ゾンビの登場
最近の報道によると中核派の清水丈夫がある政治集会に登壇したという。
60年安保闘争の輝ける指導者であり、70年前後の激動の時代の勇者集団、
革共同中核派の牽引車であった。だが最近の集会の様子では何か「反省」を強いられたようで昔日の面影がない。
私は一度だけそのシミタケに面談した。私が27歳ぐらいの時だ。
関西のAという男に付き添われ東京へ出て、東京からは車で何度も乗り換えてぐるぐると走り回ってやっとアパートのような一室に案内され、畳の座でシミタケに会った。
何を語り何を答えたか覚えていない。
その時から私の日常生活はがらりと変わった。私は当時狭山闘争の勝利のため解放運動の全国的な戦闘化、革命化を図ることに全力を挙げていた。中核派の組織的な運営には携わることはある程度は仕方がないにしても、それどころではなかったのである。
狭山闘争の大規模な闘争を展開するためには、組織力と資金力が私の細い肩にずしりとのしかかっていたのである。解放運動が革命戦線の一翼に登場することが、私の夢であったから、誰も助けてくれない組織と資金作りの苦労もなんとか切り抜けてきた。
シミタケに会ってから以降警察の私への尾行がほとんど24時間体制で布かれた。
前進社のいろいろな任務が私に課せられた。迷惑至極であった。・・・・・
シミタケらが領導した闘争はたしかにすごかった。敬服に値する。
しかし、私の思想とシミタケの思想は根本的に違っていたと思う。
一つは、シミタケの思想にはブンドの名残が色濃くあった。前衛主義だ。
前衛主義は、プロレタリアの主体性思想を否定する。その実践的帰結は大衆運動を軽視することだ。哲学でいえば梯明秀的なマルクス主義の思想性が、シミタケ派には欠如していると感じた。
もう一つは、農業問題や民族問題、そして部落問題の捉え方において、宇野経済学的資本主義(帝国主義段階論)の解明が必須であるが、シミタケや中核派は全体にその傾向が希薄であった。
労農派的資本主義の認識から出ていない。レーニンでいえば「ロシアにおける資本主義の発展」の段階の経済学であり、後年の「帝国主義論」の段階の認識ではなかったのである。
それは部落問題でいえば部落解消主義になるのである。
現代資本主義の宇野経済学的捉え方をしない実践的帰結は、民族排外主義と部落差別主義である。
プロレタリアの主体性論と宇野経済学的資本主義の解明の、この二つの思想的基盤がなければ革共同中核派の再生はない。
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