教育に関する国の法律
News & Letters/623
前川善文科省事務次官の中学校での講演内容に干渉した文科省は依然として法令に従ってやったと主張している。
既に論じたように、国の法律「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」によれば、文科省は、教育委員会や学校に対して直接指導したり助言したりすることはできない。文科省ができるのは都道府県知事や市町村の首長に対してである。
また、都道府県教委も市町村の教委に対して指導や助言はできない。県教委ができるのは市町村の首長に対してである。
1、前掲法律の第48条第1項の規定では
①文科省⇒知事及び市町村長
②都道府県教委⇒市町村長となっている。
決して文科省⇒教育委員会 とはなっていない。そして国は、知事や市町村長を通じて教育内容に介入できない。
知事や市町村長の権限は教育の環境整備や予算などに直接関与できるが、教育内容に関与することはできないからである。
2、また、上の法律は、その指導や助言、援助ができる内容は、教育内容ではなく「都道府県又は市町村の教育に関する事務」なのである。授業の内容や教員の性質や能力などに干渉することは論外なのである。
そして、上の法律第2項には、その「教育に関する事務」について誤解がないように具体的事例を11項挙げている。
教育内容について指導や調査などをしていいという事例は何もない。
国の法律は二重に国による教育内容への介入を禁止しているのである。
ところで今日の高知新聞(平成30年3月21日朝刊)の記事によると
県議会で教育長の人事が決議(決定)された、という記事があった。
しかし、知事や県議会が直接教育長を決めることはできない。知事は教育委員を議会の承認を得て任命することができるが、教育長は前掲法律第16条第2項の規定により「教育委員会が任命する」ことになっている。
教育委員会は任命された教育委員によって何らかの方法、たいていは互選によって教育長を決めるのである。
知事や議会が教育長を決めたのであれば、それは違法であり無効となる。
行政や議会は法令に基づき事務を処理しなければならない。森友学園のように権力の意向が行政事務の法規となってはならない。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- ようやくブログ再開しました。(2024.03.20)
- 危機感のない世界(2023.06.01)
- ウクライナ侵略戦争(2023.05.06)
- 統一地方選(2023.04.14)
- 危機感欠如の高知新聞記事(2023.04.03)
「教育のありかた」カテゴリの記事
- 宦官総理の学術会議への干渉(2020.10.12)
- 森友学園籠池夫婦の補助金裁判(2020.02.22)
- 身の丈(2019.11.01)
- 憲法第26条 義務教育(2019.09.03)
- 甲子園球児(2019.08.01)
「国政問題」カテゴリの記事
- 欲望と権力欲の権化はいかなる公職も不適当だ(2024.11.12)
- 安倍晋三「暗殺」事件の評価(2023.05.01)
- 危機感欠如の高知新聞記事(2023.04.03)
- 無罪判決(2023.01.21)
- 反動の時代(2023.01.07)
「教育行政のありかた」カテゴリの記事
- 議会開会中の私費韓国旅行(2020.03.19)
- 森友学園籠池夫婦の補助金裁判(2020.02.22)
- 憲法第26条 義務教育(2019.09.03)
- 教育に関する国の法律(2018.03.22)
- 文部省の越権行為(2018.03.17)
「社会問題」カテゴリの記事
- 欲望と権力欲の権化はいかなる公職も不適当だ(2024.11.12)
- 兵庫県議会百条委員会での知事承認尋問(2024.09.01)
- Re: RE: 市役所職員から読むように勧められた部落問題の一冊『不思議な部落問題』(角岡伸彦著ちくま新書2016年6月)その2(2024.07.30)
- 市役所職員から読むように勧められた部落問題の一冊『不思議な部落問題』(角岡伸彦著ちくま新書2016年6月)(2024.07.29)
- 園児虐待(2024.04.23)
コメント