玄海町民の監査請求書
News & Letters/532
玄海町民による反撃が始まった。玄海町長岸本に対する住民監査請求です。
原発5キロ圏内の住民の健康診査が昭和48年~平成22年まで行われていた。
約3000万円の公金をかけて実施されたが、その報告書は一切公表されず、破棄または隠匿されてきた。
開示請求しても、保存期間を過ぎて不存在という回答である。
玄海原発周辺の住民の健康状態についてはすでに森永徹氏が統計資料を使って明らかにしており
原発から放出されるトリチウムが原因で白血病の異常な罹患率として表れていた。
玄海町の健康診査も森永氏の分析結果と同じものが出ていたと強く推定される。
それがゆえに玄海町長と九電はその診査結果報告書を抹殺しようとしているのであろう。
監査請求書は、藤浦町議らによって明日朝9時に玄海町監査委員に提出される。
玄海町職員措置請求書(住民監査請求書)
2016年 月 日
玄海町監査委員殿
請求者
住所
氏名
同
住所
氏名
同
住所
氏名
【請求の趣旨】
玄海町は、岸本英雄町長の公文書(「北部地区健康診査」報告書)の違法な破棄により、その文書作成に要した2921万3446円相当の損害を被っている。
また岸本町長らの違法行為により、医学的見地からも高い評価を得られる価値ある著作物である上記報告書について、少なくとも1千万円相当の著作権益を喪失した。
よって、玄海町は岸本ら関係職員に対し上記合計金額を玄海町に支払うよう請求する義務がある。
【請求の理由】
一、添付資料の通り、「北部地区健康診査」(これを単に診査と呼ぶ)は、玄海原発周辺直近の地域住民に限定して昭和48年~平成22年までほとんど毎年実行された。
玄海町はこの診査のために上記の公金を出費した。
この診査の目的は、時期や対象地域から見て新設された玄海原発(昭和50年1月28日臨界)から発する放射能の、地域住民の健康への影響について明らかにし、これを行政施策の参考にすることであった。このような診査が正規の行政機関で行われたのは全国ではこれ以外には存在しない貴重なものである。この診査の結果について岸本町長が議会や住民に全く報告もせず、秘密のうちに破棄またはそれと同等の処理をしたことは重大な背任的違法行為である。
その行為は、単に一文書の破棄にとどまらず、その長期にわたる診査とそれを集約した報告書の作成には上記の費用を要したのであるから、その公金を捨て去ったも同然であり、同額の損害を玄海町に被らせたものである。
また、その破棄行為は、同報告書が国内だけではなく国際的にも貴重な学術上の成果であることから極めて高額な著作権益を台無しにしたことになる。玄海町は、岸本町長ら関係職員に対し損害賠償の請求権を行使すべきであるがこれを怠っている。
二、玄海町議会議事録(平成28年3月議会)によると、この診査は、堀田医院など地元の医師たちに委託されて実行されたという。平成22年に終了した際に委託先から報告書が届いたというが、住民の健康には問題がないということで報告書が委託先に「回収」されたとの岸本町長の答弁があった。(町職員は請求人に対し初めはプライバシーにかかるので公開できない旨の口頭での回答をしていた。)
しかし、最近の請求人らの情報開示請求に対して、町側の通知書では厚生労働省令の5年の保存期間が過ぎているので、保存していないという回答であった。
三、しかし、玄海町文書規程第31条の文書の保存期間(別表第3)や32条の保存年限の計算では、その報告書は未だ保存期間中であった。すなわち、文書規程31条別表第3では、「重要な調査又は統計関係文書」は永年保存か又は「行政執行上必要な統計関係文書」と考えても10年の保存の義務があるものである。本件診査はその性質からして永年保存に当たることは明らかである。
もし仮に5年の保存義務としても請求人の藤浦が町議会で質問した時点(平成28年3月)、また、情報開示請求の時点(同年10月18日)では、その報告書は保存期間中であった。
保存期間中の公文書を確保しなかった事実、誰かに「回収」させたり、まして保存期間中に破棄した事実は、文書の破棄の刑事犯罪に該当すると思料する。
四、玄海原発周辺の住民の健康については、すでに森永徹氏の研究論文が存在していて、玄海町及び唐津市などでは白血病の罹患率が原発稼働の前に比べ稼働後に異常な高数値が出てきているという指摘がなされている。これは政府が発表している統計資料に基づくものであって何人も否定できない。森永氏はこの異常な数値の原因は玄海原発の異常に高いトリチウムの放出に原因があるのではないかという推定をしている。
福島第一原発など事故を起こした原発からの放射能の汚染は事故後も日に日に深刻になりそれが拡散して収まりがついていないが、事故を起こしていないとされる原発の通常運転で周辺住民に看過できない被害を及ぼしているとなれば、重大な人権侵害であり、そのことは本件診査報告書にも何らかの痕跡を残している可能性が高いと考えられる。
住民の生死にかかわる第1級の重要な疫学的調査の結果を違法な方法で破棄したことは天人共に許されない行為であり、その住民の健康上の損害額は本件請求額の何十倍にも登るものである。
添付資料1 「北部地区健康診査に要した費用」(玄海町役場作成)
添付資料2 玄海町議会議事録
添付資料3 玄海町文書規程第31条別表第3
添付資料4 森永徹 「玄海原発と白血病」
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