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2015年6月 1日 (月)

県議会政務調査費の住民訴訟

News & Letters/413

被告の高知県は、県知事を相手にした私の訴状に対して、高知県会計規則第3条の規定により県知事の権限を議会事務局長に委任してあるので、知事を訴訟の相手にするのは失当であり、却下されるべきだと居直っていた。

しかし、私の今回の準備書面によって、その卑劣な論理が打ち砕かれた。
まさに知事は県議会に本件政務調査費の交付権限を議会に委任することができないという事が法的に証明された。従って知事が交付決定もしていない公金を、議会事務局長が永年勝手に使っていたということになった。

本件訴訟の前哨戦はかくて私の勝利のうちに終わり、今から本戦に入る。

ちなみにこの間の調査で、高知県議会事務局では、政務調査費の交付決定通知書はもとより、重要文書の送達簿すらも作成していないことが明らかになった。
文書管理もまともにやれない機関が行政のチェック機関として太いことを言って巨額の公金を使っている。

監査委員は、県議会事務局をまともに調査しているのであろうか。

平成26年(行ウ)第9号 損害賠償請求事件    
原告 澤山保太郎
被告 高知県知事
原告準備書面(4)
                 平成27年5月25日
高知地方裁判所 殿
                   原告 澤山保太郎                  

原告は以下のとおり弁論を準備する。
知事の権限の委任について
被告はその答弁書25頁及び準備書面(1)の2頁で高知県会計規則3条1項1号により、政務調査費などの支出についての権限を知事から議会事務局長に委任されていて、知事には権限がない、という主張を繰り返してきた。

原告はこれに対して準備書面(2)、(3)でその主張には法的根拠がないことを指摘してきた。これについて被告から法的根拠を示す主張は出ていない。
今原告の主張をさらに補強し整理する。

一、高知県会計規則第3条1項1号には、確かに予算の範囲内で教育委員会など諸機関の所掌に関する支出負担行為や支出命令等について「知事の事務委任」が規定され、議会もその機関の一つとして指定されている。
ところで高知県の会計規則関係の通知(甲第  号証)には、この会計規則第3条関係について解説していて、それによると知事の権限の事務委任は、「地方自治法第百五十三条又は第百八十条の二の規定」に基づくとされている。
 この二つの法律の規定を見ると、いずれも議会又は議会事務局への知事権限の委任の根拠にはなりえない。
すなわち、
 地方自治法第153条の第1項の場合、権限委任の対象は副知事や部課長など知事部局の職員に限定されているし、第2項の「行政庁」も保健所、福祉事務所など知事の管轄する部署のことであると理解されている。従って議会は対象となっていない。
 他には地方自治法第180条の2の規定があるが、その事務委任の対象も「当該普通地方公共団体の委員会又は委員」であって、議事機関たる議会は対象ではない。

二、被告準備書面(2)の3頁~4頁にかけて被告は、議会事務局が知事の権限事項について委任される法的根拠がないので、議会事務局の職員に知事部局の職員たる資格を与えるため「併任」という仕法を用いていることを明らかにした。

それを合理化するために乙第25号証の逐条解説書を出してきているが、その解説書でも、委員会など執行機関には委任についての規定があるが議会については「このような規定がないので・・・・」といって、別の便法「併任」について教示している。すなわち、
たとえば、議会事務局の事務局長、書記長又は書記を長の補助機関である職員に併任し、その長の補助機関である職員たるの資格において、これに議会に係る予算の執行権を委任し・・・あるいは補助執行させるより他に方法がない。」という。
しかし、この解説書の著者は法令の制定者ではないし、このような「併任」という著者の意見が法令に替われるものでもない。

被告が言う「併任」というのは法的には地方自治法第180条の3の「兼任」のことと思われるが、その規定も首長と委員会との執行機関同士の間の規定であって議事機関である議会との間のことではない。従って被告の主張には何の法的根拠も存在しない。

三、乙第25号証の解説書が「併任」以外に「・・・・他に方法はない」というがそうであろうか。
  回答:他の方法はある。しかも本来の方法である。たとえば議会事務局の職員の給与の支払いでも知事が出納室に命じてこれを支給させることができるし、実際そうしている。補助金の交付についても直接出納長に命じて支払い事務を遂行させることは当然出来るし、それが本来のやり方だ。事務の委任というのは、もともと行政事務の効率化・簡素化のために認められた制度にすぎない。

委任について法律の定めがない場合は、委任してはならないのであって、しかも委任しなければ事務の遂行ができないわけではないし、また、委任しなければならないという法令も存在しない。委任についての地方自治法の規定は全て「・・・することができる」という文言で終わっている。

法の制定者が委任の対象に議会のことを忘れたのではないかと思うかもしれないが、他の執行機関でもかつては首長の事務の委任が禁じられた機関もあった。すなわち、地方自治法第180の2の規定の末尾の文言では、知事など首長の管轄する執行機関と明確に一線を画す必要がある機関には事務の委任はできないことが予定されている。
議会と執行機関は完全に独立していなければならず、同じ人物が同時に双方の事務を担当することは好ましくないと考えて、わざと委任事務の対象から議会をはずしたと考えられる。問題によっては議会が執行機関と全面的に対立するという場面、議会事務局も議長の指示のもとに執行機関と対決する業務を遂行し行動しなければならない場面もありうるのである。

 四、法律的に知事の事務や権限の委任を議会(あるいは議会事務局)にすることはできない。
従って、被告の主張は実際の事務の実態を表現するものであるが、法的根拠はなく、県の会計規則第3条の知事の委任に基づくという本件政務調査費の交付及びその仕法は権限のない議会事務局長が知事から委任されたものと詐称し知事の権限を踰越した違法行為であると断定できる。
あるいは被告知事からすれば、自ら査定し点検をし決定をするなど本件交付事務の権限を行使しなければならないのに、その責務を放擲し、これを法的根拠もないのに議会に丸投げ的に委任し、議会の好きなようにさせてきて、原告が指摘するような事態をもたらした、というべきであろう。
五、しかも、すでに指摘してきたように、政務調査費の交付について被告は本件も含めて条例に定められた知事の交付決定を一度も行っていず、一通の交付決定通知書も議員や議会会派に送付していない。知事から委任されたという議会事務局長も同様に正規の交付決定書を発送していない。

原告が、尋ねたところ、高知県議会事務局では、そもそも「公文書送達簿」の書式はあるが、これまでこれに一切記載していなかったし、また、その送達簿のパソコンなどでの「電磁的記録」も作成していない、ということである。

 これが、本件政務調査費について権限のない議会事務局が適法な手続きも踏まず、議員の言うとおりに公金を支払い続けてきた姿である。 

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