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2015年7月 3日 (金)

砂川事件最高裁判決

News & Letters/419
砂川事件の最高裁判決文を歪曲して集団的自衛権の根拠にしようというのは
まったく牽強付会であって、9条をめぐる憲法学においては論外である。
砂川事件の争点は、日本に駐留する米軍の存在が、憲法に違反するかどうかであって、
日本の自衛権だとかではない。
その判決の要点は「・・・その保持を禁止した戦力とは、わが国が主体となってこれに指揮権、管理権を行使し得る戦力を
いうものであり、結局わが国自体の戦力を指し、外国の軍隊は、たとえそれがわが国に駐留するとしても、ここにいう戦力には該当しない」として、「アメリカ合衆国軍隊の駐留は、憲法九条、九八条第二項および前文の趣旨に適合こそすれ、これらの条章に反して違憲無効であることが一見極めて明白であるとは、到底認められらない。」
というものである。
当時の田中長官がアメリカと意を通じて下したいわくつきの判決であるが、米軍の駐留が9条や前文に適合しているという国辱的な文章が盛り込まれていたのである。
しかし、米軍の駐留は、憲法前文、憲法9条に真っ向から反している。
確かに、9条の第2項の規定、陸海空軍その他の戦力とか国の交戦権とか言うのは日本国に限定された規定であるが、9条の第一項や憲法前文はそうではない。
憲法前文には「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすること・・・」となっている。
傭兵であれ外国軍隊であれ日本政府が日本列島に呼び寄せて、これに戦争をさせるというのは、「政府の行為」による戦争であって、憲法前文に抵触している。
また、9条第1項は、「国権の発動たる戦争」、「武力による威嚇」又は「武力の行使」は国際紛争の手段としては永久に廃止されている。外国軍隊を使って戦争するのも「国権の発動」であり、外国軍隊を抑止力として存在させて、仮想的を威嚇するのも「政府の行為」である。9条第1項の規定する武力は自国の軍隊とは限られていない。
安保条約を結んで米軍に沖縄をはじめ日本全体に駐留させるのは「政府の行為」であり、「国権の発動」である。
自衛隊だけでなく、米軍の存在も憲法前文や9条に違反し、これらの存在が日本国民を苦しめ、アジアの安全保障環境を悪化させているのである。
砂川事件最高裁判決は、世界中に戦争行為を推進拡大している米軍の存在を憲法9条や前文に「適合」するなどというあきれた見解を表明しているが、現行日本国憲法を戦争推進憲法と読もうとした国賊裁判官のなせる業であり、安倍晋三や高村某らはまさにこの点で感動し、それで砂川事件を持ち出したのであろう。
彼らやそれに追随する連中の行為はもはや 違憲 という穏やかなものではなく 破憲 ともいうべきものだろう。
当時の全学連を先頭とする砂川闘争や沖縄県民の米軍基地に対する戦いは憲法9条や前文の趣旨に「適合」する正しい行為である。

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