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2015年2月21日 (土)

高知県議の政務調査費の裁判

News & Letters/399

高知県議会も政務調査費(現在は政務活動費)の使い方について考え始めた。
しかし、依然として議会内部でしか論議をしようとしない。

政務調査費を法令化するに当たり政府は、各議会が条例制定の折には、住民の意見を聴く機会を持つべきだという指示があったが、そんなことは絶対にしない。
宿泊費などは実費の倍以上も取っていて、日当まで取っている。

旅費などは県庁に用があるというものまで計上して請求する。しかも本当に県庁へ来たのかどうかはっきりした証拠もない。選挙区をぶらっと車で回っても距離に応じて旅費を請求する。兵庫県の号泣県議が高知にもだいぶいるのではないか。

以下最近の原告準備書面を掲載する。

平成26年行ウ第9号 損害賠償請求事件

原告 澤山保太郎

被告 高知県知事

 

準備書面(3)

                       平成27年2月17日

高知地方裁判所 殿 

                            原告 澤山保太郎

原告は、答弁書、被告準備書面(1)及び(2)について以下の通り弁論を準備する。

一、本件交付事務について

1、すでに原告準備書面(2)において明らかになった通り、本件政務調査費の交付については、本件条例に定められている知事の交付決定(書)、議員や会派への交付決定通知書が存在していない。知事はそのような文書を発行していないし、会計事務の委任を受けたという議会事務局長もそれらを発行していない。

補助金の交付決定は単なる会計事務ではなく、知事の政治的な意思決定でありここから全ての会計事務が始まる最重要行為である。

この一点において、本件交付行為は全て無効である。

被告は答弁書9頁中段で「高知県知事が、平成24年度政務調査費を高知県議会の会派及び議員の双方に対し交付したことについては認め、その余は争う。」としていた。

そしてその実務は、「アの通知が提出された後、旧条例7条の規定に従い、知事(委任を受けた事務局長)は当該通知をもとに会派及び議員に対し政務調査費の交付決定を行うとともに、交付決定した旨を会派の代表者及び議員に通知する。」と主張していた。

しかし、原告に開示されたり一般に閲覧で公開されている本件交付金に関する資料には知事の交付決定書や議員への決定通知書は存在していない。原告が事務局に聴き糺したところ、そのような文書は発行されていない、とのことであった。

 条例で定められた知事の交付決定もなしに議会事務局長の支出命令等の交付手続きはそれでは何を根拠に遂行していたのか。何の根拠も存しない。

回答。勝手に公金を引き出して議員に配布していたにすぎない。

従って本件交付金は、全額支出することができないのに支出した違法なものであり、知事が議員からその全額を返還させるべき筋合いのものであるのに歴年それをしてこなかったし、その意思も全く見えない。だから、知事がその弁済をする義務がある。

すくなくとも、原告が請求している会派分の交付金全額や議員への交付金で領収書のない宿泊関係費の全額については、知事が賠償する義務がある。

2、議会事務局長の権限と知事の被告適格性

 答弁書25頁によると、政務調査費の交付についての財務会計行為の権限は、議会事務局長が高知県会計規則第3条1項1号の規定により知事から委任を受けている、と主張 していた。

しかし、原告は前掲準備書面(2)でそれについては法的根拠がないと指摘した。

すなわち、地方自治法第180条の2の規定によれば、地方公共団体の首長は教育委員会など各種の委員会へその事務の委任ができるというものであるが、議会事務局には、行政執行機関ではないからその法律の適用はない。従って知事の職務を勝手に議会事務局長が遂行していたということになり越権行為の違法性が浮かび上がった。

 そこで、被告は主張を変えて、その準備書面(2)で、実は、議会事務局の職員は知事部局と議会事務局との「併任」であると主張しなおし、依然として事務局長が本件交付事務について知事から包括的に権限の委任を受けていて、知事には権限がないという主張をしだした。そのため被告は、最高裁昭和54年7月20日判決の判例を持ち出しその主張を補強する。しかし、引用された最高裁判決文は「行政庁相互の間においていわゆる権限の委任がされ、・・・」というとおり「行政庁相互の間」の権限委任の事柄についてであり、議会また議会事務局は行政庁ではないし、地方自治法第180条の2の規定からも外れているからこの最高裁判例は本件には失当なのである。

 従って、議会事務局に「併任」されたという職員はもとの知事の指揮命令系統に入っている訳であるから、たとえ知事が議会事務局に出向させたその部下に事務を委任したとしても、行政庁間の事務の委任とは違って、知事がその事務についての権限を喪失するというわけではない。だから、知事は本件訴訟の被告として適格性を有する。そのことが被告の説明で明らかになったのである。

なお、被告は、地方自治法第180条の2の委任と同法153条第1項の委任とを同じ性質のものと考えているようであるが、その考えは失当である。

後者の場合は、地方公共団体の首長の権限に属する補助機関の職員に事務の一部を委任する行為なのであり、一種の職務命令であって、前者の別の独立した執行機関への委任は首長と別機関との協議(合意)による委任である。

被告準備書面にいう「併任」を前提にした本件の場合は後者の委任であって首長の指揮命令の権限行使の一形態にすぎず、その委任事務についても首長の権限が直接及ぶ。

従って高知県会計規則第3条1項の委任機関の中に「議会 事務局長」を入れたとしてもその権限行使の性質は全然相違していることに留意すべきである。

3、実際、他府県での政務調査費又は政務活動費の住民訴訟では、全て知事が被告となって訴訟が起こされ、知事の責任が問われてきた。 

 地方自治法第100条の14項の政務調査費の規定では、政務調査費を出すかどうかはあくまでも地方公共団体(首長)が決めることであり、出すという場合にはその額や交付の方法などを条例で定めるとなっている。条例があるからといって必ず政務調査費を予算に計上しなければならないということではない。知事の財政状況や政策によって判断される事柄であって、交付決定以下の事務は、事務吏員の裁量に全て任されそれで決まることではない。

本件条例はもとより高知県補助金交付規則では、補助金の交付事務は基本的に知事(部局)の権限である。しかし、答弁書25頁の「(2)交付事務の流れについて」では、本件交付事務は知事(部局)によってなされず、議会については無効な高知県会計規則第3条の規定に基づいて全て議会事務局で専断されてきたというのである。

すなわち、

 議長による交付対象議員の状況についての知事への通知は知事になされずこれを「事務局長が受理する」。

 交付決定、決定の議員への通知も、事務局長が行う。(実際には行っていないが)

 議員は、政務調査費を知事に請求するが、これを「事務局長が受理する」。

 収支報告書も議長から知事に送付するが、これも「事務局長が受理した後、事務局が・・・精査する」。

 交付金の残余が生じた場合、事務局長から議員へ返還命令が出る。

実行されていない②以外は全て事務局長の専断となっているといって、本件交付条例の規定の根幹をふみにじって顧みない、不遜な勢いである。

これらの主張は知事を僭称しその権限を踰越するいわば違法行為の自白であって、高知県独自の仕法であり無法地帯としての高知県議会を現象せしめている。

 

二、証拠のない費用への支出

被告はその準備書面(1)で宿泊費等の領収書など証拠のない政務調査費の支出についてその正当性を一生懸命弁明している。

被告の主張は、

 実費ではなく標準的な一定額を議会の裁量で決めて支払うことは違法ではない。

 本件交付条例の10条4項の「領収書その他の証拠書類の写し」については、領収書がないからといって直ちにその支出が違法となるものでもなく、

 また、「その他の証拠書類の写し」については、マニュアルで定めた通り議員が作成する「政務調査活動記録簿」で「議員が証明」すれば十分だ、

というものである。

 について 

被告は大阪高裁及び奈良地裁の判決文を引用して正当性を論じているが、両裁判所の判決文が政務調査費の何の費用についての判断なのか不明であり、それが直ちに本件の宿泊費等の定額支出の正当性につながるか疑問である。

本件のようにその定額が実費の倍以上である場合に「標準的な支給実費」と言えるのか極めて疑問である。

 について

被告が依拠する判例(大阪高裁平成17年5月25日判決、及び奈良地裁平成16年12月15日判決)はいずれも「政務調査費の旅費」についての判断であり、旅費については領収書が必ずしも取得できるわけではない事情があるから、旅行をしたということが確実であれば標準的な定額の支給もやむを得ないであろう。宿泊の費用は領収書が確実に取得できるから旅費と同列に扱うわけにはいかない。

 について

1、「その他の証拠書類」というのは、領収書に代わる証拠書類のことであって、自分が作成したメモ類ではない。条例が必要としているのは本人が作成する活動記録簿の記載内容を担保する客観的な証拠書類のことを言っているのである。

 刑事事件でも犯行を裏付けるのは容疑者の自白だけではだめであってその自白を裏付ける客観的な証拠や状況証拠が必要なのである。

 高知県議会が自分たちで作った本県「政務調査費マニュアル」でも「基本的な運用指針」の①として「実費支出の原則」が掲げられている。曰く

「社会通念上許容される範囲の実費(実績)を支出することが原則である。

ただし、実費の把握や領収書等の徴収が困難な場合には、実費支出の例外として取り扱う事ができるものとする。」(「政務調査費マニュアル」5頁)

しかし、この原則は、「項目別運用指針」で次のように捻じ曲げられた。

 

② 宿泊費への充当  

  ア 宿泊料 ⇒ 県の旅費規定に基づく旅費額

   (東京都の特別区12900円、甲地方 11100円、乙地方9900円)

 領収書は不要だが、政務調査活動記録簿により議員が証明する

ことにする。

  イ 宿泊諸費 ⇒ 県の旅費規定に基づく旅費額

  (東京都の特別区4400円、甲地方 3700円、乙地方3400円)

 領収書は不要

 

条例で定めた事柄をその運用マニュアルで否定するというのである。

2、問題なのは、宿泊の費用の多寡を証明するための領収書というだけではないのである。

 それよりももっと重大なのは宿泊を本当にしたのかどうかのその実証なのである。

 領収書以外にどこかの宿泊施設に有料で泊まったという事実の実証を、被告はそれでは何をもってするのかが問われているのである。

 甲第10号証の朝日新聞記事を見ても分かる通り、実際に宿賃を払って宿泊した実績は 4割程度であり、後は宿泊の実績がないのに政務調査費から宿泊費を請求して取ったというのである。この新聞記事から類推すれば大半の宿泊が架空であって、宿泊費を詐取しているのではないかという疑いが生ずるのである。

 その疑いを消すためにも領収書なりなんなりの証拠で宿泊の実績を被告が証明しなければならない。議員の記録の中には、家に帰らずに年間百数十日ホテルでとまったとして政務調査費を使い、ホテルを定宿にようにしている実態もあるが、そんな必要があるのか、本当にそれだけの日数泊まったのか、証拠があるのか、疑問を呈せざるを得ない。

  高知県会計規則第58条(前渡資金の精算)第1項では、前渡資金精算明細書にそえて証拠書類を添付して支出命令者に提出することになっていて、その証拠書類とは同条第4項1号で領収書が第1に挙げられている。本件政務調査費も前渡資金であるから、高知県会計規則58条が該当するはずである。

  高知県会計規則は、議会事務局も含め全ての県の機関の財務会計行為に適用されるものであって、ひとり議会事務局が扱う政務調査費の会計行為だけが聖域の様な扱いをされる理由はない。

 3、又、政治活動を理由にして使途の証拠書類の徴収やその提出を肯んじない向きもあり、被告準備書面(1)の8頁目の下段で何か「支出内容の透明化と自由闊達な調査研究活動の確保という相対立する要素」などがあるかのような主張をするが、しかし、政治資金規正法第11条や第12条で議員個人の政治活動の費用の報告でも、領収書やそれに代わる金融機関の振込明細書など証拠書類の添付が義務付けられており、それらは当然国民に公開されてしばしば物議を醸す事件にもなっている。証拠書類もなしに支出したという記載だけでは認められず、使途不明金となる。

  政務調査費は公金であり、個人的な政治活動には使うことが許されていないのであるから、透明性の担保と相対立する政治活動の分野には使われる恐れはないはずである。。

  私企業や個人の税金の確定申告でも経費支出の証拠書類なしには税務署を通過できない。公金の使途において証拠もなしに費用に使ったといって請求すること、その請求に漫然と応ずることが許されるはずがない。

三、立証について

被告は準備書面(1)で損害賠償請求などで損害の存在などの立証責任は原告側にあるといい、各議員はマニュアル通りに資料を提供しているのでそれ以上の資料は取れないし、調査もできない、という。しかし、

平成20年11月11日の仙台高裁の判決(平成20年(行コ)第13号 政務調査費返還代位請求控訴事件)によると、

本来、法令によって定められた一定の目的のために支出すべき公金を受領、管理し、これを支出したものは、当該支出が法令によって定められた目的のために正しく支出されたことについて、必要に応じてこれを証明する責任があるというべきである。

と判示した。

およそ政務調査費の使途がその使途基準に適合しているかどうかが問題になるのは、ともかく使途が明確になっていることが前提である。使途を証明する証拠が何もない場合 

は使途が架空だということを推認させる。その場合は使途基準に適合していないことは言うまでもない。

最近の裁判例(平成26年1月16日名古屋地裁判決 平成23年(行ウ)第68号愛知県議会議員政務調査費住民訴訟事件)でも、

一般に、不当利得返還請求訴訟において、返還を請求する側が利得の保持を正当化する原因が存在しないことを推認させる一般的・外形的な事実を立証した場合には、相手方において適切な反証を行わない限り、法律上の原因を欠くと判断されることになる。

と判示されている。

本件裁判や住民監査請求で原告側が政務調査費の宿泊費については、宿泊の事実を証明する証拠書類が何もなく、全ての宿泊費が架空の事実に基づく請求ではないかということで、全額損害だと主張しているのであるから、被告はそれを否定するのであれば具体的な証拠をもって反証するべきである。本件交付条例第13条によれば政務調査費の請求に係る証拠書類はすべて5年間保存することになっている。もし架空でないなら宿泊を証明する領収書なども保存されているはずである。

四、会派活動について

被告は準備書面(1)の6頁下段において最高裁判例を引用しているが、本件の場合はこの判例の通りには行われていない。

引用された最高裁判例では、「会派が行う調査研究活動には、会派がその名において自ら行うもののほか、会派の所属議員等にこれをゆだね、又は所属議員による調査研究活動を会派のためのものとして承認する方法によって行うものも含まれると解すべきである。」というとおり、会派として一体的に行動するほか、会派の調査を議員に委任したり、議員の活動を会派のためのものとして承認したりする方法・手続きが必要である。

議員らが個々恣意的に活動した記録を十っ把ひとからげにまとめてこれは会派活動だというラベルを張り、それに会派代表者が押印して提出するという本件のような手法とは明らかに違う。

すなわち、被告が引用する最高裁判例では、

上告人は、上記(2)の支出に関し、上記6会派の所属議員は、具体的な町研究活動ごとに、その活動内容及びこれに必要な政務調査費からの支出を求める金額を会派に申請し、会派の代表者及び経理責任者からその活動内容及び金額の承認を得た上で、経理責任者からその金員の交付を受けたと主張している。

として、議員個人の活動について会派の活動としての申請・承認など一定の手続きを踏んでいるとの主張を認めて、その事実を確かめるために高裁に差し戻したのであった。

また、平成16年10月20日判決の札幌高裁の判例(平成15年(行コ)第20号損害賠償請求控訴事件)では、

交付対象が会派に限定された政務調査費を会派を通じて議員の調査研究費に充てること、すなわち議員が負担した調査研究に資するための必要な経費であっても、会派の行う調査研究でない場合には、本件条例においては認められないものと解するのが相当である。政務調査費が、第2の議員歳費であってはならないのである。

と判示した。

政務調査費を充てる会派として調査テーマを設定し、その調査のために会派が一体となって行動するのが基本であり、会派活動のテーマについて調査を個々の所属議員に分担する場合にはその分担範囲を定めそれぞれ担当議員を決定する必要があり、そうでなくとも上掲の最高裁判例のような議員個人活動の会派活動化する最低限の手続きを経、なおかつそれらの調査活動を総括する作業が必要なのである。

五、原告準備書面1の訂正 又はについて

 原告準備書面1(平成26年10月20日付)の2頁目下段下から7行目以下を次のように訂正する。

 

   ア、A又はBで、ABが異種類のもの、

   イ、A又はBで ABが同類又は同義の場合

 アの場合の又はは、A  or  Bと読む場合と A and Bとも読める場合の2様があること。

すなわち、イの場合ではABが同種であれば単に同一のことを言い換えただけであってAを選べばBは不要であり、Bを選べばAが不要となって、常にどちらか一つの選択

 

 

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