続・電子黒板
News & Letters/235
私が東洋町へ来て、県教委に事業の押し付けを拒否したのは二つある。
一つはCRTテストだ。
これは純然たる業者テストであり、文部省や県教委がその通達で繰り返し禁止してきたものである。
業者テストの弊害がかまびすしく批判された時には禁止しておいて、何年かしてそのほとぼりが冷めたころまた、自らが業者テストを導入してきた。
このCRTテスト業者の顔ぶれは、文部省や教育関係の大学の元教員で天下り連中である。その連中が、全国的に都道府県教委を通じてこの業者テストの注文をとり、学校現場に半強制的にやらせているのであり、その費用の半額を市町村に負担させてきたのである。私はこれを拒否した。
拒否の理由1 業者テストは公教育の現場に持ち込ませない。公教育は、国と地方自治体・学校現場が責任を持ってやるのであって、営利業者の介入を許すべきではない。実力テストは文房具など教材ではなく、教育の内容そのものである。
学校でのテストは、公教育の関係者が自分が教えたことがどれほどの成果をあげたか、足らざるところは何かを検証するためであり、同時に子供たち自身が、自分の日ごろの努力の成果を確認するために行うのである。
CRTテストは現場と何の関係もない業者化した元学者や官僚どもが作成する(実際は誰が作っているかわからない)ものであり、そのテストを受けても、答案用紙もかえってこないし、正解も分からないという代物だ。正解を教える授業もない。
子供たちは、いくつかの解答例中から正解を選ぶというものであるから、半分ぐらいはあてずっぽうに答える。
そして間違った答えに望みをつなぐから、間違った答えを覚えてしまうということになりかねない。
そんなでたらめなテストをしてなんになる。この業者テストをするために1日以上の授業をつぶすことになる。
90時間ぐらいしかない各教科の授業にとって5時間以上も空費するのは大きな打撃だ。
昔、学力テストについては日教組が激しく抵抗し、裁判闘争までやってきた。それは権力の教育統制であり、学校間の競争をあおるものである。その精神を学校現場の先生は忘れたのであろうか。まして権力ならともかく、業者によって学校現場が支配されていいのであろうか。
いかなるテストもテストを作るのは、教えている教師たちだ。そのテストの採点をするのも教師たちだ。そのテスト結果を評価するのも教師でなければならない。そして子供たちは自分の解答した答案用紙を手にして、正解を教えてもらう権利がある。
もう一つ私が県教委の押し付けを拒否したのが電子黒板であった。
かつて私の塾生で特殊学級に入っている少女がいた。その子は挙措が激しくじっと座っていられないので学校で勉強にならない
というので私が預かった。私はその子をひざの上に乗せて一緒に九九を唱えながら勉強することにした。
数週間後、その子は九九を覚え、加減乗除ができるようになった。やがて、普通の教室に入り、成長して立派な職業人となった。当時、担任の女教師が私の塾へ来てどうしてこの子が勉強するようになったのか聞かせて欲しいといってやってきた。
私はその子をひざの上に乗せてこうやって一緒に教えたと答えた。
これは私の自慢話ではない。心意気だ。教育は先生と生徒の人間の交流であり、機械がこれに替わることはできないということなのである。
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