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2012年2月10日 (金)

橋下徹のツイッターを見て

News & Letters/285

1、教育について

教育行政について橋下は大きな間違いをしている。
国や地方自治体などの行政は教育条件の整備をするのが担当の仕事だであって、教育内容や教員の活動やそのあり方まで担任している訳ではない。
実際に教育を行うのは学校では教員であり、家庭では親であり、職場では上司であり、地域では大人たちである。それぞれの現場の教育担当者はその教育についてなん人からも干渉されたり、妨害されたりする事から自由でなければならない。
学校では、教壇に立つ教師が教育の全責任を負い、その教師は憲法に制約されるほかは自らの良心に従うだけだ。だから教師の任務は重く、常に自己研さんが必要である。

マスコミの寵児となった無教養なにわか政治家にはこの原則がわからない。
テレビや新聞などマスコミや選挙で人気があって当選したからと言って、教育内容や教員の活動を左右する資格まで付与されたわけではない。
かつて粛清に次ぐ粛清でスターリンがソ連邦の権力を握った時、何の学問の素養もないこの男が哲学など学問・文化分野にまで口を出し、ソ連の学問の世界を墜落させたといわれるが、権力者が学問や文化を基底にする教育分野の内容に介入し出したら、日本の文明はたちまち世界最低に落ち込むであろう。

新しい教育基本法では、確かに教育方針は国や地方自治体が決定することになっている。国や地方自治体が決めるというのは、首相や首長が決めるとも解釈できる。

1、仮にそうであっても、首相や首長が独断で決めるという事にはならない。
国民や市民の意思を反映するしかるべき手続きを踏まねばならない。

2、教育方針を決めるにも憲法の趣旨やその各条目に沿ったものでなければならない。
  憲法と離れて首長の政治思想や特定の政策を教育現場に持ち込むことは許されな い。憲法9条など現実世界と乖離するものがあったとしても、教育は憲法の意味とそ の精神を、ストレートに子供や国民に教えねばならない。

3、しかし、教育方針を決めても、それは目標の設定であって、教育の現場をそれでもって規律し首長が指揮監督するという権限を意味するのではない。方針を決めるという事に限定されていて、その実現過程まで任されたわけではない。教育現場で行政が専 断的に行いうるのは教育環境の整備事業だけだから、総理大臣や地方の首長はその整備事業を通じて自ら掲げた教育方針の実現を図る以外にない。

  国や地方自治体が決めた教育方針が学校や地域などで実行されるかどうかは、何も 法律上の定めはない。それが尊重され実行されるかどうかは国民の意思に依存している。
 日本の政治制度では、教育行政は教育委員会が実施するとなっている。「地方教育行政・・・」等国の法律では教育委員会の任務は教育条件の整備となっていて、教育内容にまでその行政は及ぶことはない。文部文化省も、学習指導要領を押し示して教育内容にまで介入してきているが、それにも限度がある。

教育そのものは学校でいえば校長以下の教員が行うのであり、どのような教材を使いそれをどのように教えるかは、その教師の自由裁量だ。
例えば日本軍が行った南京事件について通説を紹介したうえで教師自身の解釈を生徒に語ることは当然許される。憲法と良心に従って自己が研鑽してきた蘊蓄を吐露することは教師たるものの本懐であって、教壇に立つ教師は教育することについては誰からも干渉されない無冠の帝王でなければならない。

「君が代」を歌う事を自らよしとしない、生徒にもやらせたくない、という考えは憲法に最も適合した考え方だ。それを実行したからと言って行政罰を与えるというのは権力の乱用であって、むしろその乱用者が罰せられるべきだ。
現行憲法下の日本の政治体制は「君が代」ではないからだ。

もちろん「君が代」をよしとして憲法に違反しないと考えて、自らも生徒にもそれを歌わせようという連中がいても不思議ではない。如何なる場合でも権力でも何の力でも、教員の精神の自由と教育の自由を奪ってはならない。

 教育や文化に権力が介入することは亡国への道だ。

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