奇妙な判決
News & Letters/196
6月27日の高知新聞によると、高知地裁安芸支部で名誉毀損損害請求事件で奇妙な判決が出たようだ。
これは一昨年町議リコールで追求された田島毅三夫が、リコールは名誉毀損だと言うことで訴えた民事事件である。
こんな事案を裁判で取り上げると言うこともどうかと思うが、一部その請求が認められたと言うから驚きだ。
6人の住民に総額30万円払えという不当判決である。
住民と一緒に私も訴えられていたが、判決では「関与の証拠がない」とかで無罪となった。
別にリコールに関与していても違法だといわれる筋合いはないが、判決文を早くみたいものだ。
新聞報道によると、損害賠償が認められた一部というのは、税の滞納についての「分納」制度の問題であるようだ。
ある町会議員(当時町の監査委員)が長年税を滞納していて、それが問題となった。その町会議員を問題にしていたのは実は
田島毅三夫議員であったが、田島毅三夫は新町政になってから、やおらその滞納町議を擁護しだしたのである。
町議は非を認め全額支払い、監査委員も辞めた。しかし、田島毅三夫は自己一流の主張をやめない。
いわく、町には滞納について「分納」制度がある、その滞納していた町議は少しずつ分納していたから問題はない、というのである。平成20年3月に田島毅三夫について町民からリコール請求があったが、その理由の中に、この税の分納問題も入っていた。住民は、税金の分納制は法律上存在しない、そんな分納制を認めたら税金はまともに集まらない、みんなが分納を申し出るようになる、そんな主張をする町議は不届きであり、リコールしようということで立ち上がった。
田島毅三夫へのリコールの理由は外にもあり、核廃棄物の埋設施設を東洋町に導入し、国からの核交付金で町を発展させようと主張したことも追求されていた。
地裁安芸支部の判決では、分納制度は町に存在した可能性があり、住民の主張は町議田島毅三夫の評価を貶めることになるから、賠償する義務があるという、とんでもないものであった。
たしかに、東洋町役場では、事実上「分納」制度が存在していた。しかし、それは、正規の法的根拠があり、適法な手続があったわけではない。それは、代々の税務課長ら執行部が滞納者から少しでも税金をおさめてもらおうとして仕方なく認めてきたものである。証拠の書類は滞納者からの「分納誓約書」なるものが存在している。この分納誓約書は、しかし、町が分納でも構わないというものではなく、滞納者が今は一括して支払えないから税金を分割して納めるという一方的な約束をしてきたものであり、
民法上は債務確認書のような代物に過ぎない。
地方税法上「分納」が認められるのは、災害などの被害者が1年か2年間ぐらいの期間に税金を分割して支払っても良いという特別な規定であって、納期を破って、税や滞納を分割して納めてもよいという法律は何も存在していない、また、首長にも担当課長にもそのようなことを許す裁量権はあり得ない。
今回の判決で分納制を何か正当な制度のように判断しているが、もってのほかであり、税法という国法をないがしろにするものである。仮に町に分納制度があったとしても、それは違法であり、違法行為を揚言して止まない町議が町民から批判を食らうのは当然である。
地方税法をないがしろにし、滞納議員を擁護する議員を、かばい立てする判決が、高裁や最高裁で通用するであろうか。高知地裁の東の端の安芸支部という小さな裁判所も、れっきとした裁判所である。幼稚な判決文で世の秩序を紊乱させるべきではない。
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