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2022年1月 6日 (木)

新資本主義

岸田総理は、昨年の自民党総裁選当たりから、今年の正月にかけてしきりに新資本主義という言葉を連発している。
その中身は漠然としてわからないが、憲法の上からは、許されない。

日本は資本主義で行くということは、政府は、明治から現代までだれも言明していない。
明治憲法にも現行憲法にもそんなことは書いていない。特定の経済思想(思想信条)を公権力に持ち込みこれを掲げるのは憲法違反ではないか。

資本主義が今や地球を過熱化し人類を滅亡させようとしていることは、誰の目にもあきらかだ。
明治維新の前の幕末、日本の封建体制が崩壊しかかったときの選択肢として、果たして資本主義でもって近代化を推し進めたことは正しかったのか、このこと自体が大きな疑問となっている。
資本主義が必然だったというマルクス主義の歴史観も疑問になっている。

徳川幕藩体制は、強固な身分制国家であった。その身分制国家社会が崩壊しかかっていた。資本主義以外の、富の分配が平等で公正な新しい社会が建設できたかもしれない。

明治維新は確かにブルジョワ革命であったが、しかし、日本のブルジョワ革命はほとんど消滅しかかっていた天皇を担ぎ出し、天皇制絶対主義(天皇制ボナパルティズム)を打ち立てた。ほとんど反革命だ。

そして、封建時代の武士階級が変身して有司専制の強固な身分制国家を作った。導入した資本主義も部落民を含め国民の大半は半プロレタリア又はルンペンプロレタリアのまま押しとどめ低賃金に呻吟せしめた。そして、国民を押しつぶしながら中国・朝鮮などアジア諸国を植民地化し、そこの人民を徹底的に搾り上げた。人種差別をあおり三光作戦で殺し、焼き、凌辱し嵐のような破壊を加えた。もちろん石炭・鉄鋼など自然資源を略奪し大規模な自然環境の破壊を伴いながら、そうして後進資本主義の日本資本主義は世界帝国主義の仲間入りした。
これは間違った資本主義ではなくそれが資本主義の典型的な姿なのである。初期の資本主義の革命的な役割があったというが、日本をはじめ世界の資本主義には原理的にも実際にもそのような進歩性など少しも存在しない。

前近代の身分制を解消するどころか、身分差別や人種差別、性差別など前近代のあらゆる遺制を徹底的に利用し市場原理の中に組み込んだ。それらは腐朽する資本主義の帝国市議段階だけの特徴ではない。武力や権力による海外諸国民に対する商品の不等価交換・略奪は資本主義が最初から謳歌してきた蛮行であった。

アメリカなどに見る通りアフリカの黒人を捉え奴隷船で拉致し奴隷として農場で使役して暴利をむさぼったやり方は、資本主義の原理的な姿だ。資本主義は利潤追求が最大の目的でありそのため人間を破壊しあらゆる差別を駆使し富の分配の極端な偏奇をもたらし・・・・そして自然を破壊し地球を熱球化してやまない制度である。こんな野蛮な制度を政府の目的とするというのであれば、それこそ国民投票でもして決めるべきである。

日本国民は資本主義を選択した覚えはないし、また資本主義は歴史の必然であったわけでもない。
天保から幕末にかけて、商人や農民の台頭と公家や武士階級の疲弊だけでなく、被差別民たちの最底辺からでも身分差別をぶち破る行動が全国各地に起こっていた。封建体制は自壊しかかっていた。資本主義はさしたる考えもない幕末・明治の武士らが欧米に追従し取り入れた制度であり、今岸田ら自民党の劣紳らが金科玉条のように縋り付くようなものではない。

西郷隆盛が新政府に反旗を翻したのも単に武士の不平というものでもない、深い意味があったのかもしれない。

謹賀新年

 と言いたいが、迫りくる気候変動の劇的悪化、南海地震とそれによる大津波、
 また、富士山の噴火、そしてまた台湾海峡のぶきみな状況・・・などを考えると新年を祝う気になれない。

 だから私は、今年度は年賀状を出していない。この新年に私はバリカンで頭を丸刈りにした。
 心身を鍛え、一生懸命勉強して余生を暮らしたい。オンブズマンは戦い続ける。
 皆さん、今年もよろしく。

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