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2022年3月 4日 (金)

水平社100年


2022年3月3日、今から100年前の今日京都岡崎の地で全国水平社が結成された。

部落差別に対する戦闘宣言だ。当時は水平運動高で無きう、日本共産党の結成など労働者や学生・婦人など日本人民のの政治的台頭もあったが、日本軍部もまた虎視眈々とアジア侵略を準備していた。

世界的にもナチスドイツ、イタリアのファシストなどが権力奪取のためにうごめいており、革命後のロシアでもスターリンが共産党の主導権を握ろうとしていた。

ロシアプーチンのウクライナ侵略の物情騒然とした現代と何も変わらないのではないか。部落差別も少しも収まっていない。

私は60年代後半に全国部落研究会連合を結成し、激しい糾弾闘争を繰り広げた。狭山差別裁判糾弾闘争はその最大の闘争だった。その中で全国部落青年戦闘同志会をも立ち上げ、部落解放運動は武装闘争であるという理論と実践を敢行した。

道半ばで私の闘争は中核派関西地方委の橋本一派に暴力的に阻止されたが、それを乗り越えることはできなかった。
だがその理論と実践の旗幟は今も私の手にあり、一日として部落問題について考えない日はない。

私は大学は立命館の日本史学専攻に入学して以来、部落の歴史を勉強してきたが、今日までの研究では、部落差別は、北方のツングース系の騎馬民族(天孫族)によって日本列島の先住民が征服され、征服王朝大和朝廷に服属せず抵抗した被征服民蝦夷(奥州俘囚)に対する差別に根差す種姓差別が起源である。

それが徳川幕藩体制で法制的に固定化したものであって、明治維新後も天皇制下の資本主義体制の中で温存されたものである。

日本の資本主義も原理的にも前近代の身分差別を解消することなく、むろろ経済外的な様々な前近代的桎梏も徹底的に利用して原始的蓄積を遂行してきたのであり、かててくわえて、資本主義の帝国主義段階において資本主義化した日本では、部落差別を解消することなどは夢のまた夢であった。

部落差別は単なる身分差別ではない。それは血の穢れ、血統の差別の様相を呈しており、それはインドのカースト差別と同じであり、そのことは古代中世の高位の僧侶や貴族らによって旃陀羅と同じだと繰り返し指弾され、それがずっと続いているのである。

国連でも部落問題はDESCENT(血統)の差別問題とされている。
もちろん、部落民が蝦夷の後裔であるとしても蝦夷やアイヌの源流は縄文人であり日本人の原流(主流)をなすのであって、
朝鮮や中国方面から流れ込んできた外来征服民族ではないのである。

いまさら先住民とか外来民族とかといっていがみあうことはないが、部落民も一般日本人も日本列島に住む人間として何の変りもない。黒人や黄色人など人種によって差別するというその人種というのは、生物学的に何ら科学的根拠がないということは今や世界の常識なのである。

中学高校の生物の授業で人種差別について何の科学性もないということを教えるべきだ。肌の色や目の色、髪の毛などで人種差別などは笑うべきであり、科学的根拠がないのだ。まして外見上何の違いもない部落民への差別に何の根拠があろうか。
縄文人やエミシ系の血は濃淡の差はあれ混血人類日本人のほとんどが保有しているのである。

日本列島の人類の系統は二重構造であり一つは⓵アイヌ・蝦夷系、今一つは②朝鮮系だ。というのは人類学の支配的な学説である。⓵は東日本に多く、②は西日本に多いとされた。部落は②の地帯にありながら孤島のように⓵の形質をもっていると分類されていた。それは、昭和50年代大阪大学の小浜基次教授の調査研究で発表され明らかにされたものである。

小浜教授の研究を除いて蝦夷・奥州俘囚が部落民の先祖だという物的証拠はない。史料も存在しない。状況証拠はたくさんある。

日本史の学者で部落史を研究してきた学者の中には、中世、穢多と言われて特別な差別を受けてきた人々は狩猟漁撈民ではないかというところまで行っている。中世において狩猟漁撈民の代表格は蝦夷に他ならない。

いずれにしても部落民差別の科学的根拠は何もない。だが、差別は厳然と存在する。今も私自身しばしば差別を受ける。
全国水平社宣言の意義は今も有効である。
私は大学を卒業して奈良本辰也先生の推薦状を懐にして部落解放同盟中央本部(書記)に入った。

そこでは全国水平社の生き残りの戦士がまだ元気であった。朝田善之助(京都)、岡映(岡山)、北原泰作(岐阜)、上田音市(三重)、米田富(奈良)・・・
中央行動など東京で宿泊するときには。後のあの全解連委員長の岡映は常に私と同部屋にし寝物語に昔物語をしてくれたものだ。

綺羅星のごとく輝く水平社のレジェンドたちの熱い息吹を受けて仕事をしたことを生涯の誇りに思っている。

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