情報公開

2017年1月29日 (日)

県議会への監査請求

News & Letters/548

高知県議会は、領収書などをネットで初めて公開した、ということで評価が高い。

しかし、中身は相当でたらめである。宿泊費についてはやっと領収書をとり実費支給に替えた。これまでは、パック旅行以外は一切領収書を公表せず、高額の定額をとっていた。宿泊した事実を証明するのは領収書の代わりに議員本人の書いた自己証明書が証拠だと
言い張って来たのである。裁判所もそれを容認した。

しかし、さすがに私の住民訴訟のあと、領収書を出すようになり実費支給に切り替えた。しかし、まだまだ闇は深い。
本来年間数百万円の高額の政務活動費は廃止すべきである。第二の報酬である。議員にはすでに超高額の報酬が支払われている。

日本共産党は国会議員への政党助成金を拒否しているのであるから、それの地方版である政務活動費を拒絶するべきだ。

今回は、党派や議員が雇用している人件費のうち、社会保険料など事業者(議員側)負担まで政務活動費で賄っている事実について異議を申し立てた。公課公租を公金で支払うということは、公課公租の意義を喪失させる。憲法第30条の国民の納税義務をなんと心得ているのだろうか。

憲法をないがしろにするいかなる法令も無効である。県の監査委員会は、悪事の隠ぺい機能をどのように発揮するのか、
また、それに続く裁判所がどのようなでたらめな判断を下すのか、見ものである。

          高知県職員措置(住民監査)請求書

                        平成29年1月18日
高知県監査委員殿 
                〒781-7412高知県安芸郡東洋町405番地1
                請求人 澤山保太郎
【請求の要旨】

1、公開されている高知県議会政務活動費のうちで、人件費として健康保険料、厚生年金保険料、児童手当拠出金などの事業主負担分について政務活動費から支払うのは不当かつ違法であると考えるのでこれまでの会派及び議員への既支給分の全額返還を求めるべきである。公租公課を公金で支払うことは税法の根本的趣旨に反する。

2、人件費にかかる社会保険料の事業主負担分について、今後これを会派及び議員に支給しないようにするべきであり、差し止めを求める。
3、人件費での社会保険料の事業主負担分については、政務活動費で支払った分については、会派及び議員は、これら社会保険料は未納であり滞納であるので可及的に遡及して納税(支払い)する義務がある。

【理由】

1、公課公租を負担することは国民の憲法上の義務である。何人もこの義務を免れない。
(憲法第30条)
 国や地方公共団体は事業主であるが、担税義務はない。国庫以外に財源がないからである。政党政派は行政機関ではなく、任意団体であるから、人を雇用した場合、事業主として各種の社会保険料を負担する義務がある。
 その保険料を政務活動費という公金でもって支払うことは、公租公課の意義を踏みにじり、あたかも任意の政党政派が公的機関と同等であるかの如きふるまいをしていることになる。

 議員による調査研究の費用を賄う政務活動費で、人を雇い人件費を支弁することについては疑義があるが、仮にこれが認められるとしても、そのうち社会保険料にかかる費用まで支弁することは認められていない。現行の条例・規則などではそもそも人件費の内訳を明瞭にしていない。
議員への政務活動費の支給を定めた地方自治法(第100条第14項)においても、また他のいかなる法令でも国民に課される公課公租についてこれを公金で支払うことが許容される規定は存在しない。いかなる法令、条例規則でも憲法第30条を凌駕(又は無視)する規程を作ることはできない。

地方自治法第100条の第14項の規定では、政務活動費は、「議員の調査研究に必要な経費の一部」について支給するとなっていて事業主(会派又は議員)や労働者個人にかかる公課公租は、「議員の調査研究に必要な経費」とは言えない。
公課公租は、国や地方公共団体が国民(法人を含む)に課するものであってそれでもって行政を施行する財源とするものなのである。

2、高知県議会の政務活動費の実際の運用では、人件費においては、被雇用者からは社会保険料の個人負担分として給料から差し引いている。

労働者に対する措置は正しいとしても、それより優越的立場にある事業主(会派又は議員)の負担分については、これを事業主に負担させず、公金で賄わせるというのは、畢竟、県が雇用主である議員に対して不当な利益供与をするものというべきであって、政治資金規正の法令にも抵触する疑いがある。

各種の重税に苦しみながら納税義務をはたしている多くの県民から見て、厚顔無恥というべきであろう。政務活動費で必要な経費は何でもこれで支弁していいということにはなっていない。あくまでも「必要経費の一部」しか支給されない。
  
       添付資料
   政務活動費支出伝票(社会保険料にかかるもの) 11枚

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2016年3月26日 (土)

随意契約

News & Letters/468

ある公の病院の薬剤購入については、長年数十億円単位で不正な随意契約がまかり通っていた。

政府がそれを廃止して公正な一般競争入札に切り替えるように繰り返し通達しているにもかかわらずである。

そのやり口は、実際には一度に数千万円単位で落札しているのに、契約ではそれを3百万円未満の多数のものに分割し、随意契約が許されるように書類を作成して会計検査院の目をかすめるという事をしていたのである。

随意契約であるから、業者は担当職員が自由に選べる。特定の業者を排除し特定の他の業者とつるんで利権構造を拵えてきた。契約担当の幹部職員は肩で風を切って業者をあしらってきた。情報を開示請求しても肝心の資料は一切出さない。

いま、それが市民の告発によって、利権体制が大きく崩れ、不正に関与していた幹部職員は表から引っ込み、この3月から正常な一般競争入札が始まった。権力を笠に着た官僚に苦しめられてきた地元の業者らもやっと理不尽なくびきから解き放たれた。
随意契約は薬剤だけではなく機器類の購入など巨額の契約にも横行していたという。

他の公立病院でも、薬剤の購入については相当深刻な問題を抱えている。随意契約の横行だ。市町村でも、一般競争入札を避け、随意契約をするという風潮はなかなかやまない。

少し調べればすぐわかることだが、新聞もほとんど取り上げない。調査能力がないのか。
市民が住民訴訟で取り上げてもなんだかんだと言って裁判所が訴えを認めない。マスコミも独自の調査はせず、記事にも載せない。

公共事業での利権行政の柱は、随意契約であり、ほとんどすべて不正な契約なのである。
相手団体の事業が公益性のある事業だからというのが随意契約の擁護理由である。

だが、そんなことは地方自治法やその施行令にはうたわれていない。行政の行為の公益性は、相手団体のそれではなく、行政自体の手法や手続きの公正さが公益性を担保するのである。

マスメディアが見逃し、裁判所が、訴える市民を目の敵にし利権行政の擁護者になっているのが現状だ。

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2016年1月12日 (火)

民主主義のかけら

News & Letters/454

すでに述べたように、日本の戦後民主主義もルソーが唱えた民主主義と比べ天地霄壤の差がある。

ルソーは、人民主権では、立法においては絶対に代表制を認めない。直接民主主義だ。
我々の民主主義は、立法も行政もすべて代表制であり、司法は完全な官僚制だ。
人民主権はほとんど政治屋に簒奪されたままであり、選挙の時一瞬主権を回復したと思う程度である。

わずかに残っているのは、言論の自由、集会結社デモの自由と地方自治法の住民監査請求・住民訴訟制度ぐらいであり、国や企業に対する損害賠償請求などの民事上の裁判もわずかに許される。

しかし、ここ裁判所でも、官僚化した裁判官の独壇場であり、権力に逆らう者は容赦なく切って捨てられる。

それでも、ある程度、権力者の腐敗を追及することはできる。追及しても投獄される心配はない。

それらはルソーから言えばほとんど民主主義のかけらというものだろう。そのかけらを利用する人は少ない。

人民主権のかけらを拾いながら、権力と渡り合うのは、私に残された仕事であり、そして、ルソーの理想に一歩でも近づく道である。若い人はもとより、お年寄りは特に、ただ一人でも住民訴訟を提起し、法廷で権力の不正を追及して吠えることができる。

何千、何万人もの人が立ち上がれば法廷は震えわななき、民主主義のかけらもガラガラ→ごうごうと地鳴りがして圧政を打倒する武器になるかもしれない。1人でも市民オンブズマンとなって直接民主主義を実践して戦おう。

今年もよろしく     2016年元旦

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2015年6月 1日 (月)

県議会政務調査費の住民訴訟

News & Letters/413

被告の高知県は、県知事を相手にした私の訴状に対して、高知県会計規則第3条の規定により県知事の権限を議会事務局長に委任してあるので、知事を訴訟の相手にするのは失当であり、却下されるべきだと居直っていた。

しかし、私の今回の準備書面によって、その卑劣な論理が打ち砕かれた。
まさに知事は県議会に本件政務調査費の交付権限を議会に委任することができないという事が法的に証明された。従って知事が交付決定もしていない公金を、議会事務局長が永年勝手に使っていたということになった。

本件訴訟の前哨戦はかくて私の勝利のうちに終わり、今から本戦に入る。

ちなみにこの間の調査で、高知県議会事務局では、政務調査費の交付決定通知書はもとより、重要文書の送達簿すらも作成していないことが明らかになった。
文書管理もまともにやれない機関が行政のチェック機関として太いことを言って巨額の公金を使っている。

監査委員は、県議会事務局をまともに調査しているのであろうか。

平成26年(行ウ)第9号 損害賠償請求事件    
原告 澤山保太郎
被告 高知県知事
原告準備書面(4)
                 平成27年5月25日
高知地方裁判所 殿
                   原告 澤山保太郎                  

原告は以下のとおり弁論を準備する。
知事の権限の委任について
被告はその答弁書25頁及び準備書面(1)の2頁で高知県会計規則3条1項1号により、政務調査費などの支出についての権限を知事から議会事務局長に委任されていて、知事には権限がない、という主張を繰り返してきた。

原告はこれに対して準備書面(2)、(3)でその主張には法的根拠がないことを指摘してきた。これについて被告から法的根拠を示す主張は出ていない。
今原告の主張をさらに補強し整理する。

一、高知県会計規則第3条1項1号には、確かに予算の範囲内で教育委員会など諸機関の所掌に関する支出負担行為や支出命令等について「知事の事務委任」が規定され、議会もその機関の一つとして指定されている。
ところで高知県の会計規則関係の通知(甲第  号証)には、この会計規則第3条関係について解説していて、それによると知事の権限の事務委任は、「地方自治法第百五十三条又は第百八十条の二の規定」に基づくとされている。
 この二つの法律の規定を見ると、いずれも議会又は議会事務局への知事権限の委任の根拠にはなりえない。
すなわち、
 地方自治法第153条の第1項の場合、権限委任の対象は副知事や部課長など知事部局の職員に限定されているし、第2項の「行政庁」も保健所、福祉事務所など知事の管轄する部署のことであると理解されている。従って議会は対象となっていない。
 他には地方自治法第180条の2の規定があるが、その事務委任の対象も「当該普通地方公共団体の委員会又は委員」であって、議事機関たる議会は対象ではない。

二、被告準備書面(2)の3頁~4頁にかけて被告は、議会事務局が知事の権限事項について委任される法的根拠がないので、議会事務局の職員に知事部局の職員たる資格を与えるため「併任」という仕法を用いていることを明らかにした。

それを合理化するために乙第25号証の逐条解説書を出してきているが、その解説書でも、委員会など執行機関には委任についての規定があるが議会については「このような規定がないので・・・・」といって、別の便法「併任」について教示している。すなわち、
たとえば、議会事務局の事務局長、書記長又は書記を長の補助機関である職員に併任し、その長の補助機関である職員たるの資格において、これに議会に係る予算の執行権を委任し・・・あるいは補助執行させるより他に方法がない。」という。
しかし、この解説書の著者は法令の制定者ではないし、このような「併任」という著者の意見が法令に替われるものでもない。

被告が言う「併任」というのは法的には地方自治法第180条の3の「兼任」のことと思われるが、その規定も首長と委員会との執行機関同士の間の規定であって議事機関である議会との間のことではない。従って被告の主張には何の法的根拠も存在しない。

三、乙第25号証の解説書が「併任」以外に「・・・・他に方法はない」というがそうであろうか。
  回答:他の方法はある。しかも本来の方法である。たとえば議会事務局の職員の給与の支払いでも知事が出納室に命じてこれを支給させることができるし、実際そうしている。補助金の交付についても直接出納長に命じて支払い事務を遂行させることは当然出来るし、それが本来のやり方だ。事務の委任というのは、もともと行政事務の効率化・簡素化のために認められた制度にすぎない。

委任について法律の定めがない場合は、委任してはならないのであって、しかも委任しなければ事務の遂行ができないわけではないし、また、委任しなければならないという法令も存在しない。委任についての地方自治法の規定は全て「・・・することができる」という文言で終わっている。

法の制定者が委任の対象に議会のことを忘れたのではないかと思うかもしれないが、他の執行機関でもかつては首長の事務の委任が禁じられた機関もあった。すなわち、地方自治法第180の2の規定の末尾の文言では、知事など首長の管轄する執行機関と明確に一線を画す必要がある機関には事務の委任はできないことが予定されている。
議会と執行機関は完全に独立していなければならず、同じ人物が同時に双方の事務を担当することは好ましくないと考えて、わざと委任事務の対象から議会をはずしたと考えられる。問題によっては議会が執行機関と全面的に対立するという場面、議会事務局も議長の指示のもとに執行機関と対決する業務を遂行し行動しなければならない場面もありうるのである。

 四、法律的に知事の事務や権限の委任を議会(あるいは議会事務局)にすることはできない。
従って、被告の主張は実際の事務の実態を表現するものであるが、法的根拠はなく、県の会計規則第3条の知事の委任に基づくという本件政務調査費の交付及びその仕法は権限のない議会事務局長が知事から委任されたものと詐称し知事の権限を踰越した違法行為であると断定できる。
あるいは被告知事からすれば、自ら査定し点検をし決定をするなど本件交付事務の権限を行使しなければならないのに、その責務を放擲し、これを法的根拠もないのに議会に丸投げ的に委任し、議会の好きなようにさせてきて、原告が指摘するような事態をもたらした、というべきであろう。
五、しかも、すでに指摘してきたように、政務調査費の交付について被告は本件も含めて条例に定められた知事の交付決定を一度も行っていず、一通の交付決定通知書も議員や議会会派に送付していない。知事から委任されたという議会事務局長も同様に正規の交付決定書を発送していない。

原告が、尋ねたところ、高知県議会事務局では、そもそも「公文書送達簿」の書式はあるが、これまでこれに一切記載していなかったし、また、その送達簿のパソコンなどでの「電磁的記録」も作成していない、ということである。

 これが、本件政務調査費について権限のない議会事務局が適法な手続きも踏まず、議員の言うとおりに公金を支払い続けてきた姿である。 

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2015年2月21日 (土)

高知県議の政務調査費の裁判

News & Letters/399

高知県議会も政務調査費(現在は政務活動費)の使い方について考え始めた。
しかし、依然として議会内部でしか論議をしようとしない。

政務調査費を法令化するに当たり政府は、各議会が条例制定の折には、住民の意見を聴く機会を持つべきだという指示があったが、そんなことは絶対にしない。
宿泊費などは実費の倍以上も取っていて、日当まで取っている。

旅費などは県庁に用があるというものまで計上して請求する。しかも本当に県庁へ来たのかどうかはっきりした証拠もない。選挙区をぶらっと車で回っても距離に応じて旅費を請求する。兵庫県の号泣県議が高知にもだいぶいるのではないか。

以下最近の原告準備書面を掲載する。

平成26年行ウ第9号 損害賠償請求事件

原告 澤山保太郎

被告 高知県知事

 

準備書面(3)

                       平成27年2月17日

高知地方裁判所 殿 

                            原告 澤山保太郎

原告は、答弁書、被告準備書面(1)及び(2)について以下の通り弁論を準備する。

一、本件交付事務について

1、すでに原告準備書面(2)において明らかになった通り、本件政務調査費の交付については、本件条例に定められている知事の交付決定(書)、議員や会派への交付決定通知書が存在していない。知事はそのような文書を発行していないし、会計事務の委任を受けたという議会事務局長もそれらを発行していない。

補助金の交付決定は単なる会計事務ではなく、知事の政治的な意思決定でありここから全ての会計事務が始まる最重要行為である。

この一点において、本件交付行為は全て無効である。

被告は答弁書9頁中段で「高知県知事が、平成24年度政務調査費を高知県議会の会派及び議員の双方に対し交付したことについては認め、その余は争う。」としていた。

そしてその実務は、「アの通知が提出された後、旧条例7条の規定に従い、知事(委任を受けた事務局長)は当該通知をもとに会派及び議員に対し政務調査費の交付決定を行うとともに、交付決定した旨を会派の代表者及び議員に通知する。」と主張していた。

しかし、原告に開示されたり一般に閲覧で公開されている本件交付金に関する資料には知事の交付決定書や議員への決定通知書は存在していない。原告が事務局に聴き糺したところ、そのような文書は発行されていない、とのことであった。

 条例で定められた知事の交付決定もなしに議会事務局長の支出命令等の交付手続きはそれでは何を根拠に遂行していたのか。何の根拠も存しない。

回答。勝手に公金を引き出して議員に配布していたにすぎない。

従って本件交付金は、全額支出することができないのに支出した違法なものであり、知事が議員からその全額を返還させるべき筋合いのものであるのに歴年それをしてこなかったし、その意思も全く見えない。だから、知事がその弁済をする義務がある。

すくなくとも、原告が請求している会派分の交付金全額や議員への交付金で領収書のない宿泊関係費の全額については、知事が賠償する義務がある。

2、議会事務局長の権限と知事の被告適格性

 答弁書25頁によると、政務調査費の交付についての財務会計行為の権限は、議会事務局長が高知県会計規則第3条1項1号の規定により知事から委任を受けている、と主張 していた。

しかし、原告は前掲準備書面(2)でそれについては法的根拠がないと指摘した。

すなわち、地方自治法第180条の2の規定によれば、地方公共団体の首長は教育委員会など各種の委員会へその事務の委任ができるというものであるが、議会事務局には、行政執行機関ではないからその法律の適用はない。従って知事の職務を勝手に議会事務局長が遂行していたということになり越権行為の違法性が浮かび上がった。

 そこで、被告は主張を変えて、その準備書面(2)で、実は、議会事務局の職員は知事部局と議会事務局との「併任」であると主張しなおし、依然として事務局長が本件交付事務について知事から包括的に権限の委任を受けていて、知事には権限がないという主張をしだした。そのため被告は、最高裁昭和54年7月20日判決の判例を持ち出しその主張を補強する。しかし、引用された最高裁判決文は「行政庁相互の間においていわゆる権限の委任がされ、・・・」というとおり「行政庁相互の間」の権限委任の事柄についてであり、議会また議会事務局は行政庁ではないし、地方自治法第180条の2の規定からも外れているからこの最高裁判例は本件には失当なのである。

 従って、議会事務局に「併任」されたという職員はもとの知事の指揮命令系統に入っている訳であるから、たとえ知事が議会事務局に出向させたその部下に事務を委任したとしても、行政庁間の事務の委任とは違って、知事がその事務についての権限を喪失するというわけではない。だから、知事は本件訴訟の被告として適格性を有する。そのことが被告の説明で明らかになったのである。

なお、被告は、地方自治法第180条の2の委任と同法153条第1項の委任とを同じ性質のものと考えているようであるが、その考えは失当である。

後者の場合は、地方公共団体の首長の権限に属する補助機関の職員に事務の一部を委任する行為なのであり、一種の職務命令であって、前者の別の独立した執行機関への委任は首長と別機関との協議(合意)による委任である。

被告準備書面にいう「併任」を前提にした本件の場合は後者の委任であって首長の指揮命令の権限行使の一形態にすぎず、その委任事務についても首長の権限が直接及ぶ。

従って高知県会計規則第3条1項の委任機関の中に「議会 事務局長」を入れたとしてもその権限行使の性質は全然相違していることに留意すべきである。

3、実際、他府県での政務調査費又は政務活動費の住民訴訟では、全て知事が被告となって訴訟が起こされ、知事の責任が問われてきた。 

 地方自治法第100条の14項の政務調査費の規定では、政務調査費を出すかどうかはあくまでも地方公共団体(首長)が決めることであり、出すという場合にはその額や交付の方法などを条例で定めるとなっている。条例があるからといって必ず政務調査費を予算に計上しなければならないということではない。知事の財政状況や政策によって判断される事柄であって、交付決定以下の事務は、事務吏員の裁量に全て任されそれで決まることではない。

本件条例はもとより高知県補助金交付規則では、補助金の交付事務は基本的に知事(部局)の権限である。しかし、答弁書25頁の「(2)交付事務の流れについて」では、本件交付事務は知事(部局)によってなされず、議会については無効な高知県会計規則第3条の規定に基づいて全て議会事務局で専断されてきたというのである。

すなわち、

 議長による交付対象議員の状況についての知事への通知は知事になされずこれを「事務局長が受理する」。

 交付決定、決定の議員への通知も、事務局長が行う。(実際には行っていないが)

 議員は、政務調査費を知事に請求するが、これを「事務局長が受理する」。

 収支報告書も議長から知事に送付するが、これも「事務局長が受理した後、事務局が・・・精査する」。

 交付金の残余が生じた場合、事務局長から議員へ返還命令が出る。

実行されていない②以外は全て事務局長の専断となっているといって、本件交付条例の規定の根幹をふみにじって顧みない、不遜な勢いである。

これらの主張は知事を僭称しその権限を踰越するいわば違法行為の自白であって、高知県独自の仕法であり無法地帯としての高知県議会を現象せしめている。

 

二、証拠のない費用への支出

被告はその準備書面(1)で宿泊費等の領収書など証拠のない政務調査費の支出についてその正当性を一生懸命弁明している。

被告の主張は、

 実費ではなく標準的な一定額を議会の裁量で決めて支払うことは違法ではない。

 本件交付条例の10条4項の「領収書その他の証拠書類の写し」については、領収書がないからといって直ちにその支出が違法となるものでもなく、

 また、「その他の証拠書類の写し」については、マニュアルで定めた通り議員が作成する「政務調査活動記録簿」で「議員が証明」すれば十分だ、

というものである。

 について 

被告は大阪高裁及び奈良地裁の判決文を引用して正当性を論じているが、両裁判所の判決文が政務調査費の何の費用についての判断なのか不明であり、それが直ちに本件の宿泊費等の定額支出の正当性につながるか疑問である。

本件のようにその定額が実費の倍以上である場合に「標準的な支給実費」と言えるのか極めて疑問である。

 について

被告が依拠する判例(大阪高裁平成17年5月25日判決、及び奈良地裁平成16年12月15日判決)はいずれも「政務調査費の旅費」についての判断であり、旅費については領収書が必ずしも取得できるわけではない事情があるから、旅行をしたということが確実であれば標準的な定額の支給もやむを得ないであろう。宿泊の費用は領収書が確実に取得できるから旅費と同列に扱うわけにはいかない。

 について

1、「その他の証拠書類」というのは、領収書に代わる証拠書類のことであって、自分が作成したメモ類ではない。条例が必要としているのは本人が作成する活動記録簿の記載内容を担保する客観的な証拠書類のことを言っているのである。

 刑事事件でも犯行を裏付けるのは容疑者の自白だけではだめであってその自白を裏付ける客観的な証拠や状況証拠が必要なのである。

 高知県議会が自分たちで作った本県「政務調査費マニュアル」でも「基本的な運用指針」の①として「実費支出の原則」が掲げられている。曰く

「社会通念上許容される範囲の実費(実績)を支出することが原則である。

ただし、実費の把握や領収書等の徴収が困難な場合には、実費支出の例外として取り扱う事ができるものとする。」(「政務調査費マニュアル」5頁)

しかし、この原則は、「項目別運用指針」で次のように捻じ曲げられた。

 

② 宿泊費への充当  

  ア 宿泊料 ⇒ 県の旅費規定に基づく旅費額

   (東京都の特別区12900円、甲地方 11100円、乙地方9900円)

 領収書は不要だが、政務調査活動記録簿により議員が証明する

ことにする。

  イ 宿泊諸費 ⇒ 県の旅費規定に基づく旅費額

  (東京都の特別区4400円、甲地方 3700円、乙地方3400円)

 領収書は不要

 

条例で定めた事柄をその運用マニュアルで否定するというのである。

2、問題なのは、宿泊の費用の多寡を証明するための領収書というだけではないのである。

 それよりももっと重大なのは宿泊を本当にしたのかどうかのその実証なのである。

 領収書以外にどこかの宿泊施設に有料で泊まったという事実の実証を、被告はそれでは何をもってするのかが問われているのである。

 甲第10号証の朝日新聞記事を見ても分かる通り、実際に宿賃を払って宿泊した実績は 4割程度であり、後は宿泊の実績がないのに政務調査費から宿泊費を請求して取ったというのである。この新聞記事から類推すれば大半の宿泊が架空であって、宿泊費を詐取しているのではないかという疑いが生ずるのである。

 その疑いを消すためにも領収書なりなんなりの証拠で宿泊の実績を被告が証明しなければならない。議員の記録の中には、家に帰らずに年間百数十日ホテルでとまったとして政務調査費を使い、ホテルを定宿にようにしている実態もあるが、そんな必要があるのか、本当にそれだけの日数泊まったのか、証拠があるのか、疑問を呈せざるを得ない。

  高知県会計規則第58条(前渡資金の精算)第1項では、前渡資金精算明細書にそえて証拠書類を添付して支出命令者に提出することになっていて、その証拠書類とは同条第4項1号で領収書が第1に挙げられている。本件政務調査費も前渡資金であるから、高知県会計規則58条が該当するはずである。

  高知県会計規則は、議会事務局も含め全ての県の機関の財務会計行為に適用されるものであって、ひとり議会事務局が扱う政務調査費の会計行為だけが聖域の様な扱いをされる理由はない。

 3、又、政治活動を理由にして使途の証拠書類の徴収やその提出を肯んじない向きもあり、被告準備書面(1)の8頁目の下段で何か「支出内容の透明化と自由闊達な調査研究活動の確保という相対立する要素」などがあるかのような主張をするが、しかし、政治資金規正法第11条や第12条で議員個人の政治活動の費用の報告でも、領収書やそれに代わる金融機関の振込明細書など証拠書類の添付が義務付けられており、それらは当然国民に公開されてしばしば物議を醸す事件にもなっている。証拠書類もなしに支出したという記載だけでは認められず、使途不明金となる。

  政務調査費は公金であり、個人的な政治活動には使うことが許されていないのであるから、透明性の担保と相対立する政治活動の分野には使われる恐れはないはずである。。

  私企業や個人の税金の確定申告でも経費支出の証拠書類なしには税務署を通過できない。公金の使途において証拠もなしに費用に使ったといって請求すること、その請求に漫然と応ずることが許されるはずがない。

三、立証について

被告は準備書面(1)で損害賠償請求などで損害の存在などの立証責任は原告側にあるといい、各議員はマニュアル通りに資料を提供しているのでそれ以上の資料は取れないし、調査もできない、という。しかし、

平成20年11月11日の仙台高裁の判決(平成20年(行コ)第13号 政務調査費返還代位請求控訴事件)によると、

本来、法令によって定められた一定の目的のために支出すべき公金を受領、管理し、これを支出したものは、当該支出が法令によって定められた目的のために正しく支出されたことについて、必要に応じてこれを証明する責任があるというべきである。

と判示した。

およそ政務調査費の使途がその使途基準に適合しているかどうかが問題になるのは、ともかく使途が明確になっていることが前提である。使途を証明する証拠が何もない場合 

は使途が架空だということを推認させる。その場合は使途基準に適合していないことは言うまでもない。

最近の裁判例(平成26年1月16日名古屋地裁判決 平成23年(行ウ)第68号愛知県議会議員政務調査費住民訴訟事件)でも、

一般に、不当利得返還請求訴訟において、返還を請求する側が利得の保持を正当化する原因が存在しないことを推認させる一般的・外形的な事実を立証した場合には、相手方において適切な反証を行わない限り、法律上の原因を欠くと判断されることになる。

と判示されている。

本件裁判や住民監査請求で原告側が政務調査費の宿泊費については、宿泊の事実を証明する証拠書類が何もなく、全ての宿泊費が架空の事実に基づく請求ではないかということで、全額損害だと主張しているのであるから、被告はそれを否定するのであれば具体的な証拠をもって反証するべきである。本件交付条例第13条によれば政務調査費の請求に係る証拠書類はすべて5年間保存することになっている。もし架空でないなら宿泊を証明する領収書なども保存されているはずである。

四、会派活動について

被告は準備書面(1)の6頁下段において最高裁判例を引用しているが、本件の場合はこの判例の通りには行われていない。

引用された最高裁判例では、「会派が行う調査研究活動には、会派がその名において自ら行うもののほか、会派の所属議員等にこれをゆだね、又は所属議員による調査研究活動を会派のためのものとして承認する方法によって行うものも含まれると解すべきである。」というとおり、会派として一体的に行動するほか、会派の調査を議員に委任したり、議員の活動を会派のためのものとして承認したりする方法・手続きが必要である。

議員らが個々恣意的に活動した記録を十っ把ひとからげにまとめてこれは会派活動だというラベルを張り、それに会派代表者が押印して提出するという本件のような手法とは明らかに違う。

すなわち、被告が引用する最高裁判例では、

上告人は、上記(2)の支出に関し、上記6会派の所属議員は、具体的な町研究活動ごとに、その活動内容及びこれに必要な政務調査費からの支出を求める金額を会派に申請し、会派の代表者及び経理責任者からその活動内容及び金額の承認を得た上で、経理責任者からその金員の交付を受けたと主張している。

として、議員個人の活動について会派の活動としての申請・承認など一定の手続きを踏んでいるとの主張を認めて、その事実を確かめるために高裁に差し戻したのであった。

また、平成16年10月20日判決の札幌高裁の判例(平成15年(行コ)第20号損害賠償請求控訴事件)では、

交付対象が会派に限定された政務調査費を会派を通じて議員の調査研究費に充てること、すなわち議員が負担した調査研究に資するための必要な経費であっても、会派の行う調査研究でない場合には、本件条例においては認められないものと解するのが相当である。政務調査費が、第2の議員歳費であってはならないのである。

と判示した。

政務調査費を充てる会派として調査テーマを設定し、その調査のために会派が一体となって行動するのが基本であり、会派活動のテーマについて調査を個々の所属議員に分担する場合にはその分担範囲を定めそれぞれ担当議員を決定する必要があり、そうでなくとも上掲の最高裁判例のような議員個人活動の会派活動化する最低限の手続きを経、なおかつそれらの調査活動を総括する作業が必要なのである。

五、原告準備書面1の訂正 又はについて

 原告準備書面1(平成26年10月20日付)の2頁目下段下から7行目以下を次のように訂正する。

 

   ア、A又はBで、ABが異種類のもの、

   イ、A又はBで ABが同類又は同義の場合

 アの場合の又はは、A  or  Bと読む場合と A and Bとも読める場合の2様があること。

すなわち、イの場合ではABが同種であれば単に同一のことを言い換えただけであってAを選べばBは不要であり、Bを選べばAが不要となって、常にどちらか一つの選択

 

 

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2014年10月 1日 (水)

御岳山の叫び

News & Letters/375

御岳山の爆発

たくさんの登山者が犠牲になった。
私はこれは仕方がなかった、予測できなかったでは済まない
と思う。御岳山はしょっちゅう爆発を繰り返している活火山だ。
それに十分備えて登山すべきであり、備えのないものは登山させるべきではない。

第一にガスマスクは絶対に携行させるべきだ。
噴石の直撃は仕方がないが、有毒ガスでの窒息死は防げるだろう。

第2に、噴火の予知は困難だということだが、予兆は地震計で記録されていた。
それだけでは爆発と断定できなかったというが、自分の能力の限界を理由に
その異常な現象を示すデータを一部にしか公開しなかった、という。
ある事象を見てそれについて判断能力がないということであれば、少なくともその判断は国民に任せればいい。

国民は、観測所がとらえた異常、正常の数値についてその公開を求め観測数値について確認してから登山を決めるべきであり、異常数値を確認していれば、登山装備や登山の位置も選択できる。

爆発があるかもしれないということを覚悟して登山するのとそうでないとは文字通り雲泥の差だ。異常な地震動が観測されていたということを知っていれば多くの人が登山を控えたと思われる。

原発の場合もそうであるが、科学は公開すべきであって、自信のない科学者が探知した観測数値を独占すべきではない。
同じデータについて科学者の判断が正しいとは限らない。科学者の判断も参考にして国民は自ら判断しなければならない。

御岳山は、私たちの科学へのいい加減な姿勢を痛打した。
御岳山上で倒れた人々の叫びを無駄にしてはならない。

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2014年8月24日 (日)

朝日新聞全国版の政務活動費報道

News & Letters/374

朝日新聞が本日平成26年8月24日朝刊で政務活動費について全国の都道府県議会の
実態を明らかにした。鳥取県以外ではすべての議員が宿泊費などの領収書を徴収していない、
とりわけ高知県の県議の実例が追求されている。
高知新聞は社説などで高知県議会の政務活動費は問題がないという報道をしていた。
しかし、兵庫県議の号泣男の事件が起こって高知新聞も高知県の政務活動費の実態を2回ほど報道したが、旅費などについて少し批判的に究明していたが、宿泊費の領収書がないことについては一言も書かなかった。

朝日は高知県の佐竹県議の事例をとりあげ宿泊費のずさんな請求や支給の実態を暴露した。
ホテルに泊まる実費は5000円程度なのに、一律1万3千円以上受け取っていて、領収書がまるで存在していないから、

全体の6割がホテルに泊まらず親戚や知り合いの家に泊まって金を浮かせていた、という。
親戚にはお土産を持っていったから費用がいったなどと弁解しているが、身内の胃袋に入るようなものを買うために政務活動費があるのではないだろう。政治倫理がマヒしているのである。

高知県議会は、政務活動費の条例にはすべての支出について領収書など証拠を提出せよとなっている。それを、自分たちが勝手に作った政務活動費のマニュアルでは、旅費と宿泊費は領収書は徴収しないという取り決めをして、条例の趣旨を抹殺していた。高知新聞はもとより朝日新聞もこの違法なマニュアル(インターネットに載っている)を摘発すべきなのである。

しかし、いづれにしても、高知新聞が隠ぺい擁護していた県の政務活動費の宿泊費の実態が暴露された。

私から見れば、高知県会の政務活動費(宿泊費)が他社の全国版掲載となったが、それによって政務活動費に関する限り高知新聞のメンツは丸つぶれではないだろうか。                           
私が提訴している政務活動費の問題は、宿泊費を主に取り上げている。

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2014年7月 6日 (日)

兵庫県議会議員の政務活動費

News & Letters/366

旅費や宿泊費は政務調査費の相当部分を占める巨額であるが、高知県議会は、条例の規定にもかかわらず、彼ら独自の「マニュアル」を作成し旅費と宿泊費は領収書を徴収しないと勝手に決めて、実費とは異なる、実費の倍近い費用を交付されているのである。

このことについては県内のマスコミは私が現在県の監査委員会に監査を請求したし、現在高知地裁に裁判を提起しているということを百も承知のことである。

高知新聞はその論評の末尾に「報告書は県議会棟3階の図書館で閲覧できる。」と書いてあるが、神戸新聞らが問題にした旅費の領収書や宿泊費の領収書が添付されているという事を確認して書いているのであろうか。

第一、公開された政務活動費の報告書類は、平成25年度分であり、1年半も前のものだ。
政務活動費は4半期ごと(3ヶ月毎)に支払われるのであるから、せめて半年か1年後公開すべきである。そうでなければ不正不当な費用の支出から1年以内という監査請求の期間が意味をなさない。また、党派の活動報告の広報紙などの発行費も多額に上るが、その広報紙そのものが証拠として一枚も公開されていない。

また、調査を誰かに依頼したということで巨額の金を支払っているが、相手の名前も伏せてあり、何の調査なのかもさっぱり分からないものもある。

本来調査活動をするのは議員であって、議員が参加しない調査に公金を支払う必要はない。
他県で大問題となることも高知県では普通のことであり、新聞記者たちの話題にも上らないのであろう。行政や財界が一向に県勢浮上出来ないのは、新聞記者たちの低迷も一因であろう。

マスコミが厳しく熱ければ、行政マンも政治家も経営者ももっと自己に厳しく他県並みの行動をするであろう。

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2014年6月11日 (水)

高知県議会政務活動費を提訴

News & Letters/363

高知県議会政務活動費を提訴

県の監査委員に県会議員の第2の報酬である政務活動費(月額28万円)について住民監査請求をしたところ、門前払いを食わされ、却下された。

それで、住民訴訟に持ち込んだ。

県の監査委員会は、大きな権限と報酬を取っているが、県や県議会の番犬のような存在と化している。私の監査請求に対して、却下した理由は、「法第242条に定められた監査請求の要件を備えていない。」という趣旨であった。

地方自治法第242条に規定された住民監査請求の要件は、ただ、国民が首長など地方自治体の職員が違法な公金の支出などをしていると「認めた」場合に許されると書かれているだけなのである。この認める、という言葉の主語は国民であって監査委員ではないことは誰でも読み取ることができる。

しかし、高知県の監査委員は、監査委員が違法行為があると認めなければ住民の監査請求には応じない、という姿勢なのだ。
「法第242条に定められている」という監査請求の「要件」とは何なのか、そのようなものを国の法律とは別個に定めたのであれば、県民に分かるように明示しなければならない。

県の監査委員が色めき立って立ちはざかるのにはわけがあるであろう。
県議会が闇にしている巨額の宿泊費や旅費の追及は、県庁全体の宿泊費や旅費の追及に発展する可能性があるからであろう。実際に要った費用よりも多くの旅費や宿泊費が支払われている。闇は連なっているのであろう。県議会の場合政務活動費の条例には、領収書などの証拠書類の提出が義務付けられている。どこの旅館でもホテルでも領収書は必ず発行してくれる。それを提出すれば問題がないのである。自民党から共産党まで何故それを提出しないのか。

領収書は提出しなくてもよい、議員が帳簿に泊まったと、書き込めばそれで良い、というマニュアルまで作っているのだ。1年の大半を市内のホテルで暮らしている議員もいるぐらいだ。
実際のホテル代は一晩5,6千円ほどだから、公金で一晩1万3000円以上もらったら、いい稼ぎになるであろう。

ほとんどの議員が、本や鉛筆、自動車の経費に至るまで政務活動費の公費で賄い、月々77万円の報酬と6カ月のボーナスは、手を付けずに懐に入る。
本来議員報酬には、生活費のほかに議員としての活動費も入っているはずだ。

議員報酬だけで十分であり第二報酬である政務活動費(全体で1億数千万円)は廃止すべきだ。

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2014年5月 9日 (金)

オンブズマン活動は続く

News & Letters/357

4月末から5月にかけてGWで大忙し。昼は掃除、洗濯、夜勤はフロント業務。
潜水夫が海に潜ったままのような生活だ。

だが、その間にもオンブズマンの仕事はやめられない。自分は検事でもなければ弁護士でもない。しかし、身の回りから世界中の世の中の、権力の不正は許せない。
だから、たった一人でも闘う。オンブズマン活動は私の闘いの中心にある。

言うて是正しないなら法廷に出てもらうしかない。法廷では相手は弁護士となる。
弁護士だけではなく裁判官も権力の側で、多くの日本の裁判官が悪代官の味方であり、悪事をかばうことが大好きなのである。だから私が長年の経験では、住民訴訟というのは、悪事をなした行政マンと裁判官を相手の戦争というのが実相である。

私が思うには、裁判官は判決を下す前に、裁判官の考えも法廷で陳述し、訴訟を起こした国民に法廷で裁判官との討論の機会を設けるべきではないか。
馬鹿げた判断をいきなり判決文に書く前に、自分の判断がまともかどうか検討する機会が必要ではあるまいか。真実は対話によってしかえられない。

今日は、東洋町長松延が野根漁協へ不正融資1000万円をした第1回控訴審の始まりだった。手続きが不正であり違法な公金ではないかと判断しながら、支出先の事情をよく知らなかったという被告は宥恕されるというでたらめな第1審判決だ。

6月3日の高松高等裁判所での控訴審は、東洋町河内の宮田歯科医院の極度に安い土地の賃貸事件であり、私が町長の時、街中の数百坪の土地を1ヶ月30円ほどの賃料では違法だからという事を話し、土地売買交渉をし、相手も購入する意思を表明していた問題である。

第1審高知地裁の裁判途中で、松延町長は、その歯科医院の建物が建っている敷地の売却をやった。しかし、この土地は契約も何もない永年来の不法占拠の土地で裁判をやっている当該土地の隣地であった。あろうことか隣地を売却してその売った面積を本件土地から差し引いたのである。固定資産税の半額程度の賃料で公有地を貸してもいいというのであれば、町民はまともに固定資産税を払う必要はないだろう。

私のホテルは、年間数百万円の固定資産税を払っている。毎日1万円近い税金を払っているのである。おそらく東洋町はもとより、室戸方面でもこれだけの税金を払っている施設は滅多にあるまい。億単位の実収入のある歯科医が、その診療所兼住居の土地の賃料が年間僅々350円なのだ。

それでも裁判官は違法性はないと言って私の主張を棄却した。私が夜中に居眠りをしながら書いた控訴理由書を読んでもらいたい。


平成26年(行コ第11号)
控訴人 澤山保太郎
被控訴人 東洋町長 松延宏幸
           控訴理由書
                      平成26年5月2日
高松高等裁判所
               高知県安芸郡東洋町大字河内1081番1
                 控訴人 澤山保太郎
一、事案の大要と控訴の趣旨
控訴人は、高知県東洋町の前町長であったが、在任中、東洋町の公有地である本件土地の長年にわたる賃貸について疑義があり、平成21年より借主の歯科医宮田氏と土地の売買交渉を始めていたところ、歯科医宮田氏側もこれに応じ、隣接する土地までも含め購入するという返答があり売買交渉を続行中、新町長の被控訴人に替わった。町長職引き継ぎ書で、売買の遂行を依頼したが、被控訴人はこの交渉を2年間近く途絶してきた。そこで控訴人は、住民監査請求に及び、これが棄却されたので訴訟に至ったものである。
控訴人の監査請求について監査委員は損害賠償の請求を棄却したが、控訴人の指摘した趣旨は認め、被控訴人に対し本件土地の売買を促す意見を被控訴人に提起した。すなわち、
「当該土地について、土地貸付契約から現在まですでに21年間継続されているが、医療政策の目的も達成され、歯科医として軌道に乗っていると推測される。平成21年度から当該土地について宮田喜博氏は当該土地の購入を弁護士を通じて東洋町長と交渉している経緯もあるので、占用させるのであれば上記の理由による購入に向けて交渉し、売買の締結に努力して頂きたい。・・・・」
しかし、被控訴人は監査委員のこの実質的な勧告に一顧だにもしなかった。
そこで控訴人は損害賠償請求の本件訴訟を起こしたが、原判決は、被控訴人の意見を全面的に入れて、控訴人の訴えを全的に退ける判断をした。原判決は、
① 長年にわたって公有地をその固定資産税よりもはるかに少ない額、ただ同然(宅地1坪月額30円)で一企業に貸したままでいいのか、とか、②町にとって有利となる売買交渉で相手側が購入する意思表示までしている物件について町長職事務引継ぎまでしているのにこれを放擲していいのか。③また、本件土地(東洋町字河内151-1)ではない隣接地(同字150-2)を売却して、それを本件土地の面積から除する仕法が許されるのか、等々の争点を一つも真摯に検討しなかった。よって控訴人は新しい書証も添えて、控訴審で、原判決の以下の重大な誤りについて審議をやり直して糺していただくことを願うものである。

二、原判決の誤りの要点1

1、 原判決は、本件土地の賃貸においてその賃貸料が不当に低額であるとは言えない、 
 という。その判断の論旨は以下のとおりである。
a)「適正な対価」とは、当該賃貸借における具体的な諸事情及び当該財産を貸しつける 
 場合の市場価格を考慮し、相手方に不当な利益を生ぜしめないような客観的公正な対価 
 として評価される額をいうと解される。」 
b)本件土地周辺の土地を1坪当たり6万円相当で売却したことがあること」
 「本件土地の平成24年度固定資産評価額は、1坪当たり4万0771円であると認  
 められる。」
 しかし、これらは売買における価格であって、「賃貸借における市場価格を算定する的確な資料と言うことはできない。これらの金額を参考にしても、本件土地の賃貸借に係る市場価格を算定することができないから、1坪350円という賃料が、本件土地の賃貸 
 借に客観的公正な対価よりも低額であるとは認められない。」という。

c)他方、証拠(甲15の6、乙6)によれば、・・・東洋町の賃借地の賃料は、1㎡当たり350円(1坪当たり1155円)で津波避難高台用地として東洋町が借りている物件、1㎡当たり115円(1坪当たり379.5円)で東洋町が貸している物件が1 
 件ずつあるのを除けば、1坪当たり350円が3件(本件土地を含む)あるものが上
 限と認められることなども考慮すると、1坪350円という賃料が、本件土地の客観的 
 公正な対価よりも低額ではないことをうかがわせる。」という。
d) 原判決は、c)で、乙6号証などをもとにして1坪350円の賃料が「客観的公正な対価よりも低額ではないことをうかがわせる」と判断したが、又、次のようにも言う。

「なお、原告は、土地の所在や用途によって賃料は異なり、公民館の敷地など公共性を有する賃貸借が含まれているため、賃料しかわからない乙6号証では、個人が営業の用に供する本件賃貸借と比較することはできないと指摘する。土地の所在や用途が賃料を決める際の重要な要素であることは上記のとおりであるが、そうだとしても、これらが判明したところで、本件土地の客観的公正な対価を認定することは困難であることに変わりがない。」という。

2、控訴人の反論

 a)について
 その認識は確かにその通りであろう。a)原判決の文章中の3つの要件(具体的な諸事情、市場価格、不当利益)は、すなわち具体的な諸事情とは、宮田歯科医院が東洋町の求めに応じて来町したという何の根拠もない話を信じた事であり、また賃貸借の市場価格は「本件土地の賃貸借における市場価格を一義的に算定することはできない。」から、わからない、したがって不当利益については全く分からないということであろう。
 招聘されたということ以外にはわからないから、「本件土地の客観的公正な対価よりも低額ではない。」ということになるという。「客観的公正な対価」すなわち市場価格について何も分からないのに、どうして「低額ではない」という結論が出てくるのか理解に苦しむ。

 また、仮に原判決が言うように宮田歯科医院が東洋町の招へいにより来町したとしても、
 それだけで何の手続きもしないで固定資産税額よりも低額な賃料の恩恵を受ける資格が出来るのであろうか。

  b)では、本件土地の周辺土地の売買の実際の市場価格や固定資産評価額は賃貸借の
 市場価格には関係ないというが、公有財産規則を定めている市町村では、固定資産評価 
 額など売買における土地の評価額を目安にして普通財産の賃貸料を決めている。
 通常は固定資産税はこの固定資産評価額の1.4%を乗じた金額であるが、それよりも低い率で賃貸するには、特別な条件をクリアするか又は議会の議決が必要である。
 土地の賃貸料は一般的に少なくとも固定資産税未満の賃料とするところはないと考えら れる。例えば熊取町の規則では、普通財産の賃貸料は、固定資産評価額の5.8%と定
 められているし、高知県庁では、4%をかけることになっている。
 多くの自治体の条例(「財産の交換、譲与、無償貸し付け等に関する条例」)では、「時価よりも低い価額で貸し付ける」場合は、国や他の地方公共団体か、又は災害被災者などに限られている。
 本件の場合、原審での被控訴人準備書面(1)では、本件土地の平成24年度固定資産 
 評価額は坪当たり4万0771円(原判決7頁下段)ということであるから、本件土地
 240.25坪の評価額は979万5232円となる。税率1.4%をかけると税額は 
 13万7133円である。本件土地の賃貸料が年間8万4087円であったという事実 は、賃貸料が固定資産評価額よりもはるかに少なく、税額より甚だしく乖離していることになる。普通市街地で土地の時価や市場価格というものが、その土地の固定資産税よりも低いということは絶対的にあり得ない。被告は税務課長を長く務めていたから、時価がわからなくても本件土地の評価額はわかっていた。
 地方財政法第7条の規定を見るまでもなく、地方公共団体の財産は、その経済的価値を 
 最大限に発揮させなければならないが、特段の手続きもしないで民間企業に、固定資産 税未満で公有地を賃貸することは到底許されない。土地を買わずに、あるいは民間から土地を借りずに、役場から土地を借りたままの方がはるかに得である、という不当利得の観念が当事者になかったと言えばウソとなるだろう。これくらいの不当利得観念が、被控訴人には分からずとも裁判所がわからないはずはない。
 c)について言えば、原判決の判断は支離滅裂というべきだ。原判決が判断の材料とし
 て挙げた5件のうち、最高額は1坪1155円の1件でその次は1坪379.5円の1 
 件、最低額は本件土地を含む3件の1坪350円であるとしているが、額の高い2件は
 除外して350円の3件が「上限と認められる」というのである。最低額が最高額より も「上限」となるというのはどういうことなのか全く理解できない。このような倒錯し
 た判断から「1坪350円という賃料が本件土地の客観的公正な対価よりも低額ではな いことをうかがわせる。」という判断を導いた。はなはだしく不当な判決というべきだ。
 乙6号証をつぶさに見ると平成25年2月1日現在の「東洋町賃貸借地一覧表」の24件中、「上限」だとされた本件土地の賃料よりも額が大きいのは3件がある。

①6件目に掲示された白浜地区の土地は、津波避難高台の用地を東洋町が地主から借りたもので坪1155円である。

②7件目に掲示された土地は坪379.5円

③23件目に掲示された土地は坪382円である。

 さらに、乙第5号証の平成5年3月31日の一覧表を見ると
 13件中、本件土地を超える物件は3件あり、10件目が最高額で宮田歯科の別件の借地(建物の床面積)が坪1000円、その次が14件目に掲示されている土地が坪990円、その次が5件目の坪379.5円となっている。

 東洋町の決算書を見ると、その役場庁舎の前で民間の診療所から土地を借りて駐車場を
 町が経営しているが、その面積は1739㎡で賃料として年に51万円を払っている。
 坪単価967円である。東洋町立甲浦小学校の校庭も民間から1000坪ほど借用して 毎年58万余円払っているが、これも坪単価は577円である。
 原判決の年に坪350円が「上限」だなどということはとんでもない判断である。

 d)について
 原判決は、公有地であるにもかかわらず、土地の所在や用途、借主さえも墨塗り(ブラ ックアウト)にされた乙6号証の東洋町の賃貸物件の資料に基づいて、c)で見る通り 「本件土地の客観的公正な対価より低額ではない」という判断をした。
 原判決は、墨塗りのないまともな開示文書でも認定が困難だというのに、墨塗りのある 
 誰が何の目的で借りたか、それはどこの地域の土地かまるで分らない資料と比較してど うして本件土地の賃料が「低額」でないかどうか判断できたのであろうか。
原判決は、賃料が公正であるかどうか「認定することが困難」であるともいうが、その「困難」を乗り越えてどうして原判決を下すことができたのか、説明することの方が困難  
であろう。原判決の論旨は筋が通っていない。
 乙6号証に載っている物件は、東洋町が神社や公民館、防火施設、戦没者の慰霊塔、老人運動場などの用途で住民にただ同然で貸しているものであるが、本来それらの土地は、戦前以前から受け継いだもので元々地域住民のものであって、町政や村政を布くにあたって公有地名義に切り替えたものと推測されるものである。
 土地の番地や用途が開示されるならそれらの土地が個人企業の営業用の本件賃借地とは 
 全く性質が違うということが即座に分かるものだ。乙6号証について控訴人が原審段 階で原本の文書提出命令の申し出をしたが原審裁判官はこれをにべもなく却下した。
 ブラックアウトのない原本の開示では、本件土地の賃料の正当性の認定の妨げになった 
 という事であろう。

三、原判決誤りの要点2(適正な価格より低額)

1、 原判決は、「本件で問題になっているのは、本件賃貸借を締結したことの当否ではな く、これを継続してきた当否である。」と決めつけ、「本件賃貸借を継続したことが違法 とは認めない」理由を2点挙げる。

a)「本件土地の賃貸借の賃料が、本件土地の適正な価格よりも低額であるとは認められな   い」

b)「仮に、本件賃貸借の賃料が適正な対価より低額に至ったとしても、既に合意している 賃料につき増額改定のための措置をとらないことが、違法に財産の管理を怠る事実に当 たると言えるためには、本件賃貸借に借地借家法の適用があることも考慮すると、賃貸
 借契約の締結経過、その後の諸事情、土地使用計画の具体化の程度、適正な対価と現実
 の賃料との乖離の程度やその期間の諸事情を勘案した上で、増額のための協議申入れ等
 の措置を取らないことが、法237条2項の趣旨に照らして社会通念上看過し得ない程
 度に不合理なものとなっていることを要すると解すべきである。」という。

 ァ)、宮田歯科は「東洋町の求めに応じて、これを開業したという経緯」

 ィ)、東洋町は「宮田に対し、本件土地の一部を売却し」たこと、
を挙げて、「・・・社会通念上看過しえない程度に不合理なものになっているということ  はできない。」と判断した。
 
c) また、地方自治法159条について「・・・引き継ぎをした事務をその後継続するか否かは、新たに住民によって選出された町長が決することができるというべきであり、引き継ぎをした事務を継続する義務まで負わせる規定ではない。」という。

2、控訴人の反論

 原判決の、本件賃貸借の締結ではなくその継続の当否が問題になっているという解釈
 はその通りであるが、しかし、本件は「契約の中途」で低額に至った場合の話ではない。平成4年当時締結した契約の内容、賃料がただ同然であったというのは初めからであり、途中からではない。平成4年から現在まで多田に等しい賃料の本件土地賃貸借の契約を継続している事実を問題にしている。

a)について

本件賃貸借の賃料が、既に述べたように固定資産評価額より甚だしく低額である、ということは誰が考えても「適正な価格」ではないということであり、原判決もその事実は7頁で本件土地の固定資産評価額4万0771円であることを認識しており容易に把握できたことである。

地方公共団体の所有する普通財産は私人が自分の財産を利用し運用するのと同じ感覚で管理しなければならないのであり、税金よりも安い賃料で賃貸契約を結ぶなどということは、社会通念上あり得ないことである。地方自治法の常識的解釈では、
「普通財産は、直接特定の行政目的のために供されるものではなく、一般私人と同等の立場でこれを保持し、その管理処分から生じた収益をもって普通地方公共団体の財源に充てることを主目的とする財産である。」(「逐条地方自治法」長野士郎著 第12次改定新版 826頁)と解説されている。これが社会通念である。

b)について

 原判決は、本件土地が借家借地法の適用があるという。しかし後で詳述するように東洋 町が宮田歯科に貸し付けた本件土地には借家借地法の適用はあり得ない。なぜなら、航
 空写真や切図から判断して、本件土地の上には宮田歯科の建物は建っていない。
 建物の建っていない借地には借家借地法は適用されない。

 また、賃貸借契約の締結経過について原判決は、東洋町の求めに応じて宮田歯科が入っ
 てきたというが、東洋町が求めたという事実については何の証拠もない。
 むしろその賃貸契約の期間の設定(1年ごとの契約)からみて、東洋町にこれまであっ た歯科医が居なくなったことを奇貨として、宮田歯科の方が東洋町に入り込んできたと
 推測できる。最初の契約では期間は3年であるが、使用されなくなった旧役場庁舎しか
 与えず、その内装費用なども全て宮田歯科の負担にしていることを見ればとても誘致を
 したというような丁重な構えはうかがえない。

c)について

 本件土地の売買交渉は平成23年4月の町長の引き継ぎ書に明記された事業であった。
 しかし、被控訴人は、これを控訴人が指摘するまで放置して何もしなかった。
 宮田歯科側の代理人とのやり取りの公文書でさえ、開示請求に対して「存在しない」と 解答してきたほどである。(甲第8号証の1)
 例えば何かの工事が進捗中に首長が替わって事務の引き継ぎが行われた場合、この工事 について新たな首長が関与せず放置するということが許されるであろうか。
 この場合の「事務引継ぎ」というのは行政全般の施策の実施の続行という意味であって 書類の引継などの事務ではない。地方自治法159条の事務の引き継ぎ義務は、絶対的 な義務であって、引き継いだ事務を後継者がどう扱ってもよいという趣旨のものではな い。審議途中の裁判で裁判長が替わったからと言って新裁判長がその裁判を引き続き審
議しなくても構わないというのと同じであろう。

 行政事務というものは継続性があり、議会での審議ののち政策変更による以外には、適法に進行中の事務を止めることは許されない。相手が売買に応じていて、他に利用する計画もない普通財産についての処分の事務引き継ぎをしていながら、これを放置し、固定資産税以下の賃料で貸し続けるという事の非は懲罰に値するであろう。
 これを怠ることには罰則規定(地方自治法施行令第131条)まで用意されている。
 後述するように、宮田歯科は、借地契約にある本件土地上に建物を建てず、隣地の河内 
 150番地2の上に不法に住居兼医院を建設して営業し続けて来たものであって、これ 
 を是正する事務は一刻もなおざりにはできないことであった。
四、原判決誤りの要点3(宮田歯科医院の建っている土地の地番)

1、 原判決は2頁目で、

「東洋町は、平成4年12月22日、宮田に対し、町有地である東洋町河内字小池151番地1の土地(794.22㎡(240.25坪)。本件土地)を歯科診療所と住居の用に供するため、同日から平成5年3月31日まで、賃料年8万4087円(1坪当たり
350円)で賃貸した(本件賃貸借)。」という。

2、控訴人の反論

確かに契約書にはそう書いてあって間違いないが、しかし、実際には宮田氏はその診療 
 所兼住居を契約された地番ではなく、隣接する東洋町河内字小池150番地2の町有地上に建てていた。その事実について、控訴人は原審段階の準備書面(6)で「売却された宮田医院の建物の敷地の大半は150番2の土地の上にあると考えられる。」と指摘
 した。又この事実についてろくに審議もせず裁判を終結させた一審裁判所に対して、平 成25年12月27日に弁論再開の申し立てをしたが、見向きもされなかった。
 今回証拠として提出した本件土地(151番地1)とその隣接地(150番地2)の航 空写真と住宅地図及び字小池地区の切図を見れば、宮田歯科医院が150-2に接する 150番地7(松島氏)及び150番地8(坂井氏)の家と並列して旧150番地内に 建っていることがわかる。
 もともと150番地も151番地も戦後もしばらくの間まで水田であったが、昭和35
 年前後から分筆されて売買され、宅地化して地目変更がなされた。
 東洋町は昭和35年11月に151番地1を、次いで昭和36年1月に150番地2の 土地を購入した。前者の面積は、1198.73㎡であり、後者は1132.77㎡で ほぼ同じ面積と言える。150番地2は151番地1の南側に位置し、その南は北東から南西方向に細長く通路空き地に灌木が植わっており、150番地6の前田氏の屋敷と接している。151番地1の北側は溝があり細い町道に接している。
 東洋町(旧甲浦町)の旧庁舎は、151番地1と150番地2の両方の土地にまたがっ 
 てその北東の地に建てられ、さらに空地を隔てて両地番にまたがって細長く北東隅に小 池地区老人いこいの家が建っていた。
 宮田歯科医院の建物は、150番地8の坂井氏の屋敷の北東に建てられていて、北側の151番地1の土地にはギリギリの線で接し150番地2の土地内に留まっている事は明瞭に見て取れる。 切図や航空写真等でこれを図示すれば次のようになる。

①これは契約違反であり完全に不法行為であって、分かった時点で直ちに適切な措置が講ぜられねばならない事態であったから、控訴人は町長時代にこの問題を処理しようとしたのである。

②被控訴人は、本件裁判が始まってから、この150番地2に建っている建物の土地の売買を宮田歯科医院と行ったが、それは本件土地(151番地1)と無関係であり、本件土地の面積から引き算を行ってこれを除するのは筋違いである。

③契約した土地外の公有地に建造物を構築した事実については、宮田歯科は建物の登記をする際151番地1と150番地2の両番地上に建てたようにしていた。契約違反行為をしているという自覚があったものと考える。(甲第13号証)

④原審で被控訴人は、乙第3号(「財産に関する調書」)について次のように証拠説明をした。「調書の所在欄には「東洋町河内字小池151-1の一部」の記載しかないが、「東洋町河内字小池150-2の一部」も含まれている。」という。
しかし、実際の証拠の「財産に関する調書」には、151-1についての記載だけで、150-2の一部をも含むなどと解釈できる余地は全然ない。
 このような取ってひっつけたような証拠説明で宮田歯科の不法な公有地占拠の事実をごまかすことはできない。
 逆に乙第3号証から疑われるのは150番地2の土地は、普通財産に変更されていない、ということである。行政財産のままであれば、賃貸したり売買することは原則としては許されていない。

⑤苦しい証拠説明の上で被控訴人は、宮田歯科医院の敷地の売買において、151番地1の一部と150番地2の一部を購入したとした。しかしその際、それぞれの番地の土地の面積については明らかにすることはできなかった。実際は151番地1の土地は全く含まれていず、ごまかしをやっているからである。控訴人の数度にわたる準備書面での指摘にもかかわらず原審はこの点についての審議を避けて結審したことは、極めて不当なことである。
 したがって原審は、本件土地について重大な事実の誤認の上で、しかもその誤認を知っ
た上で、判決文を作ったと断定されても仕方がないであろう。
五、原判決誤りの要点4(監査請求の対象外か)

 1、原判決は最後に次のように言う。

 「なお、原告は、東洋町の本件土地の一部を売却した代金も低額であると主張する点が
あるが、この売却した代金の当否については、住民監査請求の対象となっていないこと
が明らかであるから、その主張は失当である。」

2、控訴人の反論

 控訴人が東洋町監査委員に提起した住民監査請求の段階では確かに「本件土地の一部を売却」という事態は起こっていなかったから、その売却の代金の多寡について言及していないのは当然のことである。しかし、控訴人の監査請求書には、
①「本件土地を破格に安い貸付料(地代)で賃貸しているのは、適正な公有財産の管理とは言えず、地方自治法第237条2項に違反している。」と主張していること
②「可及的速やかに現状を是正し、損害を補てんするなど適切な措置を講ずる必要がある。」と要請していること
   が明記されていて、本件土地について「適正な管理」、「現状を是正」、「損害の補てん」を主張している。貸付を問題にしているのは、現状が余りのも不適正である事例を指摘し、損害額の発生原因を言っているのであって、その是正が貸付料の増額だけを意味するものではない。

③東洋町監査委員も冒頭で引用したように、「占用させるのであれば上記の理由による購入に向けて交渉し、売買の締結に努力して頂きたい。」と勧告した。
実際に売買したのは別の土地(150番地2)であり、本件土地(151番地1)ではない。監査委員の勧告は一つも実行されていない。

普通財産である土地の経済的に適切な管理・処分については、通常は適当な賃料で貸し付けるか、適当なる価格で売却するか、あるいは有利とみて他の土地と交換するかであろう。
  もし、売却するとしてその価格が周辺地域での市場価格から乖離して低額の場合は、「適正な管理」とは言えないし、「現状の是正」ともならない。

  監査請求の段階で、具体的に、あるいはいくらで売却せよとか、又はいくらいくらの賃料で貸付よとまで記載する必要はないところ、地方自治法第237条2の規定に基づいて現状の是正とか適正な管理を請求する以上は、そうでない処置の結果について異議を申し立てるのは監査請求やそれに続く住民訴訟の守備の範囲である。
 被控訴人が本件裁判が提起されて間もなく宮田医院の建物の敷地部分を売り渡したのは、まさに本件監査請求を受けた前述の監査委員の実質上の勧告に従おうとした結果だったのである。

 その措置に不服があれば、訴訟を提起できるというのが地方自治法の住民訴訟制度のもともとの趣旨である。
  従って原判決の監査請求前置についての判断こそ失当であり、如上のとおり本件土地(151番地1)については、公正な管理が何もなされておらず、本件土地とは別口 の公有地を売却したからと言っても本件土地の処分にはならないし、依然として固定資産税以下の賃料で貸与している等の問題は残ったままである。
 言うまでもなく控訴人が被控訴人の土地の売却について反論するのは、150番地2の土地のことではなく、あくまでも151番地1の土地(宮田医院の庭及び顧客用駐車場)の一部の売買代金として低額であると批判するのである。実際の宮田歯科医院の建物は150番地2の土地上にあり、この土地の不法占拠及び最近の売買については別個の住民監査請求が必要である。

平成26年行コ第11号 損害賠償請求事件
控訴人 澤山保太郎
被控訴人 東洋町長松延宏幸

高松高等裁判所 殿
    控訴人準備書面1(証拠説明書)
                       平成26年5月8日
                       控訴人澤山保太郎  

控訴人は新たな提出証拠について以下のとおり説明を行う。
甲第15号証 写し
 標目:東洋町職員措置請求書(住民監査請求書)
   作成期日:平成24年12月21日
   作成者:控訴人

      立証趣旨

 原判決で被控訴人が原審裁判中に売却した本件土地の隣地(東洋町河内150番地2)の「売却した土地の当否については、住民監査請求の対象となっていないことがあきらかであるから、その主張は失当である。」と判示したが、原審ではこの住民監査請求書は書証として提出していない。

しかし、被控訴人が本件土地の一部を売却したと主張し、本件土地の面積から売却した土地の面積を除する以上は、本件監査請求及びそれに係る住民訴訟の対象となる。
売却した土地がたとえ本件土地の一部であっても、法令に悖るような処分は、本件住民訴訟の対象となり得る。

控訴理由書本文のとおり、本件の監査請求書では、「適切な公有財産の管理」を請求していて適切でない管理の仕法は、本件訴訟上の争点となる。

甲第16号証 写し
標目:高知県公有財産(不動産)貸付料取扱基準
   作成期日:平成25年4月1日
   作成者:高知県

甲第17号証 写し
 標目:大阪府熊取町公有財産規則  
   作成期日:平成14年3月29日
   作成者:熊取町

    立証趣旨

 原判決は、「固定資産評価額も、本件土地の売買における市場価格の算定資料となるが、賃貸借における市場価格を算定する的確な資料ということはできない。」と判示した。
しかし、この甲第16号証及び17号証に見る通り、通常地方公共団体の普通財産の貸付料金は、「公有財産台帳価格」など時価を基準にしてその何パーセントか(高知県は4%、熊取町は5.6%)を乗じて計算する。しかし、その率は決して固定資産税率(1.4%程度)を下回ることはない。市町村の固定資産評価額は不動産鑑定士が関与して決定しこれをもとにして課税額を決めている。地方自治体はどこでも固定資産評価額を土地売買の「市場価格」と考え、これに基づき普通財産の賃貸料を決定するのである。
原判決が言うように売買の市場価格と賃貸料とは関係がないという判断は、全く実際の常識とは乖離している。

甲第18号証 写し
標目:室戸市有財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例
   作成期日:昭和39年5月1日
   作成者:室戸市

   立証趣旨

第4条に普通財産を時価よりも低額で貸し付ける場合について規定している。
国や地方公共団体、公共団体、農協など公共的団体に普通財産を貸し付ける場合か、災害被災者に限定されている。甲第16号証でも県有地普通財産の貸付で減免する場合の基準が定められているが、その対象団体は同じく限定されている。
この室戸市の条例は多くの市町村が制定しているが、東洋町の例規集には入っていない。

甲第19号証 写し
標目:字小池の切図
   作成期日:不明
   作成者:法務局(東洋町役場が控訴人に開示したもの)

甲第20号証 写し
 標目:本件土地周辺の航空写真
   作成者:不明(インターネットGoogle マップより)  
   作成期日: 平成22年前後の実像と考えられる。

甲第21号証 写し   
 標目:住宅地図
   作成期日:2003年12月
   作成者:㈱ゼンリン社
   立証趣旨

甲第20号証の航空写真、第21号証の住宅地図(ゼンリン社作成)と甲第19号証の切図を照合すると宮田歯科医院の住居兼診療所の建物の位置は、東洋町河内151番地1の本件土地上ではなく、150番地2の上にあることがわかる。
原審準備書面(1)で被控訴人は、本件土地の一部を売却したとし、同準備書面(3)で本件土地の面積(地籍調査により764.22㎡)から売却した面積232.2552875㎡を差し引いた。しかし、売却した土地は本件土地ではなく、隣接する150番地2の土地である。

甲第22号証 写し

 標目:建物賃貸借契約書
   作成期日:平成元年4月1日
   作成者:東洋町
   立証趣旨

乙第5号証の「東洋町賃貸借地一覧」の10件目に掲示された物件(「東洋歯科クリニック建物賃貸料」)の賃貸契約書。
この建物は、平成34年に野根町と甲浦町が東洋町として合併する前の旧甲浦町役場庁舎である。木造平屋で簡素なものであった。契約当時では相当古くなっていて家屋としてはほとんど価値がなく、取り壊しの対象に近かったと思われる。

原判決及び被控訴人は、歯科医宮田氏を招へいしたというが、その証拠はない。

この契約書を見ると、床面積坪1000円が徴収され、その金額は乙5号証や6号証の賃貸物件中で最高額であり、又建物の改装費用や修繕保存工事も宮田氏の負担とされている。
第12条では、「当該建物を売却又は取壊し」もするかもしれないという記載があり、その場合「通知」だけで宮田歯科に配慮している様子はない。

宮田氏が招かれたという状況はうかがわれない。
 

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