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2016年7月

2016年7月29日 (金)

警察手眼

News & Letters/508

差別虐殺の容疑者の名前が植松という。
植松という姓は全国各地にある。
私の知っている植松は室戸市佐喜浜町の旧家である。
明治初年、日本の近代警察の骨格を形成する上で重要な役割を果たしたという人が
この植松家からでた。さとこさんという高齢の女性が古い家を守っていて、私が行けば常に歓待してくれる。

その人の名前は植松直久といい、明治15年9月21日に37歳で没した。墓は近くの墓地にある。
その人の編著作の書が『警察手眼』だ。
この書は明治以降今日でも警察とは何か官人とは何か、肝に銘ずべき格言が詰まっている。
今回の相模原の前代未聞の差別襲撃事件に対する警察の対応ついて疑問があり、この書を開いてみた。

次のように書いてあった。

「警察要旨」

「行政警察は予防をもって本質とす。すなわち人民をして過ちなからしめ、罪に陥らざらしめ、損害を受けざらしめ、もって
公同の福利を増益するを要するになり。」

「探索心得」

「声なきに聞き形なきに見るが如き無声無形の際に感覚せざるを得ざるなり。」
「怪しきことは多く実なきものなり。決して心を動かすべからず、しかれども一度耳に入るものは未だその実を得ざるといえども又怠らざるは警察の要務なり。」

相模原では、容疑者は襲撃計画まで作っていて、その対象に今回の施設の名前を挙げていた、という。

それでも警察はほとんど何もしなかった。職務怠慢というような言葉で片づけることはできない。

その根因は、どこにあるか。驕慢な権力意識だとおもう。
事件があってもできたら動かずにことが収まるほうが良い。東洋町の海の駅の放火事件のようにもみ消す。
権力を自分らが持っていてこれが最大の利権だ。人民のために動かすのは最小限度でよい。
政権に関係する政治家の犯罪事件には介入しない。甘利らは守られ、福島原発の犯人らは放免された。

権力を握りその上に安座する。それが現代の警察・検察の姿だ。そういう意識だから、襲撃予告が宣言された

施設を防護する処置をとらないのは当然なのだ。実際に19人もの人間が殺されてびっくりしたようにふるまっている。

『警察手眼』に聞いてみよう。
「官員は元来公衆の膏血(こうけつ)をもって買われたる物品のごとし。故にその価に適当する効用をなさずんばあるべからず。もしこの効用なき者はその買主なる公衆に疎まれ又その物品中にもあやしまるる無論なり」
「それ官員は公衆の膏血をもって買われたる物品なれば、その価だけの効用なくんば人民に疾悪を受くるは言をまたざるべし。」

植松直久は、フランス流の人民を守る警察を日本に建設しようとした。
その思想の根幹には、警察や政府官員は人民によって買われた物品だという位置づけがあった。

人民主権の筋が通った警察を作ろうとしていたのである。いわく「警察官は人民の為には保傅(ほふ)の役なり」

室戸市佐喜浜の植松家は90才を超すおばあさんが元気でひっそりと守っている。おばあさんは正義感がきわめて強い

方で植松直久さんを大変大事にしている。近代日本警察を研究する学者がこれまでたくさんこの家を訪問してきたという。

またこの植松家から自由民権の有名な県会議員も出ている。
この『警察手眼』の本は、植松家にまだ幾冊かあり、分けてもらえるのではないかと思う。
この史跡を訪問したい方は私が案内します。素晴らしい史跡だが国も県も市もそのような指定はない。

100年を越えるこの古い家は地震が来れば倒壊するかもしれない。

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2016年7月27日 (水)

相模原障害者差別虐殺事件

News & Letters/507

恐るべき事件だ。世界が驚倒した。
ただの殺りく事件ではない。差別虐殺なのだ。
しかもこれを遂行したのは明らかに極右であり、安倍晋三、橋本徹、日本会議、小池百合子、在特会らにつながる連中だ。街頭やネットでヘイトスピーチをやるだけでなく、被差別者を社会から抹殺することを実行し始めたのである。

ただの狂人の行為ではない。極右の確信犯だ。「Beautiful Japan」などという書き込みが安倍らと同じ思想であることを示ししている。美しい日本のために、被差別者が根こそぎ殺される時代が始まった。

このような事態を惹起した責任はだれだ。
第一に弱者やアジア人民、被差別者に憎悪をむき出しにし、過去の侵略戦争を美化し、日本を戦争国家に引きずり込もうとする極右の台頭と、第二に解放同盟ら差別糾弾側の弱体化だ。

差別に対する火の出るような怒りの糾弾闘争が消えてから久しい。
闇にこもっていた差別者たちが、時をえ顔に白昼公然と差別言辞を吐きながら往還を歩いている。

私が、解放運動に武装闘争論を提起したのは、何よりも今回の相模原のような権力やそれにさおさす差別者たちによる差別虐殺に対する予防のためであった。被差別者は、差別虐殺に対して武装して戦わなければ、この地上に生きることができない。血の海に沈むのは無辜の被差別者か、陋劣な差別者か、どっちなのだ。それを今回の事件は突き付けている。

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戦いは続く

News & Letters/506

うその理事会名簿が功を奏し、1000万円の支払い命令を解除された東洋町長松延宏幸は差し戻された高裁でも、その嘘の効力を維持して成功を収めた。これはまだ上告審が残っている。

それとは別にすでによこしていた通り、新たな監査請求のお見舞いをくらうことになった。
野根漁協は1000万円の借財は正規の理事会や総会を通過していないとして支払いを拒否し続けてきた。

だから、1000万円の元金の返済はこれまで一銭もない。平成24年度から計算しても5年目である。
うその理事会名簿を押し通すというのであるから、それでは松延宏幸はそれらから1000万円を回収しなければならない。
その嘘の理事会は、滞納したら自分たちが法的責任を取られてもかまわない、という確約書を町に出している。

貸付金を回収する義務からは逃れられない。ここでは嘘は通らない。回収できなければ松延宏幸自身が支払わねばなるまい。

東洋町職員措置請求書
                  平成28年7月  日
東洋町監査委員殿
                  請求者 沢山保太郎
                   住所
                   氏名         職業
                   住所
                   氏名         職業
                   住所  
                   氏名         職業
                   住所
                   氏名         職業

(措置請求の趣旨)

東洋町は平成23年11月に野根漁協を介して特定漁家に対し1千万円の貸し付けを行ったが、現在において1銭の返済も受けていない。

1年間の据え置き期間を置きその後毎年200万円の返済を受けることになっているが、町長はこれまでその徴収を怠り、今後もそのまま放置する可能性がある。町長松延宏幸は、速やかに本件貸付金の回収をする義務があり、そうしないなら、松延宏幸自身がこれの全額賠償責任がある

(請求の理由)
東洋町は、平成23年11月野根漁業協同組合に対し、特定漁家に対して又貸し資金として1千万円(無利子)を貸し付けた。返済は貸し付けた年度を除外して翌年から年に200万円となっていた。現在まで東洋町は貸付先関係者から1銭も返済金を徴収していない。
平成25年度から計算してもすでに4年目(24年度から計算して5年目)であり、このまま未回収では1千万円がまるごと町の損害金となる。この貸付金については現在の漁協は理事会、組合員総会で正規のものではないとして否認している。

しかし、貸付当時の漁協理事を名乗る者に責任があることは明らかであり、また、その理事の手による返済について滞納した場合法的措置を取られても構わないという「確約書」も東洋町は徴取している。

町長松延宏幸は貸付金のうち少なくとも3年度分の徴収を怠っていることは明らかであり、残る2年度分も徴収しない可能性がある。

東洋町は、すみやかに、又貸しを受けた漁家(その連帯保証人)又は当時の野根漁協理事を名乗る者らから本件1千万円の返済金を徴収するか、それともこの貸付を実行した町職員に弁済させるなど適切な措置を取る義務がある。

よって地方自治法第242条の規定に基づき、住民監査請求を行う。

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素掘りのトンネル三津坂

News & Letters/505

高知県の県道で改良の必要な道路50数個のうち、緊急性の高い順では3番目(交通量、危険度など)に位置するトンネル三津坂トンネルは、400メートルぐらいのほとんどが素掘りのままである。

素掘りのトンネルは、主要道路では極めて珍しい。山奥のどっかの小さなトンネルを探してもなかなか見つからないだろう。

しかも1年中、水がしたたり落ちて浸潤している。十数年前から陳情を繰り返し、県議会に請願書も上げたこともあるが、未だに改良工事がなされない。県庁は、設計屋に頼んで6つのルートの案を作り、トンネルの構造図も作り、予算の概算も計算して我々に示した。だが、何者かが邪魔をしているのか一向に前に進まない。

素掘りで水が浸潤している。トンネルの壁は泥岩だが、それはもともと泥が乾燥してできたものだ。南海地震が来る前にこのトンネルは自然と崩落する可能性すらある。高知・安芸・室戸方面から徳島方面→京阪神に行く車は、岬を回らず、もっぱらこの三津坂トンネルを抜ける。高知県勢浮上は東部が開かれなければ光が入ってこない。

生きている間にこの「青の洞門」を切り開かねばならない。数日前室戸土木事務所に市民と一緒に陳情を再開した。

素掘りの県道三津坂トンネル
改替についての陳情
                    平成28年7月20日
                    室戸市・東洋町有志一同

高知県知事殿私たちは、三津坂トンネル改替については、永年来要望し続けてきましたが、
どういうわけかいまだに実現していません。
高知県も私たちの要望に応えようとして、代替の路線候補、詳しい設計図の作成、経費の算定までやってくれました。平成18年には県議会にも上がっています。

三津坂トンネル改替の必要性は今更申し上げることもなく、貴殿もよくご存知であると思います。南海地震が切迫している現在、素掘りで常に浸潤した水がトンネル内に滴り落ちている、狭く暗いトンネルです。

これを通行する車両数は県道でも上位であり、地元住民の生活道であり、また、徳島・阪神方面へ抜ける主要道路となっています。

大型車両同士では行き違いができず、一方がトンネルを通過するまで入り口で待たねばならず、トレラーなどは狭い急坂では2車線を塞いで通行せねばなりません。

今時主要道路で素掘りのままという危険なトンネルは、全国的にも珍しいのではないかと思います。これだけ改替の陳情を繰り返しても善処せず、もしものことが起こった場合貴殿はどのような責任を取られるのでしょうか。

南海地震の災害対策の観点から取り組めば優先順序は明らかです。

要望事項

1、コースを確定し
三津坂トンネル改替工事を直ちに予算化し着工してください。

2、これまでの経緯、工事の計画など室戸市、東洋町の住民への説明会を開いてください。

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2016年7月24日 (日)

鳥越候補頑張れ

News & Letters/504

病態を押して都知事選に出た鳥越候補に期待している。
東京都を非核宣言都市にするという。しかもその非核には核兵器だけでなく原発も核だというのである。
これは素晴らしいことだ。

また、都政を都民に取り戻す をスローガンにしているのはなお素晴らしい。

前に何度か書いたが、憲法前文の

       国政は国民の厳粛な信託によるものであり・・・
  
という訳文は原文の趣旨を骨抜きにしたものであり、安倍晋三に都合の良い文章になっている。

現行の文章では、国政は、国民が政治家に信託したもので厳粛なものだ、という意味になる。

国民は、選挙で自民党に国政を託した、だから選挙が済んでからは、国政を託されたのであるから俺の思うとおりにやっていいのだ、それが嫌なら選挙でかえればいい。という狂的な驕慢政治家が出てくるのである。
ヒットラー以来今日の独裁者は多くがこの考えで民主主義体制から出て、横暴な独裁政治を行ってきた。

しかし、憲法の原文はそうではない。

   Government  is  a  sacred  trust of  the  people   

この英文の正確な翻訳は、 国政は人民の神聖な信託物であって、・・・ となる。
  trust は前に不定冠詞の a  がついているから普通名詞であって、信託された物 となる。

 of the people  の of は所属を表す前置詞であるから、この trust  は人民のもの ということになる。

だから、国政は国民が誰かに託すものではなく、何者か(sacred とあるから多分天からであろう)によって人民に信託されたもので、神聖なものだということなのである。ここに近代自然法の思想が入っているのである。
都政を都民に取り戻すというのは、鳥越さんに都政をお任せする、信託するというものであってはならない。

選挙の時はもとより、選挙が済んで日常的にあらゆる機会をとらえて都政を直接的に動かしていく努力が必要であり
間接的ではなく、直接民主主義体制をいかに構築するかという問題である。
鳥越さん一人が都政に入っても都民のこの努力がなければ、鳥越は圧倒的な行政官僚の海の中に飲まれてしまうだろう。

鳥越の私生活上にどのような古傷があろうとも、完全無欠という仙人のような人はいないのであるから、それを攻撃されてもじっと耐え忍んで国民の期待を実現してほしい。

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避難タワー上告理由書

News & Letters/503

平成28何(行サ)第5号
損害賠償請求上告提起事件
上告人 澤山保太郎
被上告人 東洋町長松延宏幸

   上告理由書

最高裁判所御中 
                   平成28年7月
                   上告人 澤山保太郎

【上告理由の要旨】

原判決には、建築確認がなされていない設計図で公共の建造物を建設したものであり、建築基準法第6条第1項に反する違法のほか、根拠もないのに数千万円の工事費の水増しや、また、予算の違法な繰越を行うなどの違法行為についてこれを容認するなど、法令適用、法令解釈の誤り、審理不尽・理由不備の判断が重畳しており看過することができないので上告するものである。

  【一】本件の概要及び経緯」

東洋町は、平成24年度事業として同町生見地区で津波避難タワーの建設工事を予算化したが、どういうわけかその実際の事業開始は24年度の年度末の平成25年3月以降となり、同年3月18日に指名競争入札を行い川村総合建設(これを単に川村と呼ぶ)と工事請負契約を締結した。

落札価格は7854万円であった。川村は同25年3月28日に着工した。
当然平成24年度内には完成することは不可能であったところ、さらに被上告人には工事請負契約が締結される前の3月15日に県庁から本件津波避難タワーの建築確認が下りないという通知を受けていた。

本件工事に係る設計書は設計業者「かめお設計」によって当初平成25年2月25日に作られていて入札は建築確認がされないその設計書に基づいてなされていた。
その後同平成25年8月にようやく県庁の建築確認がなされて、着工ということになったが、理由もなく延期を重ね、ようやく翌年平成26年3月になって完成されたというものである。しかし、県庁によって補正を求められた新たな変更設計は工事がほとんど完了した、平成26年3月5日に議会に提出され承認された。

そうすると、建築確認後の工事においても変更設計書に基づいては本件工事は行われていなかったということが分かった。
そこで、上告人は、東洋町監査委員会に、本件建設工事は、建築確認がなされない設計書によるもので違法であり、工事内容も請負業者川村のいうままに工期を何度も遅延させ、川村自身は、ほとんどの工事に携わることなく一括して複数の下請け、孫請け業者に丸投げするのを放置し、実際には安く上がった杭打ち工事についてこれを逆に水増し追加予算を計上するなど業者のいいなりにしてやっと完成させたものであって、請負契約及び支出命令など財務会計行為が違法であるとして、変更された請負契約9300万円から実際の経費である5066万円を差し引いた残額を町の損害だとして返還を求めた。

監査請求は棄却され、住民訴訟となったが、第1審高知地裁は、以下の通り上告人の主張をことごとく否定し、被上告人の無法行為を容認して本件訴えを棄却した。

   【二】原判決の法令違反の判断

一、建築確認が下りない設計書

1、建築確認なしの設計図で請負契約

既述の通り、本件工事は正規の建築確認がされていない段階で工事請負の業者を決める指名競争入札が行われ、落札者と即日平成25年3月18日請負契約がなされた。
しかしこの時より3日前被上告人の所には高知県庁から建築確認ができない旨の通知が来ていた。原判決も「高知県建築主事は、同年3月15日付で、東洋町に対し、同建築確認の申請における構造図、避難棟電算等に対する指摘事項を挙げ、一次判定を保留するとして、建築基準法第6条1項の建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができないと通知し・・・・」という事実を認めた。

これは、被上告人が当初に作成した設計図(甲第8号証)が建築基準法に照らして不十分であり許認可に等しい建築確認を取れないということであって、この設計書で請負契約をし、発注することは違法な行為であることは明らかであった。
しかし被上告人はこの設計書で未だ確認申請書の補正がなされないうちに敢えて入札・契約を強行し、本件工事を発注した。それによって川村は同年3月28日に本件工事を着工したのである。この着工は数日後の4月1日に中止となったが、建築工事を始めたことは変わりがない。

この行為は建築基準法第6条第1項の規定に違反(建築確認なしの建築物の着工)し、同法第98条以下の罰条(懲役3年以下など)の対象になるものである。
地方自治法第2条第16項の「地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない」という規定は鉄則であり、ひとり地方公共団体だけでなくあらゆる企業や個人の活動に当てはまることである。

だが、原判決は、本件工事を一時中止した、その間同年8月14日に建築確認が得られて、本件工事が完成した、だから「本件請負契約締結時点で建築確認がされていいなかったとしても、そのことをもって、本件支出命令が財務会計法規に違反してされたものとはいえない。」(第1審判決文10頁上段)といって被上告人の違法行為を容認した。
しかし、中止したとしても着工したのは事実であるし、第一、原判決は、本件請負契約そのものが違法、無効の性質をもつことについて審議を尽くしていない。
建築確認がされていない設計図で建築に関する契約を結ぶのは違法建築の契約締結であ
り、これは民法第90条(公序良俗違反)、民法第132条(不法条件を付した法律行為)に該当し、違法行為を契約する行為は無効となる。

本件請負契約(甲第4号証)第2条第2項では、請負業者は、「別冊の設計書」などに従い契約を履行する義務が定められている。「別冊の設計書」が建築確認がなされていない場合には、契約を履行することは不可能であり、してはならないのである。

2、建設業法の規定は訓示的

また、変更された設計書での変更契約について原判決(第1審判決文11頁下段)は
「変更設計書に基づく本件変更契約が締結されたのは平成26年2月14日の時点では、本件工事の主要な部分は終わっていたとの事実が認められる。
しかし、建設業法第18条は、「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない。」と規定するところ、上記の事実から、本件変更契約の締結が同条に違反しているとは言えないし、そもそも、同条は、訓示的な効果を有するにとどまるものと解され、同条に違反したからといって、本件変更契約が無効になるわけでもない。」という。
工事が終わってからその工事についての契約を締結する行為が、公正な契約と言えるだろうか。すでに実行され実現されたことについてこれから実現するぞという契約はふざけたものであって「信義」や「誠実」からはるかに離れたもので、むなしい虚盲の契約というべきである。実行不能な事柄についての契約は民法の規定では無効なものである。
 建設業法第18条の規定を「訓示的な効果を有するにとどまるもの」というが、信義則 
 に違反する行為は違法かつ無効であって、信義則は決して訓示的な法則ではない。
 原判決は、工事が終わってから契約したという事実(信義則違反)を認定していながら、
 建設業法第18条の信義則の規定の効力を否認して、本件変更契約を適法と判断する。原判決は、公序良俗に反する無効な契約を肯定するために、日本の有効な法律の効果を否定した。法律の効果を否定するこの法意識は特定の法令違反を超えて日本の法治主義の司法秩序を逸脱するものであって、裁判所のよって立つ根拠を否定するものである。到底承服できない。無論、無効な契約に基づく公金の支払いは違法である。

3、推認

8月14日の建築確認後工事が再開されたが変更設計書はできていなかった。変更設計書(甲第9号証)は翌年の2月26日に出来上がり議会で承認されたのは同年3月5日なのである。

地下十数メートルの杭打ち工事の変更を含む変更設計書が議会に提出されたときには、本件工事のほとんどが完成していた。川村は変更設計書なしに、建築確認前の設計書(甲第8号証)か、又は、設計書なしで本体工事を遂行したことになる。原判決はこれについて
「かめお設計が、平成25年2月25日、本件工事の実施設計書を作成したこと、高知県建築主事は、同年3月15日、かめお設計が作成した設計書に対して指摘事項を挙げて補正を求めたこと、かめお設計は、同年8月9日付で、高知県建築主事に対し、図面等を添えて追加説明書を提出し、指摘事項につき補正を行ったこと、高知県建築主事は、同月14日、本件工事について建築確認をしたこと、川村総合建設は、同月15日から工事に再着手したことは、上記認定事実の通りである。これらの事実によれば、本件工事は、かめお設計の作成した設計書に従って進められたものと推認されるのであって、本工事が資格ある建築士の手による設計書なしに進められたとの事実は認めるに足らない。」と判断した。

(下線部上告人)

工事がどのような設計書で遂行されたかというのは、最重要な判断で、客観的な資料に基づいて判断すべきであって「推認」でもって裁判をするような問題ではない。
本件工事についての設計書は甲第8号証と9号証だけであり、前者は建築確認未済のもので使い物にならず、後者は工事がほとんど完成してから出てきた設計書であるから本件工事とは無関係であって、この二つの書証しかない。

「かめお設計の作成した設計書」で本件工事を遂行したというのであれば、甲第8号証の設計書か、それとも他の第3の設計書(又は本件請負契約書第19条の設計変更の書面による通知など)を確認するべきであって、裁判官の「推認」でもってそれに代替するわけにはいかないはずである。

裁判官は本件工事遂行段階の設計書等が他にあると考えるのであれば職権でもって被上告人に釈明を求めることができた。必要な場面で釈明権の不行使は審理不尽の典型的な事例であって上告理由となるとする有力な学説がある。
本件訴訟の中核的な争点で釈明権を行使して証拠を確かめずに「推認」で判断を下すというのは審理不尽もはなはだしい。

二、工事終了後の変更設計による工事費の増額

1、 原判決は、「本件工事が着工直後に中断され、その後設計が変更されたことに伴い請負工事代金が増額されたとしても、それは、本件工事を落札した事業者に対して契約上の合意に従った取扱い・・・」であって、川村以外の業者が落札しても異なることはなかったから問題がないという。しかし、「設計が変更されたことに伴い請負工事代金が増額された」というが、その変更設計は本体工事がほとんど終わってから作成され議会で承認されたものであった。

上述のように原判決も変更設計が出てきたのは本件工事の主要な部分が終わってからであったと認定した。しかしここの文章では、設計が変更されて工事代金が増額となって工事がなされたようになっている。原判決は事実の経過、工事遂行→変更設計を正しく認定していながら、肝腎な争点にかかると、変更設計→工事遂行という実際とは逆の経過を想定してそれに基づいて判断をする。変更設計→工事遂行の経過は通常あるべき姿であるが、実際は逆のことが行われたというのが本件の特徴なのである。

原判決は事実と理念とを取り違えた。何故このような取り違えが合理的なのか理由が明らかでなく理由不備のそしりを免れない。川村は設計書も工事変更の通知もなしに勝手に工事をし、後から値上げを言い出したというのが事実に基づく推認であろう。

2、その工事代金の増額も全く根拠がない。主な設計変更は鋼管杭打ちを→生コンクリ―ト打ち込み方式に替えたというものである。しかし、上告人が原審や控訴理由書で明らかにしたように、川村は本体工事から付帯工事までの全ての工事を下請けにやらせたのであるが、その下請けの工事費の総額は、五千数百万円程度であり、元の契約金7800万円でもほとんど何もしなかった川村にはいながら数千万円の利益となるものであった。杭打ち工事だけを見ても当初の見積もり額よりも少ない金額で下請けにやらせていたことが明らかであって、そのことは上告人の訴状の段階で証拠をもって立証していた。

 原判決は、「かめお設計が平成25年2月25日に作成した実施設計書においては、本件工事の杭打ち工事(回転圧入工法)の工事費は1194万2000円とされていたこと、かめお設計が平成26年2月14日に作成した第1回変更設計書においては、本件工事の杭打ち工事(オールケーシング広報、分解型全集回転方式)の工事費は2754万1540円とされていたことが認められる。この点につき、原告は、鋼管杭打ちを場所打コンクリート杭打ちに変更した場合、金額は安くなるはずであると主張するが、この主張を裏付ける証拠は何ら提出されていないから、原告の主張を採用することはできない。」という。(下線部上告人)

 この工事代金の増額は、訴訟の重要な争点であり、生コン杭打ちの方が安くなるという上告人の原審での主張は証拠(下請けが実際遂行した本件工事の杭打ち工事費は1155万円 甲第7号証)をもって証明していた。この証拠は被上告人が開示した資料である。 鋼管杭打ちと生コン打ち込みとの工事費の差額は一般的な評価ではなく実際の費用でもって証明したのである。原判決は、判決に直結する決定的な証拠の評価について審理不尽を露呈していて、提出された証拠を確認せず、増額する必要のない工事費の不当な水増しを容認したのである。

三、下請けへの丸投げ

原判決は「上記認定事実(10)によれば、川村総合建設は、工事ごとに下請け先を選定しており、本件工事を一括して他人に請け負わせてはおらず、また、川村総合建設が本件工事の大部分を一業者に下請けさせたと認めるに足りる証拠もないから、建設業法第22条1項に違反するとする原告の主張を採用することはできない。」という。そしてその「認定事実(10)」には次のように記載されている。

「川村総合建設は、鉄骨工事につき有限会社高南製作所との間で杭地業工事につき有限会社ベイシス高知との間で、ユニット及びその他工事につき林電設との間で、鉄筋工事につき安岡工業との間で、防水工事につき仙頭防水との間で、それぞれ下請け契約を締結した(甲7,11の1~5)。」

甲第7号証の「工事作業所災害防止協議会兼施工体系図」によれば、本件工事は、①杭工事、②鉄筋工事、③鉄骨工事、④ユニット及びその他工事、⑤防水工事の 5つの工事があったが、その全部が下請けに出されたことを原判決は認めた。
建設業法第22条第1項の規定は、
「建設業者は、その請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。」となっている。
原判決は、下請け業者が一つではなく複数であるから、この法律の適用はないと判断したと考えられる。

しかし、この規定で、「一括して他人に請け負わせる」という「他人」とは、必ずしも単数企業に限定しているとは読めない。国交省の通達(甲第23号証)でも、元請け業者がその業務の全てを分割して他人に請け負わせる場合も含むと解説されている。すなわち、
「いかなる方法をもってするかを問わず」とは、契約を分割したり、あるいは他人の名義を用いるなどのことが行われても、その実態が一括下請けに該当するものは一切禁止するということです。」
請け負った元請け業者が基本的に責任をもって工事を遂行するという法律の趣旨からして、この通達は当然の解釈である。

原判決は建設業法第22条の1項の規定と、同条第2項の規定を一緒にして解釈しているのかもしれない。同条第2項の規定は建設業者は一括して工事を下請けしてはならないというものであり、第1項の規定と2項の規定を合体すれば原判決の様な狭い解釈となるであろう。別箇の法律の規定を勝手に合体させて悪徳業者に有利に捻じ曲げることは許されないだろう。

現実には、原判決は請け負った工事の全てを分割して下請けをさせればこの建設業法の規定を免れるという脱法的な考えを助長することになる。業者がそのような脱法目的をもつことはあり得るが裁判所がそのような脱法行為を容認することは法令解釈の誤りというよりも裁判所の倫理性が問われる事態であろう。

原判決は、建設業法第22条第1項の法律の解釈において立法者側の意図するところを性格に捉え、法律の趣旨を貫徹するという点で、審理不尽・理由不備に陥っている。

四、繰越明許の手続き

 地方自治法第208条では、「各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもって、これに充てなければならない。」という会計年度独立の鉄則が定められている。
よほどの理由がなければ予算を翌年度に繰り越して事業を行うことは許されていない。
しかし、地方自治法第213条において二つの要件を定めて、予算の翌年度繰り越し執行を認めてる。それによると、歳出予算の経費のうち①「性質上」 ②「予算成立後の事由」により、年度内にその支出を終わらない見込みのあるものについて翌年度に予算の繰り越しを認めている。ここで避難タワー建設事業ではその「性質上」というのは全く論外であるから、予算成立後の事由の有無とその内容が吟味されねばならない。

本件事業は平成24年度の分であって、平成25年3月末日までに支出(事業)を終わらせなければならなかった。少なくとも支出負担行為決議書は24年度内にしなければならなかった。しかるに、甲第18号証の1の支出負担行為決議書の日付は平成25年4月1日付になっている。繰越明許費は、年度内に予算を執行しようとしたが何かの事故など特別な事情があって執行できなかったという予算に限定されている。しかし、本件事業については、年度の終末の3月下旬にアリバイ的に入札や請負契約を結んだが、肝腎の支出負担行為を年度内にせず、はじめから翌年度に支出するということになっていた。支出負担行為の決議は予算執行(支出命令)の財務会計行為で最重要な事務手続きであり、その年度内に予算を執行するという意思表示である。

甲第18号証1の証拠は、被上告人が、本件事業を平成24年度に完遂しようという意思がはじめからなかったことを証するものである。原判決は、第1審判決13頁の下段で、県庁から避難タワー建設の手引書の発行の予定があったなど予算成立後の取るに足りない事情を縷々述べているが、その事情は、支出負担行為の決議を年度内にしなかったということまで弁護することにはならない。

又この当時には高知県下太平洋沿岸の市町村で多くの避難タワー建設がすすめられたが、県庁の手引書発行を理由として工事が滞ったという事例は1件も報告されていない。
年度末になって設計書を作成したり、建築確認申請をしたり、請負契約の入札をしたり、あまつさえ支出負担行為の決議を翌年度にするなどというのは、はじめから年度を超えての予算執行を目論んでいた証拠であるから、繰越明許の制度を使うことは理由がなかったのである。

原判決は、甲第18号証1の書証の意味を理解せず、地方自治法第213条の繰越明許の規定の意味を吟味せず、特段の理由もないのに本件予算の繰越明許を認めたものであって、法令適用、法令解釈において審理不尽・理由不備を来している。
繰越明許が不法行為であり無効となれば、本件支出の財源が消え、支出命令の根拠を失う。
   

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ヘリポート上告理由

News & Letters/502

平成28年(行サ)第4号
損害賠償請求行政上告提起事件
上告人 澤山保太郎
被上告人 東洋町長松延宏幸
上告理由書
                    平成28年7月  日
最高裁判所 御中
                    高知県安芸郡東洋町川内405番地1
                    上告人 澤山保太郎                
   【上告理由の要旨】

上告人は、第1審、第2審が本件について理由なく門前払い扱いで審理しなかったことは、憲法で許された国民の裁判権をないがしろにするものであり、また、その判断がこれまでの住民監査請求の期間についての最高裁判例の大勢の流れを全く無視するものであり、また、原判決には判決に影響のある重要な判断で審理不尽・理由不備があり、到底受け入れることができないので上告する。

本件第1審、第2審の判決内容は、これまで積み重ねられてきた以下の最高裁判例に著しく背反している。

①昭和53年6月23日最高裁第3小法廷判決(昭和52年行ツ第84号)
②平成14年7月2日最高裁第3小法廷判決(平成12年行ヒ第51号)
③平成14年7月18日最高裁第1小法廷判決(平成12年行ヒ第76号、85号 )
④平成14年10月3日最高裁第1小法廷判決(平成9年行ツ第62号)
また、
⑤平成9年1月28日最高裁第3小法廷判決(平成6年行ツ206号) 
等に違背するものである。

      【上告の理由】

【一】本件の概要   
  
東洋町は、平成25年6月に町議会で防災施設整備事業の予算を提案可決して2筆の山地を購入し、その土地上に平成26年11月に整備事業を完成させた。
上告人は、翌平成27年5月8日に購入した2筆の土地のうち本件整備事業で全く利用されなかった土地について監査請求を行った。整備事業終了後約半年が経過しただけであった。東洋町の監査委員会では、監査請求は請求期間を徒過しているとして却下したので、住民訴訟に及んだが、1審、2審とも請求期間を徒過しているとして却下又棄却した。
いづれも、防災施設整備事業の中で土地購入の財務会計行為を独立(継続的なものではなく「一時的」なもの)したものとして土地購入時点(平成25年7月)を起算点として判断したものである。

【二】原判決の最高裁判例違反及び法令適用の誤り

一、 しかし、第一に、上告人は、特定目的のための土地購入は、その目的の事業と切
り離すことは不自然であり、土地購入→施設建設は一連の継続事業であることは明らかであり、その土地購入の適否の評価は購入目的である施設建設抜きには不可能であって、継続事業として一体的に捉えられるべきであると考える。事業が継続中にその事業の一環としての土地購入の適否について監査請求はできない。この主張は上告人独自の見解ではない。上告人の主張は、平成9年1月28日の最高裁判例(平成6年行ツ第206号)の趣旨に合致するものであり原判決はこれに違背するものである。

すなわち、最高裁判例は
「財務会計上の行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実とする住民監査請求において、右請求権が右財務会計上の行為のされた時点においては未だ発生しておらず、又はこれを行使することができない場合には、右実体法上の請求権が発生し、これを行使することができることになった日を基準として同項の規定を適用するべきものと解するのが相当である。」という。

 従って仮に原判決が言うように本件監査請求がいわゆる不真性怠る事実に係る請求であったとしても上に引用の最高裁判例が該当する。土地を購入した時点では、土地の利活用の有無は判断できず、その上の施設建設の完了を待たなければ、財産管理の不正について監査請求はできない。上告人の監査請求書に「不正な支出」とあるのはあくまでも施設建設後の土地利用の状況から遡及して判断したものであることは明らかであろう。

 本件土地購入の平成25年6月~翌26年11月が本件整備事業の継続的な期間であり、それが終結した平成26年11月を起算点として監査請求期間を算定するべきであるから、それより半年後の本件監査請求は適法であると考える。

二、また、第二に、本件監査請求では、土地代金が法外に高額であり、ただ同然の山地を坪数百万円で購入しているが、請求自体は、本件整備事業で使用されなかった土地に限定しており、その代金を不正支出であるとして地主に土地を返し、その分の土地代の返済を求めることを請求したものであって、土地の購入代金が不当に高額だとか、本件支出命令が違法だとかという追求は第二義的なものにすぎない。

本件監査請求は明らかに、購入した土地という不動産の管理についての請求であって、活用されない土地についての処分(土地の返還と代金の返還の請求)を問題にしている。
原判決が言うように、「特定の財務会計上の行為を違法であるとし、当該行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実としている・・」(いわゆる不真性怠る事実)などというものとは全く事案を異にしている。土地という財産購入そのものについてではなく、購入した土地の活用の在り方から本件請求はなされている。

原判決は、昭和62年2月20日の最高裁判例を誤って適用しているといわざるを得ず、本件が地方自治法第242条第1項の、違法に財産の管理を怠る事実(真正怠る事実)についての監査請求であることを見ず、法令適用の明らかな誤りを犯したものというべきであって、昭和53年6月23日最高裁第3小法廷判決(昭和52年行ツ第84号)に反する。すなわち、

この最高裁判例は、「当該規定による怠る事実に係る請求については、同条2項の適用はないとと解すべきものであるから、被上告人らの本件監査請求については所論の期間徒過の違法はない。」とした。「当該規定」というのは地方自治法第242条第1項の規定である。

三、またさらに、

  原判決は、購入したが全く使用しなかった「本件土地1」(高知県安芸郡東洋町河内字大野部1436番14)を含む「それ以外の部分」について、元々この土地上には防災施設をはじめから建てる予定がなかったものであると認定した。すなわち、
「本件土地のうち、実際に防災拠点施設等が建設されるのは本件各土地のごく一部であることや、本件各土地のうちそれ以外の部分については、防災拠点施設等が建設することが予定されていなかったことも知ることができたといえる。」(第1審判決9頁)という。
本件防災拠点施設が建設されたのは「本件土地2」(東洋町河内字大野部1436番1)16町歩の一部(約5反)ほどであり、もう1筆の「本件土地2」の上には全く何も建てられなかった。

「本件土地2」も「本件土地1」も町議会では別箇の議案としてそれぞれ防災拠点施設建設の名目で購入が提案されて、可決したものであるが、曲がりなりにも前者の土地のごく一部上には防災施設が建てられたが、後者「本件土地1」上にははじめから施設建設が予定されていなかった、それは誰でもわかることであった、と原判決は言うのである。
だれでも知ることができたのかどうかは別として、使用しない土地であることがはじめからわかっていて、それでもなおこの土地(地元土建業者所有)を相場の数十倍の値で購入したという行為は、背任の罪に該当することは明らかである。

購入したが結果として利用しなかったというのではなく、原判決は、はじめから利用する計画はなかったというのであるから、犯意は明瞭であろう。

このような職員の背任など不法行為に原因する損害に係る監査請求では、本件行為が、財務会計行為の違法によるかどうかの判断に基づく期間の計算による制限(地方自治法第242条第2項規定)は該当せず、いわゆる真正怠る事実の違法(本件の場合刑法に係る不法行為による損害についての請求権)についての監査請求期間(期間制限なし)でもって判断されるべきである。これは上告人の独自の判断ではなく、平成14年7月2日最高裁第3小法廷判決(平成12年行ヒ第51号)の判示するところである。

すなわち、
「本件監査請求について監査委員が監査を遂げるためには、県の財務会計行為である請負契約の締結の事実やその代金額が不当に高いものであったか否かを検討せざるを得ないが、Xらの行為が不法行為法上違法の評価を受けること、これにより県に損害が発生したことなどを確定しさえすれば足り、県の契約締結やその代金額の決定が財務会計法規に違反する違法なものであるか否かを判断しなければならない関係にないから、本件監査請求には本件規定は適用されない。」

適用されない「本件規定」というのは地方自治法第242条2項の監査請求期間1年以内という規定のことである
本件の場合も、土地代金の法外な高さを指摘したり、不要となった土地の代金についてこれを「不正な支出」と断定し財務会計行為の違法性を追求せざるを得ないが、その不正の内容は、財務会計行為上の不正だけでなく背任という不法行為であり、背任行為としての評価を理由に不要な土地の返還と代金の回収を求めていることは明らかである。
上に引用した最高裁判決の趣旨は、平成14年7月18日最高裁第1小法廷判決(行ヒ第76号ないし第85号)、さらに平成14年10月3日最高裁第第1小法廷(平成9年行ツ第62号)のそれぞれにおいて繰り返し引き継がれている。

四、被上告人は、2筆の各土地について町議会で別々に防災拠点施設建設用地として提案
理由説明(甲第3号証1,2)を行った。その当時一般町民がその提案理由説明を疑うこと
ができたであろうか。原判決のいうように「本件各土地のうちそれ以外の部分について
は、防災拠点施設等が建設することが予定されていなかったことも知ることができたと
いえる。」という。購入した2筆は合わせると21町歩であり、利用したのはそのうちわ
ずか5反ほどであった。丸まる1筆6町ほどを合わせ残り20町5反について何も利用
する計画がないなどという東洋町側の説明は町議会でも町の広報誌でも何にも知らされ
ていない。

 議会での土地購入議案の説明では、2筆の土地に防災拠点施設を作るというものであった。被上告人やその一部の部下以外に、提案理由説明以外の意図(土地は購入するが利用するわけではない)を誰が見抜けたであろうか。
特定の目的に使わないということが一般に分かるのは、その特定目的の事業が完了してからであって、数年度にわたるその事業中では分からない。

 従って上告人の監査請求は、土地購入して施設建設が行われた平成25年~27年11月までは、土地代が高額だとか、支出命令が違法だとかいう監査請求はできるが、購入した土地が購入目的に適っているかどうかについての財産管理にかかる監査請求はできない。早くても平成27年度の当初予算(平成27年3月下旬に議会に上程される)にその土地上に施設建設の追加予算計上があるかどうかを確認してから監査請求するのが関の山であろう。上告人は平成27年3月議会終了の1カ月後に本件監査請求をした。

 首長が当初から利用する計画がないのに、あたかも一定時期に利用するかのように議会や町民を偽って財産を購入した場合、それが一部は本当だが大半は偽りであるということは分からないから、いよいよ利用する計画がないという事実を確認してからでないと監査請求はできない。このように事件が隠されたり、住民をだましたりして行
われた事件の場合には地方自治法第242条第2項で請求期間を超過する監査請求であ
っても「正当な理由」があればこれを認めることになっている。

最高裁第1小法廷平成14年9月12日の判決(平成10年行ツ第69号)は、
 「法242条2項本文は、普通地方公共団体の執行機関、職員の財務会計上の行為は、たとえそれが違法、不当なものであったとしても、いつまでも監査請求ないし住民訴訟の対象となり得るものとして置くことは法的安定性を損ない好ましくないとして、監査請求の期間を定めている。しかし、当該行為が普通地方公共団体の住民に隠れて秘密裏にされ、1年を経過してから初めて明らかになった場合等にもその趣旨を貫くのが相当でないことから、同項ただし書きは「正当な理由」があるときは、例外として、当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過した後であっても、普通地方公共団体の住民が監査請求をすることができるようにしているのである。」という。

 原判決は、既述の通りはじめから全く利用しないとして少なくとも1筆の土地を購入したというのであり、住民をだました事実を実質的に認めたのである。本件土地購入には一部は防災拠点施設建設用地に供するという計画以外に隠された意図があったの
でありこの場合、地方自治法第242条第2項の「正当な理由」の規定を適用するべき
であって、原判決はこの適用を誤ったものである。

三、原判決の審理不尽又は理由不備

1、原判決は、本件監査請求について「本件各土地に係る売買契約及び支出命令が違法であるとし、当該行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実としたもの」(第1審判決10頁下段)であると認定して本件訴えを棄却した。

しかし、第1審判決8頁上段「カ 本件監査請求の趣旨の記載は、次の通りである。」として(ア)、(イ)の二項に分けて認定しているが、その内容は明らかに判決が言うようなものではない。

(ア)も(イ)も両方の請求内容は、「不正な支出」を追及するものであるが、主眼は不要である土地について「相手地主に土地を返し代金を返還」してもらうことを請求するものである。原判決、第1審判決もその記載を認めている。それは本件購入土地のうち、利用されなかった土地についての監査請求であり、売買契約や支出命令が違法であるかどうかについてではない。

不要となった土地の地主への返還、代金の回収を求める請求は、売買契約や支出命令を前提にしている。公金の「不正支出」の指摘の記載があるからといって、本件請求の趣旨が支出命令等の違反に限局されることはない。購入した土地の利用、財産の処分についての監査請求であることは(ア)、(カ)に分けて認定された通りであり、原判決は本件監査請求について認定した事実(真正怠る事実)と棄却(却下)した理由(不真性怠る事実)との間で大きな乖離があり、審理不尽か理由不備のそしりを免れない。もし、原判決が言う通りであれば、「当該行為の違法、無効」として本件整備事業のうち全ての土地代金をまな板に載せる必要があり訴訟の請求金額が大きく相違しなければならない。本件は、利用する予定のない土地についての監査請求であり、予定がなかったことについては知り得ないことであった。

2、第1審(原)判決は、9頁下段で、「本件土地のうち、実際に防災拠点施設等が建設されるのは本件各土地のごく一部であることや、本件各土地のうちそれ以外の部分については、防災拠点施設等が建設することが予定されていなかったことも知ることができたと言える。」(下線上告人)と判断したが、どうして「知ることができた」と言えるのか理由が何も記載されていない。本件について町民が知ることができるのは議会議事録や町の広報誌などごく限られたものであり、それらから、購入した土地のごく1部しか使用しない、という計画を知ることは全く不可能であろう。被上告人は議会で、「本件土地1」の上にも防災施設を作るという提案理由説明を議会でしたが、議員も住民もこれをウソであると断定することは不可能である。

仮に資料の開示請求をして当年の事業の規模を知ることができても、次年度以降の計画の有無は分からないから、議会議決字はもとより施設建設中に、購入した土地がついには無用の長物になると推定することは極めて困難であろう。「本件土地1」を含む購入した土地の大部分を利用するかどうかについて、利用しないということを、知ることができたのか、知ることができなかったのか、は本件監査請求について明暗を分ける重要な判断であるから、これについて原判決が明確な根拠を何も示さないというのは、理由不備もはなはだしい。

3、原判決は、上掲の通り、本件購入土地約21町歩のうちごく一部(約5反ほど)しか使用せず大部分が使用予定がないということを分かって購入したことを認めた。
 このことは、地方自治法第2条第14項(最小の経費で最大の効果)や地方財政法第4条(必要且つ最少限度の支出)の規定に違反するだけでなく、町に対して明らかに背任行為であることを認めたものと考えられる。「本件土地1」の所有者は地元土建業者であって、その業者の利益を図って無用であると分かっている土地を購入したということになる。原判決は、不法行為の実質を認定していながら、その不法行為による東洋町の損害について、又その損害についての監査請求を認めない。財務会計行為上の不法行為とは関係のない不法行為による損害についての監査請求は請求期間の制限は受けないというのは上掲最高裁判例である。

 背任の事実を認定して、それによる損害についての監査請求を否認するのは、前提と結論が齟齬を来していて、原判決は重要な判断において理由齟齬、理由不備であるといわねばならない。

4、使用しない、予定にない、ということを知っていながら土地や物件を買う行為について原判決は、まさか裁判官がそれを当然のことと考えている訳はないと考えるが、これを不法行為であると認定しなかった。
これは、本件事案において中核的な事実であり、これの不法性を認定しないのは重大な判断の脱漏であって、判決を左右する審理不尽である。最高裁判例では審理不尽は上告理由として通用している。
また、上告人は、第1審、2審において、本件整備事業のうち、資機材格納倉庫の工事ついては、前年度の予算が基本的に流用されており予算の繰越明許の手続きを経ていない違法なものであると主張してきたが、これについては工事の完成は平成26年11月であるから請求期間1年以内の監査請求であった。原判決はこれについても判断を脱漏しており、数千万円に上る重要な支出についての違法性を理由なく没却したものであって、到底納得できない。

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2016年7月22日 (金)

都知事選挙 賭け

News & Letters/501

選挙で議員や首長を選ぶのは難しい。
政策・公約で選ぶといってもそれが実行されるか全くわからない。

自民党など本当の目的や意図を隠して甘言を弄して当選するのがおはこなのである。
地方議会や首長選挙ではなおさらだ。美辞麗句を並べて当選しても利権行政しかやらない。
実務経験があるとかいうのもまやかしだ。

そんな連中でろくな人間がいたためしがない。利権行政も一応は実務である。
鳥越さんが、テレビ討論で、誠実 という言葉を出したが、それが一番の基準であろう。
政策や実務は、役場に入ってから勉強すればだんだんにわかってくる。
問題はそのわかり方だ。誠実さがあれば、行政の基点がどこにあるか、弱者や貧者をいかにして救済するか、

その観点で地域の産業や福祉を充実させる、という政策とそれを実行する実務が出てくる。
行政は法律に基づいて遂行されなくてはならない。だから、貧者・弱者の視点での行政では憲法が後ろ盾になる。

ほとんどの首長らは、憲法の定め、最低限の文化的生活を保障、義務教育の無償、勤労の保障、・・・・・これらは理念だ、今は予算がない、などといって憲法をないがしろにして適当に政策だ、公約だといってきた。

憲法を奉戴し、文字通りこれを実行する誠実さが必要だ。

様々な利権が交錯する行政の世界で、左手(ゆんで)に貧者救済の旗を持ち、右手(めて)に憲法の旗を掲げて行政を行う、そういう人を選ぶには、その人物の誠実さを見分けることだ。鳥越さんにその誠実さがあるかどうかわからないが、他の者には誠意のかけらも見えない。鳥越さんに賭けてみる以外にない。

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2016年7月17日 (日)

譲位

News & Letters/500

天皇の生前譲位のニュースが突然出てきた。
その大々的なニュースの効果は、都知事候補鳥越俊太郎の決定的登場を抹殺しようとしたことだ。

1面の片隅に載せる程度のものをプロレスを報じるスポーツニュース並みに取り上げた。権力とマスコミの合作行為だ。

その後、新聞紙面やテレビのニュースには、都知事選は影を潜めている。
政敵を抹殺するのに天皇を利用する。白虹日を貫き、ブラスフィーミー不敬の至りだ。
天皇が引退しようがどうしようが国民の日常生活には何の影響もない。
ただ、天皇とその一家は現行憲法が大変気に入っており、その点で安倍晋三は嫌われている傾向がある。

現行憲法は、戦犯中の戦犯昭和天皇裕仁の命と交換で出てきたものでもあった。これによって皇統の存続が保証された。

基本的人権とかどうとかではない。皇統の絶対保持、皇室の安泰の立場から現行憲法はとても大切なものなのだ。
それを安倍がごちゃごちゃにしようとしている。我々よりもなお一層心配で不安なのである。

生前譲位も天皇自身の意思かどうかもわからない。政府側が退位させようとしているのかもしれない。

天皇一家が現行憲法を擁護する発言は、安倍ら反動右翼にはとてもたまらない。皇室尊崇の立場をとる反動右翼にとっては、肝心かなめのところでどうしようもない二律背反を背負いこんでしまったのである。

生前譲位の策は、孝明天皇のように暗殺という古い手にも通ずるものがある。邪魔者は至尊のものでも消す、これがマキャベリストだ。もともと、右翼の原理は順逆不二(北一輝)であるから気に入らぬ天皇を廃滅するのは何ともないことだし、政治的に利用することも何の遠慮もない。

天皇及びその一家は速やかに天皇などという神がかった道教由来の尊称を返上し、ある程度の財産を受けて一般民籍に入り、庶民の中で普通の人間として平穏に暮らすようにしてやることが我々国民の責務ではないか。

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2016年7月13日 (水)

東京都知事選

News & Letters/499

鳥越さんが都知事選に立候補された。喜ばしい限りだ。
宇都宮さんが一番いい候補だと思われるが、今は野党と市民連合を優先せざるを得ないだろう。
石田純一さんもそうだったが、鳥越さんも国政レベルの危機感で都知事選に立候補したようだ。
テレビなどの記者会見で都政に国政の話はないでしょう、という批判的な声もある
しかし、都政と国政とを機械的に区別するのはおかしい。

憲法改正問題は、国政は言うまでもないが、地方自治においては重大な問題なのである。
国政が憲法をないがしろにしている中で、義務教育無償など憲法の理念を実現する重責は地方自治体に負わされている。

憲法の第三章「国民の権利及び義務」の数十条は、すべて地方自治体の行政実務上の課題であり理念である。

憲法9条の問題も、兵役の負担、兵士の徴集も地方自治体に押し付けられる。都知事をはじめすべての地方自治体の首長や議員の仕事で憲法に関係がないなどというものは何一つない。

その大事な憲法の基本的人権等を骨抜きにし戦争国家に改編するということは、地方自治の本旨の破壊であり、空洞化なのである。

石田さんや鳥越さんが、安倍自民党政権について危機感をもって都知事選に臨むのはまともな姿勢であり、憲法改正を支持し安倍政権に追従する徒輩(やから)は、都政で住民の暮らしや人権を踏みにじる方向に進むことは間違いないであろう。

憲法は何か宝物のように大事にし守るというものではない。憲法は実行し実現すべきものであって、地方自治をまともに遂行する上で至上の指針なのである。

都政と憲法論議とを切断するのは、行政実務を知らない低い次元の話である。
私は、自慢ではないが、東洋町で4年間、憲法実行の地方自治をやったつもりである。
義務教育の無償化や福祉無償化などのたくさんな町政上の施策は、憲法を指針にした行為であった。

宇都宮さんの記者会見の中で、国政レベルの話で都知事に立候補するのはいかがかと思うという趣旨が示されたが、

この発言はいただけない。弁護士らしくない。

地方自治では憲法は関係ないのか、国政レベルで憲法が無視され国民の人権や生活が脅かされているときに、地方自治体に拠って国民を守ろうという行動は全く正当である。原発であれ戦争であれ、結局は、地方の末端まで攻め込まれる。
それを地方自治体を砦として、阻止線を張るのは我々人民の権利だ。沖縄県を見てみよ。

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2016年7月12日 (火)

誰がために鐘はなる

News & Letters/498

ヨーロッパの中世の詩人が、誰がために鐘が鳴ると思うなかれ・・・・ といった。
この鐘というのは教会の弔いの鐘だ。

他でもないお前のための鐘だぞ、と詩人はいうのである。 
2016年7月10日、日本全国にこの弔いの鐘が鳴り響いた。
しかも撞木を引っ張りこの鐘を突くのは、国民自身なのである。

7月10日以前にはもう戻らない。
この弔いの鐘を合図に、私ども日本人は、冥途よりもなお暗い闇夜をさまようことになる。
たけだけしい閻魔や妖怪変化達にムチ打たれ苛まされて重き足かせを引きずりながら、死のうとしても死ねない永獄の運命を呪わねばならない。・・・・・・

しかし、・・・・・・
さあ、立て、街頭に出て見よ。こうなれば、
イスラムの自爆戦士の悲しい心を味わうのもいいかもしれない。

その心をもって民主主義の真実の在り方を根本的に考え直してみたらどうだ。
絶望と落胆の中で、どこからか、そんな声も聞こえてくる。

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夕食

News & Letters/497

私が夕食を断って一日2食、はや1年有半。体重63kgは全く変わらず、ほとんど毎日1万歩の散歩も実行している。

変わったことは、毎年高熱を発する風邪をひいていたのが、それがなくなったということ、食費が半減したこと血圧も上が120以下、下が60いくつ、・・・。今は夕食ということ自体を完全に忘却している。

今まで食べていた夕食は何の意味があったのか、しかも朝食や昼食よりもずっと力を入れ費用をかけていたあの
夕食は、無駄だったのか。否、むしろ夕食は有害だったのかもしれん。
夕食をとらない夜、夜中は胃腸が休んでいるから夜もぐっすり寝られているように思う。

人類が夕食をやめて2食にすれば、病気も減り、食料も大幅に節約でき、原発どころかエネルギーの消費も減少させ、またその分夜の趣味や学習の時間が多く取れるのではないか、何より主婦の家事労働が大幅に減少するのではないか。

午後外出し趣味や政治活動をしていても夕食の準備のため早々と帰宅しなければならない、そういうことがなくなる。

朝起きて食べるご飯がないという私らの少年時代の悲しさを、今もなお少なからぬ子供たちが味わっている。

他方ではまた、多くの者が飽食し、肥満となり様々な病気にかかっている。政治の現実は、この飽食する側の人々が抱く思惑を基準にして動かされている。夕食に何万円もかけて酒池肉林に酔う化け物たちが支配する世は、まだまだ続くのか。

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2016年7月 6日 (水)

過激派

News & Letters/496

バングラデッシュで20人もの人が殺された。
これは「過激派」のしわだだ。

日本の安倍晋三という右翼過激派がイスラムの戦士に挑戦状を送ったことへの返報だ。
これら過激派は、安保法制、原発、TPPなど過激な思想で国民を破滅に引きずろうとしている。
過激派というのは自民党やそれを後押ししている連中のことである。
安保法制に反対したり原発に反対する人たちは穏健派である。

護憲派というのは穏健派なのである。改憲して戦争をやろうという派は過激派というべきだ。

人類を破滅に追い込む原発を平然と推進したり支持したりする人間は、
狂的な過激派に他ならない。

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2016年7月 5日 (火)

丸山長寿園控訴理由書

News & Letters/495

   控訴理由書

平成28年(行コ)第25号  
                   平成28年7月1日

高松高等裁判所殿

                 高知県安芸郡東洋町河内405番地1
                       控訴人 澤山保太郎
                 高知県室戸市佐喜浜町1374番地
                        同  楠瀬立子
                 高知県室戸市吉良川町甲4015番地
                        同  田原茂良
                 高知県安芸郡奈半利町乙478番地1

            被控訴人 安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合
                   同代表者組合長 齋藤一孝                    
                 高知県安芸郡奈半利町乙478番地1
               同 安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合 
                                   組合長齋藤一孝 

【控訴理由の要旨】

原判決の本件行政財産の処分についての①事実認定とそれが地方自治法第238条の4第1項に②違反し、本件行政財産の処分、民間団体への施設の無償譲渡は③無効である、との判断、及び当時の組合長であった小松幹侍の組合長としての④過失・注意義務懈怠の責任の認定、①②③④は正当と考える。がしかし、小松幹侍の⑤賠償責任を否定する原判決の結論は、①~④の前提と賠償責任の結論が著しく撞着・齟齬をきたしていて、きわめて不合理であると考える。

本件処分(行政財産の無償譲渡)が違法、無効であり、長としての過失・注意義務違反が認定され、その行為によって、組合が数億円もの本件財産を喪失した以上は、その賠償責任が問われるべきである。
原判決にはそのほかにも法令の解釈に重大な誤りがあり改めて正しい判断を求める。

【控訴理由】

【一】原判決の主たる判断の正当性と欠陥

 1、本件処分の違法・無効性の判断

原判決「第三 当裁判所の判断」の3 争点(2)(無償譲渡処分の違法性)について(16頁)で
「本件契約は、地方自治法第238条の4第1項の規定に違反してされたものであり、同条の4第6項の規定により、無効である。よって、本件契約に基づく本件無償譲渡は、地方自治法に違反した違法な財務会計行為であったというべきである。」
と断定した。本件訴訟の主要な争点について控訴人の主張を認めた。

 行政財産の用途廃止以前に民間団体との間で譲渡契約をし、その契約に基づいて譲渡を実行した。これを地方自治法第238条の4第1項違反だとするのは何人も否定できない。本件譲渡契約及びその実行は地方自治法で制禁されている行政財産に私権を設定する行為であることは明らかであり、原判決はこれを認定しこの行為を無効であるとした。

また、原判決は、17頁中段で、
「被告らは、本件契約をめぐる瑕疵は治癒されていると主張する。地方自治法第238条の4第1項に違反する契約は同条第6項の規定により無効になるところ、無効な行為は、追認によっても、その効力を生じないから(民法119条本文)、事後に本件施設の建物等の用途が廃止され、その後に本件施設の建物等が現実に譲渡されたからといって、本件契約が有効となるものではない。」
と判示し、被控訴人の行為の違法性と無効性を確然と認定した。このゆるぎない認定による本件訴訟の結論はおのずと明らかである。

2、手続きさえすれば行政財産を用途廃止できるのか

ただ、この判断には、控訴人が原審において主張してきた稼働中の行政財産の処分(民間に譲渡)自体の違法性については判断をしていない。本件においては必ずしもそこまで判断する必要性はないが、事件の重大さの認識において、特に賠償責任の判断において相当な影響を及ぼす余地が出てくる。

原判決は、平成26年4月1日に本件施設の用途を廃止したことについては問題がないと考えている様子である。

原判決には、用途を廃止してその後に譲渡契約を結んで稼働中の行政財産でもこれを処分しておれば、何も違法性はなかった、という甘い認識が潜在している。
行政財産の用途は、それを管理している行政機関がこれを管理条例や規則から削除するなどして普通財産に落とし、一定の手続きをすれば自由に処分できるのか、という根本問題については、肯定しているようである。

しかし逆に、もし本件のように収容者が満杯状態の公の施設(行政財産)でも手続きさえすればこれを売却など自由に処分することが許されるのであれば、地方自治法第238条4の第1項の規定は、何の存在意義もないということになるであろう。
直前まで行政財産であっても0.1秒の瞬間も普通財産にしたという実績があれば、民間へ処分できるということになる。本件の場合は平成26年3月31日の23時59分59秒・・・までは行政財産で、翌4月1日の午前0時より民間の所有になった、行政財産を居ながら民有に転化した場合でも地方自治法第238条4第1項の制禁条項の適用は免れられるということになるのか。

後で詳しく見る原判決の最後尾21頁で「小松は、本件契約の締結を、本件施設の建物等が普通財産となる平成26年4月1日以降にすべきところを、早まって、未だ本件施設の建物等が行政財産であった平成25年12月25日にしてしまったものにすぎない。」
・・・にすぎない との判断には、稼働中の行政財産でも手続きさえすれば普通財産と同じように売却でも譲渡でも行政機関がこれを自在にする事ができるという謬見が根底にあるものと考えられる。

3、何の公益目的もなく行政財産の用途を廃止することは許されない

本件の行政財産の譲渡という行為も行政行為である。

①学説によれば、「行政行為は、公益の実現を目的とするものであり、従って、事情の変
遷に即応し、その結果が常に公益に適合することを必要とする。行政行為が一旦適法有効になされた後においても、事情が変遷し、それを存続せしめることが、公益に適合しないことになった場合においては、これを公益に適合せしめるために、原則としてこれを撤回することができ、また必要に応じ、公益に適合する新たな行政行為をなし得るものとしなければならぬ。」(甲第18号証 田中二郎 「行政法総論」)
 公の施設の用途廃止は行政行為の撤回に当たるであろう。その撤回には行政機関の意思だけではなく合理的な理由と公益性が担保されていなければならない。

②また、従来の行政行為を存続させることが後発的な事情の変化や施設などの老朽化など
でかえって公共性を失い公益目的にそぐわなくなった場合、当該行政行為の存続をやめ
る、撤回するということになるが、その場合でも、その撤回行為はあくまでも公益目的
であり、また受益者に対する補償や代替などを配慮しなければならず、為政者が自由勝
手に公の施設を廃止したり、許認可を撤回したりすることは許されていない、とする学
説が支配的である。(甲第19号証 海野敦史「行政法綱領」)

③また、これを公物の管理とみても、その公物の消滅原因が明確でなければこれを消滅させることはできない。
 「公用廃止行為は、公共用物が公物としての機能を失い、当該公物を公共の用に供する必要がなくなった場合、公物としての性質を喪失させる行政行為である。」

 (甲第20号証 原龍之介「公物営造物法」)

 本件の場合、行政財産を民間に譲渡する行為には何の公益性もないし、公物を消滅させる外形上の腐朽性もあり得ない。公共用に稼働中の行政財産を廃止するには、廃止すること自体にそれ相応の公共性、公益性がなければならない。公共施設を丸ごと私権に供するために行政行為(公用廃止)を遂行することは許されるはずがない。

④稼働中の行政財産を廃止するなどという暴挙を可能にする手続についてはもちろん、行政財産の処分についての手続規則はどこの自治体でも持っていない。
唯一つ控訴人が見つけたのは東北の東通村の規則(事務取扱要綱 甲第21号証)があるが、この要綱でも行政財産の処分の要件は、機能喪失または必要性の喪失に限られている。
  本件行政財産を用途廃止することが許される理由は何も存在しない。
 原判決は、フル稼働中の行政財産でも手続きさえすれば譲渡や売却が可能であるのかのような謬見を前提にして結論を下したと考えられる。

 本件では、平成25年12月25日で本件施設が未だ行政財産の段階で、譲渡契約を結ぶという決定的な私権設定の事実があるので、必ずしも行政財産の廃止について如上の認識がなくとも、正しい結論は可能であったが、如上の認識の欠如が、判決文最後尾の賠償責任についての奇怪な結論の伏線になった憾みがある。

二、組合長小松幹侍の責任についての判断

原判決は、20頁上段、「(小松の不法行為責任の有無)」についてで、
「被告組合の組合長である小松が、平成25年12月25日、むろと会との間で、本件契約を締結し、それに基づき平成26年4月1日にむろと会に対して本件施設の建物を譲渡したことは、上記3で説示した通り、違法な財務会計行為であるところ、前記認定事実によれば、小松は、その前提となる事実、すなわち、本件契約当時、本件施設の建物等は未だ被告組合が運営する特別養護老人ホームの用に供されていたとの事実を認識していたものと認められる。

そうである以上、小松は、本件契約が地方自治法第238条の4第1項に違反する違法なものであると認識すべきであり、平成25年12月25日の時点においては、本件契約を締結すべきではなかったといえる。それにもかかわらず、小松は、被告組合の組合長として尽くすべき注意義務を怠り、過失により、本件契約を締結し、平成26年4月1日、本件施設の建物等をむろと会に譲渡したものと認められる。」
と明瞭に小松幹侍の組合長としての責任、注意義務の懈怠、過失を認めた。

小松は、地方自治法の規定を知らなかったというわけにはいかない。知らなかったとしたらそれ自体が重大な過失である。およそ地方自治体の首長の任務は、公金及び公有財産の管理が最重要事項の一つであり、巨額の価値をもつ公有財産を私人や私企業にタダで譲渡するなどということはあり得ない事件であって、本件行為は地方自治法第238条4の第1項が禁じていることであり、この条項のど真ん中のストレートに違反したものである。
その行為が違法・無効であり、それを執行した首長の過失を認定したのであるから、判決の結論は、一直線に首長の賠償責任に帰着するはずである。

三、賠償責任の回避

1、如上の通り原判決は、小松幹侍組合長の不法行為とその有責を認定したが、判決文最後でわけのわからない理由を述べて、本件組合に損害が発生していないということでその賠償責任を否定した。すなわち、原判決は20頁後半部で、「もっとも、前期認定事実によれば・・・・」の文言のもとに、にわかに論調を変え、小松幹侍組合長の本件無償譲渡の経過をそのまま認め「小松は、本件契約の締結を、本件施設の建物等が普通財産となる平成26年4月1日以降にすべきところを、早まって、未だ本件施設の建物等が行政財産であった平成25年12月25日してしまったものにすぎない。」

(下線控訴人)という風に一個の判決文でありながら別人が書いたかのようにその不法行為、その瑕疵の過小評価に転じた。小松組合長らは、順序を間違えた、早まったに過ぎず、結果は同じだから問題にならないというような口吻を弄しだしたのである。
そうして原判決は次のようにいう。

「そうすると、①小松が注意義務を果たしたとしても、②平成26年4月1日には、本件施設の建物等の用途が廃止され、被告組合はむろと会に対して譲渡されていたといえるから、③小松が平成25年12月25日に本件契約を締結し、これに基づき、平成26年4月1日、本件施設の建物等がむろと会に譲渡したということをもって、④被告組合に賠償されるべき損害が発生したということはできない。したがって、小松が不法行為に基づく損害賠償責任を負うとは言えない。」(①②③④は控訴人  原判決21頁)
この判旨はきわめて難しいが読み解くと次のようになろうか。

①小松が注意義務を果たし、12月25日に契約を締結せず、4月1日に用途廃止をし
たうえで契約を締結し、そうしてむろと会に本件施設を譲渡するという正規の手続きをとったと仮定した場合、②小松はそうすることも可能であった(早まってそうしなかっただけだ)し、いずれにしても用途は廃止され無償譲渡が実行されたといえるから、
③契約と譲渡の順序を逆にしただけをもって④損害が発生した、賠償責任を負うとは言えない、ということであろう。

要するに事後に追認されたから問題がないというのである。

2、しかし第一に、小松が「注意義務を果たしたとしても・・・」という事実に反する仮定の話をもって、判決文の流れを逆転させ、その中核部分を書くことが許されるであろうか。本件の事実の経過は、行政財産についてこれを私法上の譲渡契約の対象とし(私権を設定)、その契約の履行として「用途廃止」・譲渡を遂行したのである。そのことは原判決(15頁中段に「本件無償譲渡は、被告組合とむろと会とが対等な立場で締結した私法上の契約を履行したもの・・・」)にあるとおりであって、これは被控訴人の主張でもあった。
原判決は自らが認定した不可逆の事実を、想定でもって逆転させ、その倒錯した事実に基づいて判断をしたものであって到底受け入れられない。

3、また既述の通り、第二に、この判断は、前掲原判決17頁中段の次の文章と根本的に対立する。
「被告らは、本件契約をめぐる瑕疵は治癒されていると主張する。地方自治法238条の4第1項に違反する契約は同条第6項の規定により無効になるところ、無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない(民法119条本文)、事後に本件施設の建物等の用途が廃止され、その後に本件施設の建物等が現実に譲渡されたからといって、本件契約が有効になるものではない。」(原判決17頁中段)

追認によっても無効な行為を有効にはできない。これは事実に基づく当然の法的判断であり、何人も覆すことはできない。
理由も説明せず同一の争点について自らの判断を真っ向から否定し正反対の判断をするというのは、判決文において人格の分裂的事態を来しており、この事態は何人にも容易にわかることであるから、何か、どうしても裁判の他方に賠償責任を負わすわけにはいかないなど訴訟外の事情を考慮したとしか考えられない。

【二】そのほかの争点と原判決の誤り

一、条例改正行為の行政処分性について

原判決は、14頁~15頁で本件処分の取り消し請求については、これを認めないと判断した。その理由として
「本件無償譲渡は、被告組合とむろと会とが対等な立場で締結した私法上の契約を履行したものにすぎず、公権力の行使としてされたものでないから、行政処分にはあたらない。」といって本件処分の取り消し請求を不適法として却下した。

しかし、原判決は、14頁下段で平成26年4月1日に「本件設置管理条例を改正し、・・・本件施設の建物等の用途は、同日をもって廃止されたものということができる。」と認定した。そうすると、横浜市保育園廃止処分取消請求事件(平成21年行ヒ75)平成21年11月26日第一小法廷の最高裁判例では、用途廃止の条例の「制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視し得るものということができる。」とされているから、原判決はこの最高裁判例に反するものということになる。

いうまでもなく、住民訴訟は財務会計上の行為や怠る事実の違法を対象とするだけでなく、行政事件訴訟法第43条の適用を受けて、行政処分の取消し請求も可能である。
控訴人は、本件条例(正式には組合規約)改正で丸山長寿園が組合の事務対象施設から削除されたという事実を最高裁判例に基づき行政処分性があると主張するものである。

二、地方自治法第238条の3違反について

 原判決は、17頁~18頁で本件無償譲渡先のむろと会の役員が本件組合の職員ではないとして、地方自治法に違反しないという。しかし、原判決も「むろと会は本件施設で勤務する職員による組合である本件職員組合が中心となって設立された団体であると認められる・・・」とか、「むろと会が本件職員組合が中心となって設立されたという経緯があった・・・」という事実は認めている。

 特定の公の施設を管理運営する職員達が設立したその団体に、その施設を委譲した事実を認めるならば、また、被控訴人も一貫してその事実を主張してきたのであるから、その団体の理事会の役員を職員以外の者に就任させていたとしても、実質的にはその職員が本件施設の委譲を受けたものと判断される。部外者を役員に付けたのは、地方自治法に制禁の法律があることを知り、それの脱法目的であることは明白である。
脱法目的で据えた役員が職員ではないことは当然であり、これを理由に挙げて適法だとするのは、余りにも不当であろう。むろと会の役員達は職員組合の謂わば代理人であり同体であるから、実質的に地方自治法第238条の3に違反していると判断されるべきである。

三、随意契約の方式違反について

 原判決は、18頁~19頁において、本件譲渡契約が随意契約で行われたことは問題がないという。
「本件契約は、価格の高低のみを比較することによって本件施設の運営主体を選定することができるような性質のものではなく、競争入札による方法が適するものでないから地方自治法施行令第167条の2第2号にいう「その他の性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当するというのである。

しかし、この該施行令の規定する内容は建造物、あるいは施設の譲渡契約を含むとは到底思えないもので、物品の製造や売り払い等の契約の規定である。甲第16号証を見ても「性質又は目的が競争入札に適しないもの」の範疇に本件施設の無償譲渡が入るとは考えられない。すなわち、地方自治法施行令第167条2第2号の規定は、

①不動産の買い入れ又は借入れ、
②普通地方公共団体が必要とする物品の製造、修繕、加工、または
③納入に使用させるため必要な物品の売り払い、その他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。 
(①②③は控訴人)
という文言で構成されている。不動産については買入れと借入れだけであり土地や建造物の売却や譲渡などがこの規定に入っているとは解釈できない。下線部の「その他の契約でその性質又は目的が・・・」のその他というのも文理上、①、②、③、特に③に関連するもので、それら以外のどんな契約にも広く適用されるというものではないと考えるべきである。むしろ、その性質から云えば公有財産の譲渡や売却は基本的に随意契約は許されるべきではなく、公開の入札に付する義務のあるものと考えるべきである。

拡大解釈するにしても甲第16号証の滋賀県の事例程度のものにすぎない。
随意契約で土地や建物の売却などは同地方自治法施行令167条2の1号規定(売買、貸借、請負その他の契約)に入るものであり、その場合金額上の厳しい制限が加えられていて、本件では金額上論外となる。不動産(公有財産)の売却や譲渡は、少額のものは別として、むしろその性質上、随意契約は許されていないと理解すべきである。

本件施設の場合はタダだから「価格の高低」ははじめから問題外で、低所得者をも収容する良好な経営者を選定するだけであるから、要件を定めたうえ、経験あり能力がある人材や企業を広く公募していわゆるプロポーザル方式などを取り入れた選定を遂行するべきであり、そうすることには何ら差し障りはない。

黒字経営で、億単位の公有財産が無償譲渡される好条件では、経営応募者は全国から殺到したと考えられる。

該施行令167条2第1項2号の物品や不動産などの契約の場合と同じレベルで選定するということの方が異常であり不適当であろう。本件の場合こそ、その性質や目的が競争入札に最適なのである。

そもそも、本件では、競争入札とか随意契約とかいう正規の手続きの選択どころではないのであり、はじめからむろと会に無償譲渡することが決められていた。むろと会は企業としては福祉事業の経営実績が皆無であり、事務所も持っていない幽霊団体であった。
平成25年8月1日付の福祉法人むろと会の設立認可申請書では、むろと会の事務所は高知県室戸市室戸岬町1675番地、すなわち丸山長寿園となっていた。民間団体が勝手に公の施設をその事務所としていたのである。

原判決は、随意契約の相手としては最もふさわしくない団体を選定した被控訴人の行為を是認したのである。

四、室戸市契約規則及び室戸市財産交換条例等の違反について

1、地方自治法第292条の解釈

 原審で控訴人は、仮に本件施設を普通財産として本件無償譲渡をしたとしても、適法な手続きを履践していない、すなわち室戸市の条例の規定では普通財産の無償譲渡は許されていない、という批判をし、その根拠として地方自治法第292条の規定を挙げた。このことについて、原判決は、19頁中段で地方自治法の適用を否定した。
地方自治法第292条は、一部事務組合など地方公共団体の作る事務組合について、組合が簡単な条例又は規則(規約)以外に普通地方公共団体のように条例規則を整備していない場合がほとんどである実状を踏まえ、これを補完する手立てを講じたものであり、構成団体の条例・規則を準用して使うことを認めたものである。

地方自治法第283条でも、事務組合の名称とか構成団体、事業の対象、組織などごく基本的な事柄を規約として定めることを義務付けているだけである。
したがって、本件組合も簡単な規約以外に、支出負担行為の決裁、公金支出、財産管理など日常の事務を遂行する上の条例・規則をもっていない。故に地方自治法第292条の規定に従って当然構成団体の主な市町村のそれらを準用しないでは、業務を遂行できないし、本件組合も暗黙のうちにそうしてきたはずであった。

しかるに原判決は被控訴人の原審での主張をうのみにし、地方自治法第292条の文章を誤解し、その順守を否定した。この条文の正しい解釈は本件訴訟にも重大であり、今後全国の事務組合の運営上重要であるので、ここにその条文を検討する。

地方自治法第292条

地方公共団体の組合については、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、都道府県の加入するものにあっては都道府県に関する規程、市及び特別区の 
 加入するもので都道府県の加入しないものにあっては市に関する規定、その他のものにあっては町村に関する規定を準用する。(下線部控訴人)

ここで問題なのは、前段下線部の「法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか」の意味であるが、これは明らかに国の法律や政令に存在する事務組合についての規定については、言うまでもなく順守しなければならないからこれは除外し、これら法令の規定のほかの、都道府県や市町村に関する規定(すなわち条例や規則など)を準用せよ、という趣旨であることは明瞭なのである。地方自治法の解説書ではこの法律で除外される法令とは、地方自治法、同施行令での事務組合についての規定をはじめ、公選法第267条、地方税法第1条第4項、地方公務員法第7条第3項・・・などとされている。

ところが原判決は、「同条の文言上、同条にいう「規定」とは、「法律又はこれに基づく政令の規定」を意味するものと解するのが自然である・・・・」というのである。
準用すべき都道府県や市町村に関する規定とは、遵守するのは当然のことだからこの292条の法律の準用を定める規定から除外するとされた、その国の法令のことであるというのである。除外すると明記されたものを準用せよというのは土台無理な話である。それでは諸々の法律や政令で規定されたものを除いて、そのほかに、法律や政令で都道府県や市町村についての規定とはどんなものがあるというのであろうか。

地方自治法の事務組合についての他の条項で例えば252条の12、同条16、同条17の第4項、同条17の3の第1項などでは、市町村の条例・規則が法令として準用が定められている。たとえば、地方自治法第252条の17の1第4項では
「第2項に規定するもののほか、第一項の規定に基づき派遣された職員の身分取扱いに関しては、当該職員の派遣した普通地方公共団体の職員に関する法令の規定の適用がある者とする。・・・」

「普通地方公共団体の職員に関する法令」とは一般職員等の給与支給条例のことであり、このように地方自治法の事務組合についての法令では、都道府県や市町村の条例や規則も法令として又は法令に並列して準用が定められているのである。
地方自治法292条は事務組合について包括的に法律や政令以外の法令(都道府県・市町村の条例・規則)の準用を指示したものであることは明白である。

2、普通財産としてもその無償譲渡は許されていない

原判決や被控訴人がこの地方自治法第292条をここまで曲解するのは、それの正しい解釈が、本件無償譲渡の違法性に直結する問題を内包しているからである。
 すなわち、本件無償譲渡は行政財産に私権を設定しこれを直接処分したということで地方自治法第238条4の第1項に真っ向から違反したのであるが、仮に百歩譲ってこれが普通財産に適法に転化されて処分されたという主張に話を替えるとしても、それでは普通財産として実際に適法な手続きをして処分をしたかどうかが問題となる。
そこで問題となるのが地方自治法第292条に基づき「室戸市有財産交換等条例3条」の規定に本件無償譲渡は違反している、という控訴人の主張であり、被控訴人らは、これについてまともに答えられない。

 準用されるべき「室戸市有財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例」第3条において、行政財産はもとより普通財産でも、民間団体に譲与することも無償で貸し付けることも許されていない。それが許されるのは相手が市町村など公共団体か、農協などの公共的団体に限定されていて、公益法人でも一般企業には許されていない。
したがって、本件無償譲渡処分は、行政財産である場合はもとより、仮にこれを普通財産としても、法令違反となっている。

 被控訴人が地方自治法292条の準用規定を曲解しこれをかたくなに拒むのは、ここで被控訴人が決定的な破綻をきたすからである。すなわち、本件施設を用途廃止し普通財産に転化して譲渡したから適法である、という主張が根底から崩れるからである。
 地方自治法292条は本件組合の財務会計行為について構成団体(市町村の場合は市 本件組合では市は室戸市と安芸市)の条例・規則の適用を義務付けており、「室戸市有財産の交換、譲与、無償貸付けに関する条例」第3条(「安芸市財産条例」第3条も同様)の規定に逸脱する行為は違法である。

【三】結論

原判決は、地方自治法第238条4の第1項の規定に基づき本件無償譲渡を違法であり、同条第6項の規定で無効であると判示し、組合長小松の注意義務懈怠、過失を認定した。
そして、財産について違法・無効な行為によって組合がその所属する丸山長寿園の施設の全てを失ったのであり、巨額の損失を被ったことは明らかである。
本件施設の無償譲渡は、これが行政財産であればもとより、たとえこれが普通財産であっても、法的に許されない。

違法・無効・有責の認定に反して、本件無償譲渡によって損害は発生していないから、賠償責任も存在しないとした原判決の結論は、著しい理由不備又は理由齟齬をきたしている。
また、地方自治法第292条の曲解、地方自治法施行令167条の2第2号規定の法外な拡大解釈など法令解釈の明らかな間違いがあり、これら法令を正しく解釈すれば、本件無償譲渡の行為が救い難いほどに深刻な違法行為の重畳であって、その賠償などの責任が厳しく問われる必要があることは明らかである。

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