伊方原発の判決
本年3月18日伊方原発の判決分は実に恐るべきである。
「大規模自然災害の発生時期や・・・現在の科学的知見では具体的に予測できない。」
「原子力規制委員会の判断に対しても様々な見解があり、どれが正しいとは言えない。」・・・
まるで不可知論だ。しかし、これは厳密には不可知論とは言えないだろう。原発や地震は、我々が経験しないことがらは、認識できないという意味の不可知論の世界の話ではない。
原発も地震など自然災害も、最も恐ろしい結果をもたらすという痛切な人類の経験の世界の話だ。この世界の話を不可知論的な煙幕の中に投げ込み、しかし、その闇の中で地震や原発災害を容認する確信犯的判決を下すのである。
地震や原発災害が予測できないのであれば、それが経験上避けることができない事象である以上、合理的な結論は、原発稼働には否定的であるはずだ。いつ起こるかわからないが必ず近い将来には起こるということがわかっておれば正しい判断はできる。
それができないというのであれば裁判官をやめるべきだ。裁判所にそのような科学的知見はないというのであれば裁判所は無用ということだ。この世の人為についての事案は、それが人の命や権利に関することであればすべて裁判に係る。
科学的に難しい事件でも裁判官は通常の一般常識的レベルで判断しなければならない。
そしてまた、機器類や薬品など高度に難解な科学的知識が必要な事柄で安全か危険か判断がつかない場合は、それを稼働したり投薬しようとするものが、その安全性を普通の言葉で実証する責任があろう。
国民の側に立証責任を負わせるのはあずかり知らぬことについて説明せよというとんでもない話だ。少なくとも裁判所は、科学的な事案について一方をけ他方を支持するというのであれば、その科学的根拠を国民に分かるように説示する必要がある。
国民の主張を否定し電力会社等の主張を肯定する以上、裁判官(裁判所)に科学的知見がない、ではすまされない。
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原発や地震について科学的知見がないと自覚する裁判官は、原発事件について担当するなら、福島第一原発の現場に行って勉強してくるべきであろう。それは現代の人類の科学的レベルがなんであるかはっきりわかるところだ。
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