土佐電鉄暴力団事件訴状
News & Letters/352
高知県監査委員の土佐電鉄の監査報告は、土佐電鉄の調査報告書が完成していないとか、県当局が事実の確認が出来ていないとか、いうことで私の監査請求を棄却した。
それで6月15日私はやむなく高知地裁に提訴した。
こんな監査委員に県の公金を提供することはそれ自体が不当な公金の支出に当たるであろう。県民にいわれなくてもこれほどの新聞報道が出ているのであるから、自ら進んで監査を行い県当局に適切な勧告をしなければならないはずだ。
当然の職務を遂行しないばかりか、当事者の内部調査や事実確認ができていないことを理由に、監査を放棄するのである。事案の調査や事実確認こそは監査委員の職務であり、それ以外に何の仕事もない。
それを放擲することを文書にして県民に通知をする以上は、報酬や手当を要求する資格はないし、不当利得となって、新たなる監査請求が必要である。
監査委員の不当利得を住民監査請求する場合、誰がその請求書を審理するのであろうか。高知城下の腐敗堕落は底が見えない。
土佐電鉄の暴力団事件について県は右往左往している。自分が作った条例の重さに耐えられず、何とかうやむやにし全てなかったことにしたいのであろう。
自分が作った法令を実行できるかどうか見ものである。
訴 状
高知県安芸郡東洋町大字河内1081番地1
原告 澤山 保太郎
高知市丸ノ内一丁目2番20号
被告 高知県
代表 知事 尾崎 正直
補助金返還請求及び支給差止め請求事件
訴訟物の価額 160万円
貼用印紙額 6400円
【請求の趣旨】
1、被告は、土佐電鉄株式会社に対して3204万4164円を高知県に返還させる。
2、被告は、土佐電鉄株式会社に対する確定されて未交付分の補助金(6907万3352円)の支給を差し止める。
3、訴訟費用は被告が負担する。との判決を求める。
【第1、当事者】
1、原告は、高知県安芸郡東洋町の住民であって、本件について平成25年5月15日付で高知県監査委員より、監査請求の却下の通知を受けたものである。
2.被告代表知事尾崎正直は、本件事件当時知事であり、本件について十分認識し、部下を指揮して法令に基づき適切な処置を取る義務を持つものである。
【第2、請求原因】
一、高知県は、土佐電気鉄道株式会社(以下土佐電鉄とよぶ)に対して、県条例(高知県暴力団排除条例)に違反して、毎年巨額の補助金を交付してきた。
これにより土佐電鉄は、その資格が無いのに巨額の補助金を不当に取得してきた。
昨年平成24年5月8日に、土佐電鉄の社長(竹本昭和)および会長(西岡寅八郎)が暴力団と深いつながりがあり、その事実を誇示して土佐電鉄のある株主を威圧しようとしていた。(この日の事件を本件事件とよぶ)
その事件から2カ月以内に高知県はこの事実についてその株主から通報を受けたが、条例に基づいてほとんど何も適切な措置(暴力団関係企業への公金支給のストップ等)を取らなかった。
平成25年3月22日高知新聞によって本件事件が暴露され、土佐電鉄が被告から受けてきた補助金の概要も明らかにされた。
二、原告は、平成25年3月25日に、本件について住民監査請求を行った。
県の監査委員は原告の監査請求を全面的に理由なしとして棄却し、被告と同様土佐電鉄の本件事件と被告の同社への公金支給についてほとんど何も問題にしようとしなかった。
監査委員の「監査報告書」の問題点は次のとおりである。
原告の監査請求を棄却した理由は、第一に、土佐電鉄の内部調査「第三者委員会の再調査の報告」がまだできていないので被告の「事実認定が行われていない」こと、また、暴力団について被告が県警本部から「判断の基となる情報が得られなかった」こと、これらのことから、本件については、被告の補助金交付規則第4条ただし書(暴力団関係の場合は交付決定をしない)に該当するかどうか、「判断することは困難であり、同項に違反した交付決定になるとまでは言えない。」という。
これは全く監査委員として権威失墜の文言であって、監査委員としての職責がなんであるか全然わきまえない姿勢であろう。県庁が重大事案で判断できない等優柔不断で事態をうやむやにしようとしても、そうであればあるほど監査委員は行政の事務を調査し問題点を抉り出して是正措置を提言しなければならないのである。
もちろん被告は、土佐電鉄の内部調査や外部からの調査がどうであれ、独自の調査と判断をしなければならない行政主体であり、それだけの能力ある知事や職員がおるのである。本件は全く単純な事件であり、名前が出された暴力団幹部は指定暴力団なのである。指定暴力団は天下に公表されている。警察に照会をかけるのもいいであろうが、そんなことしなくても断定できる。
そこで監査委員が自分に持ちだした驚くべき難題は、名前が出ても「暴力団との意見の合致が無い場合は、暴排条例第18条違反には該当しないと法務課から聞いている。」、すなわち「暴力団の利用は、あくまで当該暴力団との意思疎通が前提にあってのものであるという執行機関の説明」があり、監査委員はこれは「一定理解できる」というのである。法令にないこんな大きな障壁を設定して、これを解決できないから、と手足を投げ出すというのである。
暴力団との了解があろうが無かろうが、暴力団の名前を利用することが出来ることはもちろんだが、本件の場合新聞報道等でも明らかな通り、暴力団の名前を出すことは了解済みであり、また、暴力団の了解なしにその名前を出すことなど普通ではありえない。むやみに暴力団の名前を出せば、それがわかればその暴力団から大変な目にあうであろうことは誰でもわかることだ。
本件にかかわった高知県監査委員は、自己の職責がなんであるかよくわかっていない。
本件監査報告書3頁の後段に、土佐電鉄の委託料の支出差止め請求について言及しているが、次のように言って却下している。
「仮に不適切な相手方との契約であったとしても契約の履行自体に問題なければ、委託料の支出により県に財産的損害が発生する可能性がなく、法第242条第1項に規定する住民監査請求の要件を満たさないため監査対象としない。」
暴力団に関係する団体に県の事務を委託するための委託料の支出は、同法のいう「違法または不当な公金の支出」に当たらないだろうか。
三、監査請求した補助金のうち本件請求に係るものは以下のとおりである。
1、既に交付されたものと思われるもので返還を要するもの
①平成24年度バス運行対策費補助金 1344万9000円
②平成23年度鉄道軌道輸送対策事業補助金 641万6771円
③平成23年度安心安全の施設整備事業費補助金 528万0000円
④平成22年度鉄道軌道輸送高度化事業費補助金 689万8393円
⑤平成23年度高知県鉄道軌道輸送対策事業費補助金 683万6005円
計 3888万0169円
2、未交付と思われるもので交付差止めを要するもの
①平成24年度鉄道軌道安全輸送設備等整備事業費補助金 1273万2424円
②公共交通実証実験等事業費補助金 67万5928円
③平成25年度安全安心の施設整備事業費補助金 3887万5000円
④平成25年度バス運行対策費補助金 1679万0000円
計 6907万3352円
四、本件事件について土佐電鉄取締役会は事実調査を実施し、被告知事に対して平成25年4月16日付の報告書を提出した。
この内容は驚くべきもので、本件事件での社長、会長の発言を法的問題はない、違法性はないとして肯定するものであり、順法精神の欠如した会社の実態を如実に示すものであって、問題の竹本社長、西岡会長が辞任した後も、意識的に本件に係る事案について反省の色がなく、土佐電鉄が被告から補助金等を受ける資格が無いことを証明したものである。
五、本件については、高知県暴力団排除条例に違反するが、地方自治法第232条の3の規定、支出負担行為は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。との規定に違反している。
【立証方法】
一、甲第1号証 監査委員会からの通知
二、甲第2号証 高知県暴力排除条例
三、甲第3号証 高知県の事務及び事業における暴力団の排除に関する規程
四、甲第4号証 高知県補助金交付規則
五、甲第5号証 土佐電鉄八十年史抜粋
六、甲第6号証 本件補助金支出関係資料(甲6号の1~9)
七、甲第7号証 本件事件についての高知新聞報道(甲7号の1~6)
八、甲第8号証 土電に関する県民からの情報提供
九、甲第9号証 土佐電鉄社内部調査報告書
【添付書類】
一、訴状副本 1通
二、甲号各証 各1通
平成25年6月 日
高知県安芸郡東洋町大字河内1081番地1
澤山 保太郎
高知地方裁判所 御中
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コメント
初めまして。
生まれも育ちも高知県で、現在は県外で働いてる沢渡と申します。
土佐電鉄の暴力団問題、高知県出身者として、大変残念でかつ、非常に失望感で一杯です。
小さい頃から、土佐電鉄の電車やバスに乗っていたので、歴史的にも貴重である土佐電鉄を高知の誇りひとつとして思っていて、県外に出て、私の友人や知人に誇りを持って紹介していたのに、今回の件で、誇りに思っていたものが、簡単にもろく崩れた気分です。
前会長と前社長が暴力団と繋がりがあったというのも大きな問題ですが、私や、恐らく高知に住む善良な県民の方達は「本当に問題はこれだけなのか?他に何か問題になる事を隠していたりしているのではないか?」と、疑いの目で見ている人もいるかも知れません。
暴力団問題もそうですが、他に土佐電鉄が隠蔽しているような事がないか、すべて正直に話して欲しいものです。
これからも、遠方より活動を応援させていただきます。
投稿: 沢渡直太郎 | 2013年7月13日 (土) 22時54分