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2016年5月 1日 (日)

高知新聞社説【基盤の立憲主義が揺らぐ」

News & Letters/481

平成28年5月1日高知新聞の朝刊社説で自民党の憲法改正案に対する批判がなされている。

その意図するところはいいのであるが、批判が緩いし、現行憲法についての理解が浅い。
現行日本国憲法前文の最大の主眼は、①第一に、国民主権の強調であり、②第二に国政の目標が反戦平和主義、自由平等など国民の基本的人権の実現、③第三に、これ(憲法)に反する権力の行使、立法、詔勅類の廃止をうたっている。

前文では、権力に対して法の支配そのものをは直接的には対置し表現していないが、それは③によって、担保されている。

だから、日本国憲法の立憲主義は①と②と③の全体が一体となっているのである。
①②③のどの一つが揺らいでも憲法の立憲主義の趣旨は揺らぐ。すなわち①②のために憲法を制定するというのが現行憲法制定の趣旨であり、③そうでない憲法や法令は認めないというのが立憲の本旨である。

立憲主義が平和主義や基本的人権などと分離・並立して論ぜられないように構成されているのである。

立憲主義でいうなら明治憲法も一応立憲主義の建前を取っているのである。
問題は、誰のため、何のための立憲かである。

自民党案の前文は第1に「国民主権」の言葉は一つ挿入されているがその内実がなく、それが天皇元首の下に据えられている。

第2に先の戦争への反省、反戦思想が欠如している。

第3に基本的人権という言葉があるがその内実がなく、それも政府ではなく国民の義務となっている。第4に国民に義務付けはあるが、政府の方に何の規制もない。第5に、憲法制定の目的趣旨を、日本の「伝統」と国家の存続においていて、戦争の廃絶、飢餓からの解放、政府による圧制からの人類の解放など現行憲法の趣旨を没却した。彼らが言う日本の「伝統」というのは圧政の伝統である。

それは、上掲現行憲法の①②を実現するための憲法ではなく、立憲は立憲であるが、国民のための憲法ではなく、圧政者の都合の良い立憲となっている。自民党案の立憲の最大の狙いは人民主権の打倒、その盗奪なのである。

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