あてるいの末裔と部落解放運動
News & Letters/358
アテルイたち古代の蝦夷の戦いは必然的に武装闘争でしかなかった。
大和朝廷側は、服従しなければ村ごと皆殺しにするというもので、非妥協的な侵略をした。
だまし討ちにするのが大和朝廷のおはこだ。
明治以降の部落民の立場も基本的に同じだ。法は近代社会を前提に作られている。
だが、部落民には前近代の差別圧迫が加えられ続けた。お慈悲を願うほかは救済の道はない。
人間としてまっとうな言葉が通ぜず、排除されるか、中に入っても絶えざる屈辱と暴力にさらされてきた。
だから、実力(暴力と人は言う)でもって立ち上がり差別に抵抗せざるを得ない。
それは、プロレタリアートがブルジョワジーに対する武装蜂起以前の武装闘争であり、今日的にそれらが同時的に勃発するとしても、発出点は相違している。部落民の武装闘争の成否は、アテルイたちと同じようにそれが全社会的なものでないがゆえに、プロレタリアートの武装闘争の勝利にかかっている。
部落解放運動は武装闘争であるという理論は、今や私の胸の中にしか生きていない。
私は1968年8月9日解放同盟全国青年集会の大衆とともに機動隊に包囲されていた総理府に突入し、さらに解放同盟全幹部数百名らと一緒に総理府庁舎の廊下で騒然としてデモをぶち抜き、あまつさえ総理府庁舎の屋上で警備員と乱闘を演じてそこを占拠し、上から玄関に巨大な垂れ幕2本をたらし、数千枚のビラをばらまいた。用意した数百個の白ヘルメットは使わなかったが、まなじりを決し全員逮捕の覚悟で臨んだこの戦いは、部落民解放の国策樹立を求める実力行使であり、さすがの当時のトコナミ長官も手も足も出せなかった。
当時は解放同盟幹部は使命感に燃え、私のような「過激分子」をも目を細めて受け入れていた。
あくる1969年11月14日、私は、無実の石川青年を部落民ゆえに犯罪者としてでっち上げ彼を死刑にしようとする浦和地方裁判所を襲撃し占拠した。古い木造の代官屋敷のような裁判所の2階と屋根を占拠し、これも巨大な垂れ幕を2本垂らした。2階建ての地裁の建物よりも高く巨大な火炎びんの炎が裁判所の玄関前の庭に立ち上った。
狭山事件とは、その逮捕から裁判の過程は、権力がその失態を部落民を犠牲にして解決し、部落民へ一層のいわれない差別をあおろうとするものであった。この陰謀と暴力を我々には適法な手段で解消する手段は何もない。実力で奪還する以外になかったのである。無論合法的な戦いも大いに結構であり、それを推し進めるにやぶさかではない。しかし本質的なことは、部落問題は、理論的にも実際にも今の資本主義体制では合法的な解決方法はないということだ。
常に部落民は実力で自己を防衛しなければ生きていけない。これが、部落解放運動が武装闘争であるということの意味だ。全国部落研や部落青年戦闘同志会はそのために作った。あれから40年が過ぎた.
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