続・革共同政治局の敗北
News & Letters/428
「革共同政治局の敗北」の登場は衝撃的であろう。
多くの関係者がこれを読んで、自分自身の過去及び現在について思いをめぐらすであろう。
前回に問題にした革共同の墜落の原因について本書は表面的な素描しかなしえていないと私は書いた。
清水や中野、塩川、与田等々の個人的な問題としては出されているが、根本的な原因の解明は出来ていない、と私は考えている。
本多さんが生きておればこのような事態にはならなかったのか、である。
第1の問題は、前衛党についての考え方だ。
私は本多を含め革共同の革命党としての自覚において、スターリニスト的体質を払拭できなかった、というよりより激しい闘争の中で一層スターリニスト的体質を純化させた、と考える。それは日共やカクマルらと同等かそれ以上にである。
それは結局日本的には梯明秀の主体性哲学、アメリカのラーヤ・ドウナエフスカヤの思想をネグレクトしそれと正反対に位置する。
卑俗に言えば藤本進治的前衛意識(大衆は馬鹿だからこれを引きずりまわす、 「革命の哲学」)を強烈に志向してきた、その破産的結果が今日の革共同の崩壊現象の根因であろう。
前衛とは大衆の先頭に立って弾にあたって死ぬことだ。大衆の後ろに隠れて大衆を操るものではない。
梯明秀とラーヤはマルクス死後最大のマルクス主義哲学の泰斗である。
プロレタリアの主体性、自己意識、自己運動を視座にすえてスターリニスト的前衛思想を根底から否定した。
マルクス主義こそがスターリンや毛沢東など大小のスターリン主義的官僚支配を打倒する原理論を持っていることを示した。
中核派は二人の偉大なマルクス主義思想家を無視しあざ笑った。それはマルクス主義の原理を否定しあざ笑ったのと同じであった。
マルクス主義は人民の自由と解放の哲学であって、大衆を引き回したり異説を唱えるものをテロで圧殺する思想ではない。
清水や野島、中野、塩川はもとより、本多延嘉でさえもマルクス主義哲学を体得しそれを運動の中に根付かせようとはしていなかった。初期マルククスの思想、マルクス主義の原点、滴るような革命的ヒューマニズムに無関心だったのだ。
初期マルクスの著作について本格的に学習したり論議に上るというようなことはついぞなかった。
その結果、大衆運動の自己運動ではなく、スターリニストとしての官僚的特権の自己運動が優先し、大衆運動を圧殺して省みない体質が構築されたのである。
そのことは本書「革共同政治局の敗北」の著者たちも同様であろう。
81年革共同第5回大会の議案についてのコメントでこの著者は「そこには世界史的・人類史的な課題である原発ゼロ化、核戦争廃絶もなければ・・・・・」といい、「第5回大会路線が内包する誤りがより端的に現れたものが、反原発闘争の軽視と放棄であった。・・・・政治局は、反原発という人類史的テーマの綱領的・戦略的な解明の戦いに背を向けていたのである。」という。
< div>なぜ「前衛党」ともあろうものがこのような致命的な誤謬を犯したのか、2011年の福島原発の破局まで反原発闘争に動かなかったという重大な過ちの根因は、何か。
それは、誰が前衛なのかという根本的な問題なのだ。決して「前衛党」を自称している連中が前衛なのではなく、大衆こそが前衛であり、それについて学習し大衆の戦いや願いを自己の戦略にすえていくという党としての思想性の欠如なのである。
真理は、誰か革命家か天才が発見するのではない。あらかじめ大衆の中に、その生活や戦いの中に用意されていなければ見つけることもできないのである。反原発闘争は全国各地で戦われていた。戦いを始めていた住民たちが前衛なのだ。それの意義を学習することが出来なかった「前衛」ははるかな後衛であり、追従でしかない。
傲岸なスターリニスト的前衛思想を捨てて、真実のマルクス主義の原点に返ること、大衆の自己運動、それがラーヤ・ドゥナエフスカヤの主唱したマルクス主義であった。
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