部落の歴史を一冊の本に残さなければ死んでも死にきれない。
私も予想したよりもはるかに長生きをしている。何にも社会に役に立つこともせず、
毎日なぜか生きている。貧しく困窮している市民の相談に乗り、その手足となって働いている。
しかし、何事もうまくはいかない。街灯一つをつけるにも難しい。
2週間ぐらい前、コロナにかかり高知の病院に隔離された。さいわい5日ほどで解放された。
しばらく人と話すことも避けて逼塞していた。
私の残りの人生もわずかだが、生涯の研究である部落問題の総仕上げをしようとしているが、
なかなか時間が取れない。部落解放運動関係出版で私のことについて書いた本が数冊あるが、
的を得た評論はない。
今地球温暖化(灼熱化)の中で、人類の生存そのものが危機的な状況で
部落問題に注力するのはどうかと言われるかもしれない。解放運動の理論などもいくつも読んでいるが、
今、部落問題を研究したり論じたりする意義については焦点の合わない主張が多い。
私が大学の卒論で出したのは、近代日本においてどうして部落が問題として残ったかであった。
私は、講座派や労農派の対立を止揚してそれを宇野経済学的に帝国主義段階論で乗り切った。
今、私を取り上げた数冊の解放運動の歴史の本では、その理論的功績は無視されている。
当時その新機軸ともいわれた論文を載せた「立命評論」という雑誌は何度も版を繰り返して需要にこたえたという。
私は当時先生方の勧めを断って理論を精緻化する研究者にはならず、解放運動の実践の世界に入った。
部落問題は、なぜ今に残ったのか、部落大衆の苦しみの解決を優先したのである。
しかし、いま私の部落問題の解明の努力は、部落がどうして残ったかではなく、どうして部落が形成されたのかに移っている。そのこと、部落の歴史を一冊の本に残さなければ死んでも死にきれない。
なぜ今もなお部落問題か。
回答。人類的危機のなかでこそ、部落問題や少数民族問題が大きな社会問題となる。
それはナチスがすでに示した。日本の関東大震災の折にも在日朝鮮人が犠牲になった。
天変地異など社会のパニックには、人々の眼が向くのは被差別民であり、食糧危機など切羽詰まった
状況では、真っ先に被差別民衆が襲撃される。
現在の人類史的危機をもたらしているのは明らかに資本主義であり、その経済成長主義である。
資本の増殖の論理は資本主義の本質であり、地球と人を蚕食しつくさなければやまない。
資本主義は労働者を使い捨て消耗させるだけでなく地球の自然環境そのものも破壊し食い尽くすのである。
だから、プロレタリアートは部落民など少数被差別民と手を組み資本主義を廃し社会主義的な共同社会
を建設し、地球消滅を防止しなければならないのである。危機に臨んでプロレタリアートはその矛先を決して少数被差別民に向けてはならない。そうすれば真の敵を見失い自らの友軍を滅ぼしそうして自分自身も滅びなくてはならなくなるのである。
残り少ない人生を有意義に生きていこう。最後まであきらめずに。
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