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2016年11月 1日 (火)

唐津市長への反論

News & Letters/531

唐津市議会で、唐津市の総務部長が、熊本地震級の地震が玄海原発を襲っても大丈夫だという暴言をはいたことについて市民が抗議の質問状を渡したら、開き直りの返事が来た。
その返事についてもう一度反論的質問状を送ることにした。その案文です。

坂井唐津市長への反論及び再質問
                      2016年10月 日
坂井唐津市長殿
                    玄海原発反対からつ事務所
                       代表 北川浩一
          
本年9月29日の私どもの機電への公開質問状についてご回答いただきお礼を申し上げます。このご回答の内容につき私どもが精査したところ、今日の市民の意識のレベルでは到底納得いかないようなものがあり、以下の点でご再考し新たなご回答をいただく必要があると思いますので、お手数ながら市民の生命と健康にかかることですのでよろしくお願い申し上げます。

一、回答の再考・再返答を求める

私どもの質問要旨:
本年6月13日唐津市議会定例会の本会議場で議員の質問への総務部長の応答で
「基準地震動レベルの地震が繰り返し発生をいたしましても、原子力発電所の健全性に影響はない」とういう九電からの報告を受けたとか、九州電力の資料によると「熊本地震クラスの地震が本市近くで発生したとしても、原子力発電施設の耐震性には問題ないのではないかという説明を受けた・・・」

という認識は何の根拠もなく、一般社会通念から言っても到底納得できない、市議会での答弁の根拠を示せ、

【唐津市長からの回答1】
唐津市長は【回答1】で市議会答弁の根拠として次の事実を挙げている。
1、原子力規制委員長田中が本年4月20日の記者会見で①重要な機器については弾性範囲に収まるようにという設計を求めている。②弾性範囲にあれば地震が繰り返しても何も起こらない。③熊本で起こっているような地震の繰り返しで何か起こるかということは、およそ考えなくてもよい。との趣旨の見解を述べた。

【我々の反論1】

1、田中委員長は「弾性範囲にあれば」という条件を付けた
 田中委員長の記者会見(熊本地震直後の本年4月18日及び4月20日)の発言脳趣旨については別記するが、市長の上の①②③を検討する。

①では田中委員長は、電力会社に機器類について「弾性範囲に収まるように」安全設計を「求めている。」というだけで玄海原発が安全設計が担保されているという趣旨ではない。

②では、「弾性範囲にあれば」という条件が付されているのであって弾性範囲であれば地震が何度来ようと耐えられるという一般的な判断にすぎない。
問題は、熊本級の地震が玄海原発の直下に襲来したとき、原発機器類の既定の「弾性範囲」が大丈夫かどうかなのであるが、田中委員長はそれには答えていない。

③では、田中のコメントは「熊本で起こっているような地震」という限定がついている。
 川内や玄海は熊本で起こった地震ははるかに遠くそれ自体では原発にほとんど影響がなかった、田中の発言は、記者会見の全応答から判断して熊本級の地震が原発直下で起こった場合ということでコメントしているとは読めない。
 唐津市議会での総務部長の答弁、及び我々の質問は熊本地震級の地震が玄海原発を直撃した場合を想定しているのである。

2、4月20日 田中委員長の記者会見の内容(速記録より)

田中原子力規制委員会委員長の記者会見での応答の実際の内容は、唐津市役所が解釈する内容とは大きく違っている。
もちろん、田中委員長は、熊本地震当時、世論の予備的停止要請を押し切ってあくまでも川内原発の強硬稼働を推進した立場から、極力その地震の原発への波及の危険性の不安を抑制しようとする発言を繰り返したことは事実であるが、それでも自ら不安を漏らしている。

① 唐津市役所が根拠とする田中の発言は、日経新聞記者の質問に答えたものであるが、その記者の質問は明らかに進行中の熊本地震と川内原発の関係であった。
「…未だに余震が続いていて、昨日も震度5弱がありました。川内原発は620ガルで想定していると思うのですが、何度も起こるこういった地震について、前回もご説明がありましたけれども、改めてどのような設計の余裕を見ているかということについて、お聞かせいただけますでしょうか。」(記者会見速記録4頁)
というものであった。この記者の質問は原発から数十キロ離れた実際の熊本地震についてであって、熊本地震級の地震が川内原発を直撃した場合を想定する質問とは考えられない。

② この質問に対し田中委員長は、「重要な機器ですね、安全上、それがいわゆる弾性範囲に収まるようにという設計を求めています。だから、弾性範囲にある分には、・・・・・」大丈夫だと答えた。しかし、それに続いて「基準地震を超えるようなことがあれば、変形が出るような構造物もゼロではないということですけれども、安全上影響を及ぼすことはないと思います。ただ、熊本で起こっているような地震の繰り返しで何か起こるかということは、およそ考えなくてもいいと思います。」と答えている。

③ この田中の答弁を要約すると、「重要な機器」については、弾性範囲内であれば大丈夫、基準地震を超える場合には「変形が出る構造物」もあると答え、そして今起こっている熊本地震の影響では川内原発には何も起こらない、という趣旨である。
唐津市役所の解釈、熊本地震級の地震が直撃しても玄海原発は大丈夫だという解釈が実際の田中委員長の質疑応答とは全く相違していることは明らかであろう。
むしろ、ここの発言でも、規制委員会は、基準地震動を超えると「構造物」-原子炉や格納容器建屋、発電設備などに「変形」が生ずる恐れを否定していない点を重視すべきであろう。

④そのことは、この4月20日の記者会見の後続の質疑応答でいよいよ明らかである。
共同通信記者の質問:「今の熊本地震とは別の前提で伺いたい、設計基準を超えるという事象は考慮しているのか・・・」(以下速記録6頁)
田中委員長の回答:
「・・・設計基準を超えるという事象は考慮していることになります。だから、地震動だけではなくて、何か外乱が起こったりして、今の安全基準というのか、設計基準事象を超えるようなものについては、そういう事故についての対策は考慮している・・・・」
他の記者の質問:「規制基準におけるSsというものは、あくまで超えてはまずい一線であるのか・・・・」

田中委員長の回答:

「100%とは言い切りませんけれども、十分な余裕があるということでございます。ただ、それを超える事故が起こった場合、これはまさに大規模損壊の対象とか、そういうことになるわけですから、そちらの方で対応していくことになると思います。」
耐震総括官の小林の回答:
「そこは越え方によると思うのですがね。仮定の話なので、あまりこの場で支度はないのですけれども、少しであれば裕度の範囲になるし、大幅に超えればこれは何らかの対応をしなければいけないということになると思います・・・」
これらの質疑応答では、基準地震動を超える地震が原発を襲うこともありうるということ、その場合「大規模損壊」が起こり、「何らかの対応」、「そちらの方で対応していくこと」になる可能性に言及しているのである。
ちなみに、この会見に先立つ4月18日の記者会見でも田中委員長は記者の質問に対して同様な見解を発表している。

原発の稼働を中断するという判断について聞かれた田中委員長は、
「今回の断層と川内原発とは30キロメートルより遠くにありますので、そういったことも踏まえて判断しなければいけないのだと思います。近い、遠いというのは、もう少しきちっと科学的に評価したうえで判断すべきものだと思っていますので、・・・・間近で、本当に1キロメートルとか2キロメートルとか、そういうところでああいうことが起こるということであれば、当然そういう判断もあろうかと思います。」
(4月18日記者会見速記録9頁)

「当然、敷地近傍での地震の程度によっては、そういうことは、今後の予測も含めてそういう判断をする場合はあると思いますが、ただやみくもに近いからとめるということではなくて、当然、そこは評価をして、止めていただくという場合はあると思います。」
(同速記録12頁)

田中委員長は、「そういう判断」、直下地震では原発稼働を止めるという判断も「当然」ありうるという見解を述べている。
以上の通り、田中委員長の記者会見の内容は、唐津市役所が考えるような甘いものではなく、それと正反対の見解が出されている。基準地震動を超える地震、熊本地震級の地震が発生した場合、原発施設の「構造物の変形」や「大規模損壊」が起こり、それに対応する必要があると明瞭に語られている。

貴庁の【回答1】中、九電の説明については詳しくはコメントしない。
実際に起こった熊本地震の玄海原発への影響についての九電の評価は独自のものであり、今回の我々の質問とは無関係である。縷々列記している九電の説明は、我々の質問の趣旨及び貴庁の議会での答弁の根拠にはならないことを指摘しておく。

二、ご回答に関係する玄海原発に関する新たな質問

1、上記の本年4月20日の田中委員長の記者会見の内容について再検討し、
 正確な理解をして議会や市民に告知する必要があると思うがどうか。

2、政府の「地震調査研究推進本部」は本年6月に地震についての新しい評価基準(通称「修正レシピ」)を発表している。それに基づけば現在の玄海原発の基準地震動の算定は原 
発近縁の複数の活断層(竹木場など)の地震動について半分ほどの過小評価となっている。過小評価された基準地震動(620ガル)で設計された原発では、実際に起こる地震では過酷事故、原子炉のメルトダウンに至る可能性が高くなる。
 貴庁は、原子力規制委員会及び九電が、この政府の定めた新しいレシピをもとに原発施設の耐震性を見直さない限り、稼働再開を認めないという申し入れをすべきではないか。
「地震調査研究推進本部」は阪神淡路大震災の直後に特措法で設置された地震災害対策の日本における最高指導行政機関であり、これの定めた指針を無視することは許されない。
3、玄海原発の冷却用の海水取水口の前面に海水の滞留堰が設置されている形跡がない。

 地震による津波あるいは地盤の隆起の際には、激しい引き潮、海水の後退が想定され海底が露わになり取水が不可能となる場合もありうる。
 冷却水が確保されない場合、原子炉の空焚きが起こり過酷事故に直結する恐れがある。
 貴庁は九電に海水滞留堰が設置されているかどうか質し、存置していない場合、それの建造しない間は原発再稼働を止めるべきであると申し入れすべきではないか。
三、使用済み核燃料の乾式貯蔵(あるいは中間貯蔵施設及び高レベル放射性廃棄物の地層処分場)について

 1、本年4月岸本玄海町長が高レベル放射性廃棄物を玄海町に導入する意向を表明したが、このような施設を本市至近の地層に埋設された場合、事故の際はもとより、風評被害も本市はまともにかぶり、観光業や農漁業にも深刻な影響を来すと考える。
  唐津市は、市内はもとより佐賀県内など隣接地に高レベル放射性廃棄物の処分場建設に明確に反対すべきであるがどうか。

2、また、最近、市内の串地区の一部住民が使用済み核燃料の貯蔵施設(中間貯蔵施設あるいは乾式貯蔵施設)の受け入れを表明したり、また退任間際の市長がこれらの施設について研究をしていくなどという方針を出したりしている。
  核廃棄物の施設導入は原発の設置と同等以上の危険性があり、いくらお金を積まれても大多数の住民は承知しません。このような施設と同居して暮らすことを認める人はだれもいないでしょう。住民の意思も聞かずに勝手に核廃の施設の受け入れを検討することは許されないことです。
  直ちに核廃棄物の受け入れについてこれを断固として拒否する姿勢を示していただきたいが、どう考えているか。

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