医療・福祉の問題

2016年7月 5日 (火)

丸山長寿園控訴理由書

News & Letters/495

   控訴理由書

平成28年(行コ)第25号  
                   平成28年7月1日

高松高等裁判所殿

                 高知県安芸郡東洋町河内405番地1
                       控訴人 澤山保太郎
                 高知県室戸市佐喜浜町1374番地
                        同  楠瀬立子
                 高知県室戸市吉良川町甲4015番地
                        同  田原茂良
                 高知県安芸郡奈半利町乙478番地1

            被控訴人 安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合
                   同代表者組合長 齋藤一孝                    
                 高知県安芸郡奈半利町乙478番地1
               同 安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合 
                                   組合長齋藤一孝 

【控訴理由の要旨】

原判決の本件行政財産の処分についての①事実認定とそれが地方自治法第238条の4第1項に②違反し、本件行政財産の処分、民間団体への施設の無償譲渡は③無効である、との判断、及び当時の組合長であった小松幹侍の組合長としての④過失・注意義務懈怠の責任の認定、①②③④は正当と考える。がしかし、小松幹侍の⑤賠償責任を否定する原判決の結論は、①~④の前提と賠償責任の結論が著しく撞着・齟齬をきたしていて、きわめて不合理であると考える。

本件処分(行政財産の無償譲渡)が違法、無効であり、長としての過失・注意義務違反が認定され、その行為によって、組合が数億円もの本件財産を喪失した以上は、その賠償責任が問われるべきである。
原判決にはそのほかにも法令の解釈に重大な誤りがあり改めて正しい判断を求める。

【控訴理由】

【一】原判決の主たる判断の正当性と欠陥

 1、本件処分の違法・無効性の判断

原判決「第三 当裁判所の判断」の3 争点(2)(無償譲渡処分の違法性)について(16頁)で
「本件契約は、地方自治法第238条の4第1項の規定に違反してされたものであり、同条の4第6項の規定により、無効である。よって、本件契約に基づく本件無償譲渡は、地方自治法に違反した違法な財務会計行為であったというべきである。」
と断定した。本件訴訟の主要な争点について控訴人の主張を認めた。

 行政財産の用途廃止以前に民間団体との間で譲渡契約をし、その契約に基づいて譲渡を実行した。これを地方自治法第238条の4第1項違反だとするのは何人も否定できない。本件譲渡契約及びその実行は地方自治法で制禁されている行政財産に私権を設定する行為であることは明らかであり、原判決はこれを認定しこの行為を無効であるとした。

また、原判決は、17頁中段で、
「被告らは、本件契約をめぐる瑕疵は治癒されていると主張する。地方自治法第238条の4第1項に違反する契約は同条第6項の規定により無効になるところ、無効な行為は、追認によっても、その効力を生じないから(民法119条本文)、事後に本件施設の建物等の用途が廃止され、その後に本件施設の建物等が現実に譲渡されたからといって、本件契約が有効となるものではない。」
と判示し、被控訴人の行為の違法性と無効性を確然と認定した。このゆるぎない認定による本件訴訟の結論はおのずと明らかである。

2、手続きさえすれば行政財産を用途廃止できるのか

ただ、この判断には、控訴人が原審において主張してきた稼働中の行政財産の処分(民間に譲渡)自体の違法性については判断をしていない。本件においては必ずしもそこまで判断する必要性はないが、事件の重大さの認識において、特に賠償責任の判断において相当な影響を及ぼす余地が出てくる。

原判決は、平成26年4月1日に本件施設の用途を廃止したことについては問題がないと考えている様子である。

原判決には、用途を廃止してその後に譲渡契約を結んで稼働中の行政財産でもこれを処分しておれば、何も違法性はなかった、という甘い認識が潜在している。
行政財産の用途は、それを管理している行政機関がこれを管理条例や規則から削除するなどして普通財産に落とし、一定の手続きをすれば自由に処分できるのか、という根本問題については、肯定しているようである。

しかし逆に、もし本件のように収容者が満杯状態の公の施設(行政財産)でも手続きさえすればこれを売却など自由に処分することが許されるのであれば、地方自治法第238条4の第1項の規定は、何の存在意義もないということになるであろう。
直前まで行政財産であっても0.1秒の瞬間も普通財産にしたという実績があれば、民間へ処分できるということになる。本件の場合は平成26年3月31日の23時59分59秒・・・までは行政財産で、翌4月1日の午前0時より民間の所有になった、行政財産を居ながら民有に転化した場合でも地方自治法第238条4第1項の制禁条項の適用は免れられるということになるのか。

後で詳しく見る原判決の最後尾21頁で「小松は、本件契約の締結を、本件施設の建物等が普通財産となる平成26年4月1日以降にすべきところを、早まって、未だ本件施設の建物等が行政財産であった平成25年12月25日にしてしまったものにすぎない。」
・・・にすぎない との判断には、稼働中の行政財産でも手続きさえすれば普通財産と同じように売却でも譲渡でも行政機関がこれを自在にする事ができるという謬見が根底にあるものと考えられる。

3、何の公益目的もなく行政財産の用途を廃止することは許されない

本件の行政財産の譲渡という行為も行政行為である。

①学説によれば、「行政行為は、公益の実現を目的とするものであり、従って、事情の変
遷に即応し、その結果が常に公益に適合することを必要とする。行政行為が一旦適法有効になされた後においても、事情が変遷し、それを存続せしめることが、公益に適合しないことになった場合においては、これを公益に適合せしめるために、原則としてこれを撤回することができ、また必要に応じ、公益に適合する新たな行政行為をなし得るものとしなければならぬ。」(甲第18号証 田中二郎 「行政法総論」)
 公の施設の用途廃止は行政行為の撤回に当たるであろう。その撤回には行政機関の意思だけではなく合理的な理由と公益性が担保されていなければならない。

②また、従来の行政行為を存続させることが後発的な事情の変化や施設などの老朽化など
でかえって公共性を失い公益目的にそぐわなくなった場合、当該行政行為の存続をやめ
る、撤回するということになるが、その場合でも、その撤回行為はあくまでも公益目的
であり、また受益者に対する補償や代替などを配慮しなければならず、為政者が自由勝
手に公の施設を廃止したり、許認可を撤回したりすることは許されていない、とする学
説が支配的である。(甲第19号証 海野敦史「行政法綱領」)

③また、これを公物の管理とみても、その公物の消滅原因が明確でなければこれを消滅させることはできない。
 「公用廃止行為は、公共用物が公物としての機能を失い、当該公物を公共の用に供する必要がなくなった場合、公物としての性質を喪失させる行政行為である。」

 (甲第20号証 原龍之介「公物営造物法」)

 本件の場合、行政財産を民間に譲渡する行為には何の公益性もないし、公物を消滅させる外形上の腐朽性もあり得ない。公共用に稼働中の行政財産を廃止するには、廃止すること自体にそれ相応の公共性、公益性がなければならない。公共施設を丸ごと私権に供するために行政行為(公用廃止)を遂行することは許されるはずがない。

④稼働中の行政財産を廃止するなどという暴挙を可能にする手続についてはもちろん、行政財産の処分についての手続規則はどこの自治体でも持っていない。
唯一つ控訴人が見つけたのは東北の東通村の規則(事務取扱要綱 甲第21号証)があるが、この要綱でも行政財産の処分の要件は、機能喪失または必要性の喪失に限られている。
  本件行政財産を用途廃止することが許される理由は何も存在しない。
 原判決は、フル稼働中の行政財産でも手続きさえすれば譲渡や売却が可能であるのかのような謬見を前提にして結論を下したと考えられる。

 本件では、平成25年12月25日で本件施設が未だ行政財産の段階で、譲渡契約を結ぶという決定的な私権設定の事実があるので、必ずしも行政財産の廃止について如上の認識がなくとも、正しい結論は可能であったが、如上の認識の欠如が、判決文最後尾の賠償責任についての奇怪な結論の伏線になった憾みがある。

二、組合長小松幹侍の責任についての判断

原判決は、20頁上段、「(小松の不法行為責任の有無)」についてで、
「被告組合の組合長である小松が、平成25年12月25日、むろと会との間で、本件契約を締結し、それに基づき平成26年4月1日にむろと会に対して本件施設の建物を譲渡したことは、上記3で説示した通り、違法な財務会計行為であるところ、前記認定事実によれば、小松は、その前提となる事実、すなわち、本件契約当時、本件施設の建物等は未だ被告組合が運営する特別養護老人ホームの用に供されていたとの事実を認識していたものと認められる。

そうである以上、小松は、本件契約が地方自治法第238条の4第1項に違反する違法なものであると認識すべきであり、平成25年12月25日の時点においては、本件契約を締結すべきではなかったといえる。それにもかかわらず、小松は、被告組合の組合長として尽くすべき注意義務を怠り、過失により、本件契約を締結し、平成26年4月1日、本件施設の建物等をむろと会に譲渡したものと認められる。」
と明瞭に小松幹侍の組合長としての責任、注意義務の懈怠、過失を認めた。

小松は、地方自治法の規定を知らなかったというわけにはいかない。知らなかったとしたらそれ自体が重大な過失である。およそ地方自治体の首長の任務は、公金及び公有財産の管理が最重要事項の一つであり、巨額の価値をもつ公有財産を私人や私企業にタダで譲渡するなどということはあり得ない事件であって、本件行為は地方自治法第238条4の第1項が禁じていることであり、この条項のど真ん中のストレートに違反したものである。
その行為が違法・無効であり、それを執行した首長の過失を認定したのであるから、判決の結論は、一直線に首長の賠償責任に帰着するはずである。

三、賠償責任の回避

1、如上の通り原判決は、小松幹侍組合長の不法行為とその有責を認定したが、判決文最後でわけのわからない理由を述べて、本件組合に損害が発生していないということでその賠償責任を否定した。すなわち、原判決は20頁後半部で、「もっとも、前期認定事実によれば・・・・」の文言のもとに、にわかに論調を変え、小松幹侍組合長の本件無償譲渡の経過をそのまま認め「小松は、本件契約の締結を、本件施設の建物等が普通財産となる平成26年4月1日以降にすべきところを、早まって、未だ本件施設の建物等が行政財産であった平成25年12月25日してしまったものにすぎない。」

(下線控訴人)という風に一個の判決文でありながら別人が書いたかのようにその不法行為、その瑕疵の過小評価に転じた。小松組合長らは、順序を間違えた、早まったに過ぎず、結果は同じだから問題にならないというような口吻を弄しだしたのである。
そうして原判決は次のようにいう。

「そうすると、①小松が注意義務を果たしたとしても、②平成26年4月1日には、本件施設の建物等の用途が廃止され、被告組合はむろと会に対して譲渡されていたといえるから、③小松が平成25年12月25日に本件契約を締結し、これに基づき、平成26年4月1日、本件施設の建物等がむろと会に譲渡したということをもって、④被告組合に賠償されるべき損害が発生したということはできない。したがって、小松が不法行為に基づく損害賠償責任を負うとは言えない。」(①②③④は控訴人  原判決21頁)
この判旨はきわめて難しいが読み解くと次のようになろうか。

①小松が注意義務を果たし、12月25日に契約を締結せず、4月1日に用途廃止をし
たうえで契約を締結し、そうしてむろと会に本件施設を譲渡するという正規の手続きをとったと仮定した場合、②小松はそうすることも可能であった(早まってそうしなかっただけだ)し、いずれにしても用途は廃止され無償譲渡が実行されたといえるから、
③契約と譲渡の順序を逆にしただけをもって④損害が発生した、賠償責任を負うとは言えない、ということであろう。

要するに事後に追認されたから問題がないというのである。

2、しかし第一に、小松が「注意義務を果たしたとしても・・・」という事実に反する仮定の話をもって、判決文の流れを逆転させ、その中核部分を書くことが許されるであろうか。本件の事実の経過は、行政財産についてこれを私法上の譲渡契約の対象とし(私権を設定)、その契約の履行として「用途廃止」・譲渡を遂行したのである。そのことは原判決(15頁中段に「本件無償譲渡は、被告組合とむろと会とが対等な立場で締結した私法上の契約を履行したもの・・・」)にあるとおりであって、これは被控訴人の主張でもあった。
原判決は自らが認定した不可逆の事実を、想定でもって逆転させ、その倒錯した事実に基づいて判断をしたものであって到底受け入れられない。

3、また既述の通り、第二に、この判断は、前掲原判決17頁中段の次の文章と根本的に対立する。
「被告らは、本件契約をめぐる瑕疵は治癒されていると主張する。地方自治法238条の4第1項に違反する契約は同条第6項の規定により無効になるところ、無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない(民法119条本文)、事後に本件施設の建物等の用途が廃止され、その後に本件施設の建物等が現実に譲渡されたからといって、本件契約が有効になるものではない。」(原判決17頁中段)

追認によっても無効な行為を有効にはできない。これは事実に基づく当然の法的判断であり、何人も覆すことはできない。
理由も説明せず同一の争点について自らの判断を真っ向から否定し正反対の判断をするというのは、判決文において人格の分裂的事態を来しており、この事態は何人にも容易にわかることであるから、何か、どうしても裁判の他方に賠償責任を負わすわけにはいかないなど訴訟外の事情を考慮したとしか考えられない。

【二】そのほかの争点と原判決の誤り

一、条例改正行為の行政処分性について

原判決は、14頁~15頁で本件処分の取り消し請求については、これを認めないと判断した。その理由として
「本件無償譲渡は、被告組合とむろと会とが対等な立場で締結した私法上の契約を履行したものにすぎず、公権力の行使としてされたものでないから、行政処分にはあたらない。」といって本件処分の取り消し請求を不適法として却下した。

しかし、原判決は、14頁下段で平成26年4月1日に「本件設置管理条例を改正し、・・・本件施設の建物等の用途は、同日をもって廃止されたものということができる。」と認定した。そうすると、横浜市保育園廃止処分取消請求事件(平成21年行ヒ75)平成21年11月26日第一小法廷の最高裁判例では、用途廃止の条例の「制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視し得るものということができる。」とされているから、原判決はこの最高裁判例に反するものということになる。

いうまでもなく、住民訴訟は財務会計上の行為や怠る事実の違法を対象とするだけでなく、行政事件訴訟法第43条の適用を受けて、行政処分の取消し請求も可能である。
控訴人は、本件条例(正式には組合規約)改正で丸山長寿園が組合の事務対象施設から削除されたという事実を最高裁判例に基づき行政処分性があると主張するものである。

二、地方自治法第238条の3違反について

 原判決は、17頁~18頁で本件無償譲渡先のむろと会の役員が本件組合の職員ではないとして、地方自治法に違反しないという。しかし、原判決も「むろと会は本件施設で勤務する職員による組合である本件職員組合が中心となって設立された団体であると認められる・・・」とか、「むろと会が本件職員組合が中心となって設立されたという経緯があった・・・」という事実は認めている。

 特定の公の施設を管理運営する職員達が設立したその団体に、その施設を委譲した事実を認めるならば、また、被控訴人も一貫してその事実を主張してきたのであるから、その団体の理事会の役員を職員以外の者に就任させていたとしても、実質的にはその職員が本件施設の委譲を受けたものと判断される。部外者を役員に付けたのは、地方自治法に制禁の法律があることを知り、それの脱法目的であることは明白である。
脱法目的で据えた役員が職員ではないことは当然であり、これを理由に挙げて適法だとするのは、余りにも不当であろう。むろと会の役員達は職員組合の謂わば代理人であり同体であるから、実質的に地方自治法第238条の3に違反していると判断されるべきである。

三、随意契約の方式違反について

 原判決は、18頁~19頁において、本件譲渡契約が随意契約で行われたことは問題がないという。
「本件契約は、価格の高低のみを比較することによって本件施設の運営主体を選定することができるような性質のものではなく、競争入札による方法が適するものでないから地方自治法施行令第167条の2第2号にいう「その他の性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当するというのである。

しかし、この該施行令の規定する内容は建造物、あるいは施設の譲渡契約を含むとは到底思えないもので、物品の製造や売り払い等の契約の規定である。甲第16号証を見ても「性質又は目的が競争入札に適しないもの」の範疇に本件施設の無償譲渡が入るとは考えられない。すなわち、地方自治法施行令第167条2第2号の規定は、

①不動産の買い入れ又は借入れ、
②普通地方公共団体が必要とする物品の製造、修繕、加工、または
③納入に使用させるため必要な物品の売り払い、その他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。 
(①②③は控訴人)
という文言で構成されている。不動産については買入れと借入れだけであり土地や建造物の売却や譲渡などがこの規定に入っているとは解釈できない。下線部の「その他の契約でその性質又は目的が・・・」のその他というのも文理上、①、②、③、特に③に関連するもので、それら以外のどんな契約にも広く適用されるというものではないと考えるべきである。むしろ、その性質から云えば公有財産の譲渡や売却は基本的に随意契約は許されるべきではなく、公開の入札に付する義務のあるものと考えるべきである。

拡大解釈するにしても甲第16号証の滋賀県の事例程度のものにすぎない。
随意契約で土地や建物の売却などは同地方自治法施行令167条2の1号規定(売買、貸借、請負その他の契約)に入るものであり、その場合金額上の厳しい制限が加えられていて、本件では金額上論外となる。不動産(公有財産)の売却や譲渡は、少額のものは別として、むしろその性質上、随意契約は許されていないと理解すべきである。

本件施設の場合はタダだから「価格の高低」ははじめから問題外で、低所得者をも収容する良好な経営者を選定するだけであるから、要件を定めたうえ、経験あり能力がある人材や企業を広く公募していわゆるプロポーザル方式などを取り入れた選定を遂行するべきであり、そうすることには何ら差し障りはない。

黒字経営で、億単位の公有財産が無償譲渡される好条件では、経営応募者は全国から殺到したと考えられる。

該施行令167条2第1項2号の物品や不動産などの契約の場合と同じレベルで選定するということの方が異常であり不適当であろう。本件の場合こそ、その性質や目的が競争入札に最適なのである。

そもそも、本件では、競争入札とか随意契約とかいう正規の手続きの選択どころではないのであり、はじめからむろと会に無償譲渡することが決められていた。むろと会は企業としては福祉事業の経営実績が皆無であり、事務所も持っていない幽霊団体であった。
平成25年8月1日付の福祉法人むろと会の設立認可申請書では、むろと会の事務所は高知県室戸市室戸岬町1675番地、すなわち丸山長寿園となっていた。民間団体が勝手に公の施設をその事務所としていたのである。

原判決は、随意契約の相手としては最もふさわしくない団体を選定した被控訴人の行為を是認したのである。

四、室戸市契約規則及び室戸市財産交換条例等の違反について

1、地方自治法第292条の解釈

 原審で控訴人は、仮に本件施設を普通財産として本件無償譲渡をしたとしても、適法な手続きを履践していない、すなわち室戸市の条例の規定では普通財産の無償譲渡は許されていない、という批判をし、その根拠として地方自治法第292条の規定を挙げた。このことについて、原判決は、19頁中段で地方自治法の適用を否定した。
地方自治法第292条は、一部事務組合など地方公共団体の作る事務組合について、組合が簡単な条例又は規則(規約)以外に普通地方公共団体のように条例規則を整備していない場合がほとんどである実状を踏まえ、これを補完する手立てを講じたものであり、構成団体の条例・規則を準用して使うことを認めたものである。

地方自治法第283条でも、事務組合の名称とか構成団体、事業の対象、組織などごく基本的な事柄を規約として定めることを義務付けているだけである。
したがって、本件組合も簡単な規約以外に、支出負担行為の決裁、公金支出、財産管理など日常の事務を遂行する上の条例・規則をもっていない。故に地方自治法第292条の規定に従って当然構成団体の主な市町村のそれらを準用しないでは、業務を遂行できないし、本件組合も暗黙のうちにそうしてきたはずであった。

しかるに原判決は被控訴人の原審での主張をうのみにし、地方自治法第292条の文章を誤解し、その順守を否定した。この条文の正しい解釈は本件訴訟にも重大であり、今後全国の事務組合の運営上重要であるので、ここにその条文を検討する。

地方自治法第292条

地方公共団体の組合については、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、都道府県の加入するものにあっては都道府県に関する規程、市及び特別区の 
 加入するもので都道府県の加入しないものにあっては市に関する規定、その他のものにあっては町村に関する規定を準用する。(下線部控訴人)

ここで問題なのは、前段下線部の「法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか」の意味であるが、これは明らかに国の法律や政令に存在する事務組合についての規定については、言うまでもなく順守しなければならないからこれは除外し、これら法令の規定のほかの、都道府県や市町村に関する規定(すなわち条例や規則など)を準用せよ、という趣旨であることは明瞭なのである。地方自治法の解説書ではこの法律で除外される法令とは、地方自治法、同施行令での事務組合についての規定をはじめ、公選法第267条、地方税法第1条第4項、地方公務員法第7条第3項・・・などとされている。

ところが原判決は、「同条の文言上、同条にいう「規定」とは、「法律又はこれに基づく政令の規定」を意味するものと解するのが自然である・・・・」というのである。
準用すべき都道府県や市町村に関する規定とは、遵守するのは当然のことだからこの292条の法律の準用を定める規定から除外するとされた、その国の法令のことであるというのである。除外すると明記されたものを準用せよというのは土台無理な話である。それでは諸々の法律や政令で規定されたものを除いて、そのほかに、法律や政令で都道府県や市町村についての規定とはどんなものがあるというのであろうか。

地方自治法の事務組合についての他の条項で例えば252条の12、同条16、同条17の第4項、同条17の3の第1項などでは、市町村の条例・規則が法令として準用が定められている。たとえば、地方自治法第252条の17の1第4項では
「第2項に規定するもののほか、第一項の規定に基づき派遣された職員の身分取扱いに関しては、当該職員の派遣した普通地方公共団体の職員に関する法令の規定の適用がある者とする。・・・」

「普通地方公共団体の職員に関する法令」とは一般職員等の給与支給条例のことであり、このように地方自治法の事務組合についての法令では、都道府県や市町村の条例や規則も法令として又は法令に並列して準用が定められているのである。
地方自治法292条は事務組合について包括的に法律や政令以外の法令(都道府県・市町村の条例・規則)の準用を指示したものであることは明白である。

2、普通財産としてもその無償譲渡は許されていない

原判決や被控訴人がこの地方自治法第292条をここまで曲解するのは、それの正しい解釈が、本件無償譲渡の違法性に直結する問題を内包しているからである。
 すなわち、本件無償譲渡は行政財産に私権を設定しこれを直接処分したということで地方自治法第238条4の第1項に真っ向から違反したのであるが、仮に百歩譲ってこれが普通財産に適法に転化されて処分されたという主張に話を替えるとしても、それでは普通財産として実際に適法な手続きをして処分をしたかどうかが問題となる。
そこで問題となるのが地方自治法第292条に基づき「室戸市有財産交換等条例3条」の規定に本件無償譲渡は違反している、という控訴人の主張であり、被控訴人らは、これについてまともに答えられない。

 準用されるべき「室戸市有財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例」第3条において、行政財産はもとより普通財産でも、民間団体に譲与することも無償で貸し付けることも許されていない。それが許されるのは相手が市町村など公共団体か、農協などの公共的団体に限定されていて、公益法人でも一般企業には許されていない。
したがって、本件無償譲渡処分は、行政財産である場合はもとより、仮にこれを普通財産としても、法令違反となっている。

 被控訴人が地方自治法292条の準用規定を曲解しこれをかたくなに拒むのは、ここで被控訴人が決定的な破綻をきたすからである。すなわち、本件施設を用途廃止し普通財産に転化して譲渡したから適法である、という主張が根底から崩れるからである。
 地方自治法292条は本件組合の財務会計行為について構成団体(市町村の場合は市 本件組合では市は室戸市と安芸市)の条例・規則の適用を義務付けており、「室戸市有財産の交換、譲与、無償貸付けに関する条例」第3条(「安芸市財産条例」第3条も同様)の規定に逸脱する行為は違法である。

【三】結論

原判決は、地方自治法第238条4の第1項の規定に基づき本件無償譲渡を違法であり、同条第6項の規定で無効であると判示し、組合長小松の注意義務懈怠、過失を認定した。
そして、財産について違法・無効な行為によって組合がその所属する丸山長寿園の施設の全てを失ったのであり、巨額の損失を被ったことは明らかである。
本件施設の無償譲渡は、これが行政財産であればもとより、たとえこれが普通財産であっても、法的に許されない。

違法・無効・有責の認定に反して、本件無償譲渡によって損害は発生していないから、賠償責任も存在しないとした原判決の結論は、著しい理由不備又は理由齟齬をきたしている。
また、地方自治法第292条の曲解、地方自治法施行令167条の2第2号規定の法外な拡大解釈など法令解釈の明らかな間違いがあり、これら法令を正しく解釈すれば、本件無償譲渡の行為が救い難いほどに深刻な違法行為の重畳であって、その賠償などの責任が厳しく問われる必要があることは明らかである。

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2016年5月29日 (日)

安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合への措置請求

News & Letters/491

        措置請求書

安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合殿
                       平成28年5月27日
                       澤山保太郎
                       田原茂良
                       楠瀬立子

丸山長寿園無償譲渡の違法・無効判決について

          記

1、平成28年5月17日、高知地方裁判所民事部は、平成26年4月1日に民間団体むろと会に貴組合(当時組合長小松幹侍室戸市長)に所属していた丸山長寿園の無償譲渡の行為について地方自治法第238条の4第1項の規定に違反し、この無償譲渡を無効であると断罪した。

そして、その無法行為の原因として、当時の組合長小松幹侍の「尽くすべき注意義務を怠り、過失」によるものであると断定した。判決では、行政処分性はないとして取り消し請求の訴えを否定し、賠償責任も否認したが、貴組合がした無償譲渡の行為については明確に違法・無効であることを言明し、さらにその「無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない」と断定された。

行政側に傾く住民訴訟では極めて異例な判断である。たとえこの訴訟が上級審にかかって、賠償責任などが争われるとしてもこの違法・無効の判断がゆるぐことはありえない。
2、したがって、私たち原告は、この判決の趣旨に基づいて貴団体が、組合を構成する芸西村から東洋町に至る全市町村民に謝罪をしたうえ、以下の措置を取ることを要求する。

①むろと会から丸山長寿園の経営を取り戻すこと、
②平成26年4月1日以降の経営上の利益を全額回収すること、
③また、むろと会役員などに支払った報酬などは不当であり、全額回収すべきこと

 その他丸山長寿園が貴組合に所属するものとしての必要な措置を直ちに講ずることを求めるものである。

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2016年5月21日 (土)

続 丸山長寿園判決

News & Letters/489

       厳しい断罪

5月17日の公立の特養老人ホーム丸山長寿園の民間譲渡について、高知地方裁判所の判決文は、いわば、事実の認定は違法行為であるが、どうしても行政側を負けさせるわけにはいかないのでこんな判決文になってしまった、控訴審で何とかしてくれ、という依頼状のようなものである。

以下の判決文を見てください。その違法性判断はこれまで私が経験した無数の住民訴訟の中で首長に対して最高度に厳しい内容である。

判決文20頁

「被告組合の組合長である小松が、平成25年12月25日、むろと会との間で、本件契約を締結し、それに基づき平成26年4月1日にむろと会に対して本件施設の建物等を譲渡したことは、上記3で説示したとおり、違法な財務会計行為であるところ、前記認定事実によれば、小松は、その前提となる事実、すなわち、本件契約当時、本件施設の建物等は未だ被告組合が運営する特別養護老人ホームの用に供されていたとの事実を認識していたものと認められる。

そうである以上、小松は、本件契約が地方自治法238条の4第1項に違反する違法なものであると認識すべきであり、平成25年12月25日の時点においては、本件契約を締結すべきではなかったといえる。それにもかかわらず、小松は、被告組合の組合長として尽くすべき注意義務を怠り、過失により、本件契約を締結し、平成26年4月1日、本件施設の建物等をむろと会に譲渡したものと認められる。」

尽くすべき注意義務を怠り、過失により・・・・という。通常は、裁判所が違反行為があったと認めても、その違反については知らなかったとか、認識できなかったから、責任は宥免するという事にしてきた。

しかし、この判決文は、小松幹侍は違法性を認識することができた、と追及し、その責務の懈怠をも指摘したのである。
裁判所は行政責任を宥免する口実を自ら絶ったのである。
東京都知事は別格としても、最近これだけの断罪を受けた首長はめったにいないだろう。
無償譲渡した施設の価値は数億円にのぼるものであり、譲渡先の団体の長は、小松幹侍室戸市長の係累である。

これだけの判決を受けた場合、行政マン失格であり、通常なら、辞職しなければなるまい。
また、これだけの断罪であれば、裁判所は、何らかの償いを違反者に求めるのが道理であろう。

それができないんや、という悲鳴が聞こえる。

私は、日本社会の低迷、特に地方の衰微の大きな理由は、市町村首長が利権行政に流れ、真剣に地域の活性化、そのための行財政改革にいそしむという姿勢が欠如しているからであると考える。そのような堕落した行政を野放しにするような裁判は地方の衰滅を一層促進し、同時に司法の墜落をもたらすものである、と考える。
三権分立というが、分立はいいとしても、法の支配の立憲主義の建前から、司法は他の二権よりも上位に立たねばならないと考える。

日本の現状では、司法は最下位に置かれ、裁判官自身が議会や行政におもね、自ら卑屈になっているように見える。
その典型的な一例が本件判決であろう。これも控訴せざるを得ない。

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2016年5月20日 (金)

速報  丸山長寿園の無償譲渡について不当判決

News & Letters/488

    違法である。しかし免罪する。

昨日平成28年5月17日高知地方裁判所 民事部石丸将利裁判長、陪席高木晶大判事、同泉地賢治によって、矛盾に満ちた不当判決がなされた。

判決内容では、室戸市長であり、当時安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合の組合長小松幹侍が、民間団体に行政財産を無償譲渡した行為が地方自治法第238条の4に違反すると断定しておきながら、どういう理由か不明確な理由で、小松幹侍に賠償責任はない、として免罪した。

民間団体に行政財産を無償譲渡の契約をした行為は、法令違反であり、無効である、と判示しながら、おとがめなし、という
結論が国民を納得させられるであろうか。すなわち、本件無償譲渡契約及び無償譲渡について判決文は言う。

「本件契約は、地方自治法238条の4第1項の規定に違反してされたものであり、同条の4第6項の規定により、無効である。よって、本件契約に基づく本件無償譲渡は、地方自治法に違反した違法な財務会計行為であったというべきである。」

さらにこれに続いてご丁寧にその違法判示の理由として

「地方自治法238条の4第1項が行政財産の譲与等を禁止したのは、行政財産が、地方公共団体の行政執行の物的手段として行政目的の達成のために利用されるべきものであることを考慮し、法律上厳しくその処分や私権の設定等を禁止することとしたからであり、仮に、引き渡しなどは用途廃止後に行われるとの理由で用途廃止前における処分が認められるとすれば、同項の規定の趣旨を没却するおそれがある。」とまで断定しているのである。

無償譲渡の契約、それに基づく無償譲渡の実行が違法であり無効であるならば、当事者に財産の原状回復や賠償責任を求めるのが道理であろう。

おそらく裁判官のうち、違法、無効を唱える者と、どうでもいいから住民側敗訴にしようという裁判長の判断とが分裂してこのような矛盾した判決文となったのであろう。
「法服の王国」の混乱もこのように歴然と表出したのでは、救いようがないのではないか。すなわち、裁判の信用性、裁判の公正さを誰が見ても、根底から失墜させているのである。

私の任務は、もとより行政の不正を暴きこれを正すことを目的とするが、現在の「法服の王国」の実態を白日の下にさらすというもう一つの重要な役割もある。
この判決を受けて安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合の執行部は勝訴したと言って喜ぶであろうか。

保育園の民営化などを名目にして行政財産の民間への譲渡は相当広く行われており、この判決の影響は大である。
新聞や報道機関は、この判決の重大性を無視しているが、少なくとも、行政財産の譲渡が違法であるという判決が出たことぐらいは報道すべきであろう。

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2015年6月15日 (月)

夕食

News & Letters/414

夕食を取るのをやめてから半年が近づいている。
体重は少しも変わらない。何の支障も起こらない。
支障どころか、夕食を絶つことによって色々なメリットが
考えられる。

1、食費代が半減した。

2、夕食準備の労力と時間が不要となった。
  夕食準備、夕食摂取のために仕事などの中断が不要

3、夕食準備のための光熱費、水道代が要らなくなった。

4、身体に対する過剰な負担が消滅した。
  血液検査での色々な数値が正常化したのではないか。

5、睡眠がよくとれ、ぐっすり眠れる。

6、聞くところによると、断食をすることによって免疫力が大幅に増強する
  とのことだ。そのせいか毎年風邪をひいて高熱を出していたが、
  今年は全く風邪をひかなかった。

日本などの国民が夕食をとるのをやめたら、その分で多くの飢餓に苦しむ子供達を救えるであろう。

日本やアメリカなどの人類が夕食をやめたら、世界のエネルギー消費も大幅に減少し、食糧生産のための環境破壊もストップし、医療費も劇的な改善を見るであろう。原発を稼働する必要性もけし飛ぶだろう。

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2015年4月13日 (月)

丸山長寿園住民訴訟準備書面2

News & Letters/406

行政の無法行為がいかにすさまじいか
この準備書面を見れば明らかだ。
都合の悪い法律は抹殺してよいという論理だ。

平成26年(行ウ)第13号一部事務組合無償譲渡処分取消及び損害賠償請求事件
原告 澤山保太郎外2名
被告 安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合外1名

原告準備書面(1)
                                          平成27年4月9日
                原告 澤山保太郎
                 同 田原茂良
                 同 楠瀬立子

原告らは被告準備書面(1)について以下の通り弁論を準備する。

一、
今回の被告準備書面(1)の内容は安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合(これを単に組合と呼ぶ)の監査委員が出した監査の結果の通知書(甲第3号証)と同じ内容、同レベルのものであり、原告らの訴状等のこれまでの主張を何ら揺るがすものではない。
被告準備書面(1)の主張の骨子は4頁下段から5頁上段に記載されている。

すなわち、本件建物・備品等については、前記(1)の(補足)に記載した被告組合を組
織する9市町村の議会の議決、これを受けた9市町村長による協議の成立、共同処理する事務及び規約の変更についての高知県知事の許可によって、平成26年3月31日限りで組合の行政財産としての用途が廃止されて普通財産になることから、被告組合は、これを前提として平成26年4月1日に本件無償譲渡を実行するべく本件無償譲渡契約を締結したものであって、本件無償譲渡の実行の前提として、本件建物・備品等の行政財産としての用途は廃止されているのである。

これを要約すると、

①構成団体である9市町村の議会の議決があった。
②9市町村長の協議が成立した。
③高知県知事の規約変更許可があった。
④これらにより行政財産としての用途が廃止され
⑤普通財産になった。
⑥①~⑤を前提として無償譲渡契約を締結した。 ということである。

問題は、①、②、③の手続きによって、④⑤の行政財産の用途廃止、普通財産化した、という経緯を述べるだけで、議会の議決や首長の協議などで行政財産の用途廃止が可能であるという法的根拠について、何も主張していない点である。不法行為の経過報告をしただけではその行為の正当性が担保されるということにはならないだろう。

二、
さすがにそれだけではまずい、何か法的根拠はないものかと感じてか、被告は、東京地裁の判例(平成4年12月3日判決)を持ち出して主張を補強しようとする。
地方自治法第237条2項の規定について解説するその判決の要旨は、普通地方公共団体が適正な対価によらずにその財産を譲渡などの処分に付する場合には、議会の審理と議決があれば必要かつ十分である、というものである。これが、被告の上記不法行為を適法にさせる法的根拠とでも言うものであろうか。
しかし、これは子供でもだまされない単純な法律の歪曲である。
地方自治法第237条の2項の条文を正視すれば、誰でもわかるであろう。

その条文は、 
第238条の4第1項の規定の適用がある場合を除き、普通地方公共団体の財産は、条例又は議会の議決によるのでなければ、これを交換し、出資の目的とし、若しくは支払い手段としてし使用し、又は適正な大過なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けてはならない。

と明記されている。すなわち、この地方自治法第237条2項の規定は、本件請求の趣旨の根本的な法的根拠である行政財産の処分についての制禁の規定(地方自治法第238条の4)の適用がある場合を除外しているのである。

換言すれば、東京地裁の解説する地方自治法第237条2項の議会云々の規定は行政財産を除外し、普通財産についての話であり、それなればその通りなのである。
以上の通り、上掲東京地裁判決は本件訴訟の争点には該当しないことは明らかである。

三、
行政財産の処分を制禁する地方自治法第238条の4及び同法238条の3の規定には歴史的意義がある。

組合の本件無償譲渡の行為は地方自治法第238条の4(及び同法238条の3)の規定に反するものであるが、被告は、この法律の規定をないがしろにしても良いという趣旨の主張(7頁中段)までする。すなわち、

平成21年11月26日の最高裁判決によりながら、被告は、この場合、改正条例の施行によって行政財産としての用途が廃止された保育所の建物、備品の処分が地方自治法第238条の4の規定の存在が保育所の行政財産としての用途を廃止する上での障害となるものではないことは自明の事柄である。

といい、さらに、地方自治法第238条の4の規定は同法244条の2の規定にいう「法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるもの」には該当しないのであって・・・
とまで極限する。被告は、自らの主張について明確な法的根拠がないので、都合の悪い法令の明文規定は無視しても良いという主張をしなければならない。

平成21年11月26日の最高裁判決については訴状で述べたとおりであって、地方自治法第238条の4の行政財産処分制禁の法律を判断の中に入れていない。
原告は法律を順守しろと主張し、被告は法律は遵守しなくても良い、自分の行為を禁止する法律は排除すると主張する。

しかし、行政財産をそれを管理する者らが自由にしても構わないということになれば、国家の根幹がゆるぐことになる。歴史学者の説では、かつて古代律令制度が崩壊し中世封建社会が生まれた契機は、公の国衙や国衙領が貴族や武士によって私物化されそれらの家産に転化することから始まったとされる。

まさに、明治維新は、そのような封建領主の家産と化した領地・領民制を解体し、田畑の私的所有を解禁するとともに、公と私の堺を峻別した。例えばこの裁判所が建っている高知城の城地は嘗ては山内家の殿様のものであったが、明治以降高知県の公地となったごとくである。今、高知城を県議会や知事の一存で誰か私人の所有に替えることができるであろうか。

地方自治法第238条の4の規定は、いかなる場合にも侵すことのできない近代社会の根本原則を定めたものであり、歴史の重みがかかっている。
これを無視してもよいとの被告の主張は何の根拠もないばかりか、公の施設についての歴史的意義を没却し、近代日本社会のよって立つ公私の分裂の原則を破壊することにつながるものであろう。

四、
さらに、被告は、行政財産を普通財産に転化する上での手続きについて苦しい弁解が続く。
一部事務組合の場合は・・・・財産の取得、管理、処分の手続きに関する条例や規則を制定していないのが通常であり、・・・・本件においては、被告組合の財産管理に関する条例や規則との関係が問題になる余地はない。(8頁中段)という。

本件のような重大な財産の処分についての手続きが何もなされず、その手続きを定めた規則も条例もない、それでも構わないというのである。

およそ公的機関においてその業務遂行について何もルールがないから、自分らが勝手にやるということが通用するであろうか。しかもその業務は内部の規律に関するものではなく、9市町村に渡る住民の福祉事業の受益権に関する事柄である。

一部事務組合には議会があり立法機関があるから、規則は必要に応じて策定されねばならないし、それは容易に議会で議決することができたはずだが、被告はそれをしなかった。
無論、行政財産をその稼働中に用途廃止し普通財産に転化して譲渡あるいは売却などの処分をするという規則は作ることはできない。室戸市や組合構成団体の市町村は言うに及ばず全国どこの地方自治体にも財産規則はあるが、その中に行政財産を処分するという条文は1条も存在しない。

そして、仮に議会の意思が決まり、所属首長の意思が整っても、それはあくまでも処分の意思決定であって、その意思を実行する事務遂行のデュープロセスが担保されねばならない。譲渡又は売却するにしてもその相手をどのように選定するかなど重要な手続きにおいて瑕疵があればその行政処分行為は無効となる場合もある。

まして、その手続きが全くなされず、手続の規則もないとなれば、身内の者に行政財産を無償譲渡したという意思決定が仮に許されたとしても、その処分手続の正当性を主張する根拠が何もないということになれば、話は違ってくる。

五、
被告はその手続きの重要な一環である無償譲渡契約について、
被告組合とむろと会との間の本件無償譲渡契約は、地方自治法第234条第1項にいう「売買、貸借、請負その他の契約」には該当しないのであって、随意契約の制限に関する同法施行令第167条の2の規定との関係は問題となり得ない。(10頁)
という。被告は、本件無償譲渡契約は地方自治体の契約について規定している地方自治法第234条第1項には該当していないという。では一体本件無償譲渡契約はいかなる法的根拠があるのであろうか。

日本は法治国家であり、行政の事務もすべて法令に基づいて行われなければならない。
全国の地方自治体の行政機関がする契約は毎年億兆単位の莫大な予算を伴っているが、それらはすべからく、地方自治法第234条第1項によらねばならず、外に何の法律も存在しない。それに依拠しないということは、被告は自らの行為が無法行為であることを宣言し、それがどうしたんだと開き直っているとしか思えない。
正気の沙汰ではない。

被告の本件行政財産の廃止は、稼働中に無償譲渡契約等手続が先行し、あくまで民間団体へ無償譲渡するための廃止処分であり、廃止、廃園されていた施設を無償譲渡の対象としたというものではない。

したがって、地方自治法第238条の4の規定がまともに該当するものである。
ちなみに、本件契約は一般競争入札などもしていないから、随意契約であり、随意契約について定める地方自治法施行令第167条の2の第1項の「その他の契約」に該当すると考えられるが、この規定には数百万円程度の金額の上限が設けられているから、億円単位の本件契約は当たらない。本件の場合は法令上随意契約はできないことを付言しておく。

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2014年10月30日 (木)

行政改革

News & Letters/380

昨日の朝日新聞の避難タワー建設についての記者の質問の外に、その記者は私が掲げた公約を絵空事だなどと激しく攻撃をした。
主として財源がないではないか、ということだ。

この質問には答えたが、記者は納得できない風であった。
おそらく、現状の行政の在り方について真剣に考えたことがないのであろう。
新聞を見ても現状の行政の在り方をつぶさに検討したこともない、現状肯定の報道姿勢だ。

財源は公約に掲げてある。行政改革だ。
私が考えている改革の分野はいくつもある。

例えば保育所の公設民営への転換について実例がある。
かつて室戸市内で市の全額負担の半公設の保育所があった。
それがある勢力の圧迫によって市の援助を全面的に打ち切られた。

そこでその保育所は30人程度の園児の保護者とはかって年に650万円(一人月2万円ほど)ほどを負担しあって独自の保育を開始した。数人の保母さんがいた。仕方なしに「民営化」したわけだ。

このようなやり方を最低限度の保育とすれば30人の園児の保育所に1000万円を公費負担すれば、保育料無料の保育所が十分運営できるだろう。このような保育所が2つ(園児60人)あるとして経費を2倍以上に見積もっても3000万円もあれば運営できるであろう。

50人かそこらのこの程度の園児しかいないのにある町の公立保育の運営に予算では1億円の経費を出費している。
これを公設民営化すれば、1億円が少なくとも5000万円以下の出費にに抑えられ、しかも保育料無料化が実現できる。
毎年5000万円の余剰ができれば、これを診療所を一つ開設することにすれば医療費無料か極格安料金の診療所が一つできるであろう。

このようなやり方は私が実現する機会はなかったが、室戸市では大方の理解を得られると思う。行政改革を断行する以外に資金をねん出し、その資金で室戸市民が生きる道を切り開かねばならない。

これが「絵空事」であろうか。このような改革を推し進めるためには保護者の意見や職員の待遇や議会対策等々色々な問題をクリアしなければならない。
しかし、保護者や市民全体の利益を考えるなら、関係者や市民の議論の帰するところは一致するはずであろう。

抜本的な行政改革の分野は他にもいくつもある。

既往のやり方しか考えず、短絡的な結論をもってぶった切ることをせず、人の話をよく聞くことだ。記者とはいくらでも討論するから話を聞きに来るべきだ。
やがて消滅するから何をやっても無駄だという意見についても正しい回答をしたいと思う。

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2014年7月27日 (日)

公立の丸山長寿園無償譲渡

News & Letters/369

Maruyamamm

安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合所属の丸山長寿園(室戸岬町三津)が本年4月1日から、民間団体福祉法人むろと会なる怪しげな団体に無償譲渡されていた。
これを実行したのは当時組合長であった小松室戸市長である。

小松市長は最近出した後援会新聞で得意げにこれを取り上げ「民営化」したと言っている。

しかし、これは、大変な事件であり、地方自治法で固く禁じられている行政財産を丸ごと譲渡したという暴挙であり、断じて許されない。

郵政民営化でも国鉄の民営化でも、民営化するためには一旦その組織を解散し、根拠法を廃止し、民営化の新法律を作らねばならない。アメリカの意向におもねて郵政を民営化する法律を国会で通すために小泉総理大臣は苦労したのである。

安芸広域市町村圏・・・という1部事務組合の組織をそのままにし、稼働中の行政財産の1部を処分して、利害関係者に譲与するというのは背任行為であり、厳しく弾劾されねばならない。

その福祉法人むろと会なるものは、1年前にでっちあげられ、福祉事業など何の実績もない団体であり、労せずして3億円近くの資産を登記するまでになった。
丸山長寿園は常に黒字であり相当な剰余金もあった。何故民営化しなければならないのか全く理由が不明だ。昨年12月に安芸郡市の首長と議長からなる組合議会で可決され、さらに各市町村議会でそれぞれ可決された。

西は芸西村から東は東洋町までの9つの市町村の首長や議員でこれに異を唱えるものはいなかったのであろうか。安芸郡市の住民はほとんどこの民営化の事実を知らない。
私も佐喜浜町の住民に知らされて初めて分かった。

県庁(市町村振興課)も法律を知らないのであろうか。何の疑問も呈さずに許可した。
無論、県下の新聞などの報道陣が何も取り上げないのは仕方のないことだ。
この暴挙に対し、住民らの監査請求と私の県に対する許可の無効確認裁判を対置した。

安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合職員措置請求書(住民監査請求書)

安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合
監査委員殿
                     平成26年 月 日
                    高知県安芸郡東洋町大字河内1081-1  
請求人 

【請求の趣旨】

 平成26年3月末まで安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合(以下組合と呼ぶ)の管轄下にあった丸山長寿園が同年4月1日に民間団体に無償譲渡された。
前組合長小松幹侍室戸市長が2億円を超す老人介護施設一式を元室戸市役所幹部職員を代表とする民間団体に無償で譲渡したことは極めて不当であり、地方自治法違反であって、組合は丸山長寿園という行政財産を丸ごと失った状態である。
行政財産の喪失は金銭に替え難いが、すくなくとも、その付属備品を含む施設の価値相当の損害が発生したと考えられる。

組合は丸山長寿園の無償譲渡の処分は無効であるのでこれを撤回し、公有財産を回復し元の組合の正常な運営に戻すべきである。

【請求の原因】

1、前組合長小松幹侍は、組合が経営する丸山長寿園を元室戸市役所幹部職員の中岡當行が理事長を務める「社会福祉法人むろと会」(以下むろと会と呼ぶ)に無償譲渡するため、平成25年12月25日に組合の議会で無償譲渡案を可決し、その後室戸市議会等にこの譲渡案や組合規約の改正案を可決させて、同年12月25日に、むろと会との間で無償譲渡の契約書を交わし、平成26年4月1日をもって、この無償譲渡を実行した。

2、しかし、地方自治法第238条の4第1項では、行政財産の丸ごと譲与は認められていず、同法同条第6項の規定により丸山長寿園の民間への無償譲渡の処分は無効である。地方議会や一部事務組合の議会の議決は国の法律を凌駕することはできない。
組合は、現に多数の入居者が収容されている老人ホーム丸山長寿園の廃園を実行しその施設を普通財産に転換する処分をしたわけではないし、またそれは不可能であった。
 民間に譲渡しなければならない理由は、財政事情等を含め何もない。

3、組合議会での議決や各市町村の議会で議案に出された譲渡物件は、老人ホーム本館や、ポンプ室、物置、車庫、休憩室など建物で、評価額は2億1958万3076円、他に
電気設備や浄化槽等付帯設備や構築物、さらに電動ベッドや車両など備品を合わせると
3億円近い価値相当の財産が失われたことになる。本年2月26日付のむろと会の登記
では約2億8900万円余の資産が登録されている。

4、現に稼働中で1日もゆるがせにできない介護施設という行政財産を丸ごと民間団体に
譲渡するという行為は前代未聞の暴挙であって、加盟市町村長や議会がこれに異議の申
し立てをしなかったという事実、また、規則の許認可の責にある高知県庁がこれを制止
しなかった事実も合わせ、驚くべきことである。
 組合は、本件無償譲渡の処分が無効であることを確認し、ただちに丸山長寿園を本年3月以前の原状に復す処置を講じる義務がある。そうしないなら、組合は小松幹侍室戸市長に対し、上記の財産喪失についてその時価相当分の損害賠償を請求するべきである。

5、組合は、民間に譲渡する際に公募をしたわけでもないし、また譲渡の前後に関係住民に説明会を開いたり、説明用のビラの1枚も配布することもなかった。
 1部事務組合は、構成団体が協議し県庁などに規約変更の申請し、共同処理する事務を変更することはできるが、それはあくまでも法律の枠内のことであり、行政財産処分の場合には適法な手続きを踏まねばならない。

6、各構成団体である市町村に出され議決された議案によれば無償譲渡の対象となった本件施設の、その無償譲渡の実施は平成26年4月1日となっている。高知県庁の規約変更の認可も同日付である。
しかし、むろと会の登記書(履歴事項全部証明書)によれば、既に平成26年2月26日には、同法人の「資産総額」は2億8958万3076円となっておりその事務所の所在も、各議会の議案書にもまた登記書にも丸山長寿園と同番地となっている。
 このことは、各市町村議会や首長が知らぬ間に既に譲渡実行期日前に無償譲渡が完了していて、中岡當行が理事長を勤める法人にその建物や付属備品など3億円近くの資産の所有権が移転しているということである。
 仮に無償譲渡が許されるとしても本年4月1日という期日は公然たる事実で中岡らも知っているはずであるから、期日以前に組合の公有財産がとられていた可能性がある。

 
7、如上の、行政財産を民間に無償譲渡する行為は、法律によって禁じられている行為であり、それをあえて実行した当時の組合長である小松幹侍室戸市長の組合に対する背任行為も別個の問題になる。

【添付資料】
 1、平成25年12月25日組合議会で可決された無償譲渡契約書
 2、組合の新旧規約
 3、社会福祉法人むろと会履歴事項全部証明書

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2013年6月27日 (木)

生活保護法改正

News & Letters/356

自民党ら反人権団体が生活保護法の改悪を狙った法案を成立させようとしている。
その内容は、申請手続きを厳格化し、親族の扶養義務を強化し、本人の早期の自立・保護打ち切りを促す、生活保護の恥化政策を内容とする。

、私は町長時代、生活保護申請者には基本的に全部町長が直接申請を受け付けた。
それは、担当職員が保護申請を拒絶することがないようにするためであった。
だから、町長在任中一件も保護申請を却下したことはなかった。
生活保護申請は暴力団関係を除いて、絶対に受理しなければならない。
行政はむしろ住民の生活の実態を知って、雇用対策を講ずると同時に、適切な保護を積極的に進めるべきなのである。

、誰であれ本人とともに付き添い人が面談に参加することを歓迎した。
 他の役場では、申請人本人を孤立させ、密室で強圧的に問い詰め申請を諦めさせるために付き添いを排除していた。職員が相手に何を言っても証拠が残らない。
室戸市議の時には、私はしばしば保護申請に付き添って助言をしてきたが、やがて室戸市福祉事務所は付き添いを一切排除した。
私は、むしろ、本人が十分窮状を訴えられない場合もあるから、近所の人や親 
 族がそばで助言することは大いに参考になることであると考えたのである。

、保護費の支給を希望者には全て銀行振り込みに替えた。役所や公民館で支給日に被保護者を並ばせるのは、残酷であり、それを思って保護申請ができない者もいたのである。プライバシイのはなはだしい侵害であって、そういう卑劣な手法で保護費の削減になるという愚劣な考えは我慢ならないなのであった。

銀行振り込みを希望しない被保護者に対しては、職員に被保護者の家に保護費を持って行かせた。生活保護法では、保護はその者の居宅で行うと規定されている。
被保護者を役場の庭に並ばせて支給するやり方は、私が室戸市議であった時も、とくに問題とし、貧しいということの刑罰としてその貧しさを暴露させるという蛮行。私は、室戸市でついにこの蛮行をやめさせたものである。

どんなに忙しくとも、町長として私がすべての生活保護申請者に面談した理由のもう一つは、行政執行者として住民の困窮の実態を身にしみて知る、というためであった。雇用対策と福祉施策の重要性をそこから予算に生かさなくてはならない、その感性を常時磨くために最底辺であえぐ人々の声を直接聞くことが大事な仕事なのである。

私は東洋町始まって以来の億単位の巨額の雇用対策を実行し、米の配給など福祉行政を徹底的に拡充してきたが、それは、生活保護申請者の生の声とその姿に後押しされていたからであった。

生活保護法を改悪し、今よりも一層申請者を委縮させ、保護費を切除し、国民にそれを恥とさせるというのは、ひっきょうは、むしろ為政者たちの無能と恥をさらすことである。
今も昔も、民主主義であれ何であれ、国民が貧しく、仕事もなく、飢えと病気に苦しむのは為政者の責任なのである。

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2013年2月20日 (水)

県庁の職権乱用につき公開質問状

News & Letters/332

公開質問状  平成25年2月20日

高知県知事、高齢者福祉課殿

           高知県安芸郡東洋町大字河内1081-1                       
                      東洋・室戸市民オンブズマン
           代表 澤山保太郎

平成24年12月28日貴庁が行った「高知県指令24高高齢1243号」、室戸市の有限会社「澤」に対する指定居宅サービス事業者等の指定取り消し処分は、正当な処分であるか、疑義があるので質問をします。 

1、【質問の契機】

介護給付費の不正請求及び不正受給について貴庁の上掲文書を見ても不正請求の事実及び不正受給の事実について何ら具体的な実証がない。貴庁が理由として挙げているのは、主に以下の二つである。

①「提供した具体的サービス内容等の記録がないにもかかわらず、介護給付費を請求し、受領した。」

②「訪問活動票を偽造して介護給付費を請求し、受領した」というものである。

2、【質問】

①の記録がないにもかかわらず、請求した、という点について、

 介護サービスの関係法令を見ても、サービスの記録がなければ請求できないという規
定は存在しない。そのような規定があればご教示願いたい。

サービスに係る介護給付費の請求は介護サービスの事実行為に基づいて行うのであって、記録に基づくということではない。無論、法令では記録はしなければならないし、一定期間保存もしなければならないことになっているが、本件の場合、サービス提供時には記録があり、それに基づいて請求をしていたと関係者は主張しているし、事実サービスを提供していることは利用者や従事したヘルパーも確認している。

サービスを提供していないという事実について、貴庁はいかにして実証するのかご教示願いたい。記録の管理について疎漏があったことは事実であろう。

しかし、記録はあくまでも事後の処理であり、事実行為とは別個の範疇にはいる。
何らかの理由で記録を失った事実があったことは確かの様であるが、サービスの記録がなくなったからといって、サービスがなかったとどうして言えるのか。
サービス不存在というならば、その立証責任は貴庁にある。

事実行為としてサービスを利用者に提供した以上、給付費を請求し、それを受領するのは当然である。例えば、マッサージ師が依頼を受けてある人にマッサージのサービスを行った場合、書類がなくても後日その代金を請求し、受領することは許される。

記録保存の法的義務は第1に利用者との関係で後日係争にならないためであり、第2には監督官庁の検査のためである。決してサービス当座の請求事務の為ではない。
記録保管義務の違反については、それ相応の処罰があるとしても、それが即事業者の指定取り消し事由にはなっていない。貴殿及び貴庁職員の職権乱用ではないか。

②の訪問活動票を偽造して給付費を請求・受領したという点について
ある特定利用者へのサービスについてサービスをしていないのにしたとして偽りの活動票を作成して請求したというのであるが、該当する平成23年11月23日から28日の6日間の特定利用者へのサービスは当該会社のヘルパーHさんが毎日サービスを実施したことは事実であり、その請求と給付費の受領は事実である。

平成24年12月12日の貴庁の本件に関する聴聞の記録、また、本件について当該会社の当時のヘルパーHさんへの事情聴取の記録「事情聴取における確認調書」(平成24年5月18日)によると、その際の活動票がHさんのほかにもう一人のヘルパーの名前のものが2重にあり、またHさんの活動票に1部欠落があるとのことであるが、これらの書類の記録で明らかなように、二重請求はしていないこと、二重の活動票はHさんに対し当該会社が記入説明例として作成しHさんに渡した分が混入していたこと、等が説明されていて、書類を偽造したと疑われる事実は何も存在しない。

文書「偽造」というのには動機や目的、故意が証明されなければならない。
これに係るサービスを受ける特定利用者の当時の状況は重いものがあり、毎日2度の介護サービスが必要であったから、サービスをしていないのにしたと偽ることは不可能なことであった。行ったサービスについて請求したと言うだけで、それ以外に何か特段の目的や意図があったのであろうか、本件「偽造」なるものが何のために、何の利益のためになされたと考えているのかご教示を願いたい。

特定利用者がサービスを受けていないとかいう苦情でもあったのか、サービス不提供の事実についてどのようにして確認したのか、ご教示願いたい。
その記録がないと言うだけでは事実行為の不存在の証明にはならない。
事実行為不存在の立証責任は貴庁にある。

特定利用者に対するサービスは確実に行われたということは当の利用者が認めているし、当該会社のヘルパーも証言している。これらの状況は、実際の現場の関係者の話を聞けば直ちに了解されるはずであった。
活動票の保管について不備があったであろうと思われるが、それをもって給付費請求に係る書類の「偽造」というのは余りにも飛躍しすぎている。

書類の粗漏があったという事実だけで、公金請求にかかる文書偽造の犯罪を押しかぶせることができるのか、関係者への名誉棄損を含む公務員による職権の乱用の疑いがあると考える。以上のとおり貴庁の出した本件処分は根拠がないし、その上に職権乱用や名誉棄損の疑いがあり、県民として許すことはできないと考える。
回答によっては法的措置を講ずる考えである。
知事とも検討の上、2週間以内に回答を賜りたい。

(なお、有限会社「澤」と私とは何の関係もない。)

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