必要がある。

二、一括下請け契約の実体

1、建設業法や本件請負契約では一括下請け又は主要な工事の下請けは認められていないが、本件において川村総合建設は法律に違反して一括下請けで全工事を遂行している。政府の解説では一括下請けとは、相手が複数の場合でも該当するとされる。

2、本件工事において川村総合建設が下請けに出した全工事の費用は、下請け契約書(「注文請書」)によると、合計1億0218万7210円であり、ほかに出費する工事は存在しない。この金額は変更した工事費(293万6521円)を含めており、元の契約金1億5351万円の枠内にあり、工事費を増額させる理由はない。しかも、その工事費の増額変更は下請け工事23件のうち5件にすぎない。

 川村総合建設が下請け業者に発注したのは、契約時の平成25年度が解体工事の1件だけであり大半が27年中である。ほとんどの下請け工事契約は27年度中の半年ほどであり初めからまともな工期で仕事をする意図はなかったと考えられる。

3、議会での執行部の答弁書では、平成26年12月27日に川村総合建設から本件契約書第25条に基づいて労賃や材料費の値上げを理由とする5000万円以上の請負代金変更の請求があったという。市長らはこれに対し当初3000万円程度の増額に応じようとしたが、業者や特定議員が承知せず、本件増額に至ったという。増額契約にかかる理由や計算式も明らかになっていない。

 しかし「注文請書」によれば実際には、工事費の増額があったのは型枠工事や雑工事などの数百万円にすぎず、本体工事そのものについてはほとんど何の費用の増額の必要性もないことはあきらかだった。「注文請書」によれば下請け工事の全費用は、本件増額が市議会で議決される平成27年3月20日までには全て確定していて、元の契約金の枠内であることが分かっていた。

この下請けについての「注文請書」は業者から市役所に提出義務があり、市長や担当課長も実際の費用について認識していて本件増額が不要であることを知っていた。

三、5146万6226円の工事費増額

1、5146万6226円の工事費の追加は物価上昇による工事費の高騰などとされているが、国内に激しいインフレーションでも起こらない限り本件追加額ほどの増額(30%~40%)が必要になるはずもなく、実際下請け業者との契約ではほとんど物価上昇の影響はない。工事の遅延は大半が川村総合建設側の事情によるものであって、逆に、遅延損害金の請求権が発生する事案である。

室戸市は、本件請負契約書に基づき遅延損害金の請求を怠っている。物価上昇による工事費の変更は発注より12か月を越えなければ対象にならないが、「注文請書」の契約期日で知れるとおり川村総合建設は当初の工程どころか12か月以内に工事をしようという姿勢はなかった。25年中の下請け発注は1件にすぎず、26年中が7件だけであとはすべて27年中であった。

2、また、この5146円6226円の契約金の変更を決議する室戸市議会の状況は異常であり、一部議員の話では、業者に加担する一部有力議員が本会議や委員会で根拠もないのに工事費増額の口利き意見を出したり、また同議員が議員控室で他の市議会議員に対し「命とられるぞ」、など脅迫的言辞を繰り返し発し、増額変更を盛った市長予算議案に賛成しないと報復(殺害)するという趣旨の威迫があったという。この威迫のもとで本件予算案の議決が行われたと考えられる。脅迫のもとで行われた市議会の議決は無効であり、変更した請負契約は無効である。

四、その他の違法性

なお、本件請負契約相手を決めた室戸市の総合評価方式の選定方法は、違法なものである。川村総合建設にかかる評価点のうち「施工実績」は虚偽であって自社の実績でないもの(下請け業者のもの)を使っていた。室戸市はそれが虚偽であることを知っていて特定業者が独占できる仕様をわざと作ったのである。これによる業者選定は無効であった。なお、責任者を配置しただけでは元請けが実質的に工事に関与したとは言えない。

 また本件請負入札については、地元4社しか参加させず、規則違反が常態化している。このような違法行為を承継する本件5000万余の増額契約は無効であり、室戸市はこれにつき返還請求権という財産の管理を怠る違法行為がある。

 

  【添付書類】

1 請負契約書(当初及び変更)

2、「注文請書」(要約別紙)

3、支出命令書

4、別紙 本件「注文請書」要約

 

 本件「注文請書」要約

 (業者)     (金額)   (契約期日)     (工事内容)

1、安岡工業   4752000円  ㍻26418日    鉄筋工事

2、同上              ㍻261220日   工期変更

3、同上              ㍻27310日    工期変更

4、同上              ㍻27919日    工期変更

5、一穂     2484000円  ㍻26418日   仮設・型枠工事

6、同上              ㍻261220日    工期変更

7、橋詰建設   4654800円  ㍻2662日    建築主体工事 

8、同上     3542400円  ㍻26113日    型枠工事

9、同上      529200円  ㍻27212日  * 工期・金額変更

10、竹久建設   4104000円  ㍻266月2日     建築主体工事

11、同上      299160円  ㍻261230日  *  金額変更 

12、同上     1998000円  ㍻261220日     型枠工事

13、同上     950400円  ㍻27212日    *工期・金額変更

14、ひらく建設  3780000円  ㍻2662日     建築主体工事

15、同上     1458000円  ㍻261220日    仮設・雑工事

16、同上      369361円 ㍻261230日   *  金額変更

17、同上      788400円 ㍻27212            *     工期・金額変更                                                                               

18、石井左官工業 1144029円  ㍻27310日    左官工事

19、同上             ㍻27918日    工期変更

20、三和シャッター5724000円  ㍻27310日   金属製建具工事 

21、同上             ㍻27916日    工期変更

22、田淵工業   1266000円  ㍻27310日   左官・タイル工事

23、同上             ㍻27915日    工期変更

24、三和     4752000円  ㍻27310日     内装工事

25、同上             ㍻27917日    工期変更

26、日建商会   2484000円  ㍻27310日     断熱工事

27、同上             ㍻27918日    工期変更

28、和翔商事   2592000円  ㍻27310日    断熱工事

29、同上             ㍻27918日    工期変更

30、小松建具   4104000円  ㍻27310日    木製建具工事

31、同上             ㍻27915日    工期変更

32、西村大理石  9720000円  ㍻27310日     石工事

33、同上             ㍻27916日    工期変更

34、土佐木工所  2268000円  ㍻27310日    家具工事

35、同上              ㍻27915日   工期変更

36、谷末建装   3326400円  ㍻27310日    塗装工事

37、同上            ㍻27916日     工期変更

38、建販センター 10800000円  ㍻27310日    屋根・樋工事

39、同上            ㍻27917日    工期変更 

40、藤岡ステンレス134400円  ㍻27310日   金属工事

41、同上            ㍻27918日   工期変更

42、高南製作所  2700000円  ㍻27310日   鉄骨工事

43、徳増工業   16956000円  ㍻27310日   金属製建具工事

44、同上              ㍻27915日    工期変更

45、仙頭防水   1512000円  ㍻27310日   防水工事

46、同上             

27915日    工期変更

47、安岡重機   1785000円  ㍻251011日   解体工事

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2017年9月23日 (土)

室戸市への監査請求

室戸市職員措置請求書(住民監査請求書)

 2017年7月 日

室戸市監査委員殿

                     請求者 室戸市吉良川町乙2991番地

                           澤山保太郎

【請求の趣旨】

室戸市が建設工事などの請負契約のために採用している総合評価落札方式は、特定有力業者に特恵的地位を与え公正な競争を著しく阻害していると思料するので、この方式が「品確法」等に違反し、違法・不当であることを確認すること、かつ、現今の総合評価落札方式の採用を速やかに差し止めることを求める。

【請求の理由】

1、「品確法」(「公共工事の品質確保に関する法律」)では、入札価格のほか業者の技術的能力などについても評価を行い、総合的に評価して請負い業者を選定することによって公共工事の品質を確保する、とするものである。その第12条で具体的に①業者の工事経験②施工状況③技術者の経験をあげ、これを審査することを義務付け、第13条ではさらに④若年技術者の有無⑤技能労働者の育成・確保の状況⑥建設機械の保有状況⑦災害時の工事体制を加え7つの分野での審査・評価をすることを努力するものとしている。

それは同法第3条の各規定を具体化するものである。

2、室戸市の評価方式でも入札価格だけでなく企業の技術的能力を評価して総合的に判断するとしているが、添付資料のとおり、第12条の②の施工状況の審査が欠落している。第12条の「施工状況」とは契約にかかる工事についての施工計画(工程表)などを言うものと考えるが、第3条などの趣旨からして技術面での評価としては最も重要と考えられるものが欠落しているのである。

また、第3条や第15条などで強調されている「技術提案、創意工夫」、「適正な施工」や「個別の工事により条件が異なる特性」、「工事の性格、地域の実情」などに対応する技術評価が全く審査対象から除外され、ただ入札参加企業の過去の工事の実績や技術者の資格が高い評価点を与えられている。要するに数年間の短い過去の実績でほとんど勝負が決まることになっている。室戸市の総合評価落札方式は、技術面での評価点(9点満点に標準点100点加算)を入札価格で割るという計算式であるが、最低制限価格が異常に高く設定されているので分母である価格での差がほとんどないようになっている。したがって技術評価点(実際は工事実績)の高い業者が自動的に落札する仕組みだ。

3、室戸市の場合価格についての入札は最低制限価格が異常に高い。実際には価格での競争の意義はほとんどない。通常最低制限価格は予定価格の3分の2~90%に設定されるが、室戸市の場合特定業者らが狙う事業では90%になっている。通常の競争入札での札入れは高くても90パーセント前後と考えられるが、室戸市はそれを最低制限価格に設定しているから価格での競争が困難な状況である。

4、さらに問題なのは、添付資料の例のように、総合評価方式も一般競争入札ではなく指名競争入札であるが、室戸市の指名入札の規則では、6業者以上の指名による参加を必要とするが、添付資料の事例ではその規則も満たしていない。数業者の競争となるのでますます特定業者の請負契約の独占化、固定化が容易となっている。

5、さらに重大なのは、技術評価で大きなシエアを占める過去の工事の実績では、室戸市が評価した実績は架空の実績の可能性がある。

すなわち、請負工事のほとんどを下請け、孫請けに丸投げしてきた業者が「施工実績」で最高点を与えられてきた。この事実は下請け契約書などを受けているから当然市長や担当職員は百も承知のはずである。本体工事を自社で遂行出来ない、工事遂行の人員も、装備も、経験もないというのは大きな減点評価としなければならないが逆に高評価を得ている。室戸市の入札通知書では、総合評価方式の施工実績は「元請け」の工事実績と明記されている。施工実績を他社の実績で申告するというこの事態は虚偽申告の罪科にかかる可能性がある。

6、上記「品確法」では、下請けとの「公正な契約」(第3条10項)とか、第8条「適正な価格での請負契約」がうたわれているが、ほとんどの工事を自社でなく下請けに丸投げしている室戸市の一部業者では、下請け契約の金額の総額が、元受け契約の金額の半額に抑えられている「実績」がある。これでは、請負契約金が法外に高すぎるので下請け業者に多大の犠牲を強いているということになる。

 建設業法では下請けには金額の制限があり、また、主要工事を自社でせず下請けに丸投げするのは禁じられている。

室戸市は下請け契約の関係資料の金額を黒塗りにせず公表し、その実態を検証し、企業の工事経験の評価に加え、問題があれば大きな減点とするべきである。

7、また、地方自治法では総合評価落札方式を採用する際に「学識経験者」の意見を聞くことになっている。室戸市は、室戸土木の職員の意見を聞いたというが、県庁の開示した資料、室戸市が開示した資料では、そのような事実を示す証拠がない。

 県が委嘱した委員を活用して意見を聞くならともかく、県が作った方式をそのまま借用したというのでは、法令の指示した意見聴取がなされたとは言えない。

法令に従わず、よその方式を独断で取り入れたものをすべての工事に一律に適用していると考えられる。

8、また、業者の評価については、「品確法」の定める技術的能力だけでなく、社会保険加入の有無について下請けも含めて厳格に審査する義務が指示(「公共工事の入札及び契約の適正化の推進について」総務大臣・国土交通大臣 平成261022日)されている、室戸市ではこれについて全く無関心で、元請け・下請け業者がこれをクリアしてきたかどうか独自のチェックがなされていない。

9、なお、平成17年ごろ以降、国の示した総合評価落札方式は「品確法」に基づくものであるが、そのガイドラインなどのマニュアルでだんだんと簡素化(骨抜き)され、標準型から簡易型、さらに市町村向けの特別簡易型など室戸市のように、当該工事についての技術的評価ではなく企業の実績を偏重し、地域貢献の実績ならともかく消防団への加入状況とか、災害協力協定とか、当該工事に無関係でかつ地域の特定業者に有利な評価項目を設定するに至っている。

 室戸市が総合評価方式の評価項目を設定する際には高知県庁のそれを参考にし、県の職員の意見を法定の「学識経験者」の意見聴取に替えたということであるが、

 総合評価方式についての高知県の最近の総括では、価格入札が一定の最低ラインに集中する結果、企業の評価点でほとんどの一般競争入札が決定され、落札が特定の業者に固定化される傾向があることが表明されている。すなわち総合評価方式が競争原理を希薄化させ特定企業の市場独占化が憂慮されている。

室戸市の場合この傾向は固定化しいわば究極の官製談合の入札方式となり、特定有力業者はもはや「談合」をする必要性もない、といわれている。室戸市の採用している方式は公正な競争を著しく阻害し、一部特定業者に法外な利益をもたらし、地元企業の育成など到底見込めず、市外の下請け業者に多大な犠牲を強いて工事成果の品質を損なう恐れもあり、室戸市内への経済効果にもほとんど貢献するところがない。

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室戸市政の利権行政への痛撃

やっとパソコンを操作できるようになりました。
すでに室戸市監査委員会へ、利権行政の骨格となっている
総合評価落札方式にメスを入れる監査請求書を提出し受理されて
審査中である。この総合評価落札方式では業者はもはや談合をする必要も
ないといわれ、特定業者の思うままになっている。
監査請求書の中核は、業者に加算された評点のうち「施工実績」の実績が虚偽ではないか、
虚偽に基づく入札・落札は詐欺行為ではないか、という主張である。
これは、何よりもそれら特定業者の施行の実態が、下請けに工事を丸投げをしている事実にある。
分割して複数企業に丸投げして下請けさせる場合も建設業法に違反する。
総合評価落札方式では、施工実績は元請けの工事実績に限られている。
他社(下請け)の実績を自分の実績のように申告するのは虚偽の行為であり、市役所も
虚偽であることを知っていた。
あらゆる産業、市民生活のあらゆる部面で低迷が続く室戸市。特定業者を優遇する市政に終止符を打たなくては、室戸市の発展はあり得ない

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2017年2月20日 (月)

室戸市の利権行政について 控訴理由書

News & Letters/550

大阪豊中市の国有地を安倍晋三関係の学校法人にただ同然で「売却」したことが高知新聞に大きく報ぜられた。
国会で追及されインターネットでは早くから問題になっていたが、テレビなどではあまり報道されていない。

公有地を格安に売るという事案は地方行政では日常茶飯のことである。
室戸市の工業用地の造成も4億円かかったものをその半額で企業に売却していた。
本件の場合、室戸市羽根町の事件である。

山あり谷ありの土地をわざわざ選んで造成に費用を過大にかけて地権者や地元企業に存分にふるまい、他方別の企業には格安で売るという
2重の利権ベクトルの結果である。

平成29年(行コ)第3号 損害賠償請求控訴事件
      控訴人 田原茂良  同 前田國穂  同 楠瀬立子
     被控訴人 室戸市長小松幹侍

高松高等裁判所殿
訴控理由書
          平成29年2月15日
           〒781-6832 高知県室戸市吉良川町甲4015番地
             控訴人 田原茂良
           〒781-6831 高知県室戸市吉良川町乙5269番地20                控訴人 前田國穂  
            〒781-7220 高知県室戸市佐喜浜町甲1374番地2
             控訴人 楠瀬立子

【一】控訴理由の要旨

1、原判決は、本件工業用地が「市場価格」以上で売却されたから適正であると判示したが、過疎地の農村の宅地と整備された工業用地の対比で市場価格を云々するのは失当である。近隣の類似の物件(工業用地)で比較するべきである。原判決は、市場価格をもとにした被控訴人の行為が政府の不動産鑑定評価基準(甲第 号証)に反するものであることを見逃した。 

2、また、原判決が認定するその「市場価格」での売却(整備費の約半額)では初めから損をすることを考えていたということになり、本件請求の正当性、すなわち、「適正な対価」でないことを被控訴人(裁判所の追認)が自覚していたことになる。

3、また、原判決は、本件売却が室戸市に多大な損失を与えることについて地方自治法第96条第1項6号の特別決議(適切な対価なく譲渡)がないこと(地方自治法第237条第2項違反)について、何ら判断を示さなかったが、本件で議会の特別議決がないのは最高裁判例(昭和17年11月17日判決)に違反する。

4、また、原判決は、随意契約の違法性について法令(地方自治法施行令167条の2第1項2号)の誤読による誤った判断をした。本件売買契約は随意契約ではできない。

5、原判決は本件請求の主要テーマである私企業のために公共事業を計画し実施したものであることを認めているが、その認容はいかなる法的根拠によるのか明らかにしていない。

6、原判決は、誘致条例違反について見当違いの判断をした。

【二】控訴理由

一、市場価格について

原判決は、地方自治法第237条2項の「適正な対価とは、通常その財産の市場価格」だとして、「近傍に所在する」宅地の鑑定評価額が1㎡あたり3650円とし、それに比較して本件工業用地の1㎡当たりの価格が8526円だから、本件土地の売却が「適正な対価なくしてされたものであると認めるに足りない」と判示した。
この判断の誤りは以下のとおりである。

1、巨額の費用をかけ整備された工業用地と人口激減中の過疎で悩む室戸市の中でもさらにひどい過疎地域(羽根町大岸部落)の農家の宅地(売りに出しても容易に買い手がつ
かない土地)と対比することがいかに常識外れであるか、考えるまでもない。
過疎地の宅地と新しい工業用地を、同一の市場で対比することが許されるであろうか。

2、政府の『不動産鑑定評価基準』14頁~15頁及び乙第1号証「鑑定評価書」1枚目中段によると、「正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の
下での合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。」と規定されている。

ここで第一に本件工業用地が「市場性」を持つのか、ということであるが、供用が開始された公共の土地や建物は、その供用が廃止された場合はともかく、通常は市場での「正常価格」を算定することはできない。公共の土地や建物(不動産)は一般の不動産の中に入れての市場性を有しないのである。普通財産も含め公共の不動産は本来売買や商取引の対象・目的になりえないからである。何人も自由に取引の市場に参入するなどという上掲の『不動産鑑定評価基準』の「現実の社会経済情勢の下での合理的と考えられる条件」のどの一つも満たさない。故に本件工業用地は、市場性を持たず、前掲『不動産鑑定評価基準』(14頁~15頁)がいう「特殊価格」というべきである。

3、前掲『不動産鑑定評価基準』によると、「鑑定評価の方式」は「原価法、事例比較法、収益還元法」があるとされる。どの方法を選択して鑑定を行うかは鑑定依頼者による。
乙第1号証によれば本件は事例比較法を採用(被控訴人が依頼したと推定される)し、本件とは数十キロメートル以上離れた「室戸市内の山間部等の地価水準の低い地域の事例」3例に基づき「比準価格」を求め、それによって本件近隣の農家とおぼしい宅地について評価し、鑑定評価額3650円を算定したものである。

しかし、前掲『不動産鑑定評価基準』や政府が決定した『公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱』第8条によれば「土地の正常な取引価格」とは、「類似地域」とか「近傍類地」の取引価格を基準とするとなっている。本件工業用地を「過疎化・高齢化や不況等により、個人の土地需要は低調で、価格は下落を続けている」(乙第1号証3枚目)土地の評価をもとにして評価するのは、政府の定めた鑑定評価の趣旨に根本的に違背している。
不動産鑑定士への依頼人である被控訴人の鑑定評価の手法は、近隣農家の宅地など公共用地の取得の場合には有効なものであると考えられるが、造成など相当な整備費をかけた公共用地の売却の場合には全く不適当である。

二、本件用地の価格決定の真相

1、被控訴人は、第1審被告準備書面(3)で室戸市内2か所の工業用地を挙示した。
 そのうちの一つは、本件工業用地から車で1,2分ほどの至近距離(羽根町甲1310-1 乙26号証の1)にある。被控訴人及び裁判所は当然、この類似性のある工業用地の価格決定方法を採用すべきであり、それらは、ほとんど造成・整備費用が売却価格となったものである。

すなわち、前掲『不動産鑑定評価基準』でいえば「原価方式」で鑑定結果を出しており、
特定土地の数倍の値を付けた「市場価格」といってもそのもとになる土地が過疎地のただ同然であれば意味がないのである。すなわち、
被控訴人の原審準備書面(3)や乙24号証~26号証によれば、平成14年に室戸市は土地開発公社を介して2地区(室戸岬町高岡、羽根町)5件の工業用地を造成・整備し、これを海洋深層水関連企業に売却した。

(ア) 乙25号証の3の室戸岬町高岡の場合の収支

(開発面積対分譲土地の比率は92.61%)
  整備された工業用地の土地開発公社からの購入価格  3億9966万4999円
                  分譲価格総額   4億2038万2922円
                             となっている。
(イ)乙26号証の3の羽根町の場合の収支

    (分譲割合は96%)
     土地開発公社からの購入価格   2億2074万5036円   
            分譲価格総額   2億0070万7794円
  (イ)の場合農道用地整備の費用も相当負担させられているので、工業用地整 
  備費のほとんどを企業は支払っている。この地は元は河川敷であり海にも近い 
  0メートル地帯に位置する。津波襲来はもとより河川の大水が出たときは極め 
  て危険な場所であるから、人の居住宅地には不適当である。

この分譲価格の算式について被控訴人は、原審準備書面(3)で次のように言う。
室戸市は、「高岡地区海洋深層水関連事業用地」の分譲の事例では、開発区域全体の総事業費を分譲面積で按分して分譲価格に反映させており、また、「羽根地区海洋深層水関連事業用地」の事例では、開発区域全体の総事業費につき、分譲面積と農道用地面積で按分して分譲価格を算定しており、何れの場合も、分譲価格の算式に当たって「分譲割合」を組み入れていないが、・・・・(4頁中段)といい、さらにこの様なやり方は、
本件訴訟における原告らの主張によっても、この分譲価格は適正価格ということになると思われる。(5頁下段 下線控訴人)とまで評価している。

2、被控訴人は同じ原審準備書面(3)で、本件の工業用地の場合には、上記のような「適正な価格」の算式は取れなかったという。その吐露するところによると、
室戸市は、本件工業用地開発事業の取り組みを開始するにあたって、富士鍛工㈱側から、同社の分譲価格についての考え方を聴取したが、「奈半利工場を新設した際の土地購入価格の坪2万円程度が基本となる」旨の回答があり、以後の室戸市の事業計画は、この「坪2万円程度」の分譲価格を一応の目安として事業遂行のために必要となる財源の手当てをすることになった。(5頁下段)

原判決が言うような「市場価格」とか、これまでの室戸市の工業用地の価格算定方式(原価方式)ではなくて、譲渡先の企業の意向「坪2万円程度」が本件譲渡価格としてあらかじめ設定されていたのである。そして、被控訴人はいう。
「坪2万円程度」の分譲代金をもってしては、到底、開発に要した事業費用(経費)を回収することができないことが明白であったが・・・(8頁上段)それでも被控訴人は、室戸市の財政や雇用のことを考え、その線で分譲をしたというのである。
したがって、その判断の前提となる客観的資料が欠けるために疑義が残ったとしても、本件工業用地を本件売買契約に定める2億1230万3000円の分譲価格で富士鍛工㈱に売却する必要性があった・・・(8頁下段 下線部控訴人)ということを分かってほしいということである。

原判決が本件工業用地の売買が「市場価格」よりも高く売られたから何の問題もない、ということではなく、被控訴人は、本件売却価格が業者の相当無理な意向に基づくこと、これが「適正な価格」ではないこと、「客観的資料」が欠けていること、「疑義が残った」ことなど、その苦衷を正直に告白しているのである。
ちなみに富士鍛工が例示した奈半利工場の敷地は、貯木場の空き地で何らの整備も施す必要がない運動場の様な平坦地であるが、海岸に接した低地であるため南海地震の迫る今日、居住宅地としては不適な場所である。このような土地の値段でという業者の法外な要望にこたえようとすること自体が異常であろう。

3、このようなことになったのは、何故か。二つほど考えられる。

 一つは、もちろん繰り返し強調する富士鍛㈱という企業の意向を無視できなかったことであり、今一つは、「小松市長、室戸市議会議員は、本件開発土地が、台地と平地とが混在した区域であるため・・・認識で一致していた。」(原審準備書面(3)7頁下段~8頁上段)という事情である。「小松市長」も本件工業用地の羽根町出身であり、造成工事を請け負った土建業者もほとんど地元羽根町であり、関与した「市議会議員」も当該工業用地の地権者にいた。
何故、巨額の整備がかかる「台地と平地とが混在した区域」をわざわざ開発地に選んだのだろうか。被控訴人の準備書面に「小松市長、室戸市議会議員」という言葉が並べられたが、議会外で両者が開発地の選定、分譲価格の決定に関与し暗躍していたことが示唆されている。
被控訴人の原審準備書面(3)は、本件分譲価格が、正常な整備事業の正常な決定でないことをつぶさに語っている。このことの自覚があるのであるから、室戸市の損害について自ら責任を負わねばならない。

3、これら如上の経緯を別にしても、原判決及び被控訴人が、近隣過疎地農家の宅地の価 
 格をもとにして「市場価格」で本件工業用地を売却したということは、本件請求を逃れる理由にはならない。
むしろ、もともと市場性がない物件を、原価方式をとらず、「取引事例比較法」を選択して不適格な評価対象を選び、でたらめな鑑定評価をもとに本件事業において意図的に室戸市に巨額の損害を被らせた、ということが実証されるということになる。
これは、地方自治法第2条第13項の事務処理の「最小の経費で最大の効果」をあげるようにする義務規定に違反している。

三、市議会の特別決議の欠如についての判断

原判決は、「市場価格」論を持ち出すことにより本件工業用地が「適正価格」で売却されたとしてその整備費と売却価格の差額について判断をしなかった。しかし、「市場価格」論が正しいと仮定してもそれによって差額が解消することはない。むしろ、そのことによって差額が生じたのである。財務会計上この差額については処理する必要がある。
その処理の方法はすでに地方自治法に用意されていて、すなわち96条の1項6号である。
被控訴人は、本件売却について議会の承認を得ていると主張するが、それは、第1審答弁書でいうとおり地方自治法第96条1項の8号規定に基づくものであり、通常の契約の承認案件の議決にすぎない。必要なのは地方自治法第96条1項6号規定(「条例で定める場合を除くほか・・・適正な対価なくしてこれを譲渡し・・・」)に基づく特別決議である。このことについては最高裁第1小法廷平成17年11月17日の判例(平成15年(行ヒ)231号)がある。すなわち、
地方自治法第237条2項は、条例又は議会の議決による場合でなければ、普通地方公共団体の財産を適正な対価なくして譲渡し、または貸し付けてはならない旨規定している。
一方、同法96条1項6号は、条例で定める場合を除くほか、財産を適正な対価なくして譲渡し、または貸し付けることを議会の議決事項として定めている。これらの規定は、適正な対価によらずに普通地方公共団体の財産の譲渡等を行うことを無制限に許すとすると、当該普通地方公共団体に多大の損失を生ずる恐れがあるのみならず、特定の者の利益のために財政の運営がゆがめられる恐れもあるため、条例による場合のほかは、適正な対価によらずに財産の譲渡等を行う必要性と妥当性を議会において審議させ、当該譲渡等を行うかどうかを議会の判断にゆだねることとしたものである。このような同法237条2項等の規定の趣旨にかんがみれば、同項の議会の議決があったというためには、当該譲渡等が適正な対価によらないものであることを前提として審議がされた上当該譲渡等を行うことを認める趣旨の議決がされたことを要するというべきである。議会において当該譲渡等の対価の妥当性について審議がされたというだけでは、当該譲渡等が適正な対価によらないものであることを前提として審議された上議決がされたということはできない。
まさに本件において、整備費用と売却価格とに巨額の差等がある事実について問題にせずただ単に本件売却価格が妥当だとの認識で議決しただけでは、適法にはならないのである。
被控訴人の本件行為は地方自治法第237条2項に違反する。
原判決は2億円もの差額を認識していながら、それについての議会の特別議決の欠如について判断しなかった。
ちなみに「室戸市有財産の交換、譲与、無償貸し付け等に関する条例」第3条の規定中「時価よりも低い価額で譲渡」できる場合の対象には富士鍛工は入らない。

四、随意契約、最高裁判例について

1、原判決は、地方自治法第234条2項について地方自治法施行令167条の2第1項2号の規定のうち、
「その他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」も随意契約によることができると定めており、契約類型に限定を加えていない・・・、と解釈して本件工業用地の売買契約を随意契約でしたのは適法であると判示し、それを補強するために最高裁第二小法廷判例(昭和62年3月20日判決 昭和57年(行ツ)第74号)を引用した。(原判決13頁下段~15頁中段)
確かにこの最高裁判例では、競争入札の方法による契約が不可能又は著しく困難とは言えない場合でも、契約担当者が契約の性質や目的に照らし普通地方公共団体にとって妥当であり利益になると合理的に判断した場合は、随意契約によることも許されるという。
原判決は、この最高裁判例に文字通り全面的に依拠して判断をした。
しかし、この最高裁判決の数か月後同じ地方自治法施行令167条の2第1項の各号について、最高裁第三小法廷で明確な判断が下された。(昭和62年5月19日最高裁判決 (昭和56年行ツ144号)
随意契約で町有地売却の事件についての判決で本件に関係ある部分を引用すると、
法二三四条二項は、普通地方公共団体が締結する契約の方法について「指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。」と規定し、これを受けて令一六七条の二第一項は随意契約によることができる場合を列挙しているのであるから、右列挙された事由のいずれにも該当しないのに随意契約の方法により締結された契約は違法というべきことが明らかである。
と判断した。本件は大阪府東鳥取町の町長が町有山地を随意契約で民間に売却した事件であるが、高裁、最高裁とも施行令167条の2第一項で列挙された事由のいずれにも当たらないと判断したものである。施行令167条2第1項で列挙されている事由は、
1号は、売買、貸借、請負などその他の契約(価格の上限あり)
2号は、不動産の買入、又は借入、物品の製造、修理、加工、物品の売払いその他の契約でその性質・目的が競争入札に適しないもの
3号は、障害者からの買入
4号は、認定を受けた者からの新商品の買入、
6号は、競争入札にすれば不利となる場合
7号は、時価に比して著しく有利な価格での契約の見込みがある
8号は、入札者がないとき
9号は、落札者が契約を締結しないとき
以上9つの場合に該当しなければ随意契約を行うことができないし、町有地の売却はこのいずれにも該当しないと最高裁判所は判断した。
この判断には第2号規定の「不動産の買入・・・その他その性質又は目的が競争入札・・・・」も入っていることは言うを俟たないだろう。

2、問題の第2号規定中の「…その他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないもの」を2号規定から外し掲示された9号とは別号のように取り扱い、あらゆる契約でそ
の性質・目的が競争入札に適しないものについて随意契約が許されるという原判決などの
ような解釈が許されるか、ということである。
それは条理上不可能なことである。2号規定の「不動産の買入・・・物品の売払いその他の契約でその性質・・・」のその他というのは、2号規定の枠の中の同類の事由であって、1号規定の不動産の売買など他の号に規定されている事由にまで飛翔拡大されえない。
仮にそのような解釈が許されるなら施行令167条2の随意契約を限局する規定はほとんど無意味となり、上掲最高裁の東鳥取町の土地売却や本件だけでなくどんな契約でも地方自治体の首長の判断で自由に随意契約が可能となる。その判断が合理的であるかどうかは何の規定もないから、あらゆる随意契約事案で裁判所の判断を仰がなくてはならず、結局野放しになるであろう。
62年5月19日の最高裁第三小法廷の判例(東鳥取町事件)でも本件の場合でも明らかに1号規定の「物件の売買」の範疇に入るが、それには契約価格の制限(上限130万円程度)があり、本件の場合も、制限価格を遥かに超過し、随意契約はできない。
(なお、昭和62年5月19日の前掲最高裁判決は、東鳥取町の公有地売却の行為が地方自治法施行令167条2第1項の各号いずれにも該当せず違反であるとしたが、その売買契約は無効にはならないとした。しかしこの判断は、地方自治法第2条第16項の規定(法令違反の事務処理は無効)を無視したものであり、誤判であると考えられる。法令で無効と定められたものは裁判官の判断を待つまでもなく絶対的に無効である。)
五、私企業のための公共事業
1、原判決は、地方自治体が、特定一私企業のために公共事業を遂行することができるかという問題については、以下のように言う。
「原告らが本件住民訴訟の対象としている財務会計行為は、本件売買契約の締結行為であるから、室戸市が羽根町土地を取得し、これを造成したことに公金が支出されたことが違法であるかは判断の対象外である。」として判断を回避した。
しかし、本件請求の住民訴訟及び元の住民監査請求は、売買契約の金額が不当に過小であることを直接問題にしているだけではなく、用地整備費と売却収入との著しい「差損」について措置するよう請求しているものである。その差額について被控訴人は契約担当である小松幹侍に対してその「差損」について賠償請求をすることを求めているものである。
したがって、本件工業用地の整備事業及びそれにかかる費用の支出についても妥当なものかどうか判断が下されなければ事案を判断できない。
室戸市は既述の通り本件工業用地整備事業を行う前に2地区でかなり大きな工業用地整備事業を遂行してきたが、それは室戸市の行政機関が直接遂行したのではない。
乙25号証、同26号証に見る通り室戸市土地開発公社という団体が整備事業をやり、その結果物を市が購入するという手法を取ってきた。室戸市の業務は購入した用地を販売するということだけであった。だが、本件では直接室戸市が私企業のために開発事業を遂行した。そういうことが許される法的根拠は何なのかについて裁判所は判断をする義務があると考える。

原判決は、「本件土地は、富士鍛工の工場の移転先として開発されたものであるから、公用又は公共用に供する財産であるということはできず・・・」(原判決16頁)とあからさまに公共目的性を否定しているのである。
2、そもそも、憲法92条や地方自治法第1条でいう「地方自治の本旨」というものが具体的に何を指すかは明瞭ではないが、通説では、地方自治は、団体事務と住民自治(住
民参加)があり、それぞれ法令や規則に基づき公共の事務を扱うということである。
住民自治の場合はともかく普通地方公共団体自身の担任事務が公共目的であることはいうまでもない。

もちろん国や地方公共団体が、地域振興などの名目で個人や民間企業に補助金等の公金を交付したり、貸し付けたりすることも可能であり今日こういった交付金が数多く存在する。
しかし、これらは、すべて制度として公開され、一定の要件を満たす場合誰でも応募し申請をすることができ、民主的手続きを経て交付決定がなされる。
室戸市にも補助金交付規則があり、又企業誘致推進条例が存在している。
監査請求の段階や第1審当初において被控訴人は、本件事業は、室戸市企業誘致推進条例第3条に基づいて遂行していると主張した。(甲第2号証監査結果通知、原審答弁書)
法令・規則があればこれに従わねばならないし、不備であれば改正し、なければ新たに制定しなければならない。被控訴人は、室戸市に該当する趣旨の企業への支援の条例がある以上これに従わねばならない。このような既存の法令・規則を無視して首長の自由裁量で無制限に公金を民間企業に支出することは、許されていない。

被控訴人は第1審答弁書で、監査委員の報告書のなかで室戸市の執行部が本件事業の用地確保の協力として室戸市企業誘致推進条例第3条に基づき行ったという認定を認め、自らも同条例3条について「室戸市が工業用地となる土地を買収し、それを造成した上で誘致企業に売却する手法によることも、用地等の確保の協力に含まれる。」と主張し本件工業用地整備事業が企業誘致推進条例に基づくものであると主張した。

もしこのようであれば、たとえ私企業であっても公共の資金を利用することは許されるということになるが、しかし、被控訴人は控訴人らの反論に会い、適当な反論ができないままその後この条例のことは何も語らなかった。控訴人らの批判というのは、この企業誘致推進条例を根拠にして本件事業が行われたとしたら、この条例を実行する上で施行規則で定められた諸手続き(申請書や付属書類の提出など)があるはずであるが、それが何もなされず証拠の書類も皆無であることの指摘があって実際にはこの条例を適用していなかったことが暴露したのである。被控訴人の企業誘致推進条例第3条に依拠したという主張は
ひっこめたのであれば、それでは本件整備事業はいかなる法令に基づいてなされたのか、公共性を帯びる何の痕跡があるのか原判決は何も指摘していない。

特定企業からの固定資産税、雇用などを確保するためだ、といってもそのようなことが公金支出の理由になるわけではない。どのような事業でも地元の企業や個人の税金や雇用確保だといいうるからであり、そんな口実が通用するならいかなる法令・規則もいらないことになる。

それでは、普通財産だから、誰にでも首長が自由に処分できるといっても、わがまま勝手は許されないのであって、契約についての法令、処分遂行上の公正な手続き等の法令は遵守されなくてはならない。はじめから他の企業や個人の参加を一切遮断して特定企業に迎合する事業を設定し実行することが許されるはずはない。

六、室戸市企業誘致(推進)条例違反について

原判決は、誘致条例(正規には室戸市企業誘致推進条例)違反について次のように言う。
誘致条例に定められている手続きは、誘致条例第4条による指定を受けた誘致企業に対し、同条例6条1項所定の奨励金を交付するためのものであって、不動産の売却に適用されるものではないため、本件行為が誘致条例に違反したということはできない。
控訴人らは何も勝手に本件整備事業が企業誘致推進条例に違反しているといっているのではない。被控訴人及び被控訴人監査委員が、本件整備事業は室戸市の企業誘致推進条例第3条に基づく事業だと主張したので、控訴人らが原審控訴人準備書面(1)などで、誘致企業指定など手続上同条例に違反しているではないかという指摘をしたのであった。
その結果、同条例施行規則に定められた手続きは何もしていず何の証拠書類もなかったことが判明したのである。
被控訴人らは、監査結果通知書や一審答弁書で同条例に基づくと主張しそれを撤回しなかったのであるから、原判決が、それに適合していないという判断をしたのであれば、それは控訴人らの主張に対してではなく、(むしろ控訴人の主張を肯認するものであるから)本件事業そのものについて違法性ありとの判断でなければならない。企業支援の条例にも適合せず、補助金交付規則も採用しないとすれば、他に私企業への資金援助の制度はない。本件事業を可能とする公の制度や規則が何もない以上は、本件事業遂行は違法性を帯びることは明らかである。

被控訴人原審準備書面(3)10頁で
地方公共団体としては、室戸市企業誘致推進条例のような条例が存在しない場合であっても、行政としての目的を達成するために必要と判断される場合には、「事業所立地に係る協力」を行うものであり、それによって法令違反の問題が生ずることはない。という。
これは、まるでトランプ大統領の様な主張であるが、首長や議員が特定企業のために必要と思えば億単位の公金を何のルールも決めずにいくらでも使えるという利権政治宣言の様なものであって、民主主義的な、又法治主義的な地方自治の本旨からはるかに遠い。

結語

地方自治法第2条第15項は、「地方自治体は法令に違反してその事務を処理してはならない。」と規定し、同条第16項では、「前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為は、これを無効とする。」と明記している。原判決は本件における被控訴人の行為の違法性についてまともに判断せず、物件の評価法を誤り、法令の曲解、見当違いの判断までして被控訴人の責任を免除した。法令や常識に基づく正当な判断を求めるものである。

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2016年7月 5日 (火)

丸山長寿園控訴理由書

News & Letters/495

   控訴理由書

平成28年(行コ)第25号  
                   平成28年7月1日

高松高等裁判所殿

                 高知県安芸郡東洋町河内405番地1
                       控訴人 澤山保太郎
                 高知県室戸市佐喜浜町1374番地
                        同  楠瀬立子
                 高知県室戸市吉良川町甲4015番地
                        同  田原茂良
                 高知県安芸郡奈半利町乙478番地1

            被控訴人 安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合
                   同代表者組合長 齋藤一孝                    
                 高知県安芸郡奈半利町乙478番地1
               同 安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合 
                                   組合長齋藤一孝 

【控訴理由の要旨】

原判決の本件行政財産の処分についての①事実認定とそれが地方自治法第238条の4第1項に②違反し、本件行政財産の処分、民間団体への施設の無償譲渡は③無効である、との判断、及び当時の組合長であった小松幹侍の組合長としての④過失・注意義務懈怠の責任の認定、①②③④は正当と考える。がしかし、小松幹侍の⑤賠償責任を否定する原判決の結論は、①~④の前提と賠償責任の結論が著しく撞着・齟齬をきたしていて、きわめて不合理であると考える。

本件処分(行政財産の無償譲渡)が違法、無効であり、長としての過失・注意義務違反が認定され、その行為によって、組合が数億円もの本件財産を喪失した以上は、その賠償責任が問われるべきである。
原判決にはそのほかにも法令の解釈に重大な誤りがあり改めて正しい判断を求める。

【控訴理由】

【一】原判決の主たる判断の正当性と欠陥

 1、本件処分の違法・無効性の判断

原判決「第三 当裁判所の判断」の3 争点(2)(無償譲渡処分の違法性)について(16頁)で
「本件契約は、地方自治法第238条の4第1項の規定に違反してされたものであり、同条の4第6項の規定により、無効である。よって、本件契約に基づく本件無償譲渡は、地方自治法に違反した違法な財務会計行為であったというべきである。」
と断定した。本件訴訟の主要な争点について控訴人の主張を認めた。

 行政財産の用途廃止以前に民間団体との間で譲渡契約をし、その契約に基づいて譲渡を実行した。これを地方自治法第238条の4第1項違反だとするのは何人も否定できない。本件譲渡契約及びその実行は地方自治法で制禁されている行政財産に私権を設定する行為であることは明らかであり、原判決はこれを認定しこの行為を無効であるとした。

また、原判決は、17頁中段で、
「被告らは、本件契約をめぐる瑕疵は治癒されていると主張する。地方自治法第238条の4第1項に違反する契約は同条第6項の規定により無効になるところ、無効な行為は、追認によっても、その効力を生じないから(民法119条本文)、事後に本件施設の建物等の用途が廃止され、その後に本件施設の建物等が現実に譲渡されたからといって、本件契約が有効となるものではない。」
と判示し、被控訴人の行為の違法性と無効性を確然と認定した。このゆるぎない認定による本件訴訟の結論はおのずと明らかである。

2、手続きさえすれば行政財産を用途廃止できるのか

ただ、この判断には、控訴人が原審において主張してきた稼働中の行政財産の処分(民間に譲渡)自体の違法性については判断をしていない。本件においては必ずしもそこまで判断する必要性はないが、事件の重大さの認識において、特に賠償責任の判断において相当な影響を及ぼす余地が出てくる。

原判決は、平成26年4月1日に本件施設の用途を廃止したことについては問題がないと考えている様子である。

原判決には、用途を廃止してその後に譲渡契約を結んで稼働中の行政財産でもこれを処分しておれば、何も違法性はなかった、という甘い認識が潜在している。
行政財産の用途は、それを管理している行政機関がこれを管理条例や規則から削除するなどして普通財産に落とし、一定の手続きをすれば自由に処分できるのか、という根本問題については、肯定しているようである。

しかし逆に、もし本件のように収容者が満杯状態の公の施設(行政財産)でも手続きさえすればこれを売却など自由に処分することが許されるのであれば、地方自治法第238条4の第1項の規定は、何の存在意義もないということになるであろう。
直前まで行政財産であっても0.1秒の瞬間も普通財産にしたという実績があれば、民間へ処分できるということになる。本件の場合は平成26年3月31日の23時59分59秒・・・までは行政財産で、翌4月1日の午前0時より民間の所有になった、行政財産を居ながら民有に転化した場合でも地方自治法第238条4第1項の制禁条項の適用は免れられるということになるのか。

後で詳しく見る原判決の最後尾21頁で「小松は、本件契約の締結を、本件施設の建物等が普通財産となる平成26年4月1日以降にすべきところを、早まって、未だ本件施設の建物等が行政財産であった平成25年12月25日にしてしまったものにすぎない。」
・・・にすぎない との判断には、稼働中の行政財産でも手続きさえすれば普通財産と同じように売却でも譲渡でも行政機関がこれを自在にする事ができるという謬見が根底にあるものと考えられる。

3、何の公益目的もなく行政財産の用途を廃止することは許されない

本件の行政財産の譲渡という行為も行政行為である。

①学説によれば、「行政行為は、公益の実現を目的とするものであり、従って、事情の変
遷に即応し、その結果が常に公益に適合することを必要とする。行政行為が一旦適法有効になされた後においても、事情が変遷し、それを存続せしめることが、公益に適合しないことになった場合においては、これを公益に適合せしめるために、原則としてこれを撤回することができ、また必要に応じ、公益に適合する新たな行政行為をなし得るものとしなければならぬ。」(甲第18号証 田中二郎 「行政法総論」)
 公の施設の用途廃止は行政行為の撤回に当たるであろう。その撤回には行政機関の意思だけではなく合理的な理由と公益性が担保されていなければならない。

②また、従来の行政行為を存続させることが後発的な事情の変化や施設などの老朽化など
でかえって公共性を失い公益目的にそぐわなくなった場合、当該行政行為の存続をやめ
る、撤回するということになるが、その場合でも、その撤回行為はあくまでも公益目的
であり、また受益者に対する補償や代替などを配慮しなければならず、為政者が自由勝
手に公の施設を廃止したり、許認可を撤回したりすることは許されていない、とする学
説が支配的である。(甲第19号証 海野敦史「行政法綱領」)

③また、これを公物の管理とみても、その公物の消滅原因が明確でなければこれを消滅させることはできない。
 「公用廃止行為は、公共用物が公物としての機能を失い、当該公物を公共の用に供する必要がなくなった場合、公物としての性質を喪失させる行政行為である。」

 (甲第20号証 原龍之介「公物営造物法」)

 本件の場合、行政財産を民間に譲渡する行為には何の公益性もないし、公物を消滅させる外形上の腐朽性もあり得ない。公共用に稼働中の行政財産を廃止するには、廃止すること自体にそれ相応の公共性、公益性がなければならない。公共施設を丸ごと私権に供するために行政行為(公用廃止)を遂行することは許されるはずがない。

④稼働中の行政財産を廃止するなどという暴挙を可能にする手続についてはもちろん、行政財産の処分についての手続規則はどこの自治体でも持っていない。
唯一つ控訴人が見つけたのは東北の東通村の規則(事務取扱要綱 甲第21号証)があるが、この要綱でも行政財産の処分の要件は、機能喪失または必要性の喪失に限られている。
  本件行政財産を用途廃止することが許される理由は何も存在しない。
 原判決は、フル稼働中の行政財産でも手続きさえすれば譲渡や売却が可能であるのかのような謬見を前提にして結論を下したと考えられる。

 本件では、平成25年12月25日で本件施設が未だ行政財産の段階で、譲渡契約を結ぶという決定的な私権設定の事実があるので、必ずしも行政財産の廃止について如上の認識がなくとも、正しい結論は可能であったが、如上の認識の欠如が、判決文最後尾の賠償責任についての奇怪な結論の伏線になった憾みがある。

二、組合長小松幹侍の責任についての判断

原判決は、20頁上段、「(小松の不法行為責任の有無)」についてで、
「被告組合の組合長である小松が、平成25年12月25日、むろと会との間で、本件契約を締結し、それに基づき平成26年4月1日にむろと会に対して本件施設の建物を譲渡したことは、上記3で説示した通り、違法な財務会計行為であるところ、前記認定事実によれば、小松は、その前提となる事実、すなわち、本件契約当時、本件施設の建物等は未だ被告組合が運営する特別養護老人ホームの用に供されていたとの事実を認識していたものと認められる。

そうである以上、小松は、本件契約が地方自治法第238条の4第1項に違反する違法なものであると認識すべきであり、平成25年12月25日の時点においては、本件契約を締結すべきではなかったといえる。それにもかかわらず、小松は、被告組合の組合長として尽くすべき注意義務を怠り、過失により、本件契約を締結し、平成26年4月1日、本件施設の建物等をむろと会に譲渡したものと認められる。」
と明瞭に小松幹侍の組合長としての責任、注意義務の懈怠、過失を認めた。

小松は、地方自治法の規定を知らなかったというわけにはいかない。知らなかったとしたらそれ自体が重大な過失である。およそ地方自治体の首長の任務は、公金及び公有財産の管理が最重要事項の一つであり、巨額の価値をもつ公有財産を私人や私企業にタダで譲渡するなどということはあり得ない事件であって、本件行為は地方自治法第238条4の第1項が禁じていることであり、この条項のど真ん中のストレートに違反したものである。
その行為が違法・無効であり、それを執行した首長の過失を認定したのであるから、判決の結論は、一直線に首長の賠償責任に帰着するはずである。

三、賠償責任の回避

1、如上の通り原判決は、小松幹侍組合長の不法行為とその有責を認定したが、判決文最後でわけのわからない理由を述べて、本件組合に損害が発生していないということでその賠償責任を否定した。すなわち、原判決は20頁後半部で、「もっとも、前期認定事実によれば・・・・」の文言のもとに、にわかに論調を変え、小松幹侍組合長の本件無償譲渡の経過をそのまま認め「小松は、本件契約の締結を、本件施設の建物等が普通財産となる平成26年4月1日以降にすべきところを、早まって、未だ本件施設の建物等が行政財産であった平成25年12月25日してしまったものにすぎない。」

(下線控訴人)という風に一個の判決文でありながら別人が書いたかのようにその不法行為、その瑕疵の過小評価に転じた。小松組合長らは、順序を間違えた、早まったに過ぎず、結果は同じだから問題にならないというような口吻を弄しだしたのである。
そうして原判決は次のようにいう。

「そうすると、①小松が注意義務を果たしたとしても、②平成26年4月1日には、本件施設の建物等の用途が廃止され、被告組合はむろと会に対して譲渡されていたといえるから、③小松が平成25年12月25日に本件契約を締結し、これに基づき、平成26年4月1日、本件施設の建物等がむろと会に譲渡したということをもって、④被告組合に賠償されるべき損害が発生したということはできない。したがって、小松が不法行為に基づく損害賠償責任を負うとは言えない。」(①②③④は控訴人  原判決21頁)
この判旨はきわめて難しいが読み解くと次のようになろうか。

①小松が注意義務を果たし、12月25日に契約を締結せず、4月1日に用途廃止をし
たうえで契約を締結し、そうしてむろと会に本件施設を譲渡するという正規の手続きをとったと仮定した場合、②小松はそうすることも可能であった(早まってそうしなかっただけだ)し、いずれにしても用途は廃止され無償譲渡が実行されたといえるから、
③契約と譲渡の順序を逆にしただけをもって④損害が発生した、賠償責任を負うとは言えない、ということであろう。

要するに事後に追認されたから問題がないというのである。

2、しかし第一に、小松が「注意義務を果たしたとしても・・・」という事実に反する仮定の話をもって、判決文の流れを逆転させ、その中核部分を書くことが許されるであろうか。本件の事実の経過は、行政財産についてこれを私法上の譲渡契約の対象とし(私権を設定)、その契約の履行として「用途廃止」・譲渡を遂行したのである。そのことは原判決(15頁中段に「本件無償譲渡は、被告組合とむろと会とが対等な立場で締結した私法上の契約を履行したもの・・・」)にあるとおりであって、これは被控訴人の主張でもあった。
原判決は自らが認定した不可逆の事実を、想定でもって逆転させ、その倒錯した事実に基づいて判断をしたものであって到底受け入れられない。

3、また既述の通り、第二に、この判断は、前掲原判決17頁中段の次の文章と根本的に対立する。
「被告らは、本件契約をめぐる瑕疵は治癒されていると主張する。地方自治法238条の4第1項に違反する契約は同条第6項の規定により無効になるところ、無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない(民法119条本文)、事後に本件施設の建物等の用途が廃止され、その後に本件施設の建物等が現実に譲渡されたからといって、本件契約が有効になるものではない。」(原判決17頁中段)

追認によっても無効な行為を有効にはできない。これは事実に基づく当然の法的判断であり、何人も覆すことはできない。
理由も説明せず同一の争点について自らの判断を真っ向から否定し正反対の判断をするというのは、判決文において人格の分裂的事態を来しており、この事態は何人にも容易にわかることであるから、何か、どうしても裁判の他方に賠償責任を負わすわけにはいかないなど訴訟外の事情を考慮したとしか考えられない。

【二】そのほかの争点と原判決の誤り

一、条例改正行為の行政処分性について

原判決は、14頁~15頁で本件処分の取り消し請求については、これを認めないと判断した。その理由として
「本件無償譲渡は、被告組合とむろと会とが対等な立場で締結した私法上の契約を履行したものにすぎず、公権力の行使としてされたものでないから、行政処分にはあたらない。」といって本件処分の取り消し請求を不適法として却下した。

しかし、原判決は、14頁下段で平成26年4月1日に「本件設置管理条例を改正し、・・・本件施設の建物等の用途は、同日をもって廃止されたものということができる。」と認定した。そうすると、横浜市保育園廃止処分取消請求事件(平成21年行ヒ75)平成21年11月26日第一小法廷の最高裁判例では、用途廃止の条例の「制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視し得るものということができる。」とされているから、原判決はこの最高裁判例に反するものということになる。

いうまでもなく、住民訴訟は財務会計上の行為や怠る事実の違法を対象とするだけでなく、行政事件訴訟法第43条の適用を受けて、行政処分の取消し請求も可能である。
控訴人は、本件条例(正式には組合規約)改正で丸山長寿園が組合の事務対象施設から削除されたという事実を最高裁判例に基づき行政処分性があると主張するものである。

二、地方自治法第238条の3違反について

 原判決は、17頁~18頁で本件無償譲渡先のむろと会の役員が本件組合の職員ではないとして、地方自治法に違反しないという。しかし、原判決も「むろと会は本件施設で勤務する職員による組合である本件職員組合が中心となって設立された団体であると認められる・・・」とか、「むろと会が本件職員組合が中心となって設立されたという経緯があった・・・」という事実は認めている。

 特定の公の施設を管理運営する職員達が設立したその団体に、その施設を委譲した事実を認めるならば、また、被控訴人も一貫してその事実を主張してきたのであるから、その団体の理事会の役員を職員以外の者に就任させていたとしても、実質的にはその職員が本件施設の委譲を受けたものと判断される。部外者を役員に付けたのは、地方自治法に制禁の法律があることを知り、それの脱法目的であることは明白である。
脱法目的で据えた役員が職員ではないことは当然であり、これを理由に挙げて適法だとするのは、余りにも不当であろう。むろと会の役員達は職員組合の謂わば代理人であり同体であるから、実質的に地方自治法第238条の3に違反していると判断されるべきである。

三、随意契約の方式違反について

 原判決は、18頁~19頁において、本件譲渡契約が随意契約で行われたことは問題がないという。
「本件契約は、価格の高低のみを比較することによって本件施設の運営主体を選定することができるような性質のものではなく、競争入札による方法が適するものでないから地方自治法施行令第167条の2第2号にいう「その他の性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当するというのである。

しかし、この該施行令の規定する内容は建造物、あるいは施設の譲渡契約を含むとは到底思えないもので、物品の製造や売り払い等の契約の規定である。甲第16号証を見ても「性質又は目的が競争入札に適しないもの」の範疇に本件施設の無償譲渡が入るとは考えられない。すなわち、地方自治法施行令第167条2第2号の規定は、

①不動産の買い入れ又は借入れ、
②普通地方公共団体が必要とする物品の製造、修繕、加工、または
③納入に使用させるため必要な物品の売り払い、その他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。 
(①②③は控訴人)
という文言で構成されている。不動産については買入れと借入れだけであり土地や建造物の売却や譲渡などがこの規定に入っているとは解釈できない。下線部の「その他の契約でその性質又は目的が・・・」のその他というのも文理上、①、②、③、特に③に関連するもので、それら以外のどんな契約にも広く適用されるというものではないと考えるべきである。むしろ、その性質から云えば公有財産の譲渡や売却は基本的に随意契約は許されるべきではなく、公開の入札に付する義務のあるものと考えるべきである。

拡大解釈するにしても甲第16号証の滋賀県の事例程度のものにすぎない。
随意契約で土地や建物の売却などは同地方自治法施行令167条2の1号規定(売買、貸借、請負その他の契約)に入るものであり、その場合金額上の厳しい制限が加えられていて、本件では金額上論外となる。不動産(公有財産)の売却や譲渡は、少額のものは別として、むしろその性質上、随意契約は許されていないと理解すべきである。

本件施設の場合はタダだから「価格の高低」ははじめから問題外で、低所得者をも収容する良好な経営者を選定するだけであるから、要件を定めたうえ、経験あり能力がある人材や企業を広く公募していわゆるプロポーザル方式などを取り入れた選定を遂行するべきであり、そうすることには何ら差し障りはない。

黒字経営で、億単位の公有財産が無償譲渡される好条件では、経営応募者は全国から殺到したと考えられる。

該施行令167条2第1項2号の物品や不動産などの契約の場合と同じレベルで選定するということの方が異常であり不適当であろう。本件の場合こそ、その性質や目的が競争入札に最適なのである。

そもそも、本件では、競争入札とか随意契約とかいう正規の手続きの選択どころではないのであり、はじめからむろと会に無償譲渡することが決められていた。むろと会は企業としては福祉事業の経営実績が皆無であり、事務所も持っていない幽霊団体であった。
平成25年8月1日付の福祉法人むろと会の設立認可申請書では、むろと会の事務所は高知県室戸市室戸岬町1675番地、すなわち丸山長寿園となっていた。民間団体が勝手に公の施設をその事務所としていたのである。

原判決は、随意契約の相手としては最もふさわしくない団体を選定した被控訴人の行為を是認したのである。

四、室戸市契約規則及び室戸市財産交換条例等の違反について

1、地方自治法第292条の解釈

 原審で控訴人は、仮に本件施設を普通財産として本件無償譲渡をしたとしても、適法な手続きを履践していない、すなわち室戸市の条例の規定では普通財産の無償譲渡は許されていない、という批判をし、その根拠として地方自治法第292条の規定を挙げた。このことについて、原判決は、19頁中段で地方自治法の適用を否定した。
地方自治法第292条は、一部事務組合など地方公共団体の作る事務組合について、組合が簡単な条例又は規則(規約)以外に普通地方公共団体のように条例規則を整備していない場合がほとんどである実状を踏まえ、これを補完する手立てを講じたものであり、構成団体の条例・規則を準用して使うことを認めたものである。

地方自治法第283条でも、事務組合の名称とか構成団体、事業の対象、組織などごく基本的な事柄を規約として定めることを義務付けているだけである。
したがって、本件組合も簡単な規約以外に、支出負担行為の決裁、公金支出、財産管理など日常の事務を遂行する上の条例・規則をもっていない。故に地方自治法第292条の規定に従って当然構成団体の主な市町村のそれらを準用しないでは、業務を遂行できないし、本件組合も暗黙のうちにそうしてきたはずであった。

しかるに原判決は被控訴人の原審での主張をうのみにし、地方自治法第292条の文章を誤解し、その順守を否定した。この条文の正しい解釈は本件訴訟にも重大であり、今後全国の事務組合の運営上重要であるので、ここにその条文を検討する。

地方自治法第292条

地方公共団体の組合については、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、都道府県の加入するものにあっては都道府県に関する規程、市及び特別区の 
 加入するもので都道府県の加入しないものにあっては市に関する規定、その他のものにあっては町村に関する規定を準用する。(下線部控訴人)

ここで問題なのは、前段下線部の「法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか」の意味であるが、これは明らかに国の法律や政令に存在する事務組合についての規定については、言うまでもなく順守しなければならないからこれは除外し、これら法令の規定のほかの、都道府県や市町村に関する規定(すなわち条例や規則など)を準用せよ、という趣旨であることは明瞭なのである。地方自治法の解説書ではこの法律で除外される法令とは、地方自治法、同施行令での事務組合についての規定をはじめ、公選法第267条、地方税法第1条第4項、地方公務員法第7条第3項・・・などとされている。

ところが原判決は、「同条の文言上、同条にいう「規定」とは、「法律又はこれに基づく政令の規定」を意味するものと解するのが自然である・・・・」というのである。
準用すべき都道府県や市町村に関する規定とは、遵守するのは当然のことだからこの292条の法律の準用を定める規定から除外するとされた、その国の法令のことであるというのである。除外すると明記されたものを準用せよというのは土台無理な話である。それでは諸々の法律や政令で規定されたものを除いて、そのほかに、法律や政令で都道府県や市町村についての規定とはどんなものがあるというのであろうか。

地方自治法の事務組合についての他の条項で例えば252条の12、同条16、同条17の第4項、同条17の3の第1項などでは、市町村の条例・規則が法令として準用が定められている。たとえば、地方自治法第252条の17の1第4項では
「第2項に規定するもののほか、第一項の規定に基づき派遣された職員の身分取扱いに関しては、当該職員の派遣した普通地方公共団体の職員に関する法令の規定の適用がある者とする。・・・」

「普通地方公共団体の職員に関する法令」とは一般職員等の給与支給条例のことであり、このように地方自治法の事務組合についての法令では、都道府県や市町村の条例や規則も法令として又は法令に並列して準用が定められているのである。
地方自治法292条は事務組合について包括的に法律や政令以外の法令(都道府県・市町村の条例・規則)の準用を指示したものであることは明白である。

2、普通財産としてもその無償譲渡は許されていない

原判決や被控訴人がこの地方自治法第292条をここまで曲解するのは、それの正しい解釈が、本件無償譲渡の違法性に直結する問題を内包しているからである。
 すなわち、本件無償譲渡は行政財産に私権を設定しこれを直接処分したということで地方自治法第238条4の第1項に真っ向から違反したのであるが、仮に百歩譲ってこれが普通財産に適法に転化されて処分されたという主張に話を替えるとしても、それでは普通財産として実際に適法な手続きをして処分をしたかどうかが問題となる。
そこで問題となるのが地方自治法第292条に基づき「室戸市有財産交換等条例3条」の規定に本件無償譲渡は違反している、という控訴人の主張であり、被控訴人らは、これについてまともに答えられない。

 準用されるべき「室戸市有財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例」第3条において、行政財産はもとより普通財産でも、民間団体に譲与することも無償で貸し付けることも許されていない。それが許されるのは相手が市町村など公共団体か、農協などの公共的団体に限定されていて、公益法人でも一般企業には許されていない。
したがって、本件無償譲渡処分は、行政財産である場合はもとより、仮にこれを普通財産としても、法令違反となっている。

 被控訴人が地方自治法292条の準用規定を曲解しこれをかたくなに拒むのは、ここで被控訴人が決定的な破綻をきたすからである。すなわち、本件施設を用途廃止し普通財産に転化して譲渡したから適法である、という主張が根底から崩れるからである。
 地方自治法292条は本件組合の財務会計行為について構成団体(市町村の場合は市 本件組合では市は室戸市と安芸市)の条例・規則の適用を義務付けており、「室戸市有財産の交換、譲与、無償貸付けに関する条例」第3条(「安芸市財産条例」第3条も同様)の規定に逸脱する行為は違法である。

【三】結論

原判決は、地方自治法第238条4の第1項の規定に基づき本件無償譲渡を違法であり、同条第6項の規定で無効であると判示し、組合長小松の注意義務懈怠、過失を認定した。
そして、財産について違法・無効な行為によって組合がその所属する丸山長寿園の施設の全てを失ったのであり、巨額の損失を被ったことは明らかである。
本件施設の無償譲渡は、これが行政財産であればもとより、たとえこれが普通財産であっても、法的に許されない。

違法・無効・有責の認定に反して、本件無償譲渡によって損害は発生していないから、賠償責任も存在しないとした原判決の結論は、著しい理由不備又は理由齟齬をきたしている。
また、地方自治法第292条の曲解、地方自治法施行令167条の2第2号規定の法外な拡大解釈など法令解釈の明らかな間違いがあり、これら法令を正しく解釈すれば、本件無償譲渡の行為が救い難いほどに深刻な違法行為の重畳であって、その賠償などの責任が厳しく問われる必要があることは明らかである。

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2016年5月29日 (日)

安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合への措置請求

News & Letters/491

        措置請求書

安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合殿
                       平成28年5月27日
                       澤山保太郎
                       田原茂良
                       楠瀬立子

丸山長寿園無償譲渡の違法・無効判決について

          記

1、平成28年5月17日、高知地方裁判所民事部は、平成26年4月1日に民間団体むろと会に貴組合(当時組合長小松幹侍室戸市長)に所属していた丸山長寿園の無償譲渡の行為について地方自治法第238条の4第1項の規定に違反し、この無償譲渡を無効であると断罪した。

そして、その無法行為の原因として、当時の組合長小松幹侍の「尽くすべき注意義務を怠り、過失」によるものであると断定した。判決では、行政処分性はないとして取り消し請求の訴えを否定し、賠償責任も否認したが、貴組合がした無償譲渡の行為については明確に違法・無効であることを言明し、さらにその「無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない」と断定された。

行政側に傾く住民訴訟では極めて異例な判断である。たとえこの訴訟が上級審にかかって、賠償責任などが争われるとしてもこの違法・無効の判断がゆるぐことはありえない。
2、したがって、私たち原告は、この判決の趣旨に基づいて貴団体が、組合を構成する芸西村から東洋町に至る全市町村民に謝罪をしたうえ、以下の措置を取ることを要求する。

①むろと会から丸山長寿園の経営を取り戻すこと、
②平成26年4月1日以降の経営上の利益を全額回収すること、
③また、むろと会役員などに支払った報酬などは不当であり、全額回収すべきこと

 その他丸山長寿園が貴組合に所属するものとしての必要な措置を直ちに講ずることを求めるものである。

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2016年5月21日 (土)

続 丸山長寿園判決

News & Letters/489

       厳しい断罪

5月17日の公立の特養老人ホーム丸山長寿園の民間譲渡について、高知地方裁判所の判決文は、いわば、事実の認定は違法行為であるが、どうしても行政側を負けさせるわけにはいかないのでこんな判決文になってしまった、控訴審で何とかしてくれ、という依頼状のようなものである。

以下の判決文を見てください。その違法性判断はこれまで私が経験した無数の住民訴訟の中で首長に対して最高度に厳しい内容である。

判決文20頁

「被告組合の組合長である小松が、平成25年12月25日、むろと会との間で、本件契約を締結し、それに基づき平成26年4月1日にむろと会に対して本件施設の建物等を譲渡したことは、上記3で説示したとおり、違法な財務会計行為であるところ、前記認定事実によれば、小松は、その前提となる事実、すなわち、本件契約当時、本件施設の建物等は未だ被告組合が運営する特別養護老人ホームの用に供されていたとの事実を認識していたものと認められる。

そうである以上、小松は、本件契約が地方自治法238条の4第1項に違反する違法なものであると認識すべきであり、平成25年12月25日の時点においては、本件契約を締結すべきではなかったといえる。それにもかかわらず、小松は、被告組合の組合長として尽くすべき注意義務を怠り、過失により、本件契約を締結し、平成26年4月1日、本件施設の建物等をむろと会に譲渡したものと認められる。」

尽くすべき注意義務を怠り、過失により・・・・という。通常は、裁判所が違反行為があったと認めても、その違反については知らなかったとか、認識できなかったから、責任は宥免するという事にしてきた。

しかし、この判決文は、小松幹侍は違法性を認識することができた、と追及し、その責務の懈怠をも指摘したのである。
裁判所は行政責任を宥免する口実を自ら絶ったのである。
東京都知事は別格としても、最近これだけの断罪を受けた首長はめったにいないだろう。
無償譲渡した施設の価値は数億円にのぼるものであり、譲渡先の団体の長は、小松幹侍室戸市長の係累である。

これだけの判決を受けた場合、行政マン失格であり、通常なら、辞職しなければなるまい。
また、これだけの断罪であれば、裁判所は、何らかの償いを違反者に求めるのが道理であろう。

それができないんや、という悲鳴が聞こえる。

私は、日本社会の低迷、特に地方の衰微の大きな理由は、市町村首長が利権行政に流れ、真剣に地域の活性化、そのための行財政改革にいそしむという姿勢が欠如しているからであると考える。そのような堕落した行政を野放しにするような裁判は地方の衰滅を一層促進し、同時に司法の墜落をもたらすものである、と考える。
三権分立というが、分立はいいとしても、法の支配の立憲主義の建前から、司法は他の二権よりも上位に立たねばならないと考える。

日本の現状では、司法は最下位に置かれ、裁判官自身が議会や行政におもね、自ら卑屈になっているように見える。
その典型的な一例が本件判決であろう。これも控訴せざるを得ない。

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2015年7月23日 (木)

住民訴訟は続く

News & Letters/423

訴   状
             高知県安芸郡東洋町大字河内1081番地1         
           原告 澤山 保太郎
          高知県安芸郡東洋町大字生見758番地3      
                被告 東洋町長 松延 宏幸
  損害賠償請求事件 
 訴訟物の価額 160万円
貼用印紙額  1万3000円

   【請求の趣旨】

1,被告は、町長松延宏幸が5586万1453円の支払いを求める請求をせよ。
2、訴訟費用は被告が負担する。
との判決を求める。

【第1、当事者】

1、原告は、東洋町の住民であって、本件について平成27年5月8日東洋町監査委員に住民監査請求をし、同年5月19日にその請求を棄却する通知を受けこれが不服であるので住民訴訟を起こしたものである。

2.被告東洋町長松延は、平成23年4月以降東洋町の町長の職にあるもので、本件土地 
購入について議会に提案し、売買契約を結び公金の支出命令をしたものである。
   
 【第2 請求の原因】

一、
1、平成25年7月9日に支出したヘリポート及び防災資機材倉庫用地代金2068万8433円(東洋町大字河内字大野部1436番14所在 48961㎡の雑種地代金)については、ヘリポートを建設せず、またその計画もなく不要かつ不正な支出であることが判明した。被告は不要な土地についての売買契約を撤回して代金相当額の公金を地主から不当利得として回収するか、松延宏幸からそれを弁済させる必要がある。
 (この土地をA土地と呼ぶ)

2、また、その隣接地の山地(東洋町大字河内字大野部1436番1所在 160564㎡約16町の山林)購入費3630万6302円についてはその1部約5000平米(約5反)ほどの平地にヘリポートや防災用倉庫が建設されているが、それ以外に公共施設に使用し得ない山地が約15町5反あり、この分の購入も不正であり、現在ヘリポートや防災倉庫が建てられている土地を除いた部分(ヘリポートの土地とは隔絶している山地)についての購入は不要・不正であるので売買契約を撤回し代金相当額の公金を不当利益として地主から回収するか、又は松延宏幸が町に弁済するべきである。(この土地をB土地と呼ぶ)

3、本件土地に係る購入の行為は地方自治法第2条第14項(最小の経費・最大の効果)の規定に違反し、また、地方財政法第4条(「地方公共団体の経費は、その目的を達成させるための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。」)に違反する。
二、
A土地の売買契約は平成25年4月8日、B土地のそれは同年6月5日にそれぞれ締結され同年7月9日に共に代金の支払いがなされた。

1、A土地48961平米(約5町)には、ヘリポートも倉庫も作られていない。 
 町議会の議案書の「提案理由」では、「この土地につきましても、南海トラフ巨大地震による津波に備えて、本年度に防災拠点施設整備事業によるヘリポートの設置や、防災資機材等備蓄施設等を建設するために、用地を取得するものであります。」と議会の提案理由書で説明されたが、25年度中には何も建設されず、26年度中も何も建設されず、27年度の当初予算書にも何も予算措置がない。その土地の一部は高知県がコンクリートの消波ブロックの製品置き場に使用して現在にいたっている。要するに松延町長は、虚偽の理由を議会(町民)に提示して不要な土地を購入したということになる。しかも購入価格は1町につき400万円という法外な値段であった。
 今日雑木林の山はほとんどタダ同然であり、せいぜい1町10万円程度である。
 仮に21町歩の雑木林またははげ山を買ったとしても数十万円から数百万円程度である。
 A土地には平たい雑種地が5反があるが他は雑木林の山地にすぎない。

2、B土地160564平米(約16町歩 代金3630万6032円)のうち約5000平米(約5反)は平地であり、そこには確かにヘリポートと防災備蓄倉庫が建てられた。
しかし自余の約15町5反は雑木の生える山地であり、町がそこにヘリポートなど何らかの防災施設が作られる予定地ではなく、町にとっては何の価値もないものである。
雑木は有用であるとしても切り出してもコストのことを考えると全く採算が合わない。

3、東洋町の野根と生見との間にある南山には町有地が26町歩もありそこにはヘリポートや倉庫を建てるに適した平地が数町歩開かれていて、旧国道も通っている。
 この南山の町有の平地の存在を知っていながら敢えてA土地B土地を買ったのは極めて不当である。最適地があるのにわざわざ新たに購入することは財政的にも無駄である。
4、本年4月町役場で野根漁業組合と町執行部及び議員との間で町政について公開討論会がなされた際、松延町長は、無駄な本件山地の購入について初めて町民に説明し、ヘリポート及びその付帯施設の新たな建設の予定がなく、津波災害の際の仮設住宅用地であるなどと説明したが、東洋町にはそのような計画も存在しない。
A、B土地購入には地主に不当な利益を与えるか何か他の不可解な目的があったと考えられる。

三、
1、以上の通り町長はA土地、B土地の大半の購入については完全に町民を騙して購入した。議会においても誰ひとり本件土地の購入について質疑をするものもなく全員「異議なし」で議決をした。本件監査請求は、土地購入時から1年を過ぎているが上記のような事情のもとでは余儀なきことであり、期間を超えたことについては地方自治法第242条1第2項において但し書きのある「正当な理由」に該当するものである。それは、
(1)誰も入らない山地であることをいいことにして町長が土地購入について町民や議員を騙し、真実の目的が秘匿されていた。
(2)、今以上に本件土地上に新たなヘリポートやそれに付随する施設の建設計画がないということを町民が知ったのは本年3月31日の町長と野根漁協との公開での話し合いの場以降であること。その話し合いの場でも松延宏幸は購入した本件土地について「ほとんど造成済み」であると虚偽の説明をしている。本件土地について審議した町議会で議員にもそのように信じ込ませた可能性がある。
(3)また、地方自治法第242条1項2号では、「前項による請求は、当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、これをすることができない。」と規定されている。特定目的で用地を購入した場合、何年間かはその使途の実行を見なくてはならないが、少なくとも購入後1年間はその使途に合った利用をするか、利用計画をたてるなどをする可能性があり、見極める必要がある。見極める期間の最終日を当該行為の終わった日とすればその間は監査請求はできない。従って本件土地購入(平成25年7月9日)から早くとも1年を待って、その時点(平成26年7月9日)から1年以内が監査請求期間であると考えられる。ヘリポートが1か所であっても付随の備蓄倉庫はいくらでも建設できる。

   【立証方法】
一、甲第1号証  監査請求書
二、甲第2号証  監査通知
三、甲第3号証  議案書
四、甲第4号証  売買契約書
五、甲第5号証  支出命令書
六、甲第6号証の1  図面(切図)
  甲第6号証の2  図面(ヘリポート設計図)
七、甲第7号証  航空写真
八、甲第8号証  録音記録

【添付書類】
一、訴状副本 1通
二、甲号各証 各1通
                       平成27年5月28日
               高知県安芸郡東洋町大字河内1081番地1
                       原告 澤山保太郎        
高知地方裁判所 殿

訴 状
               
                    高知県室戸市佐喜浜町1374番地2
                     原告 楠瀬立子
                    高知県室戸市吉良川町甲4015番地
                     原告 田原茂良
                    高知県室戸市吉良川町乙5269番地20
                     原告 前田国穂
                 高知県室戸市浮津25番地1
                      被告 室戸市長小松幹侍

損害賠償請求事件
訴訟額  160万円
貼用印紙額  Ⅰ万3000円

【請求の趣旨】

一、被告は、小松幹侍に対し、1億7304万1248円を室戸市に支払うよう請求 
せよ
二、訴訟費用は、被告の負担とする 
     との判決を求める。

【請求の原因】

一、原告らは、室戸市在住の室戸市民であり、本件請求に係る住民監査請求(甲第1号証)を平成27年1月28日に室戸市監査委員会に提出したところ、同年3月23日にその請求が棄却されたものである。

二、被告は平成24年5月ごろから、室戸市吉良川町で操業していた富士鍛工㈱の工場用地として「羽根小規模工業用地」の整備を計画し、平成25年度にその下準備を終え、平成26年3月20日にその整備工事が完成するまでに富士鍛工㈱と整備地の売買契約をし、平成26年3月26日に所有権移転登記を完了させた。

三、室戸市監査委員会の監査報告書(甲第2号証)によれば整備費総額は4億3708万3453円であるが、原告が確認した額は4億3534万4248円であり、内訳は、
 土地代金6403万6403円、用地整備工事費3億6858万8450円、物品購入費251万9895円、地質調査・測量費が19万9500円である。
富士鍛工㈱が室戸市に支払った土地代金は2億1230万3000円である。
その差額2億2304万1248円については、何も説明がないが、理由なく富士鍛工㈱にプレゼントしたものと考えられ、この差額分が被告の損害額と考えられる。そのうち高知県の補助金5000万円は被告の損害ではないので差し引き、上掲請求額となる。

四、室戸市監査委員会の上掲監査報告書は、被告の請求人に対するいわば弁明書のような役割を果たしていて滑稽でもあるが、用地整備費と土地代金の差額のプレゼントについてそれを可とする何らの法的根拠は示していない。
 ただ富士鍛工㈱が多額の税金を払っていることなど「本市における将来的な利益」をあげつらっているだけである。そんなことであれば、室戸市内の他の企業にもそれ相当の経済的優遇を与える必要があろう。

五、室戸市監査委員会の監査報告書では、「室戸市企業誘致推進条例」第3条に基づいて用地確保の協力を行った、ということであるが、開示された資料では、企業が用地を確保することについて協力したのではなく、被告が室戸市羽根町の地主から土地を買収して自らの工業用地を確保し、それを造成して市有の工業用地(行政財産)を作ったうえ、特定企業に売却したのである。すなわち条例では土地を確保する主体は企業であって被告室戸市ではないから被告条例では説明にならない。
 被告が仮に企業に代わって土地を取得し、それを実費で企業に譲渡する程度であれば条例のいう土地確保の協力のうちに入ると言えなくもない。
しかし、土地の造成工事及び造成費用を負担するということになれば話は違ってくる。
室戸市企業誘致推進条例では、誘致企業等に対する経済的支援は第3条の「奨励金」があるのみであって、その金額も固定資産税相当額の範囲内と限定されている。億円単位の奨励金などが許容される条例ではない。
 また、監査報告書では、「市財産規則等によって定められた適正な手続きに則って売却が決定されている・・・」というが、行政財産である工業用地、作ったばかりの新品を丸ごと処分(用途廃止など)する手続は室戸市財産規則のどこにも存在しないし、地方自治体にははじめから特定企業の私用に供するために公金を使って土地を取得するという規則などあり得ない。

六、普通土地の価格は、土地造成等の諸経費に利益を見込んだ金額を付けて相場に見合った額で売り出すが、本件の場合、利益を考えない、土地の相場価格も入れないとしても、少なくともその土地造成の諸経費を譲渡価格としなければなるまい。
 売却対象用地だけでなく、それを支える周辺造成地全体及び進入路等の付帯工事も譲渡価格に算入しなければならない。

七、本件工業用施設は被告室戸市の公の施設であり、これを利用する権利の機会は市内の多くの企業に開かれていなければならない。この用地のすぐ直下の川べりには深層水を商う有名な企業などもあり、他にも津波の影響をもろに受ける地元羽根町内に有力企業がいくつかある。それら企業も応分の税金を払い、相当な従業員を雇用している。
災害対策や産業振興対策を掲げて作った施設であれば、少なくとも公募し、入札などを実施して適切な選考をし、用地を分かち合うことも含めて合理的な譲渡決定手続きが必要であるが、監査委員会の上記報告書では、被告はそれら通常の適法な手続きは何もしなかったし、する必要はないと公言している。

八、以上の被告の行為は地方自治法第238条の四(行政財産の譲与)及び同法237条第2項(議会の議決なく適正な対価なしの譲渡)の規定に違反する違法行為であり、この違法行為によって室戸市が損害を被ったものである。

【立証方法】

一、 甲第1号証  住民監査請求書
二、 甲第2号証  室戸市監査委員会監査報告書
三、 甲第3号証  工業用地売買契約書
四、 甲第4号証の1~20  支出命令書
五、 甲第5号証  物品購入契約書
六、 甲第6号証の1~23 土地売買契約書
七、 甲第7号証  高知新聞記事(平成26年6月20日朝刊)
八、 甲第8号証  室戸市企業誘致推進条例

【添付書類】

一、 訴状副本 1通
二、 甲号各証 各1通

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