自衛隊明記
News & Letters/602
安倍晋三ら自民党は、今度の総選挙で憲法九条に加憲して
自衛隊を明記するという公約を掲げた。
これに対する野党やメディアの批判にはなかなか理解でき難いものがある。
民進党から共産党まで、憲法第9条第一項(戦争放棄)、第二項(武力・軍隊の不保持)にもかかわらず現実に存在する自衛隊の存在は認めるというものであるが、これ自体が理解できない。
安倍流に九条の第一項、二項の後に自衛隊の存在を認め加憲することは、日本が集団自衛権を行使する道を開き、侵略戦争に参加する道を掃き清めることになるという批判である。
要するに自衛隊の存在を憲法に書き込まないことによって「自衛のための必要最小限度の実力」とか核兵器やICBMなどの他国攻撃型の武器を持たないなどの自制をきかせている現状を改変する恐れがある、すなわち、「書かないことによって統制するという、我が国独特のやり方」(高知新聞11月4日「指標」)をこわしてしまうというものである。
確かに安倍の巧妙な仕法は、九条に自衛隊を入れることによって一項、二項を死文化する、憲法に毒薬を盛るという意図があることは明らかだ。
だが、戦前に比べても、また現在の中米露以外の他国に比べても強大な武装を遂げている自衛隊の存在を公然と認めることは、憲法9条を丸ごと圧殺しているという事実は消すことはできない。自衛隊は常備軍である。
まさに安倍は現実にある自衛隊をそのまま明記するということに何の文句があるのだ。自衛隊を認めないのか、という反論に野党らは明確に答えているとは思えない。答えられない。
自民党や右翼連中への答えは、憲法九条は正しい。そして自衛隊の存在は違憲である。と言い切ることだ。
自衛隊は常備軍隊をやめ、国土防災隊に改編し、中国や朝鮮へのいかなる軍事的脅威にもならぬ存在にするべきである。
このような考えは、まだ戦禍の生生しい、硝煙のにおう時代、憲法をつくった当時、吉田茂など保守も革新もみんなそう考えていたことである。
我々日本人は、武力でもって国を守るという方針をいったんは捨てたのである。日本が憲法九条を掲げた当時のアジアの情勢は今よりももっと政情不安定で軍事的な脅威は切迫していた。剣槍林立する中で、いやそれだからこそ一層日本人は、武器の道を捨てたのである。
他国から侵略をうけないためには、他国を侵略しない、侵略する手段を持たないという宣言とその姿を示すべきなのである。
憲法に「書かないことによって統制する」などという空理空論がいつまで続けられるであろうか。
憲法は書かれた通り実現されなければならない。自衛のための軍隊、自衛のための戦争、これらは過去のほとんどの侵略戦争の口実だった。
今年のノーベル平和賞を受賞した核廃絶条約の趣旨は、核戦争だけでなく各国にすべての戦争の放棄を迫る内容である。憲法九条の実践だ。
現在の戦争の行きつくところは核戦争だからである。
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