佐賀反プルサーマル裁判
News & Letters/177
2月21日、佐賀市で玄海プルサーマルに対する反撃の裁判闘争が準備されました。その立ち上げの集会に私も参加しました。私はこの裁判闘争を支援する会の会長になりました。原子力産業に対する闘いの一翼に加入したことに一入喜びを感じているし、引き受けた使命の重さをかみしめているところです。
この裁判闘争の争点は
第1に、プルサーマル燃料の安全基準である。
まるで安全基準が何もない。
豊田の自動車の件で国際的に大揺れに揺らいでいるが、およそ近代文明の器械、とりわけ燃料機関を持つ機器類で安全基準がないということが許されるのか。灯油ストーブでさえそれはある。
そして仮に設定される安全基準が出てきたとしても、実験や実証もなしにそれを受容できるのか。
これの我々の主張としては、まだ実害がはっきり表面化しては居ないとしても近代機械文明の安全秩序・・公序良俗の上で許されるはずはありません。
生命と財産・・人格権の侵害の恐れがあります。
第2に、九電は自らが設定した安全基準の危険区域に今回のモックス燃料の安全区域が入り込むような燃料を入れ込むという。これは明かな自家撞着である。自分が危険だと言うところで営業しようと言うのですから、いくらでてらめな裁判所でもこれは認められないでしよう。
第3に、このプルサーマル原発も、他の各種原発と同様に使用済みモックス燃料の後始末の設計が全くないというのです。超高レベルの放射性廃棄物をどうするのか、何の手だてもないのです。薪炭を燃やしているのではない、後に甚大な被害をもたらす放射性廃棄物が残るのである。他所に持って行くところがないのであるから、玄海原発内で処理するということになるが、それは敷地内のどこにどういう施設で処理・管理するのか、明確な設計図を示さなければなりません。
第4、これら第1~第3の争点を突破口として、裁判を開始するが、その公判中に相手側の隠している新しい資料をどんどん引きずり出し、プルサーマルの危険性を国民に暴露し、国民に警鐘をならすことです。争点は次々と浮かび上がってくるでしょう。
車の事故でも許されないが、原発においては事故が起こってから損害賠償請求の裁判をやっても余り意味がない、被害の規模や深刻さからして取り返しがつかないからです。
考えてみれば私はたくさんの裁判闘争をやってきました。その最たるものは、狭山闘争でした。
狭山闘争は私が青春をかけた大闘争でした。
私はこの事件がまだ闘争化されるまえ、解放同盟中央本部で新聞類を整理しているとき「解放新聞」紙上で「狭山事件」または「善枝ちゃん殺し」という事件で知られた小さな記事を見ました。私はこの事件と石川青年に興味を引かれました。
この事件については、当時は、民青系の部落研の小集団が少し関わっていました。また、国民救援会の難波会長らが係わり、共産党系の弁護士も付いて支援していました。解放同盟の関東・埼玉の野本武一さんもこの事件を取り上げてはいました。
私は、国民救援会に出かけ、公判記録をもらって来て、具体的にこの事件を調べました。
ちょうど参議員選挙の折で、私は松本英一候補の近畿選対の事務局を引き受け、1ヶ月間この事務所に泊まり込んでいた。事務所というのは大阪桃谷の木造旅館を改良した解放会館のことである。
そこには当時中央本部と大阪府連本部があり、西岡智、浅海節一、松田慶一、上田卓三など大阪の錚々たる指導者がい、また毎月全国の指導者・・その中には全国水平社の生き残りの幹部たちもいた・・が集まってきていた。
仕事の合間私は狭山事件の公判調書を繰り返し読み込み、そこで石川一雄は無実であるという確信を持ったのです。そしてそれまでの弁護活動や公判闘争が、無実の確信を前提にしていないものと考え新しい裁判闘争を起こす必要があることを決意しました。狭山事件、これが典型的な部落民に対する差別偏見に基づくでっち上げ事件であること、すなわち狭山差別裁判であるとこれを命名し、全国の部落大衆はもとより国民全体の問題としてこの裁判闘争を発展させる必要があること、しかも緊急に行動しなければ井波裁判長の東京高裁死刑判決が迫っているから、劇的な手法で緊急行動を起こす必要があることを決意したのでした。
これ以降の様々な困難を越えて、最初は私は1人で出発しました。全ては1人から始まります。
狭山闘争は利権にまみれた予算獲得運動の解放運動の体質を根本から変革し、反権力・自力自闘の一本筋の通った組織として解放同盟を再生するという大きな使命も担うものでした。この闘争を通じて多くの活動家が全国各地に輩出しました。
この闘争の最前線で闘っていた私は途中災難を受け挫折してしまいましたが、この闘争は今も続いています。再審は必ず開かれるでしょう。
澤山保太郎と石川一雄が相会う時もくるでしょう。
その劇的な行動とは。
若かりし頃、私は、「浦和の空は美しかった」という詩的な宣言を、江戸時代の代官所の名残のような浦和地裁の建物の上で、寒い冬の明け空に向かって発しました。
原子力産業の終末、我々の訴えの利益が霧散する日が早く来るよう 玄界灘に美しい空が帰ってくるように力を尽くそう。
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コメント
九州電力とその走狗である古川佐賀県知事のでたらめを徹底的に明らかにして下さい。お願いします。
投稿: 摂政関白大アホ大臣 | 2010年2月26日 (金) 18時14分
前略、明日、3月2日、伊方プルサーマルが臨界に達します。差し止め訴訟等の相談がしたい。土曜日は、9時以降でないと空かない予定。
玄海原発は、MOX燃料4分の1装荷率でスタート。女川原発は3分の1。プルサーマル計画は、住民を危険にさらす実験場。伊方原発では、サクイクルごとに燃料棒の配置を替え試み。http://www.nsc.go.jp/anzen/soki/soki2010/genan_so09.pdf
メロックス社はウラン燃料の基準も満足できない等、安全性疑惑 結局はMOXに関する国の基準がないからこうなっていると追及すると、 ●なんと最後に、審査課の青木氏は「国の基準は、実績を踏んでつくるもの」などと発言したのです。 玄海も伊方も実験台か!!と皆 怒り心頭。ひどい話しです。
「MOX燃料の焼結過程で、蒸発性不純物を追い出しきれていない」ことにより、「運転中に被覆管とペレットの間が空くギャップ再開が起こる」その結果、「熱によりさらにガスが放出され、間隔が広がるサーマルフィードバックが起こる」(美浜の会)臨界事故のhttp://bit.ly/bzKfMP
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
高知・コスタリカ友好交流を創って行く会
〒781-0261 高知市御畳瀬38番地 山下由佳
TEL&FAX(088)841-4116
http://twitter.com/costarica0012
http://blog.goo.ne.jp/costarica0012
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投稿: 山下 由佳 | 2010年3月 2日 (火) 20時43分
「MOX燃料の焼結過程で、蒸発性不純物を追い出しきれていない」ことにより、「運転中に被覆管とペレットの間が空くギャップ再開が起こる」その結果、「熱によりさらにガスが放出され、間隔が広がるサーマルフィードバックが起こる」(美浜の会)臨界事故の危険http://bit.ly/bzKfMP
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〒781-0261 高知市御畳瀬38番地 山下由佳
TEL&FAX(088)841-4116
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投稿: 山下 由佳 | 2010年3月 2日 (火) 20時45分
『ぶんぶん通信no.1』ミニ上映会
『六ヶ所村ラプソディー』の鎌仲ひとみ監督の最新ドキュメンタリーの制作レターです。
美しい瀬戸内海に浮かぶハート型の祝島
その海を守る人々のおだやかな暮らしぶりと
北欧スウェーデンの人々が選んだ自然エネルギーについて紹介しています。
上映のあと、持続可能な未来って・・?
みなさんと話しえることを楽しみにしています。
とき;3月26日(金)18:00 OPEN 18:30 START
ところ:オーガニックカフェ「ひじり屋」
高知市春野町東諸木4176-3�088-842-3030
料金:500円
主催:NO-テモ-かまん!プロジェクト
連絡先:090-3796-8204(小松)
投稿: 山下 由佳 | 2010年3月16日 (火) 23時45分
高知市バイオマスタウン構想が、コミュニティ再生とは真逆に進んでいる。というのも県外企業に、国からと県からの助成金を任せ、高知の山林の竹を商売にさせるのだ http://yes-we-can.cocolog-nifty.com/blog/cat16066571/index.html
投稿: 山下 由佳 | 2010年3月17日 (水) 16時01分