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2009年11月12日 (木)

歌2曲

News & Letters/148

11月22日(日曜日)東洋町の産業祭に自衛隊の楽団が来ることになっている。その実行委員会で楽団の演奏で町長が歌を歌うことになった。その歌の名前は「異国の丘」であった。しばらくして、楽譜も送られてきた。楽団も乗り気であった。
後日、私は、歌の変更を願った。

  曲名は「君死に給ふことなかれ」である。

楽譜を送ってくれと言うので、こちらから楽譜も送った。さすがに、自衛隊からは、お断りの電話があった。非常に残念でした。自衛隊が明治の反戦歌を奏でるというのは、大変なことなのであろう。

この歌は、私が中学校2年生の時に女教師(大寺美弥子)から教わったものである。それ以来、私の愛唱歌となって、今も車に乗って遠出のおりには車中で歌っている。覚えている限りは次の通りである。

  「君死に給ふことなかれ」

                        与謝野晶子

ああ、弟よ君を泣く 君死に給ふことなかれ
末に生まれし君なれば 親の情けも 勝りしも
親は刃を握らせて 人を殺せと 教えしや
人を殺して死ねよとて 二四までを育てしや
 
堺の町の商人(あきびと)の 旧家をほこる主 
にて 家の名を継ぐ君なれば 
君死に給ふことなかれ

旅順の城は滅ぶとも 滅びずとても何事ぞ
君は知らじな 商人の家の掟になかりけり

君死に給ふことなかれ すめらみことは 戦いに
御みずからは 出でまさね
かたみに人の 血を流し 獣の道に死ねよとて
死ぬるを人の誉れとは おほみ心の深ければ 
もとよりいかで おぼされん

ああ弟よ 戦いに 君死に給ふことなかれ
過ぎにし秋を父君に 遅れ給へる母君は
嘆きの中に痛ましく
我が子を召され家を守り
安しと聞ける御み世も 母の白髪はまさりぬる

暖簾(のれん)の下で伏して泣く
あえかに若き新妻を君忘るるや思へるや
十月もそはで別れたる 乙女心を思い見よ 
この世1人の君ならで ああまた誰を頼むべき
君死に給ふことなかれ

これを自衛隊の楽団の演奏で歌う計画であったが、夢が叶わなかった。
自衛隊を嫌う人もいるが、しかし、兵士はプロレタリアの友でなければならない。

森重久弥が死んだ。

私はこの人の歌が好きであった。
その中でも私の愛唱歌で石川啄木の「春まだ浅く」というのがある。
これは、啄木の小説『雲は天才である』という一節に出てくる。今も啄木の母校渋谷村小学校の校歌だと言うことである。
これは私が中学3年生の時に音楽の先生(細川高義氏)に教わったもので、愛唱歌の中でも最も愛唱するものである。

      「春まだ浅く」

                        石川啄木

春まだ浅く 月若き 命の森の夜の香に
あくがれ出て 我が魂の 夢むともなく夢むれば
狭霧(さぎり)の彼方そのかみの 望みは遠くたゆたひぬ

自主の剣を右手(めて)に持ち 左手(ゆんで)にかざす愛の旗
自由の駒にまたがりて 
進む理想の道すがら
今宵命の森の影 水のほとりに宿借りぬ

そびゆる山は英傑の 跡を弔ふ墓標(はかじるし)
音なき川は千載に 香る名をこそ流すらむ
ここは何処と我問へば なが故郷と月答ふ

勇める駒のいななくと 思へば夢はふと覚めぬ
白羽の兜 銀の盾 皆消え果てぬ さあれど
ここに消えざる身ぞ1人 理想の道にただづみぬ

雪を頂く岩手山 名さへやさしき姫神の
山の間(はざま)を流れゆく 千古の水の北上に
心を洗い身を清め 理想の道を我行かむ

私はこの二つの歌を歌いながら、歌うが如き人生を送ってきた。
森重久弥が死んだという晩に、白浜の海岸に出て、雲に隠れた月に向かって「春まだ浅く」を歌ってみた。

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コメント

 沢山さんの愛唱歌に興味があり、調べてみましたが「君死に給ふ…」の曲はわかりません。晴れの舞台で歌えないのは残念ですね。

 「春まだ浅く」の方は森繁さんの歌が見つかりました。
 http://blogs.yahoo.co.jp/naibusyougai_x1/58167688.html

 旧渋民小学校を昔訪ねたことがあります。今は違った曲で歌われているようです。
 中高生の頃ぼくも啄木のファンでしたがこの歌は知りません。いい先生に出会われたのですね。

  

投稿: けいすけ | 2009年11月12日 (木) 21時48分

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» 春まだ浅く [川越だより]
 高知県東洋町長沢山さんのブログで森繁さんに「春まだ浅く」という歌があることを知りました。啄木の『雲は天才である』という作品の中の詞に古賀政男が曲をつけたということです。  青い文字をクリックして森繁さんの歌を聴いてみてください。詞の全文は沢山さんのブログからコピーさせて貰いました。  http://blogs.yahoo.co.jp/naibusyougai_x1/58167688.html  「春まだ浅く」      石川啄木 春まだ浅く 月若き ... [続きを読む]

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