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2018年8月

2018年8月24日 (金)

高知県の焚書事件

News & Letters/647
高知県立大学(高知県公立大学法人)が3万8千冊もの図書を焼却したというニュースが8月17日に流れた。痛ましい限りだ。これについて大学や高知県の態度は、生ぬるい。反省が十分ではない。
むしろ、開き直りだ。県民の費用で購入した貴重な書籍を大学内部の判断だけで焼却したのである。
昨日8月22日の高知新聞で知事の見解が出ている。第3者のようで大学の処置を
擁護さえしている。「軽率な対応ではない」とか決して「焚書ではない」という。
第1に、大学の図書は、大学の所有物ではない。県民のものである。
その処分は大学だけではできない。大学が大学のものは大学のものだという思いあがった考えが問題だ。
このような考えは市町村にもある。室戸市らが、特養老人施設や保育園を民間団体にただで譲渡したりするなど法令を無視し公共物を私物化する傾向がある。
公費で買った本は1冊といえども県民のものであり、適切な方法で県民に還元するという考えができない公務員がいっぱいいるということが問題なのである。公務員になったら特別な権限を付与されていると思いあがっているのである。
第2に、法令無視だ。高知新聞によれば不要な図書と判断した書籍を大学が専権的に処分を決めて実行したという。
県立大学の図書館の図書は県(県民)の金で購入したものだ。県立大学は学生からの授業料などの収入もあるが基本的には県の予算で運営されていた。もともと高知女子大の附属図書館の蔵書は県の財産だった。
現在は「地方独立行政法人法」の適用を受ける公立大学法人だから、その法律の第42条2の第1項に基づいて不要な財産の処分を行わねばならない。その規定によれば、大学法人は不要な財産を勝手に処分することはできない。
それは、元の高知県に「納入」しなければならないと規定されている。
知事は、この法律に基づいて発言しなければならない。不要とされた3万8千冊の最終的な処分の権限は知事にある。
知事は自己の権限を干犯されていることにも気が付かず、「残念」だなどと第3者ずらしているのではなく、怒りをもって糾弾し責任を追及する立場にある。大学の教授連も除却予定の本を選んで自分のものにしたというが、何の権利があってそのようなことができるのだ。
泥棒ではないか。恥を知るべきである。
確かにこの事態は、昔の言論や文化への抑圧の「焚書」ではない。しかし、現代の「焚書」だ。森友、加計学園にみる通り行政権力の肥大化による大小の行政官僚による公有財産や公費の乱用、私物化の中で起こったのであり、首相や知事など首長が関与しているのである。

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2018年8月16日 (木)

高知県政務活動費事件上告理由書

News & Letters/646
高知県の議員に対する政務活動費の支払いについて
新たな裁判が続いている。
議員が雇用した事務員の社会保険料について、その雇用主負担を政務活動費で払うようにしていた。
金額は60万円程度であるが、雇用主にかけら多課税を公金で支払うのは納税義務の憲法に違反するとして訴訟を起こした。第1審、第2審とも住民側が敗訴となった。そこで上告理由書をしたためた。
この裁判はほかにも重大な問題が浮かび上がっている。
高知県の政務活動費は議員一人について衝き額28万円も支払われている。ほとんど第二の給料だ。
議員は月々のl巨額の報酬以外に、ボーナスが与えられ、議会に出席する度に
手当をもらい、さらにこの政務活動費だ。
そもそも議員への報酬は、日常の議員活動(役務)に対する報酬である。
政務活動費や議会出席手当を出すことによってこの月々の報酬が身分に対する
俸禄に替わったのである。だから、少なくとも政務活動費は廃止すべきなのである。
そして、この政務活動費の交付事務が全く乱脈なのだ。
第一に、裁判でも明らかになったが議員が支出伝票を発行し、自ら出納事務を遂行している。議員には公金の出納事務を行う権限はない。
第二、政務活動費の財務会計行為は総て議会事務局長が行っているが、
知事の委任を受けたという県議会事務局長の支出命令等の会計行為も
知事の委任行為そのものに法的根拠がないことも判明した。
地方自治法で定められた知事の権限委任は、知事部局か委員会など他の執行機関に
限定されていて、立法機関の議会には及んでいない。
それについて裁判で追及された高知県及び裁判所は、「併任」という新たな概念を
持ち出し、議会事務局長を知事に所属する職員に併任して、その上で委任をしているんだ、と
言いだし、それが認められた。
しかし、地方自治法その他日本の法律には「併任」なる用語は存在しない。
地方自治法(180条3)にあるのは「兼職」の規定であり、それには知事部局の仕事を他の執行機関の仕事として兼職職員にやらせることができるようにはなっていない。

最高裁判所御中

             高知県室戸市吉良川町乙2991番地

              上告人 澤山保太郎

             高知市丸ノ内1丁目2番20号

              被上告人  高知県知事 尾﨑 正直

             高知市丸ノ内1丁目2番20号

被上告人 高知県議会事務局長 弘田 均

上告理由書

                        平成308月 日

本件につき平成30年5月31日の高松高等裁判所の判決については、第一に本件支出を認めるのは憲法第30条(納税義務)違反であり、第二に地方自治法、民訴法など法令違反、法の乱用、また審理不尽、理由齟齬などがあり、到底承服しがたく、最高裁の厳格な審理で原判決を破棄し新たに適正な判断をお示し願いたく、上告するものである。

請求2(差止め請求)について 

 差し止め請求は適法であるが訴えは棄却された。

【第一】 憲法第30条(納税の義務)違反について

上告人は第一審二審を通して、会派又は議員が雇用した被用者のための社会保険料の雇用主負担の支払いを公費(政務活動費)で賄う行為は、憲法第30条が定める納税の義務に違反する、担税回避であると主張したが、第1審、原判決もこれについて何も判断しなかった。単に「許容される」として肯定した。すなわち原判決(第一審判決を若干修正)は、

「原告は、公金である政務活動費が公租公課に充てられることが許容できないとする。しかしながら消費税をはじめとして、様々な支出行為には、その担税力に着目して多様な公租公課が課せられている可能性があり、これらを必要経費から除外すべきという根拠は見出しがたい。むしろ、被用者負担分の社会保険料等を被用者の負担とせずに事業主が支払うのであれば、当該被用者が支払うべき公租公課を公金で肩代わりしたものとして、違法性が認められ得ると解されるが、事業主負担分は文字通り事業主にとっての人件費に該当するものとして、これを事業主が支払うことが許容されることは明らかである。」(第1審判決16頁下段)という。

この判断の誤謬は第一に、上告人(原告)の主張は、議員(または会派)である事業主に課せられる公租公課は、政務活動費とは無関係であり、これを公金(政務活動費)で支払うことを請求し支払わせる行為は、納税の義務を定めた憲法第30条に違反すると主張している事実を没却し、単に公金を公租公課の支払いに充てることが「許容できない」という主張にすり替え、憲法判断を避けている。原判決の争点の整理(第1審判決文7頁中段~10頁下段)でも上告人の主張の憲法違反の主張はまったく没却され、ただ「地方自治法第232条等に反し、違法である。」と主張したという整理しかなされていない。 

上告人は訴状の【第二 請求の原因】冒頭で

「一、 公開されている高知県議会政務活動費のうちで、人件費として健康保険料、厚生年

金保険料、児童手当拠出金などの事業主負担分について政務活動費から支払うべく、議員が請求し、これを知事が認めて公金を支出している。これは地方自治法第232条(必要な経費)違反であり、憲法第30条(納税の義務)の趣旨を踏みにじる行為であると考える。社会保険関係法令で定められた事業主にかかる公租公課を公金で支払うことは税法(「労働保険の保険料の徴収等に関する法律)第31条第2項の4」など)の根本的趣旨に反する。」と主張し、さらに【第二 請求の原因】の四で

「本件行為は、支出の理由なく公金を支出したものであり、地方自治法に違反し、その行為(請求と支払い)が、憲法で定められた国民(議員)の納税の義務を理由なく免ずることになる意味で憲法第30条に抵触するものである。」と繰り返し主張し、

そして【請求の原因】第六において住民訴訟の前提の住民監査請求について説明して

「本件の場合、①問題にしている事実(政務活動費での社会保険料支払い)は明確であり、②それを公費で賄っている行為の事実も添付資料(公表されている限りのもの)で明確である。③そして、その行為が憲法第30条に違反しているという指摘(住民側の違法性の認識)も明確に示されている。」と主張していた。

そのほか第1審上告人(原告)側の準備書面で本件が憲法事案であることを繰り返し主張していることは明らかである。原判決はこの上告人の主張について何の判断もしなかった。

被用者のための社会保険料の事業主負担は確かに人件費であって、事業主が支払うのは当然であるが、問題はその支払いで公金を使っていいのか、事業主に課せられた公租公課を公金で賄うという行為は担税を回避し憲法違反ではないかと訴えているのである。

原判決は、この上告人の一貫した主張について判断を回避した。

原判決がいう「違法ではない」という判断は、条例で人件費が政務活動費での充当が認められているという範囲でいうのであって、すなわち、条例に適合しているから違法ではない、という趣旨を繰り返しているだけで、その条例において憲法や税法で定められている納税の義務についてまで免除されるのかという訴訟の眼目について原判決は答えず、黙って相手方の主張を認容した。

原判決は、その充当行為が実質的に納税義務を逃れる行為であるという上告人の住民監査請求や訴状以下の書面でのメインテーマたる主張について言及せず、民事訴訟法第258条第1項の裁判脱漏、または民事訴訟法第338条第9項の判断遺脱の重大な欠陥を有することになっている。審理不尽のそしりを免れえない。

第二の誤謬は、直接税である事業主負担の公租公課と、間接税である消費税などを同一次元で論じる誤りである。直接税は課税された者が、その税を他に転嫁することが許されない。

上掲引用の原判決では「消費税をはじめとして、様々な支出行為には、その担税力に着目して多様な公租公課が・・・、これらを必要経費から除外すべきという根拠は見出しがたい。」というが、上告人は何も必要経費から除外すべきだという主張はしていない。上告人の主張は、法人等に課せられた公租公課について事業主負担の部分は、公金で肩代わりすることを請求してはならないのではないか、といっているのである。

誤謬第三は、被用者負担分を公金で肩代わりして支払えば違法だが、事業主負担分については事業主の人件費であるから事業主が支払うのは「許容される」という。

被用者については公金で肩代わりだとして違法だとしているが、事業主負担分については「事業主の人件費であるから事業主が支払うのは許容される・・・」といって、事業主負担分の公金で肩代わりについての判断は意図的に没却している。

被用者の負担分を公金で賄うことが違法なら、事業主の負担分を公金で賄うことも当然違法ではないか。上掲判決文の末尾で「事業主負担分は文字通り事業主にとっての人件費に該当するものとして、これを事業主が支払うことが許容されることは明らかである。」というように、原判決は、本件訴訟の根幹をはぐらかす。

原判決は、本件では、社会保険料の事業主負担分を「公金で肩代わり」しているのであって、事業主が支払っているのではないという事実を没却しているのである。

こうして、原判決は、上告人の請求する憲法違反についての判断を回避しこれを容認したことによって憲法に違反し、破棄を免れない。憲法の納税義務を踏まえるなら、条例で規定しなくても事業主(議員)に課せられた課税を県庁へ転嫁することができないという判断に帰着せねばならなかったし、議員が政務活動費の公金で社会保険料の事業主負担を賄うよう請求し、これを政務活動費で賄うことを認めた高知県知事の行為が憲法第30条に反するという判断以外の他の判断はあり得なかったと考える。

そもそも政務活動費は、一定の限度額(本件の場合議員一人月額14万円、会派には議員一人につき月額14万円)が交付されるが、実際には定められた範囲の経費充当があった分だけ使用が許され、残りは返還しなければならない。したがってその交付金は一般の補助金のように自己のものとはならないので自由に費消できない。

【第二】法令(民訴法第1571項)適用の誤り(濫用)について

原判決は、その 第3 当裁判所の判断 の3の(2)イで次のように判示した。

「控訴人は、会派等は,政務活動費のためにのみ存在し活動しているわけではなく、会派等に雇用される補助職員は、必ずしも政務活動業務に専任しているとは限らないから、事業主負担分についても、政務活動費から支出が許されるのはせいぜい2分の1であると主張する。しかしながら、上記主張は原審では全くされておらず、当審で初めてされたものであるが、請求2が政務活動費の交付を受けた全会派、全議員を対象としている以上、これを審理するためには、政務活動費の交付を受けた全会派、全議員について、補助職員の雇用の有無、人数、個々の補助職員の職務内容などを検討した上、当該補助職員の人件費に政務活動費を全額充てるのが適法か、あるいは一部は違法かについて判断する必要があり、訴訟の完結を遅延させることになることは明らかである。しかも、上記主張は、被控訴人知事が原審で提出した本件マニュアル(乙3)を根拠にとしているのであるから、遅くとも原審継続中に主張できたものと考えられるから、その主張が遅れたのは、控訴人の故意又は重過失によるものと認められる。したがって上記主張は、時機に後れた攻撃防御方法として民訴法1571項に基づき、職権で却下することとする。」

1、上告人は、訴状をはじめ第1審、2審を通じて議員又は会派に雇用された補助職員の賃金等の費用については、政務活動に従事した限りにおいてそれが充当されるべきだと主張してきた。原判決は控訴審で初めてこの主張があったというが、どの程度の主張なら時機に後れない攻撃防御方法なのか最高裁の判断を求める。

すなわち、上告人は、

 訴状【第2請求の原因】の三において、

「議会が定めている「政務活動費マニュアル」でも人件費は「補助業務に従事している実態により政務活動費を充当できるものとする。」と明記されている。」と主張し、「政務活動費マニュアル」を書証(甲5)として提出した。さらに、

 平成29418日付「原告準備書面(1)」の4頁目【第2】被告の本案に対する答弁についての一の3で上告人は次のように主張した。

「マニュアルでは、就労の実態に応じて賃金全体をはらうとか、半分払うなど賃金の按分方法まで決められている。」と主張し、賃金の「半分」の按分も指摘している。

 平成29年5月23日付「原告準備書面(2)」では

「仮に議員の補助活動として人件費が認められるとしてもそれはあくまでも議員の特定の政務活動に直接かかわるもの(「補助」する)であって、事務所の管理、客の応対、政務活動も含む会計処理など総務的な仕事は無関係である。そして、雇用契約はもとより議員の事務所に勤める以上事務所の仕事の中で政務活動とそれ以外の仕事があるから、費用を按分する上で、業務日誌やタイムカードがなければならない。」と主張した。

そして、被上告人の方でも

 第1審での被上告人の答弁書(平成29年4月11日付)でもその9頁で

「マニュアルに「補助業務に従事している実態により(人件費に)政務活動費を充当できる」ことが明記されていることは認め(乙第3号証のマニュアル16頁の(8))」と認めた。

乙3号証(甲5号証)のマニュアルの16頁の(8)には、①人件費按分方法と②人件費の充当限度額が記述され、政務活動業務専任者が全額、上記以外の者は1/2と決められていることがわかる。被上告人は第1審で上告人の主張にはっきり応答していた。

⓹ 被上告人の平成29年5月15日付第1審準備書面(1)の7頁で上告人の主張を踏まえて反論する。「原告は、・・・・公租公課は政務活動費とは無関係であって、公費で賄う性質ではないとか、人件費といっても請求できるものは政務活動に関与するものに限られるはずである旨主張する。しかし・・・」といって、上告人が高知県議会が作成した「政務活動費マニュアル」の16頁の(8)に基づいて主張していることを前提にして反論を展開しているのである。

被上告人側には、被用者たちが政務活動に従事したという実態を証明する何らの証拠もないことを自認していたのであるから、これだけの主張と答弁があれば第1審判決で上告人の請求金額の全額がみとめられるか、少なくとも就労の実態がわからないとして「マニュアル」で定められている1/2の按分が認められるべきであった。

第1審判決はこれを没却(判断の遺脱)した。上告人は、それで控訴審で補充的に再び取り上げたのである。原判決は。「しかも、上記主張は、被控訴人知事が原審で提出した本件マニュアル(乙3)を根拠としているのであるから・・・・」という。

民訴法適用の根拠は上告人が「被控訴人知事が原審で提出した本件マニュアル(乙3)を根拠としている」からだという。

上告人が訴状で言及している証拠について被上告人の乙号証を「根拠」に使うことができるであろうか。裁判官のこのような奇怪な認識にもとづく法令(民訴法第157条1項)の適用がその濫用ではないといえるであろうか。

時機に後れた攻撃防御については、戦前から判例があるが、大方は第2審で初めて問題を提起する場合であり、訴状の第1審から第2審に渡ってその主張がある場合には、民訴法第157条第1項の適用はあり得ない。裁判官は、訴状や準備書面に目を通しているはずであるから、政務活動費の按分について原判決が、原審で全く主張がなされていなかったという判断を下す以上、どの程度の主張や挙証が必要なのか、程度の問題が新たに論じられねばならないし、その基準が明確にされねばならない。

2、原判決は、上掲の判断で「請求2が、政務活動費の交付を受けた全会派、全議員を対象としている以上、これを審理するためには‥‥訴訟の完結を遅延させることになるのは明らかである。」と非難する。

しかしもし、この通り全議員の雇用の有無や職務の内容等を検討しなければならないということになったとしても、すでに訴状等で政務活動費の按分が問題となっていて、根拠資料も上がっている以上、また被上告人側もそれを承知していると応答している以上は、原審はその審理を避けて通ることはできないはずである。しかし、実際(第1審判決文8頁「イ 請求2について」や同判決文17頁「(4)よって、会派等が政務活動費を当該会派等に係る事業主負担分に充当することは違法であるとの見解を前提にした原告の主張・・・」等)には上告人の主張は、政務活動費で概算払いをされる人件費のうち社会保険料の事業主負担分についての差止めを求めていることは明らかであるから、具体的な人数などを調査し大げさな審理を開始しなくとも、被上告人高知県知事が、その旨(社会保険料の事業主負担分は政務活動費を充当できないとか、マニュアルの定めの通り政務活動にかかわった程度によって按分するとか)県議会側に通告すれば能事了われりであり、証拠もすべてそろっていたのであるから原判決が同趣旨の判断を示せば訴訟は直ちに完結するのであった。簡単な判断を避けあるいは逡巡したのは裁判官であって、上告人も被上告人もするべきことはしていた。

3、原判決は、新たな主張の証拠となる政務活動費のマニュアルを第1審で被上告人側がすでに提出していたのに主張が遅れたことについて上告人に故意や重大な過失があったなどという。

すでにこの判断がでたらめだということは説明する必要もないくらいである。

上告人の原審での控訴理由書等での主張(政務活動費マニュアルによれば雇用の実体がないから政務活動費の人件費充当は全額認められず、少なくとも2分の1の按分による充当しか認められない)は、原審で初めて主張しだしたのではなく、訴状や第1審原告準備書面で同じ趣旨で明らかに主張し、被上告人答弁書などでもその論拠となる書証の該当文章を承知する旨の主張すらあったのである。上告人に訴訟を遅延させようという故意や、過失などあろうはずもない。ただ、政務活動費の費用の按分については、第一の主張ではなく、従たる主張であり、前掲した訴状や準備書面での主張がやや弱い感は否めないだろう。

本件では、被上告人側が、被用者について雇用の実体を示す雇用契約書や業務日誌、タイムカードも保有せず、ただ、社会保険料を支払ったという領収書しか示していないことや、社会保険料の事業主負担分そのものの公費での肩代わりを主要な問題にしていたので、費用の按分問題はその問題もあるという指摘を繰り返すにとどまっていた。

そのような主張の在り方が、主張がなかった、故意に主張を後らした、または遅れたことに過失があったと判断されるということであれば、ではどの程度の主張であれば、攻撃・防御で時機に適い、又時機に遅れたということになるのか、明確な基準が示されねばならない。上告人は、政務活動費の按分についてはすでに第1審で主張がなされ証拠も出ており、被上告人もその主張があったこと及び根拠資料の該当部分を承知していると答えていた。この事情は顕著な事実である。第1審判決が、判断を遺脱したことでもって、主張がなかった、時機に遅れたなどというのは余りにも失当であり、民訴法157条第1項の法律の乱用というべきであって、時機に遅れたという事実そのものが存在しないなど、却下の要件を何一つ満たしていない。

4、最後に、原判決が初めての主張だという控訴理由書の最後部分を再現する。

按分について主張したのち、上告人は次のように主張した。

「本件の場合、何らの業務上政務活動の実績を示す証拠がないから多く見積もっても「上記以外の者」の1/2に該当する。

議会事務局への情報開示請求では、本件の場合、雇用契約書、被用者の出勤の状況、労務の実態については何の証拠も存在しないという回答があった。これらの問題については原審の訴状や準備書面で控訴人は指摘してきた。本件交付条例では、経費の支払いにはその根拠となる証拠を示すべきとなっている。証拠のない経費については、政務活動費は支払うことはできない。原判決はこれについて何の判断もしていない。

それでは、原審裁判官は、雇用の存否、被用者の業務の実態も知らないのに、何をもって本件人件費(社会保険料も含む)の支出は全面的に合理的だと判断したのであろうか。

少なくとも政務活動の業務と他の政党活動や管理的総務的業務との按分を考慮するぐらいの判断を下すべきではなかったか。」

上告人は、控訴理由書ですでに第1審の訴状や準備書面で問題の所在を明らかにしていると主張しているのである。原判決は条例やマニュアル上での人件費の合否を問題にして判決文を書いていると考えられる。上告人は、人件費(その中の社会保険料の事業主負担)について単に法律上の争論をしているだけではない。上告人の主張は一貫して本件の実態としての人件費、その存否の実体そのものをも問題にしている。雇用の実態を示す証拠がないのに何の人件費であろうか。

事実に基づかない、実態を無視した判決文が有効であるはずはない。

 

     請求1について

請求1(損害賠償請求)については却下された。

【第三】地方自治法第242条1項の公金の支出

本件の監査請求は、高知県議会の議員又は会派によって費消された政務活動費のうち社会保険料の事業主負担を政務活動費で肩代わりした12件について監査請求以前1年の範囲でその「支出伝票」に基づいてなされた。「支出伝票」の発出は議員又は会派の手によってなされていた。

原判決は、この「支出伝票」が、地方自治法(第2421項)が定める「当該職員」によって作成されたものではなく、その職員による公金の支出に該当しないものとして、上告人の訴えを却下した。すなわち、

「会派等が用いる政務活動費支出伝票(甲3の1ないし12)は、本件マニュアルが収支報告書に添付する書類として書式を定めた会計帳簿の1つであって、執行機関が公金の支出を命ずる際に作成する支出命令書とは異なるものである。(乙3)

したがって、会派等が政務活動費を経費として支出する行為は、高知県の出納事務とは明らかに異なるものであって、同法242条第1項の公金の支出には該当しない。」

(第1審判決文13頁)

原判決は、実際に行われている政務活動費の種々の費目への出納事務は、高知県が任命した正規の出納員等経理職員ではなく、議員又は会派が「高知県の出納事務とは明らかに異なる」形で遂行していたことを認定した。訴訟の前提となる住民監査請求は支出命令や支出負担行為の時期だけでなく、実際の公金の支出行為(出納)をとらえてする。支出命令があっても実際に公金が支出され使われなければ公金の支出とはならないからである。

本件政務活動費は議員や会派に対して定額の概算払いがなされるが、実際の経費への充当は本件「政務活動費支出伝票」という「会計帳簿」で行われる(第1審判決文5頁の「政務活動費の支出に係る会計帳簿」がこの支出伝票のことである)。この支出伝票に基づく充当行為がなければ、政務活動費は手つかずで県に返還されるものである。

本来知事などから支出命令を受けて行う高知県庁の出納事務は、県庁のすべての部署に置かれた出納員など出納関係職員によって遂行される。それを統括する権限があるのは会計管理者であって知事ではない。本件政務活動費では、議員が出納行為である支出伝票を作成し、これをもとに議員は実際の費用への充当を行う。本件支出伝票は、本来県庁の各部署に配置されている正規の出納員によって処理されるべきものである。

問題は、このような事態(原判決はこれを「高知県の出納事務とは明らかに異なるもの」という)について法的にどのような評価をするかである。

原判決はこれを「同法242条第1項の公金の支出には該当しない」というのであるが、それだけでいいのであろうか。

原判決(第1審判決文11頁)は、「会派等による充当行為が、同法(地方自治法)242条第1項にいう「職員」による「公金の支出」に該当するか、検討する。」として

まず「一般に議員の事務には予算の執行に関する事務及び現金の出納保管等の会計事務は含まれておらず・・・」という。

議員は原判決が言う通り、地方自治法第242条1項の長とか職員ではない。しかし、職員ではない議員に出納事務を行わせた長や職員は存在したのではないか。地方自治法第243条では私人には公金の取り扱いをさせえない規定があるが、乙3号証の政務活動費マニュアルでは、議員用及び会派用の政務活動費支出伝票の書式が指示されている。これは本件政務活動費の交付に関する条例第10条の4項の規定「政務活動費の支出に係る会計帳簿」の提出義務の規定に基づいている。この会計帳簿の作成・処理は県の出納員などではなく、議員又は会派に義務付けられていることは明らかである。してみれば、条例に基づきマニュアルを作成した議会はともかく、本件条例を作成した被上告人高知県知事の責任が浮上する。

そして、「会派等が政務活動費を経費として支出する行為は高知県の出納事務とは明らかに異なるもの」であったとしても出納事務であることは原判決も否定しえない。

出納事務が公金の支出行為であり純然たる財務会計行為であることはいうまでもない。

権限無き者に出納事務をやらせたというのは地方自治法第242条l項の「違法または不当な公金の支出」に該当する。

したがって、本件請求は地方自治法第242条1項の規定に照らして適法であって、原判決は法の適用を誤ったもの(法の適用の回避)であるから破棄を免れない。

【第四】昭和62年4月10日最高裁第二小法廷判決の補足意見

昭和62年4月10日最高裁第二小法廷の判決には裁判官林藤之助の「補足意見」があった。

この事件は、東京都議会議長の議会での公金支出行為についての住民訴訟において、議長は当該支出について支出決定の書類に押印したりしているが、議長には本来議会に関する事務について全般的に指揮監督する権能はあるにしても知事の権限である財務会計行為をする権限はなく、地方自治法第242条1項の支出行為の責任者である「当該職員」には当たらないので監査請求自体が不適当とされたものである。

これについて裁判官林藤之助は、

「違法な公金の支出について責任を負って然るべき者が単に当該公金の支出につき財務会計上の権限を有しないということだけで免責されてしまうのは法の住民訴訟制度を設けた趣旨を没却し不合理ではないかとの疑問が生じえないではない。」とし、

「前記のような行為は、その態様によっては普通地方公共団体に対する民法上の不法行為を成立させ、当該普通地方公共団体は、その行為者に対し損害賠償請求権という財産を有する場合も考えられる、もし右債権の管理を違法に怠る事実が存在する場合には、住民は当該「怠る事実」の是正を図るとともに当該普通地方公共団体の損害の回復を図ることが可能と解することができる。」と喝破した。

これを本件に当てはめると、被上告人知事が議員にさせてはならない公金の出納事務をやらせるという不法行為を犯し、そうして政務活動費で社会保険料の事業主負担分を違法(手続き上違法)に支出し議員に不当な利益を供与した、ということができる。不法行為による地方自治体の損失については損害賠償の請求権という債権を発生させるから、これを財産の管理を怠る事実として監査請求し住民訴訟を提起することができる。

そして事実、上告人の住民監査請求書及び訴状には、本件支出を「不当な利益供与」と規定し「既支出分の全額返還をもとめるべき」(住民監査請求書)、「政務調査費で支払った分を返還させ・・・」(訴状)と実質的に債権の回収を求めている。

もともと本件住民請求及び本件訴状の請求1は、地方自治法第242条1項の趣旨にかなうものでありながら、原判決はこれを適用せず、また原判決は判決文中昭和62年4月10日の同じ最高裁判例を使っていながら、林裁判官の「補足意見」全く無視して判断を下したものである。補足意見も判例であって、無視されていいものではない。したがって原判決はいったん破棄すべきである。

このことについて控訴理由書(5枚目)は

「すなわち、「当該職員」という問題で地方自治法第142条第1項の違法若しくは不当な公金の支出について監査請求できないとしても、知事や事務局長、議員らによる不法行為による損害については地方公共団体に損害賠償請求権という債権が発生し、その観点(違法に財産の管理を怠る事実)で監査請求が正当に提起できるという見解である。

本件監査請求の趣旨は単に公金の支出行為の違法を言うだけでなく、それにより発生した不当利得の返還を請求した内容である。

また訴状や準備書面では、併任や委任などについて知事や事務局長の職権の乱用、無権限な議員による出納行為等々の不法行為が列挙されており、これらの不法行為により本件損害が発生したことが縷々主張されている。最高裁判例(平成14年7月2日最高裁第3小法廷判決)では財務会計行為の違法ではなく、地方自治体が談合など不法行為によって被った損害についての回復措置を求める監査請求は、1年の監査期間の制約を受けないとされている。・・・・正規の出納事務を経ない公金の支出行為は不法行為であり、横領や窃盗行為と大差ない犯罪行為である。」と主張した。

【第五】事務の委任及び併任について

本件政務活動費の出納事務が権限のない議員やその会派の手によってなされるという異常な仕法で遂行されてきたが、その交付事務そのものについても重大な問題があることが判明している。本件政務活動費交付条例では、支給事務は当然被上告人知事が行うと定められているが、実際には、高知県会計規則第3条1項1号の規定によって知事の委任を受けたとして、被上告人県議会事務局長がこれを遂行していた。上告人の主張によって執行機関の長である知事が立法機関である議会の職員に事務の権限を委任することは許されないとされたが、被上告人及びそれを追認する原判決は、併任という便法を用いてこの委任制度を肯認した。

その論理が極めて奇怪である。原判決は言う、

地方自治法では、「普通地方公共団体の長が議会の事務局長に対して権限を委任することができるという規定を置いていない。(同法180条の2等参照)

他方、普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部をその補助機関である職員に委任することができるとされている(同法153条1項)ところ、議会の事務局長その他の職員を長の補助機関である職員に併任することを禁ずる規定はなく、これを禁止する法的根拠はない。一般的にも、普通地方公共団体の長はその権限に属する事務の一部をその補助機関である職員に委任することはでき(同法153条1項)、議会の事務局長その他の職員を長の補助機関である職員に併任した上で、その者に対し支出命令等予算執行に関する事務の権限を委任することが可能であると解されている(最高裁昭和62年4月10日第二小法廷判決・民集41巻3号239頁参照)

原判決はここで、委任については知事など普通地方公共団体の長が議会事務局長に対し事務の委任を可能とする地方自治法上の規定はないのでこれはできないとしながら、併任については、知事が議会事務局長に知事に属する事務を遂行させるためにこれを併任することについて禁ずる規定はないから、併任したうえで事務の委任は可能だというのである。

この見解は全くの脱法行為を正当化するものである。執行機関の長である首長の事務は執行機関の職員にのみ委任が許されているという規定では、いかなる方途をとろうとも立法機関の職員にまでその委任の権限は及ばないはずである。

日本の政治は法治主義であり、行政は法令に規定された範囲のことしかできない。

禁じられていないことなら何をしてもよいというわけにはいかない。

地方自治法や地方公務員法には原判決等がいう「併任」については何も規定するところがないが、地方自治法第180条の3に「兼職」について規定がある。

この規定以外には「併任」について規定するものはない。

「兼職」についての地方自治法の規定には執行機関の長はその補助職員を、種々の執行機関の事務を遂行する職員として兼職が許されるという規定があるのみで、それが議決機関の職員にまで及ぶという解釈はできるはずがない。

そもそも地方自治法第180条の3の規定は、長に所属する職員を教育委員会や選挙管理委員会など長に所属する執行機関以外の行政機関の事務を遂行させるために兼職を認めるものであって、他の執行機関の職員に本来長に所属する職務を肩代わりさせる趣旨のものではない。まして、議決機関の職員に長の職務を代行させる趣旨のものではないことは当該規定の文章を見れば明らかである。地方自治法第180条の3 の規定は以下のとおりである。

普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の委員会又は委員と協議して、その補助機関である職員を、当該執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員と兼ねさせ、若しく当該執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員に充て、又は当該執行機関の事務に従事させることができる。

この規定は、行政組織の効率化のため、時期によっては比較的暇な選挙管理委員会や監査委員会の事務を遂行する上において専任の職員を配置する必要性が乏しい場合に首長に所属する総務課の職員などを委員会の事務を執らせるために作られたものである。

この規定で本件条例で定められている知事による政務活動費の交付決定など知事の権限に属する交付事務を他の執行機関の事務としてその補助職員に「兼職」させることができるであろうか。まして、執行機関ではない立法機関の職員に代行させることができるであろうか。

原判決は、「併任」について昭和62年4月10日の最高裁第二小法廷の判例を持ち出しこれを正当化する。確かにその最高裁判例では

長はその権限に属する事務の一部を当該普通地方公共団体の吏員に委任することができ(法153条第1項)議会局の事務局長その他の職員を長の補助機関たる事務吏員に併任した上その者に対し支出命令等予算執行に関する事務の権限を委任することは可能である・・・」という判示がある。しかし、この判断の後半の「併任」については、何らの法的根拠も示されていないし、合理的な説明もない。むしろ地方自治法第180条3の規定に照らせば完全な誤判であるといわねばならない。法は、兼職(併任)によってする事務は、兼職先の「当該執行機関の事務」に限定しており、法文の示すところは、知事部局のなすべき事務を兼職先で兼職職員に委任して遂行させるなどとは到底解釈できない。

最高裁は、昭和62年4月10日の最高裁第二小法廷の上掲のずさんな脱法的判断をこの際見直すべきであろう。

したがって本件政務活動費の交付は、知事が議会事務局長に委任することが法的にできないのに委任したとして権限なき者に遂行させたもので社会保険料の事業主負担分の充当を含むすべての本件にかかる公金支出が違法性を帯びているのである。

かくて、本件政務活動費の交付の財務会計行為は、法的に権限なき議会事務局長らのその交付の全手続きが違法かつ無効なものである上に、すでに明らかなとおり権限なき議員に条例で出納事務を義務付け、実際に議員がそれを遂行していた。違法行為は重畳していたのである。

ちなみに、原判決は、既述の高知県会計規則第3条で議会事務局長は本件政務活動費の交付事務について知事の権限の委任を受けていると判示したが、この会計規則で委任されているのは支出命令などであって、会計管理者の専権である出納行為については、委任されていない。高知県議会には出納員が全く配置されていない。(乙5号証 高知県会計規則)

第1審判決文(5頁中段)で裁判所が本件政務活動費の運営の流れを解説した中で

「・・・当該請求を受けた知事(委任を受けた議会事務局長)は、請求をした会派等に対し、・・・議員1人当たり月額14万円を交付する。」としているが、交付事務は出納行為であり、事務局長は出納の権限を会計管理者(旧出納長)から委任されていない。

知事には公金の出納事務の権限はないからこれは被上告人議会事務局長の職権の濫用である。

「1.docx」をダウンロード (上告理由書)

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激戦の後の展望

News & Letters/644
11月18日の室戸市長選の前哨戦が激しくたたかわれている。
反改革派は三つに分裂した。市民は戸惑っている。
革新派は少しも動揺していず、結束が固く、しかも活発に動いている。
市民の命に係わる医療の危機が深刻になっているという非常事態において
多くの保守的な層も真剣に市政を考え出した。
市民のほとんどが激しい渦となって室戸市政の根本的な立て直しを願い始めた。
文字通り老骨にムチ打って立ち上がった私を逆に叱咤する市民も多数出てきた。
私の課題は、医療の保障という最も原初的な市政の課題を解決したりその他市民が望む「善政」を布くことであるが、それだけではない。住民自治、民主主義をいかに実現するかも大事な問題である。
三権分立といっても実際は行政の圧倒的な優勢にあり、議会はもとより司法でさえも見る影もない中で「善政」をしけばなお一層行政の独裁状況が現出するだろう。
独裁的な善政もやはり否定されねばならない。住民自治のもとで善政が施行されるという体制が構築されねばならない。
パリコミューンのようなプロレタリアの徹底した民主主義とまではいかなくてもできる限り住民の主権が行政に貫徹する体制を作り上げなければならない。市長(市役所)の独裁的な善政では、善政自体が支えきれない。
それは東洋町で私が経験したことだ。東洋町では、私が出した予算案に対して反対派議員が、あまりにも素晴らしいので私たちは支持できないという驚くべき発言をしたが、善政にも民主的基盤がないとつぶされてしまうのである。
私は、住民自治の一つの方策として議会が住民の意思をほとんど反映していない現状を打破するために、地域評議会を羽根から佐喜浜の全地域に設置しようと考えている。
評議員は各地域で10人~20人程度、全体で100人ほどの委員とし、その評議会は若干の独自予算を持ち、それぞれの地域の課題を討議してもらい市長や議会がそれを尊重して予算を編成したり行政施策を遂行する。
また、市役所内部でも集団的指導体制を組まねばならない。現在市役所ではほとんど庁議は行われていない。
課長会と称してやっているのは毎議会の質問への答弁対策だけだ。そうではなく日常の行政事務の遂行をどうやって進めるか、住民の苦情や陳情などをすべて取り上げて最低週1回は開かねばない。そうして大事なことは全職場で週に1回は職場会議を開くことだ。現場の職員の意見や提案を聞いてその創意工夫を尊重しなければならない。失敗や不親切行為などがあれば全庁で反省され教訓化されねばならない。
東洋町では私は、毎週必ず人の見えるところで庁議を行い、各課の職場会議には必ず出席した。
個々の職員が孤立して仕事をするのではなく、情報を共有して市役所全体が活性化されねばならない。
困難な事件や事務では担当職員に任せるのではなく市長や幹部職員が前面に出なくてはならない。職務のことで職員を死なせてはならない。
東洋町では私は生活保護の申請については職員に任せず町長自らがすべて面接し、受理し、決定した。
重要事件が起こった場合は臨時の庁議を開き、市長が独裁ではなく集団で討議して庁議で決定することだ。
そして大事なことは、庁議はだれでも傍聴でき、議題はすべてボードで画像化し、決定内容も画像化される。
東洋町では、議題と決定内容は直ちにインターネットで公表した。
事業に関係する市民や議員の参加も必要である。
市役所内部の民主化、地域住民の行政への参加などを最低限実行することだ。行政独裁、市長独裁を即刻やめることだ。
善政をしくということ、その善政を作りだし支える民主的基盤をつくることが、私が市役所に入った場合の二つの課題である。
東洋町では善政をしくことに急なあまり、その民主的基盤、住民自治を築くことができなかった。

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