核廃棄物拒否条例

2021年3月11日 (木)

東洋町の核廃棄物導入の策謀は誰か

室戸市議会の現在の議会の一般質問で東洋町の核騒動のことが論争となったという。
傍聴人の女性の話では、それは植田壯一郎室戸市長が県会議員の時のことであった。

ある議員が、本会議場で、植田県議は表面では核廃棄物反対を言っていたが実際は東洋町持ち込みを画策していた、当時の田嶋町長は、その市会議員に対し、植田君に騙されたといっていた、と暴露したのである。

この話はずっと以前から私の耳に入っていたが、はっきりした証拠がなかったので公然とは追及できなかった。
田嶋町長が騙された、といったというのは、高レベル核廃棄物の地下処分事業に応募することを町長に慫慂したのに、世間が騒然となると、手のひらを反すように反対を唱え始めた、と理解されるだろう。

今回この話が室戸市議会の本会議で公然化した。植田市長は顔を真っ赤にして何か反論をしていたらしい。植田県議は橋本大二郎知事の側近とみなされていた。橋本大二郎は原発に賛成であったから核廃棄物も反対ではない。

ただ、札束でほっぺたをたたくやり方で応募を募るやり方に反対したことは確かだ。
橋本大二郎は東洋町の事件の前、たしか茨城県あたりの核施設の視察に行っていた。
私など当時のオンブズマンらは知事の核施設視察旅行の魂胆が何かわからなかった。
その後果たせるかな東洋町の事件が勃発したのである。

東洋町への核廃棄物の導入策動について、原点となる策略の仕掛人が誰であったか、
この室戸市議会でのやり取りで一つの糸口が見つかった気がする。
東洋町の核騒動のほとぼりは、真相が明かされぬ限り冷めることはない。

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2020年9月12日 (土)

核廃棄物の最終処分場についての高知新聞社説

本日9月12日の高新朝刊の社説の見出しは「東洋町の教訓生かされず」だ。

1・北海道寿都町長が、文献調査への応募の意向を発表したことについて
「町民や議会の理解を得ないまま町長が、突然、応募検討を表明した。」
ことが、東洋町の教訓が生かされていない、ということのようである。

しかし、寿都町の片岡町長は、応募の意向を表明し、議員や町民と議論する、反対が多ければ応募をやめるというのだから、独断専行や秘密裏にことを進めるということではなかろう。
立場は違うが、今のところ片岡町長のやり方には問題はない。問題はその内容だ。

2・「東洋町で住民が分断される混乱が生じた際も、国が主体的にかかわる姿勢が見えなかった・・・」
 という。しかし、東洋町では、「分断」が起こったのは町長及び町長派議員と住民との間であって町民の間での分断や対立はさほど表面化していない。

核のごみ受け入れ推進派はごく一部を除いて大っぴらには活動せず、彼ら側からのビラや宣伝活動はほとんど見なかった。東洋町で突出したのは町長と国の代理人NUMOであって、表面に立ったのは反対派の町民やその支援者たちだ。

町長選挙戦が済んだのちにも核の問題で町民が「分断」されたとか、しこりが残ったいうことは全くない。核推進派の議員も新町政に賛同する者もいた。核廃棄物や核燃料の東洋町への持ち込み禁止条例には全議員が賛成して可決した。当時現地にはNUMOだけでなく経産省の担当職員も出てきていた。
NUMOではなく国が前面に出ろという社説は、高レベル放射性廃棄物の最終処分場建設(地層処分)をもっと強力にやれという意味にしか読めない。

この社説には東洋町で最大に問題となった高レベル核廃棄物の地層処分そのものについて何も論じていないが、これに賛成しているということだろう。高知新聞はかつて何度もNUMOの地層処分に関する巨大広告を掲載してきた。
社説は、最近政府が選んだ「科学的特性マップ」での「適地」が全国に多数あることも指摘する。

だが、地層処分の危険性こそ東洋町で最も問題になり町民から忌避された問題であった。2007年の東洋町での教訓は、高レベル放射性廃棄物を含む核廃棄物の地層処分が町民に否定されたことだ。

政府やNUMOの宣伝刊行物によると、地下300m以下の地底にガラス固化体にした核廃棄物を埋設するという。それには4重のバリャがあって人間界から半永久的かつ安定的に隔離されるというのである。

第一のバリャはガラス固化体であり、第二は鉄の容器、第三はベントナイトという粘土、第四は天然バリャという岩盤だという。

しかし、第一と第四のバリャはバリャとはならない。第一のバリャのガラス固化体は放射性物体の本体そのものであり、第四のバリャというのは我々の生存する自然界そのものなのである。あとは鉄と粘土だけの二つのバリャだけであり、鉄はすぐにさび付き粘土はすぐにひび割れ崩壊する。だから地層処分というのはバリャがない生ごみの埋め立てと変わらない。

生ごみならまだしも極度に高レベルの放射性廃棄物を生ごみ並みの埋め立てで当面を糊塗しようとする方法が地層処分である。

すでに地層処分は日本学術会議が地震・津波の常襲国で、地層は断層や裂け目だらけで地下水が充満している日本列島では不適であると発表している。北海道寿都町には、狭い面積に黒松内低地活断層が帯状に横たわっている。こんなところまで科学的に「敵地」とされているのだから無茶苦茶である。神恵町も同じだ。泊原発の近辺が活断層だらけだ。

新聞や報道機関に求めるのは、政府が発表した「科学的特性マップ」なるものがいかにでたらめかということを調査して国民に真実を知らせることではないか。

3・東洋町の教訓でもう一つ大事なことは、財政的行き詰まっているから核の交付金で財政を立て直すということが、嘘だということである。いかに財政が苦しくても市町村や都道府県は、地方交付税交付金で財政が支えられている。
私の町政4年間で、公共事業や、福祉事業、教育の施策は飛躍的に増大した。予算上もほぼ1・5倍ほど増えた。

それにもかかわらず借金は25%(10億円)ほど減少させ、基金も数億円増えた。町民全体の経済力を直ちには豊かには出来なかったとしても町民への行政サービスは前町政と比べ断然豊かになったのである。

高知新聞は、4年間の私の町政の実績を報道せず、町内のボス連中と同じようにバラマキだという風に否定的に報道したが、今、東洋町の核廃棄物問題の核心的部分、地層処分の可否、財政問題について何も語らずに東洋町の教訓を云々することは真実性、誠実性に著しく欠如している。

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2020年8月27日 (木)

北海道寿都町を訪問

8月24日午前11時過ぎ、私は、文書をもって寿都町の長役場を訪問し、片岡町長と約30分ほど面談した。別添の文書と私の核廃棄物についての小論文のコピーを渡した。

片岡町長は案外気さくな人物で、私が町長室に入って高知県から来た元東洋町長でお話をしたいというと即座に応接ソファーに座るよう言われた。北海道放送局のテレビの取材陣が居て、面談のすべてを録画していた。

北海道内には放送されるとのことであった。
片岡町長の説明はおおむね次のとおりであった。

①核廃棄物の最終処分場調査への応募は昨年4月から始めた。
 産業団体や議員、職員たちと勉強を重ねてきた。
NUMOに来てもらっての勉強は今年の6月からであった。
その動きが最近リークされて大騒ぎになっている。

②北海道知事の、札束でほっぺたをたたくやり方だという批判には腹が立った。泊原発で自分も交付金をもらっているではないか。
自分がその交付金を返上してからいうべきだ。

③30キロ圏内に泊原発がある。原発から核廃棄物が出る。この始末について
どうするのか、勉強するのは何が問題か。原発を作ってそこから出る廃棄物について議論しない方が無責任だ。この議論・勉強を寿都町から全国に広げたい。

④最終処分場の寿都町内での適地は黒松内断層帯の両脇はいけるのではないかと思っている。

⑤自分の任期はあと1年かそこらだ。やり残した事業、とりわけ寿都湾の洋上風力発電の大規模プロジェクトがある。このプロジェクトを推進しているからこそ核の最終処分場も堂々と話せる。

⑥今後のことはまだ決めていない。文献調査に応募するかどうかは産業団体や議員と話し合って決める。
産業団体とは、漁業組合、商工会、土建業などである。

⑦寿都町には農業はほとんどない、観光も言うほどのものはない。ふるさと納税が十数億円ほどあり、助かっているが、このコロナ禍では都会の自治体から不満が出る。この制度自体がこのまま存続するとは思えない。
核廃棄物施設建設の調査を受け入れるだけで巨額の交付金があり、これに応募しないという手はない。この件で勉強を続ける。

だいたい以上のとおりである。印象としては、勉強を続けるというなかで、処分場設置まではともかく、文献調査―概要調査段階まで進もうという意欲を感じた。

ただ、東洋町2007年のように町長が独断で暴走するという雰囲気はないように見受けた。土建業など産業団体の一部や一部議員で強く後押しするものがあるのかもしれない。

なお、④の処分場の適地について黒松内低地断層帯(日本海側の寿都町から太平洋側のオシャマンベン側に複雑な活断層)について町長から話があった。
この断層を含め泊原発の立地地帯は複数の重大な活断層が存在し、マグニチュード8前後の地震がここ30年以内に引き起こされる恐れが高いとされている。このような地帯は原発はもとよりいかなる核施設も不適切で危険である。

また、②の鈴木知事に対する反論は痛烈であった。泊原発を容認して交付金をもらっていながら、寿都町が核施設で交付金をもらうことについて批判するのは根本的に矛盾する。泊原発をやめて札束を返上してから人を非難するべきだ。


核廃棄物の地層処分に反対します

寿都町の核廃棄物最終処分場文献調査受入について

元高知県東洋町長からの 申入れ

寿都町長片岡春雄殿               2020年8月

                  元高知県東洋町長 澤山保太郎
【申入れの趣旨】

1,いわゆる高レベル放射性廃棄物等の核廃棄物の地層処分は、少なくとも日本列島ではこれを安定的に貯留することは不可能であり、極めて危険です。文献調査も撤回すべきです。

2,地方自治体としては、町民や周辺道民の生命と生活、尊い生態系を守ることは如何なる場合も優先されるべきで、経済的な利益とこれらを安易に。引換えにはできません。

3,いかにコロナ禍などによって苦境にあるとはいえ、伝統のある美しいふるさとを猛毒の放射能プルトニウムの活火山にして、枕を高くして眠れるでしょうか。

【核廃棄物最終処分場について東洋町の騒動】

寿都町の財政事情については、私にはよくわからない。しかし、今から14年前2006年~2007年に起こった高知県東洋町では同じ財政ひっぱくを理由に交付金を目当てにして当時現職の町長が高レベル放射性廃棄物の最終処分場誘致の第一段階である文献調査に名乗りを上げました。

町長から政府への申し入れは最初は議会にも町民にも知らさず秘密裏に行い、翌07年には、町民のごうごうたる反対の中で正式に町長の職権でなされました。町民は、核廃棄物受け入れ反対の条例制定直接請求運動、ついで町長リコール運動を展開しリコール成立確実というところで町長が辞職して出直し選挙となりました。

私は隣の室戸市の市議でありましたが反対派町長候補に推され出馬しました。選挙戦では反対派が圧勝しました。新町長の私は一週間以内で文献調査を政府に返上し、1カ月以内に核廃棄物等放射性核燃料関係施設拒否の町条例を議会の満場一致で制定しました。

    【貧しい町でも財政の健全化は達成できます】

町財政のひっぱくなど行政の課題はたくさんありました。しかし、4年間ではありましたが、新町政では徹底的な行・財政改革によって無駄を省き、福祉・教育の無償化施策、防災など公共事業の推進、海の駅開設や失業対策事業をどんどん推し進めました。

50億円近くあった借金は38億円程度に縮小し、基金も数億円増やし、県下最低であった校舎の耐震補強工事もほとんど完遂、鉛筆・ノートに至るまで義務教育費の無償化を進めました。

職員の手当カットも全廃し、高齢者や児童生徒・高校生にまで毎月コメの無償配給までやれたのです。財政のために核廃棄物をというのは全くの虚偽であったことが立証されました。

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2020年8月14日 (金)

北海道寿都町の動き

第一の問題:財政問題

北海道寿都町の町長片岡氏が高レベル放射性廃棄物の最終処分場誘致に向かって動き出したようである。無謀なことだ。町民や北海道民が必ずやこの動きを封殺すると確信する。

町長の意図は町の苦しい財政問題を施設受け入れによる交付金で改善することだという。文献調査を受け入れるだけで20億円をもらえるという、それは平成18年の東洋町と同じ理由だ。

しかし、その財政問題の根拠は極めて根拠が薄弱であり、虚偽ですらある。
その代償として核廃棄物導入はあまりにも過大だ。東洋町でも私が町役場に入ったときには50億円に近い巨額の借金と貧困な福祉や公共事業の立ち遅れなど多大な行政課題が積もっていた。

しかし、それらは私の4年間の改革によってほとんど是正された。借金は30億円台に減少し、福祉事業は徳島県外に送り出すというでたらめな行政だったが、これを是正し町の福祉センターを基軸にした福祉事業を再開させデイサービスや配食サービスなどの福祉無料化政策をどんどん進めた。義務教育や保育行政もほとんど無料化した。高齢者や児童生徒には毎月コメの配給までやった。

学校の耐震化工事も県下最低であったがほとんど達成し東北大震災前であったが避難タワーも次々と建設した。海の駅開設、億単位の失業対策事業など公共事業も大幅に増やした。

職員の給料や手当のカットも全廃した。
核廃棄物を受け入れなくても行財政改革を徹底すれば断然町勢が回復することが実証されたと確信している。高知新聞など報道機関は、私が実証した東洋町の4年間の実証を明らかにしない。

東洋町の実例から町民や道民が片岡町長の虚偽性を見抜く必要がある。

第二の問題 核廃棄物の地下埋設

原発などから出された使用済み核燃料を再処理した結果できる高レベル放射性廃棄物、あるいは再処理せず使用済み核燃料を直接最終処理する最終処分場についてである。

使用済み核廃棄物の処分方法は現在のところ人類はこれを安全に処理する技術を手にしていない。
日本政府は法律で、地下処分を決めているが、日本の学術団体の判断でも、日本列島のどの地点での地下でも安全に核廃棄物を貯留することは不可能であるとされた。

地震や津波、膨大な地下水流の存在である。
核廃棄物を受け入れた市町村はいわばプルトニウムの活火山を受け入れたも同然であり日常不断に放射能の実害と恐怖を枕にして暮らさねばならない。
そもそも使用済み核燃料の始末については解決しなければならないことであるが、この地下埋設施設を建設する前に前提として日本から原発など核燃料に係るすべての施設の稼働をやめることだ。

現状のままで最終処分場を建設すれば始末に負えない廃棄物の処分場ができたということで核施設の稼働に手を貸すことになる。だから国民は現段階では最終処分場の建設に手を貸してはならない。

そのうえで、核廃棄物の最終処分の方法は検討しなければならないが、直ちに見つからないだろう。
地下処分は少なくとも日本では選択肢に入らない。政府は埋めて見えなくすればよいと考えているようだが、それが最も危険な方法となる。

最終処分に関する日本の現在の法律はいったん廃止し、地上での中間管理施設を考案しなければならないだろう。

現状の原発敷地や六ケ所村での高レベル放射性廃棄物や使用済み核燃料のずさんな保管方法は自然災害に打たれたら日本列島が壊滅するほどの大災害が起こるであろう。累卵の上に地上最危険猛毒物を置いていると同然だ。

最期に、核廃棄物の最終処分場問題が寿都町長と議会でのみ決められることがないように住民全員の意思を担保した憲法95条の2の「住民の投票」規定が発動されねばならない。

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2019年9月 6日 (金)

政治的中立


愛知県の展示会で慰安婦像と思われる少女像が出品されたことで河村名古屋市長ら嫌韓族が騒ぎ出し展示会がつぶされた。

地方自治体が、政治的な表現を公的な施設でどこまで受け入れるのか難しいという問題がある。金は出すが口は出さないとか愛知県知事の発言もある程度理解できる。

しかし、知事や市長村長の政治的中立というのは、あり得ないと私は思う。首長は政治家なのだ。公的施設の利用や行政の在り方にその政治的信念が反映するのはやむを得ない。
私は東洋町長在任中に、女性職員二人を東京の慰安婦問題の集会に派遣したことがあった。町長のメッセージを持たした。

若い職員に日本の侵略戦争の真相を知ってもらう必要があると考えたからである。また、高知の西の方の大月町に使用済み核燃料の貯蔵受け入れの話があった時にバスを1台出して町長自身を含め職員や住民をその地元の集会に参加させたこともあった。

また、核武装を唱えるある新しい政党が東洋町の施設で講演会を開きたいので会場を貸してくれという申し出があったが、これを私は拒絶したことがあった。その政党の女性活動家が政治的中立性がないなどと執拗に食い下がってきたが、絶対に施設は貸さないと峻拒した。私は政治的中立性ではなく、私の政治的信念を通すことが大事だと思ったし、それで正しいと思う。
もしNUMOが東洋町に再び現れて高レベル放射性廃棄物の説明会をやりたいと申し込んできても、公的施設の利用は認めなかったであろう。

「金は出すが口は出さない」という知事の発言は、そういう形で少女像を守ろうとするぎりぎりの政治的表現であろう。
人は、どちらの見方にもならない、天にも地にも所属しない空中を漂う存在ではありえないのである。

横浜市長のカジノ「白紙」の発言も「推進」の別の表現だったわけだ。
「政治的中立」の主張は、政治的に抑圧されて公共の施設の利用や道路での示威行動を拒絶されたり、著作物の出版が禁止されるるなど表現の自由がうばわれるときに被抑圧市民の人権を守る戦いの武器である。

戦争を憎み、核兵器や原発を憎み、人権を守ろうとする者には、一本の道しかなく政治的中立などは存在しない。
たとえその者が知事や市町村長であってもだ。

もちろん、首長の場合、自分の信念と相違するからといって、あるいは自分に不利益になるからといって、何でもかんでも反対したり禁圧するというわけにはいかない。その判断は憲法など法令の趣旨やその自治体の条例や慣例、またひろく人倫の公序良俗に依拠し説明できるものでなくてはなるまい。

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2019年8月20日 (火)

六ケ所村視察旅行

脱原発を目指す首長会議が六ケ所村など青森の原発施設視察旅行を企画し、私もこれに参加した。東洋町の高レベル放射性廃棄物騒動の、根源を製造する施設である。

この施設で全国の原発の使用済み燃料を集め、再処理してプルトニウムを取り出しこれをまた原発や高速増殖炉の核燃料に仕上げ、またそれを使った燃料からプルトニウムを取り出し・・・という夢の核サイクルの施設であるが、それはまた無限の高レベル(低レベル)放射性廃棄物を生産する施設でもある。今それは破綻し成功するという見通しも立たないが、政府や電力会社は止めようとしない。

高レベル放射性廃棄物はこの六ケ所村には置くことは許されていない。政府はこれを日本のどっかで地層処分するという法律を作っている。経産省やNUMOが血眼になってその最終処分場を探してきた。

小さな日本一貧しい東洋町はこの企てに巨大な拒絶の鉄槌をくらわした。もはやどこの市町村も自ら手を挙げて受け入れようとするところはないだろう。民主主義が続行する限り国がどこかに勝手に押し付けて建設するということもできない。

何億の札束を積まれようともプルトニウムの人工活火山を故郷の町や村に作ろうという人間は決してその村や町の多数派にはなれない。

今、最終処分場がないまま、日本は、高レベル放射性廃棄物や何万トンともいう膨大な使用済み燃料を地震・津波という大蛇の餌食に供しようとしている。これからこれら今でも始末に負えない毒物をさらに増やそうというのは狂気というよりほかにない。

①原発の稼働、②再処理工場の稼働、③その廃棄物の最終処分をめぐって、巨大な国民的騒動が起こらなくてはならない。これまでの裁判闘争は①に集中していたが、むしろ③の方から②、①に攻め上るという方策が必要である。

特に③については現在①や②の施設内に保管される方策がとられているが、これは違法状態であることをはっきりさせる必要がある。

国の法律(「核原料物質、核燃料物質及び原子炉に関する法律」43条3の5第2項8)には原発設置の許可申請の段階で使用済み燃料の処分法について明確にする義務が規定されていて、施設内に保管するなどというのは処分方法には当たらないのであるから原発稼働の許可は無効となる。

原発の稼働をめぐる裁判では、安全かどうかの判断は裁判官の恣意の裁量に左右される。権力におもねる裁判官では原告は100パーセント敗訴する。だが、核廃棄物の処分をめぐっては、裁判官の恣意のはいる要素はほとんどない。

核廃棄物の処分をめぐってこそ国民運動、裁判闘争が必要である。稼働する原発の脅威ももとよりだが、残存する核廃棄物の脅威はさらに大きい。福島第一でももし使用済み燃料に火がついていれば、今頃関東地方はどうなっていたかわからない。

核廃棄物、その地層処分をめぐる問題(闘争)こそ国民の圧倒的賛同を得、勝利の道が望めると考える。
今回の視察旅行で私はこのことを痛感した。

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2019年5月 5日 (日)

哀悼

高知県安芸郡東洋町生見の弘田祐一さんが本年5月1日に亡くなった。丁度82歳だったとのことである。昨日葬式が終わってから甲浦の方から私に知らせがあった。その人も死亡したことを昨日まで知らなかったとのことである。

弘田さんは国家公務員で退職してサーフィンで有名な生見海岸の集落に住んでおられた。
弘田さんは2007年~2008年の東洋町での核廃棄物闘争の最も重要な人物であった。

彼は早い段階で反対運動に立ち上がり、高レベル放射性廃棄物埋め立て処分場反対の条例制定請求の署名運動、それに続く町長リコール請求運動の中心人物であった。私は表面に立ったが弘田さんは裏方に徹し東洋町の町民闘争を最後まで支え続けた。

私は当事者として弘田さんに感謝しなければならないが、また、日本国民を代表して弘田祐一氏に感謝の言葉を捧げたい。彼は、激動の中で常に冷静で穏やかであった。人格として完成された感があった。

私は、市民オンブズマンとして死ぬまで戦って生きるつもりであるから、天国でしばらくご冥福を待ってもらって、私のゆく手をお守りくだされ。

ただ哀悼の思いでいっぱいである。

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2017年7月29日 (土)

非科学的マップ

News & Letters/580

政府によって本日核のゴミ・高レベル放射性廃棄物の埋設適当地が発表された。
ほとんど全国の海岸部に埋めることができるというものである。
東洋町も適当ということだ。全国に点々と散在するという形でなく予想に反し面状に塗りつぶされた。

「日本の活断層」(東大出版)という活断層に関する代表的な著作では日本列島いたるところに無数の活断層が走っていることがわかっているが、そんなことは全然お構いなしでごくわずかな活断層が徐外されただけだ。

日本の地下はどこも断層だらけで水浸しだ。安定した地層などひとかけらも存在しない。
南海地震の直撃を受ける高知県や和歌山、三重県なども適地だという。

室戸岬の突端が外れるというのは福岡市での昨11月の公聴会で大学の先生が隆起の激しい土地としてすでに例示されていたが、その室戸市でも半分ほどは適地に入る。海岸部には人口の大半が集まっている。

室戸だけではない全国的に大勢の人が海岸部に集中して住んでいるが、石炭や石油、火山地帯は避けるというが人間密集地帯は避けないのか。極めて非科学的、だけでなく非人間的な作図というほかはない。

うまく埋め込むことだけが頭にあるようだが、事故のことも考えねばならない。
核施設は海岸部が危険だというのは福島原発で実証済みだ。事故があれば海洋がとめどなく汚染され放射能汚染が全世界に永続的に拡散する。

いかなる核施設でも火山や活断層と同じくらい海や川を避けるべきだ。
潜在的には、東洋町と同じように日本国の津々浦々は良好な漁場であり、そこに住む人々は核廃棄物に対して強いアレルギー反応があると考えられる。

必要なのは科学的だけではなく政治・社会的マップだ。狙われたところだけでなくこうなったら、核燃料や核廃棄物を拒絶する条例を全国の都道府県、市町村につくるべきだ。
それを表面化すれば政府の科学的マップの緑色図面はことごとくリオマス試験紙のように赤色に変わるだろう。

原発の稼働を止め、すべての原子炉を廃炉にするまでは、高レベルであれ何であれ、核の埋め立てを拒絶するべきである。

高レベル放射性廃棄物の地下埋設は何ら安全性が実証されていない冒険的事業にすぎない。
また、同じ理由で、原発敷地内外の中間貯蔵についても乾式であれ湿式であれこれを拒絶するべきである。

政府エネ庁が発表した核のゴミ科学的マップは、東洋町などごく一部の市町村だけでなく、全国的な核廃棄物の恐怖とアレルギー反応を巻き起こし、核廃棄物の元凶である原発に対する反対運動を全国に広めることになるだろう。そうしなくてはならない。

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2016年8月26日 (金)

唐津地区労の学習会

News & Letters/515

8月26日の夜、唐津市民会館で、地区労の学習会に参加した。地元の弁護士が講師で玄海原発の裁判について話がありその後参加者から意見があった。

その中で唐津での反原発活動を永年やって来た男性の話では、本年4月27日づけの毎日新聞の岸本町長の例の高レベル放射性廃棄物受け入れ発言(すぐにあわあわと取り消した)の後、7月28日玄海町主催の高レベル放射性廃棄物地層最終処分についての説明会があり、九大大学院の出光教授が説明に登場したという。

そして、原発施設の数百メートル至近距離の対岸にある串崎(唐津市)という方面で九電及び業者が買収の話を仕掛けているという情報もあるということである。ここは10年前にもその話が持ち込まれたが住民に拒否されたということである。

まだ十分固まった話ではないが、①4月27日の新聞報道騒動、②7月28日の町主催の説明会(15人程度の住民出席)を考えるといよいよ、全国漫遊中のNUMO の狙いの照準が定まって来たという感をぬぐえない。

我々は、臨戦態勢を早急に組まなくてはならない。

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2016年8月24日 (水)

原環機構(NUMO)の説明会

News & Letters/514

8月20日佐賀市でNUMOの説明会に出席した。定員50名のところ半分程度の集まりで反対派が大半であった。
NUMOに会うのも久しぶりで、最終処分場立地のための絶望的な努力には敬意を表したい。日本が民主主義を守る限り、だれもプルトニウムの廃棄物を受け入れるところはないであろう。

火山帯や活断層などを適地ではないとの説明があった。東大の徳永とかいう先生の話では一つだけ地名が出たのは高知県の室戸半島で土地の隆起などが激しいので不適だとのことである。

そんなことは地震学者や地質学者であれば常識のイロハなはずであるのに、9年前その半島の根っこにある東洋町に高レベル放射性廃棄物を持ち込もうとしてエネ庁は調査をNUMOに認可したのである。科学的有望地も怪しい。

担当の職員を交えた小集会ではNUMOが実際に東洋町で調査を開始していたということも忘れていたようだ。

平成19年月に前町長が応募しそれをNUMOがエネ庁に申請しこれが認可された。と説明してもそんなことはない、などというので、私が応募を撤回の文書を作成してエネ庁やにゅーもに申し入れ1週間もたたない間で撤回が了解された、といって初めて分かったようである。

唯一教授の口から出た地名が室戸半島であったことは印象深い。その半島の東海岸数キロ沖には東洋町から室戸岬はるか遠くまで深い活断層が横たわっていて、その断層にホースを垂らして日本で初めて深層水をとれるのもそのおかげである。これが活断層であることは東大出版会の古典「日本の活断層」という本の図面にも赤々と印刻されている事実だ。

日本で最悪の条件のところでもやろうとしたのであるから、前科一犯であって、信用してはならない。

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