カン・ウギュという抗日闘士について
News & Letters/385
朝鮮のカン・ウギュという抗日闘争の義士は日本では元朝鮮統監だった伊藤博文を倒した安重根よりも知られていない。
カン・ウギュは1919年3・1独立運動が勃発した朝鮮で、新しく赴任してきた朝鮮総督斎藤実の一行に対して手りゅう弾を投げつけ多数の日本人役人らを殺傷した。斎藤総督を爆殺することは出来なかったが、日帝の植民地支配者たちの度肝を抜き、朝鮮の民族解放闘争に大きな影響を与えた。
私が感銘を受けるのは、この英雄的な行動だけではない。この義挙を遂行したときかれが64歳の当時としては高齢であったことである。
かれは、医者であり教育者でもある廉潔の士であったが、年老いても民族の独立運動を活発に続け、年老いてなお、老人同盟という闘争組織を作って、むしろ急進的な武装闘争を推進したのである。
若いときは過激な運動に従事していたが、高齢になればそんなことは無理で後方で若い者を支援する、というのが常識的な考えだ。
私も若いときには、関西部落解放研究会、とか全国部落研とか、また、部落青年戦闘同志会などという急進的な団体を作って、相当過激な闘争を繰り広げた。
しかし、中年以降は反体制であることは違いないが、やることは極めて穏やかなあるいはほとんど権力には無害な行動しかとってきていない。
しかし、カン・ウギュは違っていた。戦闘的な高齢者の団体を作り、日本帝国主義の先兵である重臣とその一行を爆弾をもって襲撃したのだ。死をも恐れない勇気に敬服するばかりだ。カン・ウギュはその行動の翌年処刑された。
考えてみれば過激な行動はむしろ高齢者に最も適している。
若い者が闘争で早く死んだり、長く牢獄につながれたりすることは大変なロスであり負担であろう。残りの命が少ない年寄りが闘争で処刑されてもさほどのことはない。
私も30歳代の半ばに、狭山闘争の浦和地裁襲撃事件で2年の懲役を打たれ実質1年8ヶ月刑務所にいた。妻とは別離していたが家に老母と幼少の息子を置いて下獄した。
短い期間であったが老母と息子のことを思うと一日千秋の思いで懲役に服し時に涙を流して耐えた。若いころの牢獄はシャバに保護すべき係累が多く精神的に大変だ。
高齢であれば、今はむしろ牢獄は安息の場にもなり得る。飯は保証さているし本も読めるし規則正しい生活がある。たとえ処刑されても十分生きたのであるから悔恨は少ない。
むしろ、カン・ウギュのように高齢者こそが若者にできない勇敢な行動を起こす立場にあるのではないか。若者は先が長く恋人もおり、養うべき親や子供がいる。親より先に死んではなるまい。慎重な行動が求められる。
年寄りは、その時が来たら武器を持って立ち上がっても何も問題はない。
若い者のことを嘆くのではなく、困難な仕事を高齢者が進んで担当すべきではないか。
今、我々は、カン・ウギュに倣って、日本で戦闘的で命知らずの老人同盟を結成すべきではないか。高齢者が闘いの前列に進みこの暗黒の時代を切り開くべきであろう。
手に手りゅう弾をさげて敵陣に突撃するカン・ウギュの英姿を思い浮かべてみよ。
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コメント
う~ん、馬鹿馬鹿しいけんど・・・なぁ~んか、いいなぁ~。 「オールド・テロリスト」「老人革命戦士」戦闘的で命知らずの老人同盟結成・・・高齢者よ、暗黒の時代を切り開け!・・・ッテカッ!
秘密保護法案成立したら・・・こんな事書くだけで、テロリストに掲載されるんかなぁ~?
投稿: caruros | 2013年12月 5日 (木) 17時20分