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2016年10月

2016年10月31日 (月)

部落問題についての法案

News & Letters/530

「人権侵害救済法」(または人権擁護法)という名で部落差別解消の法案が国会で審議されようとして種々の物議をかもしている。

今部落問題はいかに考えるべきであるか。
こんな法律ができたたら、解消に向かっている部落問題が固定化され、同和利権がはびこる、という左右からの論争がある。同和利権も今日の部落問題の一つの姿である。

同和地区について客観的、公法上のなデータは何もない。封建時代では、逆にその地域は里程にも計上されず人外の里として文字通り無視抹殺されていた。特定の地域が同和地区であるという客観的な資料、歴史的資料はあるか、と市役所に尋ねても、ないという。同和対策事業の対象である同和地区指定の根拠がはっきりしない。戦前に国が全国の同和地区を調査しているから国に聞いてくれ、という答えである。

それで国に聞いてみたら、それは市町村が把握しているはずだという答えであった。
同和地区は確かに存在し、差別事象は今も後を絶たないが、しかし、どこそこが同和地区であるという公の証拠がない。
しかし、周辺の人も当事者もどこが同和地区かはっきり知っている。

極めて奇妙だ。部落差別をしてはならないということを法律で規制することについてどう考えるか。

法律の内容にもよるが法律を制定することは可である。なぜなら憲法第14条第1項に「社会的身分又は門地」による差別が禁止されている。第14条の「社会的身分」が部落差別による旧賤民身分を指すことは明らかになっている。この憲法の規定により様々な法令で繰り返し差別が禁止され、罰則規定まであるのもある。

すでに法的規制がなされているのである。憲法やそれら法令に悖ることがない限り、そして差別が現存する限り、部落差別をなくすための法律は有意義であろう。

部落問題についての法律の制定が部落の固定化などをもたらすというのは根拠がない。部落問題は現体制・格差社会では解消し得ない。同和利権など解放運動団体の腐敗問題は、全く違う次元の話だ。部落差別の実態を知らないものがいくらこの法案を非難しても法的規制の意義を減ずることはできない。

法的規制で重要なのは、権力と大企業による差別を規制することだ。差別の根幹は権力にある。差別事象があったからといって一般人民や報道機関を法的に規制してはならない。人民間の問題は人民自らの討論や学習を通じて解決すべきであって権力の容喙を招いてはならない。報道機関は一種の権力であるから、部落差別について厳格な自己規制綱領を持つべきであろう。部落解放運動は人民解放闘争の一角として反権力の姿勢を明確にすべきである。

地域差別に根差す政府の原子力政策や沖縄基地問題は、解放運動が住民と連帯して真っ先に取り組むべきだ。
反原発の闘争で荊冠旗を見たことがない。沖縄差別や原発立地地域差別政策は、部落差別と同根なのである。
今度の法案が、このような差別に対する規制も含むことを望む。

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2016年10月27日 (木)

宮殿を相手に、玄海4号機の差し止め請求 佐賀地裁

News & Letters/529

本日、佐賀地裁に玄海4号機の稼働差し止め請求の仮処分を申し立てた。
その中心的主張は、九電が規制委員会に出した基準地震動の計算のまやかしについてである。

そもそも、原発を止めるには、政治的解決と司法的解決の二つの道がある。
新潟の最近の県知事選挙は、原発阻止の政治的解決の巨歩を記す快挙であった。
しかし、佐賀の玄海原発については、政治的優勢は敵側推進派にある。
山口知事も古川前知事よりはましであるが基本的には推進側にある。

また、立地自治体の玄海町や、原発直近の唐津市はあからさまな推進の癌となっている。
最近の地元紙のアンケート調査では、原発を認めない世論は過半数となっているが、この県民の要望に応える

政治勢力は弱く、今の時点では、政治的な解決の道は、きわめて困難な状況である。
この困難を何とか突破するために奮闘中である。

焦点は2年後の玄海町長選であろう。
司法の道も容易ではない。すでにわれわれは3号機のMOX燃料、プルサーマル裁判で一敗地にまみれた。

しかし、ひるまずに裁判所で県民の声、当たり前の科学の真実を訴え続ける必要がある。

裁判の要は、地震だ。
地震の恐ろしさは、第1に揺れであり、第2にずれである。そして第3に津波だ。
裁判はこのうち第1の揺れ、基準地震動(GAL)である。九電が出している基準地震動の計算は、日本の地震の特性を反映していない。

入倉・三宅方式は世界の地震の平均値で計算していて、我々が主張する武村方式に基づけば、これが日本の地震の平均値に基づくリアルなものであって、前者と比較すれば基準地震動は4倍~5倍の強振となり、現行の玄海原発や川内原発の620ガル程度では原発施設や機器類はもたない。これが佐賀地裁での裁判の焦点である。

さらに、問題なのは、川内原発や玄海原発は、基準地震動の計算では、規制委員会規則で定めている3つの地震のうち一つの型の地震しか計算していない疑いがある。3つというのは、①地殻直下型地震②プレート間地震③プレート上の地震である。九電の地震動に関する解説のパンフレットでは①だけしか記載されていない。

②の東海、東南海、南海地震などプレート間の地震でも九州や中国地方、裏日本もゆすぶられてきた。幕末の地震では遠く中国でも観測されたという。

③のフィリピン沖プレートのように沈み込んだプレートは九州北部など日本海の下にも達しているといわれる。

その沈み込んだプレートにも地震が起きる(スラブ内地震)。規制委員会の規則は内規ではなくれっきとした法令である。
法令に定められた基準地震動の計算を提出していないなら、今回提出した補正書は違法、無効となる。

これが、地震の揺れに基づく危険性であるが、
第2のずれの問題はまた別である。

ずれは、隆起・沈降、左右水平のずれ、液状化などが原発敷地を直撃した場合、いかなる頑丈な地盤でもその上の施設は一発で崩壊する。このような直撃を日本の原発の安全審査では全く考慮に入れていない。活断層が見つかったところだけ避ければいいというわけにはいかない。未知の活断層は無数にあるだろう。柏崎刈羽原発はかろうじて施設の大破は免れたが、地震による地盤の上下・水平断裂の直撃の恐れは日本原発すべてに潜在している。

日本の原発は、立地が決まってから活断層の有無を電力会社自身が調査するというやり方で来たから、断層があっても隠ぺいしたり、その断層を切り刻んだりして過小評価してきた。玄海原発の立地する岸壁は、地震による隆起や沈降、褶曲など断層活動でできたものではないのか。今日目覚ましく発展し活断層発見で威力を発揮している変動地形学で照射すれば、どのような驚くべき結果が出てくるかもしれない。

第3の地震による津波についても、玄海原発は最大波高3~4メートルとして、引き潮もマイナス3メートルとしている。

どのような計算でこんな安易な数値を出したのか知らないが、日本海側でも10メートルを超える津波が来ないとは限らない。
玄海原発は標高11メートルの岸壁にあるから大丈夫というが、串崎の対岸(原発から500メートル)から見た限りでは、ほとんど海面数メートルのところに施設が設置されているように見える。

しかも九州電力の解説絵図面で見ると施設の建っている敷地は岸壁から10メートル下で海抜0メートルとなっている。玄海原発には堤防もなく、また引き潮に備えた取水口前面の海水滞留堰も設置されていない。津波は日本近海だけではなく、朝鮮や中国方面からも押し寄せてくる可能性もある。

地震の直撃を受けなくても海からの津波の襲来(その前兆である激しい引き潮)でも原発を守ることはできないのではないか。

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2016年10月25日 (火)

玄海原発の敷地

News & Letters/528

九電の説明(政府規制委員会への申請書)では、玄海原発は11メートルの高さの土地に設置されていることになっている。
しかし、実際は原発の主要施設(原子炉、格納容器、発電設備等)は海抜0メートル地点に建っている。

即ち敷地は海岸に隣接した岸壁を掘っていて、凹型になっている。そのくぼみの底に施設が建っている。くぼみの底は海面と同じ高さすなわち0メートルだ。いったん水が入れば施設は深さ10メートルのプールの中に沈む。

施設内の移動は車両類は不可能で泳ぐかボートをこぐしかない。0メートル地点に建つ原発は玄海だけだろう。
11メートルという岸辺の台地上になぜ施設を建てなかったのか。

また、取水口前面に潮の滞留堰もない。海抜ー3メートルまで下がっても冷却用の海水は確保されるというが、津波発生時の激しい引き潮になれば取水ポンプはからまいするだろう。海水の滞留堰は川内原発には設けられているが、なぜか玄海には欠如している。

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奇妙な要望書

News & Letters/527

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佐賀の地元紙一面トップに報じられ、NHKのニュースにも長々と報道された唐津市串地区の使用済み核燃料誘致の「要望書」

要望者の地区名は確かに唐津市の串地区で、ここは玄海原発の至近距離にあります。
しかし、「乾式貯蔵施設」の誘致する土地がどこか、「同地」とあるだけではわかりません。

本文中「昨年度九州電力より発表の発電所、所有地内への乾式貯蔵施設設置計画を聞き・・・・」
という文章では、発電所の敷地のことは記載されているが誘致先の土地の名前は出ていません。
この要望書を「重く受け止める」などと記者に語った唐津市長はいったいどうしてこれが誘致の要望だとわかったのでしょうか。まるで禅問答ではないでしょうか。新聞社やテレビ局もこの禅問答で得た?や応と特定地区の誘致話として大々的に報道した、少し滑稽ではないでしょうか。

我々からつ事務所は、この報道(10月13日)がなされるや否や直ちに拒絶するよう市長に申し入れをし、翌日には串地区にバイクで乗り込みビラまきを敢行し、仲間が市役所前では旗をかざして立った。

その効果があったかどうか、10月21日に要望書を出した串地区住民はこの要望書を撤回した。
このくだらない茶番劇に、新聞社やテレビ局が踊らされた醜態はどうするんです。一部住民が金に目がくらみ熱に浮かれて市役所に唸りこんできたからといって、それをトップ記事にするとは呆れたものだ。

しかし、この事件や住民らの姿は、政府や九州電力の姿であり、マスコミの原発についての姿であろう。

とてつもない危険物でも、金になればよしとして、行政やマスコミを使って大真面目に原子力事業を煽る。だが、それは茶番ではなく現実の悲劇となっている。

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2016年10月24日 (月)

情宣活動

News & Letters/526

我々の反原発闘争で一番欠如しているのは情報活動である。
活動家たちは会議や講演会や、ネットを通じてよく勉強する。

しかし、一般国民は日常において原発について正しい情報がほとんど届いていない。
我々は自己満足運動に浸っているのではないか。

宣伝戦で負けてどうして反体制運動に勝てるだろうか。
毎日1枚のビラもまかずに、活動している気になっている。

そんな連中がいくら集まっても、集まっただけの勢力でしかない。
大衆に我々の情報を繰り返し繰り返し訴えていく。

反原発闘争は、大衆を敵陣営が獲得するのか、それとも我々が獲得するのか、
いつにかかって宣伝戦である。

唐津市街の主なところは撒いた。徹底的な宣伝戦を展開するのが当面の任務である。
反原発運動は足の運動なのだ。

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2016年10月14日 (金)

中間貯蔵施設の唐津市誘致

News & Letters/525

今日の佐賀新聞(2016年10月13日付)の一面トップに唐津市串地区の一部住民が
使用済み核燃料の中間貯蔵施設を受け入れたいと唐津市長に陳情した、というニュースが躍った。

串地区は玄海原発の値賀岬の対岸串崎にあり原発から500メートルの至近距離にある。
唐津の「玄海原発反対からつ事務所」は間髪をいれず別紙緊急要請文を作成し唐津市役所及び市議会に提出した。

玄海町長岸本といい、今回の一部住民といい、原発利権、おこぼれを求めて恥も外聞もなくうごめく。現地におれば何事にも即対応ができる。

使用済み核燃料等の
唐津市・玄海町への誘致に反対する
緊急要請書
唐津市長 殿
唐津市議会議長 殿
                        2016年10月13日
                       玄海原発再稼働反対からつ事務所
        記
私たちは、玄海原発の再稼働に反対するとともに、いかなる核廃棄物の受け入れにも反対します。私たちは唐津市、玄海町を含め佐賀県に使用済み核燃料、高レベル放射性廃棄物など核廃棄物の導入、中間貯蔵施設の建設、最終地層処分場の建設に反対します。

本日佐賀新聞の朝刊によると、唐津市串地区の一部住民が使用済み核燃料の貯蔵施設の誘致を唐津市に陳情したということですが、その本旨は荒廃する農地やさびれゆく地域の現状を憂え何とかしようという願望であって、決して「死の灰」ともいわれる放射性物質を望んでいるとは思えません。

2003年にも同様な陳情が唐津市にあった際には、唐津市はこれを受け入れていません。
私たちは、使用済み燃料の中間貯蔵施設の建設に反対します。
国の核燃料サイクル政策が破綻した今、放射能漏れなど大した防護対策もない中間貯蔵施設はそのまま半永久の貯蔵施設になる強い恐れがあります。

また、高レベル放射性廃棄物の地下埋蔵処分についても日本学術会議の研究では、日本列島にはそれに適した場所はないとされて、現在まで全国どこの市町村も受け入れようとはしていません。

これらの施設が導入された場合、稼働する原発施設よりももっと深刻な危険地域が現出することになり、しかも永続的にその周辺には人が居住することが困難になり、風評被害が激しく巻き起こり、これまで以上に周辺地域は荒廃することになります。
使用済み核燃料の貯蔵施設や高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題は、まず第一に現在の原発の再稼働をやめ廃炉にし、これ以上「死の灰」の核物質の産出を止めることが大前提です。

私たちは、唐津市長が、近く行われる県知事の意見聴取に際し、玄海原発の再稼働に反対の意思表示をされると同時に、2003年の陳情と同様に今回の一部住民の使用済み燃料貯蔵施設受入れ意見は、断固お断りされるよう申し入れます。

以上

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2016年10月13日 (木)

「革共同私史」について【訂正】

News & Letters/524

橋本の「革共同私史」についての私の現行中
柏木論文は「共産主義者」24号に掲載されたものです。

  【補充】 私の党派闘争

私の党派闘争は、そもそも解放同盟内では、狭山事件の関係から急速に革命的共産主義運動を根付かせることが困難であることから、解放同盟から脱却して直接全国の部落青年に呼びかけ独自に一革命戦線として独自の解放運動を構築するところから始まった。

そのときの同志は大阪寝屋川市国守部落の西方寺僧侶斉藤あきのり君(故人)ら数人であった。解放運動の一党派として全国部落研とか関西部落研を名乗って主として狭山闘争を全国に呼びかけた。狭山闘争以外にも豊中高校、向陽高校(和歌山)の差別糾弾、差別映画橋のない川上映阻止闘争などいくつもの激しい糾弾闘争を繰り広げた。

この様な糾弾闘争は中核派とは無縁の地で闘われたが、やがて中核派の一戦線として位置づけられた。これは学生運動や労働運動、反戦青年委員会などを主として組織していた中核派には全く異様な存在であったであろう。中核派や新左翼には旧社会党や共産党が重視していた部落解放運動は無縁のものであったからだ。

しかし、日本の反体制運動では戦前から左翼3団体の1つとして全国水平社の激しい闘いの戦線が繰り広げられてきた。共産党はこの戦線を民主主義革命→社会主義革命の二段階革命戦略に巧みに組み込んでいたのである。

新左翼の経済論は、戦前の労農派系統であり、農業問題や部落問題など封建遺制による差別問題は資本主義の発展の過程で自然に解消するものという軽い位置づけであった。
だから、この新左翼の戦線に封建遺制の差別問題を持ち込むこと自体が大いなる私の党派闘争の始まりであった。

私は、その党派闘争の理論を宇野学派の経済論(帝国主義段階論)でもって部落問題を位置づけた。それは私の卒論であったが、その序文が立命評論に掲載された。立命評論のその号は多数回印刷が繰り返されたという。資本主義の帝国主義段階では、一方に金融資本が確立されると同時に、本来資本主義の発展と共に解消されるはずの地主・小作関係や過小農の広範な存続、そして部落問題など封建遺制が解消されず、むしろ新たな論理でもって再編されるというものだ。従って部落問題も二段階革命路線で解決できるのではなく、帝国主義打倒のプロレタリアートと同一の戦略課題を持って戦列を組んで社会主義革命的に解決する道しかないのである。

洗練された都会型の学生運動をやってきた連中にこの様な理論が素直に受け入れられるはずはなかった。基幹労働部門のプロレタリアの決起による革命を目指すという思想は、部落民ら底辺の人民はルン・プロとしか見えないのである。

その中で、狭山闘争は全国的に広がり、全国の部落青年は戦闘化して荊冠旗を掲げて「糾弾・奪還」の声が日比谷公園にこだましだした。解放同盟の本隊も危機感を抱いて狭山闘争の主導権を取り返そうとして大動員をかけだした。部落の青年を取られてはまもなく解放同盟本隊もトロッキストに乗っ取られると恐れたのであろう。
危機感を抱いたのは解放同盟中央〔特に上田卓三〕だけではなかった。中核派関西地方委員会にもいた。それが橋本その人だ。

「共産主義」24号の柏木論文や「前進」の秋口論文もその当時出てきた。まさに資本主義の発展の中で部落民はプロレタリア化し部落問題が解消されると読める内容の論文が出てきたのである。これは同時期に「共産主義」や「前進」に私が書いた論文とは全く違う内容であった。私を含め当時の部落研の主な活動家は、討論を重ね、柏木論文や秋口論文を部落解消主義として厳しく非難をした。部落解消主義では解放運動は戦えない。

しかし、橋本らは後に、腐敗分子として暴力的に排除した与田らを使って部落研の分裂策動を初め、又関西地方委員会を反澤山で固め、一切の論争を封じ澤山及びその同調者を排除した。それだけでは飽きたらず、橋本は、澤山をこの世から物理的に抹殺するために白色テロルを組織し、それを実行した。白昼、無防備の澤山に多数の者を襲撃させ鉄パイプで全身をめった打ちにし、地面を血の海にした。革命的な部落解放運動を撲殺するこの橋本企画の蛮行は長く歴史に印刻されねばならない。

今私は、この蛮行について個人的な恨みを持っているわけではない。この反革命的蛮行がもたらしたのは、今日の部落解放運動の惨憺たる有様だ。腐敗分子与田らが率いた解放運動も同対審答申路線を一歩も乗り越えることが出来ていない。第一、同対審答申とは何かも知らないだろう。全文数百ページの答申を読んで分析した者はほとんどいない。だが現実に解放運動の大勢は同対審答申路線のなかに埋没し、腐敗し、解体して、部落差別のほうが「解放」されている始末だ。

狭山闘争も解放同盟の枠を越えることは出来ない。単なる冤罪問題の再審請求運動に過ぎなくなっている。師岡先生を初め解放同盟の論客・弁護士先生らはそもそも寺尾判決の恐ろしい論理を見抜けなかった。客観的事実と自白が矛盾する、だが矛盾するが故に真実だ、と言う恐るべき「弁証法」を刑事裁判に持ち込んだ寺尾の差別論理、これを認識しなかった。

自分は今解放運動について偉そうなことは言えないが、橋本利昭らの74年12月14日京都長岡での白色テロルがなければ、解放運動の戦線だけは、革命的共産主義運動の拠点として今も息づいていたに違いないと考え、切歯扼腕する思いである。

この白色テロルから程ない時期に私が聞いたところでは、解放同盟中央本部の私の師匠格にあたる執行委員らが革共同中核派の幹部と会って、このテロを厳しく糾弾したところ、涙を流して自己批判をしたということである。真偽は分からないが、実行犯である橋本らは今回発表された「革共同私史」では「共産主義者として正しかった」と確信していると居直っている。

少数派が多数派により不当な弾圧を受け、生きることが出来ないので暴力で反抗したというなら、その暴力もある程度容認される余地もあるが、党内の多数派が、無武装の少数派を暴力でたたきのめす、殺しても構わないというやり方が橋本のおはこであるが、この様な考えの者が権力を握った場合どういう社会が現出されるであろうか。
反スターリン主義は戦略戦術の問題より以前にスターリンの反対派に対する血なまぐさい党内粛正を問題にしているのである。

少数意見の者を暴力で圧殺しても共産主義としては正しいというのは、二律背反である。何故なら革命によってヒューマニズムを回復しようとするのが共産主義でありマルクス主義であるからだ。

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2016年10月11日 (火)

続革共同私史

News & Letters/523

      【 訂正】
先の「革共同私史」で北方さんのことについて誤解がありました。
スパイだとされた北方正昭は私が指導を受けた北方さんとは別人でした。
ただし、私が敬愛していた京大医学部出身の北方さんは、橋本の最初の「党派活動」で排除されたことは間違いない。
当時私は学生戦線を離れ、解放同盟中央本部で書記をしていたのでいつの間にどういう理由で北方さんや浜野さんら当時の関西中核派の指導部が排除されたのか全く分からなかったが、今回橋本の「革共同私史」で橋本の「党派闘争」の犠牲にされたことが知れた。

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2016年10月 7日 (金)

革共同私史について

News & Letters/522

中核派関西派の橋本利昭が「革共同私史」という回想録に私のことが若干記載されている。
この回想録全体のコメントは他日にするとして、橋本は「党内闘争」3回のうちの一つとして私との闘争についてである。

かつてのペンネーム「杉進也」について次のように書かれている。私のかつてのペンネームの一つが「杉進也」である。

「杉進也」との党内闘争の理由は、「杉進也」が「革命的共産主義運動と部落解放運動を対立、分裂させる言動に怒りがわいた。」からだという。

60年代から70年代にかけて私は中核派の闘争、「革命的共産主義運動」に参加したが、それは部落解放運動を革命的共産主義運動に発展させるためであって、それと敵対するような言動は何もしていない。

私は「前進」や「共産主義者」などの機関誌紙にいろいろな論文を載せたが、橋本が言うような革命的共産主義運動に敵対するような「言動」をした覚えはない。橋本は、澤山保太郎がこういうことを書いたとか、こういうことを言ったとか、そういう行動をとったという証拠を挙げるべきであろう。又、橋本の第一番目の党内闘争である北方氏についても「スパイ」だったというが私が知る限り、北方氏がそのような卑劣な人間であるはずはない。極めて尊敬すべき指導者であり人格も立派だった。

この二つの党内闘争について橋本は、「そもそも意見の違いを「党内闘争」で「解決」するというやり方そのものに問題があったし、・・」と反省的であるが、私は橋本と一切理論闘争をしたことはない。私が論争したのは、共産主義者第26号の部落問題に関する論文(確か柏木論文)と、それと同調する「前進」の秋口論文であり、それらについて東京で北小路敏氏と一回だけ論争したが、関西地方委員会では、北小路との論争以来私は一切の会議に召集されなくなったから橋本や関西担当の政治局員とも誰とも論争することはなかった。当時の中核派の会議は極秘だから、召集されなければ出席できない。

もし関西地方委員会で私が出席し部落問題について論争したら、誰が私にまともに反論できたであろうか。
橋本は部落問題については当時は全く無知であった。他の地方委員のメンバーも部落問題をろくに勉強したものはだれもいなかったし、する気もなかったであろう。彼らは部落研の動員力を期待していただけである。

当時は中核派内部のすざましい部落差別事件が続発していたが、橋本らはそれらについて一切対処しなかった。
党内の差別事件はただだと思っていたのであろう。
橋本は私に対して最後に白色テロルをかけてきて私を殺害する部隊を編成し、その計画を実行し、私を危篤状態に陥れた。

そのテロの直後に病院で聞いた話では、滑稽なことに、その殺害計画書(メモ)をベトコンに持たせていたが、それが警察に押収された、ということであった。それからのち松山刑務所で京都地検の検事がそのメモをもって私を訪ねてきた。
そのメモの筆跡は明らかに橋本の達筆の筆跡であった。公安の検事は、私から証言を取ろうとして数日刑務所に通ってきたが、徒労に終わった。

白色テロルによって橋本利昭が得たものは何か。関西地方委員会での自己の地位と、部落解放運動の革命的発展の阻止、とりわけ狭山闘争の敗北への地ならしである。それ以降狭山闘争は解放同盟の枠内での闘争に矮小化し、解放運動の武装的革命的発展は消えてしまった。橋本が意図すると否とを問わずこのテロは反解放運動であり、反革命の役割を担った。

橋本の第3の「党内闘争」のきっかけになった与田打倒であるが、まさに与田を抱え込んで澤山ー革命的部落解放運動に対置したのは橋本自身ではないか。初めから与田と対決したのはだれで、その与田を見出し部落研を分裂させ、そしてその腐敗をを育てたのは誰なのだ。

中核派中央の脱血債、部落問題や民族問題を解消する路線(当時柏木論文などを澤山は「解消主義」と指弾してきた)と党内闘争を展開していた杉進也こと澤山保太郎の闘いを文字通り血の海に沈めたのは、お前、橋本ではなかったのか。何の罪もない部落民を殺そうとした人間が「血債」の思想を旗印にするというのはなんという逆説だ。

今からでも遅くはない、謝罪しろ。俺はいま九州の果てで、毎日、毎日、ビラまきをやっている。俺はお前のようにえらい人間、理論的エリートではないから、足を引きずりながら人民の戸別の庭に入り込んで、反原発のビラまきにいそしんでいる。

死ぬときは、路上で手にビラをもって倒れるだろうよ。今こうして頑張れるのは北方さんや浜野さん、澤さん、渡辺さんなど中核派の尊敬する先輩や全国部落研の 同志たちとの戦いの思い出があるからだ。中核派としての矜持があるからだ。

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2016年10月 4日 (火)

東洋町長による不正融資事件

平成23年に起こった東洋町長による不正融資事件は、今二つの裁判に発展している。
一つは、原町長松延宏幸にその不正融資の責任を直接問う裁判であり、これは高知地裁(原告住民敗訴)→高松高裁(原告住民勝訴)→最高裁(原告住民敗訴)→高松高裁(原告住民敗訴)→原告住民最高裁へ上告という自体になっている。これについて上告理由書を掲載します。

上告理由の最も重要な点は、裁判所はいずれも本件貸付金の制度は一般に交付されていず無効だと判断している。

すなわち町長が一般の住民に知らせず特定の者にのみ知らせてこの制度を実行したという事実は裁判所も認容した。
そうすると、このような行政は憲法14条の平等原則に違反することになる。

もう一つの裁判は、上記の裁判で松延宏幸町長が不正融資の責任を逃れたとしても1000万円貸し付けの公金が現時点で一銭も返済されていない以上は、松延宏幸にその貸付金の回収義務は発生している。納期を過ぎた貸付金については地方自治法や町の財務規則(第30条)に基づき法的措置(差し押さえなど滞納処分)をしなければならない。
松延宏幸はこれを放置している。

現在これについては東洋町の監査請求を経て高知地裁に債権回収の怠る事実があるとして提訴している。
これについても訴状を掲載します。

平成28年(行サ)第6号
損害賠償請求行政上告提起事件
上告人 澤山保太郎
被上告人 東洋町長松延宏幸
          上告理由書
                        平成28年9月7日
最高裁判所御中
                        上告人 澤山保太郎
【一】、上訴権について

本件において平成26年12月18日の第2審高松高等裁判所の判決の後、被上告人は平成27年2月5日最高裁に上告及び上告受理申立をした。
しかしこの上告又は上告受理申立は平成14年に改正された地方自治法(242条の3「訴訟の提起」が追加された)に照らせば、最高裁がこれを受理したのは間違いであり、民事訴訟法第316条第1項第1号に該当し無効であると考える。

この主張は、上記上告及び上告受理申立に対する本件上告人(当時被上告人)の「答弁書」また、差戻し審の高松高裁での審理において主張したが、最高裁も高裁もこれについて判断をしなかった。

本件は地方自治法242条2の1項4号規定(これを単に4号規定と呼ぶ)に基づく住民訴訟であり、被告 東洋町長 松延宏幸 であって、
町長という執行機関を当事者とする訴訟という事で、町長側は応訴したことになっている。
したがって本件は応訴であるから、地方自治法第96条1項12号(訴訟の提起の議会議決 これを単に「12号規定」と呼ぶ)に該当しない、東洋町議会の議決はいらないということになる。

①応訴したということもあり、また、②「12号規定」が適用されるのは、首長ら執行機関ではなく「普通地方公共団体が当事者となる・・・訴訟の提起・・・」となっているからである。
しかし、上告人は、これまでの「4号規定」訴訟について、首長側が上訴する場合「12号規定」の適用の要否について新たなる判断が必要であると考える

理由:
1、改正される前の「4号規定」では、住民訴訟は直接首長や職員を相手に損害賠償請求の訴訟を起こすことになっていた。しかし、平成14年以降現行の「4号規定」では、「執行機関」の長や職員を当事者とする住民訴訟は、新設された242条3の2項以下の規定に見るとおり、究極的には普通地方公共団体が、首長や職員に対しての訴訟に転化することになった。すなわち住民の起こす訴訟の究極目的は当該普通地方公共団体をして、問題を起こした長や職員に対して損害賠償の訴訟を起こさせることを求めるものと変更された。住民訴訟は必ず当該普通公共団体による訴訟にまで発展するわけではないが、最終的には地方公共団体が訴訟で決着させることになった。

税金などの支払い督促は普通地方公共団体の長の事務であるが、これ自体は訴えの提起ではない。しかし、異議が出されると訴訟に移行するので議会の議決が必要とされている。(昭和59年5月31日最高裁第一小法廷判決)
地方自治法242条3の第3項で、提訴する場合には「12号規定」の議決は不要でほとんど自動的に地方公共団体が当事者とする訴訟に移行することになっている。
したがって、現行地方自治法では、「4号規定」による訴訟は、当該普通地方公共団体を当事者とすると考えられる。

2「12号規定」では、地方公共団体が提訴する場合に議会の議決が必要で応訴の場合は議会議決は不要とされている。
ところで、住民訴訟で首長や職員が訴えられて首長らが敗訴した後上訴する場合は、これは応訴でなく提訴であると考えられている。
通説(「逐条地方自治法」長野士郎著平成8年4月20日発行 学陽書房 289頁)では、「訴訟を提起された場合、その判決に不服ありとして地方公共団体が上訴する場合には議会の議決を得なければならない。」とされている。
議決を必要とするという「12号規定」は本件のような執行機関を当事者とするが、やがて当該普通公共団体を当事者として登場させる場合には、敗訴後の上訴についてはこれを適用させるべきである。
  「4号規定」の訴訟が当該普通公共団体を前面に引き出すことを目的とし、究極的には当事者として登場することになることは地方自治法第242条3の2項、3項、4項、5項の各規定から明らかであ。
従って本件は、上告提起の重要な手続きを履践していず、民事訴訟法第316号第1項1号に該当して上告を受理することは出来ないはずである。
  ちなみに、被上告人が本年2月24日に東洋町議会議長に対し、当該議決についての公文書開示請求をしたが、町議会議長は被上告人に、その公文書は存在していない、本件上告の提起及び上告受理申立てについて議会に議案を上程されていない、と回答している。

 【二】、原判決の問題点と批判

一、事件の経過

 本件は平成23年夏の台風により高知県東洋町の沿岸漁民がその漁具などを被災し、これにつて地元漁業組合(野根漁協と呼ぶ)が町役場に支援を求め、被上告人東洋町長が被災漁民のうち特定の一家に野根漁協を経由する形で1000万円を又貸し融資をした事件であるが、住民がこの融資を不正であるとして訴訟を起こしたものである。
 訴訟は町側の融資手続き上の瑕疵(特に貸付規則)と漁業組合側の借受手続上の瑕疵(特に理事会の成立)をめぐって争われた。

①第1審高知地裁判決(平成25年9月20日 棄却)では、貸付規則については公布されており瑕疵はないが、漁業組合の借受を決議した理事会の成立については、「理事会決議には手続上の瑕疵がある可能性がある。・・・上記瑕疵が組合員の総意でもって追認されたとは言い難い。・…この点において違法な公金の支出という余地がある。」と判断したが、町長側に「その違法性を認識していたと認めるに足りる証拠はない。」として住民側を敗訴とした。

②第2審高松高等裁判所判決(平成26年12月18日 1部認容)では、貸付規則は公布された事実がないとしてこれを無効とし、漁協理事会についても、決議に参加した理事6人の中に特別利害関係者が2名入っており、理事会は成立していないとしてこれを無効と判断し、町長松延宏幸に、貸し付けて返済される見込みがない1000万円全額について弁済責任を認定した。

③最高裁第二小法廷の判決(平成28年1月22日)では、町長側の上告を認め、漁協理事会は、特別利害関係者を除いて残り4人の理事の全員が賛同しており理事会は成立したとえ本件貸付規則が無効なものであっても町長の裁量で遂行したものと考えられるから本件貸付は合理的なものである、と判断し、高松高裁に差し戻した。

④差戻し高松高裁判決(平成28年7月15日判決 控訴棄却)は、上記最高裁の判決と全く同趣旨である。理事会も成立しており、貸付規則は無効であるが、貸付は町長の裁量行為で何の問題もない、というものであった。

二、差し戻し高裁判決の問題点

1、判断と事実認定の矛盾

原判決21頁上段で「本件規則は、地方自治法第16条5項において準用する4項の定める公布手続きを欠いたものであり、効力を生じていないというべきである。従って本件貸付が本件規則に基づいて行われたものということはできない。」という。
 しかし、公布手続きに瑕疵があり効力を生じていないという事実はそのとおりであるが、「本件貸付が本件規則に基づいておこなわれたということはできない」というのは事実に反するし、原判決自身の記述(原判決6頁「本件貸付に至る経緯等」)に反する。

①「東洋町議会は、・・本件規則に基づく貸付資金としての1000万円・・」6頁下段
②「野根漁協は、・・・本件規則に基づき ・・・本件申請をした。」6頁最下段
③「松延は・・・本件申請に基づき・・・野根漁協に対し、1000万円を貸し付けることを決定する旨・・・・」7頁上段
④「野根漁協は、・・・・本件規則2条(1)に基づき本件申請をするとの本件理事会決議をした。」18頁上段
⑤「東洋町議会は・・・本件規則に基づく貸付資金としての1000万円の歳出・・・」 
          18頁下段
⑥「野根漁協は・・・東洋町に対し本件申請をした。野根漁協はその際、申請書・・とともに添付書類として・・・理事会議事録、・・・確約書、・・事業計画書、・・・償還計画書・・・を提出した。」19頁下段
⑦「初回の返済まで1年以上据え置き以降5年間の分割払い」23頁下段
⑧「・・台風6号の被害復旧に限ってその資金を野根漁協に無利子で貸し付け、理事の連名による確約書の提出以外には担保を求めない・・・・」27頁中段・・・
このように、原判決の大半の頁で本件規則に基づいて貸付が行われたことを詳述している。前掲原判決の文章「本件貸付が本件規則に基づいて行われたということはできない」は、本件裁判の最も重大な事実についての認定と、判決に直結する判断が根本的に矛盾し、その矛盾について合理的な説明がなされていない。

2、無効な規則に基づき実行

本件貸付は、原判決の認定する通り、本件貸付規則に基づいて実行された。
 このことについては、第1審~最高裁に至る間、上告人も被上告人も何ら争うものではない。そして、国民の福祉に関することで民衆に公布されていない法令(条例・規則含む)は無効であり、本件貸付規則も公布されていないので無効であった。
 従って合理的に本件行政行為を理解する方式は、本件貸付は無効な規則に基づき実行された、という風に把握されねばならない

3、憲法第14条法の下の平等の否定

国民の権利や福祉に関する事業で一部の者以外は国民全般に知らされていないことを理由として無効な法令(法令の目的や様々な手続の規定を含む)だと断定されて、それが実行された事件について、裁判所はどのような判断をするべきであろうか。
 例えば国民に公布されずに何らかの新しい刑法が施行される場合、それが国民のためにいいものであれば、法務大臣の裁量権で実行され得るということになるのであろうか。
 刑罰がある法令を知らされていない国民がその法令に違反したということで罰せられるということが「合理的」だといえるであろうか。

 あるいは、国民全般には知らせず一部の者にだけ知らせて国民への新たな給付事業が実行された場合、それはいい事業であるから厚生大臣又は地方首長の裁量権でやっても構わない、ということになるのだろうか。その給付事業を定めた法令や条例規則を知らされていない国民の受ける経済的不利益、不平等な取り扱い、知らせてもらった一部の国民の不当な特権は、日本国憲法のどの条項に適い、「合理的」な行政だといえるのであろうか。
 本件の場合、貸付規則は無効であるというが、その無効の内容は、貸付規則を住民一般に知らせなかった、という無効であり、ごく一部の者にだけ知らせその者らのみに申請手続きの書類を渡して貸付事業を実施した、というものであるが、これが「合理的」であるというには、日本国憲法から法の下の平等などの基本的人権に関する憲法の規定を削除する必要があるのではないか。

 憲法第14条第1項は、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と規定している。ここに列挙された人種、信条、などのほかにも例えば衆議院選挙での議員定数の不均衡(1票の価値の不平等)などが法の下の平等原則違反とされている。
 国民の福利に関する法令が、国民全般に知らされず、一部の者にだけ知らされて施行された場合、知らされなかった国民は経済的に不平等な扱いを受けたことになり、法の下の平等が拒絶されたということになる。

本件の場合も本件規則の存在が住民全般(少なくとも被害漁家全員)に知らされず、一特定漁家にのみ知らされて実行された場合、知らされなかった者については行政施策が施される機会が奪われたということになり、不当な差別を受けた、法の下の平等が侵害されたということになるであろう。
 本件貸付規則は無効であるが、事実として本件貸付はその無効な規則に基づいて手続等がなされた。無効な法令に基づく行為、法の下の平等を侵害する行為を、首長の裁量行為だと言い換えても、日本国が憲法に基づき統治されている以上、憲法違反の事実を「合理的」だなどということはできない。

三、本件理事会の不成立

 原判決は24頁~25頁において、平成23年11月3日開催の理事会について、本件についての最高裁第2小法廷判決と同じ趣旨でその有効な成立を認めた。
 しかし、第1審から最高裁、原判決に至るどの時点でも、野根漁協の理事が誰であったかについて一度も確定していない。

 原判決は、上告人が提出した書証(項39号証、33号証)について「控訴人の指摘する上記報告書中の記載は、これを裏付ける証拠がないし・・・本件理事会決議当時の理事がこの記載通りであったと認めることはできない。」といって、甲11号証、甲21号証の別紙4No1 などに署名押印している6名の理事(桜井菊蔵、井崎勝行、松吉孝雄、松吉保、桜井勇、松吉保彦)を「本件理事会の決議をしたものと認める」というのである。

上告人が出した平成23年当時の野根漁協の理事会の構成メンバーの書証は、野根漁協が作成し県庁に届けたものであって、これ以上に理事会メンバーを「裏付ける証拠」などはどこにもない。その理事や役員は平成21年6月の野根漁協の総会で選任(任期3年)されたものであって、平成22年、平成23年度に有効なものであった。任期期間中数名が辞意を表明し辞表も出していたが、新たな後任の選任行為はなされなかったから、辞表を出した理事も野根漁協定款の規定で引き続き理事の任務を果たす義務があったものである。
 原判決は、「議事録「」や「確約書」に署名押印している理事が、真実の理事であるということをいかなる証拠に基づいて判断したのであろうか。

 特別利害関係人についても松吉保彦と松吉保の二人だけしか認定していないが、松吉孝雄も融資を受けた小式網の松吉保の実弟であり明らかに特別利害関係者である。
 原判決も最高裁判決も、理事の構成メンバーについて証拠に基づいて判断をしていない。
誰が特別利害関係人なのかについても無知のまま判例を適用し、数の計算をしている。
 正規の理事会名簿について一つも審理せず、上告人の出した確定的な証拠を否定し、何の証拠もないのに一方の拵えた理事名簿を採用した原判決は、少なくとも審理不尽であり、虚偽の事実に基づく判断として非難される。

 挙げられている「議事録」や「確約書」で署名押印している理事そのものについて現在の野根漁協や上告人が、それを認めないと主張している。
野根漁協の当時の正規の理事は甲第39号証や33号証であって、その正規の理事で判断すると、特別利害人2名(松吉保彦、松吉孝雄)をのぞいて本件理事会の決議に出席できるものは6名(桜井菊蔵、井崎勝行、桜井勇、桜井淳一、桜井春雄、松田博光)であり、松吉保は正規の総会で選任された理事ではない。そのうち出席したのは桜井菊蔵、井崎勝行、桜井勇の3名にすぎず、これでは特別利害関係者を除く理事6名の過半数に達していないのである。

四、首長の裁量と法治主義

1、原判決は、本件貸付規則は無効であるが、首長の裁量権限で貸付を行ったものであるので本件貸付は適法である、とした。
しかし、いくら裁量行為であるとしても貸付けに係る公金の支出については地方自治法、各地方自治体の財務規則など厳しい規定があり、それに基づかずに公金の支出をすることは許されていない。貸付は裁量行為ではない。
 本件について最高裁が高裁に差し戻しをしたのは、最高裁が判断した事項以外のその他に違法行為がなかったかどうか審理せよということであった。
 例えば、東洋町の財務規則第39条では、支出命令をする場合には、「支出の内容を示し、債務の履行の確認を証する書類を添付しなければならない。」として貸付金の場合の添付書類としては、「貸付金の支出については、名称、金額、目的、根拠規定等の事項」を示す証拠が必要だとされている。この財務規則は全国共通のものであって貸付金の支出の際には、貸付金の根拠規定の書類すなわち貸付規則の第何条に該当するものかを示さねばならない。首長の自由裁量というわけにはいかないのである。
 
2、原判決が、「普通地方公共団体は、制定された条例、規則に基づく場合のほか、裁量により他者との間で消費貸借契約を締結することができる。」という。
 しかし、消費貸借契約であれ請負契約であれ、およそ公金の支出の原因となる行為については全て法令や条例規則に基づかねばならない。
 第一に公益目的があり、平等原則が守られ、既定の適法な手続きに従わねばならない。
 原判決が言うように制定された条例や規則があるのにこれに基づかずに、長の裁量で施策がなされてもよいということになれば、法治国家の実質がなくなってしまう。
 確かにに災害被災者を救済するのに、補助金制度を使うか、貸付金制度を使うか、あるいは別個の条例規則を作って対応するか、その内容も有利子にするか無利子にするか、
 償還期間はどの程度にするかなどは首長の裁量に任されていると言えるだろう。
 あるいは又、法令の定めや条例規則の定めがない分野の事業では、どうしても首長の裁量で事業が選択され、遂行されるという場合もあるかもしれない。
 しかし一旦、これと決めたら、その制度に関する法令、規則に従わねばならないし、なければ制定しなくてはならない。

3、憲法第31条は、「何人も、法律に定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。」と定めている。これは刑法に関することであるが、その枠を超えて法律に基づく行政行為(行政手続)一般をも規定するものと解釈されている。
 法律に基づく行政 は今日行政法学五の基本テーマであり、特に公金の支出など財務会計行為については、厳格に法律に基づいて執行されねばならない。上掲の原判決の判示は、制定された法令や条例があってもこれを無視して首長の裁量で行政を行ってもよいという途方もない無法行為の容認であり断じて許されない違憲判断である。

以上の通り原判決は憲法違反や、理由齟齬、理由不備など重大な欠陥があり、これを破棄しなければ著しく正義に反するものと思料する。

東洋町職員措置請求書
                    平成28年7月  日
東洋町監査委員殿
                    請求者
                    住所
                    氏名           職業
                        
(措置請求の趣旨)

東洋町は平成23年11月に野根漁協を介して特定漁家に対し1千万円の貸し付けを行ったが、現在において1銭の返済も受けていない。1年間の据え置き期間を置きその後毎年200万円の返済を受けることになっているが、町長はこれまでその徴収を怠り、今後もそのまま放置する可能性がある。町長松延宏幸は、速やかに本件貸付金の回収をする義務があり、そうしないなら、松延宏幸自身がこれの全額賠償責任がある。

(請求の理由)

東洋町は、平成23年11月野根漁業協同組合に対し、特定漁家に対して又貸し資金として1千万円(無利子)を貸し付けた。返済は貸し付けた年度を除外して翌年から年に200万円となっていた。新聞報道では、現在まで東洋町は貸付先関係者から1銭も返済金を徴収していない。

平成25年度から計算してもすでに4年目(24年度から計算して5年目)であり、このまま未回収では1千万円がまるごと町の損害金となる。この貸付金については現在の漁協は理事会、組合員総会で正規のものではないとして否認している。
しかし、貸付当時の漁協理事を名乗る者に責任があることは明らかであり、また、その理事の手による返済について滞納した場合法的措置を取られても構わないという「確約書」も東洋町は徴取している。

町長松延宏幸は貸付金のうち少なくとも3年度分の徴収を怠っていることは明らかであり、残る2年度分も徴収しない可能性がある。
東洋町は、すみやかに、又貸しを受けた漁家(その連帯保証人)又は当時の野根漁協理事を名乗る者らから本件1千万円の返済金を徴収するか、それともこの貸付を実行した町職員に弁済させるなど適切な措置を取る義務がある。

よって地方自治法第242条の規定に基づき、住民監査請求を行う。

 (添付書類)1、借用書
  同    2、確約書(6名分)
  同    3、確約書(2名分)
  同    4、高知新聞記事(平成28年7月16日号)

訴   状
          高知県安芸郡東洋町大字河内405番地1         
          原告 澤山 保太郎
          高知県安芸郡東洋町大字生見758番地3      
                被告 東洋町長 松延 宏幸

  損害賠償請求事件 
 訴訟物の価額 160万円
貼用印紙額  1万3000円

   【請求の趣旨】

1、被告は、東洋町長松延宏幸に対し、東洋町財務規則第30条に基づき前任の野根漁業協同組合理事らに対して貸付金1000万円の弁済を確保する法的措置(滞納処分)をとらなかったことによる損害金(少なくとも600万円)を松延宏幸が町に対して弁済することを求めよ。

2、訴訟費用は被告が負担する。
との判決を求める。

【第1、当事者】

1、 原告は、東洋町の住民であって、本件について平成28年7月19日に東洋町監査委員会に住民監査請求をし、平成28年9月15日付の請求棄却の通知を受けたものである。

2.被告東洋町長松延は、平成23年4月から現在まで東洋町長であり、本件貸付を実行し、その貸付金を回収する義務あるものである。

【第2、請求原因】

一、監査委員の請求棄却理由

前記東洋町監査委員の棄却理由によると、松延宏幸東洋町長は、
①平成25年度分、②平成26年度分、③平成27年度分について納入通知書や督促状
を野根漁業組合(以下野根漁協と呼ぶ)に書留郵便などで送付しており地方自治法240条第2項、地方自治法施行令第171条の義務を履行し、かつ東洋町財務規則第29条に基づき期限を付けて督促状を出しているから、松延宏幸に本件貸付について違法行為はない、というものである。

二、しかし、仮に、上記①、②、③、の督促等の行為が事実有効に行われたとしても、地方自治体は、滞納金についてただ督促状を発行しておればよいというものではない。
前記東洋町財務規則の第29条に続く、第30条第1項には
「歳入管理者は、前条の場合において、当該督促を受けた者が指定された期限までにその金額を納付しないときは、法第231条の第3項の規定により地方税の滞納処分の例により処分することができるものについては、速やかにその処分に着手しなければなら ない。」との規定があり、第2項には

「2 前項の場合において財産の差し押さえについては、町長が、その命じた職員をして行わせるものとする。」との規定がある。上記①,②,③についてはすでに指定した納期を過ぎているか、間もなく過ぎるものである。
東洋町財務規則第30条に基づき松延宏幸は、「地方税の滞納処分の例により」本件貸付金の滞納について処分をする義務がある。

少なくとも、平成25年度分、26年度分、27年度分、各200万円の債権について法的な滞納処分を取らないのは、違法であり、松延宏幸に弁済の義務がある。
また、28年度分、29年度分の各200万円についても督促する相手が間違っているなどの理由で回収する見込みが全くなく、回収しようとする意思さえ不明確である。
三、本件貸付金は、東洋町が、平成23年6月の台風で東洋町沿岸の多数の漁業者が甚大な被害を被り、その救済策として、被害漁具などの修繕などのために1000万円を限度とする貸付金制度を設けたものである。しかし、松延宏幸はこれを一般に公布せず野根漁協を迂回して特定一漁家にだけこの資金を全額融資することにした。

 迂回融資された漁家は、この資金を申請した通りの使途に使用した形跡は全くなく、融資金を得て間もなく漁業から手を引き、返済の意思は毛頭見せていない。
 しかし、野根漁協はこの借受けについては正規の理事会、正規の総会の決議を経過していず、返済の義務を否定していて督促状等も全て東洋町役場に返えしているとのことで、本件貸付金の弁済は全く見通しが立っていない。
四、被告は、松延宏幸が、野根漁協に対して本件貸付金について納付書や督促状等を送付したというが、野根漁協は別訴事件において本件貸付金を否認している。
実際本件貸付金について野根漁協の理事会、野根漁協の組合員総会においてこれを借り受けるという正規の決議は存在していない。後の野根漁協組合員総会においてこれを明確に否定している。

 但し、平成23年11月本件貸付金1000万円の借受けについて当時野根漁協理事会を名乗る「理事」達が、この借受け金について返済の責任を取るとの「確約書」(甲第3号証)が存在し、それによると、差し押さえなど法的措置を取られても構わないという趣旨の誓約が明記されている。松延宏幸もその「確約書」を信じて本件貸付金を融資したと推定される。

従って、松延宏幸が本件貸付金返済の督促をする相手は、1000万円の又貸しを受けた本人(松吉保、松吉保彦親子)を含む「確約書」に署名している当時の「理事」を名乗る者に対してするべきであり、そのことが分かっていながら無関係な野根漁協に対して、督促を繰り返すのは、真面目に公金の回収をする意思がないことの証左である。
従って、無関係な団体に納付書や督促状などを送ったとしてもそれらは何の意義もなく、これまで全く借金の督促をしなかったと同然であって、これからも同じである。

 【立証方法】

一、甲第1号証  監査請求書 
二、甲第2号証  監査請求棄却通知書 
三、甲第3号証  「確約書」   
  四、甲第4号証  支出命令書
  五、甲第5号証  貸付金規則
  六、甲第6号証  借用書
  七、甲第7号証  償還計画書
八、甲第8号証  東洋町財務規則(抜粋)
     【添付書類】
一、訴状副本 1通
二、甲号各証 各1通
平成28年9月  日
高知県安芸郡東洋町大字河内405番地1
                   澤山 保太郎
高知地方裁判所 御中

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