警察・司法のあり方

2017年6月15日 (木)

共謀罪

News & Letters/572


共謀罪の成立によって、戦前型の日本社会、現在の中国や北朝鮮のような社会が到来する、ということだ。

計画や準備の段階で逮捕され処罰される。裁判所が権力の擁壁になっている現代、「計画」、「準備」はどのようにでもでっち上げができる。テロを防止するためだというが、日本人民には、政府に抗議したり反対運動を合法的に遂行することが困難になる。従って人民は、逆にテロや武装闘争をしなければ政治活動ができなくなる。今回の共謀罪法案の可決は→テロ・武装闘争への決定的な後押しとなるだろう。

天皇制の新たな整備(退位法案)によって日本プロレタリアートの階級意識の形成に大きな障害が設けられたが、共謀罪の成立は、その効果を大きく減殺するだろう。

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2016年7月29日 (金)

警察手眼

News & Letters/508

差別虐殺の容疑者の名前が植松という。
植松という姓は全国各地にある。
私の知っている植松は室戸市佐喜浜町の旧家である。
明治初年、日本の近代警察の骨格を形成する上で重要な役割を果たしたという人が
この植松家からでた。さとこさんという高齢の女性が古い家を守っていて、私が行けば常に歓待してくれる。

その人の名前は植松直久といい、明治15年9月21日に37歳で没した。墓は近くの墓地にある。
その人の編著作の書が『警察手眼』だ。
この書は明治以降今日でも警察とは何か官人とは何か、肝に銘ずべき格言が詰まっている。
今回の相模原の前代未聞の差別襲撃事件に対する警察の対応ついて疑問があり、この書を開いてみた。

次のように書いてあった。

「警察要旨」

「行政警察は予防をもって本質とす。すなわち人民をして過ちなからしめ、罪に陥らざらしめ、損害を受けざらしめ、もって
公同の福利を増益するを要するになり。」

「探索心得」

「声なきに聞き形なきに見るが如き無声無形の際に感覚せざるを得ざるなり。」
「怪しきことは多く実なきものなり。決して心を動かすべからず、しかれども一度耳に入るものは未だその実を得ざるといえども又怠らざるは警察の要務なり。」

相模原では、容疑者は襲撃計画まで作っていて、その対象に今回の施設の名前を挙げていた、という。

それでも警察はほとんど何もしなかった。職務怠慢というような言葉で片づけることはできない。

その根因は、どこにあるか。驕慢な権力意識だとおもう。
事件があってもできたら動かずにことが収まるほうが良い。東洋町の海の駅の放火事件のようにもみ消す。
権力を自分らが持っていてこれが最大の利権だ。人民のために動かすのは最小限度でよい。
政権に関係する政治家の犯罪事件には介入しない。甘利らは守られ、福島原発の犯人らは放免された。

権力を握りその上に安座する。それが現代の警察・検察の姿だ。そういう意識だから、襲撃予告が宣言された

施設を防護する処置をとらないのは当然なのだ。実際に19人もの人間が殺されてびっくりしたようにふるまっている。

『警察手眼』に聞いてみよう。
「官員は元来公衆の膏血(こうけつ)をもって買われたる物品のごとし。故にその価に適当する効用をなさずんばあるべからず。もしこの効用なき者はその買主なる公衆に疎まれ又その物品中にもあやしまるる無論なり」
「それ官員は公衆の膏血をもって買われたる物品なれば、その価だけの効用なくんば人民に疾悪を受くるは言をまたざるべし。」

植松直久は、フランス流の人民を守る警察を日本に建設しようとした。
その思想の根幹には、警察や政府官員は人民によって買われた物品だという位置づけがあった。

人民主権の筋が通った警察を作ろうとしていたのである。いわく「警察官は人民の為には保傅(ほふ)の役なり」

室戸市佐喜浜の植松家は90才を超すおばあさんが元気でひっそりと守っている。おばあさんは正義感がきわめて強い

方で植松直久さんを大変大事にしている。近代日本警察を研究する学者がこれまでたくさんこの家を訪問してきたという。

またこの植松家から自由民権の有名な県会議員も出ている。
この『警察手眼』の本は、植松家にまだ幾冊かあり、分けてもらえるのではないかと思う。
この史跡を訪問したい方は私が案内します。素晴らしい史跡だが国も県も市もそのような指定はない。

100年を越えるこの古い家は地震が来れば倒壊するかもしれない。

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2016年5月29日 (日)

安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合への措置請求

News & Letters/491

        措置請求書

安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合殿
                       平成28年5月27日
                       澤山保太郎
                       田原茂良
                       楠瀬立子

丸山長寿園無償譲渡の違法・無効判決について

          記

1、平成28年5月17日、高知地方裁判所民事部は、平成26年4月1日に民間団体むろと会に貴組合(当時組合長小松幹侍室戸市長)に所属していた丸山長寿園の無償譲渡の行為について地方自治法第238条の4第1項の規定に違反し、この無償譲渡を無効であると断罪した。

そして、その無法行為の原因として、当時の組合長小松幹侍の「尽くすべき注意義務を怠り、過失」によるものであると断定した。判決では、行政処分性はないとして取り消し請求の訴えを否定し、賠償責任も否認したが、貴組合がした無償譲渡の行為については明確に違法・無効であることを言明し、さらにその「無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない」と断定された。

行政側に傾く住民訴訟では極めて異例な判断である。たとえこの訴訟が上級審にかかって、賠償責任などが争われるとしてもこの違法・無効の判断がゆるぐことはありえない。
2、したがって、私たち原告は、この判決の趣旨に基づいて貴団体が、組合を構成する芸西村から東洋町に至る全市町村民に謝罪をしたうえ、以下の措置を取ることを要求する。

①むろと会から丸山長寿園の経営を取り戻すこと、
②平成26年4月1日以降の経営上の利益を全額回収すること、
③また、むろと会役員などに支払った報酬などは不当であり、全額回収すべきこと

 その他丸山長寿園が貴組合に所属するものとしての必要な措置を直ちに講ずることを求めるものである。

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2016年5月21日 (土)

続 丸山長寿園判決

News & Letters/489

       厳しい断罪

5月17日の公立の特養老人ホーム丸山長寿園の民間譲渡について、高知地方裁判所の判決文は、いわば、事実の認定は違法行為であるが、どうしても行政側を負けさせるわけにはいかないのでこんな判決文になってしまった、控訴審で何とかしてくれ、という依頼状のようなものである。

以下の判決文を見てください。その違法性判断はこれまで私が経験した無数の住民訴訟の中で首長に対して最高度に厳しい内容である。

判決文20頁

「被告組合の組合長である小松が、平成25年12月25日、むろと会との間で、本件契約を締結し、それに基づき平成26年4月1日にむろと会に対して本件施設の建物等を譲渡したことは、上記3で説示したとおり、違法な財務会計行為であるところ、前記認定事実によれば、小松は、その前提となる事実、すなわち、本件契約当時、本件施設の建物等は未だ被告組合が運営する特別養護老人ホームの用に供されていたとの事実を認識していたものと認められる。

そうである以上、小松は、本件契約が地方自治法238条の4第1項に違反する違法なものであると認識すべきであり、平成25年12月25日の時点においては、本件契約を締結すべきではなかったといえる。それにもかかわらず、小松は、被告組合の組合長として尽くすべき注意義務を怠り、過失により、本件契約を締結し、平成26年4月1日、本件施設の建物等をむろと会に譲渡したものと認められる。」

尽くすべき注意義務を怠り、過失により・・・・という。通常は、裁判所が違反行為があったと認めても、その違反については知らなかったとか、認識できなかったから、責任は宥免するという事にしてきた。

しかし、この判決文は、小松幹侍は違法性を認識することができた、と追及し、その責務の懈怠をも指摘したのである。
裁判所は行政責任を宥免する口実を自ら絶ったのである。
東京都知事は別格としても、最近これだけの断罪を受けた首長はめったにいないだろう。
無償譲渡した施設の価値は数億円にのぼるものであり、譲渡先の団体の長は、小松幹侍室戸市長の係累である。

これだけの判決を受けた場合、行政マン失格であり、通常なら、辞職しなければなるまい。
また、これだけの断罪であれば、裁判所は、何らかの償いを違反者に求めるのが道理であろう。

それができないんや、という悲鳴が聞こえる。

私は、日本社会の低迷、特に地方の衰微の大きな理由は、市町村首長が利権行政に流れ、真剣に地域の活性化、そのための行財政改革にいそしむという姿勢が欠如しているからであると考える。そのような堕落した行政を野放しにするような裁判は地方の衰滅を一層促進し、同時に司法の墜落をもたらすものである、と考える。
三権分立というが、分立はいいとしても、法の支配の立憲主義の建前から、司法は他の二権よりも上位に立たねばならないと考える。

日本の現状では、司法は最下位に置かれ、裁判官自身が議会や行政におもね、自ら卑屈になっているように見える。
その典型的な一例が本件判決であろう。これも控訴せざるを得ない。

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2016年5月16日 (月)

野根漁協1000万円不正融資結審

News & Letters/486

野根漁協への松延宏幸東洋町長による不正融資事件の(高松高裁)はたった一度で結審となって、判決は7月15日ということになった。
虚偽の理事名簿が功を奏して最高裁で差戻しを勝ち取った東洋町。
一度は松延宏幸に1000万円の支払いを命じた高裁がどのような判決をするのか興味深い。
あくまでも行政に勝たせるために尽力するのか。それにしても虚偽の理事をでっちあげるなど数々の違法行為をしてきた行政をかばいきれるのか。原発裁判など、行政の悪をかばい立てることを仕事にする日本の司法、「法服の王国」の闇はいよいよ深い。この闇がいつ晴れるのか。

平成28年(行コ)第8号 損害賠償請求控訴事件
控訴人 澤山保太郎
被控訴人 東洋町長松延宏幸
        控訴人準備書面(4)
                  平成28年4月18日
高松高等裁判所 殿
                  控訴人 澤山保太郎

控訴人は以下の通り、被控訴人準備書面(1)について陳述する。
被控訴人準備書面(1)について

一、本件理事会の理事名簿を実証するもの

被控訴人は、控訴人が提出した甲第37号証の2(野根総会議事録)、及び甲第39号証(県庁への業務報告書)について、
「いずれも本件で問題となっている平成23年11月3日の本件理事会当時の理事を直接証明するものではない。」
と主張する。
しかし、平成23年11月3日当時の本件理事会の理事について、野根漁協の組合員総会で選任した事実を直接証明するのは上掲の甲第37号証の2、及び甲第39号証である。野根漁協定款では理事の選任の方法は2種定められている。すなわち、

①一つは、正規に選挙管理委員を任命し、立候補者を募り組合員の投票によって選出する。
②今一つは、漁協の総会で選出する方法である。
③の総会の場合はもちろん臨時総会と言うこともあり得る。

いずれにしても役員の任期は3年間であり、その選出は、組合員の総意によって決定される。野根漁協では②の組合員総会方式が3年ごとに取られてきた、という。
本件当時の理事の選出行為は平成21年の上掲「平成21年度野根漁協総会議事録」やそれを反映した「平成21年度業務報告書」の示すとおりであり、それ以外には存在しない。総会議事録が第1の証拠であり、監督官庁である県庁への業務報告書はそれを反映したものにすぎない。

通常は、平成21年度に選出行為があれば、平成22年度、平成23年度には選出行為は存在しない。平成23年度もこの理事の任期が続行中であり、これら理事の選出の事実について、別箇の証拠があるわけではない。
被控訴人は、最高裁へ提出した上告受理申立書に掲示した理事が正規に選出されたものであるという事を立証する義務がある。それを実証する野根漁協の総会なりの議事録があるのか、被控訴人の主張は漁協の業務の実態についての無知から発したものである。

二、甲第21号証別紙1「動議1」の理事名について

被控訴人は上掲甲第37号証の2、甲第39号証の理事が甲第21号証の別紙1の「動議1」と相違している、と主張している。
これは、確かに差戻し前の高松高裁の判決文で指摘されていた。
高松高裁の指摘は、控訴人が書証(甲第33号証)として提出していた役員名簿(甲第37号証の2、甲第39号証と同じもの)について、甲第21号証別紙の名簿と相違していて真偽の判定がつかないと判示していた。高松高裁は、甲第21号証別紙「動議1」の名簿を調査特別委員会の主張(あるいは控訴人の主張)であると誤認したものと考えられる。
甲第21号証は、「特別調査委員会中間調査結果報告書」というタイトルがつけられている。それは、

①「東洋町漁業災害対策資金借入についての中間調査報告書」(平成24年9月10日付)
②「特別監査報告書」(平成24年8月8日付) 別紙5
③「東洋町漁業災害対策貸付金借入についての中間調査報告」

(平成23年9月10日付) 別紙7

の三つの文書が主内容で、後は特別調査委員会が集めた資料であって、これら添付資料については、特別調査委員会の主張するところのものではない。
 上の①の中間調査報告書によると、この「動議1」は、平成23年11月9日に開かれた野根漁協臨時総会で、ある組合員から提出されたもので総会では取り上げられなかったものであって、調査特別委員会の資料として綴じられていたものである。
 調査特別委員会も、当時の野根漁協の執行部もこの「動議1」についてこれを認めたわけではないし、「動議1」が議決されたということでもない。あくまで組合員から出た一つの問題提起の資料にすぎない。

当時野根漁協は「組合長」(桜井菊蔵)らが勝手に本件借入を行う上でにわかに理事に任命するなど理事について無茶苦茶なことをしていた。
しかし、①の中間調査報告書では、特別調査委員会は、役員は正組合員が総会においてこれを選挙するという定款のとおりであり、理事会のみで承認された理事は認めない、という立場を明確にしている。また上の③の文書でも、特別調査委員会は本件確約書についても「総会において承認されていない理事がおり、署名・押印されている。」と指摘するとおりであって、当時の正規の理事が平成21年度の総会で選出されたものだという認識のもとに判断していることは明らかである。

三、にわか「理事」松田安信、松吉裕也について

 確かに被控訴人準備書面がいうように甲第41号証の1、同号証2と甲第21号証の二人の署名した「確認書」の内容とは矛盾する。だから、控訴人は正規の理事でもない者が署名押印したものであるのでその「確認書」は無効だと主張しているのである。
松吉裕也君は、当時も今も、若い漁協の事務員である。事務員は職務専念義務があり、職務外に漁業を営むことは不可能であり組合員にはなれないから、通常、漁協の役員や理事にはなれない。

また、野根漁協では理事(雇用主)と被雇用者(事務員)との兼任は認めないことになっているという。この事実については、県下の漁協関係者はみんな知っていて、被控訴人も知る立場にある。被控訴人は、町役場でも首長や幹部職員の場合、職員組合から脱退するという慣行はよく知っているはずである。松吉裕也君が漁協の事務員として働いていることは、役場幹部や水産関係職員もよく知っていることがらである。「確認書」は、本来理事になれない者に理事だとして署名押印させたと考えられる。

また、松田安信は現在高知県警に収監中であるが、日ごろから理事に選出されるような素行の持ち主ではないことは被控訴人が知悉している。その素行についてはここではプライバシイに係ることだからつまびらかにはしない。

この二人が、仮に理事として署名押印をしたという文書を見たとき、まさにそのとき、野根漁協の理事たちの選出の経緯について被控訴人がただすべき契機となったはずのものである。すなわち、通常の場合、この二人が漁協理事に名を連ねた文書が上がったら、その文書を疑う必要がある、というものであろう。

四、特別利害関係人松吉孝雄について

 被控訴人は、野根漁協の理事で本件11月3日の理事会に出席したという松吉孝雄について「松吉孝雄が松吉保の弟かは知らないが、・・・弟といっても、本件貸付によって直接に利益をうける者ではないから、・・・・・特別な利害関係があるとは言えない。」という。
松吉孝雄が本件貸付金の実際の借り手である松吉保の実弟であることは戸籍謄本のとおりである。理事や取締役の2親等の者が特別利害関係人であることは会社法上の常識であり、内閣府令(「企業内容等の開示に関する内閣府令」)第1条31号にも明記されている。
松吉孝雄も同じ漁協に属し、別の小敷網漁を営んでいて、松吉保と互いに助け合って生活をしてきたことはいうまでもない。最高裁は、松吉孝雄が保と特別利害関係人であることを知らなかったといえるが、人口希少の町役場で数十年事務を執ってきた被控訴人がこれを知らなかったとは言えない。8人の理事のうち、特別利害関係人2人の理事(松吉保彦、松吉孝雄)を控除すれば6人が議決権者であり、そのうち3人(桜井菊蔵、井崎勝行、桜井勇)しか出席していないという事になるから、本件理事会は不成立である。

五、組合長桜井菊蔵について

1、平成23年11月3日の本件理事会は、組合長桜井菊蔵によって招集され、桜井菊蔵が議長となって開催したことになっている。しかし、この桜井菊蔵組合長という事実については疑義があり、その組合長就任は以下のとおり無効であると考える。
前組合長桜井淳一が平成23年10月4日に組合長の辞表を提出したのは事実である。
(甲第42号証)
そこで誰が招集したかわからないが、翌10月5日、野根漁協理事会が開かれたことになっている。この理事会議事録(甲第43号証)によると、出席した理事は全部で5人でその名前は、井崎勝行、桜井菊蔵、桜井勇、松吉孝雄、松吉保であるという。

しかし、下線のある松吉保は正規の総会で選出された理事ではないからそれを控除すると4人の理事で開いたという事になる。当時の野根漁協の理事定数は8人である。
8人のうち4人の出席では過半数に足らない。野根漁協定款第49条の3では、議決権を行使できる理事のうち過半数の出席がなければ理事会は開催されたことにはならない。
第1号議案は、桜井淳一組合長の辞任届の承認案(解任案ではない)だから、別段、控除すべき特別利害関係役員は誰もいない。

第2号議案も、新代表理事(組合長)選任議案だから、控除すべき特別利害関係人は誰もいない。野根漁協の当時の理事は8人であるから5人以上が出席しなければ理事会は開催され得ない。したがって、平成23年10月5日の桜井淳一組合長辞任承認、新組合長桜井菊蔵選任の理事会は成立していない。
桜井淳一組合長の組合長職辞任は承認されず、また、桜井菊蔵新組合長の選任もされていなかった。にもかかわらず、桜井菊蔵らは被控訴人らと共謀して強引に組合長の変更の登記をし、本件貸付金の借入の申請、実際の借入を実行した。当然法務局への登記も虚偽であって無効なものである。

2、野根漁協の定款第47条では、理事会は組合長が招集することになっている。
 しかし、辞任を表明していた桜井淳一組合長は自らの辞任と後任の選任について理事会を招集したことはないし、連絡もなかったからそれに出席もしていないという。
 したがって、平成23年10月5日の新組合長選任の理事会は組合長が全く関与せず、仮に定足数に足りて開かれたとしても無効である。
3、したがって、 桜井菊蔵 新「組合長」が招集した11月3日の本件理事会は招集権限のない者(にせの組合長)が招集した理事会であって無効である。
 そして、桜井菊蔵 新「組合長」の名前で出した甲第5号証など本件借入申請書関係書類もすべて無効である。したがって本件借入(貸付)行為そのものが無効なものであった。
     

平成28年(行コ)第8号 損害賠償請求控訴事件
控訴人 澤山保太郎
被控訴人 東洋町長松延宏幸

控訴人証拠説明書
           平成28年4月18日
高松高等裁判所 殿
                   控訴人 澤山保太郎

一、甲第42号証(写し)
 1、標記:野根漁協協同組合御中
 2:作成期日:平成23年10月4日
 3、作成者:桜井淳一
 4、立証の趣旨:

     長年組合長を務めていた桜井淳一は、本件貸付金に反対したため
     松吉保一族やそれと結びついた桜井菊蔵、井崎勝行らから非難され、
     組合長辞任を迫られて、辞任を表明した。但し理事職は辞任していない。

二、甲第43号証 (写し)
 1、標記: 理事会議事録
 2、作成期日:平成23年10月5日
 3、作成者: 野根漁協
 4、立証の趣旨:

この書証は、最近野根漁協から控訴人に提供されたものである。
本件当時平成23年10月5日に野根漁協が法務局に新しい理事長を登記する際に法務局に提出し、「原本還付」されたものである。
 本件貸付金事件の漁協側主要人物桜井菊蔵らが、野根漁協理事会を開いて桜井淳一組合長の辞任承認、新組合長桜井菊蔵選任の決議をしたという。しかし、8人の正規の理事のうち4人しか出席していないので成立したことにはならない。
 したがって、桜井菊蔵組合長名で申請した本件借入金は無効である。

三、甲第44号証 (写し)
 1、標題:借用書
 2、作成期日:平成23年11月22日
 3、作成者:松吉保彦
 4、立証の趣旨

 本件貸付金が、被災漁家である松吉保小敷にわたらず、別人に渡されていた事実を証するもの。

平成28年(行コ)第8号 損害賠償請求控訴事件
控訴人 澤山保太郎
被控訴人 東洋町長松延宏幸
控訴人準備書面(5)
                   平成28年4月19日
高松高等裁判所 殿
                    控訴人 澤山保太郎

控訴人は以下の通り、被控訴人準備書面(2)について陳述する。
被控訴人準備書面(2)について

一、被控訴人は、
「1、理事会の決議に瑕疵がないことは、従前の主張のとおりである」
という。

1、「従前の主張」すなわち、被控訴人準備書面(1)で本件理事会についての主張は
 (1)控訴人が提出した書証甲第37号証の2、甲第39号証の議事録や、業務報告書は平成21年度のもので平成23年度の本件理事会の構成理事の事実を直接証明するものではない。
 (2)また、これら書証は、甲第21号証別紙1の「動議1」の理事名とも一致しない。
 (3)甲41号証の1、及び2の松田安信及び松吉裕也の書面はいずれも甲第21号証の別紙の「確約書」の内容と矛盾する。
 (4)故に、(1)、(2)、(3)の事実は「最高裁判決が前提とした事実関係、すなわち、理事8名のうち6名が出席した理事会において、全会一致で、東洋町に対して本申請をする・・・・という事実認定を左右するものではない。」
 というものであった。
 (1)(2)(3)については控訴人準備書面(4)で説明し反論した通りであり、たわいもないものである。
 (4)については、すでに控訴人準備書面(1)及び(2)で詳しく反論してある。

2、なお、「最高裁判決が前提とした事実関係」というが、最高裁は何も本件に係る事実、野根漁協の真実の理事名簿について具体的に調査したり審理をしたわけではない。
最高裁は被控訴人が掲げた虚偽の理事名簿を鵜呑みにしそれを前提にして昭和54年の最高裁判例の論理を機械的に適用したにすぎない。今問題になっているのはその「最高裁判決が前提とした事実関係」=被控訴人の出した上告受理申立て理由書の理事名簿が真実かどうかなのである。

 それが、真実であるというのであれば、被控訴人は証拠を挙げて実証する必要がある。
その証明ができるのかできないのか、それさえ答えればいいのであって、他の些末なことを言い並べる必要はない。
 準備書面(1)(2)のどこを見ても被控訴人はそれを実証しようとしていないし、することができていない。
 控訴人は、甲第33号証の正規の理事名簿を立証した。最高裁のいう昭和54年の特別利害関係人に関する会社法上の事件の判例の適用は、あくまでも正式の理事に適用されるべきなのであって、虚偽の理事名簿に適用されてはならないのである。

3、なお、特別利害関係人のことでいうなら、本件理事会に出席したと称する理事は全員、本件借入について債務保証となる「確約書」(甲第10号、甲第21号証の別紙4)に署名押印していることは紛れもない事実である。
これは、本件貸付規則第5条の(3)にその義務が規定されていたからである。
この債務保証は、町に対して、組合(又は転貸相手の松吉保小敷)のためにするものであって、野根漁協全理事は組合又は松吉保との関係では特別利害関係人ということに予定され、実際そうなった。全員が松吉保との間で特別利害関係人であるとすると、平成23年11月3日の本件理事会の出席者は全員議決権がないということになる。無論利益相反の事実についての報告・承認もされていない。この点でも、本件理事会は成立していないと言える。

二、被控訴人は、
「2 野根漁協が、本件貸付に係る金員を原資として、松吉保彦に1000万円を融資していることは、本件貸付後の野根漁協と組合員との関係であって、本件貸付自体の効力に影響を及ぼさない。」という。
1、この記述は、控訴人が転貸し相手が相違している、松吉保が高齢で返済能力がないので又貸しのさらに又貸しをやっていると指摘していることについて、弁解しているつもりであろう。

しかし、本件貸付金は、最高裁判決も指摘しているように、野根漁協の借入申請書の添付資料として特定漁家、松吉保小敷の名が挙がり、その実績や被害状況が記載されていて転貸先が決められていた。松吉保彦は松吉保の息子であるが、当時別の企業体(東洋大敷)の漁労長であって、松吉保小敷には全く従事していないし、所帯も別個であった。
また、この被控訴人の主張は、転貸先が誰であろうと、被控訴人には関係がない、と言いたいのであろう。しかし、本件貸付規則第12条で町長は、「融資を受けた組合及び借入漁業者に対し、関係帳簿書類その他の必要な物件を検査し、または必要な報告を求めることができる。」とし、また、同規則第10条では、町長は「資金の貸し付けを受けた組合及び当該組合から転貸を受けた漁業者が、次の各号のいずれかに該当すると認めた場合は、組合に対して融資金額の一部又は全部について返済を求めることができる。」として、貸付金の目的外使用などを挙げて、転貸先の漁家にまで規制する趣旨を規定している。漁協に貸したから、あとは好きなようにせよという制度ではないのである。

いずれにしても本件貸付金が、被災漁家のうち定められた松吉保小敷に貸し付けられず、被災とは何の関係もない別名義の者に貸し付けられている事実は否定することはできない。したがって本件貸付金が誰の手に渡ったのか不明であり、誰から返済されるのかも不明であって、これによって本件貸付事業がまったく無法なものであったことは明らかであろう。

三、被控訴人は、

「3 野根漁協は、総会において、災害対策資金を借り入れる旨の定款変更をすることを決議・・・」 という。

1、控訴人がこの定款変更の総会の決議について再三反論したのであるが、被控訴人はその反論について何にも主張がなく、ただ決議した、決議した、を繰り返すのみである。
 控訴人はすでに何度もこの野根漁協平成23年11月9日の臨時総会では、本件貸付金にかかる定款変更は有効に決議されていない、と主張してきた。

2、その証拠は乙第1号証の臨時総会議事録そのものである。この議事録には1号議案として「定款一部変更承認のこと」と記載されているが、定款の何条を、どのように変更するか、記載したものがなく、何のことだかわからない。貸付とか借入れとかの言葉もなく、1000万円とかいう金額も何も見えない。ちんぷんかんぷんの禅問答である。
 これが議事録であるとは想像できるとしても、何か特定条項の定款変更の総会議事録だと判断できる人はどこにもいないであろう。この議事録で具体的に定款変更を伺わせる何かをつかめる人は誰もいないだろうか。定款変更の白紙委任でも取ったということであろうか。そんな決議は無効である。

2、甲第21号証で控訴人準備書面(4)で掲示した①の「東洋町漁業災害対策資金借入についての中間調査報告書」でも11月9日の臨時総会で本件貸付金にかかる定款変更がなされた趣旨の記載はなく、むしろ翌年第2回目の臨時総会で本件貸付金について初めて説明があったという報告がなされている。すなわち「第1号議案の際に東洋町漁業災害対策資金借入れのことに関して初めて当組合員である漁師に発表したのである。」と記載されているとおりである。(事件翌年のこの第2回目の臨時総会は1000万円借入れについて紛糾し「流会」になって終わっている。)

この中間調査報告書には11月9日の臨時総会では、組合員から役員の状況について「動議」が出されたが、そのことについては議事録に記載されていないという指摘もなされている。被控訴人は、この11月9日の臨時総会で、どのような定款の変更がなされたのか、定款第何条を変えて、または新たにつけ加えて、かくかく、しかじかの定款に変更したということを想像でもいいから提起するべきではないか。
また、被控訴人は、「この総会決議は、本件貸付申請の翌日にされたものであり、借入金の最高限度額を1000万円と定めたものと同視し得る。」という。
 貸付申請の翌日に開かれたということだけで、何の定款変更か記載のない議事録の内容が特定できるであろうか。組合員は、何も説明を受けていないのである。

 まして、仮に貸付事業についての定款変更だとしても、それがただちに「借入金の最高限度額1000万円」の決議と同視できるということになるのか、
 貸付と借入れとはまったく違う概念であり、経理上も別扱いである。法廷では普通の人間の論理でものを言うべきではないだろうか。

また、被控訴人は、
「本件貸付後に、知事が定款変更を許可している。そのため、定款に関することで、本件貸付が無効になることはない。」という。
定款変更についての知事の許可前に、本件貸付事業は実行されたことは代1審判決でも認定された。定款変更の許認可は事後追認が許される事案ではない。無許可の期間に実行した行為は無効である。無免許運転者が乗車後に免許を取得したからといって無免許運転の事実と犯罪が帳消しになるわけではない。

被控訴人は県の認可と実行行為が前後していることについて、一言の弁解もせず、それどころか事後に許可をしているから有効だ、と平然と述べている。
裁判所は無効なものは無効という判断をすればよく、これだけの重畳せる無法行為をかばう必要はない。

四、またさらに、被控訴人は、

「最高裁判決の認定のとおり、本件規則が効力を生じていないものであっても本件規則に基づく貸付と同様の目的を有する貸付をするに当たり、漁業協同組合の理事会の議決を要するものとすることは合理的なものである・・・・」という。
 確かに今回の最高裁判決には、これと同様な文言があった。しかし、最高裁は、①本件規則そのものが有効なものか、②また、本件貸付が本件規則と同様の目的で実行されたかどうか、③漁協組合の理事会が成立していたのかどうか、④漁協組合の理事会の議決だけで本件借入れが可能とされるのかどうか、⑤まして、本件規則が効力が生じているかどうか、効力がない場合でも本件貸付が有効といえるかどうか等々については最高裁として何も調査していないし、審理して、事実認定をしたわけでもない。

 「本件規則が効力を生じていないものであっても・・・」というぶっきらぼうな最高裁の判決文の意図が奈辺にあったかわからないが、それはあくまでも他の手続きなどが適法であればという前提であって、ほかに問題がなく、こと理事会については昭和54年の判例で適法だという判断を強調するのあまり出た言辞であろう。

 本件規則が無効であれば、それに基づく、あるいはそれと同趣旨で実行された本件貸付の有効性も問われることはいうを俟たない。事実について何の審理、何の論証もないことについて最高裁判決の一字一句を承詔必謹式にありがたく受け奉る必要はない。
 転貸しなど本件規則の違法性、本件規則の趣旨や各条項の規定に外れた行為の数々、そもそも本件規則を一般に交付しなかったなど本件規則にかかる重大な瑕疵の事実についてはすでに控訴人準備書面(2)で弾劾してある。それらにあげられた違法行為の数々は、被控訴人の裁量権を逸脱するものでないというのであれば、一つ一つ反論をすべきである。うそを並べて理事会の成立さえ認められれば、後はすべての問題がクリアされ本件貸付が「合理的」になるというのである。

 しかし、理事会の成立問題は重要ではあるが、本件に関係する手続き上の重大瑕疵のひとつに過ぎない。
 被控訴人は、本件理事会について虚偽の理事名簿をでっち上げ最高裁の裁判官をだまし差し戻し審を勝ち取った。しかし、その最高裁判決の前提である理事名簿の事実が真実であるとの立証はできないでいる。
その他の本件支出負担行為にかかる違法行為についてもまったく何の弁解もしていない。
 被控訴人の準備書面(2)のように立証もせずにただ断定口調で主張を繰り返すのでは、どだい、裁判にならない。

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2016年1月25日 (月)

高知新聞の悪乗り

News & Letters/458

嘘の理事会名簿で出席者が多数であったから理事会は成立していた、などということが通用するなら、如何なる取締役会でも、どこの理事会でも嘘の名簿を裁判所に提出し、無効だ、有効だというでたらめが横行するであろう。

裁判所の役割は、その名簿が事実かどうか、証拠が確かかどうか確認したうえで判断することだ。

今回の事件では第1,2,3審ともその事実の確認、確定を行わず、数の計算だけで判断をしているのである。

このようなバカげた裁判を日本の裁判が今もやっていることに驚かざるを得ない。
ところで、昨年元の高松高裁が本件東洋町長の1000万円融資事件を違法だとしたのは、大筋2つの理由であった。

①ひとつは貸付規則を町民に公布しなかったことで、この貸付規則を無効と判断したこと。

②もう一つが、貸付相手側の漁協理事会の借り受け真正の議決が、特別利害関係者が参加していたので無効だと判断したことである。これについて松延宏幸町長側は、貸付規則の無効については争わず、ただ、理事会の成立の可否についてのみ最高裁に上告したのであった。

そして、最高裁の判断は、①についての高裁の判断は認め、すなわち貸付規則の無効についてはその通りだとし②の理事会成立については以前の最高裁判例があるので高松高裁の判断は誤りだと判断したのである。

その最高裁判決はインターネットで「平成28年1月22日最高裁判決」と打ち込めば誰でも見ることができる。

ところが、最高裁判決の翌日平成28年1月23日(土曜日)の高知新聞朝刊では、②の貸付規則についても、最高裁は「合理的だ」と判断したと紹介してある。
すなわち、
「二審が「規則は効力を生じていない」とした点についても「合理的な手続き」だったとし、町長の裁量権逸脱を否定した。」と書いていた。

高知新聞の記者は最高裁の判決を読めないほどのばかではないはずだから、読んだうえでわざと嘘を書いたという事になるであろう。新聞記者又は新聞社が判決文を新たに作ることができるのであろうか。

高知新聞のこの記事を読んだものは、本件東洋町の1000万円貸付事件について最高裁は全面的に違法性はないと判断したと理解するであろう。ある検察官も高知新聞をそのように読んだとして私に質問してきた。

この事件は検察庁に告発中だからである。
松延宏幸町側も、本件貸付規則の違法性、無効性については最高裁では何も争わず、町民に規則を公布しなかった事実については、認めていたのである。およそ、一般に公布しなかった規則が無効であることは近代社会では当たり前のことである。

雲の上の最高裁の裁判官でもそれくらいのことはわかる。今回の高知新聞の最高裁判決の偽造について責任者はどのように釈明するのか、聞きたいものだ。悪意がなければこれだけのことは書けまい。

高知新聞は以前にも東洋町の議員リコール請求に係る事件で地方自治法施行令に記述していない重要な文言をその施行令に書いてあると言って「   」で新聞で紹介した事件があった。

メディアは最低限、法令や、判決文を偽造することだけは、やめてほしい。私澤山保太郎を貶め害を加えるのはいくらでも構わないが、しかし、それは、国民を愚弄し、己の新聞の品性を汚すものである。

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2016年1月24日 (日)

ウソが功を奏した

News & Letters/457

東洋町1000万円違法貸付事件について最高裁の歴史的な誤判の内容はインターネットで次の文字を打ち込めば出てきます。
「平成28年1月22日最高裁判決」です。

この裁判は、1審高知地裁で原告住民側が敗訴、2審高松高裁で勝訴、3審最高裁で破棄差し戻しとなったものです。
1審高知地裁では、違法性の疑いがあるが、松延宏幸町長にその認識がなかった、すなわちわからなかったから宥免するという内容だった。

2審高松高裁は、貸付規則を公布しなかったからこれを無効とし、平成23年11月3日の理事会に特別利害関係者2人が参加して貸付金の決議をしたからこれも無効ということで松延宏幸の敗訴とした。

3審最高裁では、松延宏幸側は、ただ、理事会の有効性だけを訴えた。従ってほかの違法事由については認めたことになる。

その内容は8人の理事名簿を挙げて、そのうち、2人が貸付金の当事者と息子であるので除外し、残る6人のうち4人が出席して議決しているので過半数を充たしこの理事会は有効に成立し、貸付契約に基づいて手続きがなされたから違法ではない、と主張した。
会社法や水産業協同組合法では、特別利害関係役員が取締役や理事会に出て議決に加わることが禁止されている。

しかし、最高裁判例などでは、特別利害関係者が議決に参加しても、その参加した役員を差し引いて残った理事が多数であれば、その理事会の議決は無効ではないという。
このとき、松延宏幸側が最高裁に出した8人の(虚偽の)理事の名簿は、
①SK②SI③IK④MT、⑤MY、⑥MT、⑦MaY⑧SYこの8人である。
このうち出席者したというのは①②③④⑤⑥の6人であり、
このうち⑤と⑥は特別利害関係者だから除外する。6人の理事で残りの
①②③④の四人で過半数を充たしそれで議決した、と主張したのであった。
しかし、まず第一にこの理事会の名簿は、嘘であり、何の証拠もない、ということだ。
この貸付事件当時の正規の理事は平成21年5月の組合定期総会で選出された者で3年間任期があった。

その総会議事録は組合にあり、その写しは県庁や町役場にも提出されている。
その総会議事録に選出されたと記録されている正規の理事は
 ①SK、②SI、③ IK、④MT、⑤MY、⑥SJ⑦SH、⑧MH
である。⑥,⑦、⑧の理事は、その後辞任したいという届が口頭でなされていたが、その後任については選出されていないから、法令や定款の定めでその3人の理事も引き続き任務を遂行する責任があった。

この正規の8人で計算すると、町側がいう理事会出席者は(⑥,⑦,⑧には案内状も出していないから欠席である)、
①②③④⑤ であるが、そのうち、④と⑤は特別利害関係者であるから除外されねばならない。
④は本件借主のMTの実弟であり、⑤はその息子である。したがって、議決権のある出席理事は①②③の3人だけであり、これでは特別利害関係者2人を除く残る6人の理事の過半数にはならない。だから理事会は成立していないのである。

しかし、実際にはこの町側が出した理事名で理事会が開かれたという証拠は何もない。ただ開いたという一片の紙切れが作成されただけで、理事会が開催された場合必ず取られる録音テープも存在しないという。

この裁判で最大の問題は、1審2審3審を通じて一度も誰が正規の理事なのかの事実確定が行なわれていない点だ。
理事会が有効かどうかを争っているのに、正規の理事が誰であるかという事実を認定せず、まるで空中戦をやっているのである。漁協の総会で選出された理事が正規のものであり、それ以外は偽物なのである。
松延宏幸側が出した理事名は、野根の漁師であればだれでも嘘だとわかるものであり、松延宏幸自身も嘘だとわかったうえで提出したと考えられる。松延宏幸が出した理事8人のうち5人までもが借主松吉保の親族なのである。

いくら田舎の小さい漁協といえども一親族で過半数を超える理事を選出することはありえないのである。
今回は、嘘の名簿を出した町側がそれで功を奏したといって喜んでいるかもしれないが、何も知らない裁判官はともかく恥を知るべきではないか。差し戻し審の高松でこの嘘が全面的に暴露される。

最高裁の判決内容が下級審を拘束するといっても、最高裁自身が事実の認定をしていない以上、拘束するものは何もない。

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2016年1月18日 (月)

日本の裁判

News & Letters/455

日本の裁判は、裁判制度があるという程度で、ほとんど死にかけている。
行政訴訟はドイツでは年間50万件であるが、日本ではわずかに2000件。

要するに裁判官が、住民訴訟を徹底的に切り捨てるから、すなわち、法令を捻じ曲げ、首長の裁量権を大幅に認める結果、住民側が敗訴、敗訴、が累々と続く結果、国民は裁判をやってもらちが明かないとあきらめるからである。

原因:

1、裁判官の質が悪い。権力の盾になることで出世が保障されると考えている。2流の行政官僚として国民にはエラそうにし、
 権力には卑屈に生きていくという性質が、裁判所で醸成される。

2、それに加えて、裁判所に対する国の扱いがきわめて悪い。裁判所への予算の配分は、ごくわずかで、最近のご老人方への特別給付金程度が年間の予算である。だから裁判官や書記官の人数が諸外国に比べ極端に少なく、裁判官は土曜日曜 の休日もままならず、毎日宿題を家を持ち帰って夜なべを重ねなければ裁判をこなせないという。

これは日弁連の発表している事実だ。裁判官がいない裁判所の支部が全国で50か所ぐらいあるという事だ。私らの近くの高知地方裁判所安芸支部では、公判の時だけ裁判官が見える。都会では、一人の裁判官が事件を数百件もっているらしい。ノイローゼになるくらいだ。こんな状況では、ろくに当事者の主張は読み取れない。
  行政訴訟、とりわけ、地方自治法に基づく住民訴訟は訴える住民の個人的利益には関係ないから、一番先に軽視される。

3、裁判所での裁判官たちの人格の変質と制度の貧困によって日本の裁判は死んだようになっている。
 原発裁判もその犠牲の最大のものである。判決文の非論理が平然とまかり通る。国民の生命や健康ではなく、権力に奉仕することが大事と考えるさもしい裁判官、恥を恥とは考えない裁判官を育成する現在の日本の裁判所のなかで、それでは国民はいかに生きるべきなのか。人民主権の残された住民訴訟というこの民主主義のかけらも、これら劣等な裁判官によって次から次へ破砕されていくのである。

  回答:

 それは僧侶が、甲斐もないのに、百万辺の念仏を唱えて毎日毎日修行するのと同じように、点滴が巌も穿つかもしれないと思うように、物言わずただ、繰り返し繰り返し、訴訟を続ける以外に道はない。
 それは、ガンジーが言うように、それで世界を変えることはできないかもしれないが、少なくとも汚濁に満ちたこの世界によって自分が変節させられないということは確実であろうからである。

 今日もまた阪神大震災の悲しい1月17日がきて、私の誕生日は激しい冷たい雨が降っている。

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2015年12月 5日 (土)

3度目の最高裁

News & Letters/449

来る平成27年12月11日午後1時半 最高裁第二小法廷
 東洋町長松延宏幸の野根漁協1000万円不正融資事件
 松延宏幸側はあろうことか、虚偽の理事会名簿を最高裁に提出し、それで漁協理事会は
 成立していた、と主張した。やれやれ、最高裁も落ちたもので、事実審理はしないはずなのに
 虚偽の理事会名簿を取り上げて、審理をするという。
これで3度目の最高裁となりました。
最高裁は霞が関にあり、コンクリートの要塞です。
人権や正義を訴える人民の願いをはねつけるためにこのような頑丈な
要塞を作ったのでしょう。権力を守る砦→憲法を守る砦に替えなくてはなりません。
一度目は、大法廷へ。確か平成21年12月18日ごろ→勝利→地方自治法の直接請求で法律が変わった。
二度目は、小法廷へ。これも同じ年 →勝利 →四国銀行が損害賠償
三度目の今度は小法廷へ。→-?私の答弁書はすでに最高裁や松延宏幸側に届いている。

平成27年(行ヒ)第156号
上告受理申立人  東洋町長
上告受理申立て相手方 澤山保太郎
          答 弁 書
平成27年11月22日                     
最高裁判所第二小法廷 殿
                    高知県安芸郡東洋町大字河内1081番地1     
                        相手方(原審控訴人) 澤山保太郎
【一】 はじめに
上告受理申立て理由書で主張された平成23年11月3日の本件野根漁業協同組合(本件組合と呼ぶ)の理事会(これを単に本件理事会と呼ぶ)成立の可否について簡単に本件上告受理申立て(これを単に「本件申立て」という)の相手方として意見を申し述べる。
上告審は憲法、法令、これまでの最高裁判例などに関する事案を審理するのがその目的である。
本件申立ては、特別利害関係人は原則として理事会での議決に加わることはできないが、特別利害関係人が議決に加わった場合でもそれを控除してもなお議決権のある理事多数が出席しておればその理事会は有効に成立するという通説を本件理事会の出席者に照らしてどうかという問題と理解する。
そうすると、本件理事会の8名の理事が誰であったかという事実の認定が前提となる。原審までは本件理事会の構成メンバーについて確定的な判断はなされていなかった。
本件申立て理由書にはこれまで1審2審を通じて主張されてこなかった新しい理事8名が掲示された。(本件申立て理由書3頁目)
申立人は1審2審を通して本件理事会の成否については自ら終始否定的であり、理事会の手続き上の瑕疵は、総会によって治癒されているなどと主張していた。
本件申立てではじめて8名の理事の名前を掲げ、それをもとに親族である特別利害関係人を控除する上記の算術を試みたのである。
本件申立てが受理された以上、それが適法かどうかは別にして、その算術の元になる本件理事会の理事8名が誰であり、親族など特別利害関係人が誰と誰なのか、これらについて最高裁であらためて事実審理に応ぜざるを得ない。

1、申立人の掲げた本件理事会の8名の名簿(本件申立て理由書3頁下段)
は虚偽のものである。
この理事名簿が真実であるとする証拠は何もなく、第1審、2審を通じて申立人は一度もこれを主張していないし、原審判決でも8名の理事について何も確定的に判断されていない。
本件組合の総会で正規に選出された理事の名簿は甲第33号証であり、それ
を担保するのは甲第37号証の2の本件組合の総会議事録である。
 [甲第21号証によると、この甲第33号証の理事のうち本件が起こる直前までに辞任の通告が4名分(桜井菊蔵、桜井春雄、松田博光、桜井淳一各理事)あった。
しかし、後任の理事は正規に選任されていなかった。
したがって辞任したという4人も法令や定款の定めによって理事としての義務と責任があった。当然本件理事会にも招集され出席の義務があったが桜井菊蔵以外は誰も連絡されなかったという。]
2、申立人が本件申立て理由書に掲げた理事名では、8人のうち5人までが本件貸付金の借受け事業所である松吉保小敷組合の親族であり、松吉一家が漁協役員の過半数を占めるという異常な構成となる。すなわち、
松吉保本人、息子松吉保彦、孫松吉裕也、実弟松吉孝雄、甥で当該融資対象
者の松吉小敷の責任者松田安信の5人が本件組合の理事名にあがっている
が、これらは特別利害関係人である。(松吉保彦、松吉孝雄は正規に選出さ
れた理事) (甲第37号証の1)
本件組合は百数十名の組合員が現役の漁師として活動しており、その理事会
で1親族が半数以上を占めるような理事の選任をすることは、かつて一度も
なかった。
しかも甲第33号証に照らせば、松吉一家5人の理事中松吉保本人を含めて
3人(松吉保、松吉裕也、松田安信)が正規に選出された理事ではない。
3、そうすると、本件理事会は虚偽の理事名簿でもって招集され、そのうち松吉一家の特別利害関係人が出席して本件理事会の貸付金に関する議案を議決したということになる。
  辞任を申し出ていた正規の理事3人が本件理事会に招集されていないというのは、その3人に代わって部外者3人が理事に名を連ねていることによって判明する。
  8人のうち部外者でかつ特別利害関係人である欠格者が入り込んでした理事会が有効に成立するかという話は、法的な論考のテーマにもならない無法なものである。
  なぜなら、判例や通説で問題となっている特別利害関係人というのは、特別利害関係取締役(理事)ということであって、役員でもないまったくの部外者である松吉保が入り込んだ理事会の議決は無効と断ぜられるべきであるからである。部外者が入ってその部外者のための議決がなされた場合、その部外者を控除したり、それが議決に参加したという事実を拭い去ることはできない。2審の控訴理由書の11枚目で、その点を指摘した。
  その意味で原判決は正当である。
4、甲第33号証の8名の正規の理事のうち、辞任したが後任が選任されていない3人(桜井淳一、桜井春雄、松田博光)が招集されず、そのかわりに議事に直接利害関係があり、部外者である3人の利害関係親族を理事会に入れ理事会に出席させたり本件「確約書」に署名押印させた。
単にこの違法な出席者・署名者を控除すればよいという算術の問題ではない。
特に本件理事会から除外された桜井淳一理事は本件が起こる直前まで長年
当組合の組合長を務め、本件貸付金の借入れに強く反対していた者であるが、
現に大敷組合を経営しており、多数の組合員を擁し、漁場の利用権などの権
益に深く関係していて組合員総会では容易に過半数を制する勢力をもって
いた。その上組合はその運営には彼の経営する大敷組合に漁場料などで財政
的にも大きく依存してきた。
一人の理事や取締役でも理由なく不当に除外すればその理事会や取締役会
の成立が問題になるが、組合運営を現実に支え、常に漁港で陣頭指揮をして
いる有力理事に何の連絡もなく開かれた理事会は有効ではない。
正規の招集手続きを欠く取締役会や理事会の開催を有効とする判例は存在
しない。
ちなみに松吉保の小敷組合は漁場料など組合への賦課金は長年一銭も払っ
ていないといわれる。(甲第37号証の1)
漁場料などを支払わない組合員が漁業組合の正規の理事、しかもその理事会
の過半数を占めるなどということはありえないことである。
5、甲第33号証によって、本件理事会の正否について判断するべきである。
  理事8名のうち、本件申立理由書が出席して議決したという理事は6人であるという。この主張を仮に認めるとすると、そのうち特別利害関係人2人を除くと以下の4人がのこり、4人での議決が過半数で有効である、という。
   桜井菊蔵   井崎勝行
   松吉孝雄   桜井勇    (上告受理申立て理由書4頁)
しかし、すでに明らかにしたように松吉孝雄は松吉保の実弟であるから特別
利害関係人として除外されねばならない。(甲第37号証の1)
1親等及び2親等は特別利害関係人とみなされている。
そこで、甲第33号証の正規の理事8名のうち、親族の松吉保彦と松吉孝雄
の2人を除けば議決権者は6名(桜井菊蔵、桜井勇、井崎勝行、桜井春雄、
桜井淳一、松田博光)となり、そのうち本件理事会に出席して議決したとい
うのは上掲の桜井菊蔵と井崎勝行と桜井勇の3人となる。そうすると議決権
を持つ理事の過半数にはならない。
  申立人の出席理事だという主張を認めても本件貸付金に係る理事会の議決
  は有効に成立していない。
  また、甲第21号証によれば、上掲理事中の桜井勇理事は、長年理事の名簿
  に正規に挙がってきたが、本件理事会も含め一度も理事会に出席したこと
はないという。本件理事会の開催した日も、出漁しており出席しなかったと
いうことであるから、実際に議決権のある理事で出席したのは桜井菊蔵と井
崎勝行2人となる。議決権者6人のうち2人では過半数に遠く及ばない。
6、甲第33号証について
  原審までの裁判で平成23年11月の本件事件が起こった当時の理事会の正規の名簿は甲第33号証だけでこれのみが公判(第2審)に提出されたものである。
  これが正規の総会で選出された役員の名簿であることは甲第37号証の2の本件組合の「平成20年度第60回通常総会議事録」であきらかである。この議事録で第3号議案に「任期満了による役員改選承認の件」があり、甲第33号証の役員名簿通りの理事が選任されていることが分かる。この役員選挙が行われた組合総会には町役場から町長と担当課長が「来賓」として出席しているから、本件申立人が知らないという事はできない。
  特に総会に臨席した申立人の部下である「建設課長 奈良崎氏」というのは当時の東洋町産業建設課の課長奈良崎幸一のことであり、この奈良崎が本件貸付の実務を担当し又議会での本件組合の理事についての質疑に答えていた者である。
7、原審まで申立人は申立て理由書に掲げた理事名を挙証してこなかった。
  理事名が明確に出ているのは、甲第21号証の「別紙2」の「野根漁業協同組合理事会議事録」と同号証「別紙4」のNo.1とNo.2であり、前者の議事録では人数が足らないので後者のNo.1とNo.2とを接合して今回申立て理由書の8名の名簿を拵えたものと推定される。
しかし、甲第21号証の別紙2,3,4はいずれも本件組合特別調査委員会が組合内に残っていた事件の関係資料を調査のため集めたものであり、それら別紙に記載された理事やその者たちの行為を認めたものではないのである。調査委員会が無効な文書だという資料に基づいて合成して作り上げた理事名、これを元に特別利害関係人を控除するとの通説の計算で出た主張は、根本的に意味をなさない。
8、特別利害関係人(役員)の参加した議決に関する通説について
 通説では本件申立て人の言うとおり、取締役会や理事会などで議決権者のう  
ち、特別利害関係人が議決に参加した場合、これを控除したあと議決の成立に必要な多数が存在するならば、その議決の効力は妨げられない、という。
  この通説について本件申立て人は東京高裁判決と大阪地裁の判例を挙げていて、その両判例では、本件申立て人の主張を根拠づけるものは何もない。特別利害関係人が出席した取締役会などでその議決を有効であるとした最高裁の判例があるか不明である。
  学説では、欠格者が参加した議決は無効とすべきだとしている。
  「合議機関に欠格者(利害関係を有する議員又は委員)を参加させてなされた議決の効力について、欠格者の投票を控除してもなお結果に影響を及ぼさない場合には、その議決の効力は妨げられないとした例がある。
  しかし、欠格者が何らの発言をしない場合でも、その審議への参加自身が、公正な審議を妨げることになるのであるから、特別の理由のない限り、原則として、欠格者の参加した合議機関の議決は、無効と解するべきであろう。」(田中二郎著「行政法総論」第二編第二章第六節第三款「行政行為の  無効及び取消しの原因」)
  本件の場合、本件理事会に参加したとして議事録に署名押印のある6人の理事のうち松吉保、松吉保彦、松吉孝雄の3人は、2親等以内の親族である。
  仮に本件申立て人の言うとおり本件理事会が開かれたとしても、議長の桜井菊蔵を除けば、議決する5人のうち過半数の3人がその特別利害関係親族となる。役員会の議長が特別利害関係人である場合にはその役員会の議決は無効だとするいくつかの判例があるが、議場の過半数が議決権のない特別利害関係人である場合は、議長が特別利害関係人である場合よりも、より強くかつ直接に違法性(会社法第369条の2の水産業協同組合法への準用)を帯びると考える。したがって、本件申立て理由書の主張は認められない。
【二】地方自治法第96条1項12号規定と地方自治法第242条2の1項4号請求裁判について
本件は 地方自治法第242条2の1項4号規定(これを単に「4号規定」と呼ぶ)に基づく住民訴訟であり、
  被告 東洋町長
     松延宏幸
すなわち町長という執行機関を当事者とする訴訟という事になっている。
したがって従来の学説や判例によれば、本件は地方自治法第96条1項12号(訴訟提起の議会議決 これを単に「12号規定」と呼ぶ)に該当しない、上訴につき東洋町議会の議決はいらないということになる。なぜなら、「12号規定」が適用されるのは、「普通地方公共団体が当事者となる・・・訴訟の提起・・・」となっているからである。
しかし、これまでの「4号規定」訴訟について「12号規定」の適用の可否に関する判例(昭和30年11月22日最高裁第三小法廷判決)等は誤っており再検討する必要があると考える。
理由:
1、「4号規定」の「執行機関」を当事者とする訴訟は、地方自治法第242条3の2項以下の規定に見るとおり、究極的には普通地方公共団体を当事者とする訴訟に転化する。すなわち住民の起こす訴訟の究極目的は当該普通地方公共団体をして、問題を起こした長や職員に対して損害賠償請求をするだけでなく、その訴訟を起こさせることを求めるものとなっている。住民訴訟は必ずしも当該普通公共団体による訴訟にまで発展するわけではないが、その可能性を含んでいる。
それはたとえば、支払い督促は普通地方公共団体の長の事務であるが、これ自体は訴えの提起ではなく、必ずしも訴訟になるわけではないが、時に異議が出されると当該普通公共団体を当事者とする訴訟に移行するので、議会の議決が必要とされた。
(昭和59年5月31日最高裁第一小法廷判決)
「4号規定」による訴訟は、当該普通地方公共団体をも当事者とすると考えられる。
議会の議決を必要とするという「12号規定」は、本件のような執行機関を当事者とするがやがて当該普通公共団体をも当事者として登場させる場合には、地方自治法の条理上これを適用させるべきである。
2、「普通地方公共団体」の実体は、その執行機関が中核であり、また、特にその首長は、
 地方自治法第147条の規定「普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体を統括し、これを代表する。」との規定があり、長の行為は、単に執行機関の行為というだけでなく、当該普通地方公共団体の行為として表象されるものである。
 実際上でも、執行機関としての長の行為は、予算の編成・執行、条例の制定等も含めてすべての重要行為は、普通地方公共団体として遂行されている。執行機関、市町村長の名前で予算案などは議会に提出されない。公共工事、道路工事ひとつをとっても市町村長などの執行機関の名、首長の名前で遂行されるわけではない。すべからく首長としての執行機関の行為は普通地方公共団体の名義のもとに遂行されるのが普通である。
 したがって、職員の行為は別としても首長としての執行機関の(違法)行為の当事者は当該普通地方公共団体と同視されうる。
3、「4号規定」の訴訟の場合、首長や職員など執行機関が当事者として訴えられても、その訴訟の費用は首長や職員ではなく当該普通地方公共団体が負担する。弁護士を依頼しても首長や職員との契約ではなく当該普通地方公共団体との契約となる。執行機関である長や職員らが訴えられた場合には当然のごとくに訴訟費用は当該普通公共団体の予算を使う。 この場合、執行機関を当該普通地方公共団体と別個の法人格として区別することはできない。
また、訴えられた場合に議会の議決なしに応訴することはやむを得ないとしても、敗訴してからの上訴費用まで当該普通公共団体の予算を何の手続きや住民(議会)の了解もなく使うというのはあまりに特権的でありすぎる。
4、「12号規定」の「訴訟の提起」の意味については控訴や上告にもいえるのというのが通説であり、かつ、「4号規定」の訴訟が当該普通公共団体を前面に引き出すことを目的とし、究極的にはそれが当事者として登場することになることは地方自治法第242条3の2項、3項、4項、5項の各規定から明らかであるから、本件についても「12号規定」を適用し、議会議決を経ていない本件申立てを却下すべきである。訴訟提起の重要な手続きを履践していず、民事訴訟法第316条第1項1号に該当するからである。
 ちなみに、本件申立ての相手方が、本年2月24日に東洋町議会議長に対し、当該議決についての公文書開示請求をしたが、即日町議会議長は、その公文書は存在していない、本件上告の提起及び本件申立てについて議会に議案を上程されていない、と回答している。(甲第38号証)
【三】原判決と本件申立て理由書の内容
 原判決は主として二つの理由で申立人の賠償責任を認定した。原判決を図式化すると、
(1) 貸付規則の非公示→ 貸付規則の無効
(2) 理事会の不成立→貸付契約の無効
(3) (1)及び(2)の無効→本件申立て人の敗訴
一、本件貸付規則の無効について
第1審高知地裁判決では触れられていなかったが、原判決では、本件貸付規則が、「交付手続きを欠いた未施行のものであって、効力を生じていない」と断ぜられた。(原判決18頁下段~19頁上段)この一事からしても、1000万円の本件貸出しは違法となる。
 本件申立て理由書においては、本件貸付規則の無効という原判決の重大な判断については一言も反論するところがない。ただ理事会の成否をあげつらうだけである。
本件貸付規則が無効であることは本件申立人も反論の余地がなく、認めたという事であろう。本件貸付規則無効の意義は、たとえ金銭消費貸借契約が有効に成立したとしても(本件においては金銭消費貸借契約書が存在せず、そのかわり「借用書」が存在するが、その「借用書」には借主(野根漁業協同組合)及び貸主(東洋町)両方の署名押印が欠如している。)貸付規則がない以上貸付けの対象、貸付の要件や返済の要件、手続きなどが不明ということになり、到底公的機関の貸付行為とは言えず、このことだけですでに判決を左右する重大な瑕疵である。
 適正な交付手続きを踏んでいず、特定の漁家にのみ本件貸付規則を交付し、その規則にのっとった申請書を提出させた本件の場合、それ以外の多数の台風被災者(そのうちいくつもの漁家が申立人の町に救済の陳情書を提出していた)に対して極めて不公正な取り扱いとなった。公金支出の上で公益性を担保する民主的な適正手続きが欠如した。
 第二に、本件貸付規則は無効であるが、一応議会への提出があり、本件貸付についての規範となるはずのものであった。議会は当然この規範的規則にのっとって本件貸付が実行されるものと了解した。しかし本件貸付規則の公布手続(不存在)は非民主的であり、無効と判断された。本件貸付は規範となる条例又は規則を失った。
 町議会についても、規則が交付もされず、公募もされず、貸付け対象者(応募者)の審査・選考もなされず、特定の漁家にだけ全額貸し付けるという事が最初から明らかであったなら、到底本件貸付は承認されることはなかったし、本件貸付金1000万円の入った補正予算も可決されることは困難だったと考えられる。
およそ公金支出には、執行機関の規範的ルールの存在又は制定が必要であり、それにはその公金支出の公益目的や適正手続きが定められる。一応本件申立人がそれを新規に制定し議会に示したという以上は、執行機関(首長)の行為は無制限な裁量に掣肘が加わりそれによって拘束され評価されることになる。少なくとも執行機関内部の事務手続きに関する限り規範的拘束性を帯びている。
首長としての裁量行為による貸付という行政行為の事実がそれによって評価されるが、本件申立人は、規範的ルールたる本件貸付規則に対し、それの非公示という重大な瑕疵によってそれが無効になるほどに背反したのである。規則を公布したり、公募したり、審査・選考したり・・・これらの事務手続きについて何もしなかったということは、自らの行為の公正さや民主性を否定したことになる。
それでは、本件申立人は何をもってその裁量行為が正当なものといえるのであろうか。
 補助金支出や貸付金の支出において、何らかのルールも作らずに首長の完全な恣意に基づく裁量は認められない。それらは、対象事業の公益性や、公金支出に至る過程の民主的手続きが担保されていなくては、単なる利権行政に転化するからである。
 実際、本件貸付(又貸し目的)は、返済の能力も意思もない特定漁家に融通するため、その無能力を十分承知していた申立人が、漁業組合の名義を差し出すことを条件にして特定漁家の利益のため遂行したものであり、その返済を漁業組合に代替させようとした利権行為そのものである。
 本件貸付をめぐって漁業組合の総会で紛糾して拒絶されて、本件貸付金を申請し実際に借受けを実行した桜井菊蔵ら本件組合執行部は、逃げるように組合役員を辞職してしまったのである。
 貸付規則が無効と判断されたというのは、公正な手続きの不存在、貸付金の利権化を認定されたも同然であるから、本件申立人松延宏幸の責任は逃れられなかったのである。 
二、本件理事会の不成立について
既述のとおり、本件申立て理由書の主張通り6人の理事(桜井菊蔵、桜井勇、松吉保、松吉保彦、松吉孝雄)が出席して本件理事会が開かれその議事録に署名押印したとしても、その場合議長を除くと5人の理事による議決となるが、そのうち3人(松吉保、松吉保彦、松吉孝雄)までが松吉保の特別利害関係親族となる。3人は親子と実の兄弟同士であるからである。特別利害関係人が議場で過半数となり、そのうえで議決したというのは、水産業協同組合法が準用する会社法369条2の規定に甚だしくかつ決定的に違反して、無効である。
 1、本件申立理由書の掲示した理事名簿は虚偽である
既述のとおり上告受理申立て理由書3頁目に掲示された理事の名簿は虚偽のものである。
このうち3名(松吉保、松吉裕也、松田安信)は実際の組合総会など正規の選任手続きで理事に就任したものではない。勝手に理事にされたか、勝手に名乗っているだけである。
本件申立人は町長である前に東洋町の幹部職員であった。特に税務課長を長く勤めていてその課には全町民の家族名簿が直ちに見ることのできるパソコンがある。本件申立人は東洋町のほとんどの家族や親族について誰よりも詳しく知る立場にあった。本件申立理由書3頁目に掲示された理事の名前を見ただけで、直ちにこの理事名簿はおかしいと判断されねばならない。すなわち
  松吉(桜井)菊蔵    井崎勝行
  松吉孝雄        松吉保
  桜井勇         松吉保彦
  松田安信        松吉裕也
                    (  )内の氏名が正しい
一つの小さな漁村の漁協の定数8名の理事の中にその半数が松吉(まつよし)という苗字をもっている。いかに片田舎の組合(本件組合の組合員は百数十名)とはいえ組合役員の半数を同じ一族(二親等以内)に占めさせるというようなことはありえない。すなわち、松吉保の実弟が松吉孝雄であり、松吉保の息子が松吉保彦であり、松吉保の孫が松吉裕也である。また、松田安信も松吉保の甥であり、しかも安信は貸付け対象事業所「松吉保小敷組合」の操業責任者であった。
さらに、この松吉一家の5人の理事のうち松吉保、松吉裕也、松田安信の3人は正規に理事に選任されたものではない。組合員ではあるが組合理事としては無資格の部外者である。
他の少数の3人の理事に過半数の親族理事の存在が影響を及ぼさないといえるであろうか。
そんな異常な役員構成、1親族が過半数を占める理事会が正規の組合員総会で選任されたり承認されるはずはない、という疑問を本件申立人が本当に抱かなかったとしたら、それは本件申立人の重大な過失か、それ自体を容認していたとしか言いようがない。
漁業組合は特定範囲の漁場で互いに厳しく競合したりまた協同したりする組合員の集合体であり、普通は組合財政を支えるいくつかの漁家を中心に選任される。組合に対してほとんど何の賦課金も納めない1親族によって組合の執行機関である理事会が牛耳られるほど多数を役員に選任するというようなことはありえない。
2、本件申立人が挙げる理事8人を選任したという総会は存在していない。
本件申立人が第1審第2審を通して、本件理事会の瑕疵は平成23年11月9日の組合員総会で治癒された、などという主張を繰り返してきたが、その総会(臨時総会)の議事録なるものにも理事改選の議案やその議事の記載は全くない。
それ以前の役員選挙に係る正規の総会は平成21年5月23日のことであり、そこで選任された理事は甲第33号証の役員たちであって、その次の役員改選の総会は3年後の平成24年6月のものであるから、申立人の今回あげた理事名簿が何を根拠にするものか不明である。
申立人が掲げる理事名簿が本当のものであるかどうかを立証するものは何もない。
当時の真実の理事名は甲第33号証に記載された理事であって、この書証は実際の総会に提出され可決された総会議案(甲第37号証の2)をそのまま活版印刷したものの写しである。第1審第2審を通じて、本件に係る理事の名簿一覧は甲第33号証以外には法廷に提出されていない。
3、本件組合の本件当時の理事の状況
平成23年11月中の正規の理事は甲第33号証であるが、これについて本件組合の役員はいくつか整理しなければならない問題があった。すなわち、甲第21号証によると幾人かの理事辞任の申し出の事実があった。平成21年5月23日に就任の役員(甲第33号証)でスタートしたが、
理事のうち桜井菊蔵(正規の理事)が家族が高齢を理由に反対したため辞任を申し出た。
また、桜井春雄(正規の理事)も辞任を理事会で口頭で申し出た。
松田博光(正規の理事)についても辞任を理事会に口頭で申し出た。
組合は、理事会の決定として松吉保と武山祐一を理事として補充した。11月9日の総会に動議として出された理事の名前であった。しかしこの新理事については総会の承認を得ていなかった。当時の組合は理事の補充は理事会で決めることができるという誤った観念をもっていたと考えられる。
補充されたとする武山祐一(非正規理事)」も本件が起こる1年前に辞任が申しだされた。
そして、桜井淳一(正規)は数期にわたって本件組合の組合長を務めてきたが、本件貸付金を組合が受けることについて反対していたがため、松吉保(非正規理事 本件貸付金の実質的借主)によって強行に辞任を迫られ本件が起こる直前に辞任を余儀なくされ組合長を辞任していた。本件が起こる直前では正規の理事のうち4人が辞任し本件組合定款で定められた理事8人中4人がいない、理事は5人以上という水産業協同組合法に違反するという状態になっていた。それ故に平成23年11月9日の臨時総会で組合員から理事の定足数が不足しているという指摘があったのであり、第1審判決でその事実が指摘され、理事会の手続きに問題があるとされたのである。
定款や水産業協同組合法の規定では、理事が辞任してもその後任が選任されない間は辞任した理事が業務を引き続き遂行するということになっていて、本件組合はその後任の理事を総会などで正規に補充選任するという手続きは取っていなかったし、また、辞任した理事に理事の任務遂行を促すこともしなかった。したがって理事会を開催してもそれら辞任した理事には開催について招集状など何の連絡もしてこなかった。
ところが、松吉保らが本件貸付金について「理事会」を開くにあたって、辞任させた桜井淳一組合長に代わって、数年前に辞任していた桜井菊蔵を突然理事に復帰させこれを組合長に据えて貸付金の申入れを決議した、ということになったのである。
当時の野根漁協の正規の役員は甲第33証のとおりであり平成21年5月に総会で選任されている。原審判決文16頁には、この甲第33号証について正しいかどうか不明である旨の指摘があり採用されていないが、当時の役員が総会で認められたものとしてはこの活版印刷された名簿以外に存在しない。
理事の任期は3年間であり、上掲の理事名簿の者が本件事案を担当するべき理事8人全員であり、また監事3人であった。二親等以内の者は桜井菊蔵と桜井勇の親子二人だけである。このうち、本件当時、辞任したという者が、桜井菊蔵、桜井春雄、桜井淳一、松田博光らがいて、桜井淳一前組合長以外は数年間理事会に出席していないとのことである。
正規に総会などで後任の補充選任はされていなかったから、法令や定款の定めでこの辞任届をした3人も理事としての任務を遂行する立場にあった。
理事会を開催するときには当然これら辞任したという理事にも招集状を送付するか何らかの連絡をしなければならなかったが、事件当時の本件組合執行部は一切そのような手続きはしていなかった、といわれる。
4、正規の理事で判断すべき
既述のとおり本件申立て人が言うとおりの理事名で本件理事会の成否を判断しても特別利害関係人が過半数で議決を行ったということになり、社会的相当性を欠くというべきであり、到底承認できるものではない。
甲第33号証の正規の理事に照らして本件平成23年11月3日の本件理事会を検討すると、冒頭既述のとおりであり、利害関係理事は松吉保彦(松吉保の息子)と松吉孝雄(松吉保の実弟)の二人であり、後の6人(桜井菊蔵、桜井勇、井崎勝行、桜井淳一、桜井春雄、松田博光)は議決可能な理事であるが、この6人の理事のうち本件理事会に出席したとして議事録に名が出ているのは、桜井菊蔵、井崎勝行、桜井勇の3人だけである。
本件申立人が言うとおり本当に理事会が開かれたとしても議決可能の6人の理事のうち3人では過半数とはならない。
したがって、本件申立人の理事会成立についての申立て理由は成り立たない。
本件申立人は本件組合の役員については知らないとは言えない。
本件組合とは漁港(野根漁港)の町営の荷捌き場や製氷機など主要な漁港施設の管理委託契約を結んでいるから、常時接触する関係にある。誰が役員であるか知る義務がある。
まして、正規の理事選出の総会に前町長と担当課長が出席し議案書を手にしたのであるか
ら知らなかったと言い逃れることはできない。今回、地元の漁業関係者であれば直ちに偽
物と看破できるような理事名を裁判所に出してきたこと自体、過失ではなく悪意ある作為
であり、故意であると考えられる。
5、理事会議決の重大な瑕疵
理事会の議決は既述のとおりその理事会構成員の形式上から見て、到底成立しているとは言えないが、その内容の面でも著しく不正なものであって、無効である。
  ①裁判所が認めた不正 定款変更
 本件貸付(又貸し)は、漁業協同組合としてのものであるので、本件組合はその貸付事業を行うためには定款を変更する必要があり、その定款変更は知事の許認可による。
 第1審判決(9頁中段)で「本件貸付は、知事が上記定款変更を認可する前に実行されている・・・・」と認定された通り、知事の定款変更の認可(平成23年12月)が下りる前に本件貸付(平成23年11月中)が遂行された。これは些末な間違いではない。漁業協同組合にとって信用事業の一部貸付事業を行うのは大変な事業の追加である。
県知事の許可もなく定款にない新たな事業を勝手に始めることは無法な行為であり、水産業協同組合法第48条2項の規定「定款の変更は…行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。」という規定を直視するべきである。日本国の法律が無効だと定めたものを屁理屈を並べて有効だというのはあまりにも無法である。
 認可どころか定款変更の県庁への申請もまだしていない段階(本件理事会は11月3日、認可申請は11月10日)で、具体的な案件として貸付事業の新規事業を理事会で議決することはできないし、むろんそれを実行することもできない。
 無免許で普通乗用車を運転して捕まったものが、後で免許を取得したからと言ってその犯罪行為を元に戻して帳消しにはできない。無効な期間にした行為は無効である。
 ②裁判所が認めた不正 借入の最高限度額の設定なし
 また、第1審判決では、「野根漁協は、総会で毎事業年度内における借入金の最高限度額を総会の議決で決めなければ、借り入れをすることができないが、本件貸付がされた事業年度にはこれを定めていない。」(第1審判決8頁~9頁)と認定したが、本件組合が災害対策資金の借入れのために定款変更を議決したことが最高限度額の議決をしたことと「同視し得る」として違法ではないと判断した。しかし、定款変更はただ貸付事業を行うというもので、借り入れる話とは全く「同視」できるものではない。本件理事会で問題になっているのは借入金のことであるから、本件組合が資金を借り入れるという議決のためには総会で特別議決が必要なのである。それなしに理事会で勝手に大枚の資金借り入れを決議した場合は、その議決は総会のバックアップがなければ無効たらざるを得ない。法律で無効とされたものはあくまでも無効であり、裁判所が無効なものを有効と判断してもやはり無効なのである。
 このように理事会の議決は理事の定数問題だけでなくその内容においても裁判官の指摘がある通り議決できない事案を議決していて、無効であることは明白である。
③自己取引についての理事会承認議決の欠如
本件貸付金は小敷網を敷いている松吉保に対してであるが、その借主の名義はその息子で理事の松吉保彦であった。それはとりもなおさず親子が共同の借り受け人という事になるであろう。したがって名義上であっても松吉保彦は組合との間で金銭消費貸借契約を結ぶのであるから、水産業協同組合法第38条、本件組合定款第49条2項の定めるところにより理事会の特別議決でもってその契約が承認されねばならない。
本件理事会ではこの利益相反の自己取引についての承認決議はなされていない。
本件理事会が議決したのは組合が東洋町に対して1000万円を借り受けるという申請が承認されただけであって、組合と、事実上貸付が決まっていた特定理事との間の契約については何も議決されなかった。
 そもそも、本件貸付金(借受金)についての理事会は本件理事会以外になかったわけであるから、本件理事会で、借り受ける1000万円をだれに貸すのか正式に決定する必要もあったし、またその相手が理事(松吉保彦又は松吉保)であるなら、その理事との間の契約についても議題に挙げて決議する必要があった。
 もし松吉保彦は仮の名義人であり実質的な契約相手は正規の理事ではない松吉保であるとして、松吉保1人とすると、その場合、理事たちが第三者の利益のために組合と利益相反取引をするということとなるから、理事全員が特別利害関係人の欠格者となり、議決ができないことになる。(会社法第365条(356条1項準用))
 学校法人や医療法人などでは理事と法人間の利益が相反する場合は、所轄官庁が特別代理人を任命して事務を処理するという事になっている。
特別利害関係人とは、理事又は取締役が、自己または第三者のために債務の保証などその法人と利益相反取引を行う場合に、その理事又は取締役のことをいうのである。
いずれにしても本件理事会では本件貸付金(借受金)に係る利益相反取引について、いかなる議決もしなかったし、その後も本件貸付金についての理事会は開かれていない。
したがって、本件貸付金(借受金)についての理事会としては重大な欠陥を持ったまま終わり、してはならない議決を行ったというべきである。
5、本件理事会について第1審、第2審での申立人の主張
原判決の判示(「松吉保及び松吉保彦が加わらなくても、本件理事会決議がなされたと認
めるに足りる特段の事情は主張も立証もない。」)のとおり、本件申立人は第1審、第2
審において本件理事会の有効成立については積極的には何も主張しなかったし、むしろ、
それに瑕疵があったとしても総会の議決でその瑕疵は治癒されたという趣旨の主張を繰
り返してきた。第二審の答弁書でも「原判決が「11月3日の理事会決議には手続き上
の瑕疵がある可能性がある」と認定したことは明らかに間違った認定であって相当問題
がある」というのみでどこに問題があるか、どうしてその手続きに瑕疵がないというの
か何も主張もしていない。第二審の準備書面(5)でも「総会の決議は理事会の決議よ
り優先する」という風にむしろ理事会の決議に瑕疵があることを前提にした主張の仕方
となっている。
 第一審(高知地裁)でも理事会に言及したのは準備書面(2)だけであり、「・・・・何らかの瑕疵があったとしても・・・同組合理事会の瑕疵の有無を問題にする余地はない」などといって、本件理事会の成立については否定的か極力争点化するのを避けてきた。
 第1審高知地裁は本件申立ての相手方(当時原告)の請求を棄却したが、それでも理事会の不成立などで「違法な公金の支出という余地がある」と指摘している。
すなわち、平成23年11月3日の1000万円借入金の理事会決議には6名出席となっているが実際にはそのうち2名が出席していず、議決権者が過半数にならないという甲第21号証の指摘している点である。その時の理事会出席者というのは
     議長 桜井菊蔵
理事  井崎勝行    理事 桜井勇
理事  松吉孝雄    理事 松吉保
理事  松吉保彦 
以上6名であるが、事件後の組合の特別調査委員会が、そのうち桜井勇、松吉保彦は出漁していて理事会に出席していなかったから4人の出席では定足数8名の過半数に不足しているという事実を指摘していること、(第1審では利害関係者については問題にしていない)
また一方、組合総会において組合員から、そもそも辞任者が4人もおり理事の人数が絶対的に不足していて、理事会の決定などが無効になっているとの問題提起があった、という事実を認定し、調査委員会の指摘と相まって「理事会決議には手続き上の瑕疵があるという可能性がある。」と判示した。
第2審の判断はひとり特別利害関係人の問題だけでなく、上述のような理事会の定足数が絶対的に不足しているという第1審裁判官の指摘も前提にしているものと考えられる。
【四】結論
上告審は、憲法・法令やこれまでの最高裁などの判例に係る事案についてのみ受理し審理することになっている。
本件申立て理由書は、第1審、第2審でほとんど実質的に争わず、まともな主張もしていないばかりか、その成立を自ら否定的に評価していた本件理事会の成否について新たな事実を元に主張をしているものである。その主張を根拠づけるものとして本件申立て理由書(2頁~3頁)が挙げるのは、東京高裁及び大阪地裁の2つの判例であるが、これら判例では、本件申立て人の主張は裏付けられていない。
前者東京高裁の判例では取締役の議決権行使が利益相反する事例ではないと判示されているし、後者の大阪地裁の判例ではまさに利害関係人が議決権を行使してその議決が無効とされた事件である。
ただ、その判例タイムズなどの解説の中で本件申立人の言うような特別利害関係人を控除して云々の説が紹介されているだけである。何の判例違反なのか不明であり、何の法令に抵触するか不明であって、一般論(通説)として特別利害関係人の取り扱いを論じた解説の一論理を本件に機械的に適用することを求めるに過ぎない。
しかし、その判例解説の、控除の論理を採用するにしても、その控除の前提になるのは、本件組合の正規の理事である。本件申立てはその理事について組合総会で正規に選任されていないものを新たに出してきたのである。
第1審第2審では本件理事会を構成する正規の理事については本件申立人側が本件理事会の成立についてむしろ否定的な見解を述べ続けていたこともあって、明確に確定していない。
本件理事会の成立については第1審第2審を通じて申立人自身が否定的見解を述べ続け、第1審裁判官も理事の絶対的定足数に「瑕疵がある」、「違法な公金の支出の可能性がある」と指摘し、第2審では特別利害関係人の点からその成立が否認された。 
事実の審理をしない上告審であらためてこれを取り上げるとなれば、本件のようにいくらでも架空の事実を言い立てそれに特定の論理を付会して上告審で争うことができるという事になるであろう。もしそうであるなら、まさにその架空の事実について最高裁でも審理することを避けることはできない。すなわち、利害関係人控除の論理とともに、正規の総会で選任された理事をもとにしてその論理を適用するのか、それとも、部外者も含む過半数の特別利害関係人で構成された虚偽の理事名簿でそれをするのか、判断は避けられない。

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2015年4月15日 (水)

福井地裁の名判決

News & Letters/408

高浜原発3,4号機の差し止め裁判を裁いて住民の請求を容認した裁判官
樋口英明氏は児島惟謙と並ぶ名裁判官というべきだ。

権力の圧力をものともせず、人格権の侵害という自己の信念を貫いた樋口裁判官の姿は、
ロシア皇太子が襲撃された大津事件で示した大審院長児島惟謙と同じく日本の司法の歴史で燦然と輝く。

佐賀地裁の裁判官などのような権力に阿諛する昨今の裁判官が多い中、司法界だけでなく日本人全体の鑑とすべきだ。

こういうことが歴史が回転する嚆矢と言う物だ。

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