土佐電鉄問題

2014年2月20日 (木)

高知新聞2月18日付「二罰二百戒」

News & Letters/344


高知新聞の池一宏記者の記事は、常に鋭く、犀利なナイフで核心をえぐる文章で読みごたえのある記事だと常日頃感心して見てきた。

しかし、本年2月18日付の2面の「話題」の記事だけはいただけない。

それは、昨年県内で繰り広げられていた官製談合事件の露見で、県内建設主要業者が公取委に行政罰をくらわせられ、さらにこれに追い打ちをかけるように高知地検が昨年末業者らを起訴したことについて、検察の起訴をやりすぎだとして一罰百戒を二重にする必要があるかと疑問符を投げかける記事である。

しかし、県内業者の所業は、少々の金で済むような事件ではない。十数億円の罰金と短期の指名停止の行政罰でもとの稼業で大手を振って生きることが許されている。

彼らの所業は金でいえば数百、数千億円の詐取事件であり、そこらの泥棒や恐喝・詐欺事件の犯人とはけた違いの犯罪行為だ。当然その犯罪者らは牢獄に数珠つなぎになる必要があった。この記事によって彼ら犯罪的官製談合事件の大手建設会社に寛大な措置を願っていることを示して、新聞社としての度量とあるいは何かの示唆を送っていると受け取らないわけにはいかない。

例えば、恐れ多くも池記者に問いかけるが、数年前の東洋町海の駅の落花生の産地表示問題では、高知新聞は、刑事罰はもとより行政罰も受けていない会社(東洋リ・ボルト)を大々的に攻撃する記事を掲載した。

そのことと今回の「二罰二百戒」の記事との落差を考えてみよ。しかも、その落花生の仕入れ先の店が徳島県庁より指導を受けていたという事実を隠し、その落花生の販売では委託販売の手数料と消費税を差し引けば1袋150円の品物が売れるたびに会社は10円の赤字になるという事実も隠した。

巨悪の業者にエールを送り、善意の商売人をたたく、高知新聞は何者であるのか。

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2014年2月18日 (火)

土佐電鉄の暴力団利用についての住民訴訟の進展

News & Letters/343

県議会での生ぬるし追及を潜り抜け、県は土佐電鉄の開き直りを肯定し、
新年度の補助金を従前通り、認めた。
暴力団利用で会長や社長までが引責辞任したのに、県庁では、暴力団利用の事実はなかったというのである。だが県民の裁判は続く。

土佐電鉄の内部調査報告書の弁解では、暴力団の後ろ盾があるという社長・会長の発言は、特定株主をその発言によって「牽制」しただけだという。

「牽制」という言葉は、国語辞典では、武力などの威力を使って相手を抑止する行為だとなっている。これでは弁解ではなく暴力団利用を肯定したことになる。

また、その内部調査報告書では、社長らの発言は、現役の日本最大の暴力団幹部を影響下に置く「元組長」の力で、他の暴力団から土佐電鉄を守ろうとしたのであるから、暴力団をなくす暴排条例の趣旨にかなっている旨の文章が記載されている。

最強の暴力団の力に頼って、地域の中小の暴力団からの干渉を排除してもらうという露骨な暴力団利用肯定の論理を臆面もなく発表しているのである。
県議会の委員会審議で何故このような開き直りを追及しなかったのであろうか。
この内部報告書は撤回されていない。県庁は、暴力団礼賛の報告書を受けて、何故これをたたきつけなかったのだ。
]
内部調査報告書は「不十分だ」とかで外部調査委員会の報告書が作られた。
ここでは、全体が人格分裂的な矛盾した記述が満載だ。一方では、社長らの暴力団幹部の名前を誇示した行為は、暴排条例違反でなない、といいながら、他方では、社長らの所業は暴力団横行を「助長」する行為であると強く非難している。また、暴排条例違反ではないと言いながら、社長らの発言を「コンプライアンス上重大な問題がある」という趣旨の批判もしている。コンプライアンスは普通法令順守という意味で使われる。法令順守上重大な問題があるということは、すなわち違法行為だということである。

この二つの報告書をうけて県庁は、暴力団関係については土佐電鉄は何も問題ないという。県庁が暴力団排除について具体的には何も真剣に考えていないという証明だ。
県庁自身が、過去のモードアバンセや闘犬センターの二つのやみ融資事件を痛切に反省していないと見える。

新しい土佐電鉄の役員体制というが、県庁と四銀が前面に出てきた。人は変われどいずれもかつての闇融資事件の関係団体である。県からの補助金は四銀が土佐電鉄への貸金の利息として確保しなければらないものだ。腐りきった会社であっても、そして乗客がほとんどいない空の電車やバスであっても、何が何でも走らせねばならない。

平成25年(行ウ)第12号 補助金返還請求及び支給差止め請求事件

原告 澤山保太郎
被告 高知県知事
原告準備書面(2)
平成26年2月12日
高知地方裁判所 御中
原告 澤山保太郎

原告は被告準備書面(1)について以下のとおり弁論を準備する。

一、原告の主張は、確たる証拠に基づいている。

1、推測で主張しているのではない

原告は訴状及び原告準備書面(1)で本件請求の正当性とその根拠を明らかにした。
今回の被告準備書面(1)の結語で「・・・あくまで推測の域を出ない主張しかなされておらず、不当利得発生要件事実を主張立証しているとはいえない。」などというが、今回の被告準備書面(1)を見ても、原告の主張に対して具体的な反論が何一つなされていず、ただ新しい言い訳として、すでに「元組長」が死亡していて死亡したものと交際はできないはずだなどというたわいないくりごとを述べているにすぎない。
法令に基づく原告の主張の根拠とするのは主に4つであり、一つは新聞報道であり、二つ目は土佐電鉄の内部調査報告書、三つ目は同社の外部調査報告書である。四つ目は被告発行の支出関係資料だ。これら根拠資料の事実を法令に照らして違法だと主張する。
被告は、原告が指摘する根拠資料の事実について反証を挙げるか、それら事実について別個の合理的な解釈を示すか、なにかまともな試みをするべきである。

二、暴力団排除条例違反の事実

本件においては、会社(土佐電鉄㈱)の最高幹部が指定暴力団と関係し、その名を使って、人を威圧して事業活動をしていたという事実があった。これは何人も否定できない事実である。それは高知県暴力団排除条例第18条等に違反し、その事実は高知県補助金交付規則第4条但書きの(2)等に該当しているから、その交付規則第4条により当該幹部社員が運営していた会社に対する補助金の支出が許されないというものであって、被告は、可及的速やかに補助金交付規則第15条(取消)、第16条(返還命令)等の手続きをしなければならない。

1、暴力団排除条例第18条違反について

被告は今回の準備書面(1)で本件が暴力団排除条例第18条に違反することにはならない、と主張する。その理由として二つ挙げる。(被告準備書面(1)6頁~7頁)
①「元組長」のD氏が平成21年11月にすでに死亡していること
②D氏の死亡後、土佐電鉄の元会長や社長が、現役又は元の暴力団員と接触、関与は一切なかったこと。この二つである。

①について

 誰も死んだ人と交際したなどと言っている訳ではない。しかし死せる孔明仲達を走らすということもあり、死んだ者の影響力が生きている場合もある。
“俺は山口組の田岡組長にかわいがられていたんや”といってすごんだ時、普通の人は田岡組長はとっくの昔に死んでいるからこわくないと思うだろうか。むしろ、その男は今でも山口組の関係者だと思って畏怖するであろう。
しかも本件の場合は、死んだ人との関係だけをひけらかしただけでなくその死んだD氏の子分筋であった指定暴力団の現役最高幹部(山口組組長の司忍、山口組主流派の弘道会組長の高山)の名前も出していたのである。

②について

 被告準備書面は、土佐電鉄の元会長らは、現役の暴力団と関係を有する契機はなかった、「具体的・現実的利用可能性があったとは認められない」、という。
土佐電鉄の元会長らが、「元組長」D氏の為に一般人が参加しない準組葬に参列したり墓参を繰り返していた事実は「元組長」D氏の死後であり、土佐電鉄が会社として暴力団と関係を続けていた証拠である。香典をもって葬式に参列すれば、当然出席者名簿に記帳したであろう。その名簿は暴力団の影響力を示すものであり、濃淡はあっても暴力団への忠誠の証だとみなされる。
そして、指定暴力団の死んだ最高幹部の墓(そこは一種の聖地)に供花をささげて墓参することも一般の人には許されることではあるまい。それは暴力団と意思が通じ合える関係者にのみ許可されたものと考えられる。
実際に、土佐電鉄がD氏の死後、現役の暴力団とどのような関係があったかは、不明であるが、少なくとも如上の事実は確かなことである。陰でこっそり暴力団員と会食したり、何かを頼んだりする連中は絶えないが、普通の人や会社の代表者が、白昼堂々と暴力団の葬式に参加したり、墓参を繰り返すようなことは想像もできないことである。
そういうことをすることが恥ではなく、誇りに感じていた可能性すらある。土佐電鉄の当該会社が、元会長や元社長らがこのように指定暴力団という恐ろしい反社会的勢力と特別な関係があるという事を、知らなかったということはあり得ない。

2、甲第12号証について

仮に、被告が言うように実際に現実の暴力団とは関係がない、としても、生きている暴力団の中で最も有名な暴力団組長の名前を出して相手を威圧したことは事実である。
名前を出した暴力団組長と、面識もなく交際もしたことがなかったとしても、本件は、なお、暴力団排除条例第18条に抵触する。
甲第12号証の新聞記事は、昨年平成25年10月に実際には特定の暴力団と関係ないのに「暴力団組員と親交があるかのごとく装」って、人を恐喝して金品を取ったという事件で警察が男を逮捕したというものである。甲第12号証は、被告が言うように利用された暴力団組員が何も知らず、勝手に名前が使われた場合でも、人を恐喝することができるし、それで畏怖せしめて金品を巻き上げることもできることを示している。高知県暴力団排除条例第18条は、ただ単に「暴力団を利用してはならない。」というだけで、現実に暴力団の出動の具体的約束や、暴力団との「意見の合致」(被告準備書面(1)7頁上から2行目)までを前提にしている訳ではない。

暴力団の名前を勝手に使うだけの「利用」でも刑事犯罪が起こるのであるが、本件暴排条例は暴力団の存在とその利用可能性を一般的に前提にしているのであり、被告や甲第12号証の男が現実には暴力団とは関係がなかったと主張するような場合でも、暴力団の名をかたっている以上、現実的利用可能性があると相手に受け止められるからである。
本件の場合は偽装でも何でもなく、具体的な利用可能性は如上の経緯からして極めて高い。新聞報道の「元組長」D氏の話からすれば、土佐電鉄の世話をするように山口組最高幹部や弘道会最高幹部に託してあった可能性があり、会社側としてもそれを信じるからこそ後の葬式参列や毎年の墓参を欠かさなかったと考えられる。

高知県下では戦前から、土佐電鉄に限らず、暴力団や侠客との深い関係があった企業があり(甲第5号証)、土佐電鉄の金融機関である四国銀行自体が裏社会との関係が取りざたされていた。その一つが露見したのが原告が株主訴訟を起こした前述の別件やみ融資事件だった。本件で主導的役割を果たしていた竹本元社長も四国銀行出身である。
甲第5号証には、「昔は、会社の社長連と侠客との付き合いは、ごく自然で、むしろ当たり前のこととされていた。ほとんどが事ある場合に備え、会社から金を出して、あるいはポケットマネーで侠客を抱えていた。」というふうに高知の古い時代の状況が書かれているが、それを土佐電鉄は社史に堂々と掲載したのであるから、その古い風潮が根絶されたとはいえないであろう。土佐電鉄の本件当時の会長や社長が、暴力団との関係を誇示すれば、それは、真実であると受け止められる素地が十分にあった。土佐電鉄の社長室に反社会的グループの者が出入りしていた可能性も否定できない。現に、事件のあった日、会社が暴力団からの強い後ろ盾があることについて、証人として名古屋方面から呼び寄せた人物などは、暴力団と無関係な人物とは思われない。

3、暴力団排除条例第19条違反について

被告は、暴排条例第19条にも違反していないと主張する理由として、暴力団への利益供与をしていない、平成23年11月16日の「元組長」の墓参も、死んだ人への「お供物」であるから暴力団への利益供与に当たらない、という。
しかし、もちろん供花を受けて喜ぶ者は死者ではない。死者は無感情であり物言わぬ。
死者はその墓地を所有している訳でもない。墓参を受け入れ供花を喜ぶものは墓を設営した遺族であり、その墓を尊崇する団体である。暴力団にとって元の親分の墓参は重要なイベントであって、その筋の週刊誌でも取材されて報道されている。
靖国神社の参拝で喜んでいるのはA級戦犯本人ではない。彼らは死んで物言わない。参拝されて嬉しいのか悲しいのか、そんな感情も何もない。
喜ぶのはその戦犯の遺族や戦犯を合祇した神社や右翼たちであろう。
暴力団が最も大事にしている聖地への墓参や供花は高知県暴力団排除条例第19条の1の(3)に該当し、「相当の対償のない利益の供与」に当たると考える。

そして、同条例19条の違反や、19条1の(3)の違反は同条例19条2に該当し、「暴力団の活動を助長」したことになる。このことは本件についての外部調査報告書に土佐電鉄の最高幹部二人の所業は暴力団の活動を「反社会的勢力の排除、関係の遮断とは逆に、助長するような言動に及んだもの・・・・」(乙第3号証 11頁)とはっきり断定していることでも明確である。

三、補助金交付規則による措置

本件における土佐電鉄幹部の所業は高知県暴力団排除条例の 
① 第18条、
② 第19条の1の(3)、
③ 第19条の2

にそれぞれ抵触することは明らかであり、被告はまともな弁解や反論をなしえていない。
これらの違反は、高知県補助金交付規則第4条の1の但書き各項に当たり、被告はしかるべき措置を取る義務がある。すなわち、
土佐電鉄幹部の、上掲①②③を犯した行為は、

1、高知県補助金交付規則第4条の1の但書き(2)(「暴排条例18条又は第19条の規定に違反した事実があるとき」)に該当し

2、さらに、その但書きの(10)(「その役員が暴力団又は暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有しているとき」) に当たる。

3、そのことは、補助金交付規則の第15条第1項の(2)に該当し、補助金等の交付の取消しに該当し、さらにそれは、同条第3項に該当するから、補助金交付の確定があった後においても取消すことになっている。

4、また、被告は、すでに交付された補助金については、補助金交付規則の第16条に基づいて返還を命じなければならない。
さらに、被告準備書面が何も触れていないが、原告準備書面(1)の【第二】新聞報道から確実な事実 の一で挙示した⑦、⑧の事実は暴力団排除条例の第18条等に抵触し、本件補助金交付規則の第4条1の但書の(6)に該当する。すなわち、元会長が、会長職に就いたり、辞任しようとしたとき、「元組長」から「やれ」と言われたり、「辞めなよ」と指示されたこと、また、問題がある株主の株を「元組長」が買い取るという事実があったという。これらの事実はそれこそ「元組長」が死亡してから以降、その役割を誰が代替しているか分からないが、「元組長」が名前を挙げた直系の暴力団幹部が引き継いでいる可能性がある。

 これは新聞で報道された事実でありながら、本件についての内部、外部の調査報告書には何も触れられていない。とくに株の売買に暴力団を介在させるという事実について確認もせず、反省もしないということは、依然としてそれを継続するということを意味するものである。

四、公共交通と補助金

1、被告の立場 

被告は原告の訴えについて一生懸命抗弁しているが、被告にとって何の利益もないことである。本件請求の正当性を認めた方がむしろ被告や県民の利益となるであろう。
腐りきった交通会社を擁護することは、被告自身が不当な利権にまみれるばかりか、それが暴力団と癒着した会社であるから、被告自身が県の暴排条例に違反することになる。
暴力団と関係した会社に資金を回すということ自体重大な条例(第3条等)違反であり県民への背信行為である。土佐電鉄は十分反省しているというのであろうか。
土佐電鉄は十分反省していない。原告準備書面(1)でも指摘したように土佐電鉄は、元会長や元社長の所業について開き直っている。すなわちもう一度内部報告書(甲第9号証)の7枚目を引用する。
「まず、社長の発言内容を検討しました。発言内容は、字句通りに捉えると、「・・・が土佐電鉄の味方であって、暴力団又は暴力団員にも介入させないようにしてくれている」というものであります。ここでは暴力団又は暴力団員が土佐電鉄から排除されるべき存在として捉えられていることも明らかであります。」
・・・の部分は墨塗り(ブラックアウト)であり「元組長」D氏であるが、これを「土佐電鉄の味方」であるとし、この力で他の暴力団を抑止し土佐電鉄を守るという趣旨である。「元組長」は一人ではない。その背後に指定暴力団の現役最高幹部とその組織が控えている。このような見解、暴力団の利用を肯定している恐るべき連中を役員として置き、新体制になった今でも土佐電鉄に居座らせているのである。県民からひんしゅくをかったこの内部報告書を土佐電鉄は今も撤回していない。このような見解の発表自体が暴排条例第3条及び第5条等の重大な違反事件だ。

被告はいわば補助金と言う公金をだまし取られた立場であり、県民とともに土佐電鉄を糾弾し、被害を回復する義務がある。その過程で土佐電鉄が企業としてどうなるのか、多くの社員の運命がどうなるのかは、別個の問題である。

2、高知県の公共交通のあり方と補助金の行方

 現在、高知県議会などで土佐電鉄を含め県下の公共交通のあり方が検討されている。
現状のバスや電車、鉄道は利用する乗客の数に比べ明らかに設備過剰であり、高速バスなど一部を除いて多くの路線で乗客がまばらか空車状態で運行されている。各社は慢性的な赤字を抱え、県や市町村からの巨額の資金援助なしには立ち行かない。昭和60年代以前の、多くの県民が公共交通に依存していた時代の体制のまま根本的な改革は進んでいない。
あらゆる産業部門で激しいリストラが避けられず、多くの企業が内部改革を繰り返し悪戦苦闘しながら生き延び蘇ってきた。土佐電鉄を含む交通各社も乗客の推移や時代の要請に対応し、県や市町村からの補助金という姑息な方法で目先をしのぐのではなく、統廃合を含む抜本的な構造改革を遂行し自立的な運営に切り替えなければならないはずである。
しかも、被告が出す数億円の補助金のほとんどは、実際には補助対象企業に回らず、いながら四国銀行などへの借金の利子の返済金になっていると言われている。

被告は、本件補助金を含め公金が、高金利の銀行への上納金のように使われている状況を座視傍観するべきであろうか。ある意味では補助金を担保に旧態依然の経営を強いられている土佐電鉄も被害者なのかもしれない。本件補助金を皮切りに、被告は、腐敗したこの補助金の構造を解明し、これを断絶する方策を模索するべきであろう。

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2013年10月18日 (金)

土佐電鉄問題について

News & Letters/375

私の本職は市民オンブズマンです。いかなる場合でも私が所属する行政へのチェックはやめません。
土佐電鉄の暴力団事件で県議会で採決が行われ、土佐電鉄元会長(会社では、独裁的権限をふるっていた男)の県会議員としての適格性が問われた。採決の結果可決となったがそれでも10人ほどの自民党県議が西岡の擁護に回った。
この中で、土佐電鉄の外部調査報告書が県や県会の認識を左右しているようだが、
彼らはその報告書の中身をよく把握できていないのではないか。

私の本件での住民訴訟での追及が参考になるかもしれないので明日10月18日の公判の準備書面を掲載しておきます。

平成25年(行ウ)第12号 補助金返還請求及び支給差止め請求事件
原告 澤山保太郎
被告 高知県知事
         原告準備書面(1)
                   平成25年9月18日
高知地方裁判所 御中
                   原告 澤山保太郎
原告は以下の通り弁論を準備する。

【第一】被告主張とその矛盾

被告答弁書の基調は、「土佐電鉄」について高知新聞などで報道された本件事件が高知県暴力団排除条例に抵触しているかどうか、これについて未だ「確認できていない」(答弁書5頁等)という1点を理由にして、被告の補助金に係る措置に違法性はないということである。
しかし、もし、事実について未確認であるということであれば、当然違法性の有無についても未確認であるから、「補助金の返還を求める要件事実がないことから、原告の主張は失当である」(答弁書8頁)とか、あるいは「補助金等を受ける資格が無い」とはいえない(答弁書9頁)などとは言えないはずである。
ここは、条例に違反する事実が確認されれば、補助金の返還請求をすることになる、とか、そうであればこれ以上の支給はしない、とかの答弁がなくてはならない。
事実が未確認なのに、あえて違法性が無いというのは、違反事実を確認しようとしまいと、違反はないという強弁であり、それはひっきょう、違反事実を確認しない、という意思表示になっていると考えられる。被告がこのような無責任な恣意を抱懐していると思うからこそ本件提訴が行われたのである。

【第二】新聞報道から確実な事実

本件に係る高知新聞の記事(甲第7号証の1~6)に指摘されている事実は以下のとおりである。特に甲第7号証の1と同号証の6に全て指摘されている。
本件事件は、平成24年5月8日土佐電気鉄道株式会社社長竹本昭和、会長西岡寅八郎が同社の本社で、また、同年5月10日高知会館において会長西岡が、特定の株主との面談の席で起こした。
一、
①土佐電鉄社長の竹本は、元暴力団組長(弘田組元組長弘田武志)の顔写真を誇示し、その「元組長」から「何かあったら、わしの名刺を見せたらえいき」と言われた、と発言した。

②その際、指定暴力団山口組トップの篠田建市、同ナンバー2の高山清司弘道会会長の名前も口に出した。それは、平成19年に元組長が高知へ来た時に「いらんことすなよと侠道会に言うちゃある、高山にも言うちゃある」と言われたという。
さらに元組長が「忍に紹介するきんなあ」と言うたけど亡くなった、と発言した。

以上①②の発言の事実は否定されていないし、名古屋から「元組長」と親しい者を呼んで証人として同席させていたことから、間違いないと考えられる。
また、「元組長」が社長や会長に言った内容

(a)わしの名刺を見せ・・・、
(b)いらんことすなよと侠道会に言うちゃある、高山にも・・・、
(c)忍に紹介する・・・

についても(a)の名刺を実際に社長が持ち、誇示していたことから事実と考えられ、また(b)、(c)については確認のしようが無いが、すくなくとも、(b)については、社長や会長は事実だと信じていた。

③社長竹本は、「僕らは必ずお参りに行きゆう」と言った。
④社長竹本は、2000年代の後半に、「名古屋へあいさつに行った」ことから元組長との交際が始まった、と言ったという。
⑤組長の引退後も、元組長は暴力団の「顧問」みたいなことをしていたので暴力団社会への影響力は「ある」と認識していたという。
⑥土佐電鉄側の話では、特定株主は、6,7年前から土佐電鉄に対し、広告掲載や全日空の株主優待券の提供など「便宜供与」を要求していたという。
  (以上は甲第7号証の1の指摘)
⑦土佐電鉄会長の西岡は、土佐電鉄の会長就任の折には会社の経営がごちゃごちゃしていた、その時元組長から
(d)「やれ」と言われた、と言い、
また、西岡会長が会社を辞めるというた時があったが、その時も「元組長」が
(e)「辞めなよ」と言われたのは事実だ、という。
「元組長」の(d)、(e)の発言は、言われた当事者しかわからず、そのような内容を明らかにすることは本人の不利益であることを承知の上での告白であるから事実であると考えられる。

(d)、(e)の「元組長」の発言は、この間の事実関係の中では最も重大であり、暴力団関係者が、土佐電鉄の最高幹部の人事にまで容喙していた事実を示している。
⑧ さらに、「この会社を分析し、

(f)(土電側が問題視する株主の保有株を)いつでも買う、と言いよら、そのなかにあんたのも入っちょった」などと発言したという。
「土電側が問題視する株主の保有株を」いつでも買う、という「元組長」の発言及び発言があったという事実の挙示は
土佐電鉄が、「問題視する株主」に対処するのに株の委譲を「元暴力団」とその資金を使ってするということを意味している。その委譲の手段は当然普通の株式の売買というものではないであろう。

  (以上は甲第7号証の6の指摘)

二、
上掲①~⑧の事実は、④⑤⑥を除いてすべて YouTube の動画に記録されていて、インターネットで一般に公開されている事実であるから誰も否定できない。
後で示す通り「元組長」は指定暴力団「弘道会」系の暴力団であり引退後も大きな影響力を行使する身分を保持していた。「元組長」と交際すること、その名を使って業務を遂行することは高知県の暴力団排除条例に真っ向から違背する。
特に①及び②、⑦及び⑧の発言は高知県の暴力団排除条例に違反することは自明であろう。上掲①~⑧について順次意見を述べる。

1、①②について
 総会屋だという特定株主がしばしば「便宜供与」を迫ってきた事に対して「やかましいき言うた」という。その「言うた」発言と挙措の内容は、関係する暴力団の力で相手の要求を退けようと意図したものである。その際、暴力団の言葉と暴力団から与えられた顔写真や名刺を使った。暴力団の顔写真はピストルや刃物と同等の威力があろう。株主への応対は会社の業務であり、業務について暴力団の威光を使った。
この行為は、県の条例第18条「事業者はその行う事業に関し、暴力団を利用してはならない。」という規定に反している。しかもその暴力団「元組長」がそのようにせよと勧めていた、と自白しているから、関係もないのにただ虎の威を勝手に借りて暴力団の名をかたったわけではない。「元組長」及びその子分筋と土佐電鉄幹部との間に意思の疎通があったというべきであり、そうでないのに、普通の人間が恐れ多くも暴力団最高幹部の顔写真や名前を使えるはずはない。

2、③について

 「元組長」の墓への毎年の墓参は、死んだ人が力になってくれるわけはないから、「元組長」直系の暴力団とのつながりを保つための行為であり、土佐電鉄幹部の暴力団に対する報恩又は忠誠心の表明行為と考えられる。
報恩とはこれまで会社が世話になったお礼の真心であり、忠誠心とは今もその心を保持するということであって、普通の市民が暴力団の墓参りをするなどということは到底考えられない。暴力団社会では命日や彼岸の日に、死んだ親分の墓参をすることは重要な行事であり、それにより血族的な団結を固くする。忙しいはずの土佐電鉄幹部が遠くまで出張しての墓参は、そのことによる暴力団との精神的紐帯を確かにする行事であった。この墓参は行った本人が告白しているのであるから事実であると考えられる。

3、④について
 「2000年代の後半」というのは、現在まで2000年代は13年しかないので、その後半というのは2007年ごろからと推測され、おそらく竹本の代表取締役社長就任(2007年)のころであろう。高知から名古屋へわざわざ出向いて社長就任の「あいさつ」に行ったものと考えられるが、暴力団への社長就任の「あいさつ」は極めて異例のことであり、暴力団と会社間に特別な関係が無ければありえない話である。
会社を引き続き暴力団の保護下に置くという目的を持った「あいさつ」であると考える。

4、⑤について
「元組長」は暴力団を解散したわけでも、廃業したわけでもない。組織と地盤を子分に委譲して自らは役職を外れフリーの身分になった。商家や農家の隠居と同然で事実上後見役についたのである。決して一族郎党から離脱したのではない。だから、「元組長」が暴力団の「顧問」のような存在だという土佐電鉄の幹部の認識は正しいのである。現在の日本社会で指定暴力団山口組最高幹部に気安く物が言えた人間、その団体の「顧問」だと思われた人間は、そうざらにはいないだろう。というより、現在山口組のNO.1やNO.2から礼遇された人物では「元組長」を超える存在はいなかったと考える。だから、暴力団や右翼、総会屋など会社の弱みに付け込んでくる連中に対する対策として、この「元組長」に頼めば、武装した現役の暴力団の出動(暗々裏の)又はその鎧袖の風にふれるだけでも、誰もが引きさがるであろう。

5、⑥について
果たしてそれに類似した「特定株主」があらわれ執拗に「便宜供与」を迫ったので、
土佐電鉄の最高幹部は、これを撃退するために、自分たちが暴力団の庇護を受けているという事実を誇示した。株主が、「便宜供与」を求めたことが事実であるとすれば、これを毅然として峻拒し、法的措置をとるということができた。そうするのが当然であるが、そうせずに土佐電鉄の最高幹部は暴力団の虎の威を借りた。
何故か。その謎は⑦及び⑧によって相当程度解明できるだろう。

6、⑦及び⑧について
 この記事⑦の内容は深刻であって、もっとも注目すべきである。
   土佐電鉄の会社内で何かもめることがあったとき、西岡会長に対して暴力団幹部がお前が土佐電鉄の経営をやれという趣旨の話があり、それで西岡がやることになった、という。また、その途中で西岡がやめようとした時も、その暴力団幹部は辞めるなと言って西岡を慰留し、西岡はそれに従った、という。これは、土佐電鉄の経営の最高幹部の役職が暴力団の後押しによって就任が左右されていた、少なくとも西岡についてはそうだったという事実が闡明されている。本人が告白しているのであるから疑いの余地はないであろう。

 さらに、⑧では、会社に不都合な株主については、暴力団がその株を買うという手法によって問題を解決するという計略もあったというのである。
株の売買は、持ち主の自由意思のはずであるが、⑧の記事では暴力団が何かの方法で
自由に手に入れることができるような言い方をしている。要するにこれは、株の委譲を
暴力団によって強要させて会社に対する批判的株主を排除するということである。
 
三、ここで、「元組長」のその暴力団との関係について被告や土佐電鉄の社長、会長の認識を糺しておく。

1、「元組長」と交際していた土佐電鉄の社長や会長は、本件が明らかになった今「元組長」が暴力団から「引退」し、暴力団と関係が無いかの如く言っている。
しかし実際には上掲②⑤のように広域暴力団に大きな影響力があることも認めていた。
だからこそ、その名前や写真を水戸黄門の印籠のように特定株主に誇示したわけである。
 「元組長」はその死亡するまで暴力団であった。確かに彼は昭和59年に現役の組長か
らは引退したが、決して組を解散したわけでも暴力団を廃業したものでもなかった。
「元組長」は、早くから山口組傘下で中京地区で勢力を拡大し武闘派で鳴らした。昭和3
8年ごろ「弘田組」を結成していた。

昭和59年に彼は家督を子分に譲った。その子分らは「弘道会」を名乗り、それは今や
山口組の主流となった。「元組長」はその組織に出入りし、大きなイベントの折には上席
に座っていた、平成21年に死亡したときも、山口組最高幹部が出席する山口組準組葬
が営まれた、と言われる。
暴力団における「引退」とは、親族や子分などに地盤や権限を譲り重い役職から自由な
身分になったということであり、決してその一家から離脱し、やくざ社会から足を洗っ
て堅気になったというものではない。

それは農家や商家の隠居と同類であり、家督や名跡を相続した者から一定の敬意を払わ
れ比較的自由なその存在が許される、という身分である。指揮命令系統からははずれる
が、相続した者の親(分)であることには変わりはなく、一家の一大事には上座に座っ
て相続者の正当性を担保し、威厳を示してその意向はむげに無視されえない。
子分に地盤を譲り渡し、その組織のイベントで上席に据えられ、その組織の防護の中に
い、日本最大の広域暴力団の最高幹部に厚い礼遇を受ける者が、どうしてその組織と無
縁であると言えるであろうか。

2、土佐電鉄の最高幹部らは、「元組長」が名古屋方面の高知県人会(中部高知県人会)に加入しその例会に出席していたことを、その「元組長」が暴力団ではない証拠であるか
のように言っている(甲第9号証3枚目)。そもそも、そのような人物が県人会の催しも
のに参加することを許し、県民や県出身者らと自由に交際させたこと自体が問題なので
ある。 

被告は、その行政機構の商工政策課(現在地産地消外商課)の仕事として県人会の事務
局を担当して中京地区を含む各地方の県人会を支援してきた。年に一度の例会の際には
県庁職員(知事や県会議員も)がそれに出向してきた。暴排条例があろうとなかろうと
県人会の健全な発展のためには、暴力団最高幹部だったという反社会性の極致ともいうべきものを中に入れるべきであっただろうか。
高知に縁のある多くの企業者らが集まるなかに暴力団関係者を入れると、素人の企業の者は簡単にてなづけられ邪悪な道に引きずり込まれるだろう。

監獄でも、暴力団幹部は一般懲役囚とは同じ牢には入れられず、独居房であると言われている。同じ牢屋に入れて置くとどうなるか分かりきったことだ。
 もし、土佐電鉄最高幹部の言うとおり、県人会で「元組長」と出会い旧交を温めて交際が始まったとすると、「元組長」が県人会に出席することを容認してきた被告の責任は大きい。知事も出席するのであるから担当課員が出席者の吟味は十分していたはずである。

【第三】土佐電鉄による内部調査報告

一、平成25年4月16日土佐電鉄は、取締役会が行った本件に関する内部調査結果を発表した。この内部調査報告書は、一種の弁解書であり、高知新聞等で報道された内容について大筋事実として認めながら、それらについて県の条例等に違反するものではないといういわば開き直りであった。内部調査が認めた主な事実は以下のとおりである。

1、「元組長」について

①「元組長」と会長は出身地や学校が同じで、「元組長」は暴力団を20年も前に辞めていて、中部高知県人会にも出席し、高知県や名古屋の政財界人、新聞社関係者と飲食を共にしていたことから、「元組長」を暴力団とは思っていなかったこと。

 ②社長の手帳で確認したところ、社長は平成19年、平成20年、平成21年の3回「元組長」と面会したこと。

2、この内部調査では、基本的に「高知新聞で報道された事実関係と合致すると思われる動画がYouTubeにアップロード」されたことを認めた。

すなわち、
①社長は「元組長」から、「土佐電鉄に介入しようとする反社会的勢力に対して、自分の名刺はまだ効果があるかもしれない。土佐電鉄に介入するなと、自分の知り合いの暴力団関係者にも言ってある。」と言ってもらったが、当該株主に対して、それを言ったこと。

②また社長は、「元組長」の「この言葉を当該株主に言ったらもう来なくなるのではないかと思いました。」こと。

③「元組長」の「言葉をそのまま伝えた中に現役の暴力団及び暴力団員の氏名が入っていました。」こと。

④「元組長」の話になり、「社長がこの人よと封筒から写真を取り出して見せました」こと。

3、異常の事実から、内部調査報告書は、社長は脅しのために発言したのではなく、「当該株主を牽制しようとした発言であったと判断」したという。
 会社としては、しかし、「社長が当該株主を牽制したいとの意図から行った行為は、軽率であって、道義的責任は免れない」という。

二、

1、内部調査報告書(甲第9号証)は、新聞報道などで明らかにされた本件事件の主要な事実について認めた。さらに、
 この報告書は、他の暴力団を排除するために社長らが、「元組長」系の暴力団を「味方」としてその利用について肯定的に評価した。すなわち、
 報告書7枚目に次のように評価している。
まず、社長の発言内容を検討しました。発言内容は、字句通りに捉えると、「・・・が
土佐電鉄の味方であって、暴力団又は暴力団員にも介入させないようにしてくれている」というものであります。ここでは暴力団又は暴力団員が土佐電鉄から排除されるべき存在として捉えられていることも明らかであります。

 社長の発言内容についてこの文章の前半は、「・・・」の黒塗り部は「元組長」のことであるが、これが土佐電鉄の「味方」であり、暴力団等の会社介入を防護してくれているという発言だったと評価し、後半部は、その「元組長」の力で暴力団等が排除されるべきだという認識を示す発言だったというのである。
前後を通して解釈すれば、要するに、暴力団を使って暴力団を排除するという趣旨になっていて社長の発言が肯定的に評価されている。

 日本最強の指定暴力団の最高幹部の名前とそのよしみを使って(「味方」にして)、他の暴力団や「反社会的勢力」を抑圧しようという本件についてズバリ核心を突く評価である。暴力団を「味方」にしたということ自体が問題になっているのがわかっていない。
取締役と外部からの弁護士からなるこの「取締役調査委員会」が、本件について何の反省も批判精神もないことを示して余りある。

暴力団を利用するものは、より強い悪党の庇護のもとに入り、その他の悪党からの妨害を防ぐというものであるから、上掲の評価は、最強の暴力団の庇護(味方)を頼めば、日本ではまず大丈夫という見解を表明したに等しいだろう。
本件事件の上に、本件事件の核心について肯定する、このような考えを持つ取締役が経営する会社に巨額の公金を出すことが許されるであろうか。
 暴力団を「味方」にしたこと、それを評価していること自体県の暴力団排除条例違反であろう。

2、内部調査報告書では、社長の株主に対する言動は、「社長が発言の中で名前を出した暴力団又は暴力団員等を利用しようとした発言ではない」というが、執拗に便宜供与を求める株主を排除するために、「元組長」や現役暴力団の首領の名前を使って「牽制」したことは認めた。(甲第9号証8枚目)

その名前や名刺を使用してもいいという言質をもあらかじめもらってもいた。
国語辞典(三省堂大辞林)によれば、牽制とは「相手を威圧したり監視したりして自由な行動を妨げること」などもとは軍事的な作戦用語であり、「敵の動きを封じること」という意味となっている。土佐電鉄の取締役らは、牽制という言葉で事件の意味が緩和されると思っているようだが、むしろ暴力団の発動にとって最もふさわしい言葉を選んだというべきであろう。

「牽制」したという事実で十分県の暴力団排除条例違反である。
 暴力団を利用するものは、利用者に対する様々なトラブルをかけてくる者を「牽制」してもらうために高額のみかじめ料などを出してきたのである。

【第四】外部調査報告(乙第3号証)

土佐電鉄は平成25年5月外部の有識者に依頼して委員となってもらって外部調査委員会を組織し、本件について再調査を始め、同年7月30日にその報告書を受けた。
外部と言ってもあくまでも土佐電鉄が今回の事件に臨んで急遽依頼した人間によるものであって、全く土佐電鉄と無関係だったものとは考えられない。4人の委員のうち2人が公共交通にかかわる県庁関係者である。
従って、厳しい詮議はするものの、会社を救済する(事件を揉み消す)のが目的であり、その意図は随所に見えている。特に「第7.再発防止策の提言」なる一章を設けていて、報告書の3割を占めている。不祥事件の調査報告書が再生に向けた経営政策まで提言するのは異常であろう。

この報告書は内部調査報告書とは違って本件についてさすがに露骨な擁護論ではなく、会社とは一定の距離を置いているように見える。

一、外部調査報告書(乙第3号証)の矛盾

報告書の末尾の結語でいう。
元社長及び元会長をはじめとする土電の役職員が反社会的勢力に利益供与しているとの事実は見受けられなかったし、何らかの不適切な交際があったとの事実も見受けられなかった。(26頁)
と本件事件の違法性を全面的に否定したが、しかし、他方では、
これまで述べたとおり、本件問題は、土電という企業のトップである代表者2名が惹き起した重大なコンプライアンス問題である。(19頁)
又21頁でも・・・重大なコンプライアンス違反である本件問題・・・
などと言っている。普通コンプライアンスとは法令順守のことであり、「本件問題」というのは、「平成24年5月8日に株主であるA氏との面談時に、元会長及び元社長が行った発言に関する一連の問題」(外部調査報告書1頁)のことである。
本件問題が重大なコンプライアンス違反であるとすると、違法性全面的否定の結語と矛盾する。要するにこの矛盾は、本件問題が重大なコンプライアンス違反であることを認識しながら、法令解釈を強行的に捻じ曲げて事件性を解消し世間の目を会社の再生問題にすり変えようと意図したものから生まれたものであろう。

二、この矛盾は具体的な事実の認定やその評価の論述にもはっきり表れている。
 元社長の本件行為は、以上検討したように暴排条例第18条違反には該当しないとしても、コンプライアンス上、重大な問題があったといわざるを得ない。(11頁)
という。この時この調査報告書の「コンプライアンス」というのは国の法令や県の条例に関することではなく、土佐電鉄の内部の規則や社是、宣言を言うものと位置付けているようである。すなわち元社長の「本件行為」は
「<暴力団等反社会的勢力排除宣言>に著しく抵触するとともに、コンプライアンス上極めて問題であるというほかなく、公共交通機関の代表者としてあるまじき言動として強い非難を免れない。(11頁)
という。

しかし、報告書が引用している土佐電鉄の平成25年4月24日の<暴力団等反社会的勢力排除宣言>に掲げられている内容(暴力団等の排除、暴力団等との関係遮断)はいずれも県の条例に基づくものであり、これに違背することはすなわち県の条例に反することである。県条例に基づく会社の宣言に対してコンプライアンス違反を認めていながら、県条例上の違法性はない、という矛盾した評価となっている。
一般的に企業のコンプライアンスを会社の内規の問題に限局しようとするのは、この報告書ぐらいであろう。

三、具体的な事実の認定と評価

1、この外部調査で本件についての事実関係とその評価について調査報告は全体の4分の1で8頁に足らない。

また、平成24年5月8日及び5月10日の事件そのものについての記述は半頁であり、
元社長や元会長の具体的文言も一部を除いてほとんど記載されていない。
しかし、一応要約的に確認された事実は特定株主に対し、
①5月8日土佐電鉄本社で、元会長がD氏(「元組長」)との関係を「示唆」し、②
社長がD氏の写真と名刺を「提示」し、③D氏以外も現役の暴力団員の名前を挙げるなどの「言動」を行った。④また、5月10日高知市内の高知会館で、元会長がD氏との関係や暴力団員に関する発言を行った。
という事実を認定した。

事件の内容を新聞等で既に知っている我々には、これだけでも理解はできるが、そうでな
い人がこの①~④を見ても何のことかはっきり分からないだろう。
関係を「示唆」したとか、写真などを「提示」したとか、「暴力団員に関する発言を行った」とかでは事件性を想定することは不可能だろう。
調査報告書として事件の核心である元会長や元社長の言動についてこのような抽象的な記載しかせず、しかも、D氏との関係についても「示唆」した程度にしか認知していない。既述の新聞記事を見ても、二人の最高幹部は暴力団との関係を「示唆」したのではなく、明言さらには誇示したと言えるのであって、その言葉が本当だということの証人まで遠く名古屋から呼び寄せていたのである。

2、D氏(「元組長」)との関係について外部調査報告書は言う。
元会長がD氏との再会後に交流・交友を維持したのは、約30年前に暴力団を引退したものの現役の暴力団に対しても一定の影響力のあったと思われるD氏との関係を維持することが、株主事情の複雑な(後記第6の1(2)のとおり、特殊な株主による経営への不当な介入・要求が頻繁に生じていた)土電にとって対株主との関係において有益になると判断していた可能性は否定できないと思われる。

特に、元社長がD氏より「『侠道会にも言うちゃるきんなあ、要らんことするなよと』
『弘道会の高山にも言うちゃるきんな』」等と言われたと認識しており、D氏の死後約2年半が経過した後に実際にA氏に対してそのように話していることからすれば、少なくとも元社長は、D氏が現役の暴力団への影響力がある(影響力があった)と認識しており、かつ、そのことが土電の株主対策において有益となり得ると考えていたことが認められる。

仮にD氏(元組長)の引退が暴力団廃業を意味したとしても、なお、現役の暴力団最高幹部への影響力があったと思われる(暴力団について関心のある人ならだれでもそう思う)男に依頼したり、又は依頼するように言われた事実について対抗する相手にそれを誇示したという事実は重大である。
「元組長」は「引退」したただの老人ではなく、「引退」後も日本最強の指定暴力団に直接かかわりがあり、重要なイベントではその組織の上席に座ったといわれる大物であるから、その男の世話になるというのは、個人ではなくその背後に隠然と存在する暴力団の世話になるということである。実際「元組長」はその背後の組織の現役最高幹部二人の名前を呼びきりにして、世話をさせると約束した。いうちゃる ということばの意味では既に言っていたのか、これから言うつもりなのか判然としないが、その後実際に言った可能性が高い。外部調査報告書は、元会長や元社長が、対株主との関係において、又実際特定株主(A氏)に対して、「元組長」と交際を続け、また、実際株主との面談で「元組長」の関係を誇示したのは、D氏が現役の暴力団への影響力があると考えたからだ、と認定した。
D氏にはその当時何の神通力もなかったとしても、D氏を仲介として暴力団の威力を発動させようとしていたということになる。

まして「元組長」自体が、暴力団の現役とともに組織の会議や祭礼に出席し、その子分衆から親分としてあがめられている存在なのである。そのような「元組長」と昵懇にし、「味方」にしていると聞かされれば、普通の人はそれだけで怖気つくだろう。
これで暴力団の利用にならないと言えるのであろうか。

3、外部調査報告書はD氏については、高知県警の高知県暴力団排除条例のQ&Aの解説では、暴力団員でなくなってから5年を経過していない者が暴力団に該当するというのが一般的基準だ、D氏は暴力団を引退してから30年たっているから該当しない、という。確かにD氏は自己の暴力団組織を子分たちに引き継がせ「引退」したことになっている。しかし、解散はもとより、個人的にも暴力団から脱退したり破門されたわけでもない。名前は変わっても元の組織と深い関係にあり、影響力を行使していたと思われている。暴力団から完全に断絶してから5年と言うなら、県警のQ&Aの基準も納得できるが、断絶せずその組織と深い関係にある者には引退しようがすまいが何十年たってもその基準は適用され得ない。少しでも暴力団に影響力のある元暴力団は暴力団と同視されねばならないことは暴力団排除条例の趣旨であろう。

 4、外部調査報告書は、D氏(「元組長」)については上のようにごまかせると思ったが名前が挙がった現役の山口組の最高幹部らについては、別口の弁解を用意しなければならなかった。前掲県条例の県警Q&Aのなかで第3条及び第18条の暴力団を利用してはならないという規定について論ずる。

 県警のQ&Aの暴力団の利用の事例として4つがあげられている。すなわち、
 *交通事故等のトラブルに関して暴力団員に示談交渉を依頼すること
 *暴力団員に、相手方を脅す等の違法な行為を依頼すること
 *暴力団や暴力団員との関係を出して相手方に圧力をかけること
 *暴力団員又は暴力団員が紹介してきた相手と取引を行うこと

この4つのうち、3番目の暴力団や暴力団員との関係を出して相手方に圧力をかけること という項目がズバリ本件に該当するのであるが、外部調査報告書は次のように言ってこれをすり抜けようとした。すなわち、
元会長や元社長は、名前の挙がった現役の暴力団(高山、忍)とは面識が無く交際関係もない、また、県警Q&Aでいう暴力団の利用とは、暴力団との面識があり交際関係があることが「前提」となっている、暴力団を利用する「具体的現実的利用可能性」がなければならない、したがって面識すらない暴力団員の名前を出すことは、条例の言う利用には該当しない、というのである。

 これは余りに牽強付会の説と言うべきであろう。
 元会長や元社長が、暴力団との交流・交際の事実があったことは、すでに外部調査報告書が認定している。「元組長」が死んでからも葬式や墓参などの実績を重ねているのは、残った暴力団幹部への忠誠の証であって、単に故人をしのぶだけの話ではない。
 何のために会社の金を使い、県会議員の政務調査費と言う公金まで使ってそのような実績を重ねたのかは説明するまでもないであろう。「具体的現実的利用可能性」があるからであった。一般的に、日本には、誰でも暴力団を利用しかねないという社会的風潮があるからこそ暴力団排除条例が全国的に制定されたのである。土佐電鉄のような企業はとりわけその可能性が高いのである。

 外部調査報告書が認定する通り、「元組長」又はその男を通じて暴力団と交流を維持したことは、対株主の上で「有益」だと思っていて、実際にそれをAという株主に対して実行したという事件が明るみに出て、そのことについて調査しているというのに、「具体的現実的可能性」がなかった、というのは一体どういうことであろうか。理解に苦しむ。
第一、 暴力団排除条例第3条や第18条をどう解釈しても、暴力団との「面識」とか「具
体的現実的利用可能性」の有無とかが「前提」になっているとは考えられない。暴力団との関係が仮に虚偽または偽装であってもこの条項は成り立つのであり、暴力団と関係があるということで相手を威圧すれば十分であって、外部調査報告書の論理は付会の説というべきだ。

【結語】

内部調査報告書も外部調査報告書も、新聞報道で出された重要な発言について全部を取り上げてはいない。とりわけ、西岡元会長が役員に就任したり辞任しようとしたりした時の「元組長」の重大な発言、また、問題のある株主の株を買い取るという発言などは没却されている。しかし、両報告書とも、条例違反になる土佐電鉄幹部の言動について基本的に認めた。その事実についての評価でも結論に至る叙述の中身では暴力団排除条例に違反することを実質的に認めた。

内部調査報告書は、暴力団を「味方」にして特定株主を「牽制」したことを認めた。

外部調査報告書は、会社の代表者である元社長が、・・・・暴力団員との関係を示唆する等の、反社会的勢力の排除、関係の遮断とは逆に、助長するような言動に及んだもの・・・(11頁)

と「本件行為」を断罪した。反社会的勢力を助長した、とまで認定したのだ。
被告は、これら両報告書の内実を真摯に受け止めて答弁書を書きなおす必要があろう。

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2013年6月17日 (月)

土佐電鉄暴力団事件訴状

News & Letters/352

高知県監査委員の土佐電鉄の監査報告は、土佐電鉄の調査報告書が完成していないとか、県当局が事実の確認が出来ていないとか、いうことで私の監査請求を棄却した。
それで6月15日私はやむなく高知地裁に提訴した。

こんな監査委員に県の公金を提供することはそれ自体が不当な公金の支出に当たるであろう。県民にいわれなくてもこれほどの新聞報道が出ているのであるから、自ら進んで監査を行い県当局に適切な勧告をしなければならないはずだ。

当然の職務を遂行しないばかりか、当事者の内部調査や事実確認ができていないことを理由に、監査を放棄するのである。事案の調査や事実確認こそは監査委員の職務であり、それ以外に何の仕事もない。

それを放擲することを文書にして県民に通知をする以上は、報酬や手当を要求する資格はないし、不当利得となって、新たなる監査請求が必要である。
監査委員の不当利得を住民監査請求する場合、誰がその請求書を審理するのであろうか。高知城下の腐敗堕落は底が見えない。

土佐電鉄の暴力団事件について県は右往左往している。自分が作った条例の重さに耐えられず、何とかうやむやにし全てなかったことにしたいのであろう。
自分が作った法令を実行できるかどうか見ものである。

訴   状
          高知県安芸郡東洋町大字河内1081番地1         
            原告 澤山 保太郎
      高知市丸ノ内一丁目2番20号       
                被告 高知県 

代表 知事 尾崎 正直
補助金返還請求及び支給差止め請求事件 
 訴訟物の価額  160万円
貼用印紙額     6400円

【請求の趣旨】

1、被告は、土佐電鉄株式会社に対して3204万4164円を高知県に返還させる。
2、被告は、土佐電鉄株式会社に対する確定されて未交付分の補助金(6907万3352円)の支給を差し止める。
3、訴訟費用は被告が負担する。との判決を求める。

【第1、当事者】

1、原告は、高知県安芸郡東洋町の住民であって、本件について平成25年5月15日付で高知県監査委員より、監査請求の却下の通知を受けたものである。
2.被告代表知事尾崎正直は、本件事件当時知事であり、本件について十分認識し、部下を指揮して法令に基づき適切な処置を取る義務を持つものである。

【第2、請求原因】

一、高知県は、土佐電気鉄道株式会社(以下土佐電鉄とよぶ)に対して、県条例(高知県暴力団排除条例)に違反して、毎年巨額の補助金を交付してきた。
 これにより土佐電鉄は、その資格が無いのに巨額の補助金を不当に取得してきた。
 昨年平成24年5月8日に、土佐電鉄の社長(竹本昭和)および会長(西岡寅八郎)が暴力団と深いつながりがあり、その事実を誇示して土佐電鉄のある株主を威圧しようとしていた。(この日の事件を本件事件とよぶ)
その事件から2カ月以内に高知県はこの事実についてその株主から通報を受けたが、条例に基づいてほとんど何も適切な措置(暴力団関係企業への公金支給のストップ等)を取らなかった。
平成25年3月22日高知新聞によって本件事件が暴露され、土佐電鉄が被告から受けてきた補助金の概要も明らかにされた。

二、原告は、平成25年3月25日に、本件について住民監査請求を行った。 
  県の監査委員は原告の監査請求を全面的に理由なしとして棄却し、被告と同様土佐電鉄の本件事件と被告の同社への公金支給についてほとんど何も問題にしようとしなかった。
  監査委員の「監査報告書」の問題点は次のとおりである。
原告の監査請求を棄却した理由は、第一に、土佐電鉄の内部調査「第三者委員会の再調査の報告」がまだできていないので被告の「事実認定が行われていない」こと、また、暴力団について被告が県警本部から「判断の基となる情報が得られなかった」こと、これらのことから、本件については、被告の補助金交付規則第4条ただし書(暴力団関係の場合は交付決定をしない)に該当するかどうか、「判断することは困難であり、同項に違反した交付決定になるとまでは言えない。」という。

  これは全く監査委員として権威失墜の文言であって、監査委員としての職責がなんであるか全然わきまえない姿勢であろう。県庁が重大事案で判断できない等優柔不断で事態をうやむやにしようとしても、そうであればあるほど監査委員は行政の事務を調査し問題点を抉り出して是正措置を提言しなければならないのである。
もちろん被告は、土佐電鉄の内部調査や外部からの調査がどうであれ、独自の調査と判断をしなければならない行政主体であり、それだけの能力ある知事や職員がおるのである。本件は全く単純な事件であり、名前が出された暴力団幹部は指定暴力団なのである。指定暴力団は天下に公表されている。警察に照会をかけるのもいいであろうが、そんなことしなくても断定できる。

そこで監査委員が自分に持ちだした驚くべき難題は、名前が出ても「暴力団との意見の合致が無い場合は、暴排条例第18条違反には該当しないと法務課から聞いている。」、すなわち「暴力団の利用は、あくまで当該暴力団との意思疎通が前提にあってのものであるという執行機関の説明」があり、監査委員はこれは「一定理解できる」というのである。法令にないこんな大きな障壁を設定して、これを解決できないから、と手足を投げ出すというのである。

暴力団との了解があろうが無かろうが、暴力団の名前を利用することが出来ることはもちろんだが、本件の場合新聞報道等でも明らかな通り、暴力団の名前を出すことは了解済みであり、また、暴力団の了解なしにその名前を出すことなど普通ではありえない。むやみに暴力団の名前を出せば、それがわかればその暴力団から大変な目にあうであろうことは誰でもわかることだ。

 本件にかかわった高知県監査委員は、自己の職責がなんであるかよくわかっていない。
本件監査報告書3頁の後段に、土佐電鉄の委託料の支出差止め請求について言及しているが、次のように言って却下している。
「仮に不適切な相手方との契約であったとしても契約の履行自体に問題なければ、委託料の支出により県に財産的損害が発生する可能性がなく、法第242条第1項に規定する住民監査請求の要件を満たさないため監査対象としない。」
暴力団に関係する団体に県の事務を委託するための委託料の支出は、同法のいう「違法または不当な公金の支出」に当たらないだろうか。

三、監査請求した補助金のうち本件請求に係るものは以下のとおりである。
  1、既に交付されたものと思われるもので返還を要するもの

 ①平成24年度バス運行対策費補助金          1344万9000円
 ②平成23年度鉄道軌道輸送対策事業補助金        641万6771円
 ③平成23年度安心安全の施設整備事業費補助金      528万0000円
 ④平成22年度鉄道軌道輸送高度化事業費補助金      689万8393円
 ⑤平成23年度高知県鉄道軌道輸送対策事業費補助金    683万6005円
                         計  3888万0169円

  2、未交付と思われるもので交付差止めを要するもの

 ①平成24年度鉄道軌道安全輸送設備等整備事業費補助金 1273万2424円 
 ②公共交通実証実験等事業費補助金            67万5928円
 ③平成25年度安全安心の施設整備事業費補助金     3887万5000円
 ④平成25年度バス運行対策費補助金          1679万0000円
                         計  6907万3352円

四、本件事件について土佐電鉄取締役会は事実調査を実施し、被告知事に対して平成25年4月16日付の報告書を提出した。
 この内容は驚くべきもので、本件事件での社長、会長の発言を法的問題はない、違法性はないとして肯定するものであり、順法精神の欠如した会社の実態を如実に示すものであって、問題の竹本社長、西岡会長が辞任した後も、意識的に本件に係る事案について反省の色がなく、土佐電鉄が被告から補助金等を受ける資格が無いことを証明したものである。
五、本件については、高知県暴力団排除条例に違反するが、地方自治法第232条の3の規定、支出負担行為は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。との規定に違反している。

【立証方法】

一、甲第1号証   監査委員会からの通知
二、甲第2号証   高知県暴力排除条例   
  三、甲第3号証   高知県の事務及び事業における暴力団の排除に関する規程
  四、甲第4号証  高知県補助金交付規則
  五、甲第5号証  土佐電鉄八十年史抜粋
  六、甲第6号証  本件補助金支出関係資料(甲6号の1~9)
七、甲第7号証  本件事件についての高知新聞報道(甲7号の1~6)
  八、甲第8号証  土電に関する県民からの情報提供
  九、甲第9号証  土佐電鉄社内部調査報告書

【添付書類】
一、訴状副本 1通
二、甲号各証 各1通

平成25年6月  日
高知県安芸郡東洋町大字河内1081番地1
                   澤山 保太郎
高知地方裁判所 御中

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2013年4月26日 (金)

監査請求書を補う意見陳述

News & Letters/347

平成25年4月9日 監査委員会

監査請求書を補う意見陳述

請求人
 
澤山保太郎

要 旨

一、
新聞報道等によると高知県は、すでに昨年6月本件について特定の「男性株主」から指摘を受けた事実があるとされている。しかし、県及び県警は現在まで土佐電気鉄道に対してそれ以降10ヶ月にわたって条例や規程に定める暴力団関係の排除に関する「排除措置」を講じず、従来通りの補助金の申請を受理し、またパスポート業務等の委託契約を結ぶなどし、臆面もなく関連予算を25年度新年度予算案に計上していた。
これは事実上暴力団に関与する会社を容認し、県条例に違反するものであって、高知県自
体が暴力団排除条例に違反する。

また、新聞報道等によれば、暴力団排除条例を作った県議会も、その長老格ともいうべき
ものが率先して暴力団と深い交際をし、関係会社の役員をその関係に引き込む役割を果た
してきた。県議会は未だにその長老議員に対し厳正な措置をとることができないでいる。
これは県議会自体も暴力団排除条例に抵触している状況というべきである。
如上の事実は暴力団排除県条例につき以下のとおりの条項に該当又は抵触している。

1、条例第1条:県(県議会を含む)の暴力団排除の目的 

2、条例第2条:第2項「暴力団員」 又は 第3項「暴力団員等」に該当  
  土佐電鉄の社長竹本及び会長西岡の言動には現役の幹部暴力団員の名前を出して示威しており、また、引退した有力暴力団員の名前と写真を示威した。
  *これらについては「高知県の事務及び事業における暴力団排除に関する規程」の第2条、第3条で、具体的に規定されている。

①契約等の相手方には、県からの役務の委託、補助金や貸付金の交付を受ける者も含まれている。土佐電鉄はこれに該当する。

②排除する対象には、 役員がその会社の利益のため暴力団を利用している者、
または、役員が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有している者も含まれる。と規定されている。土佐電鉄はこれに該当する。

3、条例第3条、4条: 暴力団排除について県の義務

4、第6条:公共工事その他の県の事務・事業から暴力団を排除する措置義務

二、

新聞報道によれば、今回の事件で土佐電鉄の社長らの「男性株主」=「特定株主」に対して暴力団関係者の名前を出して対応したのは「力には力、毒をもって毒を制するというやり方」であるという。正規の対応ではなく、反社会的勢力を使って相手を制しようとするのは極めて異常であり、株主総会での追及を避けようとしていたということである。その「特定株主」の追及の一つが社長らの報酬額であると推認される。

 経営破たん状況で補助金の交付がなければバスや電車の運行が困難な財政状況で役員の報酬が相当高額であるとすれば、株主の会社経営についての追及は「毒」ではなく、正当な行為であり、補助団体の問題だけではなく、補助金を交付している県の姿勢も問われている。
  土佐電鉄の社長らが暴力団を利用した動機は、株主や県民の正当な疑問を封じることが目的であった考えられる。県は、補助金交付に当たってその前提となる相手団体の財政の実態を調査していない可能性が強く疑われる。

 また、県の暴力団排除条例第7条に規定されているような、事業者が県政に係る契約をする時に、「暴力団員等」に関係を持たれた場合の報告義務について何も措置をしていない可能性がある。

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土佐電鉄の暴力団事件の報告書

News & Letters/346

4月16日付で高知県知事あてに、土佐電鉄が社長及び会長の暴力団とのかかわりについての調査報告書が出された。

一言で言って開き直りで、弁解に終始した。語るに落ちるという感じもある。
何も悪いことはしていない、その株主は会社に対して不当な要求をしていたから、元組長らの名前を使ってその株主を「牽制」しただけだ、とのことである。

それで、法的責任はないが「道義的責任」があるので社長・会長は退任したという。

、「牽制」とは何ぞや。元組長の名刺や写真を相手に示し、それと親しくして貰っているという発言は、その相手が何者であってそれをどういう風に受け止めるのかは別として、要するにその発言が効果があったかどうかは別として、社長や会長がそれでもって脅迫しようとしたことは事実である。「牽制」というのは外部からの圧力である。野球で投手がランナーに対して牽制球を投げるが、それは、相手を刺して殺そうという球だ。
  牽制球はリードが大きければ・・・という脅しも含むが実際に殺されることもあるから脅しよりも厳しい。

、「道義的責任」はあるという。

土佐電鉄は道義的責任は法的責任よりも軽いと思っているようである。
 しかし、道義は法と同じかそれよりも重く大きい。第一、退職せねばならないと言うほどの責任は刑罰と同等であろう。もともと法は道義の中でこれだけは最低限守らねばという道義であり、道義は法を含んでもっと広く人間の道全体を言う。道義的責任をとるというのであれば、退職金も取るべきでないし、県会議員も早々に
うならやめるべきだ。
  
 社長と会長は元組長と何度も会い、死んだら葬式にまで出たという。
 「土佐電鉄に介入しようとする反社会的勢力」から会社を防御してもらうという約束が貰えたともいう。そんな約束をただで頂けるわけがない。戦前、土佐電鉄は労働争議で当
時の侠客を使った前歴を持っている。当時土電の社長らは問題解決の手法のため日ご 
ろから侠客を支援していたと社史でしゃあしゃあと書いている。

 調べるべきは、二人が、元組長と会う時には、手ぶらであったわけではないであろうということ、すなわち、社長や会長の交際費や旅費を使っていないかということと、会長が「証人」として暴力団がらみの企業を会社に呼んでいることから察すると、名古屋方面で
 何らかの裏企業活動をしていなかったか、ということである。

 ただ社長らの言い分を書き連ね、自社に都合のいい弁護士の話を満載するのではな
 く、 これらの疑惑について事実関係を調べてこそ本当の調査というものである。

**「当該株主」について

本件土佐電鉄の暴力団との関係を暴露した株主について、この報告書では「当該株主」と呼んでいる。報告書では、この「当該株主」が株主優待券や機関紙への広告掲載の「不当な利益供与」の要求があった、と記載し、また、暴力団など反社会的な勢力についてはむしろ、「当該株主」の方から話があがり、それを「誇示」したというようなまるで逆の書き方をしている。

不当な要求があったというけれども、はっきりした根拠や証拠は示されていないし、また、動画を見ても「当該株主」が先に暴力団の名前を出しているとは聞き取れない。
「当該株主」はこれらの土佐電鉄側の一方的な断定について、反論する必要があるであろう。

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