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2015年12月 5日 (土)

3度目の最高裁

News & Letters/449

来る平成27年12月11日午後1時半 最高裁第二小法廷
 東洋町長松延宏幸の野根漁協1000万円不正融資事件
 松延宏幸側はあろうことか、虚偽の理事会名簿を最高裁に提出し、それで漁協理事会は
 成立していた、と主張した。やれやれ、最高裁も落ちたもので、事実審理はしないはずなのに
 虚偽の理事会名簿を取り上げて、審理をするという。
これで3度目の最高裁となりました。
最高裁は霞が関にあり、コンクリートの要塞です。
人権や正義を訴える人民の願いをはねつけるためにこのような頑丈な
要塞を作ったのでしょう。権力を守る砦→憲法を守る砦に替えなくてはなりません。
一度目は、大法廷へ。確か平成21年12月18日ごろ→勝利→地方自治法の直接請求で法律が変わった。
二度目は、小法廷へ。これも同じ年 →勝利 →四国銀行が損害賠償
三度目の今度は小法廷へ。→-?私の答弁書はすでに最高裁や松延宏幸側に届いている。

平成27年(行ヒ)第156号
上告受理申立人  東洋町長
上告受理申立て相手方 澤山保太郎
          答 弁 書
平成27年11月22日                     
最高裁判所第二小法廷 殿
                    高知県安芸郡東洋町大字河内1081番地1     
                        相手方(原審控訴人) 澤山保太郎
【一】 はじめに
上告受理申立て理由書で主張された平成23年11月3日の本件野根漁業協同組合(本件組合と呼ぶ)の理事会(これを単に本件理事会と呼ぶ)成立の可否について簡単に本件上告受理申立て(これを単に「本件申立て」という)の相手方として意見を申し述べる。
上告審は憲法、法令、これまでの最高裁判例などに関する事案を審理するのがその目的である。
本件申立ては、特別利害関係人は原則として理事会での議決に加わることはできないが、特別利害関係人が議決に加わった場合でもそれを控除してもなお議決権のある理事多数が出席しておればその理事会は有効に成立するという通説を本件理事会の出席者に照らしてどうかという問題と理解する。
そうすると、本件理事会の8名の理事が誰であったかという事実の認定が前提となる。原審までは本件理事会の構成メンバーについて確定的な判断はなされていなかった。
本件申立て理由書にはこれまで1審2審を通じて主張されてこなかった新しい理事8名が掲示された。(本件申立て理由書3頁目)
申立人は1審2審を通して本件理事会の成否については自ら終始否定的であり、理事会の手続き上の瑕疵は、総会によって治癒されているなどと主張していた。
本件申立てではじめて8名の理事の名前を掲げ、それをもとに親族である特別利害関係人を控除する上記の算術を試みたのである。
本件申立てが受理された以上、それが適法かどうかは別にして、その算術の元になる本件理事会の理事8名が誰であり、親族など特別利害関係人が誰と誰なのか、これらについて最高裁であらためて事実審理に応ぜざるを得ない。

1、申立人の掲げた本件理事会の8名の名簿(本件申立て理由書3頁下段)
は虚偽のものである。
この理事名簿が真実であるとする証拠は何もなく、第1審、2審を通じて申立人は一度もこれを主張していないし、原審判決でも8名の理事について何も確定的に判断されていない。
本件組合の総会で正規に選出された理事の名簿は甲第33号証であり、それ
を担保するのは甲第37号証の2の本件組合の総会議事録である。
 [甲第21号証によると、この甲第33号証の理事のうち本件が起こる直前までに辞任の通告が4名分(桜井菊蔵、桜井春雄、松田博光、桜井淳一各理事)あった。
しかし、後任の理事は正規に選任されていなかった。
したがって辞任したという4人も法令や定款の定めによって理事としての義務と責任があった。当然本件理事会にも招集され出席の義務があったが桜井菊蔵以外は誰も連絡されなかったという。]
2、申立人が本件申立て理由書に掲げた理事名では、8人のうち5人までが本件貸付金の借受け事業所である松吉保小敷組合の親族であり、松吉一家が漁協役員の過半数を占めるという異常な構成となる。すなわち、
松吉保本人、息子松吉保彦、孫松吉裕也、実弟松吉孝雄、甥で当該融資対象
者の松吉小敷の責任者松田安信の5人が本件組合の理事名にあがっている
が、これらは特別利害関係人である。(松吉保彦、松吉孝雄は正規に選出さ
れた理事) (甲第37号証の1)
本件組合は百数十名の組合員が現役の漁師として活動しており、その理事会
で1親族が半数以上を占めるような理事の選任をすることは、かつて一度も
なかった。
しかも甲第33号証に照らせば、松吉一家5人の理事中松吉保本人を含めて
3人(松吉保、松吉裕也、松田安信)が正規に選出された理事ではない。
3、そうすると、本件理事会は虚偽の理事名簿でもって招集され、そのうち松吉一家の特別利害関係人が出席して本件理事会の貸付金に関する議案を議決したということになる。
  辞任を申し出ていた正規の理事3人が本件理事会に招集されていないというのは、その3人に代わって部外者3人が理事に名を連ねていることによって判明する。
  8人のうち部外者でかつ特別利害関係人である欠格者が入り込んでした理事会が有効に成立するかという話は、法的な論考のテーマにもならない無法なものである。
  なぜなら、判例や通説で問題となっている特別利害関係人というのは、特別利害関係取締役(理事)ということであって、役員でもないまったくの部外者である松吉保が入り込んだ理事会の議決は無効と断ぜられるべきであるからである。部外者が入ってその部外者のための議決がなされた場合、その部外者を控除したり、それが議決に参加したという事実を拭い去ることはできない。2審の控訴理由書の11枚目で、その点を指摘した。
  その意味で原判決は正当である。
4、甲第33号証の8名の正規の理事のうち、辞任したが後任が選任されていない3人(桜井淳一、桜井春雄、松田博光)が招集されず、そのかわりに議事に直接利害関係があり、部外者である3人の利害関係親族を理事会に入れ理事会に出席させたり本件「確約書」に署名押印させた。
単にこの違法な出席者・署名者を控除すればよいという算術の問題ではない。
特に本件理事会から除外された桜井淳一理事は本件が起こる直前まで長年
当組合の組合長を務め、本件貸付金の借入れに強く反対していた者であるが、
現に大敷組合を経営しており、多数の組合員を擁し、漁場の利用権などの権
益に深く関係していて組合員総会では容易に過半数を制する勢力をもって
いた。その上組合はその運営には彼の経営する大敷組合に漁場料などで財政
的にも大きく依存してきた。
一人の理事や取締役でも理由なく不当に除外すればその理事会や取締役会
の成立が問題になるが、組合運営を現実に支え、常に漁港で陣頭指揮をして
いる有力理事に何の連絡もなく開かれた理事会は有効ではない。
正規の招集手続きを欠く取締役会や理事会の開催を有効とする判例は存在
しない。
ちなみに松吉保の小敷組合は漁場料など組合への賦課金は長年一銭も払っ
ていないといわれる。(甲第37号証の1)
漁場料などを支払わない組合員が漁業組合の正規の理事、しかもその理事会
の過半数を占めるなどということはありえないことである。
5、甲第33号証によって、本件理事会の正否について判断するべきである。
  理事8名のうち、本件申立理由書が出席して議決したという理事は6人であるという。この主張を仮に認めるとすると、そのうち特別利害関係人2人を除くと以下の4人がのこり、4人での議決が過半数で有効である、という。
   桜井菊蔵   井崎勝行
   松吉孝雄   桜井勇    (上告受理申立て理由書4頁)
しかし、すでに明らかにしたように松吉孝雄は松吉保の実弟であるから特別
利害関係人として除外されねばならない。(甲第37号証の1)
1親等及び2親等は特別利害関係人とみなされている。
そこで、甲第33号証の正規の理事8名のうち、親族の松吉保彦と松吉孝雄
の2人を除けば議決権者は6名(桜井菊蔵、桜井勇、井崎勝行、桜井春雄、
桜井淳一、松田博光)となり、そのうち本件理事会に出席して議決したとい
うのは上掲の桜井菊蔵と井崎勝行と桜井勇の3人となる。そうすると議決権
を持つ理事の過半数にはならない。
  申立人の出席理事だという主張を認めても本件貸付金に係る理事会の議決
  は有効に成立していない。
  また、甲第21号証によれば、上掲理事中の桜井勇理事は、長年理事の名簿
  に正規に挙がってきたが、本件理事会も含め一度も理事会に出席したこと
はないという。本件理事会の開催した日も、出漁しており出席しなかったと
いうことであるから、実際に議決権のある理事で出席したのは桜井菊蔵と井
崎勝行2人となる。議決権者6人のうち2人では過半数に遠く及ばない。
6、甲第33号証について
  原審までの裁判で平成23年11月の本件事件が起こった当時の理事会の正規の名簿は甲第33号証だけでこれのみが公判(第2審)に提出されたものである。
  これが正規の総会で選出された役員の名簿であることは甲第37号証の2の本件組合の「平成20年度第60回通常総会議事録」であきらかである。この議事録で第3号議案に「任期満了による役員改選承認の件」があり、甲第33号証の役員名簿通りの理事が選任されていることが分かる。この役員選挙が行われた組合総会には町役場から町長と担当課長が「来賓」として出席しているから、本件申立人が知らないという事はできない。
  特に総会に臨席した申立人の部下である「建設課長 奈良崎氏」というのは当時の東洋町産業建設課の課長奈良崎幸一のことであり、この奈良崎が本件貸付の実務を担当し又議会での本件組合の理事についての質疑に答えていた者である。
7、原審まで申立人は申立て理由書に掲げた理事名を挙証してこなかった。
  理事名が明確に出ているのは、甲第21号証の「別紙2」の「野根漁業協同組合理事会議事録」と同号証「別紙4」のNo.1とNo.2であり、前者の議事録では人数が足らないので後者のNo.1とNo.2とを接合して今回申立て理由書の8名の名簿を拵えたものと推定される。
しかし、甲第21号証の別紙2,3,4はいずれも本件組合特別調査委員会が組合内に残っていた事件の関係資料を調査のため集めたものであり、それら別紙に記載された理事やその者たちの行為を認めたものではないのである。調査委員会が無効な文書だという資料に基づいて合成して作り上げた理事名、これを元に特別利害関係人を控除するとの通説の計算で出た主張は、根本的に意味をなさない。
8、特別利害関係人(役員)の参加した議決に関する通説について
 通説では本件申立て人の言うとおり、取締役会や理事会などで議決権者のう  
ち、特別利害関係人が議決に参加した場合、これを控除したあと議決の成立に必要な多数が存在するならば、その議決の効力は妨げられない、という。
  この通説について本件申立て人は東京高裁判決と大阪地裁の判例を挙げていて、その両判例では、本件申立て人の主張を根拠づけるものは何もない。特別利害関係人が出席した取締役会などでその議決を有効であるとした最高裁の判例があるか不明である。
  学説では、欠格者が参加した議決は無効とすべきだとしている。
  「合議機関に欠格者(利害関係を有する議員又は委員)を参加させてなされた議決の効力について、欠格者の投票を控除してもなお結果に影響を及ぼさない場合には、その議決の効力は妨げられないとした例がある。
  しかし、欠格者が何らの発言をしない場合でも、その審議への参加自身が、公正な審議を妨げることになるのであるから、特別の理由のない限り、原則として、欠格者の参加した合議機関の議決は、無効と解するべきであろう。」(田中二郎著「行政法総論」第二編第二章第六節第三款「行政行為の  無効及び取消しの原因」)
  本件の場合、本件理事会に参加したとして議事録に署名押印のある6人の理事のうち松吉保、松吉保彦、松吉孝雄の3人は、2親等以内の親族である。
  仮に本件申立て人の言うとおり本件理事会が開かれたとしても、議長の桜井菊蔵を除けば、議決する5人のうち過半数の3人がその特別利害関係親族となる。役員会の議長が特別利害関係人である場合にはその役員会の議決は無効だとするいくつかの判例があるが、議場の過半数が議決権のない特別利害関係人である場合は、議長が特別利害関係人である場合よりも、より強くかつ直接に違法性(会社法第369条の2の水産業協同組合法への準用)を帯びると考える。したがって、本件申立て理由書の主張は認められない。
【二】地方自治法第96条1項12号規定と地方自治法第242条2の1項4号請求裁判について
本件は 地方自治法第242条2の1項4号規定(これを単に「4号規定」と呼ぶ)に基づく住民訴訟であり、
  被告 東洋町長
     松延宏幸
すなわち町長という執行機関を当事者とする訴訟という事になっている。
したがって従来の学説や判例によれば、本件は地方自治法第96条1項12号(訴訟提起の議会議決 これを単に「12号規定」と呼ぶ)に該当しない、上訴につき東洋町議会の議決はいらないということになる。なぜなら、「12号規定」が適用されるのは、「普通地方公共団体が当事者となる・・・訴訟の提起・・・」となっているからである。
しかし、これまでの「4号規定」訴訟について「12号規定」の適用の可否に関する判例(昭和30年11月22日最高裁第三小法廷判決)等は誤っており再検討する必要があると考える。
理由:
1、「4号規定」の「執行機関」を当事者とする訴訟は、地方自治法第242条3の2項以下の規定に見るとおり、究極的には普通地方公共団体を当事者とする訴訟に転化する。すなわち住民の起こす訴訟の究極目的は当該普通地方公共団体をして、問題を起こした長や職員に対して損害賠償請求をするだけでなく、その訴訟を起こさせることを求めるものとなっている。住民訴訟は必ずしも当該普通公共団体による訴訟にまで発展するわけではないが、その可能性を含んでいる。
それはたとえば、支払い督促は普通地方公共団体の長の事務であるが、これ自体は訴えの提起ではなく、必ずしも訴訟になるわけではないが、時に異議が出されると当該普通公共団体を当事者とする訴訟に移行するので、議会の議決が必要とされた。
(昭和59年5月31日最高裁第一小法廷判決)
「4号規定」による訴訟は、当該普通地方公共団体をも当事者とすると考えられる。
議会の議決を必要とするという「12号規定」は、本件のような執行機関を当事者とするがやがて当該普通公共団体をも当事者として登場させる場合には、地方自治法の条理上これを適用させるべきである。
2、「普通地方公共団体」の実体は、その執行機関が中核であり、また、特にその首長は、
 地方自治法第147条の規定「普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体を統括し、これを代表する。」との規定があり、長の行為は、単に執行機関の行為というだけでなく、当該普通地方公共団体の行為として表象されるものである。
 実際上でも、執行機関としての長の行為は、予算の編成・執行、条例の制定等も含めてすべての重要行為は、普通地方公共団体として遂行されている。執行機関、市町村長の名前で予算案などは議会に提出されない。公共工事、道路工事ひとつをとっても市町村長などの執行機関の名、首長の名前で遂行されるわけではない。すべからく首長としての執行機関の行為は普通地方公共団体の名義のもとに遂行されるのが普通である。
 したがって、職員の行為は別としても首長としての執行機関の(違法)行為の当事者は当該普通地方公共団体と同視されうる。
3、「4号規定」の訴訟の場合、首長や職員など執行機関が当事者として訴えられても、その訴訟の費用は首長や職員ではなく当該普通地方公共団体が負担する。弁護士を依頼しても首長や職員との契約ではなく当該普通地方公共団体との契約となる。執行機関である長や職員らが訴えられた場合には当然のごとくに訴訟費用は当該普通公共団体の予算を使う。 この場合、執行機関を当該普通地方公共団体と別個の法人格として区別することはできない。
また、訴えられた場合に議会の議決なしに応訴することはやむを得ないとしても、敗訴してからの上訴費用まで当該普通公共団体の予算を何の手続きや住民(議会)の了解もなく使うというのはあまりに特権的でありすぎる。
4、「12号規定」の「訴訟の提起」の意味については控訴や上告にもいえるのというのが通説であり、かつ、「4号規定」の訴訟が当該普通公共団体を前面に引き出すことを目的とし、究極的にはそれが当事者として登場することになることは地方自治法第242条3の2項、3項、4項、5項の各規定から明らかであるから、本件についても「12号規定」を適用し、議会議決を経ていない本件申立てを却下すべきである。訴訟提起の重要な手続きを履践していず、民事訴訟法第316条第1項1号に該当するからである。
 ちなみに、本件申立ての相手方が、本年2月24日に東洋町議会議長に対し、当該議決についての公文書開示請求をしたが、即日町議会議長は、その公文書は存在していない、本件上告の提起及び本件申立てについて議会に議案を上程されていない、と回答している。(甲第38号証)
【三】原判決と本件申立て理由書の内容
 原判決は主として二つの理由で申立人の賠償責任を認定した。原判決を図式化すると、
(1) 貸付規則の非公示→ 貸付規則の無効
(2) 理事会の不成立→貸付契約の無効
(3) (1)及び(2)の無効→本件申立て人の敗訴
一、本件貸付規則の無効について
第1審高知地裁判決では触れられていなかったが、原判決では、本件貸付規則が、「交付手続きを欠いた未施行のものであって、効力を生じていない」と断ぜられた。(原判決18頁下段~19頁上段)この一事からしても、1000万円の本件貸出しは違法となる。
 本件申立て理由書においては、本件貸付規則の無効という原判決の重大な判断については一言も反論するところがない。ただ理事会の成否をあげつらうだけである。
本件貸付規則が無効であることは本件申立人も反論の余地がなく、認めたという事であろう。本件貸付規則無効の意義は、たとえ金銭消費貸借契約が有効に成立したとしても(本件においては金銭消費貸借契約書が存在せず、そのかわり「借用書」が存在するが、その「借用書」には借主(野根漁業協同組合)及び貸主(東洋町)両方の署名押印が欠如している。)貸付規則がない以上貸付けの対象、貸付の要件や返済の要件、手続きなどが不明ということになり、到底公的機関の貸付行為とは言えず、このことだけですでに判決を左右する重大な瑕疵である。
 適正な交付手続きを踏んでいず、特定の漁家にのみ本件貸付規則を交付し、その規則にのっとった申請書を提出させた本件の場合、それ以外の多数の台風被災者(そのうちいくつもの漁家が申立人の町に救済の陳情書を提出していた)に対して極めて不公正な取り扱いとなった。公金支出の上で公益性を担保する民主的な適正手続きが欠如した。
 第二に、本件貸付規則は無効であるが、一応議会への提出があり、本件貸付についての規範となるはずのものであった。議会は当然この規範的規則にのっとって本件貸付が実行されるものと了解した。しかし本件貸付規則の公布手続(不存在)は非民主的であり、無効と判断された。本件貸付は規範となる条例又は規則を失った。
 町議会についても、規則が交付もされず、公募もされず、貸付け対象者(応募者)の審査・選考もなされず、特定の漁家にだけ全額貸し付けるという事が最初から明らかであったなら、到底本件貸付は承認されることはなかったし、本件貸付金1000万円の入った補正予算も可決されることは困難だったと考えられる。
およそ公金支出には、執行機関の規範的ルールの存在又は制定が必要であり、それにはその公金支出の公益目的や適正手続きが定められる。一応本件申立人がそれを新規に制定し議会に示したという以上は、執行機関(首長)の行為は無制限な裁量に掣肘が加わりそれによって拘束され評価されることになる。少なくとも執行機関内部の事務手続きに関する限り規範的拘束性を帯びている。
首長としての裁量行為による貸付という行政行為の事実がそれによって評価されるが、本件申立人は、規範的ルールたる本件貸付規則に対し、それの非公示という重大な瑕疵によってそれが無効になるほどに背反したのである。規則を公布したり、公募したり、審査・選考したり・・・これらの事務手続きについて何もしなかったということは、自らの行為の公正さや民主性を否定したことになる。
それでは、本件申立人は何をもってその裁量行為が正当なものといえるのであろうか。
 補助金支出や貸付金の支出において、何らかのルールも作らずに首長の完全な恣意に基づく裁量は認められない。それらは、対象事業の公益性や、公金支出に至る過程の民主的手続きが担保されていなくては、単なる利権行政に転化するからである。
 実際、本件貸付(又貸し目的)は、返済の能力も意思もない特定漁家に融通するため、その無能力を十分承知していた申立人が、漁業組合の名義を差し出すことを条件にして特定漁家の利益のため遂行したものであり、その返済を漁業組合に代替させようとした利権行為そのものである。
 本件貸付をめぐって漁業組合の総会で紛糾して拒絶されて、本件貸付金を申請し実際に借受けを実行した桜井菊蔵ら本件組合執行部は、逃げるように組合役員を辞職してしまったのである。
 貸付規則が無効と判断されたというのは、公正な手続きの不存在、貸付金の利権化を認定されたも同然であるから、本件申立人松延宏幸の責任は逃れられなかったのである。 
二、本件理事会の不成立について
既述のとおり、本件申立て理由書の主張通り6人の理事(桜井菊蔵、桜井勇、松吉保、松吉保彦、松吉孝雄)が出席して本件理事会が開かれその議事録に署名押印したとしても、その場合議長を除くと5人の理事による議決となるが、そのうち3人(松吉保、松吉保彦、松吉孝雄)までが松吉保の特別利害関係親族となる。3人は親子と実の兄弟同士であるからである。特別利害関係人が議場で過半数となり、そのうえで議決したというのは、水産業協同組合法が準用する会社法369条2の規定に甚だしくかつ決定的に違反して、無効である。
 1、本件申立理由書の掲示した理事名簿は虚偽である
既述のとおり上告受理申立て理由書3頁目に掲示された理事の名簿は虚偽のものである。
このうち3名(松吉保、松吉裕也、松田安信)は実際の組合総会など正規の選任手続きで理事に就任したものではない。勝手に理事にされたか、勝手に名乗っているだけである。
本件申立人は町長である前に東洋町の幹部職員であった。特に税務課長を長く勤めていてその課には全町民の家族名簿が直ちに見ることのできるパソコンがある。本件申立人は東洋町のほとんどの家族や親族について誰よりも詳しく知る立場にあった。本件申立理由書3頁目に掲示された理事の名前を見ただけで、直ちにこの理事名簿はおかしいと判断されねばならない。すなわち
  松吉(桜井)菊蔵    井崎勝行
  松吉孝雄        松吉保
  桜井勇         松吉保彦
  松田安信        松吉裕也
                    (  )内の氏名が正しい
一つの小さな漁村の漁協の定数8名の理事の中にその半数が松吉(まつよし)という苗字をもっている。いかに片田舎の組合(本件組合の組合員は百数十名)とはいえ組合役員の半数を同じ一族(二親等以内)に占めさせるというようなことはありえない。すなわち、松吉保の実弟が松吉孝雄であり、松吉保の息子が松吉保彦であり、松吉保の孫が松吉裕也である。また、松田安信も松吉保の甥であり、しかも安信は貸付け対象事業所「松吉保小敷組合」の操業責任者であった。
さらに、この松吉一家の5人の理事のうち松吉保、松吉裕也、松田安信の3人は正規に理事に選任されたものではない。組合員ではあるが組合理事としては無資格の部外者である。
他の少数の3人の理事に過半数の親族理事の存在が影響を及ぼさないといえるであろうか。
そんな異常な役員構成、1親族が過半数を占める理事会が正規の組合員総会で選任されたり承認されるはずはない、という疑問を本件申立人が本当に抱かなかったとしたら、それは本件申立人の重大な過失か、それ自体を容認していたとしか言いようがない。
漁業組合は特定範囲の漁場で互いに厳しく競合したりまた協同したりする組合員の集合体であり、普通は組合財政を支えるいくつかの漁家を中心に選任される。組合に対してほとんど何の賦課金も納めない1親族によって組合の執行機関である理事会が牛耳られるほど多数を役員に選任するというようなことはありえない。
2、本件申立人が挙げる理事8人を選任したという総会は存在していない。
本件申立人が第1審第2審を通して、本件理事会の瑕疵は平成23年11月9日の組合員総会で治癒された、などという主張を繰り返してきたが、その総会(臨時総会)の議事録なるものにも理事改選の議案やその議事の記載は全くない。
それ以前の役員選挙に係る正規の総会は平成21年5月23日のことであり、そこで選任された理事は甲第33号証の役員たちであって、その次の役員改選の総会は3年後の平成24年6月のものであるから、申立人の今回あげた理事名簿が何を根拠にするものか不明である。
申立人が掲げる理事名簿が本当のものであるかどうかを立証するものは何もない。
当時の真実の理事名は甲第33号証に記載された理事であって、この書証は実際の総会に提出され可決された総会議案(甲第37号証の2)をそのまま活版印刷したものの写しである。第1審第2審を通じて、本件に係る理事の名簿一覧は甲第33号証以外には法廷に提出されていない。
3、本件組合の本件当時の理事の状況
平成23年11月中の正規の理事は甲第33号証であるが、これについて本件組合の役員はいくつか整理しなければならない問題があった。すなわち、甲第21号証によると幾人かの理事辞任の申し出の事実があった。平成21年5月23日に就任の役員(甲第33号証)でスタートしたが、
理事のうち桜井菊蔵(正規の理事)が家族が高齢を理由に反対したため辞任を申し出た。
また、桜井春雄(正規の理事)も辞任を理事会で口頭で申し出た。
松田博光(正規の理事)についても辞任を理事会に口頭で申し出た。
組合は、理事会の決定として松吉保と武山祐一を理事として補充した。11月9日の総会に動議として出された理事の名前であった。しかしこの新理事については総会の承認を得ていなかった。当時の組合は理事の補充は理事会で決めることができるという誤った観念をもっていたと考えられる。
補充されたとする武山祐一(非正規理事)」も本件が起こる1年前に辞任が申しだされた。
そして、桜井淳一(正規)は数期にわたって本件組合の組合長を務めてきたが、本件貸付金を組合が受けることについて反対していたがため、松吉保(非正規理事 本件貸付金の実質的借主)によって強行に辞任を迫られ本件が起こる直前に辞任を余儀なくされ組合長を辞任していた。本件が起こる直前では正規の理事のうち4人が辞任し本件組合定款で定められた理事8人中4人がいない、理事は5人以上という水産業協同組合法に違反するという状態になっていた。それ故に平成23年11月9日の臨時総会で組合員から理事の定足数が不足しているという指摘があったのであり、第1審判決でその事実が指摘され、理事会の手続きに問題があるとされたのである。
定款や水産業協同組合法の規定では、理事が辞任してもその後任が選任されない間は辞任した理事が業務を引き続き遂行するということになっていて、本件組合はその後任の理事を総会などで正規に補充選任するという手続きは取っていなかったし、また、辞任した理事に理事の任務遂行を促すこともしなかった。したがって理事会を開催してもそれら辞任した理事には開催について招集状など何の連絡もしてこなかった。
ところが、松吉保らが本件貸付金について「理事会」を開くにあたって、辞任させた桜井淳一組合長に代わって、数年前に辞任していた桜井菊蔵を突然理事に復帰させこれを組合長に据えて貸付金の申入れを決議した、ということになったのである。
当時の野根漁協の正規の役員は甲第33証のとおりであり平成21年5月に総会で選任されている。原審判決文16頁には、この甲第33号証について正しいかどうか不明である旨の指摘があり採用されていないが、当時の役員が総会で認められたものとしてはこの活版印刷された名簿以外に存在しない。
理事の任期は3年間であり、上掲の理事名簿の者が本件事案を担当するべき理事8人全員であり、また監事3人であった。二親等以内の者は桜井菊蔵と桜井勇の親子二人だけである。このうち、本件当時、辞任したという者が、桜井菊蔵、桜井春雄、桜井淳一、松田博光らがいて、桜井淳一前組合長以外は数年間理事会に出席していないとのことである。
正規に総会などで後任の補充選任はされていなかったから、法令や定款の定めでこの辞任届をした3人も理事としての任務を遂行する立場にあった。
理事会を開催するときには当然これら辞任したという理事にも招集状を送付するか何らかの連絡をしなければならなかったが、事件当時の本件組合執行部は一切そのような手続きはしていなかった、といわれる。
4、正規の理事で判断すべき
既述のとおり本件申立て人が言うとおりの理事名で本件理事会の成否を判断しても特別利害関係人が過半数で議決を行ったということになり、社会的相当性を欠くというべきであり、到底承認できるものではない。
甲第33号証の正規の理事に照らして本件平成23年11月3日の本件理事会を検討すると、冒頭既述のとおりであり、利害関係理事は松吉保彦(松吉保の息子)と松吉孝雄(松吉保の実弟)の二人であり、後の6人(桜井菊蔵、桜井勇、井崎勝行、桜井淳一、桜井春雄、松田博光)は議決可能な理事であるが、この6人の理事のうち本件理事会に出席したとして議事録に名が出ているのは、桜井菊蔵、井崎勝行、桜井勇の3人だけである。
本件申立人が言うとおり本当に理事会が開かれたとしても議決可能の6人の理事のうち3人では過半数とはならない。
したがって、本件申立人の理事会成立についての申立て理由は成り立たない。
本件申立人は本件組合の役員については知らないとは言えない。
本件組合とは漁港(野根漁港)の町営の荷捌き場や製氷機など主要な漁港施設の管理委託契約を結んでいるから、常時接触する関係にある。誰が役員であるか知る義務がある。
まして、正規の理事選出の総会に前町長と担当課長が出席し議案書を手にしたのであるか
ら知らなかったと言い逃れることはできない。今回、地元の漁業関係者であれば直ちに偽
物と看破できるような理事名を裁判所に出してきたこと自体、過失ではなく悪意ある作為
であり、故意であると考えられる。
5、理事会議決の重大な瑕疵
理事会の議決は既述のとおりその理事会構成員の形式上から見て、到底成立しているとは言えないが、その内容の面でも著しく不正なものであって、無効である。
  ①裁判所が認めた不正 定款変更
 本件貸付(又貸し)は、漁業協同組合としてのものであるので、本件組合はその貸付事業を行うためには定款を変更する必要があり、その定款変更は知事の許認可による。
 第1審判決(9頁中段)で「本件貸付は、知事が上記定款変更を認可する前に実行されている・・・・」と認定された通り、知事の定款変更の認可(平成23年12月)が下りる前に本件貸付(平成23年11月中)が遂行された。これは些末な間違いではない。漁業協同組合にとって信用事業の一部貸付事業を行うのは大変な事業の追加である。
県知事の許可もなく定款にない新たな事業を勝手に始めることは無法な行為であり、水産業協同組合法第48条2項の規定「定款の変更は…行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。」という規定を直視するべきである。日本国の法律が無効だと定めたものを屁理屈を並べて有効だというのはあまりにも無法である。
 認可どころか定款変更の県庁への申請もまだしていない段階(本件理事会は11月3日、認可申請は11月10日)で、具体的な案件として貸付事業の新規事業を理事会で議決することはできないし、むろんそれを実行することもできない。
 無免許で普通乗用車を運転して捕まったものが、後で免許を取得したからと言ってその犯罪行為を元に戻して帳消しにはできない。無効な期間にした行為は無効である。
 ②裁判所が認めた不正 借入の最高限度額の設定なし
 また、第1審判決では、「野根漁協は、総会で毎事業年度内における借入金の最高限度額を総会の議決で決めなければ、借り入れをすることができないが、本件貸付がされた事業年度にはこれを定めていない。」(第1審判決8頁~9頁)と認定したが、本件組合が災害対策資金の借入れのために定款変更を議決したことが最高限度額の議決をしたことと「同視し得る」として違法ではないと判断した。しかし、定款変更はただ貸付事業を行うというもので、借り入れる話とは全く「同視」できるものではない。本件理事会で問題になっているのは借入金のことであるから、本件組合が資金を借り入れるという議決のためには総会で特別議決が必要なのである。それなしに理事会で勝手に大枚の資金借り入れを決議した場合は、その議決は総会のバックアップがなければ無効たらざるを得ない。法律で無効とされたものはあくまでも無効であり、裁判所が無効なものを有効と判断してもやはり無効なのである。
 このように理事会の議決は理事の定数問題だけでなくその内容においても裁判官の指摘がある通り議決できない事案を議決していて、無効であることは明白である。
③自己取引についての理事会承認議決の欠如
本件貸付金は小敷網を敷いている松吉保に対してであるが、その借主の名義はその息子で理事の松吉保彦であった。それはとりもなおさず親子が共同の借り受け人という事になるであろう。したがって名義上であっても松吉保彦は組合との間で金銭消費貸借契約を結ぶのであるから、水産業協同組合法第38条、本件組合定款第49条2項の定めるところにより理事会の特別議決でもってその契約が承認されねばならない。
本件理事会ではこの利益相反の自己取引についての承認決議はなされていない。
本件理事会が議決したのは組合が東洋町に対して1000万円を借り受けるという申請が承認されただけであって、組合と、事実上貸付が決まっていた特定理事との間の契約については何も議決されなかった。
 そもそも、本件貸付金(借受金)についての理事会は本件理事会以外になかったわけであるから、本件理事会で、借り受ける1000万円をだれに貸すのか正式に決定する必要もあったし、またその相手が理事(松吉保彦又は松吉保)であるなら、その理事との間の契約についても議題に挙げて決議する必要があった。
 もし松吉保彦は仮の名義人であり実質的な契約相手は正規の理事ではない松吉保であるとして、松吉保1人とすると、その場合、理事たちが第三者の利益のために組合と利益相反取引をするということとなるから、理事全員が特別利害関係人の欠格者となり、議決ができないことになる。(会社法第365条(356条1項準用))
 学校法人や医療法人などでは理事と法人間の利益が相反する場合は、所轄官庁が特別代理人を任命して事務を処理するという事になっている。
特別利害関係人とは、理事又は取締役が、自己または第三者のために債務の保証などその法人と利益相反取引を行う場合に、その理事又は取締役のことをいうのである。
いずれにしても本件理事会では本件貸付金(借受金)に係る利益相反取引について、いかなる議決もしなかったし、その後も本件貸付金についての理事会は開かれていない。
したがって、本件貸付金(借受金)についての理事会としては重大な欠陥を持ったまま終わり、してはならない議決を行ったというべきである。
5、本件理事会について第1審、第2審での申立人の主張
原判決の判示(「松吉保及び松吉保彦が加わらなくても、本件理事会決議がなされたと認
めるに足りる特段の事情は主張も立証もない。」)のとおり、本件申立人は第1審、第2
審において本件理事会の有効成立については積極的には何も主張しなかったし、むしろ、
それに瑕疵があったとしても総会の議決でその瑕疵は治癒されたという趣旨の主張を繰
り返してきた。第二審の答弁書でも「原判決が「11月3日の理事会決議には手続き上
の瑕疵がある可能性がある」と認定したことは明らかに間違った認定であって相当問題
がある」というのみでどこに問題があるか、どうしてその手続きに瑕疵がないというの
か何も主張もしていない。第二審の準備書面(5)でも「総会の決議は理事会の決議よ
り優先する」という風にむしろ理事会の決議に瑕疵があることを前提にした主張の仕方
となっている。
 第一審(高知地裁)でも理事会に言及したのは準備書面(2)だけであり、「・・・・何らかの瑕疵があったとしても・・・同組合理事会の瑕疵の有無を問題にする余地はない」などといって、本件理事会の成立については否定的か極力争点化するのを避けてきた。
 第1審高知地裁は本件申立ての相手方(当時原告)の請求を棄却したが、それでも理事会の不成立などで「違法な公金の支出という余地がある」と指摘している。
すなわち、平成23年11月3日の1000万円借入金の理事会決議には6名出席となっているが実際にはそのうち2名が出席していず、議決権者が過半数にならないという甲第21号証の指摘している点である。その時の理事会出席者というのは
     議長 桜井菊蔵
理事  井崎勝行    理事 桜井勇
理事  松吉孝雄    理事 松吉保
理事  松吉保彦 
以上6名であるが、事件後の組合の特別調査委員会が、そのうち桜井勇、松吉保彦は出漁していて理事会に出席していなかったから4人の出席では定足数8名の過半数に不足しているという事実を指摘していること、(第1審では利害関係者については問題にしていない)
また一方、組合総会において組合員から、そもそも辞任者が4人もおり理事の人数が絶対的に不足していて、理事会の決定などが無効になっているとの問題提起があった、という事実を認定し、調査委員会の指摘と相まって「理事会決議には手続き上の瑕疵があるという可能性がある。」と判示した。
第2審の判断はひとり特別利害関係人の問題だけでなく、上述のような理事会の定足数が絶対的に不足しているという第1審裁判官の指摘も前提にしているものと考えられる。
【四】結論
上告審は、憲法・法令やこれまでの最高裁などの判例に係る事案についてのみ受理し審理することになっている。
本件申立て理由書は、第1審、第2審でほとんど実質的に争わず、まともな主張もしていないばかりか、その成立を自ら否定的に評価していた本件理事会の成否について新たな事実を元に主張をしているものである。その主張を根拠づけるものとして本件申立て理由書(2頁~3頁)が挙げるのは、東京高裁及び大阪地裁の2つの判例であるが、これら判例では、本件申立て人の主張は裏付けられていない。
前者東京高裁の判例では取締役の議決権行使が利益相反する事例ではないと判示されているし、後者の大阪地裁の判例ではまさに利害関係人が議決権を行使してその議決が無効とされた事件である。
ただ、その判例タイムズなどの解説の中で本件申立人の言うような特別利害関係人を控除して云々の説が紹介されているだけである。何の判例違反なのか不明であり、何の法令に抵触するか不明であって、一般論(通説)として特別利害関係人の取り扱いを論じた解説の一論理を本件に機械的に適用することを求めるに過ぎない。
しかし、その判例解説の、控除の論理を採用するにしても、その控除の前提になるのは、本件組合の正規の理事である。本件申立てはその理事について組合総会で正規に選任されていないものを新たに出してきたのである。
第1審第2審では本件理事会を構成する正規の理事については本件申立人側が本件理事会の成立についてむしろ否定的な見解を述べ続けていたこともあって、明確に確定していない。
本件理事会の成立については第1審第2審を通じて申立人自身が否定的見解を述べ続け、第1審裁判官も理事の絶対的定足数に「瑕疵がある」、「違法な公金の支出の可能性がある」と指摘し、第2審では特別利害関係人の点からその成立が否認された。 
事実の審理をしない上告審であらためてこれを取り上げるとなれば、本件のようにいくらでも架空の事実を言い立てそれに特定の論理を付会して上告審で争うことができるという事になるであろう。もしそうであるなら、まさにその架空の事実について最高裁でも審理することを避けることはできない。すなわち、利害関係人控除の論理とともに、正規の総会で選任された理事をもとにしてその論理を適用するのか、それとも、部外者も含む過半数の特別利害関係人で構成された虚偽の理事名簿でそれをするのか、判断は避けられない。

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