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2021年7月15日 (木)

高知新聞7月14日号「性差の歴史をひもとく」について

この記事は、横山百合子千葉県歴史民俗博物館教授の講演会の様子を解説したものである。

女性差別問題についての歴史については、私もあまり勉強していないが、記事に男女差別ではなく「男女区分」とか「ジェンダー区分」とか表現している。性差別ではなく、「性差」という。何か生物学的な話のように聞こえる。

差別という言葉を避けているのには違和感を感ずる。横山女史の講演そのものではなく新聞の解説記事だから講演者本人の選択かどうかはわからない。中世の遊女や江戸時代の吉原の遊郭の女性に言及しているが、朝鮮の慰安婦問題は避けられているようだ。

だが、女性差別は洋の東西を問わず基本的には慰安婦問題と同じ根源性を持つように思われる。

侵略者(主に男性)による非侵略者への圧伏は単に領土や権力の奪取にとどまらない。
侵略行為には被侵略側の女性に対する強奪・略奪結婚も含まれる。それこそが女性差別の根源であろう。朝鮮半島を経由して日本にやってきた北方騎馬民族も主に男性で構成されていたと考えられる。

侵略者たちは、現地の女性を求め強姦し、その女性を略奪し妻にする。
男女の生物学的区別だけでは差別は生まれない。その区別に征服・被征服の関係が根底的、基底的に作用したのだから、原住民の女性側は男性に対し奴婢的に隷従するということにされたもの考えられる。

すなわち異民族による暴力によって女性差別は発生したのだ。
そしてこの関係が封建時代以降階級支配の一環として制度化され今日まで続いているのである。女性が低賃金で非正規労働者扱いにされ、生活のため売春行為に追い込まれるという現代の社会制度を存続していて、なお男女共同だとか美辞麗句を並べても何になる。

日本軍による慰安婦問題(侵略戦争と植民地支配の結果)を直視せずに日本における性差別を論じても空虚であろう。
女性差別問題には部落問題と同じく、歴史的な暴力的階級支配がある。と私は思う。

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