奈半利町ふるさと納税事件
3月27日付の高知新聞の「奈半利汚職 迫る判決」を読んで感じたことを書いてみる。
私は、この事件で元課長補佐柏木被告の罪名が贈収賄になるのか合点が行かない。
この事件は、町長や上司がふるさと納税の返礼品の取り扱い業務を柏木被告にほとんど全部任せきりにしたことから起こった。
柏木被告は返礼品の業者の選択権をもっていた。親類や家族にその商品の扱いをさせた。誰を返礼品の業者に指名するかは柏木被告の権限であった。町として業者指名の規則がありそれに違反があったのであれば罪になるが、その様子はない。
その返礼品の買い入れ価格もほとんど柏木被告の一存で決めることができた。買い入れ価格の決定に規則があったはずはない。
それは商取引きの範疇だ。このような中で親せきの業者は巨額の利益を得た。柏木はその利益の相当分を親や自分に還流させた。
巨額の分け前をもらったか又は取ったのである。贈収賄の構図とは全然違う。初めに業者は公務員である柏木被告に賄賂を贈って指定業者の地位を得たのではない。柏木は、業者指定をする場合、公募など他に適当な方法がなかったので自分の知り合いや近親者を選んだのだろう。柏木は初めからか中途からか親類だから利益の分け前をもらうつもりだったのであって賄賂をもらったから業者指定をしたのではない。
問題は親戚の肉屋からその利益の分け前を取った(又はもらった)行為が罪になるかどうかだ。肉屋の同意があれば罪に問う理由が存在しない。しかし、業者の取り分が異常に多い場合は民事上の問題は起こる。
この事件の報道では、初めから罪ありという前提で訳の分からない贈収賄の罪を押し付けているのではないか、という疑いが起こる。そしてそれは、特定地域への偏見が暗々裏に潜んでいるように感ずる。
奈半利町だけではないが、巨額の金が動くふるさと納税の返礼品処理などについて、返礼品の選定や業者の指定、買い入れ価格の決定等について規則が制定されねばならないし、首長ら幹部職員のふるさと納税の手続きの各段階での決裁の規定がなければならない。また、巨額の資金が出入りする以上はこの金の出入りは特別会計を設定すべきなのである。
首長が何らのかかわりもなく通常の予算額を上回る巨額の金が役場を素通りしてきたというずさんな行政の在り方、何のチェックもしてこなかった議会の在り方こそメスを入れるべきなのである。
住民としては、業者やそれの分配にあずかった柏木被告親子が取得した利益は、不当利得であり、本来は町の会計に収まっているはずのものであったから、不当利得返還請求の住民訴訟を起こし損害の回復を図るべきである。
不当利得の民事上の責任は格別、柏木被告親子や業者に刑事責任まで追及するのは無理筋であり、無理を通すのは、町長や執行部の責任を免罪し特定地域への差別キャンペーンを推し進めて事件を解決しようとするにおいがする。
私は小学校の時分、数年間奈半利町内に住んでいたし、中学校時代も野球部の交流試合でしょっちゅう吉良川町から奈半利町へ自転車で行っていたので奈半利には親しみがある。
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