藤田敬一の「同和こわい考」について
藤田敬一の「同和こわい考」という本についてそういう本が出ていることは知っていたが、題名を見ただけで吐き気がするので無視していた。
しかし、最近この本や「同和こわい考を読む」という本を見て、驚いている。その中には私のことも記載されていた。
驚いたのは、その内容の大胆不敵さであり、またこのような本が大手を振って出回っているということについてである。
この本は「差別してもこわくないぞー」というのが真実の標題だ。
本の副題に政府「地対協を批判する」となっているが、地対協に同調する、とすべきだ。
藤田が攻撃するのは部落の側の二つのテーゼ、
①差別はそれを受けたものしかわからない、(部落外のものにはわからない)
②部落民に不利益のものはすべて差別だ。
この二つの考えが今日の解放運動の腐敗と低迷をもたらした、だから部落側は反省せよという。
①のテーゼにつぃて攻撃するというのは一体藤田は何様なのであろうか。
差別を受けたものでなければ差別の痛みはわからないというのは事実であって評論の余地はない。
それはあらゆる被差別事案についても同様だ。在日朝鮮人への民族差別について我々日本人がわかりえない。
その悲痛の声は、自分の体験に基づいて類推したりせいぜい音色は違うが共鳴するという程度だ。
被差別の者たちにその受傷の感性を捨てろということは武装解除せよというに等しい。
この本で藤田はこれを執拗に追及してやまない。反革命要求だ。
②のテーゼは、戦前戦後の解放運動の指導者であった朝田善之助の理論だ。
確かにこの理論はそのままでは誤解を生むが、その理論は全く間違いというものではない。
朝田は京都でこの理論を振りかざし戦後の差別行政反対運動の素晴らしい戦いを切り開いた。
私は、京都府連の京都府職労(野犬捕獲人への差別的処遇について)に対する糾弾闘争に参加したが、糾弾の正面に立ちその糾弾に屈しまいとして沈黙し続けた共産党系の大江書記長の目から涙が流れていたことをはっきり見た。
それは野犬捕獲人のささやかな要望を踏みにじって来た自らに対する後悔の涙だった。
切々として訴える京都府連の糾弾の声は、根底から人間の尊厳を歌い上げるものだった。
朝田理論によって解放運動がわがまま、横暴を犯し腐敗したというものでもない。
わがまま、横暴、腐敗した連中が解放運動の内外に蔓延する状況を来したが、それは全く別の要因だ。
そしてまた、解放運動の復興も、差別―被差別双方の壁を・・・・などという藤田らの頭蓋骨の中の立場の超克などではなく、狭山の糾弾闘争など、国民的な反権力の階級闘争の実践によって達成さるのである。
戦前松本治一郎が下獄する際に演説したように差別糾弾によって「暴圧の砲火を浴びるであろう進撃」の欠如が現在の部落解放運動を低迷させ存在意義を喪失しつつあるのである。
藤田の悪意に満ちた「同和こわい考」=エセ同和本についてはこのブログで順次批判を加える
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