続秘密保護法
News & Letters/381
秘密保護法で、政府が国民の生死にかかる枢要な情報をさらに大幅に秘密の中に閉じ込めようとし、野党や報道機関、人権団体など多くの国民が反対している。
しかし、忘れられてはならないのは、次の事実だ。
国家でも地方自治体でも、これまでにも権力行使の重要な部分は隠されてきた、ということだ。
特に外交部門で、国民の利益を損なうことについては極秘にされた。日本の政治選択にはほとんど米国の意向が背後にあり、その背後の情報は秘密にされてきた。
日常の行政実務でも国民の利害に直接関係することで(従って当然知らなければならないことで)、国民や市町村民に知らされない重要な事実がたくさんあった。福島原発事故で明らかになったように原発一つをとっても、安全対策や事故対策、安全宣伝の根拠など、何一つまともに公表されていなかった。安全神話。原子力村の神殿で語られる神話の根拠は、実際には空虚な願望にすぎなかったことを初めて知らされたのである。
報道機関は数多くの反原発学者などの著作を知っていたから、原発安全神話の空虚さを知っていた。チェルノブイリを知っていながら国民の命にかかわる空虚の事実を報道せず、安全神話という空虚と虚偽を宣伝しその見返りに巨額の広告料をせしめ続けていた。
東洋町の情報公開は、極めて原始的である。
例えば私が臨時職員の採用についての情報を求めたところ、雇用した職員の名前が全員墨塗られて出てきた。
公務員の名前が個人情報だから秘密だということである。そうするとこの公務員は町民に知られてはまずい秘密の業務を行う秘密職員なのか、ということになる。私が抗議するとさすがに墨塗りは撤回した。
また、ある公共土木事業について資料の開示請求したところ、入札の入れ札の金額を墨塗りして出された。これも抗議すると撤回した。
また、町有地の賃貸借の契約書の情報公開を請求したところ、その土地の借主の名前、住所、その町有地そのものの字名、地番が墨塗られ用途も墨塗られて出てきた。今これを抗議中である。公有地について、その土地の番地、市町村の財産について債務・債権の事実に関与する者の名前、ましてや借りた用途まで秘密にするとはどういうことであろうか。要するに自分に都合の悪いものは隠していいという考えなのであろう。
安倍総理や自民党の連中の考えも現在の東洋町のレベルと同じではないだろうか。
秘密保護を図ってきたのは何も政府を握る権力者だけではない。マスコミもそうだ。
テレビや新聞は、国民に真実を隠し、権力の流す虚偽交じりの情報をまことしやかに報道してきた。
マスコミが真実を報道するのは、スポーツや殺人事件やお祭りなど差し障りのない記事か、自己の利益にかかわる事件のときだけであろう。
マスコミは、TPPでコメの関税などいくつかの農畜産物を死守するという自民党の言い分をずいぶんと持ち上げてきた。
それで農協まで引き込んで衆院選で自民党に大勝利をおさめさせた。しかし、実際には、日本の言い分が通る可能性は最初からゼロだったのであり、自民党の主張には何の根拠もないことを知っていた。そもそもTPPの交渉ははじめから終りまで秘密裏に行われていたから、アメリカの議会もマスコミも何も知らず、したがって日本の新聞も何も分からなかったはずである。
さっぱりわかんないことは、わかんないと正直にいうべきなのだ。少なくとも、どこへ行くか分からない船に日本の政府が乗ろうとしているということを報じるべきなのだ。
原発の海外輸出についても、実際にはその原発が排出する使用済み核燃料の処分を日本が引き受けるという協定がなされているという。
一部の死の商人の利益のために、外国の人民への放射能の脅威はもとより、どうすることもできない危険な廃棄物を日本の子供たちに背負わせるという計略が遂行されているという事実、これを日本のマスコミはどうして報道しないのだ。
今国会で審議中の秘密保護法は、これまでの政府や行政機関、そしてマスコミの巧妙な秘密主義を拡大したうえで、それに合法的な暗い網をすっぽりとかぶせるものであって、決してこれまでは不当な秘密保護は少なかったという話ではない。
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