« 吉野恭司 | トップページ | 日弁連へ人権救済申し立て »

2012年8月30日 (木)

高知県漁業調整規則についての公開質問状

News & Letters/304

高知県漁業調整規則について
公開質問状
平成24年8月28日
高知県知事殿

               
高知県安芸郡東洋町大字河内1081-1
澤山 保太郎 
           
 質問の趣旨

1、密漁取締りのため、現行漁業法及び漁業調整規則で漁民を罰せられるのか

2、以下に述べるように罰する法的根拠がない場合、これまで「違反」漁民に罰則を科し漁具等を没収してきたことについてどう償うのか

3、以下に述べるように、権限がないのに、これまで多くの漁民を処罰してきたとなれば、この責任はどうするのか。

質問請求の理由

一、漁業法第65条及び高知県漁業調整規則第7条では密漁を取り締まれない

 1、高知県が漁業法違反だというのは、漁業法第65条違反、高知県漁業調整規則第7条違反という事のようである。
しかし、漁業法第65条は、知事が漁業について禁止したり許可制度を設けることが出来るという規定であって、知事の漁業規制に関する裁量権の付与についての規定であり、漁民や国民を直接規制するものではないと考える。
したがって、この65条を根拠として漁民の行為について規制を加えたり直接罰条の規則を設けることはできないはずである。あくまでも知事や大臣が独自に作成する規則によって取り締まることが期待されるという趣旨であると考えられる。

2、漁業法第138条第六項の罰条は第65条の違反について新たに設けられたようであるが、法として失当であり、これでもって直接漁民の行為を規制することはできな
いと考える。第65条違反というのは知事がその権限をゆ越してみだりに規則を制定するなど職権乱用に及んだとかいう場合に該当するものと考えられる。

138条第六項は非常に奇怪である。すなわち、
「第65条第一項の規定による禁止に違反して漁業を営み、又は同項の規定による許可を受けないで漁業を営んだ者」について刑罰を科すというのであるが、65条第一項には特定漁業や漁法について制禁する規定は存在していない。この65条第一項は、知事が漁業について禁制を設けることが許されるという権限付与の条項であり、これに基づいて権限を与えられた知事らが、独自に成規を定めそれによって漁業の仕法に制禁をかけることが出来るというものである。漁業調整規則がそれに当たるであろう。

しかし、漁業調整規則で定めた制禁の規定または許可制に違反したからといってその規則の罰条を超えて元の法律に罰則を設けそれを適用するというのは余りにも無茶であろう。調整規則の罰条では6カ月以下の罰条であるが漁業法での罰条では懲役3年以下となって厳しい。法律での違反行為の処罰はその法律で明確に規定された制禁条項に基づいてなすべきであり、規則上の違反はその規則の罰条を適用するべきであると考える。
知事が調整規則を作るというのは義務規定ではないから、法令はその規則を既定のものとし前提として罰則を定めることはできないはずである。

3、しかしまた、法第65条では、漁業取締等で規則を定めることが出来るとして、
水産動植物の採捕や漁具等について「制限又は禁止」の規則を定めてもよいし罰則を設けてもよいとされている。
そこで知事は、高知県漁業調整規則を定めているが、その第7条で水産動植物の採捕やその漁法等につき知事の許可制度を定めた。しかし、この許可制度の規則は、法のいう「制限又は禁止」の規則ではないと考える。法の定める規則は、水産動植物の、「採捕又は処理」、「販売又は所持」、「漁具又は漁船」、「漁業者の数又は資格」について直接に「制限又は禁止」する規定を設けるという謂いであって、許可する、許可しない、という知事の政策的な判断に任せるという趣旨ではない。

知事のその時その時の恣意による許可、不許可によって漁業規制をし、取り締まるというのでは近代的な法規としては意味をなさない。
高知県漁業調整規則には、法で定められた漁民の漁業行為を特定しそれらを明確に制禁するという条項が存在しないのである。

4、高知県漁業調整規則の「第4章 罰則」(58条~61条)には第7条についての罰則規定はない。
無許可漁業についての罰条がないのに、刑罰を科すことがどうしてできるのか。
ただ、同規則の第15条に、「許可を受けた者」について許可条件の違反について禁止している条項があり、それに対する罰則規定(第58条)がある。しかし、それは許可を受けた者に限定され、その違反の内容も明示されていず、県が発行する「許可証」(甲第3号証)に「制限又は条件」、「厳守すべき事項」などとして掲示されているだけである。
許可証の掲げるその「制限又は条件」等は公示されていないし、許可を受けていない大多数の漁民や国民には知ることは不可能であるから、特定の者にしか通用しない規則であり、許可証の発行を受けていない漁民全般、国民一般には適用され得ない。

5、無許可の漁業を禁制する規則が存在しない。
これを道路交通法などと比較すれば明らかであろう。道交法(64条)には無免許運転の明らかな禁止の規定があり、その他自動車を運転する上での種々の禁止や制限条項が明示されている。免許証や許可証の発行を受けた者にしか分からない制限や禁止では、無免許、無許可の者の行為を咎めることはできない。
県の現行調整規則が許可制度であるとしても、許可条件や不許可条件、資格の明示もされていない。
県下の漁民や国民は訳の分からない法令によって取り締まられ刑罰を加えられているという状況となっていると考える。

6、高知県漁業調整規則は、その根幹において知事の恣意的な許可制度を広くみとめるだけで、制限や禁止される漁業等が何であるか明示されていないし、許可不許可の基準や資格についても明示されていない。
現行規則は近代的な法規としての体裁をとっていず、これを根拠として漁民の不法行為をあげつらい、処罰に及ぶことは許されないと考える。
漁業法や水産資源保護法でも明確な制禁規定は存在せず、漁業調整規則でもそれが見当たらず、最後に許可証の付帯条件にしかそれが見えない。許可証の発行を受けていない国民にはさっぱり分からない。

そのような規制行政で水産資源を守り、漁民の営業を守れるはずはない。
これでは、明確な制禁条項を故意に隠し、「違反」行為を野放しにしておいて、いたずらに漁民を捕縛して苦しめていると解釈されかねない。
高知県は、漁業法に基づく漁業に関する「制限と禁止」条項をもった正規の調整規則に改定するべきであり、それを掲げて漁民を指導すべきであろう。

二、結語 憲法第31条違反

 「密漁」についての如上の県行政の在り方は、憲法第31条に抵触し、法律の定めもなく国民に刑罰を科していることになり、憲法違反である。
戦後80年近くも、明確な法的根拠もなく知事や司法当局が処罰を繰り返してきた職権乱用行為がいかなる法令違反になるかよく考えてみる必要があろう。
このような前近代的なでたらめな取り締まりによってこれまで数多くの漁民が捕縛の恥を受け、新聞発表等社会的制裁の上、罰金や受刑の受難を被ってきた。

 県はこれら被害について賠償する責務さえあると考える。
従って、高知県漁業調整規則(全国共通と思われる)には憲法に抵触する重大な瑕疵があり、法規としての実質を欠き、これによっては漁民を罰することはできないから、これまでの高知県の司法警察員による「違反」漁民の逮捕・連行、拘留、任意同行等、そして、漁具類の押収はすべて法的根拠のない、ただの実力行使としての拉致、横奪であり、不法行為であると考える。

 本件漁具類の押収の際、漁民に押収品について廃棄してもよいという同意書のよう
なものに署名させているようだが、権柄づくで書くことを強要したと考えられるもの
であって、誰も心から同意したものではないと考える。
  

|

« 吉野恭司 | トップページ | 日弁連へ人権救済申し立て »

水産業について」カテゴリの記事

社会問題」カテゴリの記事

高知県政」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/408473/46873126

この記事へのトラックバック一覧です: 高知県漁業調整規則についての公開質問状:

« 吉野恭司 | トップページ | 日弁連へ人権救済申し立て »