市民オンブズマンの観点

2017年11月21日 (火)

室戸市の乱脈利権行政に監査請求

室戸市職員措置請求書

                   平成29年  月  日

                       請求人

 

【請求の趣旨】

室戸市が、室戸市新火葬場建築主体工事で平成28年1月15日の支出命令によって出された5141万6226円の支出は、何の根拠もなく、小松市長、請負業者の有限会社川村総合建設らによる不法行為(詐欺又は背任)によってなされたものであり、業者から返還を求めるべきものである。また、工期が20ヶ月も遅延したが、業者の都合による場合が相当あると考えられる。これによる遅延損害金も業者からとるべきである。

【請求の原因】

一、本件工事の経緯

本件工事は、室戸市が平成25年9月12日に有限会社川村総合建設(川村総合建設と呼ぶ)と建設工事請負契約を結び工期は同年10月5日~翌平成26年3月26日のものであり、請負金額は、消費税込みで1億5351万であった。

その後工期が合理的な理由もなく以下の通り次々と変更され、第3回目の変更では大幅な工事費の増額がなされた。

正規の工期:平成25年10月5日~平成26年3月26日

第1回:平成26年3月17日→平成26年12月30日に変更(約9ヶ月延長)

第2回:平成26年10月26日→平成27年3月20日(更に3ヶ月弱延長)            

第3回:平成27年2月25日→平成27年9月15日(更に5ヶ月弱延長)

        請負契約金の変更 (追加額 5141万6226円)

第4回:平成27年9月14日→平成27年11月30日まで(更に2ヶ月半延長) 

と変更された。(合計20ヶ月延長 発注から2年以上)

1億5千万円程度の請負建築工事で天災地変もないのにこのような工事の延長は異常であり、さらに、平成27年2月25日さしたる設計変更もないのに工事費の3分の1を超える増額の追加契約(支出命令平成28年1月15日)をしたが、これは市長ら関係職員と請負業者との談合によるものであり、断じて許されることではない。室戸市はこの不法行為による損害を回復する必要がある。

二、一括下請け契約の実体

1、建設業法や本件請負契約では一括下請け又は主要な工事の下請けは認められていないが、本件において川村総合建設は法律に違反して一括下請けで全工事を遂行している。政府の解説では一括下請けとは、相手が複数の場合でも該当するとされる。

2、本件工事において川村総合建設が下請けに出した全工事の費用は、下請け契約書(「注文請書」)によると、合計1億0218万7210円であり、ほかに出費する工事は存在しない。この金額は変更した工事費(293万6521円)を含めており、元の契約金1億5351万円の枠内にあり、工事費を増額させる理由はない。しかも、その工事費の増額変更は下請け工事23件のうち5件にすぎない。

 川村総合建設が下請け業者に発注したのは、契約時の平成25年度が解体工事の1件だけであり大半が27年中である。ほとんどの下請け工事契約は27年度中の半年ほどであり初めからまともな工期で仕事をする意図はなかったと考えられる。

3、議会での執行部の答弁書では、平成26年12月27日に川村総合建設から本件契約書第25条に基づいて労賃や材料費の値上げを理由とする5000万円以上の請負代金変更の請求があったという。市長らはこれに対し当初3000万円程度の増額に応じようとしたが、業者や特定議員が承知せず、本件増額に至ったという。増額契約にかかる理由や計算式も明らかになっていない。

 しかし「注文請書」によれば実際には、工事費の増額があったのは型枠工事や雑工事などの数百万円にすぎず、本体工事そのものについてはほとんど何の費用の増額の必要性もないことはあきらかだった。「注文請書」によれば下請け工事の全費用は、本件増額が市議会で議決される平成27年3月20日までには全て確定していて、元の契約金の枠内であることが分かっていた。

この下請けについての「注文請書」は業者から市役所に提出義務があり、市長や担当課長も実際の費用について認識していて本件増額が不要であることを知っていた。

三、5146万6226円の工事費増額

1、5146万6226円の工事費の追加は物価上昇による工事費の高騰などとされているが、国内に激しいインフレーションでも起こらない限り本件追加額ほどの増額(30%~40%)が必要になるはずもなく、実際下請け業者との契約ではほとんど物価上昇の影響はない。工事の遅延は大半が川村総合建設側の事情によるものであって、逆に、遅延損害金の請求権が発生する事案である。

室戸市は、本件請負契約書に基づき遅延損害金の請求を怠っている。物価上昇による工事費の変更は発注より12か月を越えなければ対象にならないが、「注文請書」の契約期日で知れるとおり川村総合建設は当初の工程どころか12か月以内に工事をしようという姿勢はなかった。25年中の下請け発注は1件にすぎず、26年中が7件だけであとはすべて27年中であった。

2、また、この5146円6226円の契約金の変更を決議する室戸市議会の状況は異常であり、一部議員の話では、業者に加担する一部有力議員が本会議や委員会で根拠もないのに工事費増額の口利き意見を出したり、また同議員が議員控室で他の市議会議員に対し「命とられるぞ」、など脅迫的言辞を繰り返し発し、増額変更を盛った市長予算議案に賛成しないと報復(殺害)するという趣旨の威迫があったという。この威迫のもとで本件予算案の議決が行われたと考えられる。脅迫のもとで行われた市議会の議決は無効であり、変更した請負契約は無効である。

四、その他の違法性

なお、本件請負契約相手を決めた室戸市の総合評価方式の選定方法は、違法なものである。川村総合建設にかかる評価点のうち「施工実績」は虚偽であって自社の実績でないもの(下請け業者のもの)を使っていた。室戸市はそれが虚偽であることを知っていて特定業者が独占できる仕様をわざと作ったのである。これによる業者選定は無効であった。なお、責任者を配置しただけでは元請けが実質的に工事に関与したとは言えない。

 また本件請負入札については、地元4社しか参加させず、規則違反が常態化している。このような違法行為を承継する本件5000万余の増額契約は無効であり、室戸市はこれにつき返還請求権という財産の管理を怠る違法行為がある。

 

  【添付書類】

1 請負契約書(当初及び変更)

2、「注文請書」(要約別紙)

3、支出命令書

4、別紙 本件「注文請書」要約

 

 本件「注文請書」要約

 (業者)     (金額)   (契約期日)     (工事内容)

1、安岡工業   4752000円  ㍻26418日    鉄筋工事

2、同上              ㍻261220日   工期変更

3、同上              ㍻27310日    工期変更

4、同上              ㍻27919日    工期変更

5、一穂     2484000円  ㍻26418日   仮設・型枠工事

6、同上              ㍻261220日    工期変更

7、橋詰建設   4654800円  ㍻2662日    建築主体工事 

8、同上     3542400円  ㍻26113日    型枠工事

9、同上      529200円  ㍻27212日  * 工期・金額変更

10、竹久建設   4104000円  ㍻266月2日     建築主体工事

11、同上      299160円  ㍻261230日  *  金額変更 

12、同上     1998000円  ㍻261220日     型枠工事

13、同上     950400円  ㍻27212日    *工期・金額変更

14、ひらく建設  3780000円  ㍻2662日     建築主体工事

15、同上     1458000円  ㍻261220日    仮設・雑工事

16、同上      369361円 ㍻261230日   *  金額変更

17、同上      788400円 ㍻27212            *     工期・金額変更                                                                             

18、石井左官工業 1144029円  ㍻27310日    左官工事

19、同上             ㍻27918日    工期変更

20、三和シャッター5724000円  ㍻27310日   金属製建具工事 

21、同上             ㍻27916日    工期変更

22、田淵工業   1266000円  ㍻27310日   左官・タイル工事

23、同上             ㍻27915日    工期変更

24、三和     4752000円  ㍻27310日     内装工事

25、同上             ㍻27917日    工期変更

26、日建商会   2484000円  ㍻27310日     断熱工事

27、同上             ㍻27918日    工期変更

28、和翔商事   2592000円  ㍻27310日    断熱工事

29、同上             ㍻27918日    工期変更

30、小松建具   4104000円  ㍻27310日    木製建具工事

31、同上             ㍻27915日    工期変更

32、西村大理石  9720000円  ㍻27310日     石工事

33、同上             ㍻27916日    工期変更

34、土佐木工所  2268000円  ㍻27310日    家具工事

35、同上              ㍻27915日   工期変更

36、谷末建装   3326400円  ㍻27310日    塗装工事

37、同上            ㍻27916日     工期変更

38、建販センター 10800000円  ㍻27310日    屋根・樋工事

39、同上            ㍻27917日    工期変更 

40、藤岡ステンレス134400円  ㍻27310日   金属工事

41、同上            ㍻27918日   工期変更

42、高南製作所  2700000円  ㍻27310日   鉄骨工事

43、徳増工業   16956000円  ㍻27310日   金属製建具工事

44、同上              ㍻27915日    工期変更

45、仙頭防水   1512000円  ㍻27310日   防水工事

46、同上             

27915日    工期変更

47、安岡重機   1785000円  ㍻251011日   解体工事

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2017年5月26日 (金)

公金で社会保険料の雇用主負担

News & Letters/568

高知県議会では人件費ということで議員や会派が雇用した職員の社会保険料(事業主負担分)も政務活動費で支払っている。
課せられた税金を税金で払うという理不尽な公金の支出は、47都道府県のうち43県が実行しているという。

高知県の場合問題は次の通り3つある。

1、政務活動費の交付権限を知事が議会事務局長に委任した。条例で知事の交付決定など行政行為はすべて事務局長の名で執行する。
その根拠は高知県会計規則第3条1項の知事の権限委任の規定だ。
しかし地方自治法での首長の委任の規定はすべて行政機関内部か、行政庁相互の間に限られ、行政庁と議決機関の間は許されない。
高知県の会計規則が違法なのである。従って議会事務局長の行為は権限の踰越であり無効な行為である。

2、政務活動費で人件費を賄うことが許されるとしても高知県の場合、雇用の実体を証する資料(雇用契約、出勤簿、業務日誌等)が全く存在しない。
  社会保険料を支払ったという領収書などが提出されているだけである

3、その社会保険料の雇用主負担分を公金で支払えと請求し、この請求を認めるというのは、憲法で定められた納税の義務に違反する。

平成29年(行ウ)第3号 損害賠償請求事件
原告 澤山保太郎
被告 高知県知事 尾﨑正直外1名
   
   原告準備書面(2)
                  平成29年5月23日
高知地方裁判所 殿
                    原告 澤山保太郎

被告準備書面(1)について

はじめに 争点ぼかし
今回の被告準備書面では、原告が請求する内容についてまともに答えず、ただ、議会が勝手に作ったマニュアルについて敷衍するだけである。
社会保険料を公金でまかなうことが適法かどうか、というのが本件訴えの中心的テーマであり、それに付随してそもそも本件において人件費が認められるとしても社会保険料を含む人件費の実体について何も主張(反証)がなされていないのである。

一、本案前の申立て について

(1)ずさんな会計制度の擁護

政務活動費をめぐっては全国各地でトラブルが発生し住民の不信を買っている。
その根因は、公金の取り扱いが厳しい行政のなかでひとりこの政務活動費だけがその会計処理のずさんさ、議員任せ、使い放題の無責任体制が放置されているところにあると考えられる。今回の被告準備書面の2頁目~3頁目、5目~6頁目に繰り返し政務活動費交付の手続きが説明されているが、それによると、

A)交付までの手続き

①県議会議長が→議会事務局長(条例では知事)に交付金を受ける議員数を通知し→②議会事務局長が交付決定をし→③決定の通知を議員側に通知し→④議員側は毎四半期に交付金を議会事務局長に請求し→⑤議会事務局長は当該四半期分を満額「概算払い」をする。
B)実際の支出行為
⑥議員側はこれを消費し、→⑦消費した事実と金額を支出伝票に記載する。
C)精算
⑧議員側は、翌年の4月30日までに支出伝票と付属書類を議長に提出する。→⑨議長はこれら書類を議会事務局長に送付する。→⑩議会事務局長はこれを精査し最終的に交付額を確定する。

A、B、C①~⑩までの過程は一歩も議会(議員と議会事務局)の域を出ない、完全な議会のお手盛り体制である。
このシステムの問題点は、第一にキーマンの議会事務局長であるが、彼は職掌柄議長及び議員の下僕のようなものであるから承詔必謹であって議員の作成する「支出伝票」の当否をチェックなどできるわけがない。

これまで政務活動費の不正使用がとめどもなく明るみに出てきているが、議会事務局が摘発したということは聞いたことがない。
第二に、概算払いというが、経費について実際に何の概算もせずただ予算全額をまるごと議員側に移転するだけであり、議員が公金を預かり管理することになる。泥棒にお金を預けるという訳ではないにしても議員(身分は特別公務員であるが政治家として私人の面が強い)に公共事業にかかる公金を預ける形をとるというのは極めて危険でありトラブルを発生しやすい。予算による公金は出納室(会計管理者)が持ち出納員の審査を受けて必要(支出)に応じて支出するというのが県庁や市町村町の会計の鉄則である。高知県の会計規則には議会事務局には出納員の配置すらない。

本件交付条例には議員一人につき月に14万円(議員・会派分合わせて28万円)支給するとなっているが、政務活動に使わなかった場合は還付義務があるから、この14万円(又は28万円)は議員の収入ではなく使用限度額を示すものであり、支給されても自由処分できず預り金の性質を持つと理解される。その公金について「支出伝票」を執行機関でもない議員が作成発行してその金を使用するという異常な会計システムこそ問題である。
いづれにしても私人に近い議員に公金を預けその支出についての権限を議員に任せるのは
地方自治法第243条の1(私人の公金取り扱いの制限)に抵触するものと考える。
今回の被告の準備書面は、政務活動交付金について様々な不祥事の原因であるこのようなずさんな会計システムについて何ら反省せず、ただこれを賛美しているだけである。

(2)知事の権限と責任

 本件交付金の会計事務は会計管理者の下で正規の出納員の手によって遂行されるべきであり、交付の決定、交付額の確定、返還金の命令権限は、被告高知県知事尾﨑正直にある。
被告が強調する高知県会計規則(乙第5号証)第3条知事の権限の委任についての規定で、その委任先に教育長や県警本部長などとともに議会事務局長を指定しているが、この議会事務局長の指定は何ら法的根拠がない。

本件に関し、首長の権限行使の委任については地方自治法第153条、第180条2(第180条7も関連あり)に規定があるが、これらに規定されている委任はいづれも行政機関である知事部局の補助職員又は教育委員会や監査委員会など行政委員会に所属する職員であって、議決機関である議会及びその付属する事務局が対象にはなっていない。
議会事務局長や議会事務局職員を知事部局の職員として兼任させて首長の職務を委任することは許されていない。

上記の地方自治法の該当条文には、議会事務局への委任が明文で制禁されてはいないが、委任することができるという対象から外されている。
乙第6号証及び乙第7号証の「権限の委任」の事例は、いづれも「行政庁」であって、議決機関に対しては該当しない。

委任に関し議会について言及がないのは、法律(立法者)がうっかり没却していたのではなく、行政機関と議決機関とは基本的に癒着させず対立又は並立して互いにけん制しあうものとする建前上職員の融通をさせなかったものと解釈すべきであろう。
しかるに高知県会計規則では、政務活動費の支給に関することのみならず全般的に議会及び議会事務局の財務会計行為の知事の権限を事務局長に丸投げする規則を作ったのである。
本来なら、本件交付条例の通り、知事が交付を決定し、出納員が審査し、知事が交付額の確定を行うべきである。議会に関する会計事務は会計管理者(旧出納長)の下で配属された出納員によって遂行すべきものである。被告高知県知事尾﨑正直は違法な会計規則をつくり、自己の職責を故意に怠った違法行為の責任がある。

(3)本件概算払いの実体と違法性

被告が言う概算払いはたんに資金全額を議員の金庫に移転させただけであって具体的な経費の支弁という意味の支出行為には当たらない。
そのことについて今回の被告準備書面で「原告は、‥‥本件における違法行為を、甲第3号証で特定できる平成28年1月22日から同年3月31日までの各・・・・になされた支出行為であると特定されたが、それらの支出行為は会派及び議員が行ったものであって、住民監査請求及び住民訴訟の対象となる財務会計行為には該当しない。」(3頁後段)という。本来支出金を受け取る側の人間が、支出行為を遂行するという行為が住民監査請求や住民訴訟の対象にならないという主張にはなんの根拠もないが、被告は、本件支出行為が議員によってなされたことを自認した。「支出伝票」を議員が作成していることがその証拠である。

公金の支出行為を私人でもある議員がすること自体地方自治法違反であることは前述のとおりであるが、そのような財務会計方式をつくり、それを議員にやらせた者、それを精算段階で承認した者、すなわち「普通地方公共団体の長若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員」の違法責任が問われるのである。前掲地方自治法243条の1に抵触する行為も財務会計行為であり住民監査請求の対象となる。

二、本案に対する被告の主張について

(1)政務活動費対象経費としての人件費

本来政務活動費を規定した地方自治法第100条の14では、「議員の調査研究その他の活動」の経費に資するために政務活動費が交付されることになっている。
決して誰かを雇ったり誰かに依頼して調査研究するという趣旨ではない。
従って人件費などという対象費用が設定されること自体おかしい。

仮に議員の補助活動として人件費が認められるとしてもそれはあくまでも議員の特定の政務活動に直接かかわるもの(「補助」する)であって、事務所の管理、客の応対、政務活動も含む会計処理など総務的な仕事は無関係である。そして、雇用契約はもとより、議員の事務所に勤める以上事務所の仕事の中で政務活動とそれ以外の仕事とがあるから、費用を按分する上で、業務日誌やタイムカードがなければならない。雇用の証拠として他の都道府県では徴収している雇用契約、業務日誌、タイムカードなど雇用と労働の実態を示す証拠もなしに人件費を請求することはできない。

被告は「補助職員を雇用することは、まさしく調査研究活動の基盤を充実せることであって・・・・・合理性がある。」などというのみで、雇用の証拠が何もないのにどうして本件人件費が「合理的」なのか説明できない。事務所の費用は、私的な政治活動と政務活動費の対象になる活動とに案分されている以上は、そこに勤める被雇用者の仕事の量も按分されねばならない。証拠を提出せず、被雇用者の労働をすべて政務活動についての補助労働だとして人件費を請求することに「合理性」があるはずはない。
また、社会保険料の支払いについても、全国46都道府県で43都道府県が支払っているので高知県の取り扱いは「標準的」だという。しかしこれは多数決の問題ではなく適法かどうかの問題であり、少なくとも3県が社会保険料の支払いをしていないということに留意すべきであろう。被告はその理由を尋ねるべきである。

(2)議会事務局長の責任

 上述の通り本件交付金の決定行為など財務会計行為の責任は議会事務局長に委任できず、被告高知県知事が直接遂行する責務があった。しかし、実際には被告準備書面が言う通り本件条例で規定された知事の職務行為についてこれをことごとく議会事務局長が執行した。これは職権踰越の行為であり権限のないものが財務会計行為を遂行した場合そのすべての行為は無効となる。
「行政機関の代理権のない者のなした行為や無効の権限の委任に基づいて行政機関のなした行為も、行政機関としての権限のない者のなした行為として、原則としては、無効と解すべきである。」(田中二郎 「行政法総論」昭和32年11月345頁)

本件政務活動費の違法な支出行為は、会計制度に問題があるとしても直接的にはこの議会事務局長による無効な越権行為によるところが主因である。

  (3)不当利得返還請求権

現在、被告らの違法な行為によって本件請求額の損害が発生していることは事実である。
受益者たる議員側にその分の返還命令もされていないし、本件訴訟の過程でもその損害さえも否定している状況であって、それどころか被告らは、永年社会保険料を人件費として認め政務活動費で支払うことを認めてきた経過があり、この行為を適法なものとして議員側に認知させてきたから、不当利得返還の命令を出す気配は全くない。
にもかかわらず、被告準備書面は
「原告の主張の通り社会保険料の事業主負担分の支払いに政務活動費を充当することができないとするならば、その分につき、各会派及び議員に対する不当利得返還請求権が高知県に生じるものではあるが、高知県にとって損害ともいうべき当該不当利得相当額は、条例12条に基づき返還を命令すれば補填されるものであり・・・高知県に損害が生じているとはいえない・・・」(被告準備書面8頁目)という。

しかし、本件訴訟は、単に公金を議員側から高知県に移動させるという単純なものではない。被告らの不法行為に基づいて高知県に損害が発生しそれについて賠償請求するものであり、不当利得返還請求の訴訟とは結果は同じでも性質が相違している。被告らの主張は、お金が返ればいいというに等しく、被告のこの主張が認められるなら地方自治法が設定する損害賠償請求の監査請求も住民訴訟も意味をなさず成立する余地がなくなるだろう。
さらに、不当利得返還請求権は、本件の場合を含め簡単に成立するとは限らない。
今一度田中二郎氏の見解を引用する。

「・・・公権力の発動たる行政行為に基づいて不当利得が生じた場合である。この場合には、その行為が絶対無効であるか又は違法として取り消され法律上の原因なくして利得したことが、公に確定されて初めて不当利得を構成する。行政行為が有効に存在する以上、たとえ実質上には理由のない利得であっても、未だ法律上の原因なき利得とは称し得ないからである。」(田中二郎「行政法総論」昭和32年11月 255頁~256頁)

政務活動費の交付行為は、公権力の発動を伴う行政行為である。社会保険料の支払いが政務活動費で充当できないからといって直ちに議員に対し不当利得返還請求権が発生するということにはならない。したがって被告の主張は失当であり、被告らは本件請求額の損害について賠償する義務がある。

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2017年1月29日 (日)

県議会への監査請求

News & Letters/548

高知県議会は、領収書などをネットで初めて公開した、ということで評価が高い。

しかし、中身は相当でたらめである。宿泊費についてはやっと領収書をとり実費支給に替えた。これまでは、パック旅行以外は一切領収書を公表せず、高額の定額をとっていた。宿泊した事実を証明するのは領収書の代わりに議員本人の書いた自己証明書が証拠だと
言い張って来たのである。裁判所もそれを容認した。

しかし、さすがに私の住民訴訟のあと、領収書を出すようになり実費支給に切り替えた。しかし、まだまだ闇は深い。
本来年間数百万円の高額の政務活動費は廃止すべきである。第二の報酬である。議員にはすでに超高額の報酬が支払われている。

日本共産党は国会議員への政党助成金を拒否しているのであるから、それの地方版である政務活動費を拒絶するべきだ。

今回は、党派や議員が雇用している人件費のうち、社会保険料など事業者(議員側)負担まで政務活動費で賄っている事実について異議を申し立てた。公課公租を公金で支払うということは、公課公租の意義を喪失させる。憲法第30条の国民の納税義務をなんと心得ているのだろうか。

憲法をないがしろにするいかなる法令も無効である。県の監査委員会は、悪事の隠ぺい機能をどのように発揮するのか、
また、それに続く裁判所がどのようなでたらめな判断を下すのか、見ものである。

          高知県職員措置(住民監査)請求書

                        平成29年1月18日
高知県監査委員殿 
                〒781-7412高知県安芸郡東洋町405番地1
                請求人 澤山保太郎
【請求の要旨】

1、公開されている高知県議会政務活動費のうちで、人件費として健康保険料、厚生年金保険料、児童手当拠出金などの事業主負担分について政務活動費から支払うのは不当かつ違法であると考えるのでこれまでの会派及び議員への既支給分の全額返還を求めるべきである。公租公課を公金で支払うことは税法の根本的趣旨に反する。

2、人件費にかかる社会保険料の事業主負担分について、今後これを会派及び議員に支給しないようにするべきであり、差し止めを求める。
3、人件費での社会保険料の事業主負担分については、政務活動費で支払った分については、会派及び議員は、これら社会保険料は未納であり滞納であるので可及的に遡及して納税(支払い)する義務がある。

【理由】

1、公課公租を負担することは国民の憲法上の義務である。何人もこの義務を免れない。
(憲法第30条)
 国や地方公共団体は事業主であるが、担税義務はない。国庫以外に財源がないからである。政党政派は行政機関ではなく、任意団体であるから、人を雇用した場合、事業主として各種の社会保険料を負担する義務がある。
 その保険料を政務活動費という公金でもって支払うことは、公租公課の意義を踏みにじり、あたかも任意の政党政派が公的機関と同等であるかの如きふるまいをしていることになる。

 議員による調査研究の費用を賄う政務活動費で、人を雇い人件費を支弁することについては疑義があるが、仮にこれが認められるとしても、そのうち社会保険料にかかる費用まで支弁することは認められていない。現行の条例・規則などではそもそも人件費の内訳を明瞭にしていない。
議員への政務活動費の支給を定めた地方自治法(第100条第14項)においても、また他のいかなる法令でも国民に課される公課公租についてこれを公金で支払うことが許容される規定は存在しない。いかなる法令、条例規則でも憲法第30条を凌駕(又は無視)する規程を作ることはできない。

地方自治法第100条の第14項の規定では、政務活動費は、「議員の調査研究に必要な経費の一部」について支給するとなっていて事業主(会派又は議員)や労働者個人にかかる公課公租は、「議員の調査研究に必要な経費」とは言えない。
公課公租は、国や地方公共団体が国民(法人を含む)に課するものであってそれでもって行政を施行する財源とするものなのである。

2、高知県議会の政務活動費の実際の運用では、人件費においては、被雇用者からは社会保険料の個人負担分として給料から差し引いている。

労働者に対する措置は正しいとしても、それより優越的立場にある事業主(会派又は議員)の負担分については、これを事業主に負担させず、公金で賄わせるというのは、畢竟、県が雇用主である議員に対して不当な利益供与をするものというべきであって、政治資金規正の法令にも抵触する疑いがある。

各種の重税に苦しみながら納税義務をはたしている多くの県民から見て、厚顔無恥というべきであろう。政務活動費で必要な経費は何でもこれで支弁していいということにはなっていない。あくまでも「必要経費の一部」しか支給されない。
  
       添付資料
   政務活動費支出伝票(社会保険料にかかるもの) 11枚

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2017年1月25日 (水)

小池知事の住民訴訟への対応

News & Letters/546

豊洲移転問題に関して、小池劇場が賑やかである。
これまでの小池知事の「東京大改革」がどんなものであるのか、さっぱりわからない。
泰山を鳴動させてネズミの一匹も出ないのではないか。あるいは何か恐ろしい化け物でも出すのではないか。

東京都民が起こした住民訴訟、豊洲市場の土地の購入にかかる売買契約で578億円の損をしたという住民訴訟に対する対応をころりと変えて、住民訴訟に乗っかり石原元知事へ賠償を求める考えのようである。

小池氏が旧来の都政に「対決」しようとし、自民党などの腐敗分子と戦おうというのはいいとしても、その独断的な都政運営については警戒が必要である。住民訴訟をも利用して政敵を追求しようという手法は危険である。
このような手法がまかり通れば、仲間に住民訴訟をやらせて過去の首長ら政敵をやっつけるということが横行しだす。

住民訴訟制度が政略の手段と化す。それはまた、住民訴訟をする側も、自分たちの政治的立場に都合の悪い相手の場合は不正があっても問題にせず、
政治的に反対派の首長については少しのことでも徹底的に住民訴訟をかける、ということになる。

かつて、高知県の同和対策の補助金(研修費)の予算が不正に使われた事件を追及して監査請求したところ、それが、特定政党に関係する団体(全解連)が関与していたことが分かった段階で、その特定党派に関係していた住民が一斉に手を引いて、私一人が住民訴訟をするということがあった。

裁判の結果はその同和研修費予算の使用は違法であると判断され、その予算は廃止された。
小池知事が、今回の住民訴訟の請求を認め、石原元知事に賠償を請求するには、その住民訴訟で住民側の主張に同意するということでは法律的に無理がある。

地方自治法第243条の2の第3項の規定があるからである。すなわち、首長が元の首長を含む職員に財務会計上の不正があり自治体に損害を与えたという判断をした場合には、雇っている弁護士に住民訴訟で住民側に同意させるという手法ではなく、自ら監査委員会に監査請求し、損害額を確定する必要がある

監査委員の監査結果を受けて初めて小池知事は、石原氏への損害賠償請求ができるのである。小池知事の独断(又は雇用した弁護士)によって賠償額を確定したり、賠償請求はできないのである。

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2016年7月27日 (水)

戦いは続く

News & Letters/506

うその理事会名簿が功を奏し、1000万円の支払い命令を解除された東洋町長松延宏幸は差し戻された高裁でも、その嘘の効力を維持して成功を収めた。これはまだ上告審が残っている。

それとは別にすでによこしていた通り、新たな監査請求のお見舞いをくらうことになった。
野根漁協は1000万円の借財は正規の理事会や総会を通過していないとして支払いを拒否し続けてきた。

だから、1000万円の元金の返済はこれまで一銭もない。平成24年度から計算しても5年目である。
うその理事会名簿を押し通すというのであるから、それでは松延宏幸はそれらから1000万円を回収しなければならない。
その嘘の理事会は、滞納したら自分たちが法的責任を取られてもかまわない、という確約書を町に出している。

貸付金を回収する義務からは逃れられない。ここでは嘘は通らない。回収できなければ松延宏幸自身が支払わねばなるまい。

東洋町職員措置請求書
                  平成28年7月  日
東洋町監査委員殿
                  請求者 沢山保太郎
                   住所
                   氏名         職業
                   住所
                   氏名         職業
                   住所  
                   氏名         職業
                   住所
                   氏名         職業

(措置請求の趣旨)

東洋町は平成23年11月に野根漁協を介して特定漁家に対し1千万円の貸し付けを行ったが、現在において1銭の返済も受けていない。

1年間の据え置き期間を置きその後毎年200万円の返済を受けることになっているが、町長はこれまでその徴収を怠り、今後もそのまま放置する可能性がある。町長松延宏幸は、速やかに本件貸付金の回収をする義務があり、そうしないなら、松延宏幸自身がこれの全額賠償責任がある

(請求の理由)
東洋町は、平成23年11月野根漁業協同組合に対し、特定漁家に対して又貸し資金として1千万円(無利子)を貸し付けた。返済は貸し付けた年度を除外して翌年から年に200万円となっていた。現在まで東洋町は貸付先関係者から1銭も返済金を徴収していない。
平成25年度から計算してもすでに4年目(24年度から計算して5年目)であり、このまま未回収では1千万円がまるごと町の損害金となる。この貸付金については現在の漁協は理事会、組合員総会で正規のものではないとして否認している。

しかし、貸付当時の漁協理事を名乗る者に責任があることは明らかであり、また、その理事の手による返済について滞納した場合法的措置を取られても構わないという「確約書」も東洋町は徴取している。

町長松延宏幸は貸付金のうち少なくとも3年度分の徴収を怠っていることは明らかであり、残る2年度分も徴収しない可能性がある。

東洋町は、すみやかに、又貸しを受けた漁家(その連帯保証人)又は当時の野根漁協理事を名乗る者らから本件1千万円の返済金を徴収するか、それともこの貸付を実行した町職員に弁済させるなど適切な措置を取る義務がある。

よって地方自治法第242条の規定に基づき、住民監査請求を行う。

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2016年7月24日 (日)

避難タワー上告理由書

News & Letters/503

平成28何(行サ)第5号
損害賠償請求上告提起事件
上告人 澤山保太郎
被上告人 東洋町長松延宏幸

   上告理由書

最高裁判所御中 
                   平成28年7月
                   上告人 澤山保太郎

【上告理由の要旨】

原判決には、建築確認がなされていない設計図で公共の建造物を建設したものであり、建築基準法第6条第1項に反する違法のほか、根拠もないのに数千万円の工事費の水増しや、また、予算の違法な繰越を行うなどの違法行為についてこれを容認するなど、法令適用、法令解釈の誤り、審理不尽・理由不備の判断が重畳しており看過することができないので上告するものである。

  【一】本件の概要及び経緯」

東洋町は、平成24年度事業として同町生見地区で津波避難タワーの建設工事を予算化したが、どういうわけかその実際の事業開始は24年度の年度末の平成25年3月以降となり、同年3月18日に指名競争入札を行い川村総合建設(これを単に川村と呼ぶ)と工事請負契約を締結した。

落札価格は7854万円であった。川村は同25年3月28日に着工した。
当然平成24年度内には完成することは不可能であったところ、さらに被上告人には工事請負契約が締結される前の3月15日に県庁から本件津波避難タワーの建築確認が下りないという通知を受けていた。

本件工事に係る設計書は設計業者「かめお設計」によって当初平成25年2月25日に作られていて入札は建築確認がされないその設計書に基づいてなされていた。
その後同平成25年8月にようやく県庁の建築確認がなされて、着工ということになったが、理由もなく延期を重ね、ようやく翌年平成26年3月になって完成されたというものである。しかし、県庁によって補正を求められた新たな変更設計は工事がほとんど完了した、平成26年3月5日に議会に提出され承認された。

そうすると、建築確認後の工事においても変更設計書に基づいては本件工事は行われていなかったということが分かった。
そこで、上告人は、東洋町監査委員会に、本件建設工事は、建築確認がなされない設計書によるもので違法であり、工事内容も請負業者川村のいうままに工期を何度も遅延させ、川村自身は、ほとんどの工事に携わることなく一括して複数の下請け、孫請け業者に丸投げするのを放置し、実際には安く上がった杭打ち工事についてこれを逆に水増し追加予算を計上するなど業者のいいなりにしてやっと完成させたものであって、請負契約及び支出命令など財務会計行為が違法であるとして、変更された請負契約9300万円から実際の経費である5066万円を差し引いた残額を町の損害だとして返還を求めた。

監査請求は棄却され、住民訴訟となったが、第1審高知地裁は、以下の通り上告人の主張をことごとく否定し、被上告人の無法行為を容認して本件訴えを棄却した。

   【二】原判決の法令違反の判断

一、建築確認が下りない設計書

1、建築確認なしの設計図で請負契約

既述の通り、本件工事は正規の建築確認がされていない段階で工事請負の業者を決める指名競争入札が行われ、落札者と即日平成25年3月18日請負契約がなされた。
しかしこの時より3日前被上告人の所には高知県庁から建築確認ができない旨の通知が来ていた。原判決も「高知県建築主事は、同年3月15日付で、東洋町に対し、同建築確認の申請における構造図、避難棟電算等に対する指摘事項を挙げ、一次判定を保留するとして、建築基準法第6条1項の建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができないと通知し・・・・」という事実を認めた。

これは、被上告人が当初に作成した設計図(甲第8号証)が建築基準法に照らして不十分であり許認可に等しい建築確認を取れないということであって、この設計書で請負契約をし、発注することは違法な行為であることは明らかであった。
しかし被上告人はこの設計書で未だ確認申請書の補正がなされないうちに敢えて入札・契約を強行し、本件工事を発注した。それによって川村は同年3月28日に本件工事を着工したのである。この着工は数日後の4月1日に中止となったが、建築工事を始めたことは変わりがない。

この行為は建築基準法第6条第1項の規定に違反(建築確認なしの建築物の着工)し、同法第98条以下の罰条(懲役3年以下など)の対象になるものである。
地方自治法第2条第16項の「地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない」という規定は鉄則であり、ひとり地方公共団体だけでなくあらゆる企業や個人の活動に当てはまることである。

だが、原判決は、本件工事を一時中止した、その間同年8月14日に建築確認が得られて、本件工事が完成した、だから「本件請負契約締結時点で建築確認がされていいなかったとしても、そのことをもって、本件支出命令が財務会計法規に違反してされたものとはいえない。」(第1審判決文10頁上段)といって被上告人の違法行為を容認した。
しかし、中止したとしても着工したのは事実であるし、第一、原判決は、本件請負契約そのものが違法、無効の性質をもつことについて審議を尽くしていない。
建築確認がされていない設計図で建築に関する契約を結ぶのは違法建築の契約締結であ
り、これは民法第90条(公序良俗違反)、民法第132条(不法条件を付した法律行為)に該当し、違法行為を契約する行為は無効となる。

本件請負契約(甲第4号証)第2条第2項では、請負業者は、「別冊の設計書」などに従い契約を履行する義務が定められている。「別冊の設計書」が建築確認がなされていない場合には、契約を履行することは不可能であり、してはならないのである。

2、建設業法の規定は訓示的

また、変更された設計書での変更契約について原判決(第1審判決文11頁下段)は
「変更設計書に基づく本件変更契約が締結されたのは平成26年2月14日の時点では、本件工事の主要な部分は終わっていたとの事実が認められる。
しかし、建設業法第18条は、「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない。」と規定するところ、上記の事実から、本件変更契約の締結が同条に違反しているとは言えないし、そもそも、同条は、訓示的な効果を有するにとどまるものと解され、同条に違反したからといって、本件変更契約が無効になるわけでもない。」という。
工事が終わってからその工事についての契約を締結する行為が、公正な契約と言えるだろうか。すでに実行され実現されたことについてこれから実現するぞという契約はふざけたものであって「信義」や「誠実」からはるかに離れたもので、むなしい虚盲の契約というべきである。実行不能な事柄についての契約は民法の規定では無効なものである。
 建設業法第18条の規定を「訓示的な効果を有するにとどまるもの」というが、信義則 
 に違反する行為は違法かつ無効であって、信義則は決して訓示的な法則ではない。
 原判決は、工事が終わってから契約したという事実(信義則違反)を認定していながら、
 建設業法第18条の信義則の規定の効力を否認して、本件変更契約を適法と判断する。原判決は、公序良俗に反する無効な契約を肯定するために、日本の有効な法律の効果を否定した。法律の効果を否定するこの法意識は特定の法令違反を超えて日本の法治主義の司法秩序を逸脱するものであって、裁判所のよって立つ根拠を否定するものである。到底承服できない。無論、無効な契約に基づく公金の支払いは違法である。

3、推認

8月14日の建築確認後工事が再開されたが変更設計書はできていなかった。変更設計書(甲第9号証)は翌年の2月26日に出来上がり議会で承認されたのは同年3月5日なのである。

地下十数メートルの杭打ち工事の変更を含む変更設計書が議会に提出されたときには、本件工事のほとんどが完成していた。川村は変更設計書なしに、建築確認前の設計書(甲第8号証)か、又は、設計書なしで本体工事を遂行したことになる。原判決はこれについて
「かめお設計が、平成25年2月25日、本件工事の実施設計書を作成したこと、高知県建築主事は、同年3月15日、かめお設計が作成した設計書に対して指摘事項を挙げて補正を求めたこと、かめお設計は、同年8月9日付で、高知県建築主事に対し、図面等を添えて追加説明書を提出し、指摘事項につき補正を行ったこと、高知県建築主事は、同月14日、本件工事について建築確認をしたこと、川村総合建設は、同月15日から工事に再着手したことは、上記認定事実の通りである。これらの事実によれば、本件工事は、かめお設計の作成した設計書に従って進められたものと推認されるのであって、本工事が資格ある建築士の手による設計書なしに進められたとの事実は認めるに足らない。」と判断した。

(下線部上告人)

工事がどのような設計書で遂行されたかというのは、最重要な判断で、客観的な資料に基づいて判断すべきであって「推認」でもって裁判をするような問題ではない。
本件工事についての設計書は甲第8号証と9号証だけであり、前者は建築確認未済のもので使い物にならず、後者は工事がほとんど完成してから出てきた設計書であるから本件工事とは無関係であって、この二つの書証しかない。

「かめお設計の作成した設計書」で本件工事を遂行したというのであれば、甲第8号証の設計書か、それとも他の第3の設計書(又は本件請負契約書第19条の設計変更の書面による通知など)を確認するべきであって、裁判官の「推認」でもってそれに代替するわけにはいかないはずである。

裁判官は本件工事遂行段階の設計書等が他にあると考えるのであれば職権でもって被上告人に釈明を求めることができた。必要な場面で釈明権の不行使は審理不尽の典型的な事例であって上告理由となるとする有力な学説がある。
本件訴訟の中核的な争点で釈明権を行使して証拠を確かめずに「推認」で判断を下すというのは審理不尽もはなはだしい。

二、工事終了後の変更設計による工事費の増額

1、 原判決は、「本件工事が着工直後に中断され、その後設計が変更されたことに伴い請負工事代金が増額されたとしても、それは、本件工事を落札した事業者に対して契約上の合意に従った取扱い・・・」であって、川村以外の業者が落札しても異なることはなかったから問題がないという。しかし、「設計が変更されたことに伴い請負工事代金が増額された」というが、その変更設計は本体工事がほとんど終わってから作成され議会で承認されたものであった。

上述のように原判決も変更設計が出てきたのは本件工事の主要な部分が終わってからであったと認定した。しかしここの文章では、設計が変更されて工事代金が増額となって工事がなされたようになっている。原判決は事実の経過、工事遂行→変更設計を正しく認定していながら、肝腎な争点にかかると、変更設計→工事遂行という実際とは逆の経過を想定してそれに基づいて判断をする。変更設計→工事遂行の経過は通常あるべき姿であるが、実際は逆のことが行われたというのが本件の特徴なのである。

原判決は事実と理念とを取り違えた。何故このような取り違えが合理的なのか理由が明らかでなく理由不備のそしりを免れない。川村は設計書も工事変更の通知もなしに勝手に工事をし、後から値上げを言い出したというのが事実に基づく推認であろう。

2、その工事代金の増額も全く根拠がない。主な設計変更は鋼管杭打ちを→生コンクリ―ト打ち込み方式に替えたというものである。しかし、上告人が原審や控訴理由書で明らかにしたように、川村は本体工事から付帯工事までの全ての工事を下請けにやらせたのであるが、その下請けの工事費の総額は、五千数百万円程度であり、元の契約金7800万円でもほとんど何もしなかった川村にはいながら数千万円の利益となるものであった。杭打ち工事だけを見ても当初の見積もり額よりも少ない金額で下請けにやらせていたことが明らかであって、そのことは上告人の訴状の段階で証拠をもって立証していた。

 原判決は、「かめお設計が平成25年2月25日に作成した実施設計書においては、本件工事の杭打ち工事(回転圧入工法)の工事費は1194万2000円とされていたこと、かめお設計が平成26年2月14日に作成した第1回変更設計書においては、本件工事の杭打ち工事(オールケーシング広報、分解型全集回転方式)の工事費は2754万1540円とされていたことが認められる。この点につき、原告は、鋼管杭打ちを場所打コンクリート杭打ちに変更した場合、金額は安くなるはずであると主張するが、この主張を裏付ける証拠は何ら提出されていないから、原告の主張を採用することはできない。」という。(下線部上告人)

 この工事代金の増額は、訴訟の重要な争点であり、生コン杭打ちの方が安くなるという上告人の原審での主張は証拠(下請けが実際遂行した本件工事の杭打ち工事費は1155万円 甲第7号証)をもって証明していた。この証拠は被上告人が開示した資料である。 鋼管杭打ちと生コン打ち込みとの工事費の差額は一般的な評価ではなく実際の費用でもって証明したのである。原判決は、判決に直結する決定的な証拠の評価について審理不尽を露呈していて、提出された証拠を確認せず、増額する必要のない工事費の不当な水増しを容認したのである。

三、下請けへの丸投げ

原判決は「上記認定事実(10)によれば、川村総合建設は、工事ごとに下請け先を選定しており、本件工事を一括して他人に請け負わせてはおらず、また、川村総合建設が本件工事の大部分を一業者に下請けさせたと認めるに足りる証拠もないから、建設業法第22条1項に違反するとする原告の主張を採用することはできない。」という。そしてその「認定事実(10)」には次のように記載されている。

「川村総合建設は、鉄骨工事につき有限会社高南製作所との間で杭地業工事につき有限会社ベイシス高知との間で、ユニット及びその他工事につき林電設との間で、鉄筋工事につき安岡工業との間で、防水工事につき仙頭防水との間で、それぞれ下請け契約を締結した(甲7,11の1~5)。」

甲第7号証の「工事作業所災害防止協議会兼施工体系図」によれば、本件工事は、①杭工事、②鉄筋工事、③鉄骨工事、④ユニット及びその他工事、⑤防水工事の 5つの工事があったが、その全部が下請けに出されたことを原判決は認めた。
建設業法第22条第1項の規定は、
「建設業者は、その請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。」となっている。
原判決は、下請け業者が一つではなく複数であるから、この法律の適用はないと判断したと考えられる。

しかし、この規定で、「一括して他人に請け負わせる」という「他人」とは、必ずしも単数企業に限定しているとは読めない。国交省の通達(甲第23号証)でも、元請け業者がその業務の全てを分割して他人に請け負わせる場合も含むと解説されている。すなわち、
「いかなる方法をもってするかを問わず」とは、契約を分割したり、あるいは他人の名義を用いるなどのことが行われても、その実態が一括下請けに該当するものは一切禁止するということです。」
請け負った元請け業者が基本的に責任をもって工事を遂行するという法律の趣旨からして、この通達は当然の解釈である。

原判決は建設業法第22条の1項の規定と、同条第2項の規定を一緒にして解釈しているのかもしれない。同条第2項の規定は建設業者は一括して工事を下請けしてはならないというものであり、第1項の規定と2項の規定を合体すれば原判決の様な狭い解釈となるであろう。別箇の法律の規定を勝手に合体させて悪徳業者に有利に捻じ曲げることは許されないだろう。

現実には、原判決は請け負った工事の全てを分割して下請けをさせればこの建設業法の規定を免れるという脱法的な考えを助長することになる。業者がそのような脱法目的をもつことはあり得るが裁判所がそのような脱法行為を容認することは法令解釈の誤りというよりも裁判所の倫理性が問われる事態であろう。

原判決は、建設業法第22条第1項の法律の解釈において立法者側の意図するところを性格に捉え、法律の趣旨を貫徹するという点で、審理不尽・理由不備に陥っている。

四、繰越明許の手続き

 地方自治法第208条では、「各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもって、これに充てなければならない。」という会計年度独立の鉄則が定められている。
よほどの理由がなければ予算を翌年度に繰り越して事業を行うことは許されていない。
しかし、地方自治法第213条において二つの要件を定めて、予算の翌年度繰り越し執行を認めてる。それによると、歳出予算の経費のうち①「性質上」 ②「予算成立後の事由」により、年度内にその支出を終わらない見込みのあるものについて翌年度に予算の繰り越しを認めている。ここで避難タワー建設事業ではその「性質上」というのは全く論外であるから、予算成立後の事由の有無とその内容が吟味されねばならない。

本件事業は平成24年度の分であって、平成25年3月末日までに支出(事業)を終わらせなければならなかった。少なくとも支出負担行為決議書は24年度内にしなければならなかった。しかるに、甲第18号証の1の支出負担行為決議書の日付は平成25年4月1日付になっている。繰越明許費は、年度内に予算を執行しようとしたが何かの事故など特別な事情があって執行できなかったという予算に限定されている。しかし、本件事業については、年度の終末の3月下旬にアリバイ的に入札や請負契約を結んだが、肝腎の支出負担行為を年度内にせず、はじめから翌年度に支出するということになっていた。支出負担行為の決議は予算執行(支出命令)の財務会計行為で最重要な事務手続きであり、その年度内に予算を執行するという意思表示である。

甲第18号証1の証拠は、被上告人が、本件事業を平成24年度に完遂しようという意思がはじめからなかったことを証するものである。原判決は、第1審判決13頁の下段で、県庁から避難タワー建設の手引書の発行の予定があったなど予算成立後の取るに足りない事情を縷々述べているが、その事情は、支出負担行為の決議を年度内にしなかったということまで弁護することにはならない。

又この当時には高知県下太平洋沿岸の市町村で多くの避難タワー建設がすすめられたが、県庁の手引書発行を理由として工事が滞ったという事例は1件も報告されていない。
年度末になって設計書を作成したり、建築確認申請をしたり、請負契約の入札をしたり、あまつさえ支出負担行為の決議を翌年度にするなどというのは、はじめから年度を超えての予算執行を目論んでいた証拠であるから、繰越明許の制度を使うことは理由がなかったのである。

原判決は、甲第18号証1の書証の意味を理解せず、地方自治法第213条の繰越明許の規定の意味を吟味せず、特段の理由もないのに本件予算の繰越明許を認めたものであって、法令適用、法令解釈において審理不尽・理由不備を来している。
繰越明許が不法行為であり無効となれば、本件支出の財源が消え、支出命令の根拠を失う。
   

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ヘリポート上告理由

News & Letters/502

平成28年(行サ)第4号
損害賠償請求行政上告提起事件
上告人 澤山保太郎
被上告人 東洋町長松延宏幸
上告理由書
                    平成28年7月  日
最高裁判所 御中
                    高知県安芸郡東洋町川内405番地1
                    上告人 澤山保太郎                
   【上告理由の要旨】

上告人は、第1審、第2審が本件について理由なく門前払い扱いで審理しなかったことは、憲法で許された国民の裁判権をないがしろにするものであり、また、その判断がこれまでの住民監査請求の期間についての最高裁判例の大勢の流れを全く無視するものであり、また、原判決には判決に影響のある重要な判断で審理不尽・理由不備があり、到底受け入れることができないので上告する。

本件第1審、第2審の判決内容は、これまで積み重ねられてきた以下の最高裁判例に著しく背反している。

①昭和53年6月23日最高裁第3小法廷判決(昭和52年行ツ第84号)
②平成14年7月2日最高裁第3小法廷判決(平成12年行ヒ第51号)
③平成14年7月18日最高裁第1小法廷判決(平成12年行ヒ第76号、85号 )
④平成14年10月3日最高裁第1小法廷判決(平成9年行ツ第62号)
また、
⑤平成9年1月28日最高裁第3小法廷判決(平成6年行ツ206号) 
等に違背するものである。

      【上告の理由】

【一】本件の概要   
  
東洋町は、平成25年6月に町議会で防災施設整備事業の予算を提案可決して2筆の山地を購入し、その土地上に平成26年11月に整備事業を完成させた。
上告人は、翌平成27年5月8日に購入した2筆の土地のうち本件整備事業で全く利用されなかった土地について監査請求を行った。整備事業終了後約半年が経過しただけであった。東洋町の監査委員会では、監査請求は請求期間を徒過しているとして却下したので、住民訴訟に及んだが、1審、2審とも請求期間を徒過しているとして却下又棄却した。
いづれも、防災施設整備事業の中で土地購入の財務会計行為を独立(継続的なものではなく「一時的」なもの)したものとして土地購入時点(平成25年7月)を起算点として判断したものである。

【二】原判決の最高裁判例違反及び法令適用の誤り

一、 しかし、第一に、上告人は、特定目的のための土地購入は、その目的の事業と切
り離すことは不自然であり、土地購入→施設建設は一連の継続事業であることは明らかであり、その土地購入の適否の評価は購入目的である施設建設抜きには不可能であって、継続事業として一体的に捉えられるべきであると考える。事業が継続中にその事業の一環としての土地購入の適否について監査請求はできない。この主張は上告人独自の見解ではない。上告人の主張は、平成9年1月28日の最高裁判例(平成6年行ツ第206号)の趣旨に合致するものであり原判決はこれに違背するものである。

すなわち、最高裁判例は
「財務会計上の行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実とする住民監査請求において、右請求権が右財務会計上の行為のされた時点においては未だ発生しておらず、又はこれを行使することができない場合には、右実体法上の請求権が発生し、これを行使することができることになった日を基準として同項の規定を適用するべきものと解するのが相当である。」という。

 従って仮に原判決が言うように本件監査請求がいわゆる不真性怠る事実に係る請求であったとしても上に引用の最高裁判例が該当する。土地を購入した時点では、土地の利活用の有無は判断できず、その上の施設建設の完了を待たなければ、財産管理の不正について監査請求はできない。上告人の監査請求書に「不正な支出」とあるのはあくまでも施設建設後の土地利用の状況から遡及して判断したものであることは明らかであろう。

 本件土地購入の平成25年6月~翌26年11月が本件整備事業の継続的な期間であり、それが終結した平成26年11月を起算点として監査請求期間を算定するべきであるから、それより半年後の本件監査請求は適法であると考える。

二、また、第二に、本件監査請求では、土地代金が法外に高額であり、ただ同然の山地を坪数百万円で購入しているが、請求自体は、本件整備事業で使用されなかった土地に限定しており、その代金を不正支出であるとして地主に土地を返し、その分の土地代の返済を求めることを請求したものであって、土地の購入代金が不当に高額だとか、本件支出命令が違法だとかという追求は第二義的なものにすぎない。

本件監査請求は明らかに、購入した土地という不動産の管理についての請求であって、活用されない土地についての処分(土地の返還と代金の返還の請求)を問題にしている。
原判決が言うように、「特定の財務会計上の行為を違法であるとし、当該行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実としている・・」(いわゆる不真性怠る事実)などというものとは全く事案を異にしている。土地という財産購入そのものについてではなく、購入した土地の活用の在り方から本件請求はなされている。

原判決は、昭和62年2月20日の最高裁判例を誤って適用しているといわざるを得ず、本件が地方自治法第242条第1項の、違法に財産の管理を怠る事実(真正怠る事実)についての監査請求であることを見ず、法令適用の明らかな誤りを犯したものというべきであって、昭和53年6月23日最高裁第3小法廷判決(昭和52年行ツ第84号)に反する。すなわち、

この最高裁判例は、「当該規定による怠る事実に係る請求については、同条2項の適用はないとと解すべきものであるから、被上告人らの本件監査請求については所論の期間徒過の違法はない。」とした。「当該規定」というのは地方自治法第242条第1項の規定である。

三、またさらに、

  原判決は、購入したが全く使用しなかった「本件土地1」(高知県安芸郡東洋町河内字大野部1436番14)を含む「それ以外の部分」について、元々この土地上には防災施設をはじめから建てる予定がなかったものであると認定した。すなわち、
「本件土地のうち、実際に防災拠点施設等が建設されるのは本件各土地のごく一部であることや、本件各土地のうちそれ以外の部分については、防災拠点施設等が建設することが予定されていなかったことも知ることができたといえる。」(第1審判決9頁)という。
本件防災拠点施設が建設されたのは「本件土地2」(東洋町河内字大野部1436番1)16町歩の一部(約5反)ほどであり、もう1筆の「本件土地2」の上には全く何も建てられなかった。

「本件土地2」も「本件土地1」も町議会では別箇の議案としてそれぞれ防災拠点施設建設の名目で購入が提案されて、可決したものであるが、曲がりなりにも前者の土地のごく一部上には防災施設が建てられたが、後者「本件土地1」上にははじめから施設建設が予定されていなかった、それは誰でもわかることであった、と原判決は言うのである。
だれでも知ることができたのかどうかは別として、使用しない土地であることがはじめからわかっていて、それでもなおこの土地(地元土建業者所有)を相場の数十倍の値で購入したという行為は、背任の罪に該当することは明らかである。

購入したが結果として利用しなかったというのではなく、原判決は、はじめから利用する計画はなかったというのであるから、犯意は明瞭であろう。

このような職員の背任など不法行為に原因する損害に係る監査請求では、本件行為が、財務会計行為の違法によるかどうかの判断に基づく期間の計算による制限(地方自治法第242条第2項規定)は該当せず、いわゆる真正怠る事実の違法(本件の場合刑法に係る不法行為による損害についての請求権)についての監査請求期間(期間制限なし)でもって判断されるべきである。これは上告人の独自の判断ではなく、平成14年7月2日最高裁第3小法廷判決(平成12年行ヒ第51号)の判示するところである。

すなわち、
「本件監査請求について監査委員が監査を遂げるためには、県の財務会計行為である請負契約の締結の事実やその代金額が不当に高いものであったか否かを検討せざるを得ないが、Xらの行為が不法行為法上違法の評価を受けること、これにより県に損害が発生したことなどを確定しさえすれば足り、県の契約締結やその代金額の決定が財務会計法規に違反する違法なものであるか否かを判断しなければならない関係にないから、本件監査請求には本件規定は適用されない。」

適用されない「本件規定」というのは地方自治法第242条2項の監査請求期間1年以内という規定のことである
本件の場合も、土地代金の法外な高さを指摘したり、不要となった土地の代金についてこれを「不正な支出」と断定し財務会計行為の違法性を追求せざるを得ないが、その不正の内容は、財務会計行為上の不正だけでなく背任という不法行為であり、背任行為としての評価を理由に不要な土地の返還と代金の回収を求めていることは明らかである。
上に引用した最高裁判決の趣旨は、平成14年7月18日最高裁第1小法廷判決(行ヒ第76号ないし第85号)、さらに平成14年10月3日最高裁第第1小法廷(平成9年行ツ第62号)のそれぞれにおいて繰り返し引き継がれている。

四、被上告人は、2筆の各土地について町議会で別々に防災拠点施設建設用地として提案
理由説明(甲第3号証1,2)を行った。その当時一般町民がその提案理由説明を疑うこと
ができたであろうか。原判決のいうように「本件各土地のうちそれ以外の部分について
は、防災拠点施設等が建設することが予定されていなかったことも知ることができたと
いえる。」という。購入した2筆は合わせると21町歩であり、利用したのはそのうちわ
ずか5反ほどであった。丸まる1筆6町ほどを合わせ残り20町5反について何も利用
する計画がないなどという東洋町側の説明は町議会でも町の広報誌でも何にも知らされ
ていない。

 議会での土地購入議案の説明では、2筆の土地に防災拠点施設を作るというものであった。被上告人やその一部の部下以外に、提案理由説明以外の意図(土地は購入するが利用するわけではない)を誰が見抜けたであろうか。
特定の目的に使わないということが一般に分かるのは、その特定目的の事業が完了してからであって、数年度にわたるその事業中では分からない。

 従って上告人の監査請求は、土地購入して施設建設が行われた平成25年~27年11月までは、土地代が高額だとか、支出命令が違法だとかいう監査請求はできるが、購入した土地が購入目的に適っているかどうかについての財産管理にかかる監査請求はできない。早くても平成27年度の当初予算(平成27年3月下旬に議会に上程される)にその土地上に施設建設の追加予算計上があるかどうかを確認してから監査請求するのが関の山であろう。上告人は平成27年3月議会終了の1カ月後に本件監査請求をした。

 首長が当初から利用する計画がないのに、あたかも一定時期に利用するかのように議会や町民を偽って財産を購入した場合、それが一部は本当だが大半は偽りであるということは分からないから、いよいよ利用する計画がないという事実を確認してからでないと監査請求はできない。このように事件が隠されたり、住民をだましたりして行
われた事件の場合には地方自治法第242条第2項で請求期間を超過する監査請求であ
っても「正当な理由」があればこれを認めることになっている。

最高裁第1小法廷平成14年9月12日の判決(平成10年行ツ第69号)は、
 「法242条2項本文は、普通地方公共団体の執行機関、職員の財務会計上の行為は、たとえそれが違法、不当なものであったとしても、いつまでも監査請求ないし住民訴訟の対象となり得るものとして置くことは法的安定性を損ない好ましくないとして、監査請求の期間を定めている。しかし、当該行為が普通地方公共団体の住民に隠れて秘密裏にされ、1年を経過してから初めて明らかになった場合等にもその趣旨を貫くのが相当でないことから、同項ただし書きは「正当な理由」があるときは、例外として、当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過した後であっても、普通地方公共団体の住民が監査請求をすることができるようにしているのである。」という。

 原判決は、既述の通りはじめから全く利用しないとして少なくとも1筆の土地を購入したというのであり、住民をだました事実を実質的に認めたのである。本件土地購入には一部は防災拠点施設建設用地に供するという計画以外に隠された意図があったの
でありこの場合、地方自治法第242条第2項の「正当な理由」の規定を適用するべき
であって、原判決はこの適用を誤ったものである。

三、原判決の審理不尽又は理由不備

1、原判決は、本件監査請求について「本件各土地に係る売買契約及び支出命令が違法であるとし、当該行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実としたもの」(第1審判決10頁下段)であると認定して本件訴えを棄却した。

しかし、第1審判決8頁上段「カ 本件監査請求の趣旨の記載は、次の通りである。」として(ア)、(イ)の二項に分けて認定しているが、その内容は明らかに判決が言うようなものではない。

(ア)も(イ)も両方の請求内容は、「不正な支出」を追及するものであるが、主眼は不要である土地について「相手地主に土地を返し代金を返還」してもらうことを請求するものである。原判決、第1審判決もその記載を認めている。それは本件購入土地のうち、利用されなかった土地についての監査請求であり、売買契約や支出命令が違法であるかどうかについてではない。

不要となった土地の地主への返還、代金の回収を求める請求は、売買契約や支出命令を前提にしている。公金の「不正支出」の指摘の記載があるからといって、本件請求の趣旨が支出命令等の違反に限局されることはない。購入した土地の利用、財産の処分についての監査請求であることは(ア)、(カ)に分けて認定された通りであり、原判決は本件監査請求について認定した事実(真正怠る事実)と棄却(却下)した理由(不真性怠る事実)との間で大きな乖離があり、審理不尽か理由不備のそしりを免れない。もし、原判決が言う通りであれば、「当該行為の違法、無効」として本件整備事業のうち全ての土地代金をまな板に載せる必要があり訴訟の請求金額が大きく相違しなければならない。本件は、利用する予定のない土地についての監査請求であり、予定がなかったことについては知り得ないことであった。

2、第1審(原)判決は、9頁下段で、「本件土地のうち、実際に防災拠点施設等が建設されるのは本件各土地のごく一部であることや、本件各土地のうちそれ以外の部分については、防災拠点施設等が建設することが予定されていなかったことも知ることができたと言える。」(下線上告人)と判断したが、どうして「知ることができた」と言えるのか理由が何も記載されていない。本件について町民が知ることができるのは議会議事録や町の広報誌などごく限られたものであり、それらから、購入した土地のごく1部しか使用しない、という計画を知ることは全く不可能であろう。被上告人は議会で、「本件土地1」の上にも防災施設を作るという提案理由説明を議会でしたが、議員も住民もこれをウソであると断定することは不可能である。

仮に資料の開示請求をして当年の事業の規模を知ることができても、次年度以降の計画の有無は分からないから、議会議決字はもとより施設建設中に、購入した土地がついには無用の長物になると推定することは極めて困難であろう。「本件土地1」を含む購入した土地の大部分を利用するかどうかについて、利用しないということを、知ることができたのか、知ることができなかったのか、は本件監査請求について明暗を分ける重要な判断であるから、これについて原判決が明確な根拠を何も示さないというのは、理由不備もはなはだしい。

3、原判決は、上掲の通り、本件購入土地約21町歩のうちごく一部(約5反ほど)しか使用せず大部分が使用予定がないということを分かって購入したことを認めた。
 このことは、地方自治法第2条第14項(最小の経費で最大の効果)や地方財政法第4条(必要且つ最少限度の支出)の規定に違反するだけでなく、町に対して明らかに背任行為であることを認めたものと考えられる。「本件土地1」の所有者は地元土建業者であって、その業者の利益を図って無用であると分かっている土地を購入したということになる。原判決は、不法行為の実質を認定していながら、その不法行為による東洋町の損害について、又その損害についての監査請求を認めない。財務会計行為上の不法行為とは関係のない不法行為による損害についての監査請求は請求期間の制限は受けないというのは上掲最高裁判例である。

 背任の事実を認定して、それによる損害についての監査請求を否認するのは、前提と結論が齟齬を来していて、原判決は重要な判断において理由齟齬、理由不備であるといわねばならない。

4、使用しない、予定にない、ということを知っていながら土地や物件を買う行為について原判決は、まさか裁判官がそれを当然のことと考えている訳はないと考えるが、これを不法行為であると認定しなかった。
これは、本件事案において中核的な事実であり、これの不法性を認定しないのは重大な判断の脱漏であって、判決を左右する審理不尽である。最高裁判例では審理不尽は上告理由として通用している。
また、上告人は、第1審、2審において、本件整備事業のうち、資機材格納倉庫の工事ついては、前年度の予算が基本的に流用されており予算の繰越明許の手続きを経ていない違法なものであると主張してきたが、これについては工事の完成は平成26年11月であるから請求期間1年以内の監査請求であった。原判決はこれについても判断を脱漏しており、数千万円に上る重要な支出についての違法性を理由なく没却したものであって、到底納得できない。

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2016年4月 6日 (水)

高松高裁差戻し審 準備書面2,3

高松高裁差戻し審 準備書面2,3

News & Letters/474

平成28年(行コ第8号)損害賠償請求控訴事件(差戻し審)
控訴人 澤山保太郎
被控訴人 東洋町長松延宏幸
        控訴人準備書面(1)
                  平成28年 月  日
                   控訴人澤山保太郎

控訴人は以下の通り弁論を準備する。
控訴人の主張は、最高裁での答弁書に基本的に述べたとおりであるが、なお確かな書証を提出し主張を補充する。

【一】、昨年平成28年1月22日の最高裁第2小法廷の本件差戻の判断(本件最高裁判決と呼ぶ)について

1、判断の趣旨

①、最高裁昭和50年(オ)第326号・同54年2月23日第2小法廷判決(これを54年最高裁判決と呼ぶ)に基づき、特別の利害関係を有する理事を除いて議決権を有する理事のうち過半数の理事の議決があればその理事会議決は有効であるところ、本件理事会もその要件を満たしている。

②本件規則が効力を生じていないものであっても、本件規則に基づく貸付と同様の目的を有する貸付をしたものであり、有効な理事会議決を基に本件支出負担行為等をしたものであるから、被控訴人(上告人町長松延宏幸)はその裁量権を逸脱したものではない。

③なお本件について被上告人が言うその他の違法事由がないかどうか吟味するため差し戻す。
ひっきょう、最高裁は、過去の最高裁判例の論理を本件に適用したものである。 
 
2、最高裁判例の覊束性 

最高裁自身は実際に本案に関する事実について審理をしていないから、特別利害関係理事についての論理以外には、本件に係る重要な事実全体については最高裁判決の拘束力はない。
最高裁判例(最高裁第3小法廷昭和35年(オ)第571号昭和36年11月28日判決)によれば、
上告審は原審の適法に確定した事実に羈束されることは民訴四0三条の明定するところであるから、同法四0七条二項にいわゆる「事実上の判断」とは、職権調査事項につき、上告審のなした事実上の判断だけを指すもので、訴えの本案たる事実に関する判断を含まないものと解するのが正当である。もし同条同項の「事実上の判断」を所論のように解するならば、差戻前の控訴審において確定した事実は差戻後の控訴審を羈束することになり、民訴法の精神に反すること明白である。とする判例がある。
そうすると、本件理事会の成立についての最高裁判決は、その判断(上掲の特別利害関係理事の議決に関する論理適用)の基礎となる真正なる理事名についての事実等については全然吟味していないから、本控訴審においてそれについてはじめて確定し、正しい裁判の基底的事実を明らかにする必要がある。

3、時機を逸した主張

被控訴人が上告理由書又は上告受理申立理由書に掲示した野根漁協の8名の理事会名簿については、被控訴人は第1審、2審をつうじて全然提示せず、その正当性も何ら主張していなかった。8人の理事名は突如上告理由書等に出してきたものである。
被控訴人が1審、2審を通じて出した理事名は乙第1号証の「臨時総会議事録」の末尾に活字で掲載されたものしかなくそれも6人だけである。控訴人は第2審で野根漁協の当時の正規の理事を示すものとして甲第33号証を提出し、それを補強するものとして最高裁へ甲第37号証の2(総会議事録)を提出した。
なお、それらを客観的に実証するものとして今回甲第39号証の2(高知県庁が保管していた平成23年度野根漁協の「業務報告書」)を提出する。これに記載された理事が真正な理事である。

一体最高裁は1審、2審で確定もしていないのに、最高裁へ突如出した被控訴人作成の理事会名簿をもとにして、54年最高裁判例を適用できるであろうか。
 新たな事実を主張するのであればそれ相当の証拠が必要ではないだろうか。
 民事訴訟法第156条(攻撃または防御の方法)の趣旨からして第2審の弁論終結までに本件理事について主張又は証拠の提出をするべきであろう。

4、最高裁判断の基礎となった本件の事実関係について

本件についての最高裁の判断は、主として理事の中の特別利害人にあたる者が、理事会議決に参加したことについてであった。しかし、当時野根漁協の組合理事が誰であるかについて1審、2審、最高裁でも事実を確定していない。真実の理事が誰であるかをはっきりさせていないのに、理事会の出席者のうち利害関係理事が誰であるかとか、残る理事数の多寡について論じて判断をするということは全くの空論であって、地元の漁師の嘲笑の対象でしかない。被控訴人はでたらめな理事名簿を初めて作成し、それをもとにして特別利害関係の理事に関する昭和54年最高裁判決の趣旨を元に上告したが、最高裁はその理事名簿を真に受けて判断したからである。

差戻審以前の元の高松高裁で控訴人は、甲第33号証を示し、正規の理事名簿を明らかにしたが裁判所はそれを採らなかった。従って正規の理事名簿は確定されないまま、現在にいたっている。今回新たに提出した書証(甲第39号証)は甲第33号証を実証するものであり、この真正なる理事会名簿をもとに審理をし直せば本件最高裁判断とは正反対の判断がなされると考える。

【二】控訴人の主張

本件野根漁協の理事会の事実関係については、最高裁へ控訴人が提出した「答弁書」のとおりであるが、最高裁は本件理事会について特に事実関係については審理しなかったのでここでその要点を述べ新たな補充意見を述べる。

一、理事の親族関係及び部外者の参加などについて

 上掲昭和54年最高裁判決に基づく本件最高裁判決は、「漁業協同組合の理事会の議決が、当該議決について特別の利害関係を有する理事が・・・」(4頁)となっている。
被控訴人が主張した上告理由書や上告受理申立理由書が掲げた理事名は以下の8名であった。
松吉菊蔵   井崎勝行      (松吉菊蔵は桜井菊蔵の間違い)
*松吉孝雄  *松吉 保
桜井 勇  *松吉保彦
    *松田安信  *松吉裕也
 棒下線部は、正規の理事ではなく部外者である。

本件貸付金は松吉保の保有する小敷組合に対してなされたものであり、借主の名義はその息子の松吉保彦である。
今ここで「小敷組合」と名のっているが組合とは名ばかりで法的に何ら組合的実体を持つものではなく、単に松吉保一家数人が経営する個人漁家である。
 *印は松吉 保一家の利害関係者である。この8人中の部外者には現在犯罪事件で収監中の者もいる。
このうち、被控訴人が平成23年11月3日の本件理事会に出席したというのは
     桜井菊蔵   井崎勝行
*松吉孝雄  *松吉 保
桜井 勇   *松吉保彦

 の6名だという。被控訴人(上告人)の上告理由書及び上告受理申立理由書での主張及び本件最高裁判決はこのうち松吉 保は本件貸付金を受ける当事者でありその息子松吉保彦との2人は特別利害関係を有する理事として決議から除外するとした。
しかし、特別利害関係をもつ理事はもう1人松吉孝雄がおり、これは戸籍謄本(甲第40号証)が示す通り松吉保の実弟にあたる者である。松吉という名字は東洋町野根地区の特定の姓であり、その性を名乗る者が、姻戚関係であることはほとんどのものが知っている。被控訴人は、税務課長を務め、住民の家族関係は熟知していたはずであり、本件理事中特別利害関係人が3人いることは承知していながら、人数をごまかしたと思われる。しかも問題は、松吉 保は正規の理事ではなく利害関係人ではあるが部外者である。(甲第33号証参照)

昭和54年の最高裁判例も、被控訴人による上告理由書の主張でも「特別利害関係のある取締役」又は「特別利害関係を有する理事」についてである。
松吉保彦は、特別利害関係を有する理事であるが、その実父松吉 保は、本件貸付金の実際の対象者であり特別利害関係人であるが、「特別利害関係を有する理事」などではなく、部外者にすぎない。

従ってこの松吉 保の理事会出席・議決参加については昭和54年最高裁判決も本件最高裁判決も該当しえない。理事の出席・議決参加を前提にした最高裁の判決(その他特別利害関係人についての取締役会に関する他の判例、学説や論評)は、部外者の理事会への出席及びその議決参加については、何も判断せずその判断の埒外であり、別個の問題である。会社法も特別利害関係を有する取締役または理事についての除外規定である。

すなわち、特別利害関係を有する部外者の取締役会や理事会への出席、議決参加の場合、その理事会なり取締役会の議決は有効であるのか、それもまた単にその部外者を除けばよいというものであるのか、ということの裁判所の新たな判断が必要なのである。

もとより控訴人は部外者が介入してなされた審議さらに議決は無効であると主張するが、被控訴人または裁判所は、無資格の部外者が介入した理事会なり委員会なりでの議決が有効であるというのであれば、その根拠となる法令又は判例を示すべきである。
正規の理事会に、ある特定議案を強く支持する部外者が介入(議決参加)してもその理事会は有効であるとすると、暴力団員などその理事達を圧服できる有力部外者を出席させ影響力を行使させて議決をしても構わないということになるであろう。

二、真実の理事

甲第33号証(甲第37号証の2、甲第39号証)の野根漁協の理事が当時の正規の理事である。すなわち、
    桜井菊蔵   *松吉保彦
    井崎勝行    桜井淳一
   *松吉孝雄    桜井春雄
    桜井勇     松田博光

 の8人である。(*印は松吉保、松吉保彦親子の特別利害関係者である)
甲第33号証のこの正規の理事は、平成21年5月の野根漁協定例総会で選任(重任)
されたもので任期は3年間であるから、本件当時の真正の理事である。
 この8人の理事のうち、桜井春雄、松田博光は理事就任以降段々に辞意を表明していた
が、当該組合は後任の理事を決めなかったので定款の定めによりこの者たちも理事とし
ての義務を果たす責任があった。しかも、この3人のうち桜井淳一は本件事件の直前ま
で組合長を長年勤めていて、本件貸付について賛同していなかった。

桜井淳一が組合長を辞任の届けを組合事務局に提出したが、理事を辞任した訳ではない
ことは、組合関係者皆が知っていたし、被控訴人も知っていた。
この8人のうち、松吉保彦と松吉孝雄の2人は松吉保の息子と実弟であるから特別利害
関係を有する理事で議決権がなく除外される。議決権のある6人のうち、桜井淳一、桜
井春雄、松田博光の3人は理事会に招集されず欠席した。出席したとされる残りの者は、
桜井菊蔵と井崎勝行と桜井勇の3人だけである。議決権のある6人のうち出席者が3人
では過半数とはならない。しかも甲第21号証によれば、桜井勇は、その日出漁してい
て理事会に出席していないから、実際は桜井菊蔵と井崎勝行の二人だけの出席である。

甲第33号証が正規の理事を示すものであることは、前述の通り野根漁協の定例総会の議
事録及び今回提出する業務報告書によって実証される。
 高知県の監督部署が保有する業務報告書は誰でも開示請求すれば手に入るものである。
 したがって、被控訴人が最高裁へ出した理事名簿は虚偽であり、それが虚偽であること
を被控訴人は知っており、真実の理事名簿に基づけば本件理事会は成立していないこと
も分かっていたはずである。とりわけ被控訴人が掲示した理事名簿中に町内では悪名高
い男(現在高知県警の留置場に凶悪事件で逮捕され収監中)を入れたことは、全くふざけた
行為であって最高裁たるものがおちょくられ(馬鹿に)されたも同然である。

裁判所を愚弄する不敬の行為である。地元の町民の多くは東洋町内でこの男が漁協の理
事になる最後の人間であることを知っているからである。理事会の成立に問題があると
した第1審、第2審の判断は、正しかったのである。

三、実際の理事会

1、平成23年11月3日の理事会は実際に開かれたのか。1枚の理事会議事録(甲第11号証)以外にはそれを実証するものは何もない。
 本件理事会については、被控訴人は1審、2審を通じてその理事会決議の成立について自ら否定的であった。第1審、第2審の判決も否定的であった。本件最高裁判決は、被控訴人が自ら否定的であった理事会についてどのように認識して判断したのであろうか。
 理事会議事録があったとしても、下級審での理事会開催・成立についての主張や裁判官による認定がなければ、最高裁としては判断できないはずである。
 第2審判決だけではなく、第1審判決も理事会の成立について「11月3日の理事会決議には手続上の瑕疵がある可能性がある。」としていた。
 これに対し被控訴人の方は、第1審準備書面(2)において理事会成立について積極的には主張せず、「何らかの瑕疵があったとしても・・・理事会の瑕疵の有無を問題にする余地はない」、などと争点化を避け、第二審準備書面(5)においては「総会の決議は理事会の決議より優先する。」などといって本件理事会の成立を自ら否定するかのような主張を繰り返してきた。

2、当該野根漁協の事務所には理事会開催時には必ず2台の録音機で記録され、その録音テープが保存されることになっているというが、本件理事会についてはそのようなものは存在していないという。理事会には必ず立ち会う2人の組合事務員の話では、理事会の議事録は作成したが、6人の者が理事会を開いた事実はなく、作成した議事録に個別に署名押印しただけであり、実際には理事会そのものは開催されていない、という。
この事実について本控訴審で明らかにしなければならないし、実際に開かれていなかったという事実について、被控訴人は知っていたと思われる。

四、虚偽の事実

1、被控訴人が最高裁に出した理事名簿は虚偽であることは上記のとおりである。
この虚偽の8人の理事のうち、松田安信(松吉保小敷の現場責任者)及び松吉裕也(松吉
保の孫)は理事になった覚えはない、と現在の野根漁協理事会に証言(甲第41号証1、
2)している。
 被控訴人は、松吉保らとはかって、部外者である松吉保、松田安信、松吉裕也を急遽理
事と言うことに仕立てたと考えられる。
これらの名前は、本件について調査するために事件後作られた特別調査委員会が組合事
務所に置いてあった関係資料を収集し甲第21号証(中間調査報告書の添付資料)として
収録した中の数枚の「確認書」中に理事として記載されていたものであって、それらの書
類は正規のものとは認められていない。
 特別調査委員会は、平成24年本件事件後、野根漁協の臨時の組合総会で1000万円の借受けが組合員全員から拒絶され、借受けを推し進めた理事(桜井菊蔵、井崎勝行ら)が一斉に退任した後に県庁の指導のもとに設置されたものである。
2、松吉保彦は別として松吉孝雄が松吉保、松吉保彦の特別利害関係理事であることについては、その姓「松吉」が東洋町内では特有の名字であり、その姓を持つ家族はごく限定されていて姻戚関係にあるということは東洋町職員であった被控訴人にはよくわかっていた。
 被控訴人の上告理由書などで掲げて8名の理事名簿中、5人の特別利害関係人があるのに、それが松吉保と松吉保彦親子の2人だけだと主張したのは詐罔である。

【三】、今回の最高裁が依拠した昭和54年2月23日の最高裁判例について

一、54年最高裁判例の例外
特別利害関係取締役(または理事)が出席して会議を行い利害関係のある決議に参加
した場合、昭和54年最高裁判決の趣旨がそのまま適用されない場合がある。
すなわち、特別利害関係取締役(理事)が議長となった場合である。その場合、議事の
進行や議決が可否同数になった場合など、議事を自己に都合のいい方向で運営し決着さ
せる恐れがあるからである。 本件の場合は、これと同等の評価が与えられるべきであ
ると考える。

 すなわち、利害関係理事が議場で絶対多数で議決権を行使した場合である。
 被控訴人が最高裁に出した上告理由書に掲示された理事8名が仮に真正なものとして、
 8名のうち6名の理事が出席したというその6名は、松吉保、松吉保彦、松吉孝雄の特別
利害関係者3名と桜井菊蔵、桜井勇、井崎勝行の3名であるが、議長は組合長の桜井菊
蔵が務めることになっているから議決に参加したのは5人であり、特別利害関係人3人、
そのほかは2人である。特別利害関係者が絶対多数である。
 議場で絶対多数を占める者たちは議長を自由にすげ替えることが出来る。自分たちの意
に沿わぬ議事進行をする議長は特別利害関係の理事か他の者に交代させることが出来る。
無論議事全般を思う通りに左右する事が出来る。特別利害関係人がそのような勢力を持
つ場合、特別利害関係者が議長となった場合と比較すれば議場における影響力は同等か
それ以上である。特別利害関係者が議場で絶対多数を占めた状況で議決がなされた場合
でもそれが有効であるとするなら、特別利害関係役員の議決参加を規制した会社法や水
産業協同組合法の本来の趣旨は意味をなさない。
最高裁の判例にもかかわらず、学説では、
「当該決議について、特別の利害関係を有する取締役は決議に加わることはできないので、決議に加わった場合は、決議の無効事由になる。当該取締役を除外しても決議が成立した場合は、無効にはならないとの考え方もあるが、具体的な事情にもよるがその影響からみて一般的には取りえない。」
(新谷勝著「会社訴訟・仮処分の理論と実務」207頁
 裁判所は法令の趣旨を実現するのが本来であり、例外を一般化すれば悪用の風習が大手をふるうことになる。例外を適用するには特段の事情の説明が必要である。

二、54年最高裁判例の性質

 判例、とりわけ最高裁判例は、一般的に以後の同様のケースで判断の基準となる。
 しかし、本件の54年最高裁判例は、それ以降の事件について判断の基準として使えるかどうか慎重に考慮する必要がある種類のものである。
この54年最高裁判例では、特別利害関係の取締役なり理事が、たまたま利害関係人であったから、それを控除して・・・ということであるが、この判例以降では、特別利害関係人の役員が取締役会なり理事会に入って議決しても、後でその役員を議決から控除してなお多数の役員の議決があればその議決は有効であるということを悪用する可能性があるからである。議決に特別利害関係役員で有力者(多数の場合もある)を参加させて特別利害関係者に有利な議決をさせるということをはじめから意図的に行う可能性がある。

そのような意図があったかどうかということを判別することは不可能である。
最高裁の判例の趣旨は、特別利害関係の役員の議決への参加を許容したわけでもない。
あくまでも法律の通り利害関係役員の議決への参加は禁じているが、結果として、そのような場合でもその役員を議決数から控除して・・・というものであろう。
しかしこの判例を目的意識的に利用して特別利害関係者が議決に参加しても無効にはならないから、それらを出席させて議場で優勢的影響力を行使して・・・・・ということになれば、特別利害関係人の議決参加を禁止した法律の存在意義がなくなるであろう。
一般的に、54年最高裁判例は、事後の事件に適用することは不適当と考えられるが、特に議決に参加した特別利害関係役員が数的に多勢であるとかその影響力が相当強いなど、特別利害関係人がその議決に決定的な役割を及ぼす又は及ぼそうとしたケースでは、54年最高裁判例を悪用したものとしてその適用を排除すべきである。

利害関係人を控除するどころか、利害関係者を多数理事名簿に入れ込んで、実際の理事会の議決に持ち込み、後刻最高裁判例を挙げてその理事会の成立を主張する行為は、法令に反し、最高裁判例の趣旨を悪用するものに外ならない。すなわち本件では、被控訴人は、1審、2審を通して理事会の成立や特別利害関係の理事の議決参加については、実質的に何も論じなかったにもかかわらず、2審判決を受けてから、54年最高裁判例の趣旨に着目し新たに特別利害関係の理事を多数構えて最高裁への上告に及んだと考えられる。
実際には議場で優勢的影響力を行使して、法的にはその影響力がなかったかのようにそれを控除する。すなわちたとえば、①8人の理事中5人が特別利害関係理事としそれらが議決に参加してあとから5人を控除するやり方(残り3人が有効で2人で成立となる)と、②8人の理事中2人が特別利害関係理事として議決に参加したのち2人を控除するやり方(残り6人が有効で4人で成立)とを比較すると、本件のように特別利害関係理事を多くすればするほど理事会の成立は容易になる上に、議場で大きな影響力を行使できる。
 これと同じ傾向が招集通知漏れの事件(最高裁昭和44年12月2日の判例)についてもあり、この判例を不用意に適用することによって反対派の取締役に取締役会開催の通知をせず、あらかじめこれを除外して重要な議案を議決してもよいという風潮が懸念されているのである。

54年最高裁判例が決して特別利害関係理事(又は取締役)の議決参加を容認するものではない以上、54年最高裁判例を意図的に悪用した恐れのある事例では、これをみだりに適用するべきではない。

【四】その他の重大な法令違反について

本件貸付に係る手続き上の重大な法令違反については、最高裁に提出した控訴人の「答弁書」に主張した通りであるが、新たな事実の指摘を含めて次回の準備書面(2)を提出する。

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2016年4月 5日 (火)

差戻し審高松高裁 準備書面

News & Letters/473

東洋町長松延宏幸が虚偽の理事名簿を最高裁に提出し、そのウソが功を奏して野根漁協の1000万円不正融資事件
の差戻し審がこの4月20日午後1時20分に高松高裁で開かれる。
そのため準備書面を用意した。

平成28年(行コ第8号)損害賠償請求控訴事件(差戻し審)
控訴人 澤山保太郎
被控訴人 東洋町長松延宏幸
        控訴人準備書面(1)
                   平成28年 月  日
                         控訴人澤山保太郎

控訴人は以下の通り弁論を準備する。
控訴人の主張は、最高裁での答弁書に基本的に述べたとおりであるが、なお確かな書証を提出し主張を補充する。

【一】、昨年平成28年1月22日の最高裁第2小法廷の本件差戻の判断(本件最高裁判決と呼ぶ)について

1、判断の趣旨

 ①、最高裁昭和50年(オ)第326号・同54年2月23日第2小法廷判決(これを54年最高裁判決と呼ぶ)に基づき、特別の利害関係を有する理事を除いて議決権を有する理事のうち過半数の理事の議決があればその理事会議決は有効であるところ、本件理事会もその要件を満たしている。
 ②本件規則が効力を生じていないものであっても、本件規則に基づく貸付と同様の目的を有する貸付をしたものであり、有効な理事会議決を基に本件支出負担行為等をしたものであるから、被控訴人(上告人町長松延宏幸)はその裁量権を逸脱したものではない。
 ③なお本件について被上告人が言うその他の違法事由がないかどうか吟味するため差し戻す。
ひっきょう、最高裁は、過去の最高裁判例の論理を本件に適用したものである。

  
2、最高裁判例の覊束性 
最高裁自身は実際に本案に関する事実について審理をしていないから、特別利害関係理事についての論理以外には、本件に係る重要な事実全体については最高裁判決の拘束力はない。
最高裁判例(最高裁第3小法廷昭和35年(オ)第571号昭和36年11月28日判決)によれば、
上告審は原審の適法に確定した事実に羈束されることは民訴四0三条の明定するところであるから、同法四0七条二項にいわゆる「事実上の判断」とは、職権調査事項につき、上告審のなした事実上の判断だけを指すもので、訴えの本案たる事実に関する判断を含まないものと解するのが正当である。もし同条同項の「事実上の判断」を所論のように解するならば、差戻前の控訴審において確定した事実は差戻後の控訴審を羈束することになり、民訴法の精神に反すること明白である。とする判例がある。
そうすると、本件理事会の成立についての最高裁判決は、その判断(上掲の特別利害関係理事の議決に関する論理適用)の基礎となる真正なる理事名についての事実等については全然吟味していないから、本控訴審においてそれについてはじめて確定し、正しい裁判の基底的事実を明らかにする必要がある。

3、時機を逸した主張

被控訴人が上告理由書又は上告受理申立理由書に掲示した野根漁協の8名の理事会名簿については、被控訴人は第1審、2審をつうじて全然提示せず、その正当性も何ら主張していなかった。8人の理事名は突如上告理由書等に出してきたものである。
被控訴人が1審、2審を通じて出した理事名は乙第1号証の「臨時総会議事録」の末尾に活字で掲載されたものしかなくそれも6人だけである。控訴人は第2審で野根漁協の当時の正規の理事を示すものとして甲第33号証を提出し、それを補強するものとして最高裁へ甲第37号証の2(総会議事録)を提出した。
なお、それらを客観的に実証するものとして今回甲第39号証の2(高知県庁が保管していた平成23年度野根漁協の「業務報告書」)を提出する。これに記載された理事が真正な理事である。
一体最高裁は1審、2審で確定もしていないのに、最高裁へ突如出した被控訴人作成の理事会名簿をもとにして、54年最高裁判例を適用できるであろうか。
 新たな事実を主張するのであればそれ相当の証拠が必要ではないだろうか。
 民事訴訟法第156条(攻撃または防御の方法)の趣旨からして第2審の弁論終結までに本件理事について主張又は証拠の提出をするべきであろう。

4、最高裁判断の基礎となった本件の事実関係について

本件についての最高裁の判断は、主として理事の中の特別利害人にあたる者が、理事会議決に参加したことについてであった。しかし、当時野根漁協の組合理事が誰であるかについて1審、2審、最高裁でも事実を確定していない。真実の理事が誰であるかをはっきりさせていないのに、理事会の出席者のうち利害関係理事が誰であるかとか、残る理事数の多寡について論じて判断をするということは全くの空論であって、地元の漁師の嘲笑の対象でしかない。被控訴人はでたらめな理事名簿を初めて作成し、それをもとにして特別利害関係の理事に関する昭和54年最高裁判決の趣旨を元に上告したが、最高裁はその理事名簿を真に受けて判断したからである。

差戻審以前の元の高松高裁で控訴人は、甲第33号証を示し、正規の理事名簿を明らかにしたが裁判所はそれを採らなかった。従って正規の理事名簿は確定されないまま、現在にいたっている。今回新たに提出した書証(甲第39号証)は甲第33号証を実証するものであり、この真正なる理事会名簿をもとに審理をし直せば本件最高裁判断とは正反対の判断がなされると考える。

【二】控訴人の主張

本件野根漁協の理事会の事実関係については、最高裁へ控訴人が提出した「答弁書」のとおりであるが、最高裁は本件理事会について特に事実関係については審理しなかったのでここでその要点を述べ新たな補充意見を述べる。
一、理事の親族関係及び部外者の参加などについて
 上掲昭和54年最高裁判決に基づく本件最高裁判決は、「漁業協同組合の理事会の議決が、当該議決について特別の利害関係を有する理事が・・・」(4頁)となっている。
被控訴人が主張した上告理由書や上告受理申立理由書が掲げた理事名は以下の8名であった。
松吉菊蔵   井崎勝行      (松吉菊蔵は桜井菊蔵の間違い)
*松吉孝雄  *松吉 保
桜井 勇  *松吉保彦
    *松田安信  *松吉裕也

 棒下線部は、正規の理事ではなく部外者である。
本件貸付金は松吉保の保有する小敷組合に対してなされたものであり、借主の名義はその息子の松吉保彦である。
今ここで「小敷組合」と名のっているが組合とは名ばかりで法的に何ら組合的実体を持つものではなく、単に松吉保一家数人が経営する個人漁家である。
 *印は松吉 保一家の利害関係者である。この8人中の部外者には現在犯罪事件で収監中の者もいる。
このうち、被控訴人が平成23年11月3日の本件理事会に出席したというのは
     桜井菊蔵   井崎勝行
*松吉孝雄  *松吉 保
桜井 勇   *松吉保彦

 の6名だという。被控訴人(上告人)の上告理由書及び上告受理申立理由書での主張及び本件最高裁判決はこのうち松吉 保は本件貸付金を受ける当事者でありその息子松吉保彦との2人は特別利害関係を有する理事として決議から除外するとした。
しかし、特別利害関係をもつ理事はもう1人松吉孝雄がおり、これは戸籍謄本(甲第40号証)が示す通り松吉保の実弟にあたる者である。松吉という名字は東洋町野根地区の特定の姓であり、その性を名乗る者が、姻戚関係であることはほとんどのものが知っている。被控訴人は、税務課長を務め、住民の家族関係は熟知していたはずであり、本件理事中特別利害関係人が3人いることは承知していながら、人数をごまかしたと思われる。しかも問題は、松吉 保は正規の理事ではなく利害関係人ではあるが部外者である。(甲第33号証参照)

昭和54年の最高裁判例も、被控訴人による上告理由書の主張でも「特別利害関係のある取締役」又は「特別利害関係を有する理事」についてである。
松吉保彦は、特別利害関係を有する理事であるが、その実父松吉 保は、本件貸付金の実際の対象者であり特別利害関係人であるが、「特別利害関係を有する理事」などではなく、部外者にすぎない。

従ってこの松吉 保の理事会出席・議決参加については昭和54年最高裁判決も本件最高裁判決も該当しえない。理事の出席・議決参加を前提にした最高裁の判決(その他特別利害関係人についての取締役会に関する他の判例、学説や論評)は、部外者の理事会への出席及びその議決参加については、何も判断せずその判断の埒外であり、別個の問題である。会社法も特別利害関係を有する取締役または理事についての除外規定である。
すなわち、特別利害関係を有する部外者の取締役会や理事会への出席、議決参加の場合、その理事会なり取締役会の議決は有効であるのか、それもまた単にその部外者を除けばよいというものであるのか、ということの裁判所の新たな判断が必要なのである。

もとより控訴人は部外者が介入してなされた審議さらに議決は無効であると主張するが、被控訴人または裁判所は、無資格の部外者が介入した理事会なり委員会なりでの議決が有効であるというのであれば、その根拠となる法令又は判例を示すべきである。
正規の理事会に、ある特定議案を強く支持する部外者が介入(議決参加)してもその理事会は有効であるとすると、暴力団員などその理事達を圧服できる有力部外者を出席させ影響力を行使させて議決をしても構わないということになるであろう。

二、真実の理事

甲第33号証(甲第37号証の2、甲第39号証)の野根漁協の理事が当時の正規の理事である。すなわち、
    桜井菊蔵   *松吉保彦
    井崎勝行    桜井淳一
   *松吉孝雄    桜井春雄
    桜井勇     松田博光

 の8人である。(*印は松吉保、松吉保彦親子の特別利害関係者である)
甲第33号証のこの正規の理事は、平成21年5月の野根漁協定例総会で選任(重任)
されたもので任期は3年間であるから、本件当時の真正の理事である。
 この8人の理事のうち、桜井春雄、松田博光は理事就任以降段々に辞意を表明していた
が、当該組合は後任の理事を決めなかったので定款の定めによりこの者たちも理事とし
ての義務を果たす責任があった。しかも、この3人のうち桜井淳一は本件事件の直前ま
で組合長を長年勤めていて、本件貸付について賛同していなかった。

桜井淳一が組合長を辞任の届けを組合事務局に提出したが、理事を辞任した訳ではない
ことは、組合関係者皆が知っていたし、被控訴人も知っていた。
この8人のうち、松吉保彦と松吉孝雄の2人は松吉保の息子と実弟であるから特別利害
関係を有する理事で議決権がなく除外される。議決権のある6人のうち、桜井淳一、桜
井春雄、松田博光の3人は理事会に招集されず欠席した。出席したとされる残りの者は、
桜井菊蔵と井崎勝行と桜井勇の3人だけである。議決権のある6人のうち出席者が3人
では過半数とはならない。しかも甲第21号証によれば、桜井勇は、その日出漁してい
て理事会に出席していないから、実際は桜井菊蔵と井崎勝行の二人だけの出席である。
甲第33号証が正規の理事を示すものであることは、前述の通り野根漁協の定例総会の議
事録及び今回提出する業務報告書によって実証される。
 高知県の監督部署が保有する業務報告書は誰でも開示請求すれば手に入るものである。
 したがって、被控訴人が最高裁へ出した理事名簿は虚偽であり、それが虚偽であること
を被控訴人は知っており、真実の理事名簿に基づけば本件理事会は成立していないこと
も分かっていたはずである。とりわけ被控訴人が掲示した理事名簿中に町内では悪名高
い男(現在高知県警の留置場に凶悪事件で逮捕され収監中)を入れたことは、全くふざけた

行為であって最高裁たるものがおちょくられ(馬鹿に)されたも同然である。
裁判所を愚弄する不敬の行為である。地元の町民の多くは東洋町内でこの男が漁協の理
事になる最後の人間であることを知っているからである。理事会の成立に問題があると
した第1審、第2審の判断は、正しかったのである。

三、実際の理事会

1、平成23年11月3日の理事会は実際に開かれたのか。1枚の理事会議事録(甲第11号証)以外にはそれを実証するものは何もない。
 本件理事会については、被控訴人は1審、2審を通じてその理事会決議の成立について自ら否定的であった。第1審、第2審の判決も否定的であった。本件最高裁判決は、被控訴人が自ら否定的であった理事会についてどのように認識して判断したのであろうか。
 理事会議事録があったとしても、下級審での理事会開催・成立についての主張や裁判官による認定がなければ、最高裁としては判断できないはずである。
 第2審判決だけではなく、第1審判決も理事会の成立について「11月3日の理事会決議には手続上の瑕疵がある可能性がある。」としていた。
 これに対し被控訴人の方は、第1審準備書面(2)において理事会成立について積極的には主張せず、「何らかの瑕疵があったとしても・・・理事会の瑕疵の有無を問題にする余地はない」、などと争点化を避け、第二審準備書面(5)においては「総会の決議は理事会の決議より優先する。」などといって本件理事会の成立を自ら否定するかのような主張を繰り返してきた。

2、当該野根漁協の事務所には理事会開催時には必ず2台の録音機で記録され、その録音テープが保存されることになっているというが、本件理事会についてはそのようなものは存在していないという。理事会には必ず立ち会う2人の組合事務員の話では、理事会の議事録は作成したが、6人の者が理事会を開いた事実はなく、作成した議事録に個別に署名押印しただけであり、実際には理事会そのものは開催されていない、という。
この事実について本控訴審で明らかにしなければならないし、実際に開かれていなかったという事実について、被控訴人は知っていたと思われる。

四、虚偽の事実

1、被控訴人が最高裁に出した理事名簿は虚偽であることは上記のとおりである。
この虚偽の8人の理事のうち、松田安信(松吉保小敷の現場責任者)及び松吉裕也(松吉
保の孫)は理事になった覚えはない、と現在の野根漁協理事会に証言(甲第41号証1、
2)している。
 被控訴人は、松吉保らとはかって、部外者である松吉保、松田安信、松吉裕也を急遽理
事と言うことに仕立てたと考えられる。
これらの名前は、本件について調査するために事件後作られた特別調査委員会が組合事
務所に置いてあった関係資料を収集し甲第21号証(中間調査報告書の添付資料)として
収録した中の数枚の「確認書」中に理事として記載されていたものであって、それらの書
類は正規のものとは認められていない。
 特別調査委員会は、平成24年本件事件後、野根漁協の臨時の組合総会で1000万円の借受けが組合員全員から拒絶され、借受けを推し進めた理事(桜井菊蔵、井崎勝行ら)が一斉に退任した後に県庁の指導のもとに設置されたものである。
2、松吉保彦は別として松吉孝雄が松吉保、松吉保彦の特別利害関係理事であることについては、その姓「松吉」が東洋町内では特有の名字であり、その姓を持つ家族はごく限定されていて姻戚関係にあるということは東洋町職員であった被控訴人にはよくわかっていた。
 被控訴人の上告理由書などで掲げて8名の理事名簿中、5人の特別利害関係人があるのに、それが松吉保と松吉保彦親子の2人だけだと主張したのは詐罔である。

【三】、今回の最高裁が依拠した昭和54年2月23日の最高裁判例について
一、54年最高裁判例の例外

特別利害関係取締役(または理事)が出席して会議を行い利害関係のある決議に参加
した場合、昭和54年最高裁判決の趣旨がそのまま適用されない場合がある。
すなわち、特別利害関係取締役(理事)が議長となった場合である。その場合、議事の
進行や議決が可否同数になった場合など、議事を自己に都合のいい方向で運営し決着さ
せる恐れがあるからである。 本件の場合は、これと同等の評価が与えられるべきであ
ると考える。
 すなわち、利害関係理事が議場で絶対多数で議決権を行使した場合である。
 被控訴人が最高裁に出した上告理由書に掲示された理事8名が仮に真正なものとして、
 8名のうち6名の理事が出席したというその6名は、松吉保、松吉保彦、松吉孝雄の特別
利害関係者3名と桜井菊蔵、桜井勇、井崎勝行の3名であるが、議長は組合長の桜井菊
蔵が務めることになっているから議決に参加したのは5人であり、特別利害関係人3人、
そのほかは2人である。特別利害関係者が絶対多数である。
 議場で絶対多数を占める者たちは議長を自由にすげ替えることが出来る。自分たちの意
に沿わぬ議事進行をする議長は特別利害関係の理事か他の者に交代させることが出来る。
無論議事全般を思う通りに左右する事が出来る。特別利害関係人がそのような勢力を持
つ場合、特別利害関係者が議長となった場合と比較すれば議場における影響力は同等か
それ以上である。特別利害関係者が議場で絶対多数を占めた状況で議決がなされた場合
でもそれが有効であるとするなら、特別利害関係役員の議決参加を規制した会社法や水
産業協同組合法の本来の趣旨は意味をなさない。
最高裁の判例にもかかわらず、学説では、
「当該決議について、特別の利害関係を有する取締役は決議に加わることはできないので、決議に加わった場合は、決議の無効事由になる。当該取締役を除外しても決議が成立した場合は、無効にはならないとの考え方もあるが、具体的な事情にもよるがその影響からみて一般的には取りえない。」

(新谷勝著「会社訴訟・仮処分の理論と実務」207頁

 裁判所は法令の趣旨を実現するのが本来であり、例外を一般化すれば悪用の風習が大手をふるうことになる。例外を適用するには特段の事情の説明が必要である。

二、54年最高裁判例の性質

 判例、とりわけ最高裁判例は、一般的に以後の同様のケースで判断の基準となる。
 しかし、本件の54年最高裁判例は、それ以降の事件について判断の基準として使えるかどうか慎重に考慮する必要がある種類のものである。
この54年最高裁判例では、特別利害関係の取締役なり理事が、たまたま利害関係人であったから、それを控除して・・・ということであるが、この判例以降では、特別利害関係人の役員が取締役会なり理事会に入って議決しても、後でその役員を議決から控除してなお多数の役員の議決があればその議決は有効であるということを悪用する可能性があるからである。議決に特別利害関係役員で有力者(多数の場合もある)を参加させて特別利害関係者に有利な議決をさせるということをはじめから意図的に行う可能性がある。
そのような意図があったかどうかということを判別することは不可能である。

最高裁の判例の趣旨は、特別利害関係の役員の議決への参加を許容したわけでもない。
あくまでも法律の通り利害関係役員の議決への参加は禁じているが、結果として、そのような場合でもその役員を議決数から控除して・・・というものであろう。
しかしこの判例を目的意識的に利用して特別利害関係者が議決に参加しても無効にはならないから、それらを出席させて議場で優勢的影響力を行使して・・・・・ということになれば、特別利害関係人の議決参加を禁止した法律の存在意義がなくなるであろう。
一般的に、54年最高裁判例は、事後の事件に適用することは不適当と考えられるが、特に議決に参加した特別利害関係役員が数的に多勢であるとかその影響力が相当強いなど、特別利害関係人がその議決に決定的な役割を及ぼす又は及ぼそうとしたケースでは、54年最高裁判例を悪用したものとしてその適用を排除すべきである。

利害関係人を控除するどころか、利害関係者を多数理事名簿に入れ込んで、実際の理事会の議決に持ち込み、後刻最高裁判例を挙げてその理事会の成立を主張する行為は、法令に反し、最高裁判例の趣旨を悪用するものに外ならない。すなわち本件では、被控訴人は、1審、2審を通して理事会の成立や特別利害関係の理事の議決参加については、実質的に何も論じなかったにもかかわらず、2審判決を受けてから、54年最高裁判例の趣旨に着目し新たに特別利害関係の理事を多数構えて最高裁への上告に及んだと考えられる。

実際には議場で優勢的影響力を行使して、法的にはその影響力がなかったかのようにそれを控除する。すなわちたとえば、①8人の理事中5人が特別利害関係理事としそれらが議決に参加してあとから5人を控除するやり方(残り3人が有効で2人で成立となる)と、②8人の理事中2人が特別利害関係理事として議決に参加したのち2人を控除するやり方(残り6人が有効で4人で成立)とを比較すると、本件のように特別利害関係理事を多くすればするほど理事会の成立は容易になる上に、議場で大きな影響力を行使できる。
 これと同じ傾向が招集通知漏れの事件(最高裁昭和44年12月2日の判例)についてもあり、この判例を不用意に適用することによって反対派の取締役に取締役会開催の通知をせず、あらかじめこれを除外して重要な議案を議決してもよいという風潮が懸念されているのである。

54年最高裁判例が決して特別利害関係理事(又は取締役)の議決参加を容認するものではない以上、54年最高裁判例を意図的に悪用した恐れのある事例では、これをみだりに適用するべきではない。

【四】その他の重大な法令違反について

本件貸付に係る手続き上の重大な法令違反については、最高裁に提出した控訴人の「答弁書」に主張した通りであるが、新たな事実の指摘を含めて次回の準備書面(2)を提出する。

 平成28年(行コ第8号)損害賠償請求控訴事件(差戻し)     
控訴人 澤山保太郎
被控訴人 東洋町町松延宏幸
         控訴人証拠説明書
高松高等裁判所殿 
                      平成28年3月26日
                          控訴人澤山保太郎
        記
一、甲第39号証(平成21年度業務報告書  写し)
 1、標題:業務報告書
 2、作成者::野根漁業協同組合
 3、作成期日:平成22年6月24日
 4、立証の趣旨:
    都道府県は、管轄下の漁業協同組合から毎年度業務報告書を徴収する。    
    その中(5頁目)に役員の名簿が必ず掲載される。この年度は役員改選年である。
    甲第33号証はこの業務報告書の一部であった。
    野根漁協の役員の任期は3年間であるから、平成23年11月の本件当時はこの名簿の役員である。
    本書証は、野根漁協が高知県庁からファックスで取り寄せたものである。
    被控訴人も容易に取り寄せ確認することができるものである。
二、甲第40号証(戸籍謄本   写し)
1、標題:改製原戸籍
2、作成者:東洋町
3、作成期日:平成28年2月9日
4、立証の趣旨:
   野根漁協理事会の正規の理事の中で、松吉保と松吉孝雄が実の兄弟(松吉竹蔵の二男、三男)であることを示すもの。8人の理事中松吉孝雄と松吉保彦(保の息子)の2人が特別利害関係人である。
三、甲第41号証の1(証言   写し)
1、標題:もうしたてます
2、作成者:松田安信(本文作成は野根漁協、署名、拇印は本人)
3、作成期日:平成27年4月8日
4、立証の趣旨:

 漁協理事の一人が事情(本件貸付金の「確約書」に理事として署名押印があることについて)を確認し、本文を作成。本人の面前で本文を読んで了解を取り、本人が署名し、拇印を押したもの。松田安信が漁協理事になったこともないし、また、理事だと名乗っても地元では誰も信じない。
 地元に来たことのない裁判官は信じるかもしれない。現在高知県警本部の管轄下にある。

四、甲第41号証の2(証言  写し)
1、標題:なし
2、作成者:松吉裕也(野根漁協職員)
3、作成期日:平成27年10月10日
4、立証の趣旨:

 作成当日漁協理事会は本人を呼び、これまで野根漁協の理事になったことがあるか、1000万円の本件貸付金のことを知っているかなど尋ねたところ、出席理事の前で本文の趣旨を述べ、それをその場で文章化した。
   松吉裕也は、松吉保の孫である。

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2016年4月 4日 (月)

健康法

News & Letters/472

肉体は限界がある。人は死ぬ。同級生以上はもとより私らよりずっと若い世帯のものが老いさればえている姿を路上で見てぞっとする。だが、私の場合はそうはいかない。生きてこの世の悪と戦い続けねばならない。

自分一代が老後を平穏に生きればよいという考えで、何も考えず、何もせず、海を眺め、山を仰ぎ、畑に出て野菜を育て・・・

というわけにはいかない。むしろ、尼子の山中鹿之助のように、我に七難八苦を与えたまえ、と月に向かって吠えた故事に見習い、悪党を次々に発掘し、戦線を拡大し、戦い続け、精神と肉体を活性化させねばならない。

幸いにも、私は若い時分に左翼の陣営に参加させていただいたおかげで、安部晋三など敵の発見には事欠かない。オンブズマンに参加させてもらったことも大変良かった。原発や戦争だけでなく、身近な所でも悪事や悪党が雲のようにわいてくるから、私の戦線は活況を呈してやまない。

これが健康に非常にいいように思う。生きがい、というものが健康の第1の源泉なのである。
昔の同志たちよ、武器を拾って反戦・反核のパルチザンの隊列に入り、戦線に立って進撃せよ。
出来たら、オンブズマン活動にも参加せよ、これが最高の健康法だ。

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