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2016年7月24日 (日)

ヘリポート上告理由

News & Letters/502

平成28年(行サ)第4号
損害賠償請求行政上告提起事件
上告人 澤山保太郎
被上告人 東洋町長松延宏幸
上告理由書
                    平成28年7月  日
最高裁判所 御中
                    高知県安芸郡東洋町川内405番地1
                    上告人 澤山保太郎                
   【上告理由の要旨】

上告人は、第1審、第2審が本件について理由なく門前払い扱いで審理しなかったことは、憲法で許された国民の裁判権をないがしろにするものであり、また、その判断がこれまでの住民監査請求の期間についての最高裁判例の大勢の流れを全く無視するものであり、また、原判決には判決に影響のある重要な判断で審理不尽・理由不備があり、到底受け入れることができないので上告する。

本件第1審、第2審の判決内容は、これまで積み重ねられてきた以下の最高裁判例に著しく背反している。

①昭和53年6月23日最高裁第3小法廷判決(昭和52年行ツ第84号)
②平成14年7月2日最高裁第3小法廷判決(平成12年行ヒ第51号)
③平成14年7月18日最高裁第1小法廷判決(平成12年行ヒ第76号、85号 )
④平成14年10月3日最高裁第1小法廷判決(平成9年行ツ第62号)
また、
⑤平成9年1月28日最高裁第3小法廷判決(平成6年行ツ206号) 
等に違背するものである。

      【上告の理由】

【一】本件の概要   
  
東洋町は、平成25年6月に町議会で防災施設整備事業の予算を提案可決して2筆の山地を購入し、その土地上に平成26年11月に整備事業を完成させた。
上告人は、翌平成27年5月8日に購入した2筆の土地のうち本件整備事業で全く利用されなかった土地について監査請求を行った。整備事業終了後約半年が経過しただけであった。東洋町の監査委員会では、監査請求は請求期間を徒過しているとして却下したので、住民訴訟に及んだが、1審、2審とも請求期間を徒過しているとして却下又棄却した。
いづれも、防災施設整備事業の中で土地購入の財務会計行為を独立(継続的なものではなく「一時的」なもの)したものとして土地購入時点(平成25年7月)を起算点として判断したものである。

【二】原判決の最高裁判例違反及び法令適用の誤り

一、 しかし、第一に、上告人は、特定目的のための土地購入は、その目的の事業と切
り離すことは不自然であり、土地購入→施設建設は一連の継続事業であることは明らかであり、その土地購入の適否の評価は購入目的である施設建設抜きには不可能であって、継続事業として一体的に捉えられるべきであると考える。事業が継続中にその事業の一環としての土地購入の適否について監査請求はできない。この主張は上告人独自の見解ではない。上告人の主張は、平成9年1月28日の最高裁判例(平成6年行ツ第206号)の趣旨に合致するものであり原判決はこれに違背するものである。

すなわち、最高裁判例は
「財務会計上の行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実とする住民監査請求において、右請求権が右財務会計上の行為のされた時点においては未だ発生しておらず、又はこれを行使することができない場合には、右実体法上の請求権が発生し、これを行使することができることになった日を基準として同項の規定を適用するべきものと解するのが相当である。」という。

 従って仮に原判決が言うように本件監査請求がいわゆる不真性怠る事実に係る請求であったとしても上に引用の最高裁判例が該当する。土地を購入した時点では、土地の利活用の有無は判断できず、その上の施設建設の完了を待たなければ、財産管理の不正について監査請求はできない。上告人の監査請求書に「不正な支出」とあるのはあくまでも施設建設後の土地利用の状況から遡及して判断したものであることは明らかであろう。

 本件土地購入の平成25年6月~翌26年11月が本件整備事業の継続的な期間であり、それが終結した平成26年11月を起算点として監査請求期間を算定するべきであるから、それより半年後の本件監査請求は適法であると考える。

二、また、第二に、本件監査請求では、土地代金が法外に高額であり、ただ同然の山地を坪数百万円で購入しているが、請求自体は、本件整備事業で使用されなかった土地に限定しており、その代金を不正支出であるとして地主に土地を返し、その分の土地代の返済を求めることを請求したものであって、土地の購入代金が不当に高額だとか、本件支出命令が違法だとかという追求は第二義的なものにすぎない。

本件監査請求は明らかに、購入した土地という不動産の管理についての請求であって、活用されない土地についての処分(土地の返還と代金の返還の請求)を問題にしている。
原判決が言うように、「特定の財務会計上の行為を違法であるとし、当該行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実としている・・」(いわゆる不真性怠る事実)などというものとは全く事案を異にしている。土地という財産購入そのものについてではなく、購入した土地の活用の在り方から本件請求はなされている。

原判決は、昭和62年2月20日の最高裁判例を誤って適用しているといわざるを得ず、本件が地方自治法第242条第1項の、違法に財産の管理を怠る事実(真正怠る事実)についての監査請求であることを見ず、法令適用の明らかな誤りを犯したものというべきであって、昭和53年6月23日最高裁第3小法廷判決(昭和52年行ツ第84号)に反する。すなわち、

この最高裁判例は、「当該規定による怠る事実に係る請求については、同条2項の適用はないとと解すべきものであるから、被上告人らの本件監査請求については所論の期間徒過の違法はない。」とした。「当該規定」というのは地方自治法第242条第1項の規定である。

三、またさらに、

  原判決は、購入したが全く使用しなかった「本件土地1」(高知県安芸郡東洋町河内字大野部1436番14)を含む「それ以外の部分」について、元々この土地上には防災施設をはじめから建てる予定がなかったものであると認定した。すなわち、
「本件土地のうち、実際に防災拠点施設等が建設されるのは本件各土地のごく一部であることや、本件各土地のうちそれ以外の部分については、防災拠点施設等が建設することが予定されていなかったことも知ることができたといえる。」(第1審判決9頁)という。
本件防災拠点施設が建設されたのは「本件土地2」(東洋町河内字大野部1436番1)16町歩の一部(約5反)ほどであり、もう1筆の「本件土地2」の上には全く何も建てられなかった。

「本件土地2」も「本件土地1」も町議会では別箇の議案としてそれぞれ防災拠点施設建設の名目で購入が提案されて、可決したものであるが、曲がりなりにも前者の土地のごく一部上には防災施設が建てられたが、後者「本件土地1」上にははじめから施設建設が予定されていなかった、それは誰でもわかることであった、と原判決は言うのである。
だれでも知ることができたのかどうかは別として、使用しない土地であることがはじめからわかっていて、それでもなおこの土地(地元土建業者所有)を相場の数十倍の値で購入したという行為は、背任の罪に該当することは明らかである。

購入したが結果として利用しなかったというのではなく、原判決は、はじめから利用する計画はなかったというのであるから、犯意は明瞭であろう。

このような職員の背任など不法行為に原因する損害に係る監査請求では、本件行為が、財務会計行為の違法によるかどうかの判断に基づく期間の計算による制限(地方自治法第242条第2項規定)は該当せず、いわゆる真正怠る事実の違法(本件の場合刑法に係る不法行為による損害についての請求権)についての監査請求期間(期間制限なし)でもって判断されるべきである。これは上告人の独自の判断ではなく、平成14年7月2日最高裁第3小法廷判決(平成12年行ヒ第51号)の判示するところである。

すなわち、
「本件監査請求について監査委員が監査を遂げるためには、県の財務会計行為である請負契約の締結の事実やその代金額が不当に高いものであったか否かを検討せざるを得ないが、Xらの行為が不法行為法上違法の評価を受けること、これにより県に損害が発生したことなどを確定しさえすれば足り、県の契約締結やその代金額の決定が財務会計法規に違反する違法なものであるか否かを判断しなければならない関係にないから、本件監査請求には本件規定は適用されない。」

適用されない「本件規定」というのは地方自治法第242条2項の監査請求期間1年以内という規定のことである
本件の場合も、土地代金の法外な高さを指摘したり、不要となった土地の代金についてこれを「不正な支出」と断定し財務会計行為の違法性を追求せざるを得ないが、その不正の内容は、財務会計行為上の不正だけでなく背任という不法行為であり、背任行為としての評価を理由に不要な土地の返還と代金の回収を求めていることは明らかである。
上に引用した最高裁判決の趣旨は、平成14年7月18日最高裁第1小法廷判決(行ヒ第76号ないし第85号)、さらに平成14年10月3日最高裁第第1小法廷(平成9年行ツ第62号)のそれぞれにおいて繰り返し引き継がれている。

四、被上告人は、2筆の各土地について町議会で別々に防災拠点施設建設用地として提案
理由説明(甲第3号証1,2)を行った。その当時一般町民がその提案理由説明を疑うこと
ができたであろうか。原判決のいうように「本件各土地のうちそれ以外の部分について
は、防災拠点施設等が建設することが予定されていなかったことも知ることができたと
いえる。」という。購入した2筆は合わせると21町歩であり、利用したのはそのうちわ
ずか5反ほどであった。丸まる1筆6町ほどを合わせ残り20町5反について何も利用
する計画がないなどという東洋町側の説明は町議会でも町の広報誌でも何にも知らされ
ていない。

 議会での土地購入議案の説明では、2筆の土地に防災拠点施設を作るというものであった。被上告人やその一部の部下以外に、提案理由説明以外の意図(土地は購入するが利用するわけではない)を誰が見抜けたであろうか。
特定の目的に使わないということが一般に分かるのは、その特定目的の事業が完了してからであって、数年度にわたるその事業中では分からない。

 従って上告人の監査請求は、土地購入して施設建設が行われた平成25年~27年11月までは、土地代が高額だとか、支出命令が違法だとかいう監査請求はできるが、購入した土地が購入目的に適っているかどうかについての財産管理にかかる監査請求はできない。早くても平成27年度の当初予算(平成27年3月下旬に議会に上程される)にその土地上に施設建設の追加予算計上があるかどうかを確認してから監査請求するのが関の山であろう。上告人は平成27年3月議会終了の1カ月後に本件監査請求をした。

 首長が当初から利用する計画がないのに、あたかも一定時期に利用するかのように議会や町民を偽って財産を購入した場合、それが一部は本当だが大半は偽りであるということは分からないから、いよいよ利用する計画がないという事実を確認してからでないと監査請求はできない。このように事件が隠されたり、住民をだましたりして行
われた事件の場合には地方自治法第242条第2項で請求期間を超過する監査請求であ
っても「正当な理由」があればこれを認めることになっている。

最高裁第1小法廷平成14年9月12日の判決(平成10年行ツ第69号)は、
 「法242条2項本文は、普通地方公共団体の執行機関、職員の財務会計上の行為は、たとえそれが違法、不当なものであったとしても、いつまでも監査請求ないし住民訴訟の対象となり得るものとして置くことは法的安定性を損ない好ましくないとして、監査請求の期間を定めている。しかし、当該行為が普通地方公共団体の住民に隠れて秘密裏にされ、1年を経過してから初めて明らかになった場合等にもその趣旨を貫くのが相当でないことから、同項ただし書きは「正当な理由」があるときは、例外として、当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過した後であっても、普通地方公共団体の住民が監査請求をすることができるようにしているのである。」という。

 原判決は、既述の通りはじめから全く利用しないとして少なくとも1筆の土地を購入したというのであり、住民をだました事実を実質的に認めたのである。本件土地購入には一部は防災拠点施設建設用地に供するという計画以外に隠された意図があったの
でありこの場合、地方自治法第242条第2項の「正当な理由」の規定を適用するべき
であって、原判決はこの適用を誤ったものである。

三、原判決の審理不尽又は理由不備

1、原判決は、本件監査請求について「本件各土地に係る売買契約及び支出命令が違法であるとし、当該行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実としたもの」(第1審判決10頁下段)であると認定して本件訴えを棄却した。

しかし、第1審判決8頁上段「カ 本件監査請求の趣旨の記載は、次の通りである。」として(ア)、(イ)の二項に分けて認定しているが、その内容は明らかに判決が言うようなものではない。

(ア)も(イ)も両方の請求内容は、「不正な支出」を追及するものであるが、主眼は不要である土地について「相手地主に土地を返し代金を返還」してもらうことを請求するものである。原判決、第1審判決もその記載を認めている。それは本件購入土地のうち、利用されなかった土地についての監査請求であり、売買契約や支出命令が違法であるかどうかについてではない。

不要となった土地の地主への返還、代金の回収を求める請求は、売買契約や支出命令を前提にしている。公金の「不正支出」の指摘の記載があるからといって、本件請求の趣旨が支出命令等の違反に限局されることはない。購入した土地の利用、財産の処分についての監査請求であることは(ア)、(カ)に分けて認定された通りであり、原判決は本件監査請求について認定した事実(真正怠る事実)と棄却(却下)した理由(不真性怠る事実)との間で大きな乖離があり、審理不尽か理由不備のそしりを免れない。もし、原判決が言う通りであれば、「当該行為の違法、無効」として本件整備事業のうち全ての土地代金をまな板に載せる必要があり訴訟の請求金額が大きく相違しなければならない。本件は、利用する予定のない土地についての監査請求であり、予定がなかったことについては知り得ないことであった。

2、第1審(原)判決は、9頁下段で、「本件土地のうち、実際に防災拠点施設等が建設されるのは本件各土地のごく一部であることや、本件各土地のうちそれ以外の部分については、防災拠点施設等が建設することが予定されていなかったことも知ることができたと言える。」(下線上告人)と判断したが、どうして「知ることができた」と言えるのか理由が何も記載されていない。本件について町民が知ることができるのは議会議事録や町の広報誌などごく限られたものであり、それらから、購入した土地のごく1部しか使用しない、という計画を知ることは全く不可能であろう。被上告人は議会で、「本件土地1」の上にも防災施設を作るという提案理由説明を議会でしたが、議員も住民もこれをウソであると断定することは不可能である。

仮に資料の開示請求をして当年の事業の規模を知ることができても、次年度以降の計画の有無は分からないから、議会議決字はもとより施設建設中に、購入した土地がついには無用の長物になると推定することは極めて困難であろう。「本件土地1」を含む購入した土地の大部分を利用するかどうかについて、利用しないということを、知ることができたのか、知ることができなかったのか、は本件監査請求について明暗を分ける重要な判断であるから、これについて原判決が明確な根拠を何も示さないというのは、理由不備もはなはだしい。

3、原判決は、上掲の通り、本件購入土地約21町歩のうちごく一部(約5反ほど)しか使用せず大部分が使用予定がないということを分かって購入したことを認めた。
 このことは、地方自治法第2条第14項(最小の経費で最大の効果)や地方財政法第4条(必要且つ最少限度の支出)の規定に違反するだけでなく、町に対して明らかに背任行為であることを認めたものと考えられる。「本件土地1」の所有者は地元土建業者であって、その業者の利益を図って無用であると分かっている土地を購入したということになる。原判決は、不法行為の実質を認定していながら、その不法行為による東洋町の損害について、又その損害についての監査請求を認めない。財務会計行為上の不法行為とは関係のない不法行為による損害についての監査請求は請求期間の制限は受けないというのは上掲最高裁判例である。

 背任の事実を認定して、それによる損害についての監査請求を否認するのは、前提と結論が齟齬を来していて、原判決は重要な判断において理由齟齬、理由不備であるといわねばならない。

4、使用しない、予定にない、ということを知っていながら土地や物件を買う行為について原判決は、まさか裁判官がそれを当然のことと考えている訳はないと考えるが、これを不法行為であると認定しなかった。
これは、本件事案において中核的な事実であり、これの不法性を認定しないのは重大な判断の脱漏であって、判決を左右する審理不尽である。最高裁判例では審理不尽は上告理由として通用している。
また、上告人は、第1審、2審において、本件整備事業のうち、資機材格納倉庫の工事ついては、前年度の予算が基本的に流用されており予算の繰越明許の手続きを経ていない違法なものであると主張してきたが、これについては工事の完成は平成26年11月であるから請求期間1年以内の監査請求であった。原判決はこれについても判断を脱漏しており、数千万円に上る重要な支出についての違法性を理由なく没却したものであって、到底納得できない。

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