原発裁判
News & Letters/344
大飯原発の稼働差し止め裁判の大阪地裁判決が出た。
裁判官は、まだ科学者たちが決めかねている重要問題にまで入り込んで原発稼働を支持した。この論理でいけばいかなる大地震など危険な兆候も、いかなる器機類が抱える不安も、現実にそれら危険性が発現するまでは、危険であるとは断定(実証)できない、だから、稼働させたものの勝ちである。
そして過酷事故が実際に起こった場合には、当時の状況ではそこまで考えが及ばなかったのは仕方がなかった、といって弁解が用意されている。
原発稼働は、暴力の発動と同じである。巨大な暴力だ。周辺地域を放射能汚染で破壊し、広範な地域の住民の身体に破壊的な影響を与える。チェルノブイリの原発事故の破壊的な影響がいま急速に広がっていて、多くの人々が病変に侵され苦しんでいる。
残念ながら福島とその周辺部の数十万人以上の人々、特に若い世代の運命を暗示していると言わざるを得ない。このように自然界や生命体に厖大なダメージを与える原発稼働という行為は、第一次、二次の世界大戦の大量の砲弾や焼夷弾、そして広島長崎の原爆とおなじように無防備な無辜の民に対する巨大な無差別攻撃であり、実質的には原爆攻撃である。今、選挙による国会や裁判所がこの暴力に何の歯止めも出来ない状態であることを露呈した。
日本の歴史上には画期となる暗殺事件がいくつもある。いつの時代でも暗殺は好ましい評価はほとんどない。そのなかで歴史家が非難していない唯一の暗殺事件は、桜田門外の変の大老井伊直弼のそれであろう。
これは、井伊が安政の大獄を強行し多くの有為の人士を殺した事に対する一種の反乱であって、やむを得ない自衛行動ととらえることもできる。
暴力をふるって次々に人を死地に追いやる、これに対抗する法的な手段も何もない時代では、桜田門外の変は避けることのできない義挙であったと評価されよう。
他方、幕末土佐で起きた土佐藩の執政吉田東洋の暗殺は、これはいけない。
東洋は門閥打破、身分制の改正など近代的な思想を推進していた。
武市半平太など勤皇の志士の急進派は保守派と組んでこの吉田東洋を暗殺したのである。そこには何らの評価されるべきものはない。
幕末の日本における大老の鉄血との対決、今、原発(実際は原爆)の稼働という現代の巨大暴力装置との対決・・・。われわれは歴史から何を学ぶべきであろうか。
形骸化し切った民主主義とそれによって支えられた原発推進のマスメディアの影響力行使の中で我々が取るべき方途は何か、水戸浪士たちに聞いてみたい。
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