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2012年9月18日 (火)

続「領土問題」

News & Letters/309

「尖閣列島」国有化をめぐって中国全土で激しい反日運動が巻き起こっている。
民主党政権の失政は、原発問題や消費税増税、数々の公約違反など枚挙にいとまがないが、石原都知事にあおられた「尖閣列島」国有化の挑発行為も歴史に残る大失態であろう。

それでなくても日米に対抗する中国の海洋進出による軍事的対立が高まる中で格好の口実となった。おそらく「尖閣列島」についての「実効支配」は中国が取って替わるであろう。軍事力からして日本は中国に歯が立たない。アメリカは日本のために軍隊を動かさないであろう。安保条約の約束では、施政権がある間は日本に加担するが、施政権を失えばアメリカの出る幕はない。実効支配の施政権は中国の艦船が常時「尖閣列島」を包囲し、そこに上陸すれば簡単に中国に移動する。その行為を米軍が阻止するであろうか。

今アメリカが中国と砲火を交えるという状況ではない。アメリカ経済はどこよりも中国市場を必要としている。
「尖閣列島」の正規の領有権(status of sovereignty)はどこにもない。日本はポツダム宣言の受諾でそれらの島々から駆逐された。日本の主要4島周辺の小さい島々の所属はカイロ宣言・ポツダム宣言第8項では連盟国がきめることになていた。
それには米英とともに中国が入っていた。

無条件降伏・軍隊解体と本州など4島と周辺諸小島以外の、すべての占領地の放棄を飲んで初めて日本は、連合国に民族として存続することが許されたのであった。
サンフランシスコ講和条約でも、「尖閣列島」の日本への回復は認められていない。何も触れられていない。アメリカもどこの領有かはっきり示していない。

仮にアメリカが認めたとしてもサンフランシスコ講和会議には、中国は招へいされていない。戦後アメリカが実効支配していた「尖閣列島」は、72年の沖縄返還の際に日本に渡されたというが、それはその島のsovereigntyではなくただの実効支配、又は施政権(administrative right)の事実の継承にすぎない。
実効支配は周辺の力関係によって容易に変転する。

今、日本は、石原―野田という無責任かつ愚劣な政治家によって、その実効支配の事実を喪失するばかりか、中国全土で巻き起こる反日運動の怒りの中で中国市場からも締め出され、アジアの民衆の中で孤立しようとしている。
自民党の総裁選や、次期衆院選挙で躍進しようとする橋下維新の会が、得たりやオウとこの領有権問題に踏み込み、ますます一層この孤立と対立を深刻化させ、日本衰滅のシナリオに拍車をかけようとしているのである。

元々誰のものでもなかった島々について領有権や実効支配を争い憎しみ合うのは愚行であり、帝国主義者とスターリン主義者の国威発揚の道具にされぬよう、関係諸国の国民が集まり共生の土地としてこの島々を共有するようにするべきであろう。

このことは「竹島」、独島についても同様である。
ポツダム宣言受諾で全ての占領地域を放棄していることを日本人は忘れてはならない。
それは、日本がおびただしい犠牲をアジア諸国民に与えたアジア太平洋戦争の、侵略戦争の当然の結果であり、償いきれないその犯罪事実は繰り返し繰り返し弾劾されなければならない。

現在一番問題なのは、日本の政府も政治家もそしてジャーナリズムも、今回の領土問題の大前提に、日本によるアジア侵略の事実があり、日本が無条件で受諾したたポツダム宣言が存在していることを忘失しようとしている所にある。

そのポツダム宣言を脱して無人島や他国の領土を手に入れ、それらに領有権を確立したいなら、関係諸国の同意と協調が必要である。そうでなければ日本の侵略行為である。今どき、他国を軍事的に圧服させるということを夢想する手合いは石原か橋下ぐらいのものではないかと思うが、それらが大衆的な人気があるから末恐ろしい。

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