警察・司法のあり方

2018年6月17日 (日)

裁判における矛盾論

News & Letters/637
本年6月11日、袴田事件の東京高裁決定があった。
静岡地裁の再審開始決定を覆し、検察の抗告を受け入れて袴田氏を再び死刑囚の身に戻した。ただし身柄は釈放のままである。
この事件につき元検事の郷田信郎氏のコメントを読んだ。
確かに、静岡地裁の再審開始の根拠としたシャツについた血痕についての筑波大学本田教授の鑑定は残念ながら信用性を否定されるのはやむを得ないだろう。
しかし、次の高裁決定の理由については郷田氏の考えは首肯できない。
「供述の任意性及び信用性の観点からは疑問といわざるを得ない手法が認められるが、捜査段階における袴田の取り調べ方法にこのような問題があることを踏まえても、取り調べの結果犯行のほぼ全容について袴田の供述を得て犯行着衣についてもそれがパジャマである旨自白を得た捜査機関が、新たにこの自白と矛盾するような5点の衣類をねつ造するとは容易には考え難いというべきであり、袴田の取り調べ状況から5点の衣類のねつ造を結びつけることはかなり論理の飛躍があるといわざるを得ない」
郷田信郎氏はこの高裁の判断をも支持する。
だが、我々の一般常識では理解できない
A)犯行時の着衣はパジャマであったという自白と
B)新たに味噌樽から発見され血痕がついていたという5点の衣類 
一般的にはAとBは矛盾する⇒故に自白か又は5点の衣類の発見のどちらかは信用性がない。
高裁の判断は AとBとは矛盾する。故に(矛盾があるからかえって)Bは信用性がある。
この矛盾の論理で行くと袴田氏ならずとも一度被告とされたものは万が一にも助からない。この論理は次のようになる。
1、自白と現実の間に矛盾がなければもちろん両方とも信用性がある。
2、自白と現実(でっち上げの可能性がある現実)とが矛盾する、その場合矛盾するがゆえに現実(でっち上げ)が信用性がある。
ということになるからである。
これは私が狭山事件で寺尾東京高裁裁判長の判決の「弁証法」を批判した内容と同じだ。
狭山事件の場合は袴田事件とは逆に強制された「自白」、と現実とに矛盾があった。
だが論理は一緒で矛盾があるがゆえに警察が作った「自白」、または現実が真実とされ、矛盾があればあるほど真実性が高まるというものになる。
寺尾はこれを「弁証法」だと自賛した。この論理でいけば弁護団がいくら自白と現実の矛盾をついて弁論しても、そうすればするほど有罪の可能性が高まるということになるのである。これでは、天網恢恢であって犯人にえらばれた人間は2度と監獄から帰れない。
寺尾の矛盾を動力とする「弁証法」という非論理は東京高裁に生き続け、権力が窮地に陥ったときの伝家の宝刀になっているようだ。
権力(暴力)を背景にした非論理に対抗するには論理では歯が立たない。論理的に非論理に対抗するのは⇒人民の武装蜂起しかないであろう。
なぜなら刑事裁判における非論理とは暴力(監獄・死刑)だからである。郷田信郎弁護士は様々な事件で鋭い観察をし、法的観点から詳細な解明をしてくれてありがたいが、今回の袴田事件のコメントには欠陥があると言わざるを得ない。

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2018年6月 2日 (土)

室戸市火葬場工事の裁判は進む


News & Letters/636
平成29年行ウ第16号 損害賠償請求事件
原告 澤山 保太郎
被告 室戸市長 小松幹侍
                  平成30年4月13日
高知地方裁判所民事部合1係 御中
                  原告 澤山保太郎  
      原告準備書面(2)
原告は被告準備書面について以下の通り反論する。
一、 値上げの根拠について
1、スライドさせた物価水準は
本件訴訟の最大の争点である5000万円余の工事費追加の根拠について今回の被告準備書面(1)のどこを見ても何の説明もない。被告準備書面(1)の6頁~7頁にかけて「4請負代金の増額金額の積算根拠」及び別紙【「設計金額及び工事更生価格表」説明書】なるものを具に見ても、積算の結果の解説ばかりであって肝心のその根拠は明らかにしていない。
本件請負契約で25条の物価スライド方式というものに依拠して積算しているようなことを被告は市議会においても繰り返し、また、今回の準備書面でも「建設物価に関する一般的な統計資料」(被告準備書面6頁上段)を挙げているが、その「統計資料」については何の証拠も挙げず、言及するところもないし、また、「資材費や労務費の上昇を反映させて更生した更生設計金額であるが、そのバックデータは大量のものであるため、この「設計金額及び工事更生価格表」には示されていない」(被告準備書面11頁中段)という。肝心の建設物価の統計がどんなものか、「更生設計金額」を裏付ける「バックデータ」はどういうものか示さないとすると、被告がいう4500万円とかの算定根拠はまるで不明である。その「バックデータ」なるものが日本国の当時の物価水準の裏付けがあったものか、説明できなければ何の意味も持たない。
被告準備書面では、追加工事分などを差っ引いて計算すれば全体として「増加率は40%」(被告準備書面8頁中段)程度の値上げになっているとのことであるが、少なくとも40%にまでしたその増加率が当時の建設物価の上昇率と照らして妥当なものかどうかが問題であるが、被告はそれについては何も説明しない。日本国内で平成26年前後で40%もの建設物価の高騰があったという途方もない話は到底説明できるはずがない。
本件工事の設計を受注していた設計事務所が本件工事費追加分の計算をしてきたものだ という主張だけでは積算根拠を説明したことにはならない。法廷は議会ではない。議会は証拠がなくても議員の政治的思惑で往々にして案件を可決する場合がある。
被告らは市議会に本件工事費追加の内訳を資料(甲第10号証の2)として提出したがなぜこのような値上げが必要なのか何も合理的な説明はしなかった。
裁判に臨んでも依然として説明ができないでいる。
2、最近の議会での説明 「見積単価」で
本件工事費増額が市議会で議決されるまでは、被告は、増額分の積算の根拠については具体的な根拠を示さなかった。
最近の市議会(平成29年3月議会(甲23号証)、及び同年12月議会(甲第24号証)での被告及び当時の萩野市民課長の答弁では、「単価決定につきましては、建設物価と見積単価による単価を使用しています」と説明し、さらに「全部で設計項目が600項目ほどありまして、そのうち500項目程度を見積り単価で改めてとっておりますので、・・・」と説明している。この「見積単価」というのは、工事発注者側が設計書を作成するときにあらかじめいくつかの業者から参考として提出してもらう参考見積りの単価のことである。
原告は、この見積書について室戸市役所に対し情報開示請求をしたが、なぜか金額をすべて黒塗りにしたものしか出せない、との回答であった。
如上の最近の被告らの議会での答弁は、本件変更工事費の600項目のうち500項目がどこの誰とも知れぬ業者による見積りをもとに値段が計上されたということであって、決して本件請負契約書第25条が言う客観的な物価水準や賃金水準に拠っていなかった、ということを表明したものである。
本件請負契約第25条第1項の特約規定では、請負代金の変更を請求できるのは「国内における賃金水準又は物価水準の変動」によることが明記されている。
甲第25号証は、高知県庁で示された建設資材の価格の指数であるが平成26年前後では指数はほとんど変化がない。
何よりも、室戸市の建物の固定資産税の課税の計算式でも物件の再建築費について物価指数が使われるが、その数値は0.95(高知市に準ずるものという)であり全国的な基準値より5ポイント低いのである。室戸市の固定資産税は27年度に見直されているが、物価指数の値は変わりがない。
全国の名目・実質の賃金指数もアベノミックスによって平成26年前後は右下がりに下がっている。(甲第26号証)
そもそも川村総合は何をもって請負契約第25条の適用による契約金の変更(値上げ)を要請したのか。そして被告は何をもってその要請に応じて5000万余円も川村総合に提供したのか、その答えが最近の議会答弁であった。誰ともわからない業者が作った参考見積書に基づく、それには単価が200%も超えるものも含まれていたというのである。
その参考見積書を法廷に出すべきであろうし、被告はそれに基づいて本件工事費の増額を正直きに説明するべきである。
この値上げは、業者と被告との間の「協議」という名の純然たる談合という不法行為によって決められたというよりほかにない。
したがって本件工事費追加の5141万6226円は談合によって支出したものであるから、不法に出したものは返還してもらわねばならない。
3、施工記録がない追加工事
なお、被告準備書面の説明では、本件工事費追加分5141万6226円のなかに、残土処理、支保工などあらたな工事が含まれているという。
しかし、この追加工事分の予算についてはそれとして別個に契約変更の会計手続きがなされたという記録は示されていないし、さらに市議会に新たな予算議案として提出されていず、それとして議決されていないので無効であって違法な支出である。
被告が言う残土処理とか、支保工などについては5000万円余の増額のつじつまを合わせるために思いついて業者の言い分を聞いただけで計上したものと考えられる。
これらを本件工事費の追加の物価スライドの設計書の中にまぎれこませる手法は予算措置としては異常であり無効である。少なくともこの支出分は市長小松の職権濫用によるものであり、不法行為による別個の返還債権であって本件返還分に入る。
二、 工期延長の理由について
1 工期延長の理由、
工期延長にかかる契約変更については原告準備書面(1)では甲第8号証に基づき論じた。本件工事費の追加にかかる工期変更は甲第4号証の1及び甲第33号証(変更契約伺い書)によって説明すれば十分である。本件工期が平成26年12月27日の「基準日」にまで延長されるその延長理由が肝心であるからである。それには旧火葬場での営業は遅延の理由に入っていない。
甲第33号証の伺い文書では、工期変更理由は 
(1)造成工事の関連で基礎工事が遅れたこと
(2)人手不足、特に下請け業者の確保ができがたいこと
である。(1)についてはともかく(2)については完全に請負業者の都合によるものである。川村総合は本件工事のほとんどを自社の社員で遂行する能力がなく、主要工事のほとんど全部を下請けに丸投げ状態で遂行させてきた。
下請けの確保は川村総合が工事を受注する上で絶対的な前提条件であったが、本件も含めてほとんどそのような準備をしないで受注するから本件工事以外の他の工事でも工期の遅延は常態になっている。
この造成工事の遅延はせいぜい2か月半(平成26年3月末まで)にすぎない。(甲第12号の1)それを裏書きするように平成26年3月17日に川村総合が室戸市と交わした第1回工期変更契約書及びそれに添えられた川村総合の本件工事の「総合工程表」(甲27号証)では、工期は平成26年12月中には終了するという日程が示されている。
それ以後の本件工事の遅れはもっぱら(2)の下請け業者の確保ができなかったことに由来すると考えられる。
上記工程表のほかにそのことは「注文請書」(甲第7号証)で確認できる。元請けの川村総合が本件工事の主要部の工事で下請けを確保したのは平成27年5月以降である。
「注文請書」47件中平成26年度までに下請け契約がなされているのはわずか10件ばかりの2割強(進捗率では34%という)に過ぎない。天変地異が起こらない限り人手不足とか下請けを確保できなかった、自社では技術者がいない、などというのは受注した公共工事での工期延長の正当な理由にはなりえず、むしろ遅延損害金が発生する事案である。したがって、自己都合で遅延損害金が発生するような工期遅延によって本件請負契約第25条の期間(12か月)をクリアしたという主張は無効である。
2、火葬場への道路補強工事 
甲第34号証の工期変更最終版の決裁文書で初めて「市道椎名室戸線舗装工事」が工期延長の理由として挙がった。
原告準備書面でもふれたが、原告は道路工事関連資料の開示を得たが、この路線は火葬場に行く道路であってこの舗装工事というのは、一時的に道路のふちに鉄板を敷くというごく短期的な工事である。(甲第28号証)
これは新火葬場建築工事に絡んで重機など大型車両を搬入するのに路肩補強など必要なものだということで用が済んだらすぐ撤去されたという。
だが、問題なのは、この工事がなぜ平成27年の7月の段階までに出てきたのかである。
これは、何かの災害などの事情で道路補修工事があったのでそのため通行止めになり本件工事が遅れた、というのではなく、本件工事に使う大型車両を通行させるために行った工事なのであった。本来なら、この工事はとっくの昔に施工されるべきものであったが、本件建築主体工事が遅れているためにこの時期にまで施工する必要がなかったのである。
したがってこの道路補修工事は、工事の遅延の原因になるのではなく、川村総合が工事を延々と遅延させた結果この時期にまで補強工事が延ばされたものであって、この時期になって初めて重機などを必要とする工事をする段取りができた、これまでする必要がなかったという証拠なのである。
最初から受注した工事を遂行するスタッフを用意せず、工期を守ることなどまったく不可能であるのに市の工事の入札に参加し、落札してその工事をキープし、延々と屁理屈を並べて工事を遅らせ、あまつさえ自己のわがまま勝手を理由に、換言すれば、無法行為を理由に工事費のつりあげを請求したのである。
3、市道工事も川村総合が受注
しかも重要なのはこの市道補強工事の受注者が川村総合なのである。(甲28号証)
本件市道補強工事の契約時期は、川村総合が本件新火葬場建築主体工事で遅延している最中の平成26年11月13日で工期は翌日の26年11月14日~27年3月20日まで(実際は工期を延長しており27年7月10日)となっていた。大きな受注工事で工期が守れない業者に対し、関連があるとしても半年近くかかる別工事を発注するということは、どういうことであろうか。そのため請負契約第25条のスライド条項適用が可能となったとすれば、本件増額の理由づくりに決定的な協力をしたということでこの市道補強工事の川村総合への発注行為は官製談合そのものではないだろうか。
川村総合も被告らも、この市道補強工事を本件火葬場建築工事の遅延の理由として要請し、認容していたのである。
本件工事を受注した当時、特に平成26年度には、川村総合は本件以外に億単位の大きな工事を4件(西部給食センター建築工事、室津地区避難タワー建設工事、津呂地区避難タワー建設工事、元地区消防屯所建築工事など)も抱えていて本件工事に関与する余裕がなかったというべきであり、本件を含めこれら5件いずれとも工期が大幅に遅延していた。
このような工期を無視する無法行為を容認しそれに屈したことが請負契約第25条のスライド条項適用の期間要件を満たすことに直結したのである。
本件を含め満足に工期を守れないいくつもの大型工事を抱えている企業に次々と別工事を発注するというのは、通常の行政ではありえないことであるが、被告らは川村総合に限ってはこれを許容し、その業者のやりたい放題にしてきた。
本件の支出行為は単なる財務会計行為の間違いや瑕疵ではなく、理不尽な不法行為によるものであるから、支出したお金は返還してもらわねばならない。
三、支出負担行為及び繰越について
1、 本件に係る支出負担行為については原告は訴状での主張に追加して準備書面(1)の1枚目で新たな主張をしたが、今回の被告準備書面では、これについて一言も触れていない。
すなわち、室戸市財務規則第44条2項の規定による繰越し分の予算については、特段の支出負担行為の設定が必要とされていることについてである。
繰越しの予算についての「支出負担行為の内容を示す書類には、繰越である旨の表示をするものとする」との規定は無視していいというものではない。本件支出負担行為の文書には繰越を表記したものは存在しない。この新たな表記は軽視されるべきではない。繰越しの予算に関する支出負担行為は前年度すでに行わねばならないことはもちろんであるが、室戸市財務規則は繰越した予算についてこれを翌年度に使うものとして支出負担行為を更新する、更新したことを表示する必要性を指示するものなのである。支出負担行為の決議は前年度の決議だけでなく翌年度の分も必要だという意味なのであって、これをしなければ予算執行は無効となるということである。
2、被告準備書面は事故繰越(地自法第第220条第3項但し書き)についても原告の主張について何も言及しない。
 最初の25年度から26年度への繰越明許(地自法第213条)はともかく、法令によってさらなる繰越明許は許されないので27年度へは事故繰越を使った。がしかし、自然災害など特段の事故もないのに事故繰越をしたのはあまりにも異常であり職権乱用であろう。一業者のわがまま勝手の工事遅延を認め、1件半年程度の工期の工事を3年度(25年度、26年度、27年度)にまで渡らせる無理難題を実現するために適用が厳しい事故繰越の手法を使うことが許されるのか。
 本件工事の工期の遅延を理由とする繰越は、甲第19号証(平成22年3月財務省主計局司計課の作成になる『繰越ガイドブック』から抜粋)の事故繰越の数百事例のいづれにも該当するものはない。これも被告による職権濫用であり不法行為である
四、不法行為
1、請負契約書の履行義務 
本件工事費の追加が被告と業者間の「協議」(被告準備書面5頁)によって決められたことは争う余地はない。この「協議」の内容が本件請負契約に規定された範囲で行われたものであればともかく、それを逸脱し途方もない金額が打ち出された場合、それは談合というべきであり背任罪などの刑事犯罪に該当する行為となる。被告はこの「協議」は物価水準などに基づいてなされたというのであるが、被告も認める40%もの建設物価の上昇率は説明することは不能である。川村総合は請負金額の値上げの理由もないのにその変更(増額要求)を求め、それによって値上げ幅の協議を行い、その結果法外の契約金額の増額に成功した。このような値上げの額をどちらが提案したかは問題外である。両者が合意した事実が重要であり、被告準備書面が言うように最終的には被告側が業者に4500万円を提示したという。業者はそれに同意したがそれには消費税は別だという注文を付けたという。この4500万円の積算根拠が物価や賃金の水準など請負契約書の規定に沿うものでなければたちまち談合となり共同の不法行為となる。
  本件請負契約書は、室戸市と業者間の私法上の契約である。この契約書の各条項は双方が厳守し履行する義務がある。スライド条項を守らないなら、この契約をいったん破棄しなければならないが本件では破棄はしていない。
世間の物価や賃金水準で工事費の値上げを認めるという第25条規定は、合理的でありこれを履行しない特段の事情はない。また、これらの規定を守ることは、最小の経費で最大の効果を規定した地方自治法第2条第13項の規定にも適う。私法上の契約を無視し義務なき負担を引き受け、地方自治法の趣旨をも踏みつぶし、室戸市に多大な損害を与える行為は市長として職権乱用であり、違法かつ無効な行為である。
2、室戸市議会議員山本賢誓の陳述書によれば、実際の「協議」は被告が言うようなものではなかったという証言がある。(甲第29号証)
 川村総合から請求があったのは、市議会(甲第20号証)での林竹松議員が言うように6000万円を超えるものであり、それが5000万円程度で落ち着いたが、その過程で被告は本件工事の設計屋の杢設計事務所に3千数百万円の線の見積もりを作らせたという確かな証言がある。杢設計の社長の証言ではその見積もりをファックスで室戸市役所に送付した、という。このフアックスは担当課長萩野義興、課員濱吉ら数人の職員は確認したと市会議員に白状したとのことである。
 萩野義興元課長の証言では小松市長の指示でそのファックスの見積書をもって川村総合へ赴き3千数百万円で決着をつけようと話をしたところ、川村総合に全く取り合ってもらえず市役所に帰った。それで仕方なく被告準備書面が言う通り本件5141万円余で手を打つことになったと考えられる。
 設計事務所所長の証言では3千数百万円の見積書を作ったが、その書類はすでになく、それを作成した設計事務所の元社員はすでに退社しており、そのデータの入っているパソコンは事務所にはないとのことであった。
 また元担当課長の萩野義興の証言については原告は録音テープの提供を受けた。
3、談合について
本件における談合というのは、業者と行政機関の長との間の不法行為を内容とする話合い(協議)であるから、官製談合である。
 本件の場合、工事の途中でさしたる追加工事や工法の変更が行われたわけでなく、またそのようなものとして議会での議決もされていず、被告準備書面も認めるように少なくと40%もの物価の値上がりも根拠がなく、根拠もないまま法外な契約金の増額追加をしたことから、それでは、被告は、もともと1億5000万円ではなく2億円の請負金額として最初の入札時に提示して業者間の競争入札に付すべきものであったのではないか、という批判に答えなければならない。また工期もさしたる理由もなく1年半も遅延させたのであるから、最初から本件工事の工期は半年ではなく2年間なりとか無期限なりとかと提示して競争入札にかけるべきであったのではないか。
被告はそうせず、請負金額1億5000万、工期6か月の入札条件で、請負金額2億円、工期2年間という驚異的に有利な工事を川村総合に提供したのである。
これは、いわゆる官製談合防止法第二条第5項の四(入札談合幇助等)に該当する行為であることは明らかである。(官製談合防止法の正式名称は「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」である。)
そしてこの被告の談合行為は、他の同業事業者を不当に市場から排除する効果をもたらすことになるからいわゆる独禁法第2条5項(私的独占)にも該当し同法第3条に抵触し正常な競争入札を阻害したと考えられる。
官製談合の不法行為による公金の違法な支出金に対するその返還請求については、監査請求期間の制限はなく、裁判所の判断を受けることができる。
五、室戸市の総合評価落札方式の違法性(官製談合方式)
 公共工事では基本的に請負金額の変更は認められていない。仮にそれが認められる場合はよほどの事情の変更がなければならず、変更する場合でも、金額は本市の随意契約で許されている範囲の変更である。本件のような9か月を超える大幅な工期の遅延、工事全体の3分の2についての巨額の金額の変更がある場合は新たな入札・新たな契約が必要であって、いながら川村総合が継続的に受注することにはならない。特段の事情もないのに、契約金額を大幅に変更し、無条件で川村総合に残工事を遂行させたのは、競争入札制度を根本から破壊する行為である。
確かに請負金額の変更の特約条項(第25条)が本件請負契約書にはある。 
室戸市には、契約金変更については、他に一般的な規則や要綱は制定していない。
高知県庁の場合、建設工事について金額変更する場合は、設計変更がなければならず、
2000万円以内で元の契約金の30%を上限というガイドラインを作っているが、それはあくまでも工事についてやむを得ない事情に基づく追加的な設計変更などが前提であって、何でもないのに金額の変更などが許容されることはあり得ない。
入札のやり直しといっても室戸市の総合評価方式では川村総合ら数社が思い通りに落札できる方式が構築されている。以下の通り室戸市の総合評価方式は官製談合の一種と考えられる。甲第14号証の本件入札の「総合評価方式」で見る通り、川村総合の「施工実績」と「従事実績」の評価がダントツに高い。この書類の欄外には「平成10年4月以降に元請として完成・引渡が完了したものであること」と記載されている。
しかしこの実績は真実ではない疑いがある。
(ア)業者間の談合を看過した
本件のように発注段階で工事の内容が確定している場合は、価格による競争入札でコスト抑制が可能であるから、価格での競争がほとんど意味をなさない室戸市の総合評価落札方式を本件工事に適用するのは、地方自治法第2条第13項の最小の経費で最大の効果の規定に反している。室戸市では予定価格が公表されており、また、最低制限価格も予定価格の90%ほどと決められているから施工実績などで評価点を確保できる企業は、相手が最低制限価格の入れ札を出してもそれに勝てる入れ札を出すことができる。
ここで注目すべきは本件の入札記録(甲第14号証)では、川村総合以外の他の3社が予定価格で入札している事実である。特定業者以外の他の業者が全員予定価格で入札するというのは偶然の事件ではありえない。このことは、業者間の談合があった明白な証拠である。
このような入札状況では被告は当然価格上で談合を疑い入札のやり直しをしなければならないが、被告はこれを放置した。
(単位は百万円で2社が153.967で、あと1社が153.9である。小数点第1位までで計算されるから3社とも同じ金額の入れ札となっている)
(イ)元請けが自社で遂行した工事実績を評価すべき
総合評価方式をとるとしても施工実績は元請け自身が遂行した実績を評価すべきであって、下請けにほとんど丸投げした工事を評価の対象とするのは、総合評価方式の趣旨に反している。相手が複数企業であっても下請けへの一括丸投げは建設業法第22条で禁じられている。禁じられている一括丸投げを実績評価するのは理不尽である。
(ウ)一括丸投げの実体
元請けが下請けへ一括丸投げをしても、下請けの遂行する工事に元請け社員が実質的に関与し、指揮・監督などをしている場合は一括丸投げも違法ではないといわれる。
  しかし、本日提出する甲30号証に見る通り、本件建築工事における元請けの下請けに対する関与を示す資料は全く存在していない。甲第7号証に見るように本件工事は、川村総合が遂行したのではなく、複数の下請け業者が、被告の作成した設計書をもとに本件工事を完遂したということになる。そうすると川村総合はただの建設業の手配師のようなブローカーにすぎず、ほとんど何も仕事をしないから元請け失格企業であるというべきである。この事態は本件請負契約第6条の一括下請け禁止の条項に違反し、不法な契約違反行為である。
(エ)市契約規則違反 指名競争入札を骨抜き
  本件についての入札記録(甲14号証)では、入札参加業者は実質4社である。
室戸市には、指名入札についての契約規則(甲31号証)がある。
その第29条第1項には、指名する業者は「なるべく5人以上」と定められているが、本件を含む川村総合らが億単位の工事を受注する場合はたいがい5人未満で入札が行われている。これを指摘すると担当課員はそれは「なるべく」と書いてあるから必ずしもその規定を守らなくてもよい、などと答えている。しかし、「なるべく」という日本語は絶対不可能な場合を除いて通常実行するべき趣旨であり、ほとんど常に5人未満で、しかも室戸市内だけの企業で入札をするということが許される意味ではない。
実際川村総合の場合室戸市外の下請け企業に工事のほとんどを肩代わりさせているのであるから、県下広く一般競争入札か少なくとも室戸市内外の5社を超える企業での指名競争入札を実行すべきであった。
  室戸市の総合評価落札方式は、自ら作っている規則をも踏みにじり特定業者が落札しやすい方式に換骨奪胎されていて、これ自体官製談合そのものといえる。
(付論)
原告は、室戸市役所に対し被告準備書面(1)の主張について開示請求を行った。
次のような点について通知(甲32号証)があった。
被告準備書面(1)の5頁の
①「4500万円の増額変更による解決を打診した」という「打診」の資料は不存在。
②「4500万円での解決を承諾する旨の回答があり・・」という「回答」の資料は不存在。
③「…翌2月24日の協議」という「協議」の資料も不存在。
④被告準備書面(1)の11頁中段
「…更生設計金額であるが、そのバックデータ」についての資料は非開示。
また、旧火葬場の営業などで工事を中断したなどというが、
 ⑤ 開示資料では、工事を中断する指示についての資料は不存在ということである。
被告は、④の非開示資料は別として事実だと証明する資料もないのに間に合わせに主張していることになるのではないか。
また、④の非開示資料「バックデータ」は工事中はともかく、工事終了後までも非開示にする理由はない。

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2017年10月29日 (日)

最高裁判事への審判

News & Letters/597
今回の総選挙と合わせて最高裁判事への国民審判が行われる。
従来のやり方では、国民の審判が十分になされるためしはない。
新聞やテレビでもほとんど話題にならず、批判的な意見も支持するという意見も何もない。
審判される裁判官も国民に何を訴えて当確を期しているのか、選挙運動も何もない。
大体この最高裁裁判官の選定については国民には何の関与も許されていない。行政権力の恣意に任されている。
憲法では、国政は国民の厳粛な信託による、となっているが、三権の一つ司法の世界では、行政府の独断的な信託による、ということになっている。
国民は日常的には裁判にかかわらないから何もわからないのでほとんどが支持となる。
わずかに選挙公報と一緒に各裁判官の経歴や判決例、それと「裁判官としての心得え」
という抱負が記述されているのを見るだけだ。
今日の最高裁が行政府の鼻息をうかがい人民の権利ではなく、法を曲げ権力の権限の強化に躍起になっていることは周知のとおりである。
裁判の実績は別にして、今回の国民審判の広報からその「裁判官としての心構え」のいくつか見てみよう。
評価の基準は、この裁判官は、法令順守についてどう考えているか、という一点である。
1、ややまともな「心構え」
*小池 裕判事(裁判官及び裁判所行政官僚出身)
「証拠に基づく実証性と法に基づく論理性をもって、検証可能な形で判断を示す裁判の・・・」
 *菅野 博之判事(裁判官出身)
  「裁判では、法令及び論理性とともに誠実さと共感が大切と考えています。」
2、危うい「心構え」
 *山口 厚判事(法学者出身)
 「このようにむつかしい問題・事件の法的な解決に用いるべき基準・考え方には、過去・現在・未来という時間軸の中で変わらずに維持されるべきものと、状況の変化に応じて変えていくべきものがあります・・・」
私のコメント:この裁判官は、何を考えているのだろうか。「法的な解決に用いる規準・考え方」とは何なのか。憲法などの法令が裁判官の判断基準ではないのか。「状況の変化に応じて」法令の解釈を変えていくというのか。
「人を見て法を説け」という言葉があるが、説く方法は変えても法を曲げてはなるまい。裁判官が勝手な「基準」をつくりそれを振りわされたのではたまったものではない。その「状況の変化」とは権力の状況変化だ。 
 *戸倉三郎判事(どっちか言うと裁判所行政官僚)
 「・・事実認定の場面でも法解釈の場面でも、普遍的な価値を守ることと変化に柔軟に対応することとのバランスの取り方に・・・」
私のコメント: 「普遍的な価値」とは何のことやら。何やらわからぬ「普遍的な価値」も「変化に柔軟に対応」して変えていくという。憲法を「普遍的価値」というならわかるが、憲法や法令順守の言葉が出てこない。
最高裁判事なったから、憲法や法令を超越する「普遍的価値」を想念して国民の訴えを専断するつもりであろうか。
 *その他の最高裁判事の「心構え」
、      
私のコメント:
憲法とか法令順守とかの言葉が見られないのはどういうことであろうか。
最高裁の基本は下級審の判断が憲法違反かどうかを裁断することだ。今回審判の対象となる7判事のうち、「憲法」という言葉を語った判事は一人もいない。
法令を尊重する趣旨を述べた者はわずかに2人だ。
法令を無視して自分の価値判断で裁判を行おうと構えている不敵な奴もいるぐらいだ。

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2017年6月15日 (木)

共謀罪

News & Letters/572


共謀罪の成立によって、戦前型の日本社会、現在の中国や北朝鮮のような社会が到来する、ということだ。

計画や準備の段階で逮捕され処罰される。裁判所が権力の擁壁になっている現代、「計画」、「準備」はどのようにでもでっち上げができる。テロを防止するためだというが、日本人民には、政府に抗議したり反対運動を合法的に遂行することが困難になる。従って人民は、逆にテロや武装闘争をしなければ政治活動ができなくなる。今回の共謀罪法案の可決は→テロ・武装闘争への決定的な後押しとなるだろう。

天皇制の新たな整備(退位法案)によって日本プロレタリアートの階級意識の形成に大きな障害が設けられたが、共謀罪の成立は、その効果を大きく減殺するだろう。

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2016年7月29日 (金)

警察手眼

News & Letters/508

差別虐殺の容疑者の名前が植松という。
植松という姓は全国各地にある。
私の知っている植松は室戸市佐喜浜町の旧家である。
明治初年、日本の近代警察の骨格を形成する上で重要な役割を果たしたという人が
この植松家からでた。さとこさんという高齢の女性が古い家を守っていて、私が行けば常に歓待してくれる。

その人の名前は植松直久といい、明治15年9月21日に37歳で没した。墓は近くの墓地にある。
その人の編著作の書が『警察手眼』だ。
この書は明治以降今日でも警察とは何か官人とは何か、肝に銘ずべき格言が詰まっている。
今回の相模原の前代未聞の差別襲撃事件に対する警察の対応ついて疑問があり、この書を開いてみた。

次のように書いてあった。

「警察要旨」

「行政警察は予防をもって本質とす。すなわち人民をして過ちなからしめ、罪に陥らざらしめ、損害を受けざらしめ、もって
公同の福利を増益するを要するになり。」

「探索心得」

「声なきに聞き形なきに見るが如き無声無形の際に感覚せざるを得ざるなり。」
「怪しきことは多く実なきものなり。決して心を動かすべからず、しかれども一度耳に入るものは未だその実を得ざるといえども又怠らざるは警察の要務なり。」

相模原では、容疑者は襲撃計画まで作っていて、その対象に今回の施設の名前を挙げていた、という。

それでも警察はほとんど何もしなかった。職務怠慢というような言葉で片づけることはできない。

その根因は、どこにあるか。驕慢な権力意識だとおもう。
事件があってもできたら動かずにことが収まるほうが良い。東洋町の海の駅の放火事件のようにもみ消す。
権力を自分らが持っていてこれが最大の利権だ。人民のために動かすのは最小限度でよい。
政権に関係する政治家の犯罪事件には介入しない。甘利らは守られ、福島原発の犯人らは放免された。

権力を握りその上に安座する。それが現代の警察・検察の姿だ。そういう意識だから、襲撃予告が宣言された

施設を防護する処置をとらないのは当然なのだ。実際に19人もの人間が殺されてびっくりしたようにふるまっている。

『警察手眼』に聞いてみよう。
「官員は元来公衆の膏血(こうけつ)をもって買われたる物品のごとし。故にその価に適当する効用をなさずんばあるべからず。もしこの効用なき者はその買主なる公衆に疎まれ又その物品中にもあやしまるる無論なり」
「それ官員は公衆の膏血をもって買われたる物品なれば、その価だけの効用なくんば人民に疾悪を受くるは言をまたざるべし。」

植松直久は、フランス流の人民を守る警察を日本に建設しようとした。
その思想の根幹には、警察や政府官員は人民によって買われた物品だという位置づけがあった。

人民主権の筋が通った警察を作ろうとしていたのである。いわく「警察官は人民の為には保傅(ほふ)の役なり」

室戸市佐喜浜の植松家は90才を超すおばあさんが元気でひっそりと守っている。おばあさんは正義感がきわめて強い

方で植松直久さんを大変大事にしている。近代日本警察を研究する学者がこれまでたくさんこの家を訪問してきたという。

またこの植松家から自由民権の有名な県会議員も出ている。
この『警察手眼』の本は、植松家にまだ幾冊かあり、分けてもらえるのではないかと思う。
この史跡を訪問したい方は私が案内します。素晴らしい史跡だが国も県も市もそのような指定はない。

100年を越えるこの古い家は地震が来れば倒壊するかもしれない。

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2016年5月29日 (日)

安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合への措置請求

News & Letters/491

        措置請求書

安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合殿
                       平成28年5月27日
                       澤山保太郎
                       田原茂良
                       楠瀬立子

丸山長寿園無償譲渡の違法・無効判決について

          記

1、平成28年5月17日、高知地方裁判所民事部は、平成26年4月1日に民間団体むろと会に貴組合(当時組合長小松幹侍室戸市長)に所属していた丸山長寿園の無償譲渡の行為について地方自治法第238条の4第1項の規定に違反し、この無償譲渡を無効であると断罪した。

そして、その無法行為の原因として、当時の組合長小松幹侍の「尽くすべき注意義務を怠り、過失」によるものであると断定した。判決では、行政処分性はないとして取り消し請求の訴えを否定し、賠償責任も否認したが、貴組合がした無償譲渡の行為については明確に違法・無効であることを言明し、さらにその「無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない」と断定された。

行政側に傾く住民訴訟では極めて異例な判断である。たとえこの訴訟が上級審にかかって、賠償責任などが争われるとしてもこの違法・無効の判断がゆるぐことはありえない。
2、したがって、私たち原告は、この判決の趣旨に基づいて貴団体が、組合を構成する芸西村から東洋町に至る全市町村民に謝罪をしたうえ、以下の措置を取ることを要求する。

①むろと会から丸山長寿園の経営を取り戻すこと、
②平成26年4月1日以降の経営上の利益を全額回収すること、
③また、むろと会役員などに支払った報酬などは不当であり、全額回収すべきこと

 その他丸山長寿園が貴組合に所属するものとしての必要な措置を直ちに講ずることを求めるものである。

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2016年5月21日 (土)

続 丸山長寿園判決

News & Letters/489

       厳しい断罪

5月17日の公立の特養老人ホーム丸山長寿園の民間譲渡について、高知地方裁判所の判決文は、いわば、事実の認定は違法行為であるが、どうしても行政側を負けさせるわけにはいかないのでこんな判決文になってしまった、控訴審で何とかしてくれ、という依頼状のようなものである。

以下の判決文を見てください。その違法性判断はこれまで私が経験した無数の住民訴訟の中で首長に対して最高度に厳しい内容である。

判決文20頁

「被告組合の組合長である小松が、平成25年12月25日、むろと会との間で、本件契約を締結し、それに基づき平成26年4月1日にむろと会に対して本件施設の建物等を譲渡したことは、上記3で説示したとおり、違法な財務会計行為であるところ、前記認定事実によれば、小松は、その前提となる事実、すなわち、本件契約当時、本件施設の建物等は未だ被告組合が運営する特別養護老人ホームの用に供されていたとの事実を認識していたものと認められる。

そうである以上、小松は、本件契約が地方自治法238条の4第1項に違反する違法なものであると認識すべきであり、平成25年12月25日の時点においては、本件契約を締結すべきではなかったといえる。それにもかかわらず、小松は、被告組合の組合長として尽くすべき注意義務を怠り、過失により、本件契約を締結し、平成26年4月1日、本件施設の建物等をむろと会に譲渡したものと認められる。」

尽くすべき注意義務を怠り、過失により・・・・という。通常は、裁判所が違反行為があったと認めても、その違反については知らなかったとか、認識できなかったから、責任は宥免するという事にしてきた。

しかし、この判決文は、小松幹侍は違法性を認識することができた、と追及し、その責務の懈怠をも指摘したのである。
裁判所は行政責任を宥免する口実を自ら絶ったのである。
東京都知事は別格としても、最近これだけの断罪を受けた首長はめったにいないだろう。
無償譲渡した施設の価値は数億円にのぼるものであり、譲渡先の団体の長は、小松幹侍室戸市長の係累である。

これだけの判決を受けた場合、行政マン失格であり、通常なら、辞職しなければなるまい。
また、これだけの断罪であれば、裁判所は、何らかの償いを違反者に求めるのが道理であろう。

それができないんや、という悲鳴が聞こえる。

私は、日本社会の低迷、特に地方の衰微の大きな理由は、市町村首長が利権行政に流れ、真剣に地域の活性化、そのための行財政改革にいそしむという姿勢が欠如しているからであると考える。そのような堕落した行政を野放しにするような裁判は地方の衰滅を一層促進し、同時に司法の墜落をもたらすものである、と考える。
三権分立というが、分立はいいとしても、法の支配の立憲主義の建前から、司法は他の二権よりも上位に立たねばならないと考える。

日本の現状では、司法は最下位に置かれ、裁判官自身が議会や行政におもね、自ら卑屈になっているように見える。
その典型的な一例が本件判決であろう。これも控訴せざるを得ない。

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2016年5月16日 (月)

野根漁協1000万円不正融資結審

News & Letters/486

野根漁協への松延宏幸東洋町長による不正融資事件の(高松高裁)はたった一度で結審となって、判決は7月15日ということになった。
虚偽の理事名簿が功を奏して最高裁で差戻しを勝ち取った東洋町。
一度は松延宏幸に1000万円の支払いを命じた高裁がどのような判決をするのか興味深い。
あくまでも行政に勝たせるために尽力するのか。それにしても虚偽の理事をでっちあげるなど数々の違法行為をしてきた行政をかばいきれるのか。原発裁判など、行政の悪をかばい立てることを仕事にする日本の司法、「法服の王国」の闇はいよいよ深い。この闇がいつ晴れるのか。

平成28年(行コ)第8号 損害賠償請求控訴事件
控訴人 澤山保太郎
被控訴人 東洋町長松延宏幸
        控訴人準備書面(4)
                  平成28年4月18日
高松高等裁判所 殿
                  控訴人 澤山保太郎

控訴人は以下の通り、被控訴人準備書面(1)について陳述する。
被控訴人準備書面(1)について

一、本件理事会の理事名簿を実証するもの

被控訴人は、控訴人が提出した甲第37号証の2(野根総会議事録)、及び甲第39号証(県庁への業務報告書)について、
「いずれも本件で問題となっている平成23年11月3日の本件理事会当時の理事を直接証明するものではない。」
と主張する。
しかし、平成23年11月3日当時の本件理事会の理事について、野根漁協の組合員総会で選任した事実を直接証明するのは上掲の甲第37号証の2、及び甲第39号証である。野根漁協定款では理事の選任の方法は2種定められている。すなわち、

①一つは、正規に選挙管理委員を任命し、立候補者を募り組合員の投票によって選出する。
②今一つは、漁協の総会で選出する方法である。
③の総会の場合はもちろん臨時総会と言うこともあり得る。

いずれにしても役員の任期は3年間であり、その選出は、組合員の総意によって決定される。野根漁協では②の組合員総会方式が3年ごとに取られてきた、という。
本件当時の理事の選出行為は平成21年の上掲「平成21年度野根漁協総会議事録」やそれを反映した「平成21年度業務報告書」の示すとおりであり、それ以外には存在しない。総会議事録が第1の証拠であり、監督官庁である県庁への業務報告書はそれを反映したものにすぎない。

通常は、平成21年度に選出行為があれば、平成22年度、平成23年度には選出行為は存在しない。平成23年度もこの理事の任期が続行中であり、これら理事の選出の事実について、別箇の証拠があるわけではない。
被控訴人は、最高裁へ提出した上告受理申立書に掲示した理事が正規に選出されたものであるという事を立証する義務がある。それを実証する野根漁協の総会なりの議事録があるのか、被控訴人の主張は漁協の業務の実態についての無知から発したものである。

二、甲第21号証別紙1「動議1」の理事名について

被控訴人は上掲甲第37号証の2、甲第39号証の理事が甲第21号証の別紙1の「動議1」と相違している、と主張している。
これは、確かに差戻し前の高松高裁の判決文で指摘されていた。
高松高裁の指摘は、控訴人が書証(甲第33号証)として提出していた役員名簿(甲第37号証の2、甲第39号証と同じもの)について、甲第21号証別紙の名簿と相違していて真偽の判定がつかないと判示していた。高松高裁は、甲第21号証別紙「動議1」の名簿を調査特別委員会の主張(あるいは控訴人の主張)であると誤認したものと考えられる。
甲第21号証は、「特別調査委員会中間調査結果報告書」というタイトルがつけられている。それは、

①「東洋町漁業災害対策資金借入についての中間調査報告書」(平成24年9月10日付)
②「特別監査報告書」(平成24年8月8日付) 別紙5
③「東洋町漁業災害対策貸付金借入についての中間調査報告」

(平成23年9月10日付) 別紙7

の三つの文書が主内容で、後は特別調査委員会が集めた資料であって、これら添付資料については、特別調査委員会の主張するところのものではない。
 上の①の中間調査報告書によると、この「動議1」は、平成23年11月9日に開かれた野根漁協臨時総会で、ある組合員から提出されたもので総会では取り上げられなかったものであって、調査特別委員会の資料として綴じられていたものである。
 調査特別委員会も、当時の野根漁協の執行部もこの「動議1」についてこれを認めたわけではないし、「動議1」が議決されたということでもない。あくまで組合員から出た一つの問題提起の資料にすぎない。

当時野根漁協は「組合長」(桜井菊蔵)らが勝手に本件借入を行う上でにわかに理事に任命するなど理事について無茶苦茶なことをしていた。
しかし、①の中間調査報告書では、特別調査委員会は、役員は正組合員が総会においてこれを選挙するという定款のとおりであり、理事会のみで承認された理事は認めない、という立場を明確にしている。また上の③の文書でも、特別調査委員会は本件確約書についても「総会において承認されていない理事がおり、署名・押印されている。」と指摘するとおりであって、当時の正規の理事が平成21年度の総会で選出されたものだという認識のもとに判断していることは明らかである。

三、にわか「理事」松田安信、松吉裕也について

 確かに被控訴人準備書面がいうように甲第41号証の1、同号証2と甲第21号証の二人の署名した「確認書」の内容とは矛盾する。だから、控訴人は正規の理事でもない者が署名押印したものであるのでその「確認書」は無効だと主張しているのである。
松吉裕也君は、当時も今も、若い漁協の事務員である。事務員は職務専念義務があり、職務外に漁業を営むことは不可能であり組合員にはなれないから、通常、漁協の役員や理事にはなれない。

また、野根漁協では理事(雇用主)と被雇用者(事務員)との兼任は認めないことになっているという。この事実については、県下の漁協関係者はみんな知っていて、被控訴人も知る立場にある。被控訴人は、町役場でも首長や幹部職員の場合、職員組合から脱退するという慣行はよく知っているはずである。松吉裕也君が漁協の事務員として働いていることは、役場幹部や水産関係職員もよく知っていることがらである。「確認書」は、本来理事になれない者に理事だとして署名押印させたと考えられる。

また、松田安信は現在高知県警に収監中であるが、日ごろから理事に選出されるような素行の持ち主ではないことは被控訴人が知悉している。その素行についてはここではプライバシイに係ることだからつまびらかにはしない。

この二人が、仮に理事として署名押印をしたという文書を見たとき、まさにそのとき、野根漁協の理事たちの選出の経緯について被控訴人がただすべき契機となったはずのものである。すなわち、通常の場合、この二人が漁協理事に名を連ねた文書が上がったら、その文書を疑う必要がある、というものであろう。

四、特別利害関係人松吉孝雄について

 被控訴人は、野根漁協の理事で本件11月3日の理事会に出席したという松吉孝雄について「松吉孝雄が松吉保の弟かは知らないが、・・・弟といっても、本件貸付によって直接に利益をうける者ではないから、・・・・・特別な利害関係があるとは言えない。」という。
松吉孝雄が本件貸付金の実際の借り手である松吉保の実弟であることは戸籍謄本のとおりである。理事や取締役の2親等の者が特別利害関係人であることは会社法上の常識であり、内閣府令(「企業内容等の開示に関する内閣府令」)第1条31号にも明記されている。
松吉孝雄も同じ漁協に属し、別の小敷網漁を営んでいて、松吉保と互いに助け合って生活をしてきたことはいうまでもない。最高裁は、松吉孝雄が保と特別利害関係人であることを知らなかったといえるが、人口希少の町役場で数十年事務を執ってきた被控訴人がこれを知らなかったとは言えない。8人の理事のうち、特別利害関係人2人の理事(松吉保彦、松吉孝雄)を控除すれば6人が議決権者であり、そのうち3人(桜井菊蔵、井崎勝行、桜井勇)しか出席していないという事になるから、本件理事会は不成立である。

五、組合長桜井菊蔵について

1、平成23年11月3日の本件理事会は、組合長桜井菊蔵によって招集され、桜井菊蔵が議長となって開催したことになっている。しかし、この桜井菊蔵組合長という事実については疑義があり、その組合長就任は以下のとおり無効であると考える。
前組合長桜井淳一が平成23年10月4日に組合長の辞表を提出したのは事実である。
(甲第42号証)
そこで誰が招集したかわからないが、翌10月5日、野根漁協理事会が開かれたことになっている。この理事会議事録(甲第43号証)によると、出席した理事は全部で5人でその名前は、井崎勝行、桜井菊蔵、桜井勇、松吉孝雄、松吉保であるという。

しかし、下線のある松吉保は正規の総会で選出された理事ではないからそれを控除すると4人の理事で開いたという事になる。当時の野根漁協の理事定数は8人である。
8人のうち4人の出席では過半数に足らない。野根漁協定款第49条の3では、議決権を行使できる理事のうち過半数の出席がなければ理事会は開催されたことにはならない。
第1号議案は、桜井淳一組合長の辞任届の承認案(解任案ではない)だから、別段、控除すべき特別利害関係役員は誰もいない。

第2号議案も、新代表理事(組合長)選任議案だから、控除すべき特別利害関係人は誰もいない。野根漁協の当時の理事は8人であるから5人以上が出席しなければ理事会は開催され得ない。したがって、平成23年10月5日の桜井淳一組合長辞任承認、新組合長桜井菊蔵選任の理事会は成立していない。
桜井淳一組合長の組合長職辞任は承認されず、また、桜井菊蔵新組合長の選任もされていなかった。にもかかわらず、桜井菊蔵らは被控訴人らと共謀して強引に組合長の変更の登記をし、本件貸付金の借入の申請、実際の借入を実行した。当然法務局への登記も虚偽であって無効なものである。

2、野根漁協の定款第47条では、理事会は組合長が招集することになっている。
 しかし、辞任を表明していた桜井淳一組合長は自らの辞任と後任の選任について理事会を招集したことはないし、連絡もなかったからそれに出席もしていないという。
 したがって、平成23年10月5日の新組合長選任の理事会は組合長が全く関与せず、仮に定足数に足りて開かれたとしても無効である。
3、したがって、 桜井菊蔵 新「組合長」が招集した11月3日の本件理事会は招集権限のない者(にせの組合長)が招集した理事会であって無効である。
 そして、桜井菊蔵 新「組合長」の名前で出した甲第5号証など本件借入申請書関係書類もすべて無効である。したがって本件借入(貸付)行為そのものが無効なものであった。
     

平成28年(行コ)第8号 損害賠償請求控訴事件
控訴人 澤山保太郎
被控訴人 東洋町長松延宏幸

控訴人証拠説明書
           平成28年4月18日
高松高等裁判所 殿
                   控訴人 澤山保太郎

一、甲第42号証(写し)
 1、標記:野根漁協協同組合御中
 2:作成期日:平成23年10月4日
 3、作成者:桜井淳一
 4、立証の趣旨:

     長年組合長を務めていた桜井淳一は、本件貸付金に反対したため
     松吉保一族やそれと結びついた桜井菊蔵、井崎勝行らから非難され、
     組合長辞任を迫られて、辞任を表明した。但し理事職は辞任していない。

二、甲第43号証 (写し)
 1、標記: 理事会議事録
 2、作成期日:平成23年10月5日
 3、作成者: 野根漁協
 4、立証の趣旨:

この書証は、最近野根漁協から控訴人に提供されたものである。
本件当時平成23年10月5日に野根漁協が法務局に新しい理事長を登記する際に法務局に提出し、「原本還付」されたものである。
 本件貸付金事件の漁協側主要人物桜井菊蔵らが、野根漁協理事会を開いて桜井淳一組合長の辞任承認、新組合長桜井菊蔵選任の決議をしたという。しかし、8人の正規の理事のうち4人しか出席していないので成立したことにはならない。
 したがって、桜井菊蔵組合長名で申請した本件借入金は無効である。

三、甲第44号証 (写し)
 1、標題:借用書
 2、作成期日:平成23年11月22日
 3、作成者:松吉保彦
 4、立証の趣旨

 本件貸付金が、被災漁家である松吉保小敷にわたらず、別人に渡されていた事実を証するもの。

平成28年(行コ)第8号 損害賠償請求控訴事件
控訴人 澤山保太郎
被控訴人 東洋町長松延宏幸
控訴人準備書面(5)
                   平成28年4月19日
高松高等裁判所 殿
                    控訴人 澤山保太郎

控訴人は以下の通り、被控訴人準備書面(2)について陳述する。
被控訴人準備書面(2)について

一、被控訴人は、
「1、理事会の決議に瑕疵がないことは、従前の主張のとおりである」
という。

1、「従前の主張」すなわち、被控訴人準備書面(1)で本件理事会についての主張は
 (1)控訴人が提出した書証甲第37号証の2、甲第39号証の議事録や、業務報告書は平成21年度のもので平成23年度の本件理事会の構成理事の事実を直接証明するものではない。
 (2)また、これら書証は、甲第21号証別紙1の「動議1」の理事名とも一致しない。
 (3)甲41号証の1、及び2の松田安信及び松吉裕也の書面はいずれも甲第21号証の別紙の「確約書」の内容と矛盾する。
 (4)故に、(1)、(2)、(3)の事実は「最高裁判決が前提とした事実関係、すなわち、理事8名のうち6名が出席した理事会において、全会一致で、東洋町に対して本申請をする・・・・という事実認定を左右するものではない。」
 というものであった。
 (1)(2)(3)については控訴人準備書面(4)で説明し反論した通りであり、たわいもないものである。
 (4)については、すでに控訴人準備書面(1)及び(2)で詳しく反論してある。

2、なお、「最高裁判決が前提とした事実関係」というが、最高裁は何も本件に係る事実、野根漁協の真実の理事名簿について具体的に調査したり審理をしたわけではない。
最高裁は被控訴人が掲げた虚偽の理事名簿を鵜呑みにしそれを前提にして昭和54年の最高裁判例の論理を機械的に適用したにすぎない。今問題になっているのはその「最高裁判決が前提とした事実関係」=被控訴人の出した上告受理申立て理由書の理事名簿が真実かどうかなのである。

 それが、真実であるというのであれば、被控訴人は証拠を挙げて実証する必要がある。
その証明ができるのかできないのか、それさえ答えればいいのであって、他の些末なことを言い並べる必要はない。
 準備書面(1)(2)のどこを見ても被控訴人はそれを実証しようとしていないし、することができていない。
 控訴人は、甲第33号証の正規の理事名簿を立証した。最高裁のいう昭和54年の特別利害関係人に関する会社法上の事件の判例の適用は、あくまでも正式の理事に適用されるべきなのであって、虚偽の理事名簿に適用されてはならないのである。

3、なお、特別利害関係人のことでいうなら、本件理事会に出席したと称する理事は全員、本件借入について債務保証となる「確約書」(甲第10号、甲第21号証の別紙4)に署名押印していることは紛れもない事実である。
これは、本件貸付規則第5条の(3)にその義務が規定されていたからである。
この債務保証は、町に対して、組合(又は転貸相手の松吉保小敷)のためにするものであって、野根漁協全理事は組合又は松吉保との関係では特別利害関係人ということに予定され、実際そうなった。全員が松吉保との間で特別利害関係人であるとすると、平成23年11月3日の本件理事会の出席者は全員議決権がないということになる。無論利益相反の事実についての報告・承認もされていない。この点でも、本件理事会は成立していないと言える。

二、被控訴人は、
「2 野根漁協が、本件貸付に係る金員を原資として、松吉保彦に1000万円を融資していることは、本件貸付後の野根漁協と組合員との関係であって、本件貸付自体の効力に影響を及ぼさない。」という。
1、この記述は、控訴人が転貸し相手が相違している、松吉保が高齢で返済能力がないので又貸しのさらに又貸しをやっていると指摘していることについて、弁解しているつもりであろう。

しかし、本件貸付金は、最高裁判決も指摘しているように、野根漁協の借入申請書の添付資料として特定漁家、松吉保小敷の名が挙がり、その実績や被害状況が記載されていて転貸先が決められていた。松吉保彦は松吉保の息子であるが、当時別の企業体(東洋大敷)の漁労長であって、松吉保小敷には全く従事していないし、所帯も別個であった。
また、この被控訴人の主張は、転貸先が誰であろうと、被控訴人には関係がない、と言いたいのであろう。しかし、本件貸付規則第12条で町長は、「融資を受けた組合及び借入漁業者に対し、関係帳簿書類その他の必要な物件を検査し、または必要な報告を求めることができる。」とし、また、同規則第10条では、町長は「資金の貸し付けを受けた組合及び当該組合から転貸を受けた漁業者が、次の各号のいずれかに該当すると認めた場合は、組合に対して融資金額の一部又は全部について返済を求めることができる。」として、貸付金の目的外使用などを挙げて、転貸先の漁家にまで規制する趣旨を規定している。漁協に貸したから、あとは好きなようにせよという制度ではないのである。

いずれにしても本件貸付金が、被災漁家のうち定められた松吉保小敷に貸し付けられず、被災とは何の関係もない別名義の者に貸し付けられている事実は否定することはできない。したがって本件貸付金が誰の手に渡ったのか不明であり、誰から返済されるのかも不明であって、これによって本件貸付事業がまったく無法なものであったことは明らかであろう。

三、被控訴人は、

「3 野根漁協は、総会において、災害対策資金を借り入れる旨の定款変更をすることを決議・・・」 という。

1、控訴人がこの定款変更の総会の決議について再三反論したのであるが、被控訴人はその反論について何にも主張がなく、ただ決議した、決議した、を繰り返すのみである。
 控訴人はすでに何度もこの野根漁協平成23年11月9日の臨時総会では、本件貸付金にかかる定款変更は有効に決議されていない、と主張してきた。

2、その証拠は乙第1号証の臨時総会議事録そのものである。この議事録には1号議案として「定款一部変更承認のこと」と記載されているが、定款の何条を、どのように変更するか、記載したものがなく、何のことだかわからない。貸付とか借入れとかの言葉もなく、1000万円とかいう金額も何も見えない。ちんぷんかんぷんの禅問答である。
 これが議事録であるとは想像できるとしても、何か特定条項の定款変更の総会議事録だと判断できる人はどこにもいないであろう。この議事録で具体的に定款変更を伺わせる何かをつかめる人は誰もいないだろうか。定款変更の白紙委任でも取ったということであろうか。そんな決議は無効である。

2、甲第21号証で控訴人準備書面(4)で掲示した①の「東洋町漁業災害対策資金借入についての中間調査報告書」でも11月9日の臨時総会で本件貸付金にかかる定款変更がなされた趣旨の記載はなく、むしろ翌年第2回目の臨時総会で本件貸付金について初めて説明があったという報告がなされている。すなわち「第1号議案の際に東洋町漁業災害対策資金借入れのことに関して初めて当組合員である漁師に発表したのである。」と記載されているとおりである。(事件翌年のこの第2回目の臨時総会は1000万円借入れについて紛糾し「流会」になって終わっている。)

この中間調査報告書には11月9日の臨時総会では、組合員から役員の状況について「動議」が出されたが、そのことについては議事録に記載されていないという指摘もなされている。被控訴人は、この11月9日の臨時総会で、どのような定款の変更がなされたのか、定款第何条を変えて、または新たにつけ加えて、かくかく、しかじかの定款に変更したということを想像でもいいから提起するべきではないか。
また、被控訴人は、「この総会決議は、本件貸付申請の翌日にされたものであり、借入金の最高限度額を1000万円と定めたものと同視し得る。」という。
 貸付申請の翌日に開かれたということだけで、何の定款変更か記載のない議事録の内容が特定できるであろうか。組合員は、何も説明を受けていないのである。

 まして、仮に貸付事業についての定款変更だとしても、それがただちに「借入金の最高限度額1000万円」の決議と同視できるということになるのか、
 貸付と借入れとはまったく違う概念であり、経理上も別扱いである。法廷では普通の人間の論理でものを言うべきではないだろうか。

また、被控訴人は、
「本件貸付後に、知事が定款変更を許可している。そのため、定款に関することで、本件貸付が無効になることはない。」という。
定款変更についての知事の許可前に、本件貸付事業は実行されたことは代1審判決でも認定された。定款変更の許認可は事後追認が許される事案ではない。無許可の期間に実行した行為は無効である。無免許運転者が乗車後に免許を取得したからといって無免許運転の事実と犯罪が帳消しになるわけではない。

被控訴人は県の認可と実行行為が前後していることについて、一言の弁解もせず、それどころか事後に許可をしているから有効だ、と平然と述べている。
裁判所は無効なものは無効という判断をすればよく、これだけの重畳せる無法行為をかばう必要はない。

四、またさらに、被控訴人は、

「最高裁判決の認定のとおり、本件規則が効力を生じていないものであっても本件規則に基づく貸付と同様の目的を有する貸付をするに当たり、漁業協同組合の理事会の議決を要するものとすることは合理的なものである・・・・」という。
 確かに今回の最高裁判決には、これと同様な文言があった。しかし、最高裁は、①本件規則そのものが有効なものか、②また、本件貸付が本件規則と同様の目的で実行されたかどうか、③漁協組合の理事会が成立していたのかどうか、④漁協組合の理事会の議決だけで本件借入れが可能とされるのかどうか、⑤まして、本件規則が効力が生じているかどうか、効力がない場合でも本件貸付が有効といえるかどうか等々については最高裁として何も調査していないし、審理して、事実認定をしたわけでもない。

 「本件規則が効力を生じていないものであっても・・・」というぶっきらぼうな最高裁の判決文の意図が奈辺にあったかわからないが、それはあくまでも他の手続きなどが適法であればという前提であって、ほかに問題がなく、こと理事会については昭和54年の判例で適法だという判断を強調するのあまり出た言辞であろう。

 本件規則が無効であれば、それに基づく、あるいはそれと同趣旨で実行された本件貸付の有効性も問われることはいうを俟たない。事実について何の審理、何の論証もないことについて最高裁判決の一字一句を承詔必謹式にありがたく受け奉る必要はない。
 転貸しなど本件規則の違法性、本件規則の趣旨や各条項の規定に外れた行為の数々、そもそも本件規則を一般に交付しなかったなど本件規則にかかる重大な瑕疵の事実についてはすでに控訴人準備書面(2)で弾劾してある。それらにあげられた違法行為の数々は、被控訴人の裁量権を逸脱するものでないというのであれば、一つ一つ反論をすべきである。うそを並べて理事会の成立さえ認められれば、後はすべての問題がクリアされ本件貸付が「合理的」になるというのである。

 しかし、理事会の成立問題は重要ではあるが、本件に関係する手続き上の重大瑕疵のひとつに過ぎない。
 被控訴人は、本件理事会について虚偽の理事名簿をでっち上げ最高裁の裁判官をだまし差し戻し審を勝ち取った。しかし、その最高裁判決の前提である理事名簿の事実が真実であるとの立証はできないでいる。
その他の本件支出負担行為にかかる違法行為についてもまったく何の弁解もしていない。
 被控訴人の準備書面(2)のように立証もせずにただ断定口調で主張を繰り返すのでは、どだい、裁判にならない。

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2016年1月25日 (月)

高知新聞の悪乗り

News & Letters/458

嘘の理事会名簿で出席者が多数であったから理事会は成立していた、などということが通用するなら、如何なる取締役会でも、どこの理事会でも嘘の名簿を裁判所に提出し、無効だ、有効だというでたらめが横行するであろう。

裁判所の役割は、その名簿が事実かどうか、証拠が確かかどうか確認したうえで判断することだ。

今回の事件では第1,2,3審ともその事実の確認、確定を行わず、数の計算だけで判断をしているのである。

このようなバカげた裁判を日本の裁判が今もやっていることに驚かざるを得ない。
ところで、昨年元の高松高裁が本件東洋町長の1000万円融資事件を違法だとしたのは、大筋2つの理由であった。

①ひとつは貸付規則を町民に公布しなかったことで、この貸付規則を無効と判断したこと。

②もう一つが、貸付相手側の漁協理事会の借り受け真正の議決が、特別利害関係者が参加していたので無効だと判断したことである。これについて松延宏幸町長側は、貸付規則の無効については争わず、ただ、理事会の成立の可否についてのみ最高裁に上告したのであった。

そして、最高裁の判断は、①についての高裁の判断は認め、すなわち貸付規則の無効についてはその通りだとし②の理事会成立については以前の最高裁判例があるので高松高裁の判断は誤りだと判断したのである。

その最高裁判決はインターネットで「平成28年1月22日最高裁判決」と打ち込めば誰でも見ることができる。

ところが、最高裁判決の翌日平成28年1月23日(土曜日)の高知新聞朝刊では、②の貸付規則についても、最高裁は「合理的だ」と判断したと紹介してある。
すなわち、
「二審が「規則は効力を生じていない」とした点についても「合理的な手続き」だったとし、町長の裁量権逸脱を否定した。」と書いていた。

高知新聞の記者は最高裁の判決を読めないほどのばかではないはずだから、読んだうえでわざと嘘を書いたという事になるであろう。新聞記者又は新聞社が判決文を新たに作ることができるのであろうか。

高知新聞のこの記事を読んだものは、本件東洋町の1000万円貸付事件について最高裁は全面的に違法性はないと判断したと理解するであろう。ある検察官も高知新聞をそのように読んだとして私に質問してきた。

この事件は検察庁に告発中だからである。
松延宏幸町側も、本件貸付規則の違法性、無効性については最高裁では何も争わず、町民に規則を公布しなかった事実については、認めていたのである。およそ、一般に公布しなかった規則が無効であることは近代社会では当たり前のことである。

雲の上の最高裁の裁判官でもそれくらいのことはわかる。今回の高知新聞の最高裁判決の偽造について責任者はどのように釈明するのか、聞きたいものだ。悪意がなければこれだけのことは書けまい。

高知新聞は以前にも東洋町の議員リコール請求に係る事件で地方自治法施行令に記述していない重要な文言をその施行令に書いてあると言って「   」で新聞で紹介した事件があった。

メディアは最低限、法令や、判決文を偽造することだけは、やめてほしい。私澤山保太郎を貶め害を加えるのはいくらでも構わないが、しかし、それは、国民を愚弄し、己の新聞の品性を汚すものである。

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2016年1月24日 (日)

ウソが功を奏した

News & Letters/457

東洋町1000万円違法貸付事件について最高裁の歴史的な誤判の内容はインターネットで次の文字を打ち込めば出てきます。
「平成28年1月22日最高裁判決」です。

この裁判は、1審高知地裁で原告住民側が敗訴、2審高松高裁で勝訴、3審最高裁で破棄差し戻しとなったものです。
1審高知地裁では、違法性の疑いがあるが、松延宏幸町長にその認識がなかった、すなわちわからなかったから宥免するという内容だった。

2審高松高裁は、貸付規則を公布しなかったからこれを無効とし、平成23年11月3日の理事会に特別利害関係者2人が参加して貸付金の決議をしたからこれも無効ということで松延宏幸の敗訴とした。

3審最高裁では、松延宏幸側は、ただ、理事会の有効性だけを訴えた。従ってほかの違法事由については認めたことになる。

その内容は8人の理事名簿を挙げて、そのうち、2人が貸付金の当事者と息子であるので除外し、残る6人のうち4人が出席して議決しているので過半数を充たしこの理事会は有効に成立し、貸付契約に基づいて手続きがなされたから違法ではない、と主張した。
会社法や水産業協同組合法では、特別利害関係役員が取締役や理事会に出て議決に加わることが禁止されている。

しかし、最高裁判例などでは、特別利害関係者が議決に参加しても、その参加した役員を差し引いて残った理事が多数であれば、その理事会の議決は無効ではないという。
このとき、松延宏幸側が最高裁に出した8人の(虚偽の)理事の名簿は、
①SK②SI③IK④MT、⑤MY、⑥MT、⑦MaY⑧SYこの8人である。
このうち出席者したというのは①②③④⑤⑥の6人であり、
このうち⑤と⑥は特別利害関係者だから除外する。6人の理事で残りの
①②③④の四人で過半数を充たしそれで議決した、と主張したのであった。
しかし、まず第一にこの理事会の名簿は、嘘であり、何の証拠もない、ということだ。
この貸付事件当時の正規の理事は平成21年5月の組合定期総会で選出された者で3年間任期があった。

その総会議事録は組合にあり、その写しは県庁や町役場にも提出されている。
その総会議事録に選出されたと記録されている正規の理事は
 ①SK、②SI、③ IK、④MT、⑤MY、⑥SJ⑦SH、⑧MH
である。⑥,⑦、⑧の理事は、その後辞任したいという届が口頭でなされていたが、その後任については選出されていないから、法令や定款の定めでその3人の理事も引き続き任務を遂行する責任があった。

この正規の8人で計算すると、町側がいう理事会出席者は(⑥,⑦,⑧には案内状も出していないから欠席である)、
①②③④⑤ であるが、そのうち、④と⑤は特別利害関係者であるから除外されねばならない。
④は本件借主のMTの実弟であり、⑤はその息子である。したがって、議決権のある出席理事は①②③の3人だけであり、これでは特別利害関係者2人を除く残る6人の理事の過半数にはならない。だから理事会は成立していないのである。

しかし、実際にはこの町側が出した理事名で理事会が開かれたという証拠は何もない。ただ開いたという一片の紙切れが作成されただけで、理事会が開催された場合必ず取られる録音テープも存在しないという。

この裁判で最大の問題は、1審2審3審を通じて一度も誰が正規の理事なのかの事実確定が行なわれていない点だ。
理事会が有効かどうかを争っているのに、正規の理事が誰であるかという事実を認定せず、まるで空中戦をやっているのである。漁協の総会で選出された理事が正規のものであり、それ以外は偽物なのである。
松延宏幸側が出した理事名は、野根の漁師であればだれでも嘘だとわかるものであり、松延宏幸自身も嘘だとわかったうえで提出したと考えられる。松延宏幸が出した理事8人のうち5人までもが借主松吉保の親族なのである。

いくら田舎の小さい漁協といえども一親族で過半数を超える理事を選出することはありえないのである。
今回は、嘘の名簿を出した町側がそれで功を奏したといって喜んでいるかもしれないが、何も知らない裁判官はともかく恥を知るべきではないか。差し戻し審の高松でこの嘘が全面的に暴露される。

最高裁の判決内容が下級審を拘束するといっても、最高裁自身が事実の認定をしていない以上、拘束するものは何もない。

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