東洋町の改革

2020年9月12日 (土)

核廃棄物の最終処分場についての高知新聞社説

本日9月12日の高新朝刊の社説の見出しは「東洋町の教訓生かされず」だ。

1・北海道寿都町長が、文献調査への応募の意向を発表したことについて
「町民や議会の理解を得ないまま町長が、突然、応募検討を表明した。」
ことが、東洋町の教訓が生かされていない、ということのようである。

しかし、寿都町の片岡町長は、応募の意向を表明し、議員や町民と議論する、反対が多ければ応募をやめるというのだから、独断専行や秘密裏にことを進めるということではなかろう。
立場は違うが、今のところ片岡町長のやり方には問題はない。問題はその内容だ。

2・「東洋町で住民が分断される混乱が生じた際も、国が主体的にかかわる姿勢が見えなかった・・・」
 という。しかし、東洋町では、「分断」が起こったのは町長及び町長派議員と住民との間であって町民の間での分断や対立はさほど表面化していない。

核のごみ受け入れ推進派はごく一部を除いて大っぴらには活動せず、彼ら側からのビラや宣伝活動はほとんど見なかった。東洋町で突出したのは町長と国の代理人NUMOであって、表面に立ったのは反対派の町民やその支援者たちだ。

町長選挙戦が済んだのちにも核の問題で町民が「分断」されたとか、しこりが残ったいうことは全くない。核推進派の議員も新町政に賛同する者もいた。核廃棄物や核燃料の東洋町への持ち込み禁止条例には全議員が賛成して可決した。当時現地にはNUMOだけでなく経産省の担当職員も出てきていた。
NUMOではなく国が前面に出ろという社説は、高レベル放射性廃棄物の最終処分場建設(地層処分)をもっと強力にやれという意味にしか読めない。

この社説には東洋町で最大に問題となった高レベル核廃棄物の地層処分そのものについて何も論じていないが、これに賛成しているということだろう。高知新聞はかつて何度もNUMOの地層処分に関する巨大広告を掲載してきた。
社説は、最近政府が選んだ「科学的特性マップ」での「適地」が全国に多数あることも指摘する。

だが、地層処分の危険性こそ東洋町で最も問題になり町民から忌避された問題であった。2007年の東洋町での教訓は、高レベル放射性廃棄物を含む核廃棄物の地層処分が町民に否定されたことだ。

政府やNUMOの宣伝刊行物によると、地下300m以下の地底にガラス固化体にした核廃棄物を埋設するという。それには4重のバリャがあって人間界から半永久的かつ安定的に隔離されるというのである。

第一のバリャはガラス固化体であり、第二は鉄の容器、第三はベントナイトという粘土、第四は天然バリャという岩盤だという。

しかし、第一と第四のバリャはバリャとはならない。第一のバリャのガラス固化体は放射性物体の本体そのものであり、第四のバリャというのは我々の生存する自然界そのものなのである。あとは鉄と粘土だけの二つのバリャだけであり、鉄はすぐにさび付き粘土はすぐにひび割れ崩壊する。だから地層処分というのはバリャがない生ごみの埋め立てと変わらない。

生ごみならまだしも極度に高レベルの放射性廃棄物を生ごみ並みの埋め立てで当面を糊塗しようとする方法が地層処分である。

すでに地層処分は日本学術会議が地震・津波の常襲国で、地層は断層や裂け目だらけで地下水が充満している日本列島では不適であると発表している。北海道寿都町には、狭い面積に黒松内低地活断層が帯状に横たわっている。こんなところまで科学的に「敵地」とされているのだから無茶苦茶である。神恵町も同じだ。泊原発の近辺が活断層だらけだ。

新聞や報道機関に求めるのは、政府が発表した「科学的特性マップ」なるものがいかにでたらめかということを調査して国民に真実を知らせることではないか。

3・東洋町の教訓でもう一つ大事なことは、財政的行き詰まっているから核の交付金で財政を立て直すということが、嘘だということである。いかに財政が苦しくても市町村や都道府県は、地方交付税交付金で財政が支えられている。
私の町政4年間で、公共事業や、福祉事業、教育の施策は飛躍的に増大した。予算上もほぼ1・5倍ほど増えた。

それにもかかわらず借金は25%(10億円)ほど減少させ、基金も数億円増えた。町民全体の経済力を直ちには豊かには出来なかったとしても町民への行政サービスは前町政と比べ断然豊かになったのである。

高知新聞は、4年間の私の町政の実績を報道せず、町内のボス連中と同じようにバラマキだという風に否定的に報道したが、今、東洋町の核廃棄物問題の核心的部分、地層処分の可否、財政問題について何も語らずに東洋町の教訓を云々することは真実性、誠実性に著しく欠如している。

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2018年8月16日 (木)

激戦の後の展望

News & Letters/644
11月18日の室戸市長選の前哨戦が激しくたたかわれている。
反改革派は三つに分裂した。市民は戸惑っている。
革新派は少しも動揺していず、結束が固く、しかも活発に動いている。
市民の命に係わる医療の危機が深刻になっているという非常事態において
多くの保守的な層も真剣に市政を考え出した。
市民のほとんどが激しい渦となって室戸市政の根本的な立て直しを願い始めた。
文字通り老骨にムチ打って立ち上がった私を逆に叱咤する市民も多数出てきた。
私の課題は、医療の保障という最も原初的な市政の課題を解決したりその他市民が望む「善政」を布くことであるが、それだけではない。住民自治、民主主義をいかに実現するかも大事な問題である。
三権分立といっても実際は行政の圧倒的な優勢にあり、議会はもとより司法でさえも見る影もない中で「善政」をしけばなお一層行政の独裁状況が現出するだろう。
独裁的な善政もやはり否定されねばならない。住民自治のもとで善政が施行されるという体制が構築されねばならない。
パリコミューンのようなプロレタリアの徹底した民主主義とまではいかなくてもできる限り住民の主権が行政に貫徹する体制を作り上げなければならない。市長(市役所)の独裁的な善政では、善政自体が支えきれない。
それは東洋町で私が経験したことだ。東洋町では、私が出した予算案に対して反対派議員が、あまりにも素晴らしいので私たちは支持できないという驚くべき発言をしたが、善政にも民主的基盤がないとつぶされてしまうのである。
私は、住民自治の一つの方策として議会が住民の意思をほとんど反映していない現状を打破するために、地域評議会を羽根から佐喜浜の全地域に設置しようと考えている。
評議員は各地域で10人~20人程度、全体で100人ほどの委員とし、その評議会は若干の独自予算を持ち、それぞれの地域の課題を討議してもらい市長や議会がそれを尊重して予算を編成したり行政施策を遂行する。
また、市役所内部でも集団的指導体制を組まねばならない。現在市役所ではほとんど庁議は行われていない。
課長会と称してやっているのは毎議会の質問への答弁対策だけだ。そうではなく日常の行政事務の遂行をどうやって進めるか、住民の苦情や陳情などをすべて取り上げて最低週1回は開かねばない。そうして大事なことは全職場で週に1回は職場会議を開くことだ。現場の職員の意見や提案を聞いてその創意工夫を尊重しなければならない。失敗や不親切行為などがあれば全庁で反省され教訓化されねばならない。
東洋町では私は、毎週必ず人の見えるところで庁議を行い、各課の職場会議には必ず出席した。
個々の職員が孤立して仕事をするのではなく、情報を共有して市役所全体が活性化されねばならない。
困難な事件や事務では担当職員に任せるのではなく市長や幹部職員が前面に出なくてはならない。職務のことで職員を死なせてはならない。
東洋町では私は生活保護の申請については職員に任せず町長自らがすべて面接し、受理し、決定した。
重要事件が起こった場合は臨時の庁議を開き、市長が独裁ではなく集団で討議して庁議で決定することだ。
そして大事なことは、庁議はだれでも傍聴でき、議題はすべてボードで画像化し、決定内容も画像化される。
東洋町では、議題と決定内容は直ちにインターネットで公表した。
事業に関係する市民や議員の参加も必要である。
市役所内部の民主化、地域住民の行政への参加などを最低限実行することだ。行政独裁、市長独裁を即刻やめることだ。
善政をしくということ、その善政を作りだし支える民主的基盤をつくることが、私が市役所に入った場合の二つの課題である。
東洋町では善政をしくことに急なあまり、その民主的基盤、住民自治を築くことができなかった。

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2017年6月25日 (日)

大川村議会

News & Letters/574

超過疎の高知県大川村の議会が村民総会を検討しているという。
ふたつほど意見がある。

一つは、村民総会は議会が成立しづらいから仕方なしに検討する、という考えは
正しいとは思わない。議員のなり手がなくて困ったなどといって嘆く必要はない。
村民総会の開催は民主主義の原点であって、否定的に考えるべきではない。
代議制・議会制度は市町村民の総会、直接民主主義ができ難いから仕方なくとっているに過ぎない。

ヨーロッパの古代の民主主義は奴隷制の問題はあるが、公民の直接民主主義だ。
数万人規模の都市国家ですべての公民が参加して社会を自らあ統制した。
大川村で600人ぐらいの住民ならむしろ議会制度を止めて喜んで直接民主主義を実行すべきだろう。

もう一つ私が言いたいのは、最近大川村だけでなく高知県の各地で議員の立候補者が少ない、無投票選挙が多くなったという嘆きだ。しかし私の経験では、東洋町では澤山町政の終わりごろ(平成23年1月)の町議会選挙では10人程度の定数にその倍の20名ぐらい立候補しひしめき合い激戦となった。

何故か。私の身びいきの考えでは、それは私が絶えず町内に行政がやっている事業についてどんどん報道し町内世論を?き立てる活動をしてきたからだと思っている。

事業について住民説明会を繰り返し、町長の機関誌を発行し、毎日の本ブログに町政について考えを披瀝し、・・・議会では、議員から、どんどん、どんどん新しい事業をやるので議会がついていけない、とか、あまりにも素晴らしい予算案だから、だから賛成できない、とかの発言があり、毎議会、丁々発止の激論を町長と議員が交わしてきた、その結果町民の行政への関心が大いに高まり定数の2倍の立候補者が出現してきたのではなかったか。

だが今、東洋町の最近の選挙では無投票当選であった。死んだような静かな議会では立候補する者も少ないであろう。
給金や人口の過多の問題ではない。

これまでにない新しい事業、町民への情報公開、沸き立つような議会、それを実現すれば議員のなり手に困ることはないだろう。 

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2017年6月12日 (月)

読売新聞

News & Letters/570
日本でもどこでも政府系新聞、反動的新聞や雑誌というものが存在する。
言論は自由だからそれを止めることはできない。
しかし、言論機関が卑劣だと非難される状況は許されない。
読売新聞が政府に反旗を翻した元文科省の幹部に対して使った手法は
もはや言論機関の姿ではなく、権力の走狗そのものである。
かつて私が経営していたり・ボルト社が、中国製落花生を徳島産として海の駅で
販売したということで私を大々的にやり玉に挙げた事件があった。
確かに産地をよく確認せずに仕入れ先が徳島だったので徳島産だと表示したのは
うかつであり、我々の責任は免れない。しかし、これを報道した高知新聞は、・
この事件において仕入れ先の店舗も徳島県庁によって処分を受けていた事実を報じなかった。
仕入れ先の店そのものが商品に正しい表示をしていなかったのである。
事実を報道しなかっただけでなく、逆にその店の者の証言を使って我々を批判さえした。
その元凶の証言では、その店は正しい表示をしていたがり・ボルト社が偽りの表示をしたという趣旨であった。
それならこの事件後になぜその店の店内に商品について正しい表示をしていなかったというお客さんに対する謝罪の張り紙が掲示されたのであろうか。
リ・ボルト社は他の種類の中国産と明示された落花生やはるさめなどいくつかの中国産品を同時に販売していたから、中国産であることをごまかす動機はないしまた、一袋130円で仕入れたものを150円で販売していたから消費税8%や手数料15%を引けば1袋売るごとに10円以上の赤字となるのであるからごまかして暴利を得ようとしたわけでもないことは記者はすぐにわかったはずである。
さらに、海の駅の1出店者が関東方面のキャベツを徳島産と誤って販売していた事件についても、その出店者を批判せずにリ・ボルト社(澤山保太郎)をやり玉に挙げた。
海の駅や道の駅は主として委託販売であるが出店者の出品する商品のラベル張りなどの管理まではしない。
これについてはさすがに朝日新聞は訂正文を掲載したが、高知新聞は訂正しなかった。
キャベツを売った商人は、同じ日海の駅の軒先では正しい生産地表示(段ボール)で売っていた。海の駅の棚に持ち込んだ時に余分に持っていた徳島産のラベルを張ったということであった。
その作業をした商人らは読み書きなど文字の扱いが苦手だということであった。
このような明らかな過ちによる誤表示については、県庁は行政指導で是正させる。指導しても是正せず悪質な場合に初めて店名を公表し懲罰を加えるというきまりである。
にもかかわらず、高知新聞は大々的にしかも偏った、ほとんど間違ったといえる報道を繰り返し制裁的報道をした。
落花生1袋売って10数円の損、キャベツ1玉売って十数円の儲け、これについて誤表示があったからといって大事件のように書き立てる必要があったのであろうか。
それが、町長選挙数か月前のことであったから、町民にとっても大きな衝撃となった。
高レベル放射性廃棄物の処分場について、それまで高知新聞は大きな紙幅でもってNUMOの広告宣伝をしてきた。

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2016年12月 6日 (火)

裁判は続く

News & Letters/538

1000万円を貸したが、返済を拒絶されている。松延宏幸町長は、裁判所で貸付金を回収する義務はないと主張した。

1000万円はどうなるのだろうか。この馬鹿げた主張にも反論をしなければならない。
公金を貸した首長がそれを回収する義務がないなどと主張するとは予想もできないことであった。

奨学資金でもなんでも東洋町から金を借りているものは、払わなくてもいいことになるのか。

平成28年行ウ第6号 損害賠償請求事件
原告 澤山保太郎
被告 東洋町長松延宏幸
         
原告準備書面(1)
 高知地方裁判所 殿
                      平成28年12月2日
原告は以下の通り弁論を準備する。
はじめに
 別件訴訟の内容と経過について

一、 債権について

普通地方自治体で問題になる税金等の滞納の扱いについては一般的にその市町村の債権を二種に分けて処理する。

一つは公債権でこれには強制徴収権(差し押さえなど自力執行権)のあるもの(地方税など)と非強制徴収権で自力徴収権のないもの(公営住宅使用料や水道料金など)がある。
今一つは、私債権で私法上の契約などに基づいて発生した債権であるが、徴収についてはこれには自力執行権は例外を除いてほとんどない。

自力執行権のない場合は、督促状を発行したり訴えを起こして公金徴収を履行しなければならないことになっている。この原則は東洋町も実行しており、論議の余地がない。
本件の場合も私債権として貸付金の回収をする手続きを踏みこれを回収することは東洋町長の義務であって、これを怠ることは、地方自治法第240条第2項に違反する。
すなわちその地方自治法は

「普通地方公共団体の長は、債権について、政令の定めるところにより、その督促、強制執行その他その保全及び取立てに関し必要な措置を取らなければならない。」と規定し同法施行令171条(督促)、171条の2(強制執行、訴訟)の手続きを義務付けている。
平成16年4月23日最高裁第二小法廷の判例によれば、地方自治法の債権の行使については、首長の自由裁量の余地は全くないと判示されている。

二、本件債権の行使について

しかるに、被告答弁書で「東洋町が野根漁協に対して、平成23年11月に1000万円を貸付け、被告が東洋町の町長として貸し付け手続きに関与したことは認めるが、貸付金を回収する義務があることは争う。被告が負うのは、地方自治法、同施行令で規定された債権を管理することである」などというのは公職を冒涜する主張であり言語道断である。 
貸付金の回収義務は前記の通りであって被告はこれを免れない。
そもそも債権は、債務者が履行する義務があり、その債権の管理は、すなわち債務者の義務履行を管理することなのである。貸付金の債権管理とは、貸付金を債務者から回収する行為である。そのことは、地方自治法第240条の冒頭で定義づけられている。すなわち、
「債権」とは金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利である、と明記されている。
ここでいう「金銭の給付」とは本件の場合、1000万円の債務者が東洋町に弁済することであり、債権者が貸付金を回収することである。被告は債権を何か宝物か金庫のように考え、これを大事に抱えていることが自己の任務と考えているようであるが、いやしくも地方公共団体の首長として余りにも不甲斐ない認識であろう。

本件の監査請求及び訴えは、地方自治法第242条の1第1項の「違法もしくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実」に基づくものである。
すなわち違法若しくは不当に公金の徴収を怠る事実について監査請求及び訴えがなされたものである。貸付金について督促状を発しても支払わない場合、強制的に支払わせる手段を取るという意味で本件の場合も徴収という言葉が妥当である。
被告が貸付金の回収の義務がないというのであれば、その法的根拠を示すべきであろう。

三、損害の発生について

被告答弁書は、「現在、借用書(甲6)記載の東洋町が野根漁協に貸し付けた1000万
円が東洋町に弁済されていないことは事実である。しかし、将来において、東洋町が野根漁協から、1000万円の返済を受けることができないことは確定していないから、現在、東洋町に1000万円の損害は発生していない。」という。

1、高松高裁の判決文他

本件については、別件で高知地方裁判所(平成24年行ウ第7号)、高松高等裁判所(平成26年行コ第3号)、最高裁第二小法廷(平成27年行ヒ第156号)、高松高裁(平成28年行コ第8号)で裁かれており、1000万円の貸付について東洋町長松延宏幸に不法行為があり賠償責任を追及する訴訟が続いてきた。

これらの裁判で問題になったのは松延宏幸の野根漁協への本件貸付について公金支出行為の当否であるが、1審では違法性があるが、松延宏幸がその違法性を認識していなかったとし賠償責任は免じ、第二審では、違法であり故意性があったと認定し賠償責任を認定した。しかるに最高裁及び高裁での差し戻審では、違法性はなかった、合理的であったという判断が下され、現在最高裁に上告中である。
松延宏幸の本件貸付の可否についてはともかく、漁協側の返済についての態度については、最初の高松高裁の判断(平成26年12月18日判決)があるだけである。すなわち
「被控訴人は、東洋町には現実の損害がないと主張するが、2で認定したところによれば、野根漁協は本件貸付の効力自体を否定しており、今後貸付金を回収する見込みがあるとはいえず、採用することはできない。」と断じた。

この判決文(Ⅰ6頁~17頁)によれば、
「野根漁協の本件貸付当時の代表理事(組合長)である桜井菊蔵は平成24年3月の総会において、本件申請時に東洋町に差し入れた確約書に署名した理事らの義務を改選後の理事らに引き継ぐことを議題として諮ったが、本件貸付けを受ける至った本件理事会決議及び本件定款変更の手続きに瑕疵があるとの意見が出て決議に至らず、同年6月7日に代表理事を辞任し、他の理事も、松吉保彦を除き辞任した(甲21,28)

さらに、
「後任の代表理事に就任した桜井淳一は、本件貸付に至る本件理事会決議及び本件定款変更の手続きに瑕疵があるとして、本件貸付の平成25年度分200万円の償還期限である同26年3月31日を経過した後である同年5月6日、東洋町に対し、本件貸付の効力を否定する内容の文書を送付して200万円の支払いを拒絶するとともに、同年8月16日の野根漁協臨時総会において、本件貸付の効力を認めないとの結論を出した旨報告し、本件貸付の効力を争っている。」(前提事実(4)、甲35,36)
高松高裁のこの事実認定は、事後の裁判でも問題になっていない。

2、野根漁協の本件貸付金の事実を否定する理由

第一に、本件貸付金を決議した理事会の名簿が虚偽であること、正規の理事名簿(定数8名)で計算すれば、出席したという6名の理事のうち部外者(松吉保)が1名、特別利害関係人2人(親子、実弟、松吉保彦、松吉孝雄)を除けば3人(桜井菊蔵、桜井勇、井崎勝行)であり、正規の出席可能理事6人(桜井菊蔵、桜井勇、井崎勝行、桜井淳一、桜井春雄、松田博光)のうち3人出席では過半数に達していないから、その理事会は成立していない。

第二に、そもそも6人の理事が平成23年11月3日に理事会を招集し、開催した事実は存在していない。理事会を開いたことにして、後で議事録に署名しただけである。
野根漁協の特別調査報告書でも出席したという理事のうち2名(桜井勇、松吉保彦)はその日出漁していて陸にはいなかったとされている。

第三に、桜井菊蔵が本件貸付金申請の直前に組合長に選任されたという理事会は、正規に招集されたものではなく、また、議決に参加した理事のうち松吉保は理事に選出されたことは一度もない部外者である。そのものを除くと出席理事は4人しかいない。8人の理事が存在している中で、4人の出席では理事会は成立していず、桜井菊蔵は組合長にはなれない。正規の組合長でない者が、申請して借り受けた貸付金は漁協として責任を負えない。

第四に、本件貸付金を議決したとされる総会の議事録を見ても、1000万円借り入れるという文言は何も記載されていず、訳の分からない「定款変更」の話だけである。
組合員総会で1000万円を借り受けるという決議はしたことがない。
以上のような主張について松延宏幸側が反論することができるであろうか。
最高裁では、虚偽の理事名簿を提出し、特別利害関係人の計算をして乗り切ったが、野根漁協の総会でその虚偽名簿が通用するかどうか。かつて一度も正規の総会で選任されたこともない人間を3人も理事にでっちあげ(従って正規の理事3人を抹消)する行為は雲の上の最高裁や高裁では通用するが現場では笑われるだろう。例えばそのでっちあげ理事のうち一人(松吉裕也)は、野根漁協の職員である。職員は経営者である理事職を兼任できないことは自明であろう。

3、貸付金規則の実行

本件貸付は貸付規則に基づいて実行された。この貸付規則は、正規の手続きで公示されていず、無効なものであることは、第二審、最高裁でも認定され、本件貸付はいかなる規則にも基づかず、町長の裁量によって行われたとされた、という。
しかしながら、東洋町長松延宏幸は、この貸付を行うにおいて議会で本件貸付規則を示し、それが定めた手続によって貸付を行うことを言明した。
してみれば自らの裁量によって本件貸付規則に基づいて貸付を実行したということができるから、本件貸付規則の各規定に自ら拘束されるということになる。

本件貸付規則第第10条に組合及び転貸しを受けた漁業者が「貸付金を目的以外に使用したときには貸付金の一部又は全部について返済を求めることができる」と定めている。
転貸し先である松吉小敷が目的にそって漁具類を購入したという記録、これを操業で利用したという事実を証する記録は全くない。松吉小敷が1000万円の借入金で何かを購入したという形跡は全く存在せず、松吉小敷は本件借入金を受けて1年もしないうちに操業をやめたまま今日に至っている。
貸付金の使途を確認するのは被告の責務であり本件規則第12条には関係漁業者から「関係帳簿類その他必要な物件」を検査することができることになっているが、被告は全く無関心である。

目的通りの漁具の購入の事実がない、使途が不明である以上、償還期日に関わらず、規則第10条に基づいて本件貸付金の全額の返還を求めねばならなかったが、被告は何もしていない。返還金は債権であり、これを回収しないのは松延宏幸の違法行為である。

4、すでに3期分が償還期日を過ぎた
1件記録によれば、本件貸付金の償還について督促状を発行しているがすでに3期分600万円が返済期日を過ぎている。やがて残りの1期分も間もなく返済期日を過ぎても返済がされないし、最後の1期分も同じように返済され得ないだろう。
すくなくとも、これまでの3期分については地方自治法に定められた通り、債権を実行しなければならないし、公金を確保しなければならない。本件貸付金を借りた当時の漁協理事会の署名理事の中には高齢のためすでに死亡したり(2人)、漁業をやめていく者が続出している。
本件規則第11条によれば、償還期日までに支払わなかった場合10.75%の延滞金を徴収することになっている。すでに延滞金だけでも100万円を超えている。
2年後以降の延滞金は年間100万円を超えることになるだろう。

5、督促状などの送り先の誤り
被告は、督促状を野根漁協に送付して受取がなされなかったなどといっているが、
現在の野根漁協の本件貸付金についての拒絶的態度は変わらない。又その理由が存在する。
被告が償還金を請求する相手は、本件確約書に署名押印した「理事」たちである。
その理事について原告が、それらは正規の理事ではない、と主張したのに対し、被告は最高裁まで一貫してそれが正規の理事であるとして否定しなかった。

前掲高裁判決文の通り漁協総会では本件貸付金については否認された。理事会の成立も重大な疑義がある。そうである以上少なくとも総会承認のない事業についてこれを実行した責任は当時の理事に係ることは明らかである。
 その確約書(甲第3号証の1,2)によると、「3、規則に定める事項及び本確約書の履行が困難となった場合、町が法的措置(役員等の個人財産への差し押さえ、提訴等)を執行することについて、異議はありませ」と確約されていた。
被告と談合して本件貸付を実行したのは、これら確約書に署名押印した「理事」たちであることは明らかである。

支払いの通知書や督促状、また催告書を間違った者に送り続けたのでは全く無効な行為であり、送ったことにはならない。強制徴収も訴訟も相手が間違っているなら問題外である。
被告は、これらの事情はよくわかっているはずだから、督促状の送り先が借り受けた当時の理事かまたは、又貸し相手であることを知っていながら、わざと情実か何かで避けているものと考えられる。

以上の通りであるから、平成23年11月台風の災害の救済名目で出した東洋町の公金1000万円は丸ごと使途不明となり、償還期日とは関係なく全額返還されるべきものであるが、何の手続きもなされていない。また、これがまともな貸付金としても、償還期日が超過しているのに元金(3回分600万円)も延滞金もそのまま放置されている。
償還金の徴収は時効が来るまでの間にすればよい、という考えでいるが、理事会に署名押印したという理事のうち、すでに、当時組合長を名乗っていた桜井菊蔵と理事であった松吉孝雄は死亡している。次々に高齢化した関係者はこの世から去っていくのは止めようがない。時効の前に死に絶えたら徴収すべき方策がなくなる。

1000万円の公金を回収して町民のために有効に使うということでは、被告は、可及的速やかにこれを処理する義務がある。

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2016年10月 4日 (火)

東洋町長による不正融資事件

平成23年に起こった東洋町長による不正融資事件は、今二つの裁判に発展している。
一つは、原町長松延宏幸にその不正融資の責任を直接問う裁判であり、これは高知地裁(原告住民敗訴)→高松高裁(原告住民勝訴)→最高裁(原告住民敗訴)→高松高裁(原告住民敗訴)→原告住民最高裁へ上告という自体になっている。これについて上告理由書を掲載します。

上告理由の最も重要な点は、裁判所はいずれも本件貸付金の制度は一般に交付されていず無効だと判断している。

すなわち町長が一般の住民に知らせず特定の者にのみ知らせてこの制度を実行したという事実は裁判所も認容した。
そうすると、このような行政は憲法14条の平等原則に違反することになる。

もう一つの裁判は、上記の裁判で松延宏幸町長が不正融資の責任を逃れたとしても1000万円貸し付けの公金が現時点で一銭も返済されていない以上は、松延宏幸にその貸付金の回収義務は発生している。納期を過ぎた貸付金については地方自治法や町の財務規則(第30条)に基づき法的措置(差し押さえなど滞納処分)をしなければならない。
松延宏幸はこれを放置している。

現在これについては東洋町の監査請求を経て高知地裁に債権回収の怠る事実があるとして提訴している。
これについても訴状を掲載します。

平成28年(行サ)第6号
損害賠償請求行政上告提起事件
上告人 澤山保太郎
被上告人 東洋町長松延宏幸
          上告理由書
                        平成28年9月7日
最高裁判所御中
                        上告人 澤山保太郎
【一】、上訴権について

本件において平成26年12月18日の第2審高松高等裁判所の判決の後、被上告人は平成27年2月5日最高裁に上告及び上告受理申立をした。
しかしこの上告又は上告受理申立は平成14年に改正された地方自治法(242条の3「訴訟の提起」が追加された)に照らせば、最高裁がこれを受理したのは間違いであり、民事訴訟法第316条第1項第1号に該当し無効であると考える。

この主張は、上記上告及び上告受理申立に対する本件上告人(当時被上告人)の「答弁書」また、差戻し審の高松高裁での審理において主張したが、最高裁も高裁もこれについて判断をしなかった。

本件は地方自治法242条2の1項4号規定(これを単に4号規定と呼ぶ)に基づく住民訴訟であり、被告 東洋町長 松延宏幸 であって、
町長という執行機関を当事者とする訴訟という事で、町長側は応訴したことになっている。
したがって本件は応訴であるから、地方自治法第96条1項12号(訴訟の提起の議会議決 これを単に「12号規定」と呼ぶ)に該当しない、東洋町議会の議決はいらないということになる。

①応訴したということもあり、また、②「12号規定」が適用されるのは、首長ら執行機関ではなく「普通地方公共団体が当事者となる・・・訴訟の提起・・・」となっているからである。
しかし、上告人は、これまでの「4号規定」訴訟について、首長側が上訴する場合「12号規定」の適用の要否について新たなる判断が必要であると考える

理由:
1、改正される前の「4号規定」では、住民訴訟は直接首長や職員を相手に損害賠償請求の訴訟を起こすことになっていた。しかし、平成14年以降現行の「4号規定」では、「執行機関」の長や職員を当事者とする住民訴訟は、新設された242条3の2項以下の規定に見るとおり、究極的には普通地方公共団体が、首長や職員に対しての訴訟に転化することになった。すなわち住民の起こす訴訟の究極目的は当該普通地方公共団体をして、問題を起こした長や職員に対して損害賠償の訴訟を起こさせることを求めるものと変更された。住民訴訟は必ず当該普通公共団体による訴訟にまで発展するわけではないが、最終的には地方公共団体が訴訟で決着させることになった。

税金などの支払い督促は普通地方公共団体の長の事務であるが、これ自体は訴えの提起ではない。しかし、異議が出されると訴訟に移行するので議会の議決が必要とされている。(昭和59年5月31日最高裁第一小法廷判決)
地方自治法242条3の第3項で、提訴する場合には「12号規定」の議決は不要でほとんど自動的に地方公共団体が当事者とする訴訟に移行することになっている。
したがって、現行地方自治法では、「4号規定」による訴訟は、当該普通地方公共団体を当事者とすると考えられる。

2「12号規定」では、地方公共団体が提訴する場合に議会の議決が必要で応訴の場合は議会議決は不要とされている。
ところで、住民訴訟で首長や職員が訴えられて首長らが敗訴した後上訴する場合は、これは応訴でなく提訴であると考えられている。
通説(「逐条地方自治法」長野士郎著平成8年4月20日発行 学陽書房 289頁)では、「訴訟を提起された場合、その判決に不服ありとして地方公共団体が上訴する場合には議会の議決を得なければならない。」とされている。
議決を必要とするという「12号規定」は本件のような執行機関を当事者とするが、やがて当該普通公共団体を当事者として登場させる場合には、敗訴後の上訴についてはこれを適用させるべきである。
  「4号規定」の訴訟が当該普通公共団体を前面に引き出すことを目的とし、究極的には当事者として登場することになることは地方自治法第242条3の2項、3項、4項、5項の各規定から明らかであ。
従って本件は、上告提起の重要な手続きを履践していず、民事訴訟法第316号第1項1号に該当して上告を受理することは出来ないはずである。
  ちなみに、被上告人が本年2月24日に東洋町議会議長に対し、当該議決についての公文書開示請求をしたが、町議会議長は被上告人に、その公文書は存在していない、本件上告の提起及び上告受理申立てについて議会に議案を上程されていない、と回答している。

 【二】、原判決の問題点と批判

一、事件の経過

 本件は平成23年夏の台風により高知県東洋町の沿岸漁民がその漁具などを被災し、これにつて地元漁業組合(野根漁協と呼ぶ)が町役場に支援を求め、被上告人東洋町長が被災漁民のうち特定の一家に野根漁協を経由する形で1000万円を又貸し融資をした事件であるが、住民がこの融資を不正であるとして訴訟を起こしたものである。
 訴訟は町側の融資手続き上の瑕疵(特に貸付規則)と漁業組合側の借受手続上の瑕疵(特に理事会の成立)をめぐって争われた。

①第1審高知地裁判決(平成25年9月20日 棄却)では、貸付規則については公布されており瑕疵はないが、漁業組合の借受を決議した理事会の成立については、「理事会決議には手続上の瑕疵がある可能性がある。・・・上記瑕疵が組合員の総意でもって追認されたとは言い難い。・…この点において違法な公金の支出という余地がある。」と判断したが、町長側に「その違法性を認識していたと認めるに足りる証拠はない。」として住民側を敗訴とした。

②第2審高松高等裁判所判決(平成26年12月18日 1部認容)では、貸付規則は公布された事実がないとしてこれを無効とし、漁協理事会についても、決議に参加した理事6人の中に特別利害関係者が2名入っており、理事会は成立していないとしてこれを無効と判断し、町長松延宏幸に、貸し付けて返済される見込みがない1000万円全額について弁済責任を認定した。

③最高裁第二小法廷の判決(平成28年1月22日)では、町長側の上告を認め、漁協理事会は、特別利害関係者を除いて残り4人の理事の全員が賛同しており理事会は成立したとえ本件貸付規則が無効なものであっても町長の裁量で遂行したものと考えられるから本件貸付は合理的なものである、と判断し、高松高裁に差し戻した。

④差戻し高松高裁判決(平成28年7月15日判決 控訴棄却)は、上記最高裁の判決と全く同趣旨である。理事会も成立しており、貸付規則は無効であるが、貸付は町長の裁量行為で何の問題もない、というものであった。

二、差し戻し高裁判決の問題点

1、判断と事実認定の矛盾

原判決21頁上段で「本件規則は、地方自治法第16条5項において準用する4項の定める公布手続きを欠いたものであり、効力を生じていないというべきである。従って本件貸付が本件規則に基づいて行われたものということはできない。」という。
 しかし、公布手続きに瑕疵があり効力を生じていないという事実はそのとおりであるが、「本件貸付が本件規則に基づいておこなわれたということはできない」というのは事実に反するし、原判決自身の記述(原判決6頁「本件貸付に至る経緯等」)に反する。

①「東洋町議会は、・・本件規則に基づく貸付資金としての1000万円・・」6頁下段
②「野根漁協は、・・・本件規則に基づき ・・・本件申請をした。」6頁最下段
③「松延は・・・本件申請に基づき・・・野根漁協に対し、1000万円を貸し付けることを決定する旨・・・・」7頁上段
④「野根漁協は、・・・・本件規則2条(1)に基づき本件申請をするとの本件理事会決議をした。」18頁上段
⑤「東洋町議会は・・・本件規則に基づく貸付資金としての1000万円の歳出・・・」 
          18頁下段
⑥「野根漁協は・・・東洋町に対し本件申請をした。野根漁協はその際、申請書・・とともに添付書類として・・・理事会議事録、・・・確約書、・・事業計画書、・・・償還計画書・・・を提出した。」19頁下段
⑦「初回の返済まで1年以上据え置き以降5年間の分割払い」23頁下段
⑧「・・台風6号の被害復旧に限ってその資金を野根漁協に無利子で貸し付け、理事の連名による確約書の提出以外には担保を求めない・・・・」27頁中段・・・
このように、原判決の大半の頁で本件規則に基づいて貸付が行われたことを詳述している。前掲原判決の文章「本件貸付が本件規則に基づいて行われたということはできない」は、本件裁判の最も重大な事実についての認定と、判決に直結する判断が根本的に矛盾し、その矛盾について合理的な説明がなされていない。

2、無効な規則に基づき実行

本件貸付は、原判決の認定する通り、本件貸付規則に基づいて実行された。
 このことについては、第1審~最高裁に至る間、上告人も被上告人も何ら争うものではない。そして、国民の福祉に関することで民衆に公布されていない法令(条例・規則含む)は無効であり、本件貸付規則も公布されていないので無効であった。
 従って合理的に本件行政行為を理解する方式は、本件貸付は無効な規則に基づき実行された、という風に把握されねばならない

3、憲法第14条法の下の平等の否定

国民の権利や福祉に関する事業で一部の者以外は国民全般に知らされていないことを理由として無効な法令(法令の目的や様々な手続の規定を含む)だと断定されて、それが実行された事件について、裁判所はどのような判断をするべきであろうか。
 例えば国民に公布されずに何らかの新しい刑法が施行される場合、それが国民のためにいいものであれば、法務大臣の裁量権で実行され得るということになるのであろうか。
 刑罰がある法令を知らされていない国民がその法令に違反したということで罰せられるということが「合理的」だといえるであろうか。

 あるいは、国民全般には知らせず一部の者にだけ知らせて国民への新たな給付事業が実行された場合、それはいい事業であるから厚生大臣又は地方首長の裁量権でやっても構わない、ということになるのだろうか。その給付事業を定めた法令や条例規則を知らされていない国民の受ける経済的不利益、不平等な取り扱い、知らせてもらった一部の国民の不当な特権は、日本国憲法のどの条項に適い、「合理的」な行政だといえるのであろうか。
 本件の場合、貸付規則は無効であるというが、その無効の内容は、貸付規則を住民一般に知らせなかった、という無効であり、ごく一部の者にだけ知らせその者らのみに申請手続きの書類を渡して貸付事業を実施した、というものであるが、これが「合理的」であるというには、日本国憲法から法の下の平等などの基本的人権に関する憲法の規定を削除する必要があるのではないか。

 憲法第14条第1項は、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と規定している。ここに列挙された人種、信条、などのほかにも例えば衆議院選挙での議員定数の不均衡(1票の価値の不平等)などが法の下の平等原則違反とされている。
 国民の福利に関する法令が、国民全般に知らされず、一部の者にだけ知らされて施行された場合、知らされなかった国民は経済的に不平等な扱いを受けたことになり、法の下の平等が拒絶されたということになる。

本件の場合も本件規則の存在が住民全般(少なくとも被害漁家全員)に知らされず、一特定漁家にのみ知らされて実行された場合、知らされなかった者については行政施策が施される機会が奪われたということになり、不当な差別を受けた、法の下の平等が侵害されたということになるであろう。
 本件貸付規則は無効であるが、事実として本件貸付はその無効な規則に基づいて手続等がなされた。無効な法令に基づく行為、法の下の平等を侵害する行為を、首長の裁量行為だと言い換えても、日本国が憲法に基づき統治されている以上、憲法違反の事実を「合理的」だなどということはできない。

三、本件理事会の不成立

 原判決は24頁~25頁において、平成23年11月3日開催の理事会について、本件についての最高裁第2小法廷判決と同じ趣旨でその有効な成立を認めた。
 しかし、第1審から最高裁、原判決に至るどの時点でも、野根漁協の理事が誰であったかについて一度も確定していない。

 原判決は、上告人が提出した書証(項39号証、33号証)について「控訴人の指摘する上記報告書中の記載は、これを裏付ける証拠がないし・・・本件理事会決議当時の理事がこの記載通りであったと認めることはできない。」といって、甲11号証、甲21号証の別紙4No1 などに署名押印している6名の理事(桜井菊蔵、井崎勝行、松吉孝雄、松吉保、桜井勇、松吉保彦)を「本件理事会の決議をしたものと認める」というのである。

上告人が出した平成23年当時の野根漁協の理事会の構成メンバーの書証は、野根漁協が作成し県庁に届けたものであって、これ以上に理事会メンバーを「裏付ける証拠」などはどこにもない。その理事や役員は平成21年6月の野根漁協の総会で選任(任期3年)されたものであって、平成22年、平成23年度に有効なものであった。任期期間中数名が辞意を表明し辞表も出していたが、新たな後任の選任行為はなされなかったから、辞表を出した理事も野根漁協定款の規定で引き続き理事の任務を果たす義務があったものである。
 原判決は、「議事録「」や「確約書」に署名押印している理事が、真実の理事であるということをいかなる証拠に基づいて判断したのであろうか。

 特別利害関係人についても松吉保彦と松吉保の二人だけしか認定していないが、松吉孝雄も融資を受けた小式網の松吉保の実弟であり明らかに特別利害関係者である。
 原判決も最高裁判決も、理事の構成メンバーについて証拠に基づいて判断をしていない。
誰が特別利害関係人なのかについても無知のまま判例を適用し、数の計算をしている。
 正規の理事会名簿について一つも審理せず、上告人の出した確定的な証拠を否定し、何の証拠もないのに一方の拵えた理事名簿を採用した原判決は、少なくとも審理不尽であり、虚偽の事実に基づく判断として非難される。

 挙げられている「議事録」や「確約書」で署名押印している理事そのものについて現在の野根漁協や上告人が、それを認めないと主張している。
野根漁協の当時の正規の理事は甲第39号証や33号証であって、その正規の理事で判断すると、特別利害人2名(松吉保彦、松吉孝雄)をのぞいて本件理事会の決議に出席できるものは6名(桜井菊蔵、井崎勝行、桜井勇、桜井淳一、桜井春雄、松田博光)であり、松吉保は正規の総会で選任された理事ではない。そのうち出席したのは桜井菊蔵、井崎勝行、桜井勇の3名にすぎず、これでは特別利害関係者を除く理事6名の過半数に達していないのである。

四、首長の裁量と法治主義

1、原判決は、本件貸付規則は無効であるが、首長の裁量権限で貸付を行ったものであるので本件貸付は適法である、とした。
しかし、いくら裁量行為であるとしても貸付けに係る公金の支出については地方自治法、各地方自治体の財務規則など厳しい規定があり、それに基づかずに公金の支出をすることは許されていない。貸付は裁量行為ではない。
 本件について最高裁が高裁に差し戻しをしたのは、最高裁が判断した事項以外のその他に違法行為がなかったかどうか審理せよということであった。
 例えば、東洋町の財務規則第39条では、支出命令をする場合には、「支出の内容を示し、債務の履行の確認を証する書類を添付しなければならない。」として貸付金の場合の添付書類としては、「貸付金の支出については、名称、金額、目的、根拠規定等の事項」を示す証拠が必要だとされている。この財務規則は全国共通のものであって貸付金の支出の際には、貸付金の根拠規定の書類すなわち貸付規則の第何条に該当するものかを示さねばならない。首長の自由裁量というわけにはいかないのである。
 
2、原判決が、「普通地方公共団体は、制定された条例、規則に基づく場合のほか、裁量により他者との間で消費貸借契約を締結することができる。」という。
 しかし、消費貸借契約であれ請負契約であれ、およそ公金の支出の原因となる行為については全て法令や条例規則に基づかねばならない。
 第一に公益目的があり、平等原則が守られ、既定の適法な手続きに従わねばならない。
 原判決が言うように制定された条例や規則があるのにこれに基づかずに、長の裁量で施策がなされてもよいということになれば、法治国家の実質がなくなってしまう。
 確かにに災害被災者を救済するのに、補助金制度を使うか、貸付金制度を使うか、あるいは別個の条例規則を作って対応するか、その内容も有利子にするか無利子にするか、
 償還期間はどの程度にするかなどは首長の裁量に任されていると言えるだろう。
 あるいは又、法令の定めや条例規則の定めがない分野の事業では、どうしても首長の裁量で事業が選択され、遂行されるという場合もあるかもしれない。
 しかし一旦、これと決めたら、その制度に関する法令、規則に従わねばならないし、なければ制定しなくてはならない。

3、憲法第31条は、「何人も、法律に定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。」と定めている。これは刑法に関することであるが、その枠を超えて法律に基づく行政行為(行政手続)一般をも規定するものと解釈されている。
 法律に基づく行政 は今日行政法学五の基本テーマであり、特に公金の支出など財務会計行為については、厳格に法律に基づいて執行されねばならない。上掲の原判決の判示は、制定された法令や条例があってもこれを無視して首長の裁量で行政を行ってもよいという途方もない無法行為の容認であり断じて許されない違憲判断である。

以上の通り原判決は憲法違反や、理由齟齬、理由不備など重大な欠陥があり、これを破棄しなければ著しく正義に反するものと思料する。

東洋町職員措置請求書
                    平成28年7月  日
東洋町監査委員殿
                    請求者
                    住所
                    氏名           職業
                        
(措置請求の趣旨)

東洋町は平成23年11月に野根漁協を介して特定漁家に対し1千万円の貸し付けを行ったが、現在において1銭の返済も受けていない。1年間の据え置き期間を置きその後毎年200万円の返済を受けることになっているが、町長はこれまでその徴収を怠り、今後もそのまま放置する可能性がある。町長松延宏幸は、速やかに本件貸付金の回収をする義務があり、そうしないなら、松延宏幸自身がこれの全額賠償責任がある。

(請求の理由)

東洋町は、平成23年11月野根漁業協同組合に対し、特定漁家に対して又貸し資金として1千万円(無利子)を貸し付けた。返済は貸し付けた年度を除外して翌年から年に200万円となっていた。新聞報道では、現在まで東洋町は貸付先関係者から1銭も返済金を徴収していない。

平成25年度から計算してもすでに4年目(24年度から計算して5年目)であり、このまま未回収では1千万円がまるごと町の損害金となる。この貸付金については現在の漁協は理事会、組合員総会で正規のものではないとして否認している。
しかし、貸付当時の漁協理事を名乗る者に責任があることは明らかであり、また、その理事の手による返済について滞納した場合法的措置を取られても構わないという「確約書」も東洋町は徴取している。

町長松延宏幸は貸付金のうち少なくとも3年度分の徴収を怠っていることは明らかであり、残る2年度分も徴収しない可能性がある。
東洋町は、すみやかに、又貸しを受けた漁家(その連帯保証人)又は当時の野根漁協理事を名乗る者らから本件1千万円の返済金を徴収するか、それともこの貸付を実行した町職員に弁済させるなど適切な措置を取る義務がある。

よって地方自治法第242条の規定に基づき、住民監査請求を行う。

 (添付書類)1、借用書
  同    2、確約書(6名分)
  同    3、確約書(2名分)
  同    4、高知新聞記事(平成28年7月16日号)

訴   状
          高知県安芸郡東洋町大字河内405番地1         
          原告 澤山 保太郎
          高知県安芸郡東洋町大字生見758番地3      
                被告 東洋町長 松延 宏幸

  損害賠償請求事件 
 訴訟物の価額 160万円
貼用印紙額  1万3000円

   【請求の趣旨】

1、被告は、東洋町長松延宏幸に対し、東洋町財務規則第30条に基づき前任の野根漁業協同組合理事らに対して貸付金1000万円の弁済を確保する法的措置(滞納処分)をとらなかったことによる損害金(少なくとも600万円)を松延宏幸が町に対して弁済することを求めよ。

2、訴訟費用は被告が負担する。
との判決を求める。

【第1、当事者】

1、 原告は、東洋町の住民であって、本件について平成28年7月19日に東洋町監査委員会に住民監査請求をし、平成28年9月15日付の請求棄却の通知を受けたものである。

2.被告東洋町長松延は、平成23年4月から現在まで東洋町長であり、本件貸付を実行し、その貸付金を回収する義務あるものである。

【第2、請求原因】

一、監査委員の請求棄却理由

前記東洋町監査委員の棄却理由によると、松延宏幸東洋町長は、
①平成25年度分、②平成26年度分、③平成27年度分について納入通知書や督促状
を野根漁業組合(以下野根漁協と呼ぶ)に書留郵便などで送付しており地方自治法240条第2項、地方自治法施行令第171条の義務を履行し、かつ東洋町財務規則第29条に基づき期限を付けて督促状を出しているから、松延宏幸に本件貸付について違法行為はない、というものである。

二、しかし、仮に、上記①、②、③、の督促等の行為が事実有効に行われたとしても、地方自治体は、滞納金についてただ督促状を発行しておればよいというものではない。
前記東洋町財務規則の第29条に続く、第30条第1項には
「歳入管理者は、前条の場合において、当該督促を受けた者が指定された期限までにその金額を納付しないときは、法第231条の第3項の規定により地方税の滞納処分の例により処分することができるものについては、速やかにその処分に着手しなければなら ない。」との規定があり、第2項には

「2 前項の場合において財産の差し押さえについては、町長が、その命じた職員をして行わせるものとする。」との規定がある。上記①,②,③についてはすでに指定した納期を過ぎているか、間もなく過ぎるものである。
東洋町財務規則第30条に基づき松延宏幸は、「地方税の滞納処分の例により」本件貸付金の滞納について処分をする義務がある。

少なくとも、平成25年度分、26年度分、27年度分、各200万円の債権について法的な滞納処分を取らないのは、違法であり、松延宏幸に弁済の義務がある。
また、28年度分、29年度分の各200万円についても督促する相手が間違っているなどの理由で回収する見込みが全くなく、回収しようとする意思さえ不明確である。
三、本件貸付金は、東洋町が、平成23年6月の台風で東洋町沿岸の多数の漁業者が甚大な被害を被り、その救済策として、被害漁具などの修繕などのために1000万円を限度とする貸付金制度を設けたものである。しかし、松延宏幸はこれを一般に公布せず野根漁協を迂回して特定一漁家にだけこの資金を全額融資することにした。

 迂回融資された漁家は、この資金を申請した通りの使途に使用した形跡は全くなく、融資金を得て間もなく漁業から手を引き、返済の意思は毛頭見せていない。
 しかし、野根漁協はこの借受けについては正規の理事会、正規の総会の決議を経過していず、返済の義務を否定していて督促状等も全て東洋町役場に返えしているとのことで、本件貸付金の弁済は全く見通しが立っていない。
四、被告は、松延宏幸が、野根漁協に対して本件貸付金について納付書や督促状等を送付したというが、野根漁協は別訴事件において本件貸付金を否認している。
実際本件貸付金について野根漁協の理事会、野根漁協の組合員総会においてこれを借り受けるという正規の決議は存在していない。後の野根漁協組合員総会においてこれを明確に否定している。

 但し、平成23年11月本件貸付金1000万円の借受けについて当時野根漁協理事会を名乗る「理事」達が、この借受け金について返済の責任を取るとの「確約書」(甲第3号証)が存在し、それによると、差し押さえなど法的措置を取られても構わないという趣旨の誓約が明記されている。松延宏幸もその「確約書」を信じて本件貸付金を融資したと推定される。

従って、松延宏幸が本件貸付金返済の督促をする相手は、1000万円の又貸しを受けた本人(松吉保、松吉保彦親子)を含む「確約書」に署名している当時の「理事」を名乗る者に対してするべきであり、そのことが分かっていながら無関係な野根漁協に対して、督促を繰り返すのは、真面目に公金の回収をする意思がないことの証左である。
従って、無関係な団体に納付書や督促状などを送ったとしてもそれらは何の意義もなく、これまで全く借金の督促をしなかったと同然であって、これからも同じである。

 【立証方法】

一、甲第1号証  監査請求書 
二、甲第2号証  監査請求棄却通知書 
三、甲第3号証  「確約書」   
  四、甲第4号証  支出命令書
  五、甲第5号証  貸付金規則
  六、甲第6号証  借用書
  七、甲第7号証  償還計画書
八、甲第8号証  東洋町財務規則(抜粋)
     【添付書類】
一、訴状副本 1通
二、甲号各証 各1通
平成28年9月  日
高知県安芸郡東洋町大字河内405番地1
                   澤山 保太郎
高知地方裁判所 御中

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2016年7月27日 (水)

戦いは続く

News & Letters/506

うその理事会名簿が功を奏し、1000万円の支払い命令を解除された東洋町長松延宏幸は差し戻された高裁でも、その嘘の効力を維持して成功を収めた。これはまだ上告審が残っている。

それとは別にすでによこしていた通り、新たな監査請求のお見舞いをくらうことになった。
野根漁協は1000万円の借財は正規の理事会や総会を通過していないとして支払いを拒否し続けてきた。

だから、1000万円の元金の返済はこれまで一銭もない。平成24年度から計算しても5年目である。
うその理事会名簿を押し通すというのであるから、それでは松延宏幸はそれらから1000万円を回収しなければならない。
その嘘の理事会は、滞納したら自分たちが法的責任を取られてもかまわない、という確約書を町に出している。

貸付金を回収する義務からは逃れられない。ここでは嘘は通らない。回収できなければ松延宏幸自身が支払わねばなるまい。

東洋町職員措置請求書
                  平成28年7月  日
東洋町監査委員殿
                  請求者 沢山保太郎
                   住所
                   氏名         職業
                   住所
                   氏名         職業
                   住所  
                   氏名         職業
                   住所
                   氏名         職業

(措置請求の趣旨)

東洋町は平成23年11月に野根漁協を介して特定漁家に対し1千万円の貸し付けを行ったが、現在において1銭の返済も受けていない。

1年間の据え置き期間を置きその後毎年200万円の返済を受けることになっているが、町長はこれまでその徴収を怠り、今後もそのまま放置する可能性がある。町長松延宏幸は、速やかに本件貸付金の回収をする義務があり、そうしないなら、松延宏幸自身がこれの全額賠償責任がある

(請求の理由)
東洋町は、平成23年11月野根漁業協同組合に対し、特定漁家に対して又貸し資金として1千万円(無利子)を貸し付けた。返済は貸し付けた年度を除外して翌年から年に200万円となっていた。現在まで東洋町は貸付先関係者から1銭も返済金を徴収していない。
平成25年度から計算してもすでに4年目(24年度から計算して5年目)であり、このまま未回収では1千万円がまるごと町の損害金となる。この貸付金については現在の漁協は理事会、組合員総会で正規のものではないとして否認している。

しかし、貸付当時の漁協理事を名乗る者に責任があることは明らかであり、また、その理事の手による返済について滞納した場合法的措置を取られても構わないという「確約書」も東洋町は徴取している。

町長松延宏幸は貸付金のうち少なくとも3年度分の徴収を怠っていることは明らかであり、残る2年度分も徴収しない可能性がある。

東洋町は、すみやかに、又貸しを受けた漁家(その連帯保証人)又は当時の野根漁協理事を名乗る者らから本件1千万円の返済金を徴収するか、それともこの貸付を実行した町職員に弁済させるなど適切な措置を取る義務がある。

よって地方自治法第242条の規定に基づき、住民監査請求を行う。

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2016年7月24日 (日)

避難タワー上告理由書

News & Letters/503

平成28何(行サ)第5号
損害賠償請求上告提起事件
上告人 澤山保太郎
被上告人 東洋町長松延宏幸

   上告理由書

最高裁判所御中 
                   平成28年7月
                   上告人 澤山保太郎

【上告理由の要旨】

原判決には、建築確認がなされていない設計図で公共の建造物を建設したものであり、建築基準法第6条第1項に反する違法のほか、根拠もないのに数千万円の工事費の水増しや、また、予算の違法な繰越を行うなどの違法行為についてこれを容認するなど、法令適用、法令解釈の誤り、審理不尽・理由不備の判断が重畳しており看過することができないので上告するものである。

  【一】本件の概要及び経緯」

東洋町は、平成24年度事業として同町生見地区で津波避難タワーの建設工事を予算化したが、どういうわけかその実際の事業開始は24年度の年度末の平成25年3月以降となり、同年3月18日に指名競争入札を行い川村総合建設(これを単に川村と呼ぶ)と工事請負契約を締結した。

落札価格は7854万円であった。川村は同25年3月28日に着工した。
当然平成24年度内には完成することは不可能であったところ、さらに被上告人には工事請負契約が締結される前の3月15日に県庁から本件津波避難タワーの建築確認が下りないという通知を受けていた。

本件工事に係る設計書は設計業者「かめお設計」によって当初平成25年2月25日に作られていて入札は建築確認がされないその設計書に基づいてなされていた。
その後同平成25年8月にようやく県庁の建築確認がなされて、着工ということになったが、理由もなく延期を重ね、ようやく翌年平成26年3月になって完成されたというものである。しかし、県庁によって補正を求められた新たな変更設計は工事がほとんど完了した、平成26年3月5日に議会に提出され承認された。

そうすると、建築確認後の工事においても変更設計書に基づいては本件工事は行われていなかったということが分かった。
そこで、上告人は、東洋町監査委員会に、本件建設工事は、建築確認がなされない設計書によるもので違法であり、工事内容も請負業者川村のいうままに工期を何度も遅延させ、川村自身は、ほとんどの工事に携わることなく一括して複数の下請け、孫請け業者に丸投げするのを放置し、実際には安く上がった杭打ち工事についてこれを逆に水増し追加予算を計上するなど業者のいいなりにしてやっと完成させたものであって、請負契約及び支出命令など財務会計行為が違法であるとして、変更された請負契約9300万円から実際の経費である5066万円を差し引いた残額を町の損害だとして返還を求めた。

監査請求は棄却され、住民訴訟となったが、第1審高知地裁は、以下の通り上告人の主張をことごとく否定し、被上告人の無法行為を容認して本件訴えを棄却した。

   【二】原判決の法令違反の判断

一、建築確認が下りない設計書

1、建築確認なしの設計図で請負契約

既述の通り、本件工事は正規の建築確認がされていない段階で工事請負の業者を決める指名競争入札が行われ、落札者と即日平成25年3月18日請負契約がなされた。
しかしこの時より3日前被上告人の所には高知県庁から建築確認ができない旨の通知が来ていた。原判決も「高知県建築主事は、同年3月15日付で、東洋町に対し、同建築確認の申請における構造図、避難棟電算等に対する指摘事項を挙げ、一次判定を保留するとして、建築基準法第6条1項の建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができないと通知し・・・・」という事実を認めた。

これは、被上告人が当初に作成した設計図(甲第8号証)が建築基準法に照らして不十分であり許認可に等しい建築確認を取れないということであって、この設計書で請負契約をし、発注することは違法な行為であることは明らかであった。
しかし被上告人はこの設計書で未だ確認申請書の補正がなされないうちに敢えて入札・契約を強行し、本件工事を発注した。それによって川村は同年3月28日に本件工事を着工したのである。この着工は数日後の4月1日に中止となったが、建築工事を始めたことは変わりがない。

この行為は建築基準法第6条第1項の規定に違反(建築確認なしの建築物の着工)し、同法第98条以下の罰条(懲役3年以下など)の対象になるものである。
地方自治法第2条第16項の「地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない」という規定は鉄則であり、ひとり地方公共団体だけでなくあらゆる企業や個人の活動に当てはまることである。

だが、原判決は、本件工事を一時中止した、その間同年8月14日に建築確認が得られて、本件工事が完成した、だから「本件請負契約締結時点で建築確認がされていいなかったとしても、そのことをもって、本件支出命令が財務会計法規に違反してされたものとはいえない。」(第1審判決文10頁上段)といって被上告人の違法行為を容認した。
しかし、中止したとしても着工したのは事実であるし、第一、原判決は、本件請負契約そのものが違法、無効の性質をもつことについて審議を尽くしていない。
建築確認がされていない設計図で建築に関する契約を結ぶのは違法建築の契約締結であ
り、これは民法第90条(公序良俗違反)、民法第132条(不法条件を付した法律行為)に該当し、違法行為を契約する行為は無効となる。

本件請負契約(甲第4号証)第2条第2項では、請負業者は、「別冊の設計書」などに従い契約を履行する義務が定められている。「別冊の設計書」が建築確認がなされていない場合には、契約を履行することは不可能であり、してはならないのである。

2、建設業法の規定は訓示的

また、変更された設計書での変更契約について原判決(第1審判決文11頁下段)は
「変更設計書に基づく本件変更契約が締結されたのは平成26年2月14日の時点では、本件工事の主要な部分は終わっていたとの事実が認められる。
しかし、建設業法第18条は、「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない。」と規定するところ、上記の事実から、本件変更契約の締結が同条に違反しているとは言えないし、そもそも、同条は、訓示的な効果を有するにとどまるものと解され、同条に違反したからといって、本件変更契約が無効になるわけでもない。」という。
工事が終わってからその工事についての契約を締結する行為が、公正な契約と言えるだろうか。すでに実行され実現されたことについてこれから実現するぞという契約はふざけたものであって「信義」や「誠実」からはるかに離れたもので、むなしい虚盲の契約というべきである。実行不能な事柄についての契約は民法の規定では無効なものである。
 建設業法第18条の規定を「訓示的な効果を有するにとどまるもの」というが、信義則 
 に違反する行為は違法かつ無効であって、信義則は決して訓示的な法則ではない。
 原判決は、工事が終わってから契約したという事実(信義則違反)を認定していながら、
 建設業法第18条の信義則の規定の効力を否認して、本件変更契約を適法と判断する。原判決は、公序良俗に反する無効な契約を肯定するために、日本の有効な法律の効果を否定した。法律の効果を否定するこの法意識は特定の法令違反を超えて日本の法治主義の司法秩序を逸脱するものであって、裁判所のよって立つ根拠を否定するものである。到底承服できない。無論、無効な契約に基づく公金の支払いは違法である。

3、推認

8月14日の建築確認後工事が再開されたが変更設計書はできていなかった。変更設計書(甲第9号証)は翌年の2月26日に出来上がり議会で承認されたのは同年3月5日なのである。

地下十数メートルの杭打ち工事の変更を含む変更設計書が議会に提出されたときには、本件工事のほとんどが完成していた。川村は変更設計書なしに、建築確認前の設計書(甲第8号証)か、又は、設計書なしで本体工事を遂行したことになる。原判決はこれについて
「かめお設計が、平成25年2月25日、本件工事の実施設計書を作成したこと、高知県建築主事は、同年3月15日、かめお設計が作成した設計書に対して指摘事項を挙げて補正を求めたこと、かめお設計は、同年8月9日付で、高知県建築主事に対し、図面等を添えて追加説明書を提出し、指摘事項につき補正を行ったこと、高知県建築主事は、同月14日、本件工事について建築確認をしたこと、川村総合建設は、同月15日から工事に再着手したことは、上記認定事実の通りである。これらの事実によれば、本件工事は、かめお設計の作成した設計書に従って進められたものと推認されるのであって、本工事が資格ある建築士の手による設計書なしに進められたとの事実は認めるに足らない。」と判断した。

(下線部上告人)

工事がどのような設計書で遂行されたかというのは、最重要な判断で、客観的な資料に基づいて判断すべきであって「推認」でもって裁判をするような問題ではない。
本件工事についての設計書は甲第8号証と9号証だけであり、前者は建築確認未済のもので使い物にならず、後者は工事がほとんど完成してから出てきた設計書であるから本件工事とは無関係であって、この二つの書証しかない。

「かめお設計の作成した設計書」で本件工事を遂行したというのであれば、甲第8号証の設計書か、それとも他の第3の設計書(又は本件請負契約書第19条の設計変更の書面による通知など)を確認するべきであって、裁判官の「推認」でもってそれに代替するわけにはいかないはずである。

裁判官は本件工事遂行段階の設計書等が他にあると考えるのであれば職権でもって被上告人に釈明を求めることができた。必要な場面で釈明権の不行使は審理不尽の典型的な事例であって上告理由となるとする有力な学説がある。
本件訴訟の中核的な争点で釈明権を行使して証拠を確かめずに「推認」で判断を下すというのは審理不尽もはなはだしい。

二、工事終了後の変更設計による工事費の増額

1、 原判決は、「本件工事が着工直後に中断され、その後設計が変更されたことに伴い請負工事代金が増額されたとしても、それは、本件工事を落札した事業者に対して契約上の合意に従った取扱い・・・」であって、川村以外の業者が落札しても異なることはなかったから問題がないという。しかし、「設計が変更されたことに伴い請負工事代金が増額された」というが、その変更設計は本体工事がほとんど終わってから作成され議会で承認されたものであった。

上述のように原判決も変更設計が出てきたのは本件工事の主要な部分が終わってからであったと認定した。しかしここの文章では、設計が変更されて工事代金が増額となって工事がなされたようになっている。原判決は事実の経過、工事遂行→変更設計を正しく認定していながら、肝腎な争点にかかると、変更設計→工事遂行という実際とは逆の経過を想定してそれに基づいて判断をする。変更設計→工事遂行の経過は通常あるべき姿であるが、実際は逆のことが行われたというのが本件の特徴なのである。

原判決は事実と理念とを取り違えた。何故このような取り違えが合理的なのか理由が明らかでなく理由不備のそしりを免れない。川村は設計書も工事変更の通知もなしに勝手に工事をし、後から値上げを言い出したというのが事実に基づく推認であろう。

2、その工事代金の増額も全く根拠がない。主な設計変更は鋼管杭打ちを→生コンクリ―ト打ち込み方式に替えたというものである。しかし、上告人が原審や控訴理由書で明らかにしたように、川村は本体工事から付帯工事までの全ての工事を下請けにやらせたのであるが、その下請けの工事費の総額は、五千数百万円程度であり、元の契約金7800万円でもほとんど何もしなかった川村にはいながら数千万円の利益となるものであった。杭打ち工事だけを見ても当初の見積もり額よりも少ない金額で下請けにやらせていたことが明らかであって、そのことは上告人の訴状の段階で証拠をもって立証していた。

 原判決は、「かめお設計が平成25年2月25日に作成した実施設計書においては、本件工事の杭打ち工事(回転圧入工法)の工事費は1194万2000円とされていたこと、かめお設計が平成26年2月14日に作成した第1回変更設計書においては、本件工事の杭打ち工事(オールケーシング広報、分解型全集回転方式)の工事費は2754万1540円とされていたことが認められる。この点につき、原告は、鋼管杭打ちを場所打コンクリート杭打ちに変更した場合、金額は安くなるはずであると主張するが、この主張を裏付ける証拠は何ら提出されていないから、原告の主張を採用することはできない。」という。(下線部上告人)

 この工事代金の増額は、訴訟の重要な争点であり、生コン杭打ちの方が安くなるという上告人の原審での主張は証拠(下請けが実際遂行した本件工事の杭打ち工事費は1155万円 甲第7号証)をもって証明していた。この証拠は被上告人が開示した資料である。 鋼管杭打ちと生コン打ち込みとの工事費の差額は一般的な評価ではなく実際の費用でもって証明したのである。原判決は、判決に直結する決定的な証拠の評価について審理不尽を露呈していて、提出された証拠を確認せず、増額する必要のない工事費の不当な水増しを容認したのである。

三、下請けへの丸投げ

原判決は「上記認定事実(10)によれば、川村総合建設は、工事ごとに下請け先を選定しており、本件工事を一括して他人に請け負わせてはおらず、また、川村総合建設が本件工事の大部分を一業者に下請けさせたと認めるに足りる証拠もないから、建設業法第22条1項に違反するとする原告の主張を採用することはできない。」という。そしてその「認定事実(10)」には次のように記載されている。

「川村総合建設は、鉄骨工事につき有限会社高南製作所との間で杭地業工事につき有限会社ベイシス高知との間で、ユニット及びその他工事につき林電設との間で、鉄筋工事につき安岡工業との間で、防水工事につき仙頭防水との間で、それぞれ下請け契約を締結した(甲7,11の1~5)。」

甲第7号証の「工事作業所災害防止協議会兼施工体系図」によれば、本件工事は、①杭工事、②鉄筋工事、③鉄骨工事、④ユニット及びその他工事、⑤防水工事の 5つの工事があったが、その全部が下請けに出されたことを原判決は認めた。
建設業法第22条第1項の規定は、
「建設業者は、その請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。」となっている。
原判決は、下請け業者が一つではなく複数であるから、この法律の適用はないと判断したと考えられる。

しかし、この規定で、「一括して他人に請け負わせる」という「他人」とは、必ずしも単数企業に限定しているとは読めない。国交省の通達(甲第23号証)でも、元請け業者がその業務の全てを分割して他人に請け負わせる場合も含むと解説されている。すなわち、
「いかなる方法をもってするかを問わず」とは、契約を分割したり、あるいは他人の名義を用いるなどのことが行われても、その実態が一括下請けに該当するものは一切禁止するということです。」
請け負った元請け業者が基本的に責任をもって工事を遂行するという法律の趣旨からして、この通達は当然の解釈である。

原判決は建設業法第22条の1項の規定と、同条第2項の規定を一緒にして解釈しているのかもしれない。同条第2項の規定は建設業者は一括して工事を下請けしてはならないというものであり、第1項の規定と2項の規定を合体すれば原判決の様な狭い解釈となるであろう。別箇の法律の規定を勝手に合体させて悪徳業者に有利に捻じ曲げることは許されないだろう。

現実には、原判決は請け負った工事の全てを分割して下請けをさせればこの建設業法の規定を免れるという脱法的な考えを助長することになる。業者がそのような脱法目的をもつことはあり得るが裁判所がそのような脱法行為を容認することは法令解釈の誤りというよりも裁判所の倫理性が問われる事態であろう。

原判決は、建設業法第22条第1項の法律の解釈において立法者側の意図するところを性格に捉え、法律の趣旨を貫徹するという点で、審理不尽・理由不備に陥っている。

四、繰越明許の手続き

 地方自治法第208条では、「各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもって、これに充てなければならない。」という会計年度独立の鉄則が定められている。
よほどの理由がなければ予算を翌年度に繰り越して事業を行うことは許されていない。
しかし、地方自治法第213条において二つの要件を定めて、予算の翌年度繰り越し執行を認めてる。それによると、歳出予算の経費のうち①「性質上」 ②「予算成立後の事由」により、年度内にその支出を終わらない見込みのあるものについて翌年度に予算の繰り越しを認めている。ここで避難タワー建設事業ではその「性質上」というのは全く論外であるから、予算成立後の事由の有無とその内容が吟味されねばならない。

本件事業は平成24年度の分であって、平成25年3月末日までに支出(事業)を終わらせなければならなかった。少なくとも支出負担行為決議書は24年度内にしなければならなかった。しかるに、甲第18号証の1の支出負担行為決議書の日付は平成25年4月1日付になっている。繰越明許費は、年度内に予算を執行しようとしたが何かの事故など特別な事情があって執行できなかったという予算に限定されている。しかし、本件事業については、年度の終末の3月下旬にアリバイ的に入札や請負契約を結んだが、肝腎の支出負担行為を年度内にせず、はじめから翌年度に支出するということになっていた。支出負担行為の決議は予算執行(支出命令)の財務会計行為で最重要な事務手続きであり、その年度内に予算を執行するという意思表示である。

甲第18号証1の証拠は、被上告人が、本件事業を平成24年度に完遂しようという意思がはじめからなかったことを証するものである。原判決は、第1審判決13頁の下段で、県庁から避難タワー建設の手引書の発行の予定があったなど予算成立後の取るに足りない事情を縷々述べているが、その事情は、支出負担行為の決議を年度内にしなかったということまで弁護することにはならない。

又この当時には高知県下太平洋沿岸の市町村で多くの避難タワー建設がすすめられたが、県庁の手引書発行を理由として工事が滞ったという事例は1件も報告されていない。
年度末になって設計書を作成したり、建築確認申請をしたり、請負契約の入札をしたり、あまつさえ支出負担行為の決議を翌年度にするなどというのは、はじめから年度を超えての予算執行を目論んでいた証拠であるから、繰越明許の制度を使うことは理由がなかったのである。

原判決は、甲第18号証1の書証の意味を理解せず、地方自治法第213条の繰越明許の規定の意味を吟味せず、特段の理由もないのに本件予算の繰越明許を認めたものであって、法令適用、法令解釈において審理不尽・理由不備を来している。
繰越明許が不法行為であり無効となれば、本件支出の財源が消え、支出命令の根拠を失う。
   

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ヘリポート上告理由

News & Letters/502

平成28年(行サ)第4号
損害賠償請求行政上告提起事件
上告人 澤山保太郎
被上告人 東洋町長松延宏幸
上告理由書
                    平成28年7月  日
最高裁判所 御中
                    高知県安芸郡東洋町川内405番地1
                    上告人 澤山保太郎                
   【上告理由の要旨】

上告人は、第1審、第2審が本件について理由なく門前払い扱いで審理しなかったことは、憲法で許された国民の裁判権をないがしろにするものであり、また、その判断がこれまでの住民監査請求の期間についての最高裁判例の大勢の流れを全く無視するものであり、また、原判決には判決に影響のある重要な判断で審理不尽・理由不備があり、到底受け入れることができないので上告する。

本件第1審、第2審の判決内容は、これまで積み重ねられてきた以下の最高裁判例に著しく背反している。

①昭和53年6月23日最高裁第3小法廷判決(昭和52年行ツ第84号)
②平成14年7月2日最高裁第3小法廷判決(平成12年行ヒ第51号)
③平成14年7月18日最高裁第1小法廷判決(平成12年行ヒ第76号、85号 )
④平成14年10月3日最高裁第1小法廷判決(平成9年行ツ第62号)
また、
⑤平成9年1月28日最高裁第3小法廷判決(平成6年行ツ206号) 
等に違背するものである。

      【上告の理由】

【一】本件の概要   
  
東洋町は、平成25年6月に町議会で防災施設整備事業の予算を提案可決して2筆の山地を購入し、その土地上に平成26年11月に整備事業を完成させた。
上告人は、翌平成27年5月8日に購入した2筆の土地のうち本件整備事業で全く利用されなかった土地について監査請求を行った。整備事業終了後約半年が経過しただけであった。東洋町の監査委員会では、監査請求は請求期間を徒過しているとして却下したので、住民訴訟に及んだが、1審、2審とも請求期間を徒過しているとして却下又棄却した。
いづれも、防災施設整備事業の中で土地購入の財務会計行為を独立(継続的なものではなく「一時的」なもの)したものとして土地購入時点(平成25年7月)を起算点として判断したものである。

【二】原判決の最高裁判例違反及び法令適用の誤り

一、 しかし、第一に、上告人は、特定目的のための土地購入は、その目的の事業と切
り離すことは不自然であり、土地購入→施設建設は一連の継続事業であることは明らかであり、その土地購入の適否の評価は購入目的である施設建設抜きには不可能であって、継続事業として一体的に捉えられるべきであると考える。事業が継続中にその事業の一環としての土地購入の適否について監査請求はできない。この主張は上告人独自の見解ではない。上告人の主張は、平成9年1月28日の最高裁判例(平成6年行ツ第206号)の趣旨に合致するものであり原判決はこれに違背するものである。

すなわち、最高裁判例は
「財務会計上の行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実とする住民監査請求において、右請求権が右財務会計上の行為のされた時点においては未だ発生しておらず、又はこれを行使することができない場合には、右実体法上の請求権が発生し、これを行使することができることになった日を基準として同項の規定を適用するべきものと解するのが相当である。」という。

 従って仮に原判決が言うように本件監査請求がいわゆる不真性怠る事実に係る請求であったとしても上に引用の最高裁判例が該当する。土地を購入した時点では、土地の利活用の有無は判断できず、その上の施設建設の完了を待たなければ、財産管理の不正について監査請求はできない。上告人の監査請求書に「不正な支出」とあるのはあくまでも施設建設後の土地利用の状況から遡及して判断したものであることは明らかであろう。

 本件土地購入の平成25年6月~翌26年11月が本件整備事業の継続的な期間であり、それが終結した平成26年11月を起算点として監査請求期間を算定するべきであるから、それより半年後の本件監査請求は適法であると考える。

二、また、第二に、本件監査請求では、土地代金が法外に高額であり、ただ同然の山地を坪数百万円で購入しているが、請求自体は、本件整備事業で使用されなかった土地に限定しており、その代金を不正支出であるとして地主に土地を返し、その分の土地代の返済を求めることを請求したものであって、土地の購入代金が不当に高額だとか、本件支出命令が違法だとかという追求は第二義的なものにすぎない。

本件監査請求は明らかに、購入した土地という不動産の管理についての請求であって、活用されない土地についての処分(土地の返還と代金の返還の請求)を問題にしている。
原判決が言うように、「特定の財務会計上の行為を違法であるとし、当該行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実としている・・」(いわゆる不真性怠る事実)などというものとは全く事案を異にしている。土地という財産購入そのものについてではなく、購入した土地の活用の在り方から本件請求はなされている。

原判決は、昭和62年2月20日の最高裁判例を誤って適用しているといわざるを得ず、本件が地方自治法第242条第1項の、違法に財産の管理を怠る事実(真正怠る事実)についての監査請求であることを見ず、法令適用の明らかな誤りを犯したものというべきであって、昭和53年6月23日最高裁第3小法廷判決(昭和52年行ツ第84号)に反する。すなわち、

この最高裁判例は、「当該規定による怠る事実に係る請求については、同条2項の適用はないとと解すべきものであるから、被上告人らの本件監査請求については所論の期間徒過の違法はない。」とした。「当該規定」というのは地方自治法第242条第1項の規定である。

三、またさらに、

  原判決は、購入したが全く使用しなかった「本件土地1」(高知県安芸郡東洋町河内字大野部1436番14)を含む「それ以外の部分」について、元々この土地上には防災施設をはじめから建てる予定がなかったものであると認定した。すなわち、
「本件土地のうち、実際に防災拠点施設等が建設されるのは本件各土地のごく一部であることや、本件各土地のうちそれ以外の部分については、防災拠点施設等が建設することが予定されていなかったことも知ることができたといえる。」(第1審判決9頁)という。
本件防災拠点施設が建設されたのは「本件土地2」(東洋町河内字大野部1436番1)16町歩の一部(約5反)ほどであり、もう1筆の「本件土地2」の上には全く何も建てられなかった。

「本件土地2」も「本件土地1」も町議会では別箇の議案としてそれぞれ防災拠点施設建設の名目で購入が提案されて、可決したものであるが、曲がりなりにも前者の土地のごく一部上には防災施設が建てられたが、後者「本件土地1」上にははじめから施設建設が予定されていなかった、それは誰でもわかることであった、と原判決は言うのである。
だれでも知ることができたのかどうかは別として、使用しない土地であることがはじめからわかっていて、それでもなおこの土地(地元土建業者所有)を相場の数十倍の値で購入したという行為は、背任の罪に該当することは明らかである。

購入したが結果として利用しなかったというのではなく、原判決は、はじめから利用する計画はなかったというのであるから、犯意は明瞭であろう。

このような職員の背任など不法行為に原因する損害に係る監査請求では、本件行為が、財務会計行為の違法によるかどうかの判断に基づく期間の計算による制限(地方自治法第242条第2項規定)は該当せず、いわゆる真正怠る事実の違法(本件の場合刑法に係る不法行為による損害についての請求権)についての監査請求期間(期間制限なし)でもって判断されるべきである。これは上告人の独自の判断ではなく、平成14年7月2日最高裁第3小法廷判決(平成12年行ヒ第51号)の判示するところである。

すなわち、
「本件監査請求について監査委員が監査を遂げるためには、県の財務会計行為である請負契約の締結の事実やその代金額が不当に高いものであったか否かを検討せざるを得ないが、Xらの行為が不法行為法上違法の評価を受けること、これにより県に損害が発生したことなどを確定しさえすれば足り、県の契約締結やその代金額の決定が財務会計法規に違反する違法なものであるか否かを判断しなければならない関係にないから、本件監査請求には本件規定は適用されない。」

適用されない「本件規定」というのは地方自治法第242条2項の監査請求期間1年以内という規定のことである
本件の場合も、土地代金の法外な高さを指摘したり、不要となった土地の代金についてこれを「不正な支出」と断定し財務会計行為の違法性を追求せざるを得ないが、その不正の内容は、財務会計行為上の不正だけでなく背任という不法行為であり、背任行為としての評価を理由に不要な土地の返還と代金の回収を求めていることは明らかである。
上に引用した最高裁判決の趣旨は、平成14年7月18日最高裁第1小法廷判決(行ヒ第76号ないし第85号)、さらに平成14年10月3日最高裁第第1小法廷(平成9年行ツ第62号)のそれぞれにおいて繰り返し引き継がれている。

四、被上告人は、2筆の各土地について町議会で別々に防災拠点施設建設用地として提案
理由説明(甲第3号証1,2)を行った。その当時一般町民がその提案理由説明を疑うこと
ができたであろうか。原判決のいうように「本件各土地のうちそれ以外の部分について
は、防災拠点施設等が建設することが予定されていなかったことも知ることができたと
いえる。」という。購入した2筆は合わせると21町歩であり、利用したのはそのうちわ
ずか5反ほどであった。丸まる1筆6町ほどを合わせ残り20町5反について何も利用
する計画がないなどという東洋町側の説明は町議会でも町の広報誌でも何にも知らされ
ていない。

 議会での土地購入議案の説明では、2筆の土地に防災拠点施設を作るというものであった。被上告人やその一部の部下以外に、提案理由説明以外の意図(土地は購入するが利用するわけではない)を誰が見抜けたであろうか。
特定の目的に使わないということが一般に分かるのは、その特定目的の事業が完了してからであって、数年度にわたるその事業中では分からない。

 従って上告人の監査請求は、土地購入して施設建設が行われた平成25年~27年11月までは、土地代が高額だとか、支出命令が違法だとかいう監査請求はできるが、購入した土地が購入目的に適っているかどうかについての財産管理にかかる監査請求はできない。早くても平成27年度の当初予算(平成27年3月下旬に議会に上程される)にその土地上に施設建設の追加予算計上があるかどうかを確認してから監査請求するのが関の山であろう。上告人は平成27年3月議会終了の1カ月後に本件監査請求をした。

 首長が当初から利用する計画がないのに、あたかも一定時期に利用するかのように議会や町民を偽って財産を購入した場合、それが一部は本当だが大半は偽りであるということは分からないから、いよいよ利用する計画がないという事実を確認してからでないと監査請求はできない。このように事件が隠されたり、住民をだましたりして行
われた事件の場合には地方自治法第242条第2項で請求期間を超過する監査請求であ
っても「正当な理由」があればこれを認めることになっている。

最高裁第1小法廷平成14年9月12日の判決(平成10年行ツ第69号)は、
 「法242条2項本文は、普通地方公共団体の執行機関、職員の財務会計上の行為は、たとえそれが違法、不当なものであったとしても、いつまでも監査請求ないし住民訴訟の対象となり得るものとして置くことは法的安定性を損ない好ましくないとして、監査請求の期間を定めている。しかし、当該行為が普通地方公共団体の住民に隠れて秘密裏にされ、1年を経過してから初めて明らかになった場合等にもその趣旨を貫くのが相当でないことから、同項ただし書きは「正当な理由」があるときは、例外として、当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過した後であっても、普通地方公共団体の住民が監査請求をすることができるようにしているのである。」という。

 原判決は、既述の通りはじめから全く利用しないとして少なくとも1筆の土地を購入したというのであり、住民をだました事実を実質的に認めたのである。本件土地購入には一部は防災拠点施設建設用地に供するという計画以外に隠された意図があったの
でありこの場合、地方自治法第242条第2項の「正当な理由」の規定を適用するべき
であって、原判決はこの適用を誤ったものである。

三、原判決の審理不尽又は理由不備

1、原判決は、本件監査請求について「本件各土地に係る売買契約及び支出命令が違法であるとし、当該行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実としたもの」(第1審判決10頁下段)であると認定して本件訴えを棄却した。

しかし、第1審判決8頁上段「カ 本件監査請求の趣旨の記載は、次の通りである。」として(ア)、(イ)の二項に分けて認定しているが、その内容は明らかに判決が言うようなものではない。

(ア)も(イ)も両方の請求内容は、「不正な支出」を追及するものであるが、主眼は不要である土地について「相手地主に土地を返し代金を返還」してもらうことを請求するものである。原判決、第1審判決もその記載を認めている。それは本件購入土地のうち、利用されなかった土地についての監査請求であり、売買契約や支出命令が違法であるかどうかについてではない。

不要となった土地の地主への返還、代金の回収を求める請求は、売買契約や支出命令を前提にしている。公金の「不正支出」の指摘の記載があるからといって、本件請求の趣旨が支出命令等の違反に限局されることはない。購入した土地の利用、財産の処分についての監査請求であることは(ア)、(カ)に分けて認定された通りであり、原判決は本件監査請求について認定した事実(真正怠る事実)と棄却(却下)した理由(不真性怠る事実)との間で大きな乖離があり、審理不尽か理由不備のそしりを免れない。もし、原判決が言う通りであれば、「当該行為の違法、無効」として本件整備事業のうち全ての土地代金をまな板に載せる必要があり訴訟の請求金額が大きく相違しなければならない。本件は、利用する予定のない土地についての監査請求であり、予定がなかったことについては知り得ないことであった。

2、第1審(原)判決は、9頁下段で、「本件土地のうち、実際に防災拠点施設等が建設されるのは本件各土地のごく一部であることや、本件各土地のうちそれ以外の部分については、防災拠点施設等が建設することが予定されていなかったことも知ることができたと言える。」(下線上告人)と判断したが、どうして「知ることができた」と言えるのか理由が何も記載されていない。本件について町民が知ることができるのは議会議事録や町の広報誌などごく限られたものであり、それらから、購入した土地のごく1部しか使用しない、という計画を知ることは全く不可能であろう。被上告人は議会で、「本件土地1」の上にも防災施設を作るという提案理由説明を議会でしたが、議員も住民もこれをウソであると断定することは不可能である。

仮に資料の開示請求をして当年の事業の規模を知ることができても、次年度以降の計画の有無は分からないから、議会議決字はもとより施設建設中に、購入した土地がついには無用の長物になると推定することは極めて困難であろう。「本件土地1」を含む購入した土地の大部分を利用するかどうかについて、利用しないということを、知ることができたのか、知ることができなかったのか、は本件監査請求について明暗を分ける重要な判断であるから、これについて原判決が明確な根拠を何も示さないというのは、理由不備もはなはだしい。

3、原判決は、上掲の通り、本件購入土地約21町歩のうちごく一部(約5反ほど)しか使用せず大部分が使用予定がないということを分かって購入したことを認めた。
 このことは、地方自治法第2条第14項(最小の経費で最大の効果)や地方財政法第4条(必要且つ最少限度の支出)の規定に違反するだけでなく、町に対して明らかに背任行為であることを認めたものと考えられる。「本件土地1」の所有者は地元土建業者であって、その業者の利益を図って無用であると分かっている土地を購入したということになる。原判決は、不法行為の実質を認定していながら、その不法行為による東洋町の損害について、又その損害についての監査請求を認めない。財務会計行為上の不法行為とは関係のない不法行為による損害についての監査請求は請求期間の制限は受けないというのは上掲最高裁判例である。

 背任の事実を認定して、それによる損害についての監査請求を否認するのは、前提と結論が齟齬を来していて、原判決は重要な判断において理由齟齬、理由不備であるといわねばならない。

4、使用しない、予定にない、ということを知っていながら土地や物件を買う行為について原判決は、まさか裁判官がそれを当然のことと考えている訳はないと考えるが、これを不法行為であると認定しなかった。
これは、本件事案において中核的な事実であり、これの不法性を認定しないのは重大な判断の脱漏であって、判決を左右する審理不尽である。最高裁判例では審理不尽は上告理由として通用している。
また、上告人は、第1審、2審において、本件整備事業のうち、資機材格納倉庫の工事ついては、前年度の予算が基本的に流用されており予算の繰越明許の手続きを経ていない違法なものであると主張してきたが、これについては工事の完成は平成26年11月であるから請求期間1年以内の監査請求であった。原判決はこれについても判断を脱漏しており、数千万円に上る重要な支出についての違法性を理由なく没却したものであって、到底納得できない。

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2016年7月13日 (水)

東京都知事選

News & Letters/499

鳥越さんが都知事選に立候補された。喜ばしい限りだ。
宇都宮さんが一番いい候補だと思われるが、今は野党と市民連合を優先せざるを得ないだろう。
石田純一さんもそうだったが、鳥越さんも国政レベルの危機感で都知事選に立候補したようだ。
テレビなどの記者会見で都政に国政の話はないでしょう、という批判的な声もある
しかし、都政と国政とを機械的に区別するのはおかしい。

憲法改正問題は、国政は言うまでもないが、地方自治においては重大な問題なのである。
国政が憲法をないがしろにしている中で、義務教育無償など憲法の理念を実現する重責は地方自治体に負わされている。

憲法の第三章「国民の権利及び義務」の数十条は、すべて地方自治体の行政実務上の課題であり理念である。

憲法9条の問題も、兵役の負担、兵士の徴集も地方自治体に押し付けられる。都知事をはじめすべての地方自治体の首長や議員の仕事で憲法に関係がないなどというものは何一つない。

その大事な憲法の基本的人権等を骨抜きにし戦争国家に改編するということは、地方自治の本旨の破壊であり、空洞化なのである。

石田さんや鳥越さんが、安倍自民党政権について危機感をもって都知事選に臨むのはまともな姿勢であり、憲法改正を支持し安倍政権に追従する徒輩(やから)は、都政で住民の暮らしや人権を踏みにじる方向に進むことは間違いないであろう。

憲法は何か宝物のように大事にし守るというものではない。憲法は実行し実現すべきものであって、地方自治をまともに遂行する上で至上の指針なのである。

都政と憲法論議とを切断するのは、行政実務を知らない低い次元の話である。
私は、自慢ではないが、東洋町で4年間、憲法実行の地方自治をやったつもりである。
義務教育の無償化や福祉無償化などのたくさんな町政上の施策は、憲法を指針にした行為であった。

宇都宮さんの記者会見の中で、国政レベルの話で都知事に立候補するのはいかがかと思うという趣旨が示されたが、

この発言はいただけない。弁護士らしくない。

地方自治では憲法は関係ないのか、国政レベルで憲法が無視され国民の人権や生活が脅かされているときに、地方自治体に拠って国民を守ろうという行動は全く正当である。原発であれ戦争であれ、結局は、地方の末端まで攻め込まれる。
それを地方自治体を砦として、阻止線を張るのは我々人民の権利だ。沖縄県を見てみよ。

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