高知県政

2019年11月 9日 (土)

選挙

革命的立場の選挙闘争には次のような意義がある。
政治宣伝の場として使う。選挙戦を通じて今持っている情報や資料で敵権力の実態を暴き、労働者人民に
敵の攻撃に備えさせる。

もし当選すれば、これまでとは比較にならない敵の状態、人民の生活や人権の状態の情報が手に入るから、それを分析し、人民に知らせ敵権力を追及する、そういう権能が得られる。

当選することを自己目的にすることは、結局金や名誉を目的にしているのと同然だ。、
私は野党共闘を支持しているが、尾﨑高知県知事の一部でも良いところは継承するなどという政策は野党共闘にはならない。高知県政を分析すれば、尾﨑県政の反人民的性格は明らかである。

米軍機オスプレイの飛行も承認し、原発も承認し、メガソーラーも承認し、県勢の浮揚は何もできず、県議会政務活動費もやりっぱなしにし、県立大学の焚書事件も責任を取らず、高知市をはじめ県下市町村の津波避難の体制はわずかしか進まない、民家の耐震補強にも無関心、異常降雨による河川の氾濫への手当も満足にできない、人口はがたヘリだ。第1次産業で生きていかねばならないのにそれが1000億円の入超の体たらくだ。

地産地消ができないのに何の地産外商ぞや。高知県に住んでいるものは、他府県の人より短命で不健康だ。・・・
何か尾﨑がいいことを残したというものがあるのか。
良いところといえば、橋本大二郎のモードアバンセのような自ら大きな不祥事は起こさなかったぐらいか。
しかしそんなことは当たり前のことだ。

選挙に出る候補者は日ごろからもっと勉強して県政の問題点を県民に剔抉して見せなければならない。
候補者が知らなければ後援団体が教えねばならない。
尾﨑程度の者にちょろまかされてきた高知県の
野党はもし仮に選挙で勝利しても、抜本的な県政の改革、県勢挽回の政策を打てず、かつての民主党のように野垂れ死にし、二度と野党に県政のタクトが戻らないということになりかねないだろう。

革命党の選挙戦の意義は、権力や議席を得るのが最終目的ではなく、敵権力の利権行政を暴き、人民に的確な情報を与え、奮起させようとする事であって、選挙戦を通じて新しい視野が開けるものでなければならない。

負けても異議があるのである。

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2019年11月 4日 (月)

県立図書館焚書事件控訴理由書

県立大学の永国寺キャンパスの旧図書館の蔵書数万冊が焚書に付された事件の
第1審高知地裁の判決は、お粗末な判決文によって原告住民側の敗訴となった。
その判決文がいかにお粗末であるかはわたしの控訴理由書を読んでもらったらわかる。

県立大学の日常業務、図書館の管理、図書の処分に至るまで県知事の監督と指導の下にあった。以前の県直轄運営と同様の知事の責任が地方独立行政法人法に明記されている。
高知新聞は本件について相当な紙面を割いて報道してきたが、ひとつも県の責任を追及しなかった。

不要となった財産は、県知事の許可がなければ、処分できないというのが法の趣旨だ。
この法律について報道機関として新聞として知らなかったわけではないだろう。

最近知事の辞職・代議士転身を機に知事の業績のべた褒め連載をしている関係で、焚書事件の知事の責任をかけないのであろうか。これだけの不祥事を大学関係者にだけに転嫁し、
知事も大学も何の処分も、賠償もしない無責任政治をゆるすということか。

令和元年(行コ)第25号 損害賠償控訴事件
 控訴人 澤山保太郎
 被控訴人 高知県知事尾﨑正直

高松高等裁判所殿
                  令和元年10月31日     
                  控訴人 澤山保太郎
控訴理由書
【控訴理由の要旨】

本件は、平成26年~29年にかけて大学法人が、新図書館建設を機に高知県立大学の永国寺旧図書館に所蔵していた図書のうち2万5432冊を学内手続きだけで除却処分(焼却等)を許した事件である。

一、 本件損害賠償請求は正当である。

数万冊の蔵書を除却した行為は、地方独立行政法人法第6条4項に基づく同法第42条2の1項(不要財産の納付)に違背したことによる損害の賠償、または、本件譲与契約書の第15条の契約解除に基づく第16条(原状回復)の(2)または(3)の規定によっても、損害(契約解除時の時価)の賠償に係る義務を発生させた。

二、 本件違約金支払い請求は本件譲与契約書に規定されていて、不当利得の法理から考えて、地方自治法第242条2の4号の、不当利得返還請求であり正当である。
また、監査請求段階で監査委員が契約書を審査し検討していたと考えられるから監査を経ていると考えられる。たとえ監査請求書に記載されていなくても訴訟段階で新たな措置請求としても適法であるとの判例がある。
また、高額の違約金は、本件除却された数万冊の蔵書を新規に整えようとすれば億単位の資金を用意しなければならないことを考慮すれば不合理とまでは言えない。そもそもこの定めを契約書に主導的に導入したのは、被控訴人であり、その当事者が今なおこれを維持し続けながら、自己の決定したその契約条項を非難するのは筋が通らない。

三、 損害賠償請求権と違約金支払い請求権は性質は違うが同じ一つの事件に基づくもので、これを一つの訴訟に合併して民衆訴訟たる住民訴訟でその行使を求めるのは法律(行政事件訴訟法)上、正当である。
原判決も何のさわりもなく「本案」について検討し判断している。

【控訴理由各論】

【一】 本件損害賠償請求について

一、地方独立行政法人法42条の2第1項の規定
原判決は、本件図書の焼却による損害につき2972万2479円の損害賠償請求は、監査請求前置の要件を満たしていたとしたが、これを棄却した。
その理由は、
本件図書は、もともと高知県の所有に属していたことがあったとしても、本件譲与契約に基づき、独立した法人格を有する本件大学法人の所有に移転しているから、高知県の所有物ではなく、本件除却処分によって高知県の権利が直ちに侵害されたということはできないのであって、権利の侵害がない以上は不法行為が成立する余地はない。 (原判決15頁下段)

大学法人の本件蔵書が本件譲与契約により高知県から大学の方に所有権が移転したことは事実であるが、しかし、この譲与契約は条件付きの契約であり、指定用途以外の用途に使うなど条件に違反した場合解除されるものである。原判決はそのことを無視している。
そしてまた、地方独立行政法人法42条の2第1項の法律は、原判決が言う通り、不要となった出資財産を地方公共団体に返納し有効活用などを図るために新設されたものであるが、本件大学法人が不要になったからと言って学長などの判断で財産を勝手には除却することは許されていない。本件の場合は本件契約と前掲法律に違反した段階で、大学側の所有権は失われ高知県に移転するものである。少なくとも所有権が高知県に戻される権利が侵害されたといえる。移転の手続きをしなかったことを理由に不法行為が宥免されるものではない。原判決はまた、地方公共団体へ納付すべき不要財産であったとしても、当該地方公共団体の長の認可を受けて当該地方公共団体へ財産を引き渡すといった所定の手続きを履践しない限り、当該不要財産の所有権は移転しないと解するのが相当である。
と判旨した。知事が認可し、「所定の手続き」をしなければ所有権は移転しない、というのは所定の手続
きをしなかった怠る事実を開き直るもので、国の法律を遵守しないという意思表明である。

控訴人が問題にしているのは、これら「所定の手続き」をしなかったことの、被控訴人の責
任でありそれが問われているのである。本件怠る事実の違法性の怠りは二通りある。
第一の怠りは、本件図書の除却処分が行われる前に、大学法人の日常業務の監督機関である高知県が法令に基づいて大学法人が正規の手続きをして本件図書を返納するという手続きをさせなければならない義務があった。それを怠った。

第二の怠りは、除却(焼却)後の損害の回復措置を怠ったのである。
法令がいくら定めても、これを無視し実行を懈怠しすれば、法令が守ろうとする国民の財産がどうなってもいいのか、ということである。
独立行政法人になったとしても出資団体である被控訴人は、従来通りこの大学法人への日常業務の監督・指導、不要な財産の処分を含む事業計画策定や毎年の予算措置の決定、人事権行使など強い権限を持っている。(地方独立行政法人法第7条、11条、14条、17条、25条~30条、34条、36条、39条、46条、121条、122条・・・)
本件不要図書の処分についても新図書館建設などに関与し、数年以上にわたり被告は成り行きを注視していたはずであるから、焼却される前に大学法人とともに県議会にかけるなどを含め不要財産の返納の「所定の手続き」の履践をしなければならなかった。
原判決は、まさに被控訴人の懈怠の違法事実をもって被控訴人を宥免しようとするのであって、違法行為があってもそれを既成事実として義務を行使できない理由にするようなものである。それは、水防隊員が警報が出ているにもかかわらず水門を閉じなかったので浸水被害を被ったという場合、水門が開いていたので浸水が起こったといって自己の責任を逃れようとするのと同然である。
そして、被控訴人は事前の所定の手続きを怠り、さらに焼却処分という重大な結果についても、事後の適正な手続きを怠り、損害の回復措置を何も取らなかった。
監査請求や本件訴えの趣旨は事件当時所有権があったかどうかではなく、本件図書の所有権の回復措置を取らず、またその回復されるべき所有権を失ったことへの回復措置も取らなかった違法があるとしているのである。
無能ならともかく、無為無策で、というより無為無策を理由として本件請求を逃れさせようとするのは、あまりにも理不尽な判決である。

二、高知県知事の認可

原判決は続いて
高知県が本件図書の所有権を有していないとしても、高知県には、同法42条の2第1項に基づき、本件図書の納付を受けるべき権利があり、これが侵害された不法行為が成立するといえるか と自問する(原判決17頁上段)
この自問についても上記と同様あっさり
高知県知事の認可がなされていない本件では、納付義務に対応する履行請求権は発生していないというべきであるから、本件除却処分が高知県の権利を侵害するものとはいえない。
(原判決17頁中段)という。

しかし、独立行政法人法第6条の4項及び第42条の2第1項の趣旨では、大学法人側が、当該図書を不要と認定した段階で納付義務が生ずるのであり、同時に高知県側の納付される権利が生ずるのである。そして大学法人側は「遅滞なく」所定の手続きを経て不要財産を納付しなければならない。
知事の認可や県議会での議決は「所定の手続き」であってそれによって、納付義務や権利が左右されるものではない。本件図書は、もともと購入するのに3億円を超える費用が掛かっているものであり、これが返納されることについて異議を唱える者はいない。
法は大学法人が不要と認定した財産でもこれを勝手に廃棄などの処分をさせず購入費を負担した地方公共団体が別の方法や場所で有効活用を図ることを企図したものである。

三、法の適用があるのか

原判決は、さらに不要財産について高知県に返還する上掲法令が本件図書に適用されるのかについて判断する。前掲独立行政法人法の第6条の第4項では返納する財産は、「重要な財産であって条例で定めるもの」とされており、県の条例では、それは「帳簿価格が50万円以上のものその他知事が定める財産」であると規定されている。そこで図書は、数量的には1冊1冊計算されるものであり、1冊50万円を超えるものは本件に存在しないから、法の適用はない、と被控訴人の主張を全面的に採用する判示をした。その判断の根拠は次の通りだ。

原告の主張する蔵書は法律上の概念ではなく、その概念の広狭は主観的なものとならざるをえず、極めてあいまいなものであって、法律効果の発生の有無を規律する法律要件の判断に持ち込むのは不適切である。 (原判決17頁下段)とまでいう。

控訴人が本件図書を「蔵書」というのは、「社会通念に従った一般的な理解」に基づくものではないということになる。
「蔵書」という言葉は法律上の概念ではない、法廷では使えないということのようである。
物品の名前において「法律上の概念」に該当するものとはどんなものであろうか。
「蔵書」は相当な数の書籍が図書館などに所蔵されているものの集合名詞であり、また、1冊でも「蔵書」といえる。集合名詞でもあり個別名詞でもある例えば国民とか、果物とか、山とか川とか、図書とか、それに類する日本語の名詞は無数にある。日本語の名詞には複数形はないから集合名詞が単体を指すことを兼ねる。
どういうものが法廷で使えるのか使えないのか、裁判所は「法律要件の判断」に使ってもよいという法廷用語の一覧表を示すべきであろう。原判決の基準でいえば固有名詞以外ほとんどの名詞が使えないだろう。

本件「蔵書」は、本件にかかわって新聞でも大学でも、記事や法令などにおびただしく使われてきた。本件大学法人もその図書管理規則で「蔵書」と規定され、本件についての第三者検証委員会でもその委員会の名称にも「蔵書」が使われているし、本件にかかわる学長声明や県庁ホームページ、県議会資料でも標題に「蔵書」が使われている。

また、「蔵書」は図書館・情報学の分野では、学術用語として中核的な概念である。
普通の言葉であり学術用語でもある言葉が「法律効果の発生の有無を規律する法律要件の判断に持ち込むのは不適切」というのはどのような法令、判例に基づいているのか。
そのような言葉の分類を判決文で示したのは日本裁判史上初めてのことだろう。
確かに、被控訴人や原判決のように図書館所蔵の書籍を一冊一冊に分割しなければ相手の批判を防御できないという者には、都合の悪い「不適切な」言葉かもしれない。しかし、そのために、判決文で法律上の文書での言葉を恣意的・独断的に限局したり気に入
らぬ言葉を「不適切」だとして排除するのは国民の裁判を受ける権利を脅かす行為である。本件において数万冊の旧図書館所蔵の蔵書が焼却されたことは明らかである。
本は購入されたり寄付されたりして図書館に収容された段階で蔵書となる。これが社会通
念であり、学術的概念である。蔵書は体系的に整理され開架や書庫に保管される。
元は数億円かかった数万冊の蔵書を購入前の一冊一冊に分割して法の適用を逃れようというのは、法網を潜脱しようとする明らかな脱法行為である。

収容時は本は蔵書とされる。そして本件処分時でも蔵書としてまとめて除却された。
原審での被控訴人準備書面(1)8頁でも、「業務効率化の観点から、適切なタイミングで
ある程度まとめて除却手続きをとることは当然であり・・・」と言っていた。
図書館の相当な冊数の本を「蔵書」としてまとめて把握し処理するのは当然だ。
四、焼却以外に他の選択肢はなかったのか本件図書を蔵書として集合的に扱うことに異議が出たとしても、被控訴人は、図書の焼却処
分という野蛮な選択肢をとるとは考えられないし、してはならない。

いうまでもなく図書は大学にとってはもとより県民にとっても重要な財産である。
法の趣旨に照らすと、図書館の蔵書が重要な財産であるから、大学で整理され不要とされた
としても貧弱な図書しかない市町村立の図書館にとっては宝物である。被告は返納された
蔵書の活用法は知っているはずであった。本件大量の書籍は、たとえ原判決や被控訴人が言
う通り一冊一冊が50万円未満であったとしても、県の条例(「高知県公立大学法人に係る
評価委員会及び重要な財産に関する条例」)第9条での規定では、別途の規定も用意されて
いる。帳簿価格50万円以上の規定の後に「その他知事が定めるもの」とあり、数万冊の蔵
書は、この範疇に入るべきものであった。

高知県下には東洋町のように今でも図書館のないところさへある。公立小中学校、県立高校の図書室の貧弱な蔵書、貧弱な図書購入費の予算を被告は知る立場にある。
全国最下位の貧乏県の知事が数万冊のまだ上等の図書を焼却することに同意するはずはないのである。原判決は、
本件図書は、比喩的な意味で、高知県民の知的財産というべきものであり、これを喪失させた本件除却処分に対する厳しい批判が向けられていることは顕著な事実ではあるが、損害賠償請求権の存否という法的判断は、法人としての高知県に属する財産権が侵害されたか否かという観点からなされるべきものであって、本件除却処分の当否の判断とは区別して論ずべき問題である。 (原判決15頁中段)という。
高知県知事というのは高知県民の代表であって、その県の知的財産が理由なく喪失させられた、その管理責任が大学法人と県知事であることは明らかであり、そしてその責任遂行の根拠の法令もあり手続きも定められている。何も法的判断と県民の思いを区別したり乖離させることはない。被控訴人や原判決がそれを乖離させようと努力する気持ちはわかるが、裁判はえこひいきの利権の場ではない。

被控訴人は、県下の市町村や小中学校、高校の図書館や図書室にどれだけの蔵書があるのか
知っていたし、それらを充実させる予算措置の必要性、にもかかわらず些少な予算措置しか
できないことの悔しさも持っている人物である。知事の避けられぬ裁量権行使に原判決が
言うように一冊がそれぞれ50万円に満たぬからと言ってそれを理由に数万冊を灰にして
しまう選択肢があるであろうか。それとも、たとえ一冊一冊が50万円未満であっても県条
例の規定にある「その他知事が定める財産」としてこれを認定し、除却せず、返納させて活
用させるという方向の選択が、知事の本件についてのコメントからも、確実にあったといえ
るのではないか。

知事でなくても普通の人間であれば、県民の膨大な知的財産を焚書に付する選択はあり得ない。被控訴人が本件について正常な判断と手続きを怠ったのは、大学法人に対する自己の管理責任や財産の譲渡契約について自覚せず、県立大学が地方独立行政法人になったから無関係であるという本件には致命的な錯誤をしていたからであろう。
五、高知県知事の裁量権
原判決(19頁)はさらに本件契約第12条1項(譲与物件の譲渡禁止)の違反による契約解除について控訴人の主張を退ける。その理由は、解除権の行使は高知県の「裁量」であり、義務付けられていない、高知県が契約を解除した事実はないという。
すなわち、
本件譲与契約15条は、債務不履行解除について定めた規定であるが、同規定によれば、
同解除権の行使は高知県の裁量に委ねられているのであって、その行使を義務付けられる
との根拠はないところ、高知県が本件譲与契約を解除したとの事実は認められないもので
ある。(原判決 19頁中段)
本件譲与契約は解除条件付きの契約であることを被控訴人も原判決も取り上げていない。解除条件にあたる行為によって直ちに譲与契約は無効となり所有権は自動的に元の持ち主に返る。所有権が復帰することについて特段の手続きはいらない。
譲与物件である本件数万冊の蔵書の処分については第8条、第12条の1項が根底から踏みにじられたのであるから、解除の要件は十分であった。
本件契約第12条の1項は、同契約第8条(譲与物件の指定用途供用)を担保する条項であり、知事の許可も得ず本件図書の焼却処分を強行した行為は、第8条、第12条の1項に違反し、本件契約第15条の契約解除に該当する。解除の要件がそろった時、これを解除しないという選択肢は存在しない。知事の解除についての規定である第15条には、
…するときは、…契約を解除することができる、という表現があるが、権力機関の場合にはこれはただに何かの行為が出来るという権能を示すだけでなく、要件が満たされた場合にはその権能を行使しなければならない義務規定である。要件が満たされているのに、権限を行使しなければ、国民や自治体の財産や生命などに被害が発生し職務怠慢として処罰の対象になるものである。
そのことは地方自治法(第2条第14項)、地方財政法第3条第2項、同法第8条によって、最小の経費で最大の効果をあげること、あらゆる資料に基づいて財源をとらえること、良好な財産の管理及びその効率的な運用が義務づけられていることからも、本件契約を解除して自己の出資に係る財産を取り戻す義務があった。裁量権でその他の選択肢はあり得なかったのである。
契約違反行為が現出した段階で知事の認定があろうがなかろうが、廃棄処分を決定し指定された用途に供用しないと大学法人側が決定した段階で直ちに何らの「催告することなく」契約解除となり、譲与物件の所有権は元に戻るから、本件除却処分は、本件図書に関する所有権侵害事件となる。
被控訴人が本件契約の解除権を行使しなかったのは事実であるが、それは単に被控訴人の懈怠又は重大な過誤によるものであって、それを理由に責任を逃れることはできない。
六、除却処分と契約解除
原判決は、
本件除却処分が既になされてしまった後に解除したとしても、高知県に所有権が復帰するものとはいえないし、解除する前の本件除却処分の時点で既に高知県の所有権が侵害されたというのは論理的でない。したがって、原告の上記主張は、前提を欠くものであって、採用することができない。(原判決19頁中段)という。
しかし、本件図書については、廃棄処分の決定 ⇒ 廃棄(除却又は焼却)実行であり、廃棄すると決定した段階で本件契約の第8条(指定用途供用義務)に違反する。高知県に返納せず廃棄処分業者への引き渡し・高知市焼却場に所有権を移転する(第12条所有権移転禁止違反)前に、指定用途供用義務の第8条に違反し、それによって第15条(契約解除)に該当する。除却処分ももとより解除条件に該当するが、除却する前に供用廃止を決定したことで解除条件を成就するから、この時点で本件図書の所有権は高知県に返っている。本件大学法人は、高知県の所有権のあるものを除却・滅損したことになるのである。
原判決は、本件除却処分が既になされてしまった後に解除したとしても・・・ というが
大学法人側が除却を決定し本の選考をする期間に被控訴人には対応する時間が十分あった。被控訴人は国の法律により日常的に大学法人の業務を監督し指揮する責任を負っていた。
民法128条の規定では、解除条件の成否未定の間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手側の利益を害することはできない、とされている。
また、契約未解除での除却処分は、高知県の得られるべき利益(数万冊の図書の返納、所有権)を侵害することは明らかである。この場合、本件図書の所有権は、高知県に返ったものと判断される。
民法第127条の第3項によれば、当事者の意思で、解除条件が成就した場合、その効果をそれ以前に遡ぼらせることも可能である。被控訴人が、本件図書の所有(契約前の原状に戻す)を申し出て大学法人がその申し出を拒絶することは想像できない。
それは、本件契約書の両当事者は、地方独立行政法人法など関係法令を遵守するものであるから、本件のような「不要財産」となったものは、法律の通り元の出資者に納付するということをあらかじめ互いに了解していた。したがって、民法第127条第3項の条件成就の時点以前に遡って解除の効力を生じさせるという当事者の意思は明らかであり、これを否定することは許されない。仮に除却後に解除したとしても解除の効力は始原に遡及し本件図書の所有権は高知県に戻っていたというべきである。

【二】本件違約金について

一、監査請求前置について
 原判決は、本件監査請求は高知県知事が本件図書を除却処分をした本件大学法人に対して損害賠償請求権を行使することを求めるであるから、本件譲与契約上の大学法人による義務違反による違約金支払い請求権を行使することを求めるのは、控訴人の監査請求書の中に入っていず、したがって監査請求前置主義に違背する。その理由として、
損害賠償請求権と違約金支払い請求権とは、法的性質を異にするまったく別個のものである、という。すなわち、
本件監査請求は、本件除却処分に関して高知県知事が「適切な措置」を執ることを請求するものであって、高知県の財産とされるべきであった本件図書等が違法に焼却されたことにより高知県が被った損害に関して、高知県知事が本件大学法人に対する損害賠償請求権を行使していないことを財務会計行為上の行為として・・・・。
一方、違約金請求については、本件図書の所有権を廃棄物収集運搬処理業者等へ移転したという本件譲与契約上の義務違反行為に関し、高知県知事が、本件譲与契約14条項に基づく違約罰としての違約金支払い請求権を行使していないことを財務会計上の行為として主張するもの・・・・。
両者に係る請求権はその発生根拠や法的性質を異にする全く別個のものであることは明らかである。という。
しかし、両者が性質の違う別個請求権であることは、その通りであるが、一つの事件から複数の請求権が発生しているものはそれぞれ別々に訴訟にかけなければならないという理由が不明である。両者の性質が違うという事実を摘記すれば理由の説明もなく却下の理由になるのであろうか。
本件訴訟は、法的には国の法律である独立行政法人法と本件譲与契約書の二つに基づいている。監査請求の段階では、とりあえず前者の国の法律に基づいて請求がなされた。
監査委員は、理由をつけて本件監査請求を却下しそれを控訴人に通知してきた。
その通知書に記載された理由というのは、本件譲与契約書に基づき、本件図書は大学法人に所有権が移っているので、高知県とは無関係だというものであった。(甲1、2号証)

してみると監査委員は、少なくとも本件譲与契約書の内容を吟味したことは間違いない。
その契約書には、契約違反の場合、大学法人は損害賠償だけでなく違約金の支払いも、また、
契約解除の条項も入っていた。監査委員の監査は何も住民の請求したことのみを監査するというものではない。住民の監査請求の一端の事実を契機として当該事件に関するその他の違法性にも調査し監査が及ぶことは当然である。
本件についての監査は本件譲与契約書を取り上げた以上、その内容として損害賠償のみならず違約金についても監査が及んだものと考えるが、所有権が移転しているということで監査請求は却下された、というものである。

二、監査を経たか

そこで問題なのは
第一に、住民訴訟の前置である監査を経るとはどういうことか、である。
第二に、一つの違法事件で監査段階で住民が問題としなかった違法性について訴訟段階で提起することはできないのか、
第三に、一つの違法事実で根拠の異なる性質の請求はできないのか。
(1) 第一の問題について:
地方自治法第242条の監査請求の条項では、住民監査とは①住民による請求書の提出②監査委員会の受理③監査委員の監査④監査結果の通知のこの過程である。
そしてこの④の監査結果に不服の場合住民訴訟が提起される。あくまでも④の結果に対する評価によって訴訟が行われるかどうかが決まるのである。
本件監査では、④の監査結果の通知の内容を踏まえて訴訟を提起していることは明らかである。請求書段階では、本件譲与契約の違約金については言及していないが監査結果にはそのことを含む契約書を踏まえた審査・ないしは判断が明記されていた。だから違約金問題は監査を経ていたことは明らかである。
(2) 第二の問題について
高知県の許可もなしに本件図書の除却という一個の財産管理上の事件で監査の結果には内包されていたが監査請求書には明記されていなかった請求を、当初の請求と一緒に訴訟で提起するのはいけないのか。それについては最高裁判例が参考になる。すなわち、
原審控訴人準備書面(3)で引用した以下の判例であるが、原判決はこの判例を一顧だにしていない。(平成10年7月3日最高裁第二小法廷判決 平成6年(行ツ53号)
住民訴訟につき、監査請求の前置を要することを定めている地方自治法第二四二条の第一項は、住民訴訟は監査請求の対象とした同法二四二条一項所定の財務会計上の行為又は怠る事実についてこれを提起すべきものと定めているが、同項には、住民が監査請求において求めた具体的措置の相手方として右措置を同一の請求内容による住民訴訟を提起しなければならないとする規定は存在しない。また、住民は監査請求をする際、監査の対象である財務会計上の行為又は怠る事実を特定して、必要な措置を講ずべきことを請求すれば足り、措置の内容及び相手方を具体的に明示することは必須ではなく、仮に、執るべき措置内容等が具体的に明示されている場合でも、監査委員は、監査請求に理由ありと認めるときは、明示された措置内容に拘束されずに必要な措置を講ずることができると解されるから、監査請求前置の要件を判断するために監査請求書に記載された具体的な措置の内容及び相手方を吟味する必要はないといわなければならない。そうすると、住民訴訟においては、その対象とする財務会計上の行為又は怠る事実について監査請求を経ていると認められる限り、監査請求において求められた具体的措置の相手方と異なる者を相手方として右措置の内容と異なる請求をすることも、許されると解すべきである。(甲第11号証 下線控訴人)
最高裁判例に照らせば、監査請求の段階の措置の内容(損害賠償請求)と訴訟段階での異なる内容の請求(違約金請求)も許されるというのである。
(3)第三の問題:
 上掲最高裁判例からすると、根拠が異なり、性質の相違する新たな請求でも問題ないということになる。違約金の請求と損害賠償請求は性質が違っていることは当然である。
地方自治法には、一つの違法行為から性質の違う複数の措置請求を出す場合、それぞれ別個に訴訟を起こさなければならないという規定はない。例えば賠償請求と差し止め請求は別種の請求であるが、その場合でも、一個の訴訟で問題の解決を図ることができる。
普通の裁判でも一つの契約書で1個の違反行為に対し損害賠償に違約金支払いが加重されたからと言ってそれぞれの請求について別個の裁判を起こさなくてはならないのか、他の裁判は構わないが住民訴訟では、いけないというのであろうか。関連する複数の請求の合併は許されないのか。
本件住民訴訟は行政事件訴訟法では民衆訴訟に入る。同法第16条から19条は当事者訴訟についてであるが、同法43条において民衆訴訟にも準用する規定がある。
準用される同法第16条では、関連した請求には訴えの併合が認められている。
本件損害賠償請求と違約金支払い請求は、一個の契約書から出たもので一個の違法行為(除却)から義務付けられたものであり、直接連関している。
被控訴人そして原判決は、独自の独断的見解ではなく法令にのっとった主張や判断が求められる。

三、不当利得返還請求について
原判決のさらなる独自の見解は続く。原判決は
地方自治法第242条の2第1項第4号は、損害賠償又は不当利得返還の請求に限定して普通地方公共団体の執行機関又は職員に対しこれらを行うことを義務づけることを許容しているところ、本件譲与契約第14条2項において、同条1項に定める違約金は、損害賠償の予定又はその一部と解釈しない旨定められていることからしても、本件違約金支払い請求は、地方公共団体と契約を締結した相手方の当該契約上の義務違反に対する違約罰としての違約金の支払いを求めるものであって、その性質は、同号に言う損害賠償又は不当利得返還の請求とは異なるというべきである。したがって、本件違約金支払い請求は同号の要件を充足しない不適法な訴えであるといえるため、この点でも却下は逃れない。
(原判決21頁)

という。原判決は不当利得という概念をどのように理解しているのかいぶかしい。
控訴人は、本件大学法人の本件譲与契約違反による違約金を払わないのは、不当利得に該当すると考える。
学説によれば、不当利得には本件のように、本件大学法人の側が財産の増加など積極的利益はないものの、本来なら減少したはずの財産が減少しなかった場合(消極的利益)も該当するといわれる。高知県側からすれば、本来なら増加したはずの財産が増加しなかったのであるから、不当利得の要件は満たされている。このような意味での不当利得も返還請求の対象となる。本件請求は、地方自治法第242条2の4号請求に何ら違反していない。
本件違約金について付言すれば、契約書に違約金の条項を設けることはよいとして、損害賠償とは別個に巨額の支払い義務が設定されている。それは一つには、本件図書のように過去の購入時、あるいは新規購入には数億円の費用が掛かかるのに、事件時の損害賠償額は数千万円にすぎないというアンバランスを是正する意味があったと推量する。
ただ、被控訴人が、違約金の支払いが高すぎると思うなら本件契約書を是正するべきであって、今なお現在の条項のまま現行の違約金制度を維持する以上は、控訴人としてはこれに基づく請求を維持せざるを得ない。被控訴人自身が定め、これを維持し続けているものを、自らが不合理だといって非難する、その非難をまともに判決文に反映するというのは、常識では考えられない。

四、違約金についての本案についての判断
1、本件譲与契約第12条の1項(譲与物件の譲渡禁止)は第8条(指定用途供用義務)を別の観点から担保し保証するためのものと考えるが、被控訴人はこの禁止規定には「譲与物件の除却処分はふくまない」という。その理由として、耐用年数が10年未満の動産は無数に存在し得るし、その単価も50万円はおろか、
千円にも満たないものは多数あるはずであるが、そのような物件が一切処分できず、仮に、数千円の物件を誤って廃棄したとして、直ちに3億円を超える違約金を支払わされるというのは、明らかに不合理である。という。

それはその通りで、当事者が納得して決め今もそれを守っている事実ではあるが、契約書の規定機械的に解釈運用することは不合理な事態を招く恐れがあるだろう。事案に応じて公平な判断が求められる。しかし、また、数万冊の物件の処分を数千円の物件と同列に扱うのも不合理というべきではないか。原判決は、続けて言う。
本件譲与契約12条1項が定める期間や違約金の額からすれば、耐用年数も相当期間存し、かつ、ある程度の高額資産である不動産や工作機器などを対象としており、地方独立法人がこれを転売するなどして不正の収益を上げたり、同法人の財政的な基盤を著しく脆弱化させたりすることなどを禁じる趣旨の規定と理解するのが相当であり、少なくとも、同法42条の2第1項の手続きすら不要とされる除却処分に関して、法の規定以上に厳格な規律を設け、厳重な制裁を課す規定を設けたものと解することはできない。という。
   (原判決22頁中段)

「法の規定以上に」という文章を除けば、被控訴人の言う通りであろう。
本件譲与契約の12条1項は不動産に限らず「ある程度高額の資産」を対象にしていることは間違いない。元は数億円かかり本件除却処分当時でも数千万円の価値があると大学法人が算定している本件蔵書は、「高額の資産」に該当するのではないか。
法の規定以上、という法とは何かわからないが、地方独立行政法人法をいうのであれば、契約自由の法理からして違約金の金額をどのように設定するかは契約当事者が決めることであって、法はもともとあずかり知らぬことである。ただ、除却・棄損された対象物件の値打ちによって違約金に格差があるべきであろうし、法外な違約金は社会通念上認められないだろう。本件の違約金は、本件譲与契約の第14条の1項(1)の規定に基づくが、数万冊を新規に購入するとなると、3億円を超え、数千万円の損害賠償金だけでは償えないから、本件違約金の額は、さほど法外な金額とは言えない。今になっても契約者双方がこの契約条項を維持している以上、原判決が本件違約金制度をいくら非難しても始まらない。

2、「形式的な所有権の移転」

原判決は、除却処分の過程における形式的な所有権の移転を観念して除却処分を禁じることはもとより想定していないはずであるから、除却処分の手段あるいはその結果として、第三者が所有権を取得することがあったとしても、本件譲与契約12条1項に反しないのは当然である。
という。「形式的な所有権の移転」とはどういう謂いなのかわからないが、「形式的」には一応所有権の移転があったということを認めるようである。本件の経緯からすれば、形式が重要であり、それが整っていれば、実体は大学から業者に渡ったのだから所有権移転は有効と判断される。廃棄物処理業者も高知市の焼却工場も、捨てた無主物を拾ったのではなく、本件大学法人が除却処分として、処分実行の業者として選ばれ、物件を手渡されたのである。形式も実質もきちんとそろっていた。大学法人が明確に相手を定め意図的に、形式だけでなく実質の所有物件を業者に渡したのである。所有権移転というのは形式を整え手続きを踏んで実物を相手に渡したところで完了する。元の所有者は当然所有権を失う。本件の所有権移転はそれに滞りはなく完璧であった。渡された廃棄物は有用なものでも不要なものでも、渡された業者や自治体の所有物となる。特別な約束がない限り灰にするか再生紙にするか受け取った業者や自治体の規則によって処分される。地方自治体では廃棄物の所有権を明確に条例にうたっているところがあり、高知市でも集積された廃棄物が盗難にあわないようにパトロールの費用まで出して所有権を守っている。本件数万冊の蔵書は最終的には高知市(処分工場)に所有権が移転されていたのである。

貴重な蔵書を焼却処分場に持っていきこれを除却するなどというのは指定用途の供用の規則違反でも最も悪質であり、だれか学生や市民に渡すというのならともかく、数万冊を十把一からげに焼却させたというのであるから、所有権移転を通り越してそれをはるかに超える衝撃的かつ無謀な処分である。

3、解除条件

原判決は、最後に、
本件違約金支払い請求が認められるためには、本件譲与契約14条1項1号より、本件大学法人が第三者に本件図書の所有権を移転し、かつ、高知県が本件譲与契約を解除したことが必要となるところ、前記のとおり高知県が本件譲与契約を解除した事実は認められないのであるから、本件違約金支払い請求権は発生していないといわざるを得ない・・・・。
という。
そもそも本件大学法人の業務への日常的な監督と指導責任について無頓着だった被控訴人が、本件蔵書の管理についても無頓着であり、解除条件が充足しているのかどうかなど本件契約についても無関心であった。契約を解除しなければならない段階でそれをしなかった。
その怠る事実の違法性が問われているのに原判決は、怠る事実を是とし前提にして本件に判断を下すのである。解除することを待って住民訴訟をするというのであれば怠る事実の違法性は没却され百年河清だ。

ちなみに、第14条(2)、(3)には解除条件は付いていない。(3)の違約金規定では第8条の指定用途供用義務違反であるから、金額は少ないが、違反事実の発生と同時に直ちに請求は成立するということになる。14条の3つの各違約金の規定では解除条件があったりなかったりであるが、各場合の義務違反にはさほどの差異は見られず、それぞれでは、当然契約解除になるから、解除条件の記載の存否は問題にされていないと考えられる。
ちなみに契約解除は、譲与契約の全体ではなく、その違反条項の問題の物件に限られると考えられる。


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2019年10月30日 (水)

室戸市羽根町のメガソーラー

広大な森林を伐採して開設する太陽光発電事業はエコ発電ではないし、
原発に代替する新エネルギーでもない。ただの公害事業だ。

大阪のサンユーという業者と県庁が一体となって進めた羽根町の里山に展開するメガソーラーは国が指定した砂防管理地であるから、その悪質性は際立っている。

参考資料を掲載する。

羽根町メガソーラー発電事業について学習会

       羽根町メガソーラ事業対策市民会議

   【市民学習会 案内】

 開催期日:  月  日   時

 開催場所:    
     
 当該砂防地域での開発事業には重大な違法がある

大雨が降るたびに赤木谷川や琵琶が谷川に濁流が流下していることは住民だけでなく、
県などの行政機関も確認している。飲料水が飲めなくなった事実も明らかである。
山地の開発事業では濁水が発生すること自体が許されていない。

大阪の業者による羽根のメガソーラー事業には、以下の通り重大な違反行為がある。
高知県庁(室戸市)はこれら違法行為にまともに対処せず、業者のなすがままに放置した。
住民はこれまで反対、抗議の声を上げてきたがすべて無視された。

特定業者の利益のため地元農業・漁業等に直接影響を与える里山の乱開発が許されるのか。
日常的な濁水だけでなく以上降雨など水害の不安は流域の住民に深刻である。
室戸市および奈半利町の住民には、議会や行政に働きかけるほか種々の法的手段を講ずる必要があると考える。


   住民をだます数々の虚偽と乱開発の実態

1,1万立米の残土(調整池掘削による切土)の虚偽処理

 業者の県への計画及び報告では
12802立米(切土) - 3352立米(盛土)=9450立米
調整池浚渫(しゅんせつ)土砂約800立米 
業者の県への届け出は地元業者の土地(山鳥地区)に搬出することになっているが
⇒ これまで一握りの土も搬入されていない。(虚偽の報告)

2、森林率(国交省の基準は事業地で森林を40パーセント以上確保)

業者の県への報告では58%を超える森林残存率だという。
業者は、砂防地域の事業地面積を所有する山地の面積全体で割り算をしている。
業者の計算:67.4755㎡ ÷ 1146560㎡ = 58.85%

しかし、国の説明では事業地に残る森林を事業地の面積で割る計算式が正規。
正規の計算式:48.97ha(事業地)- 42.24ha(抜開面積)=6.73ha(残存森林)
6.73ha÷48.97ha=13.7%(平成31年2月1日 業者の県への変更許可申請書による)
 実際はわずか13パーセントにすぎない。(虚偽の計算式)
⇒パネル設置面積を大幅に(10ha以上)縮小し原状(森林)回復の義務がある。

3、降水による流量計算(虚偽計算)

(国の基準では事業地と測候所との標高差が300m以上は2割~4割割増)
県が認めた業者の計算式では 460m-185m>300m とし、赤木谷山標高460m、雨量測量地185mとし国の基準値未満だという。

しかし、業者が使った測候所は室戸岬の山の上のもので国交省がいう近隣の測候所である吉良川中川、北川村野友測候所などの標高を使っていない。
中川77m、野友50mであり、いづれも標高差は300mを超えている。
⇒4割増しの流量では、赤木谷、加曽谷川、奈半利の琵琶が谷川等が耐えられるか重大な不安がある。各河川の流下能力を超える雨水流下量の増大が出てくる。
調整池の増設が必要であるが逆に 17基から⇒13基に減少させた。

4、表土の剥ぎ取り (県の説明は嘘)

住民への県及び業者の説明会では、 業者は、パネル設置の事業地全体について表土を0.5mはぎ取って地面を平らにしたと報告した。(平成29年11月26日羽根市民館)
これは開発工事の現場の実情写真や住民の目撃、業者の話と一致する。

業者の計画書、県の住民説明では、調整池掘削以外は一切、切土・盛り土はしていないというが、事業者の説明の実態が真相である。
 ⇒表土切土の規模は、  0.5m×40ヘクタールとすれば数十万立米に及ぶ。
     大規模な違反開発と考えられる。

5、伐根

  業者や県の許可では樹林については抜開しても伐根しないことになっている。
  しかし、現実には抜開即伐根である。
  県は、途中で伐根に変更したというが、変更の手続きをした形跡がない。

6、工程表の虚偽

国の基準では、開発工事による濁流や土砂災害を防ぐために開発行為に先んじて濁流防止対策をとること、そのため調整池や堰堤を先に建設することが定められている。
本件事業でも当初の工程表計画では、そうなっている。
しかし、実際の工程表及び業者の証言では、抜開が先行し、調整池掘削工事は、それに同時か後続している。

7、そのほか、排水施設の未設、法面の未対策、県に無届で抜開面積の拡張(追認)など違法行為の数々がある。

県は、国交省の砂防法に基づく開発基準や県の砂防指定地管理条例及び土地基本条例等に基づき、適切な措置をとるべきである。 

(付記)羽根町メガソーラー事業による室戸市の税収試算

*固定資産税年間120万円 
*償却資産税(17年間合計)約7億5千万円
羽根町民の犠牲の上の本件事業であるから固定資産税は別として償却資産税は羽根町の河川整備や山道整備事業費等に使うべきだろう。(文責 澤山保太郎)

羽根メガソーラー資料説明

これらの資料はすべて県庁に開示請求して開示してもらったものである。

資料1「県もここまで裸地となることは想定していなかった。」
    (平成30年3月30日 羽根市民館での住民説明会での県職員の発言)

資料2、3 調整池掘削時の残土の処分場として羽根町山鳥地区の業者の土地の写真及  
      び業者の残土受け入れ承諾書
    (平成28年8月株式会社サンユーが県に提出した補正申請書添付書類)

資料4 標高差のごまかし、事業地からの流量の割り増率を0とした。
    事業地は460m、近隣の測候所は吉良川77m、北川村野友50mだから基準値300m以上 の標高差があり降雨量の1.4倍の割り増しをしなければならない。
    わざわざ遠く離れた山の上の室戸岬測候所の標高を使うのはペテンである。
   (平成28年2月県に提出された業者の「排水計画概要書」)

資料5、6、7 降雨量の割り増しを行わずに流量計算の結果「調整池不要」という結論を導いた。順に、赤木谷川、加僧谷川、琵琶が谷川。
   (平成28年2月 サンユーが提出した排水計画概要書)
  
資料8 当初業者から県に提出された工程の計画書 この通りにはやっていない。
    計画では、調整池や排水施設を先に工事し、それから樹木の抜開・パネル設置など の工程であったが、実際は抜開が先行、調整池や排水施設は後回しになった。
    これは国の開発審査基準に真っ向から違反する。(資料13の工程表参照)
(平成28年権利者一覧表に添付されていた工程表 株式会社サンユー作成)
資料9 維持管理計画 計画通り実行するかどうかわからない。
     (平成28年6月サンユーが県に提出した維持管理要領書)
資料10 中山地区飲料水供給施設の経費分担 開発によって飲料水が濁って飲めなくなっ た以上施設を新設するのは当然であるが、その費用負担が原因を作った業者が3% ちょっとしか負担しないというのは、理解できない。
    自ら適切な措置を取らず業者の不法行為による被害を野放しにした付けを
    県民の金で賄うというのは、許せない。(平成29年4月7日市民への面談回答)
資料11 無許可開発・追認
    業者は、無許可で7.3563ha(約20%増)も造成していた。こんな無法な行
為を「指導」し、申請をさせ、追認するというのは業者と県との間に何か特別な事
情があると思われる。(平成30年6月県土木部長らの決裁書「回議書」)
資料12 虚偽の計画内容、残土の虚偽の処理計画、森林率の虚偽計算

①「計画内容」では、切・盛土による平地造成はせず」、「除根は行わない」としているが嘘であった。  
②「残土量」では「場外搬出:搬出場所は別添図参照のこと」というが一握りの残土も場外に出していない。
③「森林率」では、(国の基準では、砂防地域では40%以上)
 県への報告では60.87% あるというが全くの虚偽計算である。
 林野庁の係官の話では 森林率の式は 事業地の中でどれだけ森林が残っているかである。事業地面積-森林抜開面積=残存森林面積 ⇒
残存森林面積÷事業地面積 が正規の計算式である。
サンユーのごまかし計算式は、 保有する山林面積(A)-事業地面積(B)=残存森林面積  残存森林面積÷保有する山林面積 としている。
そうすると、事業とは関係のないAの面積を拡大すればするほど森林率は100%に近づいてくる。

*県に報告されている実際の数値では真実の森林率の計算式は
 約49ha(事業地面積)-約42ha(抜開面積)=7ha(残存森林面積)
    7ha÷49ha= 約14% たったこれっぽちの森林率、許されない。
     (平成30年5月 業者提出の計画説明書)
 
資料13 浚渫(しゅんせつ)計画(1,2年でしゅんせつ)

すでに調整池の浚渫工事が遂行されていなければならない。全体1回で1000立米ちかくある。浚渫した土砂は資料9では「場外の土捨場に搬出」となっているが、ここでは、「3工区」に保管するとしている。

(平成30年6月 業者の変更申請書の補正資料届)

資料14 実際の工程表

資料8の工程表計画と全く違っている。平成29年5月ごろには抜開が始まっている。調整池の工期は、31年2月の最終段階まで伸びている。
これは国の基準を根底から無視したもので、県も承知していた。
計画はサンユーが作り、工事施工の池田建設工業は実際の工程表を作った。

(平成29年11月頃 池田建設工業株式会社作成)

  資料15、16 県の許可判断根拠のウソ

①発電用パネルの設置は現在の地形に沿って行い
②土地の造成(切土や盛土)は行わない
③樹木の伐採はするが、根を残すことにより土壌を固定し続ける。
④下草の種子吹き付けによる植生で交付による表土流出を抑制する。
⑤「伐採前と同様に土壌の保水力は残」るという。
全面的な造成と表土の剥ぎ取りにより、土は濁流となって流下した。

(平成29年3月「羽根地区で計画されている太陽光発電について県の考え方」

資料17 調整池削減 
    
記録的な異常降雨が普通となっている現在、調整池を計画の4分の1も減らしていいのか。17基 ⇒ 13基

野放図な乱開発の事実を偽り標高差をごまかして流量を過小算定し・・・
調整池も大幅減少させた。(平成30年2月 業者の変更許可申請書) 
 
資料18 資料12で示した資実の森林率を計算する根拠の数値がここに示されている。抜開面積は42,34ha、行為地(事業地)は48.9714ha
      事業地での残る森林面積はわずか6.63haに過ぎない。
       真実の森林率の計算式  6.63÷48.9714=13.5%      
(平成31年2月 業者の変更許可申請書) 

資料19、20 標高差の割り増しのごまかし  資料4参照
      (業者が提出した「計画説明書」の「横断水路の流下能力計算」)

資料21 業者、平坦化、造成の事実を吐露

「パネル敷地の他に、作業道に支障となる箇所は伐根しました。」
「表面のふわふわしているものは取り除いています。50cm程度までです。」
サンユーやリョウマコンサルタントは住民に対し平然と伐根の事実、50cmの表土剥ぎ取りの事実を表明した。
      (平成29年11月26日 住民説明会 羽根市民館)


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2019年9月 8日 (日)

続メガソーラー

先日9月5日、県庁で羽根のメガソーラ開設事業で砂防指定区域をめちゃくちゃにする事にかかわった土木部の防災砂防課及び治山林道課の課長と面談し、以下の文書を手渡した。
羽根のメガソーラーは、面積38ヘクタールでそのほとんどは砂防指定地である。

室戸市羽根町の里山(砂防指定地)の開発について
緊急要請及び質問書

 

                    2019年9月5日
高知県知事尾﨑正直殿
 
                    澤山保太郎ほか市民有志

 

ご承知の通り室戸市羽根町の里山でのメガソーラー設置事業はすでに完了し売電業務も開始されています。私どもは、大阪市の業者株式会社サンユーらによる開発行為が重大な環境破壊の様相を呈していることを指摘し貴庁に厳しく取り締まるように要請をしてきました。

また、周辺住民も里山の乱開発について大きな危惧を感じ貴庁にこの開発を止めることを強く求めてきた経緯もあります。開発された山地の多くは国の法律に基づき県の条例で定めた砂防指定地域に該当しますが、現在の状態はまるで砂防指定地が解除されたかのごときありさまで、貴庁が示した開発の条件は根底から否定されている状況です。

山全体の植生が根こそぎはがされ、赤土がむき出しのはげ山にされた上にパネルが所狭しとばかりに設置されています。その上に排水溝もろくに作られず、施設を設置している地面も各所で崩壊しています。これで砂防管理地といえるでしょうか。

そもそも国の砂防法第二条では、砂防指定地では、砂防設備が必要な土地、あるいは砂防のため一定の行為が禁止、または制限される地域であると規定されています。開発行為を許可することによって幾多の砂防設備が必要になるというのは法の想定しないことです。

また国の法律第五条では、都道府県知事の義務が規定されていますが、砂防地として指定された土地を「監視」し、砂防施設を「管理」し、その施設工事を「施工」しその施設を「維持」する義務が規定されているだけであって、砂防指定地域のほとんど全域を業者の思うままに開放して、森林を丸裸にするなどということは正気の沙汰とは思えません。

私どもは、この様な無茶苦茶な乱開発を許すことはできないし、発電(売電)事業を直ちに中止し、砂防指定地にふさわしい土地に戻すなど適切な措置が講ぜられることを求めます。

質問事項
  1、貴庁は、当該開発地の砂防指定をいつ解除したのか。
  2、開発許可をしたときにつけた条件は何か、これが守られているのか
  3、排水溝の整備など濁水流下防止、施設内の土砂崩れ防止施設の構築などができている のか。
  4、当該山地の樹木の皆伐を許可したのか。樹木の根株の引き抜きをも許可したのか。
  5、本件開発許可について業者に応対した県の幹部は誰であるのか。

             (この質問書に2週間以内にお答えください)

 

 

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2019年9月 7日 (土)

メガソーラー

原子力をやめて再生可能エネルギーが開発されるのはいいことだ。
だが、最近、メガソーラー設営はしばしば環境破壊や景観を台無しにするなどの弊害が現出している。

中でも室戸市羽根町の赤木谷山で展開している大阪の業者によるメガソーラー開設事業は他とは比較にならないほどひどいものだ。

国が指定した砂防指定地の広大な山地。その大半の植栽を丸裸にし、満足な排水施設も設けないでパネルを張り巡らした。砂防指定地では、知事は、風水害や震災にそなえて砂防施設を設置するだけでなく、竹木の伐採や土地利用なども制限しなくてはならない。

そんな義務はほとんど放擲されている。業者はやりたい放題だ。アマゾンの火事のようだ。これを許した県庁(尾﨑知事)の責任は重大だ。

政治的な責任だけでは収まらない。職権乱用など刑事責任も問題になってくるだろう。県勢を最低に落とし込み、あまつさえ県民のふるさとの山を業者のなすがままに解放し、それで国政に転出するのか。

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2019年8月25日 (日)

高知県知事


尾﨑知事が、3期目を終わって国政に転出するということで知事職を辞するとのことだ。
後釜も用意しているという。権力の私物化も極まった感じだ。

東大→大蔵省(財務省)→知事→国会議員→大臣 というエリートコースのために知事職を利用したのではないか。

尾﨑氏に聞きたい。あなたは高知県勢浮上のために何をやったのですか。
何もやらなかった。12年間空気のように知事の姿が見えなかった。全国最低水準の県をそのまま維持管理する官僚にすぎず、経済はもとより、文化、教育、スポーツ、そして医療福祉、防災など・・・・あらゆる面で高知県を低迷させ続け人口も激減させた。

農産物・水産物でさえ、高知県は1千億円の入超だ。第一次産業で黒字にならなければ、何をもって黒字にできる?
地元では他県からの農産物を買って巨大な赤字をきたしているのに、何が地産外商だ。銀座に開店してどれ程もうかったのだ。

イオンだのなんだのという県外の巨大量販店を野放しにするのではなく、高知市内に、県下東西の農産物・魚介類を集めて売る地場産センターの一つでも作るべきではなかったのか。
農産物などの生産が第一義的な県で、その第一次産業で入超などという経済構造、この抜本的な改革なしに県勢浮上はあり得ない。

私が東洋町長であったとき、県下の市町村長が知事に召集された会議で、この点を指摘したが、尾崎知事は無反応であった。

格好はいいし弁も立つたが、無為無策、無能のそしりは逃れられない。所詮秀才おぼっちゃま知事ではこの最低県のかじ取りは無理であった。
これが国政に出て何ができる?尾崎さんはまだ若く健康で秀才だから、民間社会に出て辛酸をなめてからやり直すことができる。

高知県の知事は、もっと企業家的性格の政治家が必要だ。竜馬のように表面でちゃあちゃあするタイプではなく、地下をはいずり回って舞台のお膳立てをする慎太郎のような泥臭い政治家が必要だ。

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2019年3月13日 (水)

県立大学蔵書焼却事件住民訴訟の成り行き

高知新聞等で暴露報道された高知県立大学による数万冊の蔵書焼却事件は、県が購入した時には3億円以上もした貴重な図書だった。

これを何の適法な手続きもせずに焼却したり古紙として処分されたのである。県民の誰もが驚愕したであろう。

 

だが、公の財産のこれほどの破却という犯罪について、反省とか残念とかいうだけでだれも法的責任が問われないまま終わろうとしている。

私は県の監査委員会に住民監査請求したが、にべもなく却下され、やむなく住民訴訟を提起した。

 

この事件の核心は、第一に国の法律(地方独立行政法 不要となった財産は元の地方自治体に返還する義務)に違反していること、第二にこの蔵書はもともと高知県が購入したものであるが、行政法人になった県立大学に譲渡された。この場合譲渡契約があり、それによると10年間大学は使用目的に沿って譲渡された財産を供用する義務があり、これに違反した場合は損害賠償や違約金の支払いが課されていた。

大々的に報道した高知新聞などは、このような重大な法的責任(国の法律違反、譲渡契約違反)について一言も語らない。

 

高知県知事尾﨑は、まるで第三者のような顔をして論評しているが、それどころではない。

県立大学が大学法人になって高知県から自由に成ったと思っているようだが、前掲の国の法律では、従来と同じ程度に大学運営について監督責任、業務指導責任が明記されている。不要となった財産の処分業務についても知事は大学に対して直接指揮監督上の責任がある。

 

本件の裁判はこれらの知事の法的責任について争われているのである。

 

平成30年行ウ第7号 損害賠償請求事件

原告 澤山保太郎

被告 高知県知事 尾﨑正直

 

  原告準備書面(2)

                平成312月8日

高知地方裁判所 殿

                       原告 澤山保太郎

 

被告準備書面(1)について

 

 

一、「後段請求」(2頁~6頁)について

 

、被告は、「前段請求」については、「一応は住民監査請求を行っている」が、「後段請求」については、「住民監査請求さえ行っておらず、…監査請求前置の要件を満たしていな

い・・」、したがって地方自治法の242条2の第1項の趣旨に反するという。

「前段請求」というのは、国の法律に基づく損害賠償請求であり、「後段請求」というのは訴状の訂正で付け加えた請求で、これは被告高知県と大学法人の間で締結されていた譲与契約書(甲第7号証)に基づく損害賠償のことである。

今回被告は特にこの「後段請求」に力点を置いて最高裁判例を曲解までして原告の主張を非難をしている。しかしこの非難は、最高裁判例が本件に該当すると誤解してなされたものであり、失当である。

 

、平成265日の最高裁第三小法廷の判例(乙第5号証)

 

 この判例の趣旨は、

「支出の名目が会議接待費あるいは工事諸費と特定されているだけで、個々の支出についての①日時、②支出金額、③支出先、④支出目的等が明らかにされていないのみならず、⑤支出総額も5000万円以上という不特定なものであって、・・・本件監査請求において、各公金の支出が他の支出と区別して特定認識できる程度に個別的、具体的に適示されているものとは認めることができない。したがって、本件監査請求は、請求の特定を欠くものとして不適法というべきである。」(①~⑤は原告)という判断にある。

この判断が果たして正しいかどうか最高裁でも意見(少数意見が付記)が分かれていたが、

この判断の基軸となるのは、対象となる事件の特定(本件では大学図書の焼却事件)のうえ、監査請求書に上記①~⓹の具体的な特定がなされているかどうかである。

これらの個々(本件では図書の焼却処分という1個の行為)の事実について具体的な特定がなされているかどうかに照らし合わせて判断すべきであって、その行為についての住民側の法的評価、法的根拠の主張の有無、訴訟段階でのそれら法的根拠等の追加・変遷などは、監査請求前置の可否の判断には無関係であるということである。

 

、本件監査請求

 

上掲最高裁判例に照らしても本件監査請求の内容では、何の問題もない。

請求書本文と証拠として提出した新聞などによって事件は特定されているし、最高裁判例の当該財務会計行為の事実の特定①~⑤のうち⑤の財産管理の性質上支出金額は出ていないが、それ以外はすべて請求書及び提出した新聞記事等で適示されている。

 の日時(平成25年度以降4年間29年度まで 学長声明)、②の損害の財産の規模(図

3.8万冊 学長声明 )、③の処分先(高知市清掃工場 高知新聞)、④の目的(除却 高知新聞、学長声明)⑤の除却(焼却)の費用は高知県の出費ではない。

 

、被告が問題にしているのは、監査請求対象の財務会計行為(本件では財産の管理を怠る)事実関係ではなく、その行為の依拠すべき法的根拠となる譲渡契約書についてであ

る。

この契約書は確かに本件住民監査請求書では問題としていない。むしろ、住民(原告)側から出した請求について監査委員側が検討して出してきたもの(甲第2号証)である。すなわち「県と高知県公立大学法人との間で平成23年4月1日付で締結されていた県有財産譲与契約書」のことである。

これは、原告の請求の指摘する法的根拠以外の他の根拠(証拠)にも監査が及ぶことをしめすものであり、事実上それについて監査が実施されたのである。

原告の請求によって特定の証拠について監査が実施されたものを、監査がされていないと不平を鳴らすというのは一体どういうことなのであろうか、正気の沙汰とは思えない。

 

、地方自治法第242条2の第1項(住民訴訟)の冒頭の規定では、住民は、監査請求をしたうえで住民訴訟に及ぶことができるが、それは「監査委員の監査の結果」等に不服があ

る場合である。原告は一つには上記の譲与契約書についての監査委員の監査の結果につい

て不服であったので訴訟に及んだのである。

住民訴訟の前提というのは地方自治法の規定を厳密にいえば、単に住民が監査請求をした

というだけではないのであって、①住民の監査請求提出②監査委員の監査③監査の結果の

通知および公表、④住民側の監査結果への不服による提訴、の全過程を言うのである。

また、住民側の監査請求に具体性を欠くとか、証拠が十分でないとか、ということだけでは

監査委員はこれを却下できないし、裁判所も同様である。

地方自治法242条1(監査請求)の第6項の規定では、住民に証拠の提出や陳述の機会を与える義務が明記されている。

本件のようにそのような機会も与えない義務不履行、監査委員の眼をすらも通してもいないと思われる(事務局員での取り扱いのみ)監査の違法な実態を考慮するならば、たとえ事実の適示に不備があったとしても前掲の最高裁判例のような荒っぽい判断は許されない。

 

、なお、訴訟段階で監査請求と同一の特定の事件について、新たな証拠、新たな違法事由を取り上げたからといって、元の監査請求が不適法になるわけはない。またそれによって

請求金額が監査請求段階のそれと相違したからといって監査請求前置主義に違背すること

はあり得ない。このことは、原告準備書面(1)で最高裁判例を挙げて主張したとおりであ

る。

今回の被告準備書面6頁の上段でも

「昭和62年最判はあくまで住民監査請求を経た特定の財務会計行為について、住民監査請

求時に指摘していない違法事由を住民訴訟の段階で新たに追加して主張することを許容す

る旨判示するもの・・・」と被告もその趣旨を了解しているようである。

原告は監査請求から現在の訴訟に至るまで、被告が、特定の期間に、特定の公の財産を、違

法な手続きで、没却された事実について、これの回復措置行為を怠った、という事実につい

て問題にしており他に財務会計行為上の何の事実も付加していない。

 

二、被告の本案の主張について

 

本件事件は、高知県立大学が図書館移転の際に新館に収容しきれない図書数万冊を焼却したという不祥事は紛れもない事実であり、公共の、特に学問研究に必要な図書を焼却するという野蛮な行為について多くの県民が開いた口が塞がらないほどに驚いた事件である。

しかるに被告は、本法廷においてこの所業について一言の反省の言葉、謝罪の言葉もないばかりか、傲然と開き直ってやまず、姑息な弁解が続く。

 

1、蔵書の処分の実態

 

その姑息な弁解の第1が、地方独立行政法人法第6条第1項の規定をめぐるものである。

そこには、不要となった財産の設立団体への「納付」の義務が定められているが、その財産については条例で定める重要な財産となっている。

それに関する県の条例では、50万円以上の財産となっていて、本件処分対象となった図書は150万円を超えるものはないので不要財産の「納付」の義務はない、というのである。

この主張は法の規定の潜脱を意図する姑息な弁解というべきであろう。

数万冊の処分した蔵書を1冊1冊に分割するというのである。

あたかも原告や本件処分を悔しがる県民のように本件処分の書籍を11冊大事に管理してきたかのような口吻である。

確かに、図書は購入する段階では、1冊づつ購入され登録される。本件処分段階においては、まったくそうではない。

 購入:個別冊子として登録 ⇒②管理:蔵書 ⇒③処分:機密書類(重量㎏)

 

 の段階以外では、図書館では一般的に図書、蔵書と集合的にとらえられている。

本件について新聞や学長声明、県庁のホームページや県議会資料(乙4号証)などでは「蔵書」と表現され、本件についての第三者検証委員会の名称も「高知県立大学永国寺図書館の蔵書の除却検証委員会」となっている。本件大学法人の図書管理規則でも「蔵書」と規定されている。図書館などで蔵書とは一般的に相当量の書籍の集合体である。

3万8000冊の処分された蔵書のうち焼却されたのは2万2千冊余であるが、それらが焼却場に行く前の処分を決定する大学の決裁文書では、11冊の本でも蔵書でもなく、「機密書類」として一括(実際には12回に分割)され重量kgで測られる紙に転化していた。。焼却炉に入れられる前に巨億の価値がある蔵書が無価値物体にされたことが問題になっているのである。被告は、購入時の本の取り扱いを主張しているが、問題は管理段階の本の集積(蔵書)の把握の意識であり、特に本件で問題となるのは処分時の認識のありようである。1冊1冊選び出した対象書籍の数万冊の束は除却の対象として全体として集合的に、文字通り十把一絡げに把握され処分された。大学も検証委も本件被処分書籍を「蔵書」としてそう認識していた。

 

ここで問題なのは、図書館所蔵の本を1冊1冊の個別のものと見るか集合的なものと見るかではなく(見方によってどちらでも見られる)、取り扱いの各段階において大学がこれら書籍をどのように位置づけるべきだったのか、またどのように位置づけたか、である。

農産物や水産物も育てたり収穫(捕獲)したりするときには個体として扱うが、処分するときには集合体としてみ、扱う場合が多い。キャベツでもナスでも育成や収穫するときには1個1個だが、販売時には箱に詰められ集合体として出荷される。

なお、被告の今回の準備書面でも原告と同じ認識で本件蔵書処分を集合的に把握して遂行したことを吐露している。すなわち

「・・・業務効率化の観点から、適切なタイミングである程度まとめて除却手続きをとることは当然であり、・・・」(8頁)といっている。

 

2、図書の財産的重要性

 

学術研究・教育機関である大学、とりわけ大学図書館では、図書が最も重要な財産である。県立図書館もそうであるが高知県の大学の所蔵図書は極めて貧弱であり、学術上専門図書の集積は劣悪であって私が専攻してきた日本史学の分野でも県内図書館では満足に重要書籍や論文を見ることができない。全般的に大学が学術的文献の収集に熱意があるのかどうか疑わしい。今回の大量の焚書が大学図書館自体によって行なわれたというのも書籍収集の重要性について正しい認識が欠落しているところから生まれたと感ずる。

地方独立行政法人法の第6条4項で取り上げられている高知県条例(「高知県公立大学法人に係る評価委員会及び重要な財産に関する条例」 乙1号証)について被告は、原告の主張が県の「条例制定者の意志」に反しているかのごとく主張している。しかし、問題はこの条例の9条の第1項の50万円以上の重要財産の限定が、数万冊巨額の図書館蔵書の処分を可能とさせる根拠として使われることを想定していたであろうか。また國の法令制定者の意志に沿っているであろうか。

 

そもそも不要財産の処分については前掲法6条第4項だけでなく42条2第1項の二つの規定がある。6条第4項の規定には、不要財産の処分については42条2に基づく手続きの指定と不要財産について設立団体の条例の定めの二つの条件が付けられているが、42条2第1項には不要財産の「納付」義務がうたわれているが、不要財産それ自体には何らの条件も付されていず、第2項以下でその納付手続きが規定されているだけである。

一つの法令で条件が付された前条と無条件の後条が並立した場合国民はどう考えるべきであろうか。前条は義務負担者にゆるく、後条は厳しいが県民には有益である。しかも前条は後条にその実施をゆだねている。県の条例の定めは後条にまで及ぶであろうか。

図書の中では、金額に換算できないほどの貴重な価値があるものがたくさんある。

国の法令や地方自治体の条例がそのような貴重な財産をでたらめな公務員の恣意的な処分判断から守ることができないはずはない。

また、例えば、本件数万冊の書籍を第三者に譲渡してその収益が数千万円、あるいは数億円あって場合でも、被告はこの金を高知県に報告したり返納したりする必要はない、というのであろうか。

 

3、本件譲与契約違反について

 

被告準備書面では、原告が本件譲与契約を取り上げたことを何か「仮定的あるいは予備的主張」と貶めているようであるが、そのようなものではない。

主張」と受け止めているようであるが、そのようなものではない。

本件請求には二つの法的証拠を挙げていて一つは国の地方独立行政法人法と今一つは本件契約書である。本件訴訟の本筋である。

本件処分行為が本件譲与契約書の主な各条項に違反又は該当する事実は次のとおり。

 第7条・8条 譲与物件を特定始期から指定用途に供すること

 第12条 譲与物件の所有権移転等の禁止

 第13条 県の実地調査

 第14条第1項 違約金

 第15条 契約解除  

 第16条 原状回復義務

 第17条 損害賠償

 第19条 契約解除と特別違約金

 

(1) 第7条は譲与物件を指定用途に供する義務の規程であり第8条は、その実施始期    を定め、それ以降の指定用途の供用を定めたものであって、1個の規程とみなされる。

  第7条の指定用途の供用には期間の限定はないからいつでも自由に処分できるとはならない。物品の耐用年数や使用価値の寿命が限度となると考えられる。

(2) 第13条の実地調査の規程のほかに、県は、前掲の高知県公立大学法人については評価委員会を設置しその業務を評価する組織を作っているが、本件について被告も評価委員も調査した記録はない。

(3)第15条の契約解除の理由は少なくとも第7条、第12条第1項に違反している事実がある。本件譲与契約の締結後数年しか経っていないのに、蔵書について大規模な指定用途の解除を勝手に行ったのであるから契約解除の理由となる。

(4)違約金とは別に損害賠償の義務がある。

 

4、第12条の所有権移転について

 

 被告は、本件処分は譲与契約書第12条には違反しない、所有権を第三者に移転していない、したがって第14条等の違約金の支払い義務もなく、契約の解除ということもない、という。しかし、被告の11頁下段~12頁での主張では

 「本件除却に関する決裁をした時点において、同法人は当該対象書籍について所有の意

志を有さなくなったものであり、その時点で所有権を放棄している・・・」といい、

 また、「「引き渡しを受けた廃棄物収集運搬処理業者や清掃工場」が「それぞれの役割に

応じて当該対象書籍を事実上占有していた・・・」ことを認めている。

そうするとこの①,②は、民法第239条の規定にぴったり当てはまり所有権の実質的移転が達成させたものと考えられる。むろん被告が心配するように、処理業者や高知市の清掃工場にはそれぞれ法令の規制や施設の規則等があるからこれら廃棄物を自由に使用したり転売したりする恐れはあり得ず、焼却して灰にするか溶融して再生するしかない。

一般に産業廃棄物とは違って紙類などの一般廃棄物は、回収・処理業務をしている市町村の所有物に転化しているといわれそれを条例化しているところもある。

 

5、その他の被告の主張について

 

1)被告が、不要財産が発生したからといって直ちに賠償責任や違約金の支払いの義務の発生、また契約解除等がなされるものではなく、所定の手続きを履践しなければならない、

というのはその通りであり、原告はこれらの手続きが行われていないことを問題にしてい

るのである。

確かに不要財産に関する設立団体への「納付」の手続きは法人の側から始まる。

だが、本件大学法人の設立者である高知県知事は、法律(地方独立法人法)上、本件大学法人に対して直接または間接的に人事、財務も含む業務運営上の全面的な権限と責任を持っている。その主なものを挙げると、

第7条:法人の定款の制定、11条:法人の事務処理のための県庁内に評価委員会の設置、14条:法人の理事長、監事の選任、17条、それらの解任、25条~30条:不要財産の処分計画を含む日常業務計画の策定と業務の評価、業務改善・組織の存廃などの措置命令、30条:業務の検討、所要の措置命令、34条:法人財務諸表、決算の承認、36条:会計監査人の選任(39条その解任)、46条:財務会計事務の規則制定、121条:業務について報告を受け、検査の実施、122条:措置命令、…等々である。

不要財産の発生とその処理についても全的に把握し適正な処理を指示できる立場にあった。

不要財産の処分を含め被告は、実質的に大学法人に対しては法人化する以前と同程度の権限と責任を負っている。

 

2)また、高知県には本件処分対象書籍は「納付」もされずその手続きもなされていないから「高知県の財産となっていない。したがって、本件除却によって高知県の財産権が侵害

された事実はないから、…・損害賠償権を有しておらず、・・・」という」

しかし、本件請求は、一つは違約金の支払い(譲与契約書第14条第1項)を問題にし、もう一つは、損害賠償金(譲与契約第17条)を問題にしているものである。

後者については、「納付」によって得るべき数万冊の蔵書という財が得られなかった損金の賠償金である。

もともと本件譲与契約は解除付き契約の一種であって、違反行為があれば譲与そのものがなかったものになるのである。

3)また、被告は、原告の主張によればパソコンなど破損した機器や陳腐化し要らなくなった本など「別紙2」の物品について適当に廃棄したり第三者への譲渡も一切できなくなる

などと非難するが、本件訴訟では、そのようなものは全く無関係であって、十分価値ある数

万冊の蔵書の焼却を問題にしている。汚れたり破損したり時代遅れになった機器類、不要と

なった雑誌や書籍の処分の方法については適法な方法で処分すべきであり、その方法がな

ければ設立者(被告)は大学法人側と協議してそのルールを確定すればよい。本法廷で議論

するべきことではない。

三、本件請求の法的性格

本件請求は、地方自治法第242条2(住民訴訟)の第1項のうち、四号の請求で、その前段の請求であって、違法に公の財産の管理を怠る事実についてそれにかかわる首長高知県知事に損害賠償を請求するものである。

この場合の財産とは上記のとおり高知県公立大学法人に対する違約金の請求権・徴取権、及び同大学法人から「納付」を受けるべき財産に相当する金額(損金)について同大学法人への賠償請求権である。

 

 

 

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2018年9月 8日 (土)

県立大学の焚書事件お住民監査請求

News & Letters/648
この焚書事件についての高知新聞の連載記事「灰まで焼け」(天野記者)はよく書かれていたが、責任を追及する視点が欠如している。高知新聞の論調ではこの事件は裁量行為の非常識さという程度の話だ。
そうではない。この事件は純然たる犯罪であって、刑事上は県民の財産の損壊であり、民事上は財産上の損害なのである。
仮に学生か誰かが、何かの理由で図書館の本を一冊でも焼いたらどういう罪になるか。刑法第261条の器物損壊の罪は免れない。
図書館員が焼いたら、器物損壊の上に背任罪(刑法第247条)が付くだろう。そして民事上の弁償をしなくてはならない。
今回のように組織的に大規模のやった場合なら、罪にならないということにはなるまい。
天野記者の記事は常に冷静でち密であるが、県民の怒りが反映されていない。これほどの無法行為に対して、県民は立ち上がらないのか。
今朝、この焚書について監査委員会に出向き住民監査請求を提出したが、他の誰もやった形跡がない。
高知県職員措置請求書(住民監査請求書)
                     平成30年8月  日
高知県監査委員会殿
                   〒 781-6831
                     室戸市吉良川町乙2991番地  
                   請求人 澤山保太郎
    【請求の趣旨】
高知県立大学が、平成14年ごろからこれまでに焼却したという3万8000冊は法令によって高知県の財産とされねばならなかった。一部は教員の手に渡っているという。
知事は、処分された書籍に相当する金額を算定し、違法な処分を行った大学の責任者に
書籍の価値に見合う金額を賠償させるなど適切な措置をとるべきである。
   【請求の理由】
1、高知新聞等の報道によると、高知県立大学(高知県公立大学法人)はその「貴重な財産である蔵書」(平成30年8月18日学長声明)のうち約3万8000冊を不要だとして焼却(「除却」)したという。
しかし、この焼却されたり一部が同校教員らに譲渡されたという書籍は、もともと高知県が公金で賄ったものである。地方独立行政法人法の第42条2第1項の規定では、不要な財産はこれをもとの地方自治体に「納付」することになっている。
高知県知事は、この法令の規定に基づき処分された3万8000冊の「納付」をうけるうえで県議会などの議決等適切な措置を取る義務があった。
2、しかるに尾﨑高知県知事は、この焼却処分を残念だなどといいながら、やむを得ない処置であったかのように大学の行為を擁護した。(高知新聞平成30年8月22日朝刊記事)
 このような見解で、知事尾﨑は、大学側に勝手に処分された財産についてこれを回復させるなり、償わせるなど適切な措置を取らず今日に至っている。これは、高知県の財産の管理を怠る行為であるので直ちに是正の行動をとるべきである。
3、本件焼却処分は新しい図書館の建設事業によって生じたことであり、高知県はこの新図書館の建設の設計や本体工事に直接かかわっていたから、蔵書収容のスペース、その容量に合わない書籍の処分についても知る立場にあった。
たとえ、処分の事情を知らなかったとしても、事件が表面化した時点で調査に入り、焼却された書籍についてこれを鑑定にかけ相当な金額を見積もるなど財産破損の回復措置に動くべきであった。しかし、高知県は第三者的な立場から評価したり擁護するだけで財産管理の責任の自覚でさえ失っていて、その責任を遂行する意思が見えない。
  添付資料
 高知新聞平成30年8月  日号 ② 8月18日 学長声明文

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2018年8月24日 (金)

高知県の焚書事件

News & Letters/647
高知県立大学(高知県公立大学法人)が3万8千冊もの図書を焼却したというニュースが8月17日に流れた。痛ましい限りだ。これについて大学や高知県の態度は、生ぬるい。反省が十分ではない。
むしろ、開き直りだ。県民の費用で購入した貴重な書籍を大学内部の判断だけで焼却したのである。
昨日8月22日の高知新聞で知事の見解が出ている。第3者のようで大学の処置を
擁護さえしている。「軽率な対応ではない」とか決して「焚書ではない」という。
第1に、大学の図書は、大学の所有物ではない。県民のものである。
その処分は大学だけではできない。大学が大学のものは大学のものだという思いあがった考えが問題だ。
このような考えは市町村にもある。室戸市らが、特養老人施設や保育園を民間団体にただで譲渡したりするなど法令を無視し公共物を私物化する傾向がある。
公費で買った本は1冊といえども県民のものであり、適切な方法で県民に還元するという考えができない公務員がいっぱいいるということが問題なのである。公務員になったら特別な権限を付与されていると思いあがっているのである。
第2に、法令無視だ。高知新聞によれば不要な図書と判断した書籍を大学が専権的に処分を決めて実行したという。
県立大学の図書館の図書は県(県民)の金で購入したものだ。県立大学は学生からの授業料などの収入もあるが基本的には県の予算で運営されていた。もともと高知女子大の附属図書館の蔵書は県の財産だった。
現在は「地方独立行政法人法」の適用を受ける公立大学法人だから、その法律の第42条2の第1項に基づいて不要な財産の処分を行わねばならない。その規定によれば、大学法人は不要な財産を勝手に処分することはできない。
それは、元の高知県に「納入」しなければならないと規定されている。
知事は、この法律に基づいて発言しなければならない。不要とされた3万8千冊の最終的な処分の権限は知事にある。
知事は自己の権限を干犯されていることにも気が付かず、「残念」だなどと第3者ずらしているのではなく、怒りをもって糾弾し責任を追及する立場にある。大学の教授連も除却予定の本を選んで自分のものにしたというが、何の権利があってそのようなことができるのだ。
泥棒ではないか。恥を知るべきである。
確かにこの事態は、昔の言論や文化への抑圧の「焚書」ではない。しかし、現代の「焚書」だ。森友、加計学園にみる通り行政権力の肥大化による大小の行政官僚による公有財産や公費の乱用、私物化の中で起こったのであり、首相や知事など首長が関与しているのである。

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2018年8月16日 (木)

高知県政務活動費事件上告理由書

News & Letters/646
高知県の議員に対する政務活動費の支払いについて
新たな裁判が続いている。
議員が雇用した事務員の社会保険料について、その雇用主負担を政務活動費で払うようにしていた。
金額は60万円程度であるが、雇用主にかけら多課税を公金で支払うのは納税義務の憲法に違反するとして訴訟を起こした。第1審、第2審とも住民側が敗訴となった。そこで上告理由書をしたためた。
この裁判はほかにも重大な問題が浮かび上がっている。
高知県の政務活動費は議員一人について衝き額28万円も支払われている。ほとんど第二の給料だ。
議員は月々のl巨額の報酬以外に、ボーナスが与えられ、議会に出席する度に
手当をもらい、さらにこの政務活動費だ。
そもそも議員への報酬は、日常の議員活動(役務)に対する報酬である。
政務活動費や議会出席手当を出すことによってこの月々の報酬が身分に対する
俸禄に替わったのである。だから、少なくとも政務活動費は廃止すべきなのである。
そして、この政務活動費の交付事務が全く乱脈なのだ。
第一に、裁判でも明らかになったが議員が支出伝票を発行し、自ら出納事務を遂行している。議員には公金の出納事務を行う権限はない。
第二、政務活動費の財務会計行為は総て議会事務局長が行っているが、
知事の委任を受けたという県議会事務局長の支出命令等の会計行為も
知事の委任行為そのものに法的根拠がないことも判明した。
地方自治法で定められた知事の権限委任は、知事部局か委員会など他の執行機関に
限定されていて、立法機関の議会には及んでいない。
それについて裁判で追及された高知県及び裁判所は、「併任」という新たな概念を
持ち出し、議会事務局長を知事に所属する職員に併任して、その上で委任をしているんだ、と
言いだし、それが認められた。
しかし、地方自治法その他日本の法律には「併任」なる用語は存在しない。
地方自治法(180条3)にあるのは「兼職」の規定であり、それには知事部局の仕事を他の執行機関の仕事として兼職職員にやらせることができるようにはなっていない。

最高裁判所御中

             高知県室戸市吉良川町乙2991番地

              上告人 澤山保太郎

             高知市丸ノ内1丁目2番20号

              被上告人  高知県知事 尾﨑 正直

             高知市丸ノ内1丁目2番20号

被上告人 高知県議会事務局長 弘田 均

上告理由書

                        平成308月 日

本件につき平成30年5月31日の高松高等裁判所の判決については、第一に本件支出を認めるのは憲法第30条(納税義務)違反であり、第二に地方自治法、民訴法など法令違反、法の乱用、また審理不尽、理由齟齬などがあり、到底承服しがたく、最高裁の厳格な審理で原判決を破棄し新たに適正な判断をお示し願いたく、上告するものである。

請求2(差止め請求)について 

 差し止め請求は適法であるが訴えは棄却された。

【第一】 憲法第30条(納税の義務)違反について

上告人は第一審二審を通して、会派又は議員が雇用した被用者のための社会保険料の雇用主負担の支払いを公費(政務活動費)で賄う行為は、憲法第30条が定める納税の義務に違反する、担税回避であると主張したが、第1審、原判決もこれについて何も判断しなかった。単に「許容される」として肯定した。すなわち原判決(第一審判決を若干修正)は、

「原告は、公金である政務活動費が公租公課に充てられることが許容できないとする。しかしながら消費税をはじめとして、様々な支出行為には、その担税力に着目して多様な公租公課が課せられている可能性があり、これらを必要経費から除外すべきという根拠は見出しがたい。むしろ、被用者負担分の社会保険料等を被用者の負担とせずに事業主が支払うのであれば、当該被用者が支払うべき公租公課を公金で肩代わりしたものとして、違法性が認められ得ると解されるが、事業主負担分は文字通り事業主にとっての人件費に該当するものとして、これを事業主が支払うことが許容されることは明らかである。」(第1審判決16頁下段)という。

この判断の誤謬は第一に、上告人(原告)の主張は、議員(または会派)である事業主に課せられる公租公課は、政務活動費とは無関係であり、これを公金(政務活動費)で支払うことを請求し支払わせる行為は、納税の義務を定めた憲法第30条に違反すると主張している事実を没却し、単に公金を公租公課の支払いに充てることが「許容できない」という主張にすり替え、憲法判断を避けている。原判決の争点の整理(第1審判決文7頁中段~10頁下段)でも上告人の主張の憲法違反の主張はまったく没却され、ただ「地方自治法第232条等に反し、違法である。」と主張したという整理しかなされていない。 

上告人は訴状の【第二 請求の原因】冒頭で

「一、 公開されている高知県議会政務活動費のうちで、人件費として健康保険料、厚生年

金保険料、児童手当拠出金などの事業主負担分について政務活動費から支払うべく、議員が請求し、これを知事が認めて公金を支出している。これは地方自治法第232条(必要な経費)違反であり、憲法第30条(納税の義務)の趣旨を踏みにじる行為であると考える。社会保険関係法令で定められた事業主にかかる公租公課を公金で支払うことは税法(「労働保険の保険料の徴収等に関する法律)第31条第2項の4」など)の根本的趣旨に反する。」と主張し、さらに【第二 請求の原因】の四で

「本件行為は、支出の理由なく公金を支出したものであり、地方自治法に違反し、その行為(請求と支払い)が、憲法で定められた国民(議員)の納税の義務を理由なく免ずることになる意味で憲法第30条に抵触するものである。」と繰り返し主張し、

そして【請求の原因】第六において住民訴訟の前提の住民監査請求について説明して

「本件の場合、①問題にしている事実(政務活動費での社会保険料支払い)は明確であり、②それを公費で賄っている行為の事実も添付資料(公表されている限りのもの)で明確である。③そして、その行為が憲法第30条に違反しているという指摘(住民側の違法性の認識)も明確に示されている。」と主張していた。

そのほか第1審上告人(原告)側の準備書面で本件が憲法事案であることを繰り返し主張していることは明らかである。原判決はこの上告人の主張について何の判断もしなかった。

被用者のための社会保険料の事業主負担は確かに人件費であって、事業主が支払うのは当然であるが、問題はその支払いで公金を使っていいのか、事業主に課せられた公租公課を公金で賄うという行為は担税を回避し憲法違反ではないかと訴えているのである。

原判決は、この上告人の一貫した主張について判断を回避した。

原判決がいう「違法ではない」という判断は、条例で人件費が政務活動費での充当が認められているという範囲でいうのであって、すなわち、条例に適合しているから違法ではない、という趣旨を繰り返しているだけで、その条例において憲法や税法で定められている納税の義務についてまで免除されるのかという訴訟の眼目について原判決は答えず、黙って相手方の主張を認容した。

原判決は、その充当行為が実質的に納税義務を逃れる行為であるという上告人の住民監査請求や訴状以下の書面でのメインテーマたる主張について言及せず、民事訴訟法第258条第1項の裁判脱漏、または民事訴訟法第338条第9項の判断遺脱の重大な欠陥を有することになっている。審理不尽のそしりを免れえない。

第二の誤謬は、直接税である事業主負担の公租公課と、間接税である消費税などを同一次元で論じる誤りである。直接税は課税された者が、その税を他に転嫁することが許されない。

上掲引用の原判決では「消費税をはじめとして、様々な支出行為には、その担税力に着目して多様な公租公課が・・・、これらを必要経費から除外すべきという根拠は見出しがたい。」というが、上告人は何も必要経費から除外すべきだという主張はしていない。上告人の主張は、法人等に課せられた公租公課について事業主負担の部分は、公金で肩代わりすることを請求してはならないのではないか、といっているのである。

誤謬第三は、被用者負担分を公金で肩代わりして支払えば違法だが、事業主負担分については事業主の人件費であるから事業主が支払うのは「許容される」という。

被用者については公金で肩代わりだとして違法だとしているが、事業主負担分については「事業主の人件費であるから事業主が支払うのは許容される・・・」といって、事業主負担分の公金で肩代わりについての判断は意図的に没却している。

被用者の負担分を公金で賄うことが違法なら、事業主の負担分を公金で賄うことも当然違法ではないか。上掲判決文の末尾で「事業主負担分は文字通り事業主にとっての人件費に該当するものとして、これを事業主が支払うことが許容されることは明らかである。」というように、原判決は、本件訴訟の根幹をはぐらかす。

原判決は、本件では、社会保険料の事業主負担分を「公金で肩代わり」しているのであって、事業主が支払っているのではないという事実を没却しているのである。

こうして、原判決は、上告人の請求する憲法違反についての判断を回避しこれを容認したことによって憲法に違反し、破棄を免れない。憲法の納税義務を踏まえるなら、条例で規定しなくても事業主(議員)に課せられた課税を県庁へ転嫁することができないという判断に帰着せねばならなかったし、議員が政務活動費の公金で社会保険料の事業主負担を賄うよう請求し、これを政務活動費で賄うことを認めた高知県知事の行為が憲法第30条に反するという判断以外の他の判断はあり得なかったと考える。

そもそも政務活動費は、一定の限度額(本件の場合議員一人月額14万円、会派には議員一人につき月額14万円)が交付されるが、実際には定められた範囲の経費充当があった分だけ使用が許され、残りは返還しなければならない。したがってその交付金は一般の補助金のように自己のものとはならないので自由に費消できない。

【第二】法令(民訴法第1571項)適用の誤り(濫用)について

原判決は、その 第3 当裁判所の判断 の3の(2)イで次のように判示した。

「控訴人は、会派等は,政務活動費のためにのみ存在し活動しているわけではなく、会派等に雇用される補助職員は、必ずしも政務活動業務に専任しているとは限らないから、事業主負担分についても、政務活動費から支出が許されるのはせいぜい2分の1であると主張する。しかしながら、上記主張は原審では全くされておらず、当審で初めてされたものであるが、請求2が政務活動費の交付を受けた全会派、全議員を対象としている以上、これを審理するためには、政務活動費の交付を受けた全会派、全議員について、補助職員の雇用の有無、人数、個々の補助職員の職務内容などを検討した上、当該補助職員の人件費に政務活動費を全額充てるのが適法か、あるいは一部は違法かについて判断する必要があり、訴訟の完結を遅延させることになることは明らかである。しかも、上記主張は、被控訴人知事が原審で提出した本件マニュアル(乙3)を根拠にとしているのであるから、遅くとも原審継続中に主張できたものと考えられるから、その主張が遅れたのは、控訴人の故意又は重過失によるものと認められる。したがって上記主張は、時機に後れた攻撃防御方法として民訴法1571項に基づき、職権で却下することとする。」

1、上告人は、訴状をはじめ第1審、2審を通じて議員又は会派に雇用された補助職員の賃金等の費用については、政務活動に従事した限りにおいてそれが充当されるべきだと主張してきた。原判決は控訴審で初めてこの主張があったというが、どの程度の主張なら時機に後れない攻撃防御方法なのか最高裁の判断を求める。

すなわち、上告人は、

 訴状【第2請求の原因】の三において、

「議会が定めている「政務活動費マニュアル」でも人件費は「補助業務に従事している実態により政務活動費を充当できるものとする。」と明記されている。」と主張し、「政務活動費マニュアル」を書証(甲5)として提出した。さらに、

 平成29418日付「原告準備書面(1)」の4頁目【第2】被告の本案に対する答弁についての一の3で上告人は次のように主張した。

「マニュアルでは、就労の実態に応じて賃金全体をはらうとか、半分払うなど賃金の按分方法まで決められている。」と主張し、賃金の「半分」の按分も指摘している。

 平成29年5月23日付「原告準備書面(2)」では

「仮に議員の補助活動として人件費が認められるとしてもそれはあくまでも議員の特定の政務活動に直接かかわるもの(「補助」する)であって、事務所の管理、客の応対、政務活動も含む会計処理など総務的な仕事は無関係である。そして、雇用契約はもとより議員の事務所に勤める以上事務所の仕事の中で政務活動とそれ以外の仕事があるから、費用を按分する上で、業務日誌やタイムカードがなければならない。」と主張した。

そして、被上告人の方でも

 第1審での被上告人の答弁書(平成29年4月11日付)でもその9頁で

「マニュアルに「補助業務に従事している実態により(人件費に)政務活動費を充当できる」ことが明記されていることは認め(乙第3号証のマニュアル16頁の(8))」と認めた。

乙3号証(甲5号証)のマニュアルの16頁の(8)には、①人件費按分方法と②人件費の充当限度額が記述され、政務活動業務専任者が全額、上記以外の者は1/2と決められていることがわかる。被上告人は第1審で上告人の主張にはっきり応答していた。

⓹ 被上告人の平成29年5月15日付第1審準備書面(1)の7頁で上告人の主張を踏まえて反論する。「原告は、・・・・公租公課は政務活動費とは無関係であって、公費で賄う性質ではないとか、人件費といっても請求できるものは政務活動に関与するものに限られるはずである旨主張する。しかし・・・」といって、上告人が高知県議会が作成した「政務活動費マニュアル」の16頁の(8)に基づいて主張していることを前提にして反論を展開しているのである。

被上告人側には、被用者たちが政務活動に従事したという実態を証明する何らの証拠もないことを自認していたのであるから、これだけの主張と答弁があれば第1審判決で上告人の請求金額の全額がみとめられるか、少なくとも就労の実態がわからないとして「マニュアル」で定められている1/2の按分が認められるべきであった。

第1審判決はこれを没却(判断の遺脱)した。上告人は、それで控訴審で補充的に再び取り上げたのである。原判決は。「しかも、上記主張は、被控訴人知事が原審で提出した本件マニュアル(乙3)を根拠としているのであるから・・・・」という。

民訴法適用の根拠は上告人が「被控訴人知事が原審で提出した本件マニュアル(乙3)を根拠としている」からだという。

上告人が訴状で言及している証拠について被上告人の乙号証を「根拠」に使うことができるであろうか。裁判官のこのような奇怪な認識にもとづく法令(民訴法第157条1項)の適用がその濫用ではないといえるであろうか。

時機に後れた攻撃防御については、戦前から判例があるが、大方は第2審で初めて問題を提起する場合であり、訴状の第1審から第2審に渡ってその主張がある場合には、民訴法第157条第1項の適用はあり得ない。裁判官は、訴状や準備書面に目を通しているはずであるから、政務活動費の按分について原判決が、原審で全く主張がなされていなかったという判断を下す以上、どの程度の主張や挙証が必要なのか、程度の問題が新たに論じられねばならないし、その基準が明確にされねばならない。

2、原判決は、上掲の判断で「請求2が、政務活動費の交付を受けた全会派、全議員を対象としている以上、これを審理するためには‥‥訴訟の完結を遅延させることになるのは明らかである。」と非難する。

しかしもし、この通り全議員の雇用の有無や職務の内容等を検討しなければならないということになったとしても、すでに訴状等で政務活動費の按分が問題となっていて、根拠資料も上がっている以上、また被上告人側もそれを承知していると応答している以上は、原審はその審理を避けて通ることはできないはずである。しかし、実際(第1審判決文8頁「イ 請求2について」や同判決文17頁「(4)よって、会派等が政務活動費を当該会派等に係る事業主負担分に充当することは違法であるとの見解を前提にした原告の主張・・・」等)には上告人の主張は、政務活動費で概算払いをされる人件費のうち社会保険料の事業主負担分についての差止めを求めていることは明らかであるから、具体的な人数などを調査し大げさな審理を開始しなくとも、被上告人高知県知事が、その旨(社会保険料の事業主負担分は政務活動費を充当できないとか、マニュアルの定めの通り政務活動にかかわった程度によって按分するとか)県議会側に通告すれば能事了われりであり、証拠もすべてそろっていたのであるから原判決が同趣旨の判断を示せば訴訟は直ちに完結するのであった。簡単な判断を避けあるいは逡巡したのは裁判官であって、上告人も被上告人もするべきことはしていた。

3、原判決は、新たな主張の証拠となる政務活動費のマニュアルを第1審で被上告人側がすでに提出していたのに主張が遅れたことについて上告人に故意や重大な過失があったなどという。

すでにこの判断がでたらめだということは説明する必要もないくらいである。

上告人の原審での控訴理由書等での主張(政務活動費マニュアルによれば雇用の実体がないから政務活動費の人件費充当は全額認められず、少なくとも2分の1の按分による充当しか認められない)は、原審で初めて主張しだしたのではなく、訴状や第1審原告準備書面で同じ趣旨で明らかに主張し、被上告人答弁書などでもその論拠となる書証の該当文章を承知する旨の主張すらあったのである。上告人に訴訟を遅延させようという故意や、過失などあろうはずもない。ただ、政務活動費の費用の按分については、第一の主張ではなく、従たる主張であり、前掲した訴状や準備書面での主張がやや弱い感は否めないだろう。

本件では、被上告人側が、被用者について雇用の実体を示す雇用契約書や業務日誌、タイムカードも保有せず、ただ、社会保険料を支払ったという領収書しか示していないことや、社会保険料の事業主負担分そのものの公費での肩代わりを主要な問題にしていたので、費用の按分問題はその問題もあるという指摘を繰り返すにとどまっていた。

そのような主張の在り方が、主張がなかった、故意に主張を後らした、または遅れたことに過失があったと判断されるということであれば、ではどの程度の主張であれば、攻撃・防御で時機に適い、又時機に遅れたということになるのか、明確な基準が示されねばならない。上告人は、政務活動費の按分についてはすでに第1審で主張がなされ証拠も出ており、被上告人もその主張があったこと及び根拠資料の該当部分を承知していると答えていた。この事情は顕著な事実である。第1審判決が、判断を遺脱したことでもって、主張がなかった、時機に遅れたなどというのは余りにも失当であり、民訴法157条第1項の法律の乱用というべきであって、時機に遅れたという事実そのものが存在しないなど、却下の要件を何一つ満たしていない。

4、最後に、原判決が初めての主張だという控訴理由書の最後部分を再現する。

按分について主張したのち、上告人は次のように主張した。

「本件の場合、何らの業務上政務活動の実績を示す証拠がないから多く見積もっても「上記以外の者」の1/2に該当する。

議会事務局への情報開示請求では、本件の場合、雇用契約書、被用者の出勤の状況、労務の実態については何の証拠も存在しないという回答があった。これらの問題については原審の訴状や準備書面で控訴人は指摘してきた。本件交付条例では、経費の支払いにはその根拠となる証拠を示すべきとなっている。証拠のない経費については、政務活動費は支払うことはできない。原判決はこれについて何の判断もしていない。

それでは、原審裁判官は、雇用の存否、被用者の業務の実態も知らないのに、何をもって本件人件費(社会保険料も含む)の支出は全面的に合理的だと判断したのであろうか。

少なくとも政務活動の業務と他の政党活動や管理的総務的業務との按分を考慮するぐらいの判断を下すべきではなかったか。」

上告人は、控訴理由書ですでに第1審の訴状や準備書面で問題の所在を明らかにしていると主張しているのである。原判決は条例やマニュアル上での人件費の合否を問題にして判決文を書いていると考えられる。上告人は、人件費(その中の社会保険料の事業主負担)について単に法律上の争論をしているだけではない。上告人の主張は一貫して本件の実態としての人件費、その存否の実体そのものをも問題にしている。雇用の実態を示す証拠がないのに何の人件費であろうか。

事実に基づかない、実態を無視した判決文が有効であるはずはない。

 

     請求1について

請求1(損害賠償請求)については却下された。

【第三】地方自治法第242条1項の公金の支出

本件の監査請求は、高知県議会の議員又は会派によって費消された政務活動費のうち社会保険料の事業主負担を政務活動費で肩代わりした12件について監査請求以前1年の範囲でその「支出伝票」に基づいてなされた。「支出伝票」の発出は議員又は会派の手によってなされていた。

原判決は、この「支出伝票」が、地方自治法(第2421項)が定める「当該職員」によって作成されたものではなく、その職員による公金の支出に該当しないものとして、上告人の訴えを却下した。すなわち、

「会派等が用いる政務活動費支出伝票(甲3の1ないし12)は、本件マニュアルが収支報告書に添付する書類として書式を定めた会計帳簿の1つであって、執行機関が公金の支出を命ずる際に作成する支出命令書とは異なるものである。(乙3)

したがって、会派等が政務活動費を経費として支出する行為は、高知県の出納事務とは明らかに異なるものであって、同法242条第1項の公金の支出には該当しない。」

(第1審判決文13頁)

原判決は、実際に行われている政務活動費の種々の費目への出納事務は、高知県が任命した正規の出納員等経理職員ではなく、議員又は会派が「高知県の出納事務とは明らかに異なる」形で遂行していたことを認定した。訴訟の前提となる住民監査請求は支出命令や支出負担行為の時期だけでなく、実際の公金の支出行為(出納)をとらえてする。支出命令があっても実際に公金が支出され使われなければ公金の支出とはならないからである。

本件政務活動費は議員や会派に対して定額の概算払いがなされるが、実際の経費への充当は本件「政務活動費支出伝票」という「会計帳簿」で行われる(第1審判決文5頁の「政務活動費の支出に係る会計帳簿」がこの支出伝票のことである)。この支出伝票に基づく充当行為がなければ、政務活動費は手つかずで県に返還されるものである。

本来知事などから支出命令を受けて行う高知県庁の出納事務は、県庁のすべての部署に置かれた出納員など出納関係職員によって遂行される。それを統括する権限があるのは会計管理者であって知事ではない。本件政務活動費では、議員が出納行為である支出伝票を作成し、これをもとに議員は実際の費用への充当を行う。本件支出伝票は、本来県庁の各部署に配置されている正規の出納員によって処理されるべきものである。

問題は、このような事態(原判決はこれを「高知県の出納事務とは明らかに異なるもの」という)について法的にどのような評価をするかである。

原判決はこれを「同法242条第1項の公金の支出には該当しない」というのであるが、それだけでいいのであろうか。

原判決(第1審判決文11頁)は、「会派等による充当行為が、同法(地方自治法)242条第1項にいう「職員」による「公金の支出」に該当するか、検討する。」として

まず「一般に議員の事務には予算の執行に関する事務及び現金の出納保管等の会計事務は含まれておらず・・・」という。

議員は原判決が言う通り、地方自治法第242条1項の長とか職員ではない。しかし、職員ではない議員に出納事務を行わせた長や職員は存在したのではないか。地方自治法第243条では私人には公金の取り扱いをさせえない規定があるが、乙3号証の政務活動費マニュアルでは、議員用及び会派用の政務活動費支出伝票の書式が指示されている。これは本件政務活動費の交付に関する条例第10条の4項の規定「政務活動費の支出に係る会計帳簿」の提出義務の規定に基づいている。この会計帳簿の作成・処理は県の出納員などではなく、議員又は会派に義務付けられていることは明らかである。してみれば、条例に基づきマニュアルを作成した議会はともかく、本件条例を作成した被上告人高知県知事の責任が浮上する。

そして、「会派等が政務活動費を経費として支出する行為は高知県の出納事務とは明らかに異なるもの」であったとしても出納事務であることは原判決も否定しえない。

出納事務が公金の支出行為であり純然たる財務会計行為であることはいうまでもない。

権限無き者に出納事務をやらせたというのは地方自治法第242条l項の「違法または不当な公金の支出」に該当する。

したがって、本件請求は地方自治法第242条1項の規定に照らして適法であって、原判決は法の適用を誤ったもの(法の適用の回避)であるから破棄を免れない。

【第四】昭和62年4月10日最高裁第二小法廷判決の補足意見

昭和62年4月10日最高裁第二小法廷の判決には裁判官林藤之助の「補足意見」があった。

この事件は、東京都議会議長の議会での公金支出行為についての住民訴訟において、議長は当該支出について支出決定の書類に押印したりしているが、議長には本来議会に関する事務について全般的に指揮監督する権能はあるにしても知事の権限である財務会計行為をする権限はなく、地方自治法第242条1項の支出行為の責任者である「当該職員」には当たらないので監査請求自体が不適当とされたものである。

これについて裁判官林藤之助は、

「違法な公金の支出について責任を負って然るべき者が単に当該公金の支出につき財務会計上の権限を有しないということだけで免責されてしまうのは法の住民訴訟制度を設けた趣旨を没却し不合理ではないかとの疑問が生じえないではない。」とし、

「前記のような行為は、その態様によっては普通地方公共団体に対する民法上の不法行為を成立させ、当該普通地方公共団体は、その行為者に対し損害賠償請求権という財産を有する場合も考えられる、もし右債権の管理を違法に怠る事実が存在する場合には、住民は当該「怠る事実」の是正を図るとともに当該普通地方公共団体の損害の回復を図ることが可能と解することができる。」と喝破した。

これを本件に当てはめると、被上告人知事が議員にさせてはならない公金の出納事務をやらせるという不法行為を犯し、そうして政務活動費で社会保険料の事業主負担分を違法(手続き上違法)に支出し議員に不当な利益を供与した、ということができる。不法行為による地方自治体の損失については損害賠償の請求権という債権を発生させるから、これを財産の管理を怠る事実として監査請求し住民訴訟を提起することができる。

そして事実、上告人の住民監査請求書及び訴状には、本件支出を「不当な利益供与」と規定し「既支出分の全額返還をもとめるべき」(住民監査請求書)、「政務調査費で支払った分を返還させ・・・」(訴状)と実質的に債権の回収を求めている。

もともと本件住民請求及び本件訴状の請求1は、地方自治法第242条1項の趣旨にかなうものでありながら、原判決はこれを適用せず、また原判決は判決文中昭和62年4月10日の同じ最高裁判例を使っていながら、林裁判官の「補足意見」全く無視して判断を下したものである。補足意見も判例であって、無視されていいものではない。したがって原判決はいったん破棄すべきである。

このことについて控訴理由書(5枚目)は

「すなわち、「当該職員」という問題で地方自治法第142条第1項の違法若しくは不当な公金の支出について監査請求できないとしても、知事や事務局長、議員らによる不法行為による損害については地方公共団体に損害賠償請求権という債権が発生し、その観点(違法に財産の管理を怠る事実)で監査請求が正当に提起できるという見解である。

本件監査請求の趣旨は単に公金の支出行為の違法を言うだけでなく、それにより発生した不当利得の返還を請求した内容である。

また訴状や準備書面では、併任や委任などについて知事や事務局長の職権の乱用、無権限な議員による出納行為等々の不法行為が列挙されており、これらの不法行為により本件損害が発生したことが縷々主張されている。最高裁判例(平成14年7月2日最高裁第3小法廷判決)では財務会計行為の違法ではなく、地方自治体が談合など不法行為によって被った損害についての回復措置を求める監査請求は、1年の監査期間の制約を受けないとされている。・・・・正規の出納事務を経ない公金の支出行為は不法行為であり、横領や窃盗行為と大差ない犯罪行為である。」と主張した。

【第五】事務の委任及び併任について

本件政務活動費の出納事務が権限のない議員やその会派の手によってなされるという異常な仕法で遂行されてきたが、その交付事務そのものについても重大な問題があることが判明している。本件政務活動費交付条例では、支給事務は当然被上告人知事が行うと定められているが、実際には、高知県会計規則第3条1項1号の規定によって知事の委任を受けたとして、被上告人県議会事務局長がこれを遂行していた。上告人の主張によって執行機関の長である知事が立法機関である議会の職員に事務の権限を委任することは許されないとされたが、被上告人及びそれを追認する原判決は、併任という便法を用いてこの委任制度を肯認した。

その論理が極めて奇怪である。原判決は言う、

地方自治法では、「普通地方公共団体の長が議会の事務局長に対して権限を委任することができるという規定を置いていない。(同法180条の2等参照)

他方、普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部をその補助機関である職員に委任することができるとされている(同法153条1項)ところ、議会の事務局長その他の職員を長の補助機関である職員に併任することを禁ずる規定はなく、これを禁止する法的根拠はない。一般的にも、普通地方公共団体の長はその権限に属する事務の一部をその補助機関である職員に委任することはでき(同法153条1項)、議会の事務局長その他の職員を長の補助機関である職員に併任した上で、その者に対し支出命令等予算執行に関する事務の権限を委任することが可能であると解されている(最高裁昭和62年4月10日第二小法廷判決・民集41巻3号239頁参照)

原判決はここで、委任については知事など普通地方公共団体の長が議会事務局長に対し事務の委任を可能とする地方自治法上の規定はないのでこれはできないとしながら、併任については、知事が議会事務局長に知事に属する事務を遂行させるためにこれを併任することについて禁ずる規定はないから、併任したうえで事務の委任は可能だというのである。

この見解は全くの脱法行為を正当化するものである。執行機関の長である首長の事務は執行機関の職員にのみ委任が許されているという規定では、いかなる方途をとろうとも立法機関の職員にまでその委任の権限は及ばないはずである。

日本の政治は法治主義であり、行政は法令に規定された範囲のことしかできない。

禁じられていないことなら何をしてもよいというわけにはいかない。

地方自治法や地方公務員法には原判決等がいう「併任」については何も規定するところがないが、地方自治法第180条の3に「兼職」について規定がある。

この規定以外には「併任」について規定するものはない。

「兼職」についての地方自治法の規定には執行機関の長はその補助職員を、種々の執行機関の事務を遂行する職員として兼職が許されるという規定があるのみで、それが議決機関の職員にまで及ぶという解釈はできるはずがない。

そもそも地方自治法第180条の3の規定は、長に所属する職員を教育委員会や選挙管理委員会など長に所属する執行機関以外の行政機関の事務を遂行させるために兼職を認めるものであって、他の執行機関の職員に本来長に所属する職務を肩代わりさせる趣旨のものではない。まして、議決機関の職員に長の職務を代行させる趣旨のものではないことは当該規定の文章を見れば明らかである。地方自治法第180条の3 の規定は以下のとおりである。

普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の委員会又は委員と協議して、その補助機関である職員を、当該執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員と兼ねさせ、若しく当該執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員に充て、又は当該執行機関の事務に従事させることができる。

この規定は、行政組織の効率化のため、時期によっては比較的暇な選挙管理委員会や監査委員会の事務を遂行する上において専任の職員を配置する必要性が乏しい場合に首長に所属する総務課の職員などを委員会の事務を執らせるために作られたものである。

この規定で本件条例で定められている知事による政務活動費の交付決定など知事の権限に属する交付事務を他の執行機関の事務としてその補助職員に「兼職」させることができるであろうか。まして、執行機関ではない立法機関の職員に代行させることができるであろうか。

原判決は、「併任」について昭和62年4月10日の最高裁第二小法廷の判例を持ち出しこれを正当化する。確かにその最高裁判例では

長はその権限に属する事務の一部を当該普通地方公共団体の吏員に委任することができ(法153条第1項)議会局の事務局長その他の職員を長の補助機関たる事務吏員に併任した上その者に対し支出命令等予算執行に関する事務の権限を委任することは可能である・・・」という判示がある。しかし、この判断の後半の「併任」については、何らの法的根拠も示されていないし、合理的な説明もない。むしろ地方自治法第180条3の規定に照らせば完全な誤判であるといわねばならない。法は、兼職(併任)によってする事務は、兼職先の「当該執行機関の事務」に限定しており、法文の示すところは、知事部局のなすべき事務を兼職先で兼職職員に委任して遂行させるなどとは到底解釈できない。

最高裁は、昭和62年4月10日の最高裁第二小法廷の上掲のずさんな脱法的判断をこの際見直すべきであろう。

したがって本件政務活動費の交付は、知事が議会事務局長に委任することが法的にできないのに委任したとして権限なき者に遂行させたもので社会保険料の事業主負担分の充当を含むすべての本件にかかる公金支出が違法性を帯びているのである。

かくて、本件政務活動費の交付の財務会計行為は、法的に権限なき議会事務局長らのその交付の全手続きが違法かつ無効なものである上に、すでに明らかなとおり権限なき議員に条例で出納事務を義務付け、実際に議員がそれを遂行していた。違法行為は重畳していたのである。

ちなみに、原判決は、既述の高知県会計規則第3条で議会事務局長は本件政務活動費の交付事務について知事の権限の委任を受けていると判示したが、この会計規則で委任されているのは支出命令などであって、会計管理者の専権である出納行為については、委任されていない。高知県議会には出納員が全く配置されていない。(乙5号証 高知県会計規則)

第1審判決文(5頁中段)で裁判所が本件政務活動費の運営の流れを解説した中で

「・・・当該請求を受けた知事(委任を受けた議会事務局長)は、請求をした会派等に対し、・・・議員1人当たり月額14万円を交付する。」としているが、交付事務は出納行為であり、事務局長は出納の権限を会計管理者(旧出納長)から委任されていない。

知事には公金の出納事務の権限はないからこれは被上告人議会事務局長の職権の濫用である。

「1.docx」をダウンロード (上告理由書)

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