続:: 佐賀地裁幻滅判決(2)
News & Letters/403
続き
福井地裁樋口英明裁判長の判決は憲法を判断基準としチェルノブイリおよび福島原発の事故を見据えて大飯原発の危険性を剔抉したのであった。
片や佐賀地裁の判決は、憲法や法律ではなく、また、福島原発事故の惨状を無視して、政府が原発を維持するために行政実務上編み出した基準という物差しを当てて、現状を肯定した。
政府が作る基準値などというものは、たとえば労働者の年間被爆量100ミリシーベルトを250ミリシーボルトまで引き上げたのは、そうしなければ現場で働く労働者を確保できないからである。原発を維持し、事故をとりつくらうためには労働者の健康とか人権とかを基準にしないのだ。
佐賀地裁の判決の後尾には、使用済み燃料のことについて判断して、住民側の主張を一蹴している。
原子炉等規正法第23条の第2項には原子炉設置の申請書の必須記載事項が並べられている。その最後の第8号には「使用済み燃料の処分の方法」について記載することになっている。
使用済み燃料の処分を完全に出来るという見通しがなければ設置許可が下りない規定だ。現在日本では核燃サイクルが破綻しているから六ヶ所村に搬送して処理することは出来ない。この8号規定を満たしている原発は玄海だけではなくどこにも存在しない。違法状態が全国的に続いているのである。
だが、政府は、この法律を換骨奪胎するために「内規」をこしらえ、使用済み燃料の処分先は、搬送する前に決めたらいいということにした。だから、処分しなくていつまででも原発敷地内にその危険物をおくことが出来ることになったとするのである。
国会審議を経て議決された法律で定められたことを、時の政府の内部行政事務レベルの規則で捻じ曲げその趣旨を没却することが出来るというのだ。
そうするならいかなる法律も存在意義がなくなるだろう。たとえば選挙権は20歳以上の国民全員に与えられるという法律について政府の政令にこの10年間は選挙権は男性だけにするという規定を入れることも可能となるだろう。
そうなれば権力を握ったものが勝ちだということになる。このようなやり方については、平成21年に私ら東洋町住民が公務員の直接請求権をめぐって最高裁大法廷で逆転勝訴した事例があり、そのため地方自治法が改正された。公務員の議員リコールなどの請求権は地方自治法では認められているのにその施行令で否定されていて、東洋町だけではなくいくつかの地方でも公務員が直接請求にかかわったということでその署名簿が無効にされるという最高裁等の判例が続いていた。
しかし、私らの訴えで最高裁大法廷が開かれ、法律の規定が上位であり施行令など政令がそれを犯すことは許されないという判断が出されたのである。だから、原子炉等規正法第23条2項の第8号は生きているのであり、使用済み燃料の処分法が記載できないいかなる原発の設置許可も無効なのである。
政府が物事の現状を維持し動かすための方針や政策で決めた政令や規則などで原子炉等規正法という法律の規定をないがしろには出来ない。
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