社会問題

2019年5月10日 (金)

天皇の国事行為

天皇の国事行為は憲法第7条で10項目に限定されて定められている。
しかし、天皇・皇后が力を入れている戦没者の慰霊行為、地震・風水害など被災地へのお見舞い行為、各国外交官の謁見、また誕生日などで記者会見して意見を述べる行為なども国事行為には入っていない。誕生日などで意見を述べる行為もそうだ。

また、皇后をはじめ、皇太子、皇族たちが天皇の代替としていろいろな国や地方自治体等が係る公的なイベントに参加したりする行為はどういうことになるだろうか。憲法第5条では摂政が天皇の代わりに国事行為を行うとなっているだけだ。

憲法第4条2項では天皇は法律に基づきその国事行為を委任することができることになっているが、その法律「国事行為の臨時代行に関する法律」第2条によれば、委任するのは天皇が「精神若しくは身体の疾患又は事故があるとき」となっているから、天皇が健常であれば憲法上国事行為の委任者は誰もいない。病気か事故あるときに摂政となる順位の皇族だけが委任者でありうる。・

摂政となっていない皇太子(または皇嗣)をはじめ、皇后以下の皇族たちは国事行為はもとより、それ以外の天皇としての象徴行為の代行はいかに善意から出たものであっても、憲法や皇室典範などに規定されていない行為であり、脱法行為というべきであろう。被災地へのお見舞い行為などでは慈悲深い皇室への好感度はまし讃嘆の声さえあがっている。天皇制支持の機運はますますあがり、天皇制永続の地盤はいや増して強固となる。ただのさざれ石が巌をとなる。

巌がさざれ石になるのが自然ではなかろうか。
天皇制廃止論者はまず如上の脱法行為を問題にすべきであり、慰霊やお見舞いなど脱法行為が縮減すれば天皇や皇族への国民の関心も薄れることであろう。また、天皇ご一家の安息の日、家族団らんの時間も多くなるだろう。

| | コメント (0)

2019年3月13日 (水)

県立大学蔵書焼却事件住民訴訟の成り行き

高知新聞等で暴露報道された高知県立大学による数万冊の蔵書焼却事件は、県が購入した時には3億円以上もした貴重な図書だった。

これを何の適法な手続きもせずに焼却したり古紙として処分されたのである。県民の誰もが驚愕したであろう。

 

だが、公の財産のこれほどの破却という犯罪について、反省とか残念とかいうだけでだれも法的責任が問われないまま終わろうとしている。

私は県の監査委員会に住民監査請求したが、にべもなく却下され、やむなく住民訴訟を提起した。

 

この事件の核心は、第一に国の法律(地方独立行政法 不要となった財産は元の地方自治体に返還する義務)に違反していること、第二にこの蔵書はもともと高知県が購入したものであるが、行政法人になった県立大学に譲渡された。この場合譲渡契約があり、それによると10年間大学は使用目的に沿って譲渡された財産を供用する義務があり、これに違反した場合は損害賠償や違約金の支払いが課されていた。

大々的に報道した高知新聞などは、このような重大な法的責任(国の法律違反、譲渡契約違反)について一言も語らない。

 

高知県知事尾﨑は、まるで第三者のような顔をして論評しているが、それどころではない。

県立大学が大学法人になって高知県から自由に成ったと思っているようだが、前掲の国の法律では、従来と同じ程度に大学運営について監督責任、業務指導責任が明記されている。不要となった財産の処分業務についても知事は大学に対して直接指揮監督上の責任がある。

 

本件の裁判はこれらの知事の法的責任について争われているのである。

 

平成30年行ウ第7号 損害賠償請求事件

原告 澤山保太郎

被告 高知県知事 尾﨑正直

 

  原告準備書面(2)

                平成312月8日

高知地方裁判所 殿

                       原告 澤山保太郎

 

被告準備書面(1)について

 

 

一、「後段請求」(2頁~6頁)について

 

、被告は、「前段請求」については、「一応は住民監査請求を行っている」が、「後段請求」については、「住民監査請求さえ行っておらず、…監査請求前置の要件を満たしていな

い・・」、したがって地方自治法の242条2の第1項の趣旨に反するという。

「前段請求」というのは、国の法律に基づく損害賠償請求であり、「後段請求」というのは訴状の訂正で付け加えた請求で、これは被告高知県と大学法人の間で締結されていた譲与契約書(甲第7号証)に基づく損害賠償のことである。

今回被告は特にこの「後段請求」に力点を置いて最高裁判例を曲解までして原告の主張を非難をしている。しかしこの非難は、最高裁判例が本件に該当すると誤解してなされたものであり、失当である。

 

、平成265日の最高裁第三小法廷の判例(乙第5号証)

 

 この判例の趣旨は、

「支出の名目が会議接待費あるいは工事諸費と特定されているだけで、個々の支出についての①日時、②支出金額、③支出先、④支出目的等が明らかにされていないのみならず、⑤支出総額も5000万円以上という不特定なものであって、・・・本件監査請求において、各公金の支出が他の支出と区別して特定認識できる程度に個別的、具体的に適示されているものとは認めることができない。したがって、本件監査請求は、請求の特定を欠くものとして不適法というべきである。」(①~⑤は原告)という判断にある。

この判断が果たして正しいかどうか最高裁でも意見(少数意見が付記)が分かれていたが、

この判断の基軸となるのは、対象となる事件の特定(本件では大学図書の焼却事件)のうえ、監査請求書に上記①~⓹の具体的な特定がなされているかどうかである。

これらの個々(本件では図書の焼却処分という1個の行為)の事実について具体的な特定がなされているかどうかに照らし合わせて判断すべきであって、その行為についての住民側の法的評価、法的根拠の主張の有無、訴訟段階でのそれら法的根拠等の追加・変遷などは、監査請求前置の可否の判断には無関係であるということである。

 

、本件監査請求

 

上掲最高裁判例に照らしても本件監査請求の内容では、何の問題もない。

請求書本文と証拠として提出した新聞などによって事件は特定されているし、最高裁判例の当該財務会計行為の事実の特定①~⑤のうち⑤の財産管理の性質上支出金額は出ていないが、それ以外はすべて請求書及び提出した新聞記事等で適示されている。

 の日時(平成25年度以降4年間29年度まで 学長声明)、②の損害の財産の規模(図

3.8万冊 学長声明 )、③の処分先(高知市清掃工場 高知新聞)、④の目的(除却 高知新聞、学長声明)⑤の除却(焼却)の費用は高知県の出費ではない。

 

、被告が問題にしているのは、監査請求対象の財務会計行為(本件では財産の管理を怠る)事実関係ではなく、その行為の依拠すべき法的根拠となる譲渡契約書についてであ

る。

この契約書は確かに本件住民監査請求書では問題としていない。むしろ、住民(原告)側から出した請求について監査委員側が検討して出してきたもの(甲第2号証)である。すなわち「県と高知県公立大学法人との間で平成23年4月1日付で締結されていた県有財産譲与契約書」のことである。

これは、原告の請求の指摘する法的根拠以外の他の根拠(証拠)にも監査が及ぶことをしめすものであり、事実上それについて監査が実施されたのである。

原告の請求によって特定の証拠について監査が実施されたものを、監査がされていないと不平を鳴らすというのは一体どういうことなのであろうか、正気の沙汰とは思えない。

 

、地方自治法第242条2の第1項(住民訴訟)の冒頭の規定では、住民は、監査請求をしたうえで住民訴訟に及ぶことができるが、それは「監査委員の監査の結果」等に不服があ

る場合である。原告は一つには上記の譲与契約書についての監査委員の監査の結果につい

て不服であったので訴訟に及んだのである。

住民訴訟の前提というのは地方自治法の規定を厳密にいえば、単に住民が監査請求をした

というだけではないのであって、①住民の監査請求提出②監査委員の監査③監査の結果の

通知および公表、④住民側の監査結果への不服による提訴、の全過程を言うのである。

また、住民側の監査請求に具体性を欠くとか、証拠が十分でないとか、ということだけでは

監査委員はこれを却下できないし、裁判所も同様である。

地方自治法242条1(監査請求)の第6項の規定では、住民に証拠の提出や陳述の機会を与える義務が明記されている。

本件のようにそのような機会も与えない義務不履行、監査委員の眼をすらも通してもいないと思われる(事務局員での取り扱いのみ)監査の違法な実態を考慮するならば、たとえ事実の適示に不備があったとしても前掲の最高裁判例のような荒っぽい判断は許されない。

 

、なお、訴訟段階で監査請求と同一の特定の事件について、新たな証拠、新たな違法事由を取り上げたからといって、元の監査請求が不適法になるわけはない。またそれによって

請求金額が監査請求段階のそれと相違したからといって監査請求前置主義に違背すること

はあり得ない。このことは、原告準備書面(1)で最高裁判例を挙げて主張したとおりであ

る。

今回の被告準備書面6頁の上段でも

「昭和62年最判はあくまで住民監査請求を経た特定の財務会計行為について、住民監査請

求時に指摘していない違法事由を住民訴訟の段階で新たに追加して主張することを許容す

る旨判示するもの・・・」と被告もその趣旨を了解しているようである。

原告は監査請求から現在の訴訟に至るまで、被告が、特定の期間に、特定の公の財産を、違

法な手続きで、没却された事実について、これの回復措置行為を怠った、という事実につい

て問題にしており他に財務会計行為上の何の事実も付加していない。

 

二、被告の本案の主張について

 

本件事件は、高知県立大学が図書館移転の際に新館に収容しきれない図書数万冊を焼却したという不祥事は紛れもない事実であり、公共の、特に学問研究に必要な図書を焼却するという野蛮な行為について多くの県民が開いた口が塞がらないほどに驚いた事件である。

しかるに被告は、本法廷においてこの所業について一言の反省の言葉、謝罪の言葉もないばかりか、傲然と開き直ってやまず、姑息な弁解が続く。

 

1、蔵書の処分の実態

 

その姑息な弁解の第1が、地方独立行政法人法第6条第1項の規定をめぐるものである。

そこには、不要となった財産の設立団体への「納付」の義務が定められているが、その財産については条例で定める重要な財産となっている。

それに関する県の条例では、50万円以上の財産となっていて、本件処分対象となった図書は150万円を超えるものはないので不要財産の「納付」の義務はない、というのである。

この主張は法の規定の潜脱を意図する姑息な弁解というべきであろう。

数万冊の処分した蔵書を1冊1冊に分割するというのである。

あたかも原告や本件処分を悔しがる県民のように本件処分の書籍を11冊大事に管理してきたかのような口吻である。

確かに、図書は購入する段階では、1冊づつ購入され登録される。本件処分段階においては、まったくそうではない。

 購入:個別冊子として登録 ⇒②管理:蔵書 ⇒③処分:機密書類(重量㎏)

 

 の段階以外では、図書館では一般的に図書、蔵書と集合的にとらえられている。

本件について新聞や学長声明、県庁のホームページや県議会資料(乙4号証)などでは「蔵書」と表現され、本件についての第三者検証委員会の名称も「高知県立大学永国寺図書館の蔵書の除却検証委員会」となっている。本件大学法人の図書管理規則でも「蔵書」と規定されている。図書館などで蔵書とは一般的に相当量の書籍の集合体である。

3万8000冊の処分された蔵書のうち焼却されたのは2万2千冊余であるが、それらが焼却場に行く前の処分を決定する大学の決裁文書では、11冊の本でも蔵書でもなく、「機密書類」として一括(実際には12回に分割)され重量kgで測られる紙に転化していた。。焼却炉に入れられる前に巨億の価値がある蔵書が無価値物体にされたことが問題になっているのである。被告は、購入時の本の取り扱いを主張しているが、問題は管理段階の本の集積(蔵書)の把握の意識であり、特に本件で問題となるのは処分時の認識のありようである。1冊1冊選び出した対象書籍の数万冊の束は除却の対象として全体として集合的に、文字通り十把一絡げに把握され処分された。大学も検証委も本件被処分書籍を「蔵書」としてそう認識していた。

 

ここで問題なのは、図書館所蔵の本を1冊1冊の個別のものと見るか集合的なものと見るかではなく(見方によってどちらでも見られる)、取り扱いの各段階において大学がこれら書籍をどのように位置づけるべきだったのか、またどのように位置づけたか、である。

農産物や水産物も育てたり収穫(捕獲)したりするときには個体として扱うが、処分するときには集合体としてみ、扱う場合が多い。キャベツでもナスでも育成や収穫するときには1個1個だが、販売時には箱に詰められ集合体として出荷される。

なお、被告の今回の準備書面でも原告と同じ認識で本件蔵書処分を集合的に把握して遂行したことを吐露している。すなわち

「・・・業務効率化の観点から、適切なタイミングである程度まとめて除却手続きをとることは当然であり、・・・」(8頁)といっている。

 

2、図書の財産的重要性

 

学術研究・教育機関である大学、とりわけ大学図書館では、図書が最も重要な財産である。県立図書館もそうであるが高知県の大学の所蔵図書は極めて貧弱であり、学術上専門図書の集積は劣悪であって私が専攻してきた日本史学の分野でも県内図書館では満足に重要書籍や論文を見ることができない。全般的に大学が学術的文献の収集に熱意があるのかどうか疑わしい。今回の大量の焚書が大学図書館自体によって行なわれたというのも書籍収集の重要性について正しい認識が欠落しているところから生まれたと感ずる。

地方独立行政法人法の第6条4項で取り上げられている高知県条例(「高知県公立大学法人に係る評価委員会及び重要な財産に関する条例」 乙1号証)について被告は、原告の主張が県の「条例制定者の意志」に反しているかのごとく主張している。しかし、問題はこの条例の9条の第1項の50万円以上の重要財産の限定が、数万冊巨額の図書館蔵書の処分を可能とさせる根拠として使われることを想定していたであろうか。また國の法令制定者の意志に沿っているであろうか。

 

そもそも不要財産の処分については前掲法6条第4項だけでなく42条2第1項の二つの規定がある。6条第4項の規定には、不要財産の処分については42条2に基づく手続きの指定と不要財産について設立団体の条例の定めの二つの条件が付けられているが、42条2第1項には不要財産の「納付」義務がうたわれているが、不要財産それ自体には何らの条件も付されていず、第2項以下でその納付手続きが規定されているだけである。

一つの法令で条件が付された前条と無条件の後条が並立した場合国民はどう考えるべきであろうか。前条は義務負担者にゆるく、後条は厳しいが県民には有益である。しかも前条は後条にその実施をゆだねている。県の条例の定めは後条にまで及ぶであろうか。

図書の中では、金額に換算できないほどの貴重な価値があるものがたくさんある。

国の法令や地方自治体の条例がそのような貴重な財産をでたらめな公務員の恣意的な処分判断から守ることができないはずはない。

また、例えば、本件数万冊の書籍を第三者に譲渡してその収益が数千万円、あるいは数億円あって場合でも、被告はこの金を高知県に報告したり返納したりする必要はない、というのであろうか。

 

3、本件譲与契約違反について

 

被告準備書面では、原告が本件譲与契約を取り上げたことを何か「仮定的あるいは予備的主張」と貶めているようであるが、そのようなものではない。

主張」と受け止めているようであるが、そのようなものではない。

本件請求には二つの法的証拠を挙げていて一つは国の地方独立行政法人法と今一つは本件契約書である。本件訴訟の本筋である。

本件処分行為が本件譲与契約書の主な各条項に違反又は該当する事実は次のとおり。

 第7条・8条 譲与物件を特定始期から指定用途に供すること

 第12条 譲与物件の所有権移転等の禁止

 第13条 県の実地調査

 第14条第1項 違約金

 第15条 契約解除  

 第16条 原状回復義務

 第17条 損害賠償

 第19条 契約解除と特別違約金

 

(1) 第7条は譲与物件を指定用途に供する義務の規程であり第8条は、その実施始期    を定め、それ以降の指定用途の供用を定めたものであって、1個の規程とみなされる。

  第7条の指定用途の供用には期間の限定はないからいつでも自由に処分できるとはならない。物品の耐用年数や使用価値の寿命が限度となると考えられる。

(2) 第13条の実地調査の規程のほかに、県は、前掲の高知県公立大学法人については評価委員会を設置しその業務を評価する組織を作っているが、本件について被告も評価委員も調査した記録はない。

(3)第15条の契約解除の理由は少なくとも第7条、第12条第1項に違反している事実がある。本件譲与契約の締結後数年しか経っていないのに、蔵書について大規模な指定用途の解除を勝手に行ったのであるから契約解除の理由となる。

(4)違約金とは別に損害賠償の義務がある。

 

4、第12条の所有権移転について

 

 被告は、本件処分は譲与契約書第12条には違反しない、所有権を第三者に移転していない、したがって第14条等の違約金の支払い義務もなく、契約の解除ということもない、という。しかし、被告の11頁下段~12頁での主張では

 「本件除却に関する決裁をした時点において、同法人は当該対象書籍について所有の意

志を有さなくなったものであり、その時点で所有権を放棄している・・・」といい、

 また、「「引き渡しを受けた廃棄物収集運搬処理業者や清掃工場」が「それぞれの役割に

応じて当該対象書籍を事実上占有していた・・・」ことを認めている。

そうするとこの①,②は、民法第239条の規定にぴったり当てはまり所有権の実質的移転が達成させたものと考えられる。むろん被告が心配するように、処理業者や高知市の清掃工場にはそれぞれ法令の規制や施設の規則等があるからこれら廃棄物を自由に使用したり転売したりする恐れはあり得ず、焼却して灰にするか溶融して再生するしかない。

一般に産業廃棄物とは違って紙類などの一般廃棄物は、回収・処理業務をしている市町村の所有物に転化しているといわれそれを条例化しているところもある。

 

5、その他の被告の主張について

 

1)被告が、不要財産が発生したからといって直ちに賠償責任や違約金の支払いの義務の発生、また契約解除等がなされるものではなく、所定の手続きを履践しなければならない、

というのはその通りであり、原告はこれらの手続きが行われていないことを問題にしてい

るのである。

確かに不要財産に関する設立団体への「納付」の手続きは法人の側から始まる。

だが、本件大学法人の設立者である高知県知事は、法律(地方独立法人法)上、本件大学法人に対して直接または間接的に人事、財務も含む業務運営上の全面的な権限と責任を持っている。その主なものを挙げると、

第7条:法人の定款の制定、11条:法人の事務処理のための県庁内に評価委員会の設置、14条:法人の理事長、監事の選任、17条、それらの解任、25条~30条:不要財産の処分計画を含む日常業務計画の策定と業務の評価、業務改善・組織の存廃などの措置命令、30条:業務の検討、所要の措置命令、34条:法人財務諸表、決算の承認、36条:会計監査人の選任(39条その解任)、46条:財務会計事務の規則制定、121条:業務について報告を受け、検査の実施、122条:措置命令、…等々である。

不要財産の発生とその処理についても全的に把握し適正な処理を指示できる立場にあった。

不要財産の処分を含め被告は、実質的に大学法人に対しては法人化する以前と同程度の権限と責任を負っている。

 

2)また、高知県には本件処分対象書籍は「納付」もされずその手続きもなされていないから「高知県の財産となっていない。したがって、本件除却によって高知県の財産権が侵害

された事実はないから、…・損害賠償権を有しておらず、・・・」という」

しかし、本件請求は、一つは違約金の支払い(譲与契約書第14条第1項)を問題にし、もう一つは、損害賠償金(譲与契約第17条)を問題にしているものである。

後者については、「納付」によって得るべき数万冊の蔵書という財が得られなかった損金の賠償金である。

もともと本件譲与契約は解除付き契約の一種であって、違反行為があれば譲与そのものがなかったものになるのである。

3)また、被告は、原告の主張によればパソコンなど破損した機器や陳腐化し要らなくなった本など「別紙2」の物品について適当に廃棄したり第三者への譲渡も一切できなくなる

などと非難するが、本件訴訟では、そのようなものは全く無関係であって、十分価値ある数

万冊の蔵書の焼却を問題にしている。汚れたり破損したり時代遅れになった機器類、不要と

なった雑誌や書籍の処分の方法については適法な方法で処分すべきであり、その方法がな

ければ設立者(被告)は大学法人側と協議してそのルールを確定すればよい。本法廷で議論

するべきことではない。

三、本件請求の法的性格

本件請求は、地方自治法第242条2(住民訴訟)の第1項のうち、四号の請求で、その前段の請求であって、違法に公の財産の管理を怠る事実についてそれにかかわる首長高知県知事に損害賠償を請求するものである。

この場合の財産とは上記のとおり高知県公立大学法人に対する違約金の請求権・徴取権、及び同大学法人から「納付」を受けるべき財産に相当する金額(損金)について同大学法人への賠償請求権である。

 

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年9月 8日 (土)

県立大学の焚書事件お住民監査請求

News & Letters/648
この焚書事件についての高知新聞の連載記事「灰まで焼け」(天野記者)はよく書かれていたが、責任を追及する視点が欠如している。高知新聞の論調ではこの事件は裁量行為の非常識さという程度の話だ。
そうではない。この事件は純然たる犯罪であって、刑事上は県民の財産の損壊であり、民事上は財産上の損害なのである。
仮に学生か誰かが、何かの理由で図書館の本を一冊でも焼いたらどういう罪になるか。刑法第261条の器物損壊の罪は免れない。
図書館員が焼いたら、器物損壊の上に背任罪(刑法第247条)が付くだろう。そして民事上の弁償をしなくてはならない。
今回のように組織的に大規模のやった場合なら、罪にならないということにはなるまい。
天野記者の記事は常に冷静でち密であるが、県民の怒りが反映されていない。これほどの無法行為に対して、県民は立ち上がらないのか。
今朝、この焚書について監査委員会に出向き住民監査請求を提出したが、他の誰もやった形跡がない。
高知県職員措置請求書(住民監査請求書)
                     平成30年8月  日
高知県監査委員会殿
                   〒 781-6831
                     室戸市吉良川町乙2991番地  
                   請求人 澤山保太郎
    【請求の趣旨】
高知県立大学が、平成14年ごろからこれまでに焼却したという3万8000冊は法令によって高知県の財産とされねばならなかった。一部は教員の手に渡っているという。
知事は、処分された書籍に相当する金額を算定し、違法な処分を行った大学の責任者に
書籍の価値に見合う金額を賠償させるなど適切な措置をとるべきである。
   【請求の理由】
1、高知新聞等の報道によると、高知県立大学(高知県公立大学法人)はその「貴重な財産である蔵書」(平成30年8月18日学長声明)のうち約3万8000冊を不要だとして焼却(「除却」)したという。
しかし、この焼却されたり一部が同校教員らに譲渡されたという書籍は、もともと高知県が公金で賄ったものである。地方独立行政法人法の第42条2第1項の規定では、不要な財産はこれをもとの地方自治体に「納付」することになっている。
高知県知事は、この法令の規定に基づき処分された3万8000冊の「納付」をうけるうえで県議会などの議決等適切な措置を取る義務があった。
2、しかるに尾﨑高知県知事は、この焼却処分を残念だなどといいながら、やむを得ない処置であったかのように大学の行為を擁護した。(高知新聞平成30年8月22日朝刊記事)
 このような見解で、知事尾﨑は、大学側に勝手に処分された財産についてこれを回復させるなり、償わせるなど適切な措置を取らず今日に至っている。これは、高知県の財産の管理を怠る行為であるので直ちに是正の行動をとるべきである。
3、本件焼却処分は新しい図書館の建設事業によって生じたことであり、高知県はこの新図書館の建設の設計や本体工事に直接かかわっていたから、蔵書収容のスペース、その容量に合わない書籍の処分についても知る立場にあった。
たとえ、処分の事情を知らなかったとしても、事件が表面化した時点で調査に入り、焼却された書籍についてこれを鑑定にかけ相当な金額を見積もるなど財産破損の回復措置に動くべきであった。しかし、高知県は第三者的な立場から評価したり擁護するだけで財産管理の責任の自覚でさえ失っていて、その責任を遂行する意思が見えない。
  添付資料
 高知新聞平成30年8月  日号 ② 8月18日 学長声明文

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月24日 (金)

高知県の焚書事件

News & Letters/647
高知県立大学(高知県公立大学法人)が3万8千冊もの図書を焼却したというニュースが8月17日に流れた。痛ましい限りだ。これについて大学や高知県の態度は、生ぬるい。反省が十分ではない。
むしろ、開き直りだ。県民の費用で購入した貴重な書籍を大学内部の判断だけで焼却したのである。
昨日8月22日の高知新聞で知事の見解が出ている。第3者のようで大学の処置を
擁護さえしている。「軽率な対応ではない」とか決して「焚書ではない」という。
第1に、大学の図書は、大学の所有物ではない。県民のものである。
その処分は大学だけではできない。大学が大学のものは大学のものだという思いあがった考えが問題だ。
このような考えは市町村にもある。室戸市らが、特養老人施設や保育園を民間団体にただで譲渡したりするなど法令を無視し公共物を私物化する傾向がある。
公費で買った本は1冊といえども県民のものであり、適切な方法で県民に還元するという考えができない公務員がいっぱいいるということが問題なのである。公務員になったら特別な権限を付与されていると思いあがっているのである。
第2に、法令無視だ。高知新聞によれば不要な図書と判断した書籍を大学が専権的に処分を決めて実行したという。
県立大学の図書館の図書は県(県民)の金で購入したものだ。県立大学は学生からの授業料などの収入もあるが基本的には県の予算で運営されていた。もともと高知女子大の附属図書館の蔵書は県の財産だった。
現在は「地方独立行政法人法」の適用を受ける公立大学法人だから、その法律の第42条2の第1項に基づいて不要な財産の処分を行わねばならない。その規定によれば、大学法人は不要な財産を勝手に処分することはできない。
それは、元の高知県に「納入」しなければならないと規定されている。
知事は、この法律に基づいて発言しなければならない。不要とされた3万8千冊の最終的な処分の権限は知事にある。
知事は自己の権限を干犯されていることにも気が付かず、「残念」だなどと第3者ずらしているのではなく、怒りをもって糾弾し責任を追及する立場にある。大学の教授連も除却予定の本を選んで自分のものにしたというが、何の権利があってそのようなことができるのだ。
泥棒ではないか。恥を知るべきである。
確かにこの事態は、昔の言論や文化への抑圧の「焚書」ではない。しかし、現代の「焚書」だ。森友、加計学園にみる通り行政権力の肥大化による大小の行政官僚による公有財産や公費の乱用、私物化の中で起こったのであり、首相や知事など首長が関与しているのである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月16日 (木)

高知県政務活動費事件上告理由書

News & Letters/646
高知県の議員に対する政務活動費の支払いについて
新たな裁判が続いている。
議員が雇用した事務員の社会保険料について、その雇用主負担を政務活動費で払うようにしていた。
金額は60万円程度であるが、雇用主にかけら多課税を公金で支払うのは納税義務の憲法に違反するとして訴訟を起こした。第1審、第2審とも住民側が敗訴となった。そこで上告理由書をしたためた。
この裁判はほかにも重大な問題が浮かび上がっている。
高知県の政務活動費は議員一人について衝き額28万円も支払われている。ほとんど第二の給料だ。
議員は月々のl巨額の報酬以外に、ボーナスが与えられ、議会に出席する度に
手当をもらい、さらにこの政務活動費だ。
そもそも議員への報酬は、日常の議員活動(役務)に対する報酬である。
政務活動費や議会出席手当を出すことによってこの月々の報酬が身分に対する
俸禄に替わったのである。だから、少なくとも政務活動費は廃止すべきなのである。
そして、この政務活動費の交付事務が全く乱脈なのだ。
第一に、裁判でも明らかになったが議員が支出伝票を発行し、自ら出納事務を遂行している。議員には公金の出納事務を行う権限はない。
第二、政務活動費の財務会計行為は総て議会事務局長が行っているが、
知事の委任を受けたという県議会事務局長の支出命令等の会計行為も
知事の委任行為そのものに法的根拠がないことも判明した。
地方自治法で定められた知事の権限委任は、知事部局か委員会など他の執行機関に
限定されていて、立法機関の議会には及んでいない。
それについて裁判で追及された高知県及び裁判所は、「併任」という新たな概念を
持ち出し、議会事務局長を知事に所属する職員に併任して、その上で委任をしているんだ、と
言いだし、それが認められた。
しかし、地方自治法その他日本の法律には「併任」なる用語は存在しない。
地方自治法(180条3)にあるのは「兼職」の規定であり、それには知事部局の仕事を他の執行機関の仕事として兼職職員にやらせることができるようにはなっていない。

最高裁判所御中

             高知県室戸市吉良川町乙2991番地

              上告人 澤山保太郎

             高知市丸ノ内1丁目2番20号

              被上告人  高知県知事 尾﨑 正直

             高知市丸ノ内1丁目2番20号

被上告人 高知県議会事務局長 弘田 均

上告理由書

                        平成308月 日

本件につき平成30年5月31日の高松高等裁判所の判決については、第一に本件支出を認めるのは憲法第30条(納税義務)違反であり、第二に地方自治法、民訴法など法令違反、法の乱用、また審理不尽、理由齟齬などがあり、到底承服しがたく、最高裁の厳格な審理で原判決を破棄し新たに適正な判断をお示し願いたく、上告するものである。

請求2(差止め請求)について 

 差し止め請求は適法であるが訴えは棄却された。

【第一】 憲法第30条(納税の義務)違反について

上告人は第一審二審を通して、会派又は議員が雇用した被用者のための社会保険料の雇用主負担の支払いを公費(政務活動費)で賄う行為は、憲法第30条が定める納税の義務に違反する、担税回避であると主張したが、第1審、原判決もこれについて何も判断しなかった。単に「許容される」として肯定した。すなわち原判決(第一審判決を若干修正)は、

「原告は、公金である政務活動費が公租公課に充てられることが許容できないとする。しかしながら消費税をはじめとして、様々な支出行為には、その担税力に着目して多様な公租公課が課せられている可能性があり、これらを必要経費から除外すべきという根拠は見出しがたい。むしろ、被用者負担分の社会保険料等を被用者の負担とせずに事業主が支払うのであれば、当該被用者が支払うべき公租公課を公金で肩代わりしたものとして、違法性が認められ得ると解されるが、事業主負担分は文字通り事業主にとっての人件費に該当するものとして、これを事業主が支払うことが許容されることは明らかである。」(第1審判決16頁下段)という。

この判断の誤謬は第一に、上告人(原告)の主張は、議員(または会派)である事業主に課せられる公租公課は、政務活動費とは無関係であり、これを公金(政務活動費)で支払うことを請求し支払わせる行為は、納税の義務を定めた憲法第30条に違反すると主張している事実を没却し、単に公金を公租公課の支払いに充てることが「許容できない」という主張にすり替え、憲法判断を避けている。原判決の争点の整理(第1審判決文7頁中段~10頁下段)でも上告人の主張の憲法違反の主張はまったく没却され、ただ「地方自治法第232条等に反し、違法である。」と主張したという整理しかなされていない。 

上告人は訴状の【第二 請求の原因】冒頭で

「一、 公開されている高知県議会政務活動費のうちで、人件費として健康保険料、厚生年

金保険料、児童手当拠出金などの事業主負担分について政務活動費から支払うべく、議員が請求し、これを知事が認めて公金を支出している。これは地方自治法第232条(必要な経費)違反であり、憲法第30条(納税の義務)の趣旨を踏みにじる行為であると考える。社会保険関係法令で定められた事業主にかかる公租公課を公金で支払うことは税法(「労働保険の保険料の徴収等に関する法律)第31条第2項の4」など)の根本的趣旨に反する。」と主張し、さらに【第二 請求の原因】の四で

「本件行為は、支出の理由なく公金を支出したものであり、地方自治法に違反し、その行為(請求と支払い)が、憲法で定められた国民(議員)の納税の義務を理由なく免ずることになる意味で憲法第30条に抵触するものである。」と繰り返し主張し、

そして【請求の原因】第六において住民訴訟の前提の住民監査請求について説明して

「本件の場合、①問題にしている事実(政務活動費での社会保険料支払い)は明確であり、②それを公費で賄っている行為の事実も添付資料(公表されている限りのもの)で明確である。③そして、その行為が憲法第30条に違反しているという指摘(住民側の違法性の認識)も明確に示されている。」と主張していた。

そのほか第1審上告人(原告)側の準備書面で本件が憲法事案であることを繰り返し主張していることは明らかである。原判決はこの上告人の主張について何の判断もしなかった。

被用者のための社会保険料の事業主負担は確かに人件費であって、事業主が支払うのは当然であるが、問題はその支払いで公金を使っていいのか、事業主に課せられた公租公課を公金で賄うという行為は担税を回避し憲法違反ではないかと訴えているのである。

原判決は、この上告人の一貫した主張について判断を回避した。

原判決がいう「違法ではない」という判断は、条例で人件費が政務活動費での充当が認められているという範囲でいうのであって、すなわち、条例に適合しているから違法ではない、という趣旨を繰り返しているだけで、その条例において憲法や税法で定められている納税の義務についてまで免除されるのかという訴訟の眼目について原判決は答えず、黙って相手方の主張を認容した。

原判決は、その充当行為が実質的に納税義務を逃れる行為であるという上告人の住民監査請求や訴状以下の書面でのメインテーマたる主張について言及せず、民事訴訟法第258条第1項の裁判脱漏、または民事訴訟法第338条第9項の判断遺脱の重大な欠陥を有することになっている。審理不尽のそしりを免れえない。

第二の誤謬は、直接税である事業主負担の公租公課と、間接税である消費税などを同一次元で論じる誤りである。直接税は課税された者が、その税を他に転嫁することが許されない。

上掲引用の原判決では「消費税をはじめとして、様々な支出行為には、その担税力に着目して多様な公租公課が・・・、これらを必要経費から除外すべきという根拠は見出しがたい。」というが、上告人は何も必要経費から除外すべきだという主張はしていない。上告人の主張は、法人等に課せられた公租公課について事業主負担の部分は、公金で肩代わりすることを請求してはならないのではないか、といっているのである。

誤謬第三は、被用者負担分を公金で肩代わりして支払えば違法だが、事業主負担分については事業主の人件費であるから事業主が支払うのは「許容される」という。

被用者については公金で肩代わりだとして違法だとしているが、事業主負担分については「事業主の人件費であるから事業主が支払うのは許容される・・・」といって、事業主負担分の公金で肩代わりについての判断は意図的に没却している。

被用者の負担分を公金で賄うことが違法なら、事業主の負担分を公金で賄うことも当然違法ではないか。上掲判決文の末尾で「事業主負担分は文字通り事業主にとっての人件費に該当するものとして、これを事業主が支払うことが許容されることは明らかである。」というように、原判決は、本件訴訟の根幹をはぐらかす。

原判決は、本件では、社会保険料の事業主負担分を「公金で肩代わり」しているのであって、事業主が支払っているのではないという事実を没却しているのである。

こうして、原判決は、上告人の請求する憲法違反についての判断を回避しこれを容認したことによって憲法に違反し、破棄を免れない。憲法の納税義務を踏まえるなら、条例で規定しなくても事業主(議員)に課せられた課税を県庁へ転嫁することができないという判断に帰着せねばならなかったし、議員が政務活動費の公金で社会保険料の事業主負担を賄うよう請求し、これを政務活動費で賄うことを認めた高知県知事の行為が憲法第30条に反するという判断以外の他の判断はあり得なかったと考える。

そもそも政務活動費は、一定の限度額(本件の場合議員一人月額14万円、会派には議員一人につき月額14万円)が交付されるが、実際には定められた範囲の経費充当があった分だけ使用が許され、残りは返還しなければならない。したがってその交付金は一般の補助金のように自己のものとはならないので自由に費消できない。

【第二】法令(民訴法第1571項)適用の誤り(濫用)について

原判決は、その 第3 当裁判所の判断 の3の(2)イで次のように判示した。

「控訴人は、会派等は,政務活動費のためにのみ存在し活動しているわけではなく、会派等に雇用される補助職員は、必ずしも政務活動業務に専任しているとは限らないから、事業主負担分についても、政務活動費から支出が許されるのはせいぜい2分の1であると主張する。しかしながら、上記主張は原審では全くされておらず、当審で初めてされたものであるが、請求2が政務活動費の交付を受けた全会派、全議員を対象としている以上、これを審理するためには、政務活動費の交付を受けた全会派、全議員について、補助職員の雇用の有無、人数、個々の補助職員の職務内容などを検討した上、当該補助職員の人件費に政務活動費を全額充てるのが適法か、あるいは一部は違法かについて判断する必要があり、訴訟の完結を遅延させることになることは明らかである。しかも、上記主張は、被控訴人知事が原審で提出した本件マニュアル(乙3)を根拠にとしているのであるから、遅くとも原審継続中に主張できたものと考えられるから、その主張が遅れたのは、控訴人の故意又は重過失によるものと認められる。したがって上記主張は、時機に後れた攻撃防御方法として民訴法1571項に基づき、職権で却下することとする。」

1、上告人は、訴状をはじめ第1審、2審を通じて議員又は会派に雇用された補助職員の賃金等の費用については、政務活動に従事した限りにおいてそれが充当されるべきだと主張してきた。原判決は控訴審で初めてこの主張があったというが、どの程度の主張なら時機に後れない攻撃防御方法なのか最高裁の判断を求める。

すなわち、上告人は、

 訴状【第2請求の原因】の三において、

「議会が定めている「政務活動費マニュアル」でも人件費は「補助業務に従事している実態により政務活動費を充当できるものとする。」と明記されている。」と主張し、「政務活動費マニュアル」を書証(甲5)として提出した。さらに、

 平成29418日付「原告準備書面(1)」の4頁目【第2】被告の本案に対する答弁についての一の3で上告人は次のように主張した。

「マニュアルでは、就労の実態に応じて賃金全体をはらうとか、半分払うなど賃金の按分方法まで決められている。」と主張し、賃金の「半分」の按分も指摘している。

 平成29年5月23日付「原告準備書面(2)」では

「仮に議員の補助活動として人件費が認められるとしてもそれはあくまでも議員の特定の政務活動に直接かかわるもの(「補助」する)であって、事務所の管理、客の応対、政務活動も含む会計処理など総務的な仕事は無関係である。そして、雇用契約はもとより議員の事務所に勤める以上事務所の仕事の中で政務活動とそれ以外の仕事があるから、費用を按分する上で、業務日誌やタイムカードがなければならない。」と主張した。

そして、被上告人の方でも

 第1審での被上告人の答弁書(平成29年4月11日付)でもその9頁で

「マニュアルに「補助業務に従事している実態により(人件費に)政務活動費を充当できる」ことが明記されていることは認め(乙第3号証のマニュアル16頁の(8))」と認めた。

乙3号証(甲5号証)のマニュアルの16頁の(8)には、①人件費按分方法と②人件費の充当限度額が記述され、政務活動業務専任者が全額、上記以外の者は1/2と決められていることがわかる。被上告人は第1審で上告人の主張にはっきり応答していた。

⓹ 被上告人の平成29年5月15日付第1審準備書面(1)の7頁で上告人の主張を踏まえて反論する。「原告は、・・・・公租公課は政務活動費とは無関係であって、公費で賄う性質ではないとか、人件費といっても請求できるものは政務活動に関与するものに限られるはずである旨主張する。しかし・・・」といって、上告人が高知県議会が作成した「政務活動費マニュアル」の16頁の(8)に基づいて主張していることを前提にして反論を展開しているのである。

被上告人側には、被用者たちが政務活動に従事したという実態を証明する何らの証拠もないことを自認していたのであるから、これだけの主張と答弁があれば第1審判決で上告人の請求金額の全額がみとめられるか、少なくとも就労の実態がわからないとして「マニュアル」で定められている1/2の按分が認められるべきであった。

第1審判決はこれを没却(判断の遺脱)した。上告人は、それで控訴審で補充的に再び取り上げたのである。原判決は。「しかも、上記主張は、被控訴人知事が原審で提出した本件マニュアル(乙3)を根拠としているのであるから・・・・」という。

民訴法適用の根拠は上告人が「被控訴人知事が原審で提出した本件マニュアル(乙3)を根拠としている」からだという。

上告人が訴状で言及している証拠について被上告人の乙号証を「根拠」に使うことができるであろうか。裁判官のこのような奇怪な認識にもとづく法令(民訴法第157条1項)の適用がその濫用ではないといえるであろうか。

時機に後れた攻撃防御については、戦前から判例があるが、大方は第2審で初めて問題を提起する場合であり、訴状の第1審から第2審に渡ってその主張がある場合には、民訴法第157条第1項の適用はあり得ない。裁判官は、訴状や準備書面に目を通しているはずであるから、政務活動費の按分について原判決が、原審で全く主張がなされていなかったという判断を下す以上、どの程度の主張や挙証が必要なのか、程度の問題が新たに論じられねばならないし、その基準が明確にされねばならない。

2、原判決は、上掲の判断で「請求2が、政務活動費の交付を受けた全会派、全議員を対象としている以上、これを審理するためには‥‥訴訟の完結を遅延させることになるのは明らかである。」と非難する。

しかしもし、この通り全議員の雇用の有無や職務の内容等を検討しなければならないということになったとしても、すでに訴状等で政務活動費の按分が問題となっていて、根拠資料も上がっている以上、また被上告人側もそれを承知していると応答している以上は、原審はその審理を避けて通ることはできないはずである。しかし、実際(第1審判決文8頁「イ 請求2について」や同判決文17頁「(4)よって、会派等が政務活動費を当該会派等に係る事業主負担分に充当することは違法であるとの見解を前提にした原告の主張・・・」等)には上告人の主張は、政務活動費で概算払いをされる人件費のうち社会保険料の事業主負担分についての差止めを求めていることは明らかであるから、具体的な人数などを調査し大げさな審理を開始しなくとも、被上告人高知県知事が、その旨(社会保険料の事業主負担分は政務活動費を充当できないとか、マニュアルの定めの通り政務活動にかかわった程度によって按分するとか)県議会側に通告すれば能事了われりであり、証拠もすべてそろっていたのであるから原判決が同趣旨の判断を示せば訴訟は直ちに完結するのであった。簡単な判断を避けあるいは逡巡したのは裁判官であって、上告人も被上告人もするべきことはしていた。

3、原判決は、新たな主張の証拠となる政務活動費のマニュアルを第1審で被上告人側がすでに提出していたのに主張が遅れたことについて上告人に故意や重大な過失があったなどという。

すでにこの判断がでたらめだということは説明する必要もないくらいである。

上告人の原審での控訴理由書等での主張(政務活動費マニュアルによれば雇用の実体がないから政務活動費の人件費充当は全額認められず、少なくとも2分の1の按分による充当しか認められない)は、原審で初めて主張しだしたのではなく、訴状や第1審原告準備書面で同じ趣旨で明らかに主張し、被上告人答弁書などでもその論拠となる書証の該当文章を承知する旨の主張すらあったのである。上告人に訴訟を遅延させようという故意や、過失などあろうはずもない。ただ、政務活動費の費用の按分については、第一の主張ではなく、従たる主張であり、前掲した訴状や準備書面での主張がやや弱い感は否めないだろう。

本件では、被上告人側が、被用者について雇用の実体を示す雇用契約書や業務日誌、タイムカードも保有せず、ただ、社会保険料を支払ったという領収書しか示していないことや、社会保険料の事業主負担分そのものの公費での肩代わりを主要な問題にしていたので、費用の按分問題はその問題もあるという指摘を繰り返すにとどまっていた。

そのような主張の在り方が、主張がなかった、故意に主張を後らした、または遅れたことに過失があったと判断されるということであれば、ではどの程度の主張であれば、攻撃・防御で時機に適い、又時機に遅れたということになるのか、明確な基準が示されねばならない。上告人は、政務活動費の按分についてはすでに第1審で主張がなされ証拠も出ており、被上告人もその主張があったこと及び根拠資料の該当部分を承知していると答えていた。この事情は顕著な事実である。第1審判決が、判断を遺脱したことでもって、主張がなかった、時機に遅れたなどというのは余りにも失当であり、民訴法157条第1項の法律の乱用というべきであって、時機に遅れたという事実そのものが存在しないなど、却下の要件を何一つ満たしていない。

4、最後に、原判決が初めての主張だという控訴理由書の最後部分を再現する。

按分について主張したのち、上告人は次のように主張した。

「本件の場合、何らの業務上政務活動の実績を示す証拠がないから多く見積もっても「上記以外の者」の1/2に該当する。

議会事務局への情報開示請求では、本件の場合、雇用契約書、被用者の出勤の状況、労務の実態については何の証拠も存在しないという回答があった。これらの問題については原審の訴状や準備書面で控訴人は指摘してきた。本件交付条例では、経費の支払いにはその根拠となる証拠を示すべきとなっている。証拠のない経費については、政務活動費は支払うことはできない。原判決はこれについて何の判断もしていない。

それでは、原審裁判官は、雇用の存否、被用者の業務の実態も知らないのに、何をもって本件人件費(社会保険料も含む)の支出は全面的に合理的だと判断したのであろうか。

少なくとも政務活動の業務と他の政党活動や管理的総務的業務との按分を考慮するぐらいの判断を下すべきではなかったか。」

上告人は、控訴理由書ですでに第1審の訴状や準備書面で問題の所在を明らかにしていると主張しているのである。原判決は条例やマニュアル上での人件費の合否を問題にして判決文を書いていると考えられる。上告人は、人件費(その中の社会保険料の事業主負担)について単に法律上の争論をしているだけではない。上告人の主張は一貫して本件の実態としての人件費、その存否の実体そのものをも問題にしている。雇用の実態を示す証拠がないのに何の人件費であろうか。

事実に基づかない、実態を無視した判決文が有効であるはずはない。

 

     請求1について

請求1(損害賠償請求)については却下された。

【第三】地方自治法第242条1項の公金の支出

本件の監査請求は、高知県議会の議員又は会派によって費消された政務活動費のうち社会保険料の事業主負担を政務活動費で肩代わりした12件について監査請求以前1年の範囲でその「支出伝票」に基づいてなされた。「支出伝票」の発出は議員又は会派の手によってなされていた。

原判決は、この「支出伝票」が、地方自治法(第2421項)が定める「当該職員」によって作成されたものではなく、その職員による公金の支出に該当しないものとして、上告人の訴えを却下した。すなわち、

「会派等が用いる政務活動費支出伝票(甲3の1ないし12)は、本件マニュアルが収支報告書に添付する書類として書式を定めた会計帳簿の1つであって、執行機関が公金の支出を命ずる際に作成する支出命令書とは異なるものである。(乙3)

したがって、会派等が政務活動費を経費として支出する行為は、高知県の出納事務とは明らかに異なるものであって、同法242条第1項の公金の支出には該当しない。」

(第1審判決文13頁)

原判決は、実際に行われている政務活動費の種々の費目への出納事務は、高知県が任命した正規の出納員等経理職員ではなく、議員又は会派が「高知県の出納事務とは明らかに異なる」形で遂行していたことを認定した。訴訟の前提となる住民監査請求は支出命令や支出負担行為の時期だけでなく、実際の公金の支出行為(出納)をとらえてする。支出命令があっても実際に公金が支出され使われなければ公金の支出とはならないからである。

本件政務活動費は議員や会派に対して定額の概算払いがなされるが、実際の経費への充当は本件「政務活動費支出伝票」という「会計帳簿」で行われる(第1審判決文5頁の「政務活動費の支出に係る会計帳簿」がこの支出伝票のことである)。この支出伝票に基づく充当行為がなければ、政務活動費は手つかずで県に返還されるものである。

本来知事などから支出命令を受けて行う高知県庁の出納事務は、県庁のすべての部署に置かれた出納員など出納関係職員によって遂行される。それを統括する権限があるのは会計管理者であって知事ではない。本件政務活動費では、議員が出納行為である支出伝票を作成し、これをもとに議員は実際の費用への充当を行う。本件支出伝票は、本来県庁の各部署に配置されている正規の出納員によって処理されるべきものである。

問題は、このような事態(原判決はこれを「高知県の出納事務とは明らかに異なるもの」という)について法的にどのような評価をするかである。

原判決はこれを「同法242条第1項の公金の支出には該当しない」というのであるが、それだけでいいのであろうか。

原判決(第1審判決文11頁)は、「会派等による充当行為が、同法(地方自治法)242条第1項にいう「職員」による「公金の支出」に該当するか、検討する。」として

まず「一般に議員の事務には予算の執行に関する事務及び現金の出納保管等の会計事務は含まれておらず・・・」という。

議員は原判決が言う通り、地方自治法第242条1項の長とか職員ではない。しかし、職員ではない議員に出納事務を行わせた長や職員は存在したのではないか。地方自治法第243条では私人には公金の取り扱いをさせえない規定があるが、乙3号証の政務活動費マニュアルでは、議員用及び会派用の政務活動費支出伝票の書式が指示されている。これは本件政務活動費の交付に関する条例第10条の4項の規定「政務活動費の支出に係る会計帳簿」の提出義務の規定に基づいている。この会計帳簿の作成・処理は県の出納員などではなく、議員又は会派に義務付けられていることは明らかである。してみれば、条例に基づきマニュアルを作成した議会はともかく、本件条例を作成した被上告人高知県知事の責任が浮上する。

そして、「会派等が政務活動費を経費として支出する行為は高知県の出納事務とは明らかに異なるもの」であったとしても出納事務であることは原判決も否定しえない。

出納事務が公金の支出行為であり純然たる財務会計行為であることはいうまでもない。

権限無き者に出納事務をやらせたというのは地方自治法第242条l項の「違法または不当な公金の支出」に該当する。

したがって、本件請求は地方自治法第242条1項の規定に照らして適法であって、原判決は法の適用を誤ったもの(法の適用の回避)であるから破棄を免れない。

【第四】昭和62年4月10日最高裁第二小法廷判決の補足意見

昭和62年4月10日最高裁第二小法廷の判決には裁判官林藤之助の「補足意見」があった。

この事件は、東京都議会議長の議会での公金支出行為についての住民訴訟において、議長は当該支出について支出決定の書類に押印したりしているが、議長には本来議会に関する事務について全般的に指揮監督する権能はあるにしても知事の権限である財務会計行為をする権限はなく、地方自治法第242条1項の支出行為の責任者である「当該職員」には当たらないので監査請求自体が不適当とされたものである。

これについて裁判官林藤之助は、

「違法な公金の支出について責任を負って然るべき者が単に当該公金の支出につき財務会計上の権限を有しないということだけで免責されてしまうのは法の住民訴訟制度を設けた趣旨を没却し不合理ではないかとの疑問が生じえないではない。」とし、

「前記のような行為は、その態様によっては普通地方公共団体に対する民法上の不法行為を成立させ、当該普通地方公共団体は、その行為者に対し損害賠償請求権という財産を有する場合も考えられる、もし右債権の管理を違法に怠る事実が存在する場合には、住民は当該「怠る事実」の是正を図るとともに当該普通地方公共団体の損害の回復を図ることが可能と解することができる。」と喝破した。

これを本件に当てはめると、被上告人知事が議員にさせてはならない公金の出納事務をやらせるという不法行為を犯し、そうして政務活動費で社会保険料の事業主負担分を違法(手続き上違法)に支出し議員に不当な利益を供与した、ということができる。不法行為による地方自治体の損失については損害賠償の請求権という債権を発生させるから、これを財産の管理を怠る事実として監査請求し住民訴訟を提起することができる。

そして事実、上告人の住民監査請求書及び訴状には、本件支出を「不当な利益供与」と規定し「既支出分の全額返還をもとめるべき」(住民監査請求書)、「政務調査費で支払った分を返還させ・・・」(訴状)と実質的に債権の回収を求めている。

もともと本件住民請求及び本件訴状の請求1は、地方自治法第242条1項の趣旨にかなうものでありながら、原判決はこれを適用せず、また原判決は判決文中昭和62年4月10日の同じ最高裁判例を使っていながら、林裁判官の「補足意見」全く無視して判断を下したものである。補足意見も判例であって、無視されていいものではない。したがって原判決はいったん破棄すべきである。

このことについて控訴理由書(5枚目)は

「すなわち、「当該職員」という問題で地方自治法第142条第1項の違法若しくは不当な公金の支出について監査請求できないとしても、知事や事務局長、議員らによる不法行為による損害については地方公共団体に損害賠償請求権という債権が発生し、その観点(違法に財産の管理を怠る事実)で監査請求が正当に提起できるという見解である。

本件監査請求の趣旨は単に公金の支出行為の違法を言うだけでなく、それにより発生した不当利得の返還を請求した内容である。

また訴状や準備書面では、併任や委任などについて知事や事務局長の職権の乱用、無権限な議員による出納行為等々の不法行為が列挙されており、これらの不法行為により本件損害が発生したことが縷々主張されている。最高裁判例(平成14年7月2日最高裁第3小法廷判決)では財務会計行為の違法ではなく、地方自治体が談合など不法行為によって被った損害についての回復措置を求める監査請求は、1年の監査期間の制約を受けないとされている。・・・・正規の出納事務を経ない公金の支出行為は不法行為であり、横領や窃盗行為と大差ない犯罪行為である。」と主張した。

【第五】事務の委任及び併任について

本件政務活動費の出納事務が権限のない議員やその会派の手によってなされるという異常な仕法で遂行されてきたが、その交付事務そのものについても重大な問題があることが判明している。本件政務活動費交付条例では、支給事務は当然被上告人知事が行うと定められているが、実際には、高知県会計規則第3条1項1号の規定によって知事の委任を受けたとして、被上告人県議会事務局長がこれを遂行していた。上告人の主張によって執行機関の長である知事が立法機関である議会の職員に事務の権限を委任することは許されないとされたが、被上告人及びそれを追認する原判決は、併任という便法を用いてこの委任制度を肯認した。

その論理が極めて奇怪である。原判決は言う、

地方自治法では、「普通地方公共団体の長が議会の事務局長に対して権限を委任することができるという規定を置いていない。(同法180条の2等参照)

他方、普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部をその補助機関である職員に委任することができるとされている(同法153条1項)ところ、議会の事務局長その他の職員を長の補助機関である職員に併任することを禁ずる規定はなく、これを禁止する法的根拠はない。一般的にも、普通地方公共団体の長はその権限に属する事務の一部をその補助機関である職員に委任することはでき(同法153条1項)、議会の事務局長その他の職員を長の補助機関である職員に併任した上で、その者に対し支出命令等予算執行に関する事務の権限を委任することが可能であると解されている(最高裁昭和62年4月10日第二小法廷判決・民集41巻3号239頁参照)

原判決はここで、委任については知事など普通地方公共団体の長が議会事務局長に対し事務の委任を可能とする地方自治法上の規定はないのでこれはできないとしながら、併任については、知事が議会事務局長に知事に属する事務を遂行させるためにこれを併任することについて禁ずる規定はないから、併任したうえで事務の委任は可能だというのである。

この見解は全くの脱法行為を正当化するものである。執行機関の長である首長の事務は執行機関の職員にのみ委任が許されているという規定では、いかなる方途をとろうとも立法機関の職員にまでその委任の権限は及ばないはずである。

日本の政治は法治主義であり、行政は法令に規定された範囲のことしかできない。

禁じられていないことなら何をしてもよいというわけにはいかない。

地方自治法や地方公務員法には原判決等がいう「併任」については何も規定するところがないが、地方自治法第180条の3に「兼職」について規定がある。

この規定以外には「併任」について規定するものはない。

「兼職」についての地方自治法の規定には執行機関の長はその補助職員を、種々の執行機関の事務を遂行する職員として兼職が許されるという規定があるのみで、それが議決機関の職員にまで及ぶという解釈はできるはずがない。

そもそも地方自治法第180条の3の規定は、長に所属する職員を教育委員会や選挙管理委員会など長に所属する執行機関以外の行政機関の事務を遂行させるために兼職を認めるものであって、他の執行機関の職員に本来長に所属する職務を肩代わりさせる趣旨のものではない。まして、議決機関の職員に長の職務を代行させる趣旨のものではないことは当該規定の文章を見れば明らかである。地方自治法第180条の3 の規定は以下のとおりである。

普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の委員会又は委員と協議して、その補助機関である職員を、当該執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員と兼ねさせ、若しく当該執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員に充て、又は当該執行機関の事務に従事させることができる。

この規定は、行政組織の効率化のため、時期によっては比較的暇な選挙管理委員会や監査委員会の事務を遂行する上において専任の職員を配置する必要性が乏しい場合に首長に所属する総務課の職員などを委員会の事務を執らせるために作られたものである。

この規定で本件条例で定められている知事による政務活動費の交付決定など知事の権限に属する交付事務を他の執行機関の事務としてその補助職員に「兼職」させることができるであろうか。まして、執行機関ではない立法機関の職員に代行させることができるであろうか。

原判決は、「併任」について昭和62年4月10日の最高裁第二小法廷の判例を持ち出しこれを正当化する。確かにその最高裁判例では

長はその権限に属する事務の一部を当該普通地方公共団体の吏員に委任することができ(法153条第1項)議会局の事務局長その他の職員を長の補助機関たる事務吏員に併任した上その者に対し支出命令等予算執行に関する事務の権限を委任することは可能である・・・」という判示がある。しかし、この判断の後半の「併任」については、何らの法的根拠も示されていないし、合理的な説明もない。むしろ地方自治法第180条3の規定に照らせば完全な誤判であるといわねばならない。法は、兼職(併任)によってする事務は、兼職先の「当該執行機関の事務」に限定しており、法文の示すところは、知事部局のなすべき事務を兼職先で兼職職員に委任して遂行させるなどとは到底解釈できない。

最高裁は、昭和62年4月10日の最高裁第二小法廷の上掲のずさんな脱法的判断をこの際見直すべきであろう。

したがって本件政務活動費の交付は、知事が議会事務局長に委任することが法的にできないのに委任したとして権限なき者に遂行させたもので社会保険料の事業主負担分の充当を含むすべての本件にかかる公金支出が違法性を帯びているのである。

かくて、本件政務活動費の交付の財務会計行為は、法的に権限なき議会事務局長らのその交付の全手続きが違法かつ無効なものである上に、すでに明らかなとおり権限なき議員に条例で出納事務を義務付け、実際に議員がそれを遂行していた。違法行為は重畳していたのである。

ちなみに、原判決は、既述の高知県会計規則第3条で議会事務局長は本件政務活動費の交付事務について知事の権限の委任を受けていると判示したが、この会計規則で委任されているのは支出命令などであって、会計管理者の専権である出納行為については、委任されていない。高知県議会には出納員が全く配置されていない。(乙5号証 高知県会計規則)

第1審判決文(5頁中段)で裁判所が本件政務活動費の運営の流れを解説した中で

「・・・当該請求を受けた知事(委任を受けた議会事務局長)は、請求をした会派等に対し、・・・議員1人当たり月額14万円を交付する。」としているが、交付事務は出納行為であり、事務局長は出納の権限を会計管理者(旧出納長)から委任されていない。

知事には公金の出納事務の権限はないからこれは被上告人議会事務局長の職権の濫用である。

「1.docx」をダウンロード (上告理由書)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年7月29日 (日)

豪雨災害2

News & Letters/643
今回の豪雨で岡山、広島、愛媛などで数百名の死者が出た。
安倍晋三ら自民党の腐敗分子たちは、この災害の進行中に
酒盛りを開き打ち興じていた。そればかりか、その饗宴の楽しさを
インターネットで拡散さえしていた。
驕れるもの久からずというが、おごれるものがあまりに久しすぎる。
今回の豪雨災害では想定外の大雨だったなどという記事が目につく。
しかし、川の氾濫や地滑りなどは治山治水の政治課題の第一のものだ。
古来、治山治水は為政者の最も重要な仕事である。
川が氾濫したのも、山崩れで家が埋まったのも、避けることができる。
まして、豪雨によって人命が失われる事態は、絶対にあってはならない。
安倍総理だけでなく、豪雨災害の警告が気象庁より発せられていた時、
対象地域の知事や市町村長はどこで何をしていたのか、厳しく問われなければ
ならない。事前に住民を危険地域から脱出させたり、また、安全な場所や施設を
用意することぐらいは、容易に遂行できたことだ。
何度も何度も、遠い昔から現代にいたるまで繰り返し繰り返し氾濫や地滑りで
多数の人命が失われているが、、どうしてこれを避ける方策を立てないのであろうか。
地震や、津波も天災であるが、これによって人命だけは助かる方法も立てなくてはならない。
自然災害から住民を守ることが日本では為政者の第一の仕事であり、それを怠るものは
為政者失格なのである。
今、全国の自治体で、いつ来るかわからない南海地震などの天災に備えて、宿直体制を
布いているところはいくつあるであろうか。おそらくどこもないであろう。
5分か10分ほどで津波が襲来するともいわれているこの土佐湾沿岸で、自宅で寝起きしている
首長や幹部職員の当庁が間にあうであろうか。
今回の豪雨災害でもこれまでのそれでも、住民への避難等の緊急の指示が大幅に遅れ無意味なものだった
というのが多くあった。
将校や下士官の当直がいない兵営はないだろう。数千数万の住民に救難の指示をするものが指揮所(役場)から遠く離れていては、役に立たない。
全国の都道府県、市町村に、その首長や幹部職員による宿直体制を早急に構築することが必要だ。
、そして無論政府には首相をはじめ政府高官による宿直体制はできているものと思う。
首長には警報機を枕にして寝る覚悟が必要である。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年7月23日 (月)

豪雨災害

News & Letters/642
広島、岡山、愛媛など激しい豪雨による災害が起こり、多くの犠牲者が出た。
国民がその豪雨を恐れ避難していた当時に政府自民党が宴会を開いて打ち興じてい
た。そればかりか、その饗宴の楽しさをインターネットで拡散していた。
おごれるもの久しからずではなく、おごれるものがあまりに久しい。
地震による津波災害なら防ぎようもないが、河川の氾濫は、古来防がなくてはならない
政治課題の第一だ。かつてない豪雨だとか、想定外だったなどというのは治山治水には
該当しない。河川の氾濫や山の地滑りは、日本でもどこでも治山治水だ。
これに対応できない為政者は、為政者として失格なのである。
さらに、豪雨も山崩れも防ぐことができないとしても少なくとも人命を失うことは阻止できなくてはならない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年7月11日 (水)

死刑

News & Letters/641



関西や四国の盆は8月13日から15日だ。監獄の盆は7月13日から15日にかけて関東の盆と同じだ。

オウム真理教の7人の死刑囚は今年の盆に間に合った。というより盆に係らぬように執行された。

1、オウムの罪は死によって償われるものではない。およそどんな罪も死によって償われるものは何もない。
罪は一生背負って一生続く苦行によっていくらかでも償われるようにせねばならない、と思う。
簡単に殺して良心の呵責から解放してはならない。

2、麻原らオウムの所業も恐ろしいが、上川陽子法相の所業も恐るべきだ。
今回の7人に加え以前の3人と合わせて10人の人殺しを実行した。人間の姿をした殺人鬼だ。

何人も人の命を奪う権利はない。相手を打ち倒さねば自分が殺されるという正当防衛
だけが人殺しを許される。それ以外は全部犯罪だ。裁判所の死刑判決も国家の名を借りた私刑であり殺人だ。

3、オウムの事件は謎に満ちている。ほとんどの犯行が容疑者らの証言しかない。
死刑執行は真相を隠す最高の手段で権力の伝家の宝刀だ。
死刑が犯罪抑止の効果の有無などで評価されてはならない。
私は以上、1、2、3、の理由で死刑制度を蛮行として容認できない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年7月 2日 (月)

西岡智氏の訃報に接して

News & Letters/639
昨日大阪の大久保哲夫氏より部落解放運動の大先達大阪の西岡さんがタイのチェンマイで客死したことを知らされた。部落解放運動だけではなく日本の大衆運動においてまさに巨星落つという感がするのは私だけではないだろう。
師岡祐行氏が書いた「戦後部落解放運動論争史」全5巻の中で書かれている数百名の運動家で生き残っていたのは片手の指で数えるほどしかいなかった。その中で、否、全国水平社以来鬼籍に入った群星の中でも3本の指に入るほどの存在感を示していたいえる。
即ち、全国水平社の松本治一郎、同泉野利喜蔵、そして戦後の西岡智である。
西岡智と同時代の解放運動家は上田卓三、朝田善之助、岡映(おかあきら)、大賀正行、
上杉佐一郎など全国に数多いたが、やはり西岡智の業績や影響力が勝っていただろう。
私は、学生運動から、部落解放運動(中央本部及び大阪府連本部書記)に入ったものだが、直接西岡氏の指導を受け大衆運動とは何かをまなんだ。それは何も理論とか、流派とかというものではなく、イメージとして教わったものである。
市役所の一角を占拠して部落大衆おっちゃんやおばちゃんのなかから、声を上げ差別と貧困の不当性を挙げて権力を追及している姿。
これが大衆運動のイメージであった。西岡さんは、府議会議員はもとより国会議員にすらなることができたと思うが一切そのようなものに目もくれずただひたすら大衆と同じ地点にたち、そこから声を上げるということに徹していた。
学生運動から参加した私はその姿に感銘を受け人間の在り方として最も尊いと思った。
私は狭山闘争を独自に全国闘争に発展させるため解放同盟を離れたが、同盟を離れても西岡さんとは接触を保っていた。
近年もたびたび会い、又高知の私の闘争になにくれとなく助言をしてくれ、幾度も来高してくれて陣中見舞いを受けた。
西岡さんは私を「愛弟子」だと目を細めて人に紹介してくれていたが、最も統制の利かぬ弟子であったと思う。
晩年西岡さんはたびたびチェンマイに赴き、誘ってくれたが、私は一度も同行しなかった。
おそらくタイの東北の人々の生活や素朴な人情が昔の日本のそれらと通うものがあり安住の地を得たと思われたのであろう。
冥福をお祈りする。やがて任務を終えて私もそちらに行きますから、そのとき、よくやった、という声をかけてくれるよう有終の美を飾りたい
と思う。その間いつものように目を細めて見守ってください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 2日 (土)

室戸市火葬場工事の裁判は進む


News & Letters/636
平成29年行ウ第16号 損害賠償請求事件
原告 澤山 保太郎
被告 室戸市長 小松幹侍
                  平成30年4月13日
高知地方裁判所民事部合1係 御中
                  原告 澤山保太郎  
      原告準備書面(2)
原告は被告準備書面について以下の通り反論する。
一、 値上げの根拠について
1、スライドさせた物価水準は
本件訴訟の最大の争点である5000万円余の工事費追加の根拠について今回の被告準備書面(1)のどこを見ても何の説明もない。被告準備書面(1)の6頁~7頁にかけて「4請負代金の増額金額の積算根拠」及び別紙【「設計金額及び工事更生価格表」説明書】なるものを具に見ても、積算の結果の解説ばかりであって肝心のその根拠は明らかにしていない。
本件請負契約で25条の物価スライド方式というものに依拠して積算しているようなことを被告は市議会においても繰り返し、また、今回の準備書面でも「建設物価に関する一般的な統計資料」(被告準備書面6頁上段)を挙げているが、その「統計資料」については何の証拠も挙げず、言及するところもないし、また、「資材費や労務費の上昇を反映させて更生した更生設計金額であるが、そのバックデータは大量のものであるため、この「設計金額及び工事更生価格表」には示されていない」(被告準備書面11頁中段)という。肝心の建設物価の統計がどんなものか、「更生設計金額」を裏付ける「バックデータ」はどういうものか示さないとすると、被告がいう4500万円とかの算定根拠はまるで不明である。その「バックデータ」なるものが日本国の当時の物価水準の裏付けがあったものか、説明できなければ何の意味も持たない。
被告準備書面では、追加工事分などを差っ引いて計算すれば全体として「増加率は40%」(被告準備書面8頁中段)程度の値上げになっているとのことであるが、少なくとも40%にまでしたその増加率が当時の建設物価の上昇率と照らして妥当なものかどうかが問題であるが、被告はそれについては何も説明しない。日本国内で平成26年前後で40%もの建設物価の高騰があったという途方もない話は到底説明できるはずがない。
本件工事の設計を受注していた設計事務所が本件工事費追加分の計算をしてきたものだ という主張だけでは積算根拠を説明したことにはならない。法廷は議会ではない。議会は証拠がなくても議員の政治的思惑で往々にして案件を可決する場合がある。
被告らは市議会に本件工事費追加の内訳を資料(甲第10号証の2)として提出したがなぜこのような値上げが必要なのか何も合理的な説明はしなかった。
裁判に臨んでも依然として説明ができないでいる。
2、最近の議会での説明 「見積単価」で
本件工事費増額が市議会で議決されるまでは、被告は、増額分の積算の根拠については具体的な根拠を示さなかった。
最近の市議会(平成29年3月議会(甲23号証)、及び同年12月議会(甲第24号証)での被告及び当時の萩野市民課長の答弁では、「単価決定につきましては、建設物価と見積単価による単価を使用しています」と説明し、さらに「全部で設計項目が600項目ほどありまして、そのうち500項目程度を見積り単価で改めてとっておりますので、・・・」と説明している。この「見積単価」というのは、工事発注者側が設計書を作成するときにあらかじめいくつかの業者から参考として提出してもらう参考見積りの単価のことである。
原告は、この見積書について室戸市役所に対し情報開示請求をしたが、なぜか金額をすべて黒塗りにしたものしか出せない、との回答であった。
如上の最近の被告らの議会での答弁は、本件変更工事費の600項目のうち500項目がどこの誰とも知れぬ業者による見積りをもとに値段が計上されたということであって、決して本件請負契約書第25条が言う客観的な物価水準や賃金水準に拠っていなかった、ということを表明したものである。
本件請負契約第25条第1項の特約規定では、請負代金の変更を請求できるのは「国内における賃金水準又は物価水準の変動」によることが明記されている。
甲第25号証は、高知県庁で示された建設資材の価格の指数であるが平成26年前後では指数はほとんど変化がない。
何よりも、室戸市の建物の固定資産税の課税の計算式でも物件の再建築費について物価指数が使われるが、その数値は0.95(高知市に準ずるものという)であり全国的な基準値より5ポイント低いのである。室戸市の固定資産税は27年度に見直されているが、物価指数の値は変わりがない。
全国の名目・実質の賃金指数もアベノミックスによって平成26年前後は右下がりに下がっている。(甲第26号証)
そもそも川村総合は何をもって請負契約第25条の適用による契約金の変更(値上げ)を要請したのか。そして被告は何をもってその要請に応じて5000万余円も川村総合に提供したのか、その答えが最近の議会答弁であった。誰ともわからない業者が作った参考見積書に基づく、それには単価が200%も超えるものも含まれていたというのである。
その参考見積書を法廷に出すべきであろうし、被告はそれに基づいて本件工事費の増額を正直きに説明するべきである。
この値上げは、業者と被告との間の「協議」という名の純然たる談合という不法行為によって決められたというよりほかにない。
したがって本件工事費追加の5141万6226円は談合によって支出したものであるから、不法に出したものは返還してもらわねばならない。
3、施工記録がない追加工事
なお、被告準備書面の説明では、本件工事費追加分5141万6226円のなかに、残土処理、支保工などあらたな工事が含まれているという。
しかし、この追加工事分の予算についてはそれとして別個に契約変更の会計手続きがなされたという記録は示されていないし、さらに市議会に新たな予算議案として提出されていず、それとして議決されていないので無効であって違法な支出である。
被告が言う残土処理とか、支保工などについては5000万円余の増額のつじつまを合わせるために思いついて業者の言い分を聞いただけで計上したものと考えられる。
これらを本件工事費の追加の物価スライドの設計書の中にまぎれこませる手法は予算措置としては異常であり無効である。少なくともこの支出分は市長小松の職権濫用によるものであり、不法行為による別個の返還債権であって本件返還分に入る。
二、 工期延長の理由について
1 工期延長の理由、
工期延長にかかる契約変更については原告準備書面(1)では甲第8号証に基づき論じた。本件工事費の追加にかかる工期変更は甲第4号証の1及び甲第33号証(変更契約伺い書)によって説明すれば十分である。本件工期が平成26年12月27日の「基準日」にまで延長されるその延長理由が肝心であるからである。それには旧火葬場での営業は遅延の理由に入っていない。
甲第33号証の伺い文書では、工期変更理由は 
(1)造成工事の関連で基礎工事が遅れたこと
(2)人手不足、特に下請け業者の確保ができがたいこと
である。(1)についてはともかく(2)については完全に請負業者の都合によるものである。川村総合は本件工事のほとんどを自社の社員で遂行する能力がなく、主要工事のほとんど全部を下請けに丸投げ状態で遂行させてきた。
下請けの確保は川村総合が工事を受注する上で絶対的な前提条件であったが、本件も含めてほとんどそのような準備をしないで受注するから本件工事以外の他の工事でも工期の遅延は常態になっている。
この造成工事の遅延はせいぜい2か月半(平成26年3月末まで)にすぎない。(甲第12号の1)それを裏書きするように平成26年3月17日に川村総合が室戸市と交わした第1回工期変更契約書及びそれに添えられた川村総合の本件工事の「総合工程表」(甲27号証)では、工期は平成26年12月中には終了するという日程が示されている。
それ以後の本件工事の遅れはもっぱら(2)の下請け業者の確保ができなかったことに由来すると考えられる。
上記工程表のほかにそのことは「注文請書」(甲第7号証)で確認できる。元請けの川村総合が本件工事の主要部の工事で下請けを確保したのは平成27年5月以降である。
「注文請書」47件中平成26年度までに下請け契約がなされているのはわずか10件ばかりの2割強(進捗率では34%という)に過ぎない。天変地異が起こらない限り人手不足とか下請けを確保できなかった、自社では技術者がいない、などというのは受注した公共工事での工期延長の正当な理由にはなりえず、むしろ遅延損害金が発生する事案である。したがって、自己都合で遅延損害金が発生するような工期遅延によって本件請負契約第25条の期間(12か月)をクリアしたという主張は無効である。
2、火葬場への道路補強工事 
甲第34号証の工期変更最終版の決裁文書で初めて「市道椎名室戸線舗装工事」が工期延長の理由として挙がった。
原告準備書面でもふれたが、原告は道路工事関連資料の開示を得たが、この路線は火葬場に行く道路であってこの舗装工事というのは、一時的に道路のふちに鉄板を敷くというごく短期的な工事である。(甲第28号証)
これは新火葬場建築工事に絡んで重機など大型車両を搬入するのに路肩補強など必要なものだということで用が済んだらすぐ撤去されたという。
だが、問題なのは、この工事がなぜ平成27年の7月の段階までに出てきたのかである。
これは、何かの災害などの事情で道路補修工事があったのでそのため通行止めになり本件工事が遅れた、というのではなく、本件工事に使う大型車両を通行させるために行った工事なのであった。本来なら、この工事はとっくの昔に施工されるべきものであったが、本件建築主体工事が遅れているためにこの時期にまで施工する必要がなかったのである。
したがってこの道路補修工事は、工事の遅延の原因になるのではなく、川村総合が工事を延々と遅延させた結果この時期にまで補強工事が延ばされたものであって、この時期になって初めて重機などを必要とする工事をする段取りができた、これまでする必要がなかったという証拠なのである。
最初から受注した工事を遂行するスタッフを用意せず、工期を守ることなどまったく不可能であるのに市の工事の入札に参加し、落札してその工事をキープし、延々と屁理屈を並べて工事を遅らせ、あまつさえ自己のわがまま勝手を理由に、換言すれば、無法行為を理由に工事費のつりあげを請求したのである。
3、市道工事も川村総合が受注
しかも重要なのはこの市道補強工事の受注者が川村総合なのである。(甲28号証)
本件市道補強工事の契約時期は、川村総合が本件新火葬場建築主体工事で遅延している最中の平成26年11月13日で工期は翌日の26年11月14日~27年3月20日まで(実際は工期を延長しており27年7月10日)となっていた。大きな受注工事で工期が守れない業者に対し、関連があるとしても半年近くかかる別工事を発注するということは、どういうことであろうか。そのため請負契約第25条のスライド条項適用が可能となったとすれば、本件増額の理由づくりに決定的な協力をしたということでこの市道補強工事の川村総合への発注行為は官製談合そのものではないだろうか。
川村総合も被告らも、この市道補強工事を本件火葬場建築工事の遅延の理由として要請し、認容していたのである。
本件工事を受注した当時、特に平成26年度には、川村総合は本件以外に億単位の大きな工事を4件(西部給食センター建築工事、室津地区避難タワー建設工事、津呂地区避難タワー建設工事、元地区消防屯所建築工事など)も抱えていて本件工事に関与する余裕がなかったというべきであり、本件を含めこれら5件いずれとも工期が大幅に遅延していた。
このような工期を無視する無法行為を容認しそれに屈したことが請負契約第25条のスライド条項適用の期間要件を満たすことに直結したのである。
本件を含め満足に工期を守れないいくつもの大型工事を抱えている企業に次々と別工事を発注するというのは、通常の行政ではありえないことであるが、被告らは川村総合に限ってはこれを許容し、その業者のやりたい放題にしてきた。
本件の支出行為は単なる財務会計行為の間違いや瑕疵ではなく、理不尽な不法行為によるものであるから、支出したお金は返還してもらわねばならない。
三、支出負担行為及び繰越について
1、 本件に係る支出負担行為については原告は訴状での主張に追加して準備書面(1)の1枚目で新たな主張をしたが、今回の被告準備書面では、これについて一言も触れていない。
すなわち、室戸市財務規則第44条2項の規定による繰越し分の予算については、特段の支出負担行為の設定が必要とされていることについてである。
繰越しの予算についての「支出負担行為の内容を示す書類には、繰越である旨の表示をするものとする」との規定は無視していいというものではない。本件支出負担行為の文書には繰越を表記したものは存在しない。この新たな表記は軽視されるべきではない。繰越しの予算に関する支出負担行為は前年度すでに行わねばならないことはもちろんであるが、室戸市財務規則は繰越した予算についてこれを翌年度に使うものとして支出負担行為を更新する、更新したことを表示する必要性を指示するものなのである。支出負担行為の決議は前年度の決議だけでなく翌年度の分も必要だという意味なのであって、これをしなければ予算執行は無効となるということである。
2、被告準備書面は事故繰越(地自法第第220条第3項但し書き)についても原告の主張について何も言及しない。
 最初の25年度から26年度への繰越明許(地自法第213条)はともかく、法令によってさらなる繰越明許は許されないので27年度へは事故繰越を使った。がしかし、自然災害など特段の事故もないのに事故繰越をしたのはあまりにも異常であり職権乱用であろう。一業者のわがまま勝手の工事遅延を認め、1件半年程度の工期の工事を3年度(25年度、26年度、27年度)にまで渡らせる無理難題を実現するために適用が厳しい事故繰越の手法を使うことが許されるのか。
 本件工事の工期の遅延を理由とする繰越は、甲第19号証(平成22年3月財務省主計局司計課の作成になる『繰越ガイドブック』から抜粋)の事故繰越の数百事例のいづれにも該当するものはない。これも被告による職権濫用であり不法行為である
四、不法行為
1、請負契約書の履行義務 
本件工事費の追加が被告と業者間の「協議」(被告準備書面5頁)によって決められたことは争う余地はない。この「協議」の内容が本件請負契約に規定された範囲で行われたものであればともかく、それを逸脱し途方もない金額が打ち出された場合、それは談合というべきであり背任罪などの刑事犯罪に該当する行為となる。被告はこの「協議」は物価水準などに基づいてなされたというのであるが、被告も認める40%もの建設物価の上昇率は説明することは不能である。川村総合は請負金額の値上げの理由もないのにその変更(増額要求)を求め、それによって値上げ幅の協議を行い、その結果法外の契約金額の増額に成功した。このような値上げの額をどちらが提案したかは問題外である。両者が合意した事実が重要であり、被告準備書面が言うように最終的には被告側が業者に4500万円を提示したという。業者はそれに同意したがそれには消費税は別だという注文を付けたという。この4500万円の積算根拠が物価や賃金の水準など請負契約書の規定に沿うものでなければたちまち談合となり共同の不法行為となる。
  本件請負契約書は、室戸市と業者間の私法上の契約である。この契約書の各条項は双方が厳守し履行する義務がある。スライド条項を守らないなら、この契約をいったん破棄しなければならないが本件では破棄はしていない。
世間の物価や賃金水準で工事費の値上げを認めるという第25条規定は、合理的でありこれを履行しない特段の事情はない。また、これらの規定を守ることは、最小の経費で最大の効果を規定した地方自治法第2条第13項の規定にも適う。私法上の契約を無視し義務なき負担を引き受け、地方自治法の趣旨をも踏みつぶし、室戸市に多大な損害を与える行為は市長として職権乱用であり、違法かつ無効な行為である。
2、室戸市議会議員山本賢誓の陳述書によれば、実際の「協議」は被告が言うようなものではなかったという証言がある。(甲第29号証)
 川村総合から請求があったのは、市議会(甲第20号証)での林竹松議員が言うように6000万円を超えるものであり、それが5000万円程度で落ち着いたが、その過程で被告は本件工事の設計屋の杢設計事務所に3千数百万円の線の見積もりを作らせたという確かな証言がある。杢設計の社長の証言ではその見積もりをファックスで室戸市役所に送付した、という。このフアックスは担当課長萩野義興、課員濱吉ら数人の職員は確認したと市会議員に白状したとのことである。
 萩野義興元課長の証言では小松市長の指示でそのファックスの見積書をもって川村総合へ赴き3千数百万円で決着をつけようと話をしたところ、川村総合に全く取り合ってもらえず市役所に帰った。それで仕方なく被告準備書面が言う通り本件5141万円余で手を打つことになったと考えられる。
 設計事務所所長の証言では3千数百万円の見積書を作ったが、その書類はすでになく、それを作成した設計事務所の元社員はすでに退社しており、そのデータの入っているパソコンは事務所にはないとのことであった。
 また元担当課長の萩野義興の証言については原告は録音テープの提供を受けた。
3、談合について
本件における談合というのは、業者と行政機関の長との間の不法行為を内容とする話合い(協議)であるから、官製談合である。
 本件の場合、工事の途中でさしたる追加工事や工法の変更が行われたわけでなく、またそのようなものとして議会での議決もされていず、被告準備書面も認めるように少なくと40%もの物価の値上がりも根拠がなく、根拠もないまま法外な契約金の増額追加をしたことから、それでは、被告は、もともと1億5000万円ではなく2億円の請負金額として最初の入札時に提示して業者間の競争入札に付すべきものであったのではないか、という批判に答えなければならない。また工期もさしたる理由もなく1年半も遅延させたのであるから、最初から本件工事の工期は半年ではなく2年間なりとか無期限なりとかと提示して競争入札にかけるべきであったのではないか。
被告はそうせず、請負金額1億5000万、工期6か月の入札条件で、請負金額2億円、工期2年間という驚異的に有利な工事を川村総合に提供したのである。
これは、いわゆる官製談合防止法第二条第5項の四(入札談合幇助等)に該当する行為であることは明らかである。(官製談合防止法の正式名称は「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」である。)
そしてこの被告の談合行為は、他の同業事業者を不当に市場から排除する効果をもたらすことになるからいわゆる独禁法第2条5項(私的独占)にも該当し同法第3条に抵触し正常な競争入札を阻害したと考えられる。
官製談合の不法行為による公金の違法な支出金に対するその返還請求については、監査請求期間の制限はなく、裁判所の判断を受けることができる。
五、室戸市の総合評価落札方式の違法性(官製談合方式)
 公共工事では基本的に請負金額の変更は認められていない。仮にそれが認められる場合はよほどの事情の変更がなければならず、変更する場合でも、金額は本市の随意契約で許されている範囲の変更である。本件のような9か月を超える大幅な工期の遅延、工事全体の3分の2についての巨額の金額の変更がある場合は新たな入札・新たな契約が必要であって、いながら川村総合が継続的に受注することにはならない。特段の事情もないのに、契約金額を大幅に変更し、無条件で川村総合に残工事を遂行させたのは、競争入札制度を根本から破壊する行為である。
確かに請負金額の変更の特約条項(第25条)が本件請負契約書にはある。 
室戸市には、契約金変更については、他に一般的な規則や要綱は制定していない。
高知県庁の場合、建設工事について金額変更する場合は、設計変更がなければならず、
2000万円以内で元の契約金の30%を上限というガイドラインを作っているが、それはあくまでも工事についてやむを得ない事情に基づく追加的な設計変更などが前提であって、何でもないのに金額の変更などが許容されることはあり得ない。
入札のやり直しといっても室戸市の総合評価方式では川村総合ら数社が思い通りに落札できる方式が構築されている。以下の通り室戸市の総合評価方式は官製談合の一種と考えられる。甲第14号証の本件入札の「総合評価方式」で見る通り、川村総合の「施工実績」と「従事実績」の評価がダントツに高い。この書類の欄外には「平成10年4月以降に元請として完成・引渡が完了したものであること」と記載されている。
しかしこの実績は真実ではない疑いがある。
(ア)業者間の談合を看過した
本件のように発注段階で工事の内容が確定している場合は、価格による競争入札でコスト抑制が可能であるから、価格での競争がほとんど意味をなさない室戸市の総合評価落札方式を本件工事に適用するのは、地方自治法第2条第13項の最小の経費で最大の効果の規定に反している。室戸市では予定価格が公表されており、また、最低制限価格も予定価格の90%ほどと決められているから施工実績などで評価点を確保できる企業は、相手が最低制限価格の入れ札を出してもそれに勝てる入れ札を出すことができる。
ここで注目すべきは本件の入札記録(甲第14号証)では、川村総合以外の他の3社が予定価格で入札している事実である。特定業者以外の他の業者が全員予定価格で入札するというのは偶然の事件ではありえない。このことは、業者間の談合があった明白な証拠である。
このような入札状況では被告は当然価格上で談合を疑い入札のやり直しをしなければならないが、被告はこれを放置した。
(単位は百万円で2社が153.967で、あと1社が153.9である。小数点第1位までで計算されるから3社とも同じ金額の入れ札となっている)
(イ)元請けが自社で遂行した工事実績を評価すべき
総合評価方式をとるとしても施工実績は元請け自身が遂行した実績を評価すべきであって、下請けにほとんど丸投げした工事を評価の対象とするのは、総合評価方式の趣旨に反している。相手が複数企業であっても下請けへの一括丸投げは建設業法第22条で禁じられている。禁じられている一括丸投げを実績評価するのは理不尽である。
(ウ)一括丸投げの実体
元請けが下請けへ一括丸投げをしても、下請けの遂行する工事に元請け社員が実質的に関与し、指揮・監督などをしている場合は一括丸投げも違法ではないといわれる。
  しかし、本日提出する甲30号証に見る通り、本件建築工事における元請けの下請けに対する関与を示す資料は全く存在していない。甲第7号証に見るように本件工事は、川村総合が遂行したのではなく、複数の下請け業者が、被告の作成した設計書をもとに本件工事を完遂したということになる。そうすると川村総合はただの建設業の手配師のようなブローカーにすぎず、ほとんど何も仕事をしないから元請け失格企業であるというべきである。この事態は本件請負契約第6条の一括下請け禁止の条項に違反し、不法な契約違反行為である。
(エ)市契約規則違反 指名競争入札を骨抜き
  本件についての入札記録(甲14号証)では、入札参加業者は実質4社である。
室戸市には、指名入札についての契約規則(甲31号証)がある。
その第29条第1項には、指名する業者は「なるべく5人以上」と定められているが、本件を含む川村総合らが億単位の工事を受注する場合はたいがい5人未満で入札が行われている。これを指摘すると担当課員はそれは「なるべく」と書いてあるから必ずしもその規定を守らなくてもよい、などと答えている。しかし、「なるべく」という日本語は絶対不可能な場合を除いて通常実行するべき趣旨であり、ほとんど常に5人未満で、しかも室戸市内だけの企業で入札をするということが許される意味ではない。
実際川村総合の場合室戸市外の下請け企業に工事のほとんどを肩代わりさせているのであるから、県下広く一般競争入札か少なくとも室戸市内外の5社を超える企業での指名競争入札を実行すべきであった。
  室戸市の総合評価落札方式は、自ら作っている規則をも踏みにじり特定業者が落札しやすい方式に換骨奪胎されていて、これ自体官製談合そのものといえる。
(付論)
原告は、室戸市役所に対し被告準備書面(1)の主張について開示請求を行った。
次のような点について通知(甲32号証)があった。
被告準備書面(1)の5頁の
①「4500万円の増額変更による解決を打診した」という「打診」の資料は不存在。
②「4500万円での解決を承諾する旨の回答があり・・」という「回答」の資料は不存在。
③「…翌2月24日の協議」という「協議」の資料も不存在。
④被告準備書面(1)の11頁中段
「…更生設計金額であるが、そのバックデータ」についての資料は非開示。
また、旧火葬場の営業などで工事を中断したなどというが、
 ⑤ 開示資料では、工事を中断する指示についての資料は不存在ということである。
被告は、④の非開示資料は別として事実だと証明する資料もないのに間に合わせに主張していることになるのではないか。
また、④の非開示資料「バックデータ」は工事中はともかく、工事終了後までも非開示にする理由はない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

ふるさと産品の開発 り・ボルト社 ウェブログ・ココログ関連 エッセイ オンブズマン町長の視点 スポーツ ニュース パソコン・インターネット ヘーゲル哲学 ホワイトビーチ・ホテル マスコミの報道のありかた マルクス・ノート ローカルエネルギー 三位一体改革と地方自治 世界の核事情 世界遺産 交通問題 人権問題 住民参加のありかた 住民監査請求と地方自治 佐賀での講演会と交流 佐賀との交流 健康づくり 公務員の気概 別件やみ融資事件 医療・福祉の問題 南海地震対策 原子力政策と地方自治 原子力産業の是非 反核運動 司法のありかた 国との折衝 国政問題 国政選挙 土佐電鉄バス 土佐電鉄問題 地域のリーダー 地域評議会 地方の公共交通のありかた 地方自治と原子力政策 地方自治の学校 地産地消 報道のありかた 大月町低レベル放射性廃棄物問題 天皇制について 天皇制のありかた 守口市との交流 室戸市の改革 室戸市政 室戸市民新聞 市民オンブズマンの観点 市民自治のありかた 市町村合併問題 平和の問題 心と体 情報公開 情報公開のありかた 情報化時代について 憲法改正問題 政治思想ノート 教育のありかた 教育委員について 教育行政のありかた 文化・芸術 旅行・地域 日本の歴史 日本国憲法と地方自治 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 書籍・雑誌 最高裁の判例 有機農業 東洋町のあるものさがし 東洋町の改革 東洋町の教育問題 東洋町の歴史 東洋町よもやま話 東洋町不正融資事件 東洋町庁議 東洋町役場の日常 東洋町町会議員の解職請求(リコール)に関する裁判 東洋町町長選挙2015 東洋町議会報告 東洋町議会選挙 核廃棄物拒否条例 歴史観・世界観 民主主義の実現と最高裁 民主主義は産業 水産業について 水産物 海の駅東洋町 環境にやさしいまちづくり 環境問題 生涯学習 生見海岸 甲浦地区 町政 町長日誌 白浜海岸 県闇融資事件 社会問題 社会思想 福祉問題 経済・政治・国際 育児 観光開発 読書ノート 警察・司法のあり方 農産物 近隣市町村との交流 道の駅・海の駅開設の為に 部落解放運動 野根地区 関西地区との交流 防災対策 青少年教育 食育 高レベル放射性廃棄物最終処分場 高知県政 高知県議会 高齢者問題 NUMO