空想的社会主義
News & Letters/593
エンゲレスは、「空想から科学への社会主義」とかいう本を書いた。
大学入学した当時立命館日本史研究会の先輩たちと一緒にこの本の読書会に参加して勉強した。
その時からオウエンやフーリエなどの社会主義を空想的なものとして軽愚して一顧だにもしなかった。しかし、それでよかったのであろうか。資本主義に代わる新しい社会を「空想」することは大事なことではないのか。
マルクス主義では、打倒する体制について研究したり分析したりするばかりで来るべき社会がどうあるべきかほとんど論議されない。有名な共産党宣言の「各人の自由なる発展が、他の人の自由なる発展の妨げにならないばかりかその条件となる」社会が抽象的に語られているだけである。
そして、目指すべき新しい社会の在り方、人と人の新しい関係の想念は、逆に、反体制運動の在り方、その運動の中での人間関係に影響を及ぼすと考える。あるいは及ぼさなければならないと考える。
スターリン主義的な組織活動をする反体制運動団体がもし権力を握ったとき、その権力機関がいかにプロレタリア的だと自称してもやはりスターリン主義的な統治機構をつくり反人民的な弾圧と支配を行うだろう。
スターリン主義者が権力を握った瞬間、民主的な統治機構をつくる人民に自由平等、公正な政治を遂行するようになると期待することはほとんど空想の領域の話だろう。
反体制運動の中でスターリン主義的官僚的運営をやってきた連中は、権力を握れば何の躊躇もなく同僚や仲間を排撃し独裁体制を敷き人民抑圧を開始するだろう。革命運動を含め反体制運動で内部の主導権争いでテロやリンチを遂行してきた連中が権力を握れば、やはり、その権力を使って異論を持つ同志や大衆に対し、テロリズムの行使をためらうことはないだろう。
その連中は結局秘密警察を強化し、武力でもって内外の敵に対抗し政府を防衛することを何よりも優先するだろう。したがって究極の武器である核兵器も彼らの希求するところとなる。
旧ソ連邦や中国共産党、北朝鮮の歩んだ道は反体制運動の中で醸成され、権力掌握の後で全面的に開花したと考える。
いかなる大衆運動団体であっても、ものごとを決め行動を起こすときにどのような民主的ルールによって遂行するか、それがわれわれが求める新しい社会の在り方に適っているかどうか、これについて慎重に吟味してかからねばならない。特に異論が出た場合、それを大衆の討論に付すかどうか、その団体の掲げる目標の正当性だけでなく、それを実現する団体の組織の在り方が問われねばならない。
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