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2015年9月21日 (月)

原発の運転と星座

News & Letters/438

きょうNHKのニュースでは、電力会社の原発運転の社員のうち5人に1人は運転未経験だという。
自転車の運転でもまして自動車でも運転未経験者は、それらをうまく乗りこなせないだろう。
巨大で、複雑怪奇で、原爆と同じものを爆発させる原発で未経験者に運転させるというのであろうか。

どんなベテランでも、またどんな機械でも、4年も5年もの長期間運転の実経験がない場合、その運転は覚束なくなる。

地震などの場合はもとより原発が故障したり、運転員がミスを犯したとき、瞬時の間に適切な判断や行動がとれるだろうか。
次々に多数のアラームが同時的に鳴りだしたら、平然と冷静に、マニュアル通りに行動がとれるだろうか

普通の人間はパニックに陥り、何をしていいかわからくなったり、してはならないことをしたり、手順を間違えたりいろいろな試行錯誤をやるであろう。普通の場合は操作が間違っても修正したり、繰り返したり、考え直したり、試したりして何とかトラブルを収める。
しかし、原発の場合の事態の進行は高速であり秒単位でメルトダウンに向かって深刻な変化が多発的に起こる。

そして、最も重大なのは、文字通り間髪をいれない事態の推移の中で、原発は星座のような宿命的なタイムラグを持っていることである。私たちが今星空に星を見るのは、それは何億光年も昔のその星の光であって、今はその星が存在しているかどうかも分からない。星座のタイムラグはロマンの物語だが、原発の場合はそうはいかない。

星座の場合よりもタイムははるかに極小であるが、同じタイムラグが原発に起こる。
原子炉の温度や状態について原発の運転員は見ることも感ずることもできないからコンピュータシステムで間接的に認識する。正常運転の場合は問題はないであろう。しかし、事故が起こったときコンピュータが発するアラームはこれをプリントアウトするのに時間がかかる。

さらにプリントアウトされた記録を人間が目視し頭に入れるのに時間がかかる。
ある個所の機械や器具の不具合をその事故発生と同時的にコンピュータが捉えてアラームを発しても、それが印刷され、それを人間が認識し、判断し、行動に移すまでに数秒~数分、実際には数十分かかる。

多発的事故で複数のアラームが一斉に発せられてもコンピュータからのプリントアウトはひとつづつしか出てこない。
仮に複数のアラームが同時に印刷されるとしても、聖徳太子ではないのだからそれを手に取って読む人間の能力はたかがしえている。数秒で深刻な事故の進展がある原発では、操作はすべて現実の現象とは違うものを認識することしかできない。
してはならない判断や行為をし、すぐにしなければならない行為をしない、という事態が本質的に起こる。

原発は、事故をシュミレーションすることができない。事故の進展現象も、数秒から数分以上のタイムラグでしか認識できない。
未経験者だけでなく超ベテランの運転員でもこのタイムラグは逃れられない。
スリーマイル島の事件、チェルノブイリ事件、そして福島の原発事故でこの宿命的なタイムラグは実証されたはずだ。

ちなみに高木仁三郎氏の著作によると、スリーマイル島事件ではこのタイムラグは最大数十分に達したという。

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