教育委員について

2013年12月21日 (土)

教育委員会制度

News & Letters/392

自民党政府は現行の教育委員会制度を骨抜きにし、教育の中立性を解消しようとしている。愛国主義教育、大東亜戦争史観の植えつけ、秘密保護法、憲法改正・・・など一連の反動攻勢の一つとして教育委員会制度の破壊を目論んでいる。

個々で現在の教育委員会制度について意見を述べる。
現在の教育委員会は制度としての建前は一応立派であるが、重大な問題がある。

1、二重の意味で現行の教委制度は自民党らの策謀が実態となっている。

①一つは、教育委員は教育行政の執行官であるが、現状では教育委員会事務局の飾りのようなもので、せいぜい諮問委員程度の機能しか働いていない。
従って実際は自民党らが策謀するとおり首長の教育委員会支配の実態になっている。

②また、現在の教育委員は首長が推薦し、議会の承認を得て委員が決まり、そしてその5人の委員の互選で教育長が決まる、ということになっている。従って実際には首長の意向で教育委員や教育長が決まっているのである。

③そしてさらに重要なことは、事務局の職員は結局首長が任命する。教育長の次のポストである教育次長が実権を握ることになる。
東洋町で私がびっくりしたのは、教育委員会の組織図であった。事務局を統括するのが教育次長と言う位置づけで、その下に事務局職員が束ねられるという図表であった。
教育長はその事務局の上で教育委員と一緒に並んでいた。教育長が事務局を統括するという図式ではなかったのであるから、教育長は委員会だけしっかり出てきて普段はぶらぶらしておればいいわけだ。この東洋町の組織図は毎年県教委に提出されていたが、県からは何も言われなかったという。

④教育委員会の予算の編成権も教育委員会にはなく、市町村長ら首長にある。
だから、権力から相対的に自立して教育行政を行うなどと言うのは単なる制度の建前であって実際はとっくの昔に権力の前に無力化していた。自民党らはこの悲惨な実態を新たな法制度にしようとしているにすぎない。それではどうするか。

改革案:

1、教育委員を公選化すること。首長選挙の時か議会議員の選挙の時に同時におこなえ 
 ばよいし、農業委員のように独自に行ってもいい。

2、委員の常勤化。5人のうち少なくとも3人は常勤としなければならない。
 常勤化しなければ、日常業務を執行できないし、教育現場の実態を把握できない。
 15万円以上出来れば議会議員と同等の待遇を与えることだ。
 教育委員は諮問委員ではなく法律的には行政執行官である。
 その分一般職の職員を本庁に返し、委員が全般的な事務をとららければ責任ある教育 
 行政とはいえない。ボランティアでやれというのも酷だ。

3、首長の教育予算編成権も大枠の予算と、施設整備や給食など学校費用だけにとど
 め、細部の個別事業への関与は排除すべきである。教育のソフト面に使う費用など教 
 育員会の独自予算編成権も設定するべきだ。


教育委員公選制でない以上、教育の権力からの独立と言ってもほとんど機能していない。

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2007年6月22日 (金)

News letter16

教育委員会制度は戦後アメリカから移入されたものだ。教育行政を権力から切り離し民間のコントロール下に置くということが最大の狙いだった。しかし、その委員会制度は当初の狙いとは大きく外れて、形骸化、行政機関の粉飾に化してしまった。そのことが最近マスコミでも問題にされ、民主党などはこの委員会の廃止まで政策に入れるに至った。

私は以前から県教委のあり方、市教委のあり方を議会活動や、オンブズマン活動の中で問題にし、その形骸化を批判してきた。

私は、しかし、教育委員会の制度は必要だと思っている。民間人が教育行政を監視し、指揮するというのはいいことであるからだ。しかし、制度はあっても実体が伴っていない。

その理由は二つある。

①地方にはこの制度を支える人材が十分ではない。

そのため、校長先生あがりとか、役所のOBなどがよく就任し、民間素人(レイマン)コントロールの実が挙がってこなかった。また、現在子育て中とか法令で定められている保護者の委員就任が極めて困難であるということである。子育て中の親は一生懸命働かねばならず委員としての仕事を引き受ける余裕がないのである。

また、女性委員が全員でなく過半数を超えるようにするべきだろう。女性のほうが子供のことをよく知っているし、教育に関心が高いからである。しかし、実際的には教育委員として教育行政に携われる人材(女性)はなかなか出てきていないのである。

②また、この委員会を運用する法令上に問題がある。

  業務のほとんどを教育委員会が教育長(事務局)に委任するということになっていて、教育委員の実際の実務は月一回の定例会への出席でいいという状況となっている。教育委員は非常勤だというのが法律の定めだがほとんど非勤というのが一般的な姿となった。月1回の会議とか式典などへの出席以外は何もしなくてもよい、ということになりかねない。

要するに教育行政の執行官としての教育委員は名ばかりで、実際にはその執行権限は換骨奪胎されていたのである。

私は今何とか本来の教育委員会の制度を実現したいと考えているし、そのことを教育委員の方に説明した。その話がよく理解されず、自分たちを馘首にする理由にしていると誤解されているようだ。しかし、現実には①②の問題があり各市町村の首長の希望はなかなか達成されがたいだろう。

教育委員の方々もそのことはわかっていると思われるが、どうにも動きが取れないのである。しかし、現状を是とすることはできない。少しでも教育委員の方が教育行政に実質的にかかわることができるようにしなければならない。そのための法令上の整除、報酬などの条件整備を進める必要があると考える。

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