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2014年3月26日 (水)

高知家

News & Letters/350

「高知家」とはどう読むのであろうか。

こうちや か、こうちけ、か、こうちか か?

高知県知事が何かしら唱えだして、広報誌やあちこちの看板で「高知家」が氾濫している。高知県民が一家の家族のようになって(大家族)、産業を興し助け合って生きていこうというのであろうか。

しかし、血族でないもの達が集まって血族的一家を名乗るというのは、あまり芳しくない。封建時代には血族の大家族が大きければ大きいほど強勢であった。金枝玉葉の血脈こそ神聖なのであった。その時代が去って、それを今もなお公然と追求している団体が二つある。天皇一族と、そして、暴力団だ。天皇族は我々の日常生活からはるかに遠い。しかし、暴力団は我々のすぐそばにうごめいている。

彼らは血族ではないが、血族となる誓いをし、親子、兄弟の酒杯を挙げ縁を結ぶ。
何百人、何千人の組員が一家の擬制的な血族集団、「大家族」となるのである。

そもそも日本の家制度は封建の身分制時代の社会の基礎であった。近代になってもなお強く日本の隅々に残っていた。家父長制のもと、人は悲惨な生活を強いられた。
伊藤左千夫の「野菊の墓」という小説を知っているだろう。高校1年生のとき、痛切な恋物語を私は何度も何度も読んで泣いたものだ。その墓は日本社会の家制度の残酷さの象徴であろう。

だが、やくざ達は、この封建のしがらみをその紐帯の基本に据えて固く結ばれようとする。
尾崎知事が統治する高知県にも、暴力団の影は消えない。

その県行政や市町村行政の土木事業に陰に陽に暴力団はうごめいている。土電事件だけではない。暴力団を利用しようとする社長さん達がまだうようよしているのだ。
名だたる親分が、県や市から指名を受けている会社に出入りしている。

暴力団の暗躍が活発なこの高知県で「・・・家」を喧伝する知事の感性はどうなっているのであろうか。高知県とか、高知県民でいいではないか、何も暴力団の向こうを張るかのように「高知家」などという一家を立ち上げなくてもいいであろう。

地縁・血縁で利害関係を結ぶ社会やそれを支える家制度は一度は完全に解体されなければならない。

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