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2010年11月18日 (木)

人権侵害

News & Letters/215

 ある町会議員が、ことあるごとに、議場においても「私は誹謗中傷のビラをまかれた、町長はこれを取り締まれ」と言う主張を繰り返して止まない。先の議会でも、「ある校長が自殺した、これは運動団体による糾弾会などで追及された結果だ、だから私への人権侵害行為を町長として取り締まる義務がある。」という趣旨を主張するのである。

 私は、町が直接事件に介入して、町内での言論を取り締まることは出来ないと返答した。

 これは人権擁護法をめぐる論議とよく似ている。
国民の間で起こる差別事件など人権侵害事件で政府や行政機関が被害者を救済し事件を解決するというものであるが、誰が、何を基準として、人の特定の言動を人権侵害と判断し、処分しようとするのか、言論の統制、批判活動の抑圧など国民の自由な精神活動に大きな影響を与える問題であり、そう簡単に良い悪いを決めるわけにはいかない。

 しかし、実際上はこの数十年間運動団体に推しまくられた行政機関が、運動団体のためにお膳立てをして各地で確認会だの糾弾集会だのというものを催し、その結果それを担当させられた現場の責任者(校長先生も多分その1人)らが、板挟みとなり、解決できない責任を取って死に追いやられるということが時に惹起してきた。

 運動団体が糾弾闘争をやることは勿論自由であり法に触れない限り問題ない。部落解放運動にしろ何にしろ被抑圧者の最後の抵抗線は不公正に対する糾弾闘争であって、それが組織の生命線である。しかし、行政機関がこれと共同して「差別者」を追求するというのは頂けない。権力が介入して、何が差別だ、何が人権侵害だと断定することは許されない。何をもってその記事が誹謗中傷だ、名誉毀損だというのか、それは裁判なり警察なり司法機関の専権事項であり行政府の権限外であろう。

 うちの町会議員さん、権力機関が介入し、介入のお先棒を担がされた現場責任者の死を例に挙げたのは、そうなってもなおかつ行政機関が「人権侵害」事案に容喙せよというのであろうか。何とも無慈悲な話だ。

 行政機関がしなければならないのは、これまでの人権に関する事件を教訓にしたり、人権についての基本的な認識を国民に周知したり、又個別事件には人権相談の機関や機会を十分に与え利用してもらうことである。

 但し、部内の国民に対する人権侵害事案については自らが定める基準に従い、自ら判断し、自ら厳しく処断し、いやしくも公務員が国民にたいし、人権侵害をしないようにしなければならない。

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コメント

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用水路で水力発電。高知県企業局主催の「みどりの分権会議」が、自然エネルギーの交流会をしています。まだ、参加枠4名あり、いまからでも、町長も申し込み可能。

来月は、12月18、19日でこの会社を呼んでもらいたいと提案中。また、梼原中学校の視察を入れていただきたいと。

野根小学校の前で、発電可能かと思います。小学校の電力をまかなう市民水力発電プロジェクトをやってみませんか?

例示:http://www.youtube.com/watch?v=9OOr1-w4Aos

http://www.city.tsuru.yamanashi.jp/forms/info/info.aspx?info_id=2681

投稿: 山下 由佳 | 2010年11月22日 (月) 20時09分

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